第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社は、集団給食における業務用総合厨房機器メーカーとして「誠実奉仕・堅実経営・技術開発」の社是のもと、企業の公共性を堅持し、厨房機器の製造と販売および調理設備の施工において、厨房業界随一を目指して前進します。さらに業界のリーディングカンパニーとして、お客様に「安心・安全な製品およびサービス」を提供し、社会生活に欠かせない「食」を通して、新たな社会の発展に貢献することを経営理念としております。

その経営理念に基づき、お客様に信頼される行動ならびに高品質で安心・安全な製品およびサービスを提供し、「食」を支える施設をサポートしていくことにより「社会的貢献」を果たします。また、「製品力強化」として多様化、高度化する顧客ニーズを的確に捉え、人にやさしい、環境にやさしい新製品、新システムの開発ならびに付加価値を強化することにより、自社製品力およびブランド力を強化し、その市場拡大を目指します。そして「販売力強化」として、当社の主要マーケットである学校給食、病院給食、官庁施設給食、学生食堂および民間企業(事業所・ホテル等)の施設に対し、国内すべての地域を網羅した営業体制のもと、提案、製品およびサービスの品質向上によってその販売力の強化を図り、さらなる成長を目指します。

 

(2) 中長期的な会社の経営戦略

当社は、創業当初より学校給食分野を最重要マーケットとして捉え、それら自治体及び地域と密着した直販体制を展開しております。さらに、それら各地域の人々の健康維持を担う各種医療施設及び福祉施設の給食設備、また、それら地域の経済発展を担う各種企業の事業所給食設備、並びに、中食、外食等の産業給食施設等に対し、広域的な販売体制を整備してまいります。その上で、次の戦略を実行いたします。

 

a.一括設備の販売強化策

当社は、国内全ての学校給食センターについてその施工年、施工業者(自社、競合他社等)及び建替時期等の情報を把握しており、他社に先駆けた提案型営業展開を行うことにより、物件獲得率を高めて参ります。病院・事業所などの民間案件の情報把握も整備されつつあり、より詳細な情報取得を図るため全国の設計事務所・給食委託業者・コンサルティング会社との連携強化を図り、建物の設計段階から関与し、物件獲得率を高めて参ります。

 

b.製商品の入替促進強化策

当社は、お客様への自社製品および他社商品納品履歴を一元データ管理しており、そのデータを基にピンポイントな販売戦略を展開し、自社製品独自の仕様構造への絞り込み営業を強化し、当市場における自社製品占有率のさらなる維持拡大を図ります。病院や企業の社員食堂は、納品後5年を経過した取引先をピンポイント営業、学校関係は納品後10年から15年を経過した取引先をピンポイント営業いたします。

 

c.修理・保守点検による機器営業タイミングの情報収集

一元管理された顧客データ・自社製品納入実績データに基づき、お客様にとって安心安全で最適な年間保守サービスを提案し、突発的なマシーントラブルを減少させ、お客様との強固な信頼関係の構築を図った上で、上記a,bの営業情報収集を行い適切な提案時期を見極めます。

 

 以上の戦略実行の当年度における達成状況を判断する指標として、売上高、製品売上高、売上総利益、営業利益を重視しております。

 

 

(3) 経営環境および対処すべき課題

新型コロナウイルス感染症に対する行動制限緩和に伴う個人消費の回復やインバウンド需要の高まり、雇用環境の改善等により景気回復に向けた動きが見られる一方、物価上昇による実質賃金の伸び悩みや為替相場の変動をはじめ、ウクライナ情勢の長期化や中東情勢の緊迫化等先行きは不透明な状況が続いており、引き続き予断を許さない状況が続くものと予測されます。当社の顧客である集団給食施設を含む外食産業におきましては、短期的には、コロナ禍からの緩やかな回復が見込まれるものの、中長期的には、集団給食施設における労働人口の減少への対応、テレワークの浸透をはじめとした企業の事業環境の変化への対応など、顧客ニーズが進化し多様化するものと考えられます。

このような経営環境下においても、当社は学校給食等、多数の人に継続的に食事を提供する集団給食向けの厨房機器を日本中の様々な給食施設や食品工場で施工やアフターメンテナンスを実施しており、厨房施設や厨房機器に関する様々なノウハウを蓄積し続けております。長年培った経験や実績に、将来に向けた課題(労働人口の減少等の顧客ニーズの進化)を組み合わせ、新たな価値を創造すべく他業界との共同研究を加速させてまいりました。また、自然環境課題への対応もすべく、大幅な省エネ効果のある製品を開発し展示会等において発表いたしました。当社は、このような競争優位を活かし、進化し多様化する顧客ニーズに応えるとともに環境に配慮した製品作りを推進いたします。

