第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第3四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更はありません。

 

(継続企業の前提に関する重要事象等)

当社グループは、少子高齢化や趣味の多様化を背景に手芸人口が減少するなか、消費者物価上昇に伴う消費選別の強まりもあり客数が減少し、2022年6月期、2023年6月期及び当第3四半期連結累計期間と継続して、営業損失、経常損失及び親会社株主に帰属する四半期(当期)純損失並びにマイナスの営業キャッシュ・フローを計上したことから、現時点において継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

当社グループは、当該状況を解消すべく、中期経営計画における足元の喫緊の課題である黒字体質の確立に向け構造改革に取組んでおります。不採算店舗の全廃とECサイト再編による既存販売チャネルの効率化徹底とBtoB事業の本格展開による新規販売チャネル開拓により主力の小売事業の売上増強・黒字化を進めております。同時に希望退職による固定費削減と注力分野への戦略的配置を行い、人的資源の適正化を進めております。

資金面においては、当社を借入人として運転資金の安定的かつ機動的な調達を可能とするタームアウト型コミットメントライン契約(貸付極度額29億円)を締結しており(当四半期連結会計期間末実行残高14億円。未実行枠15億円)、短期間での手元流動性の問題は生じないと考えております。また、資本業務提携契約を締結している株式会社キーストーン・パートナース(以下、「KSP社」という。)及び合同会社ルビィとは、引き続き商品・サービス面の品質向上に資する企業との業務提携等で協業するとともに、KSP社が管理・運営する日本リバイバルスポンサーファンド五号投資事業有限責任組合から当社に対して、状況に応じて資金支援の意向があることを確認しております。

以上により、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営成績の状況

当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善を背景とした個人消費の回復やコロナ禍前を上回るインバウンド需要等を背景に総じて緩やかな回復基調が続くなか、物価上昇や金融為替市場の変動など先行き不透明要因も散見される状況です。

当社グループが属する手芸業界及び出版業界においても、手芸コーナーの充実を図る百円ショップとの競合激化や趣味の多様化、愛好者の高齢化によるユーザー減少など、経営環境は一層厳しさを増しております。

このような状況のなか、当社は、グループ経営理念「手づくりを通して豊かな心を育み幸せを紡ぐ企業グループへ」とその理念に基づいたサステナビリティ方針を掲げ、環境・社会・ガバナンス面での各種課題への継続的な取組みを通じて持続可能な社会の実現に貢献したいと考えております。このような考えのもと、足元の経営環境を踏まえ、中期経営計画において成長の3本柱として掲げた事業力強化、M&A・アライアンス推進、経営体質の強化に努めてまいりました。

事業力強化では、新規顧客獲得、販路拡大に向けBtoB事業の専担事業部を立ち上げ、業務提携先や取引先へ商品・サービスの提供を進めております。ホームセンター大手のDCM株式会社との協業では、昨年12月に展開したDCM西岡店に続き、2月にDCM発寒追分通店の手芸用品売場へも展開を拡大しました。また、全国の書店への展開にも取組み、手芸初心者でも楽しめるキットなど各書店に合わせた商品提案をすることで、新たな顧客層に当社の商品・サービスを提供しました。こうした成約事例の横展開を迅速に全国ベースで行うべく、売場展開のモジュール化を進め、新規取引先への営業体制を強化しております。BtoB事業をもう1つの事業の柱とすべく現状体制の見直し、収益改善に引き続き取組んでまいります。

M&A・アライアンス推進では、業務提携契約を締結した株式会社エポック社との継続的な取組みとして、シルバニアファミリー人形の季節に合わせた着せ替えの服などを作るワークショップをトーカイグループ店舗にて定期的に行っております。さらに住宅メーカー催事場や自動車ディーラーでもワークショップを開催しており、自社店舗だけでなく取引先の集客の場でも商品・サービスを提供することで、取引先の集客に寄与するとともに、当社にとっては新たな顧客層への接点強化につながっています。今後もアライアンス先との協業を一層深化させ、収益力を強化してまいります。

経営体質の強化では、黒字体質確立に向けた構造改革の中で希望退職の実施が順調に進捗するとともに、役員報酬減額による利益寄与及び経営の監督と業務執行の役割分担明確化による迅速な事業運営の実現に向けて役員数を減員し、新たに効率的な経営体制を構築しました。引き続き全社的な人員体制の適正化を図り、固定費削減による抜本的なコスト構造改革により、今期中の黒字体質確立に取組んでまいります。

 

これらの結果、当第3四半期連結累計期間における経営成績は、売上高118億56百万円(前年同四半期比8.8%減)、営業損失11億87百万円(前年同四半期15億20百万円の営業損失)、経常損失11億91百万円(前年同四半期15億78百万円の経常損失)となりました。また、親会社株主に帰属する四半期純損失は16億55百万円(前年同四半期16億62百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。

 

(小売事業)

小売事業では、藤久株式会社(以下、「藤久」という。)が営む「クラフトハートトーカイ」ブランドを中心とした店舗とECにおいて、集客増に繋がる様々な施策に取組んでまいりました。新たなソーイングファン獲得に向け、株式会社日本ヴォーグ社(以下、「日本ヴォーグ社」という。)と共同企画している定期刊行誌『CRA-SEW』(クラソウ)では、読者の投票によって発売する生地柄を決定するプレゼント企画を盛り込み、衣類から小物まで幅広く作品を掲載したvol.8を発売しました。また、一部店舗では、人気イラストレーターくらはしれいさんとコラボレーションした生地や雑貨を取り扱うポップアップショップを開催し、生地の売上向上に寄与しました。楽天市場やYahoo!ショッピングのモール型ECサイトにおいては、取扱商品数を大幅に増やし、昨今人気の高いレジンのPBブランド商品開発や関連商品の取扱い強化により他社との差別化を