当社は、お客様に‘高品質’‘安心安全’‘低環境負荷’な製商品・サービスを提供し、お客様の満足を最優先に捉え、食に携わる企業として社会に貢献するため、以下の課題に取り組んで参ります。

①研究開発の強化
労働力不足に対応するための無人化/少人数での給食施設運営などお客様のニーズに応えた製商品の創出、並びに、現場で働く人々の使いやすさを追求した上でランニングコストを低減させるというお客様の厨房施設運用目標の実現に向け、常に最先端技術を駆使し、研究開発活動に邁進して参ります。そのための研究開発人員の増強、試作機の製造及び評価体制の強化等を図って参ります。

②ブランド力の強化
当社の主力製品である学校市場向け食器洗浄機・回転釜の国内生産台数シェアは、2020年度で20%程度となっており、そのブランド力を活かし自社製品全般の市場シェアを高めて参ります。当社が過去75年で形成した高水準の学校市場向けのブランドを更に強化するとともに、病院及び社員食堂市場向けに横展開し、民間市場向けの市場シェアを上昇させるべくマーケティング活動を遂行しております。

③品質管理体制の強化
当社は、厨房機器及び厨房システムの品質及び当社事業の運営体制全体の品質を維持・向上させることを目的に、ハード面において公共建築協会評価を、ソフト面においてISO9001を取得しております。当社は、製商品における‘安定稼働’を第一の品質と捉え、生産現場から設置据付まで、品質管理体制の徹底に取り組んで参ります。当社では、製商品を導入して頂いたお客様、使用者様への機器の取扱いや調理指導を徹底し、更には定期的な保守点検や老朽機器の更新をご提案するなど、製品事故を未然に防ぐ施策を講じて参ります。

④働き方改革を活かした競争力強化
当社は従業員に対し技術資格の取得を奨励しており、工場従業員にはどの工程でも生産活動に参加ができるように多能工として育成しております。また、テレワーク環境の充実や育児休暇の取得奨励等の「働き方改革」を加速させ、従業員が自身の仕事に対するやりがいを感じながら能力を発揮できる労働環境を整え、企業競争力の向上を実現して参ります。

⑤収益安定性と成長性の確保
当社は後記「3事業等のリスク(1)季節変動」に記載の通り、7月から9月に売上が集中する季節変動があります。この時期に売上が集中するのは、夏季休暇を利用して厨房設備を入れ替える学校市場の顧客構成比が高い事に起因しております。当社は、四半期単位で一定の利益が獲得できるよう収益構造の転換を図り、更に成長性の追求により財務基盤を安定させ、内部留保と株主還元の適切なバランスを図って参ります。

 

⑥内部統制システムの強化
内部管理面におきましては、内部統制システムを機能的に運用させることにより、コンプライアンス/リスク管理を徹底し、従業員の労務管理や外注先を含めた安全管理にも注力すると共にお客様に誠実に奉仕する体制を強化して参ります。また、業務の標準化・効率化を推進しつつ、事業の拡大・多角化にも耐えうる業務プロセスを構築いたします。

⑦ESGへの取組強化
社会生活に欠かせない「食」を支える社会に求められる企業として、サステナビリティ委員会を常設機関として設置しESG(環境・社会・ガバナンス)への取組の強化を図り、新たな食生活の提案を行うなど社会的課題の解決と企業価値の向上を目指します。当社は事業活動を通じて、お客様の環境負荷低減や労働環境改善への貢献、全国の取引先との共生共創を目指します。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、1947年の会社設立以来、「食」を通じて社会貢献を行ってまいりました。今後も企業としての持続的な成長を目指すとともに「食」を通じた社会貢献活動を継続していくためには、財務活動以外の分野における取り組みも不可欠であると考えております。その具体的な取り組みとして、サステナビリティ基本方針に基づき、「技術開発」、「環境・社会」、「人材・組織」を重点課題として掲げ、これらの課題解決を通じて、社会課題解決と持続的な企業価値向上の両立を目指しております。

 

<サステナビリティ基本方針>

当社は、社会生活に欠かせない「食」を支える企業としてESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを強化し、サステナブルな社会に向けた事業活動を推進することで、新たな社会の発展や社会的課題の解決、企業価値の向上を目指しております。

 

(1) ガバナンス

 サステナビリティを推進する常設機関として、サステナビリティ委員会を設置しております。管理本部長を委員長、経営企画室を主管部門として、管理部門、販売部門、生産部門、業務統括部門からの委員複数名で構成するサステナビリティ委員会はESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組み強化など、サステナブルな社会に向けた事業活動の推進を行います。


(2) 戦略

 当社が重点課題として掲げている「技術開発」「環境・社会」「人材・組織」の課題解決の戦略は以下の通りです。

 

①「技術開発」

国内の厨房における人手不足は大きな社会課題となっております。当社はさらなる省力・省人化を目指した機器を開発するため、IoT・AI・ロボットなど先進的な技術を活用しながら、社会課題を解決してまいります。

また、新たなアイディアの創出として新製品開発企画委員会にて全社員からアイディアを募ることで、厨房現場のタイムリーなニーズを捉えております。

 

②「環境・社会」

当社製品ご使用の厨房環境を向上させるため、ガス機器において低輻射型機器を開発しており、空調の電気使用量を削減させております。事業所においては、太陽光発電システムの導入、照明のLED化、BEMS(※)等による省エネ事業所を推進していくことで、環境にやさしい社会の実現に貢献してまいります。

また、「食」を支える企業として、将来を担う子ども達が健全に育成できるよう、食育を推進する給食厨房施設(地場産物活用の泥落とし室・見学窓・食育展示コーナーの設置等)を積極的に提案しております。

(※)BEMS(Building and Energy Management System)「ビル・エネルギー管理システム」

 

③「人材・組織」

人材は企業の重要な財産であると捉え、「人財」であると考えております。今後も継続的に社会貢献を続けていくためには、変化する市場に適切に対応できる柔軟性を兼ね備えた「人財」の育成が必要であり、ダイバーシティを尊重した職場環境の整備が必要不可欠と考えております。

そのため、子育支援の制度確立、育児課題を社会全体の課題と捉えられる社風の醸成、一般教育・専門教育、健康管理、多様な採用活動、働き方改革の強化への取り組みに努めております。また、個々の多様性が組織に十分活かされるよう、お互いが尊重し会える職場環境を目指すとともに、適正な企業統治を実行してまいります。なお、当社人材確保・育成に関する方針、および社内環境整備に関する方針は、以下の通りです。

 

<人材確保・育成についての考え方>

a.人権尊重

あらゆる人々の尊厳と基本的人権を尊重し、人種・国籍・民族・性別・性的指向・性自認・障がいの有無・年齢・信条・宗教・社会的身分などを理由とした差別や、ハラスメントを行わない。

b.人材育成

高付加価値の製品や提案を提供するため、教育制度や研修を充実させ、多岐に渡り実施することで、知見・技術力の向上に努める。

 

(3) リスク管理

 サステナビリティに関するリスクについては、サステナビリティ委員会が主体となり、危機管理委員会と連携して情報の共有を図っております。重大リスクが確認された際は、経営推進協議会にて協議することとしております。

 

(4) 指標および目標

 当社の取り組みに関する主な指標と目標は以下の通りです。

 

①「技術開発」

厨房現場における人手不足を見据えて、3つのフェーズでスマート厨房(※)の実現を目指して、異業種との共同開発も取り入れながら製品開発を行ってまいります。

(※)スマート厨房=先端技術を活用した次世代厨房

 

[フェーズ1]

IoTを活かせる製品を開発し、厨房管理におけるあらゆるデータの一元管理を行い、人員確保が難しい厨房においても、突然の機器故障を防ぎながら安心・安全な食事の提供を担保します。

[フェーズ2]

自動搬送・自動計量など、労力を必要とする作業についてロボット装置やAGV(無人搬送車)を活用して、厨房作業者の負担を軽減します。

[フェーズ3]

AI(人工知能)を活用し、フェーズ1・2と組み合わせることで、究極のスマート厨房(無人化・省人化)をプロデュースします。

 

②「環境・社会」

当社の環境負荷軽減製品のラインナップを拡充させて、電気・ガス・水の使用量を低減した機器を開発いたします。また、脱炭素社会の実現に寄与するため、製造活動・営業活動における温室効果ガスの排出量削減に貢献できるよう、新車導入時には脱ガソリン車を選択する等の施策を進めてまいります。

また、さらなる食育推進として地域の子どもたちを対象とした当社オリジナルの食育教室を開催し、地域貢献活動も行ってまいります。

 

③「人材・組織」

■男性の育児休業取得率目標

年次

取得率

2025年度

50%

2030年度

85%

 

 

■新入社員に占める女性の割合

年次

割合

2030年度

50%

 

(注)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異についての実績は、「第1 企業の状況 5 従業員の状況 (3)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しております。

 

 

3 【事業等のリスク】

以下において、本書に記載した当社の経営成績及び財政状態に重要な影響を及ぼす可能性のある事業展開上のリスクについて、主な事項を記載しております。また、リスクの顕在化が必ずしも高くない事項についても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。 なお、文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社が判断したものであります。

当社のリスク管理体制は、「リスク管理規程」に基づき組織的にリスクマネジメントを実施しております。業務遂行上のリスクに関しましては、各組織の担当取締役及び執行役員が担当業務毎に管理することとし、経営企画室が主管部門として情報を統括しております。管理部門の担当取締役は、社長及び各取締役からリスク情報を取りまとめ、危機管理委員会を開催いたします。危機管理委員会の詳細は、コーポレートガバナンスに記載しております。

本稿に記載のリスクは、危機管理委員会で検討した影響度(大中小)、発生頻度(高中低)、発生時期(近中遠)、発生の回避および発生した場合の対策を記載しております。

 

(1)  季節変動

当社の売上高は、官公庁及び学校給食センターなどの主要得意先への引渡し時期の関係で、第2、第4四半期会計期間に多くなるといった季節的変動があります。

特に、厨房施設全体の新築工事又は全面改修工事など当社の大型受注案件は、お盆休みを含む夏季休暇を利用して施工されることが多いため、第4四半期会計期間に検収する案件の金額割合が他の四半期会計期間に比べて大きくなる傾向があります。当社の業績の正しい把握は、第4四半期累計の1年間で判断していただく必要がありますが、第4四半期会計期間に建物建築工事の遅れなど何らかの要因で検収の期ずれが発生した場合、当該事業年度の業績等を下方修正する可能性があります。本リスクの影響度は中、発生頻度は高、発生時期は近いと認識しております。

2023年9月期における四半期ごとの業績は下表のとおりとなっております。

 

(単位:百万円)

 

 

第1四半期

第2四半期

 

 

売上高

売上総利益

営業損失(△)

売上高

売上総利益

営業利益

 

計上額

1,962

542

△385

5,554

1,475

515

 

構成比

11.1%

11.7%

△71.2%

31.5%

31.8%

95.1%

 

 

 

 

第3四半期

第4四半期

 

 

売上高

売上総利益

営業損失(△)

売上高

売上総利益

営業利益

 

計上額

2,586

638

△391

7,538

1,981

803

 

構成比

14.7%

13.8%

△72.3%

42.7%

42.7%

148.4%

 

なお、当社では、夏季休暇中の大型案件をターゲットとした営業活動を維持しながら、ゴールデンウイーク前や多くの法人・団体等の会計年度末である3月検収の受注案件の獲得に注力した営業活動を強化し、第4四半期会計期間に依存した収益構造の改革に着手しております。

 

(2) 取引形態

当社の主要な販売形態は、ユーザーとの直接契約による取引ですが、ユーザー等の都合で中間業者を経由した取引になることがございます。

契約当事者がゼネコン・サブコンとなる中間業者取引は、弊社が施工する厨房設備据付工事も事業所社屋や工場等の新築または改修工事全体の中の一部としてゼネコン・サブコンに監理して欲しいという顧客都合による場合です。契約当事者が特約店・販売協力店になる中間業者取引は、特約店・販売協力店が顧客との契約主体になる取引のうち、大型案件など総合厨房メーカーの助けを借りて顧客提案を行う取引です。契約当事者が地元企業になる中間業者取引は、顧客が地方自治体の場合、入札・随意契約の場合の双方において、地元経済の活性化のために地元企業を契約当事者にして欲しいとの要望による取引です。

一般的に直接販売における販売粗利益率は、間接販売における販売粗利益率より高くなるため、当社はユーザーと直接契約を行うべく営業活動を行っており、過去3年間の直接販売と間接販売の比率は約6:4になっております。しかし、ユーザー都合による中間業者経由の間接販売形態が増加した場合には、販売粗利益率の低下により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。本リスクの影響度は小、発生頻度は低、発生時期は中と認識しております。

 

(3) 自社製品比率

当社の機器構成は、重点顧客カテゴリー向けの製品ラインナップと品質性能は充実していますが、全ての顧客向けの製品ラインナップが十分とは言い切れず、顧客ニーズの達成のために他メーカーの製品販売も併せて行っております。自社製品と他社製品の粗利率は、自社製品のほうが高いため、当社は、自社製品開発によりラインナップと品質性能を充実させ、自社製品販売比率を向上させる計画を実行しており、過去3年間の自社製品と他社製品の販売構成比は、約3:7になっております。しかし、製品開発が予定どおり進まず自社製品販売比率が低迷すると、顧客要望を満たすよう他社製品を厳選して当社製品と合わせて計画売上を確保できたとしても中期利益計画や単年度予算の計画利益額の達成に支障がでる可能性があります。本リスクの影響度は小、発生頻度は中、発生時期は遠いと認識しております。

 

(4) 販売先の動向

当社の製品等の主たる販売先は、学校・病院(いずれも官公庁向けが主)及び事業所(民間)となっております。 官公庁顧客に関しては、学校・病院分野における生活基盤公共投資の政策動向、法制、補助金制度の変更等により、また、民間顧客における給食設備等の福利厚生投資は、景気の動向等による影響を受け、当社の受注件数及び受注規模が変動いたします。

文部科学省及び厚生労働省の所管施設等の長寿命化に向けた行動計画において、公立小中学校が2042年まで、医療施設が2050年まで毎年1兆円~2兆円の改修保全費用が計画されており、また、少子化に伴う学校統廃合により学校給食センターの新築建替工事も見込まれております。

当社は、当面は主たる販売先からの需要が継続するものと予想し、老朽化した厨房施設向けに厨房機器単体の入替需要を掘り起こし、新規設備の受注獲得に向けた営業活動に注力しておりますが、想定どおりの受注を獲得できない場合は、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。本リスクの影響度は小、発生頻度は低、発生時期は遠いと認識しております。

 

(5) 人員の採用及び育成

当社は、安心・安全な製品及びサービスを提供し、食を支える給食施設を支援することにより社会貢献を果たして参ります。その実現のための経営方針のひとつとして、製品力強化と販売力強化を掲げ、開発・生産スタッフや営業スタッフのスキルアップを図ると共に、新たな人材の確保を行っております。しかしながら今後、適切な人材を十分に確保できず、あるいは在職中の従業員が退職するなどして、十分な開発・販売体制を築くことができない場合には、受注シェアの維持が困難となり当社の業績及び将来的な事業計画の達成に支障がでる可能性があります。本リスクの影響度は小、発生頻度は中、発生時期は近いと認識しております。

 

(6) 製品の品質、安全性

当社では、漏電・ガス漏れなどの事故が発生しないように、顧客に対して調理現場での厨房機器の日常点検等の指導を行い、また、当社製品にも安全装置を採用するとともに設計・調達・製造・据付の全工程において厳重な品質管理体制のもと、製品の安全性と品質確保に努めております。また、顧客からのクレームや不具合の問合せに対しては、設計部門・生産部門・調達/据付部門・営業部門が独自の専門領域から事象を分析し必要に応じた対策・指導を速やかに実施しております。しかしながら、万が一、当社製品に関連する事故が発生し、顧客に対して損害補償を行う事態となった場合は、当社の社会的評価の低下や企業イメージの低下により、受注が減少し当社の事業活動に重大な影響を及ぼす可能性があります。本リスクの影響度は大、発生頻度は低、発生時期は遠いと認識しております。

 

(7) 災害・感染症等による生産拠点への影響

当社の製造工場は栃木県、大分県に立地しております。栃木工場は2011年東日本大震災で一部物流倉庫に被害を受け、また、大分工場では直接的被害はありませんでしたが、近隣で2016年に熊本地震が発生しております。地震に限らず、大型台風、津波、火山の噴火等の大規模な自然災害の発生や新型コロナウイルス等の感染症の発症により、厨房設備納期の延期・機器修理や食器など備品需要の落ち込みによる売上減少、従業員や生産設備等への直接的な被害のほか、情報システムや材料調達網の遮断等による間接的な被害を受ける可能性があります。当社では、対策として防災訓練を実施するなど、有事の際に損害を最小限に抑えるためのリスク対応体制の整備・強化を進めていますが、リスク全てを回避することは困難です。このような被害が発生した場合には、工場等事業所の閉鎖及び事業活動の停止による損失、事業継続・早期復旧のための費用の発生などにより、業績や財務状況に重大な影響を及ぼす可能性があります。本リスクの発生頻度は低、発生時期は特定できないと認識しております。

 

(8) 税務対応

当社では、業務マニュアルの制定や社内研修の実施及び取引の第三者チェックなどの税務処理の内部統制の整備・運用により、適正な税務申告に努めております。しかしながら、税務申告における税務当局との見解の相違や税制等の改正により、予想以上の税負担が生じ当社の業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。本リスクの影響度は小、発生頻度は中、発生時期は近いと認識しております。

 

(9) 債権回収遅延等

当社では、毎月の債権回収手続きとして、回収予定日の変更確認、回収予定日経過未入金の確認などを行い、問題のある債権については、対策を講じております。しかしながら、経済環境や取引先の経営環境の急激な悪化などに起因し、取引先の倒産や業績悪化により債権の貸倒れや回収遅延が生じた場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。本リスクの影響度は小、発生頻度は中、発生時期は近いと認識しております。

 

(10) 原材料及び商品の安定供給及び調達価格

当社が製造する業務用厨房機器の主要な原材料は、ステンレス鋼材、電子部品、ポンプ、モーター等です。過去10年程度は、主要原材料の調達価格は安定し、数量も品薄状態になったことはありませんでしたが、昨年来、ステンレス鋼材の価格変動が大きくなりました。サプライチェーンのグローバル化が進む中、地政学的リスクの顕在化により原材料価格の上昇や安定的調達が困難になるなどした場合、当社が行う調達先の代替確保、製造原価低減策や販売価格への転嫁が不十分であれば、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。このような状況下では、他社製品の調達においても同様のリスクがあります。本リスクの影響度は中、発生頻度は低、発生時期は近いと認識しております。

当社では、製品設計の柔軟性による代替部品への変更の容易性、複数の調達先の確保、総合的な製造コスト削減策を常に検討し実行することにより対処しております。

 

 (11) 退職給付債務

当社は、従業員の退職給付について退職一時金制度及び確定拠出年金制度を設け、一定の前提に基づいて計算される退職給付費用及び債務を計上しております。当社は年金費用を見積計算する上で、従業員の状況・将来の金利の動向等の変動要素を考慮し、退職率・割引率等の前提条件を専門家の助言を得ながら合理的に見積もっております。しかしながら、主要な前提条件が実際の結果と異なることとなる場合、当社の退職給付に係る費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。本リスクの影響度は小、発生頻度は低、発生時期は遠いと認識しております。

 

(12) 法的規制・許認可

当社は、事業を遂行するにあたり、建設業法に基づき国土交通省より一般建設業の許可を得ているほか、業務用厨房機器の製造販売に関して労働安全衛生法の規制を受け、事業活動に係る一般的法規制には、製造物責任法、下請代金支払遅延等防止法、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、特許法、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律、労働基準法、資源有効利用促進法などがあります。当社は役職員に対し、企業倫理規範および行動指針を規程などにより周知するとともに、独占禁止法遵守ガイドラインなどマニュアルを整備し、必要な研修を実施しております。また、内部統制システムを適切に運用し各種法令等の遵守に努めております。しかしながら、当社がこれらの法規制等に違反したものと当局が判断し許可の取消または業務停止などの行政処分、刑事処分又は取引先からの損害賠償訴訟の対象となった場合は、当社の信用が毀損し、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。本リスクの影響度は大、発生頻度は低、発生時期は遠いと認識しております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績の状況の概要

当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概況は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況
a.経営成績

当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和による個人消費の回復や外国人観光客の受け入れ再開によるインバウンド需要の高まり、雇用環境の改善等により景気に持ち直しの動きが見られる一方、物価上昇による実質賃金の伸び悩みや為替相場の変動等、景気下振れリスクが懸念される状況が続いてまいりました。また、世界経済においても、ウクライナ情勢の長期化や原材料等の価格高騰による世界的なインフレとそれに伴う金融引き締めに対する景気後退への懸念等、先行き不透明な状況が続いております。このような環境の中、当社におきましては、学校給食以外の集団給食分野の拡大に向けた営業活動と資材価格の高騰への対応を進めるとともに、厨房設備の省人化・省力化に向けた研究開発活動を促進した結果、当期の業績概要は以下のようになりました。

(単位:千円)

 

前事業年度

2022年9月

当事業年度

2023年9月

増減

機器設備売上

13,007,327

14,979,373

1,972,046

修理備品売上

2,460,432

2,662,730

202,298

売上高合計

15,467,759

17,642,103

2,174,344

売上総利益

4,313,953

4,637,023

323,069

売上総利益率

27.9%

26.3%

△1.6%

販売管理費

3,970,718

4,095,613

124,895

営業利益

343,235

541,409

198,174

営業利益率

2.2%

3.1%

0.9%

 

 

学校給食以外の集団給食分野において期初の想定を超える受注を獲得したことにより、売上高は期初の予想を上回ることとなりました。また、利益面においては、一部の大型案件で低利益率となったものの、その他の案件における原価低減の取り組みと売上高の増加、経費削減等の効果により、営業利益、経常利益、当期純利益においてそれぞれ期初の予想を上回ることとなり、機器設備案件の売上額は1,972,046千円増加し14,979,373千円を計上することとなりました。

また、機器の修理額及び備品等の販売額は、アフターサービスを充実させた事等により前事業年度より202,298千円増加し2,662,730千円となりました。なお、本稿では、当事業年度の顧客市場の動向及び当社の事業活動の状況を経営成績と関連付けで分析するにあたり、損益計算書における製品売上高と商品売上高に含まれる機器設備関連の売上を機器設備売上高とし、損益計算書における製品売上高と商品売上高に含まれる修理・保守及び食器などの備品売上を修理備品売上高と標記しております。

これらの結果、当事業年度の売上高は17,642,103千円(前期比14.1%増)となりました。

販売費及び一般管理費は、人件費の増加に伴い給与及び手当で27,485千円の増加、賞与引当金繰入額で27,167千円の増加等により、4,095,613千円(前期比3.1%増)となりました。

営業外損益は、営業外収益では仕入割引が9,174千円減少したこと等により24,604千円(前期比6.8%減)となりました。営業外費用では上場に伴う上場関連費用が17,393千円、株式交付費が6,864千円減少したこと等により2,659千円(前期比90.7%減)となりました。

利益については、売上総利益は4,637,023千円(前期比7.5%増)、営業利益は541,409千円(前期比57.7%増)、経常利益は563,354千円(前期比65.2%増)、税引前当期純利益は540,501千円(前期比64.3%増)、当期純利益332,269千円(前期比61.3%増)となりました。

 なお、当社は業務用厨房機器製造、仕入、販売及び保守修理事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

b.財政状態

財政状態は、総資産で前事業年度末に比べ1,247,024千円増加の13,984,447千円となりました。

資産の部は、現金及び預金が1,449,152千円増加したものの、受取手形及び売掛金並びに電子記録債権が441,060千円減少となった結果、前事業年度末に比べ1,247,024千円増加しました。

負債の部は支払手形及び買掛金並びに電子記録債務が727,849千円増加となった結果、前事業年度末に比べ1,051,287千円増加の7,461,302千円となりました。

純資産の部は、利益剰余金が196,004千円増加したことにより前事業年度末に比べ195,737千円増加の6,523,144千円となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前事業年度末に比べ1,449,152千円(前期比47.1%増)増加し、4,522,743千円となりました。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ2,313,175千円増加し、1,951,455千円の収入(前年同期は△361,720千円の支出)となりました。主な資金増加要因は、税引前当期純利益540,501千円、売上債権の減少額441,300千円及び仕入債務の増加額727,849千円であります。主な資金減少要因は棚卸資産の増加額193,222千円等であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ178,940千円減少し、260,503千円の支出(前年同期は81,563千円の支出)となりました。主な資金減少要因は有形固定資産の取得による支出251,764千円等であります。主な資金増加要因は、PFI事業におけるSPCへの長期貸付金の回収額7,093千円等であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前年同期に比べ408,962千円減少し、241,798千円の支出(前年同期は167,163千円の収入)となりました。主な資金減少要因は長期借入金の返済額66,500千円、配当金の支払額136,265千円等であります。

 

③ 生産、受注及び販売実績

生産実績は次のとおりであります。

 

生産高(千円)

前年同期比(%)

 

3,098,265

105.3

 

(注) 金額は、製造原価によっております。

 

商品仕入実績は次のとおりであります。

 

商品仕入高(千円)

前年同期比(%)

 

9,008,225

117.4

 

 

受注実績は次のとおりであります。

 

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

 

16,524,393

88.5

4,010,098

93.3

 

(注) 金額は販売金額で表示しております。

 

販売実績は次のとおりであります。

 

販売高(千円)

前年同期比(%)

 

17,642,103

114.1

 

(注) 総販売実績の10%以上の主要顧客はありません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

①  重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には、決算日における資産・負債の決算数値及び偶発債務、収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」および「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりでありますが、財務諸表に重要な影響を与える可能性のある見積を含む会計方針は以下の通りであります。

a.棚卸資産の評価基準及び評価方法

当社は、製品・仕掛品・原材料及び商品並びに貯蔵品に係わる貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切り下げの方法により算定しております。期末日以降における顧客の需要及び市況により収益性が見積以上に悪化した場合、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。

b.貸倒引当金

当社は、債権の貸倒損失に備えるため一般債権については貸倒実績率により、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を計上しております。経済環境や取引先の経営環境の急激な悪化などに起因し、貸倒実績率を超える債権の貸倒れや回収遅延が生じた場合、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。

c.退職給付費用及び債務

当社は、退職給付費用及び債務の計上において、将来の金利の動向・退職率・割引率等の一定の前提に基づいて計算しております。将来の不確実な経済条件の変動等により前提条件の見直しが必要となった場合、退職給付に係る費用及び債務の追加計上が必要となる可能性があります。

d.繰延税金資産

当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の回収可能性の判断に重要な影響を与える可能性があります。

 

②  経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等について

当事業年度の売上高は、前期比14.1%増17,642,103千円、営業利益は同57.7%増541,409千円、経常利益は同65.2%増563,354千円、当期純利益は同61.3%増332,269千円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 4.経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.経営成績」に記載のとおりです。

b.当社の資本の財源及び資金の流動性について

当社は、中長期的に持続的な成長を図るため、生産能力の増強や労働生産性の向上、販売・物流体制の整備、研究開発体制への投資を計画しております。事業を成長・拡大させるための資金需要があるほか、必要に応じてM&A等を行う可能性もあります。当該資金は、営業活動で生み出される内部資金で賄うこととしておりますが、資金需要の大きさや時期、金融マーケットの状況によっては、自己資金以外の資金調達の方法を検討する場合もあります。

外部からの調達に関しましては、大型の設備投資資金は国内金融機関からの長期借入金を中心とした調達を行い、運転資金や小規模な設備資金は短期借入金で調達しております。迅速かつ効率的に調達を行うために、取引銀行と貸出コミットメント契約、当座貸越契約など総額43億円の借入枠を確保しており、資金の流動性は確保しております。また、M&Aや工場建物など大型の超長期資金需要に対しては、資本コスト、金利動向などを考慮し、新株発行や社債発行などの直接金融を検討する予定であります。

c.経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について

「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社では、人にやさしい、環境にやさしい新製品の開発ならびに付加価値を強化することにより、自社製品力およびブランド力を強化する経営戦略を推進しております。この達成状況を判断するための指標として、売上高、製品売上高、売上総利益、営業利益を重視しております。

当事業年度を含む過去3期の各指標の実績推移は以下のとおりです。当事業年度におきましては、学校給食以外の集団給食分野において期初の想定を超える受注を獲得したことにより、売上高は期初の予想を上回ることとなりました。

 

 

単位:千円

 

指標

2021年9月

2022年9月

2023年9月

 

売上高

17,061,477

15,467,759

17,642,103

 

製品売上高

4,842,096

4,354,644

4,812,614

 

売上総利益

4,640,790

4,313,953

4,637,023

 

営業利益

664,095

343,235

541,409

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

当社の研究開発につきましては、多様化するニーズに応えかつ製品の安全性、信頼性の確保を最重要視し、顧客満足度に繋がる製品の品質向上と製品価値の向上を主眼に活動を進めております。

これらの研究開発は、当社の設計部を中心に行っており、当事業年度における研究開発スタッフは合計19名であり、全従業員の3.55%に相当しております。また研究開発費は92,305千円となっております。

当事業年度の研究開発活動を示すと、次のとおりであります。

 

(1)新製品の開発

・高効率フライトタイプコンベア洗浄機(一般市場向け)

社員食堂や病院などの民間市場向けの高効率洗浄機の現行モデル(DWF型洗浄機)より節水性能が高く省エネ効果の高い洗浄機を開発しました。ダブルリンス方式の見直しで使用水量は従来機と比較して40%削減し、定格消費電力もポンプ出力等の最適化を行い従来機よりも約35%削減しており、大幅なエネルギーの削減を行うことで、ランニングコストの削減に貢献します。本体構造も改良し稼働中の輻射熱や放出される湯気を大幅に抑え、作業者や空調設備の負荷を軽減します。コンベヤリンクも新たに開発し従来機では立てて洗浄しづらかった小さなお皿から、大きなホテルパンまで様々なアイテムに対応できるようになり使い勝手も向上しました。

 

・浸漬槽付食器・トレイ洗浄機(学校給食センター向け)

学校給食センター向けのカゴ毎洗浄機で、機器の前半部分に食器の汚れを落としやすくする浸漬工程を増やしてより洗浄効果を高めた洗浄機を開発しました。学校から返却された食器はカゴに収納されたまま洗浄機に投入し、浸漬工程から洗浄工程まで一連のコンベヤで行いますので洗浄作業の省人・省力化が図れます。また、定格消費電力は従来機より約50%削減しました。

 

・クリーンロッカー

厨房内で使用する白衣や靴を、オゾンと紫外線で殺菌し衛生的に保管できる機器を開発しました。温風による乾燥機能を標準装備し、菌の繁殖の原因となる水分を取り除き殺菌効果を向上させます。衛生面向上のために需要の多い機器となります。

 

・IoTによるセンシング技術の導入

自社製品に通信機を追加することでクラウド上にデータを蓄積して遠隔で機器の状況を監視し保守保全に活用します。自社IoTプラットフォームであるキッチンコネクトと厨房業界IoTプラットフォームのIoKとの通信環境の構築を実施しました。また、立体炊飯器への通信を可能にし、収集するデータの種類が追加されております。引き続き学校給食施設(センター方式)にてモニター実施中で、計測データを社内で収集可能である事を確認しています。今後はIoKへ通信可能な機種の追加を行います。

 

(2)既存製品の改良

・フライトコンベヤ洗浄機(一般市場向け)

フライトコンベヤ洗浄機のモイスチャー(除湿排熱交換装置)とドライヤー(乾燥装置)を新たに開発しオプションにラインナップしました。従来機器(NBF型洗浄機)よりもモイスチャー、ドライヤー部分がコンパクトになり設置スペースが小さくなります。また、ドライヤー部の定格消費電力は従来機よりも約55%削減しました。

 

・スチームコンベクションオーブン

操作パネルのシンプル画面をリニューアルし、調理時に必要な最低限の表示と操作スイッチにすることでスチームコンベクションを取り扱ったことがない方でも使いやすくなりました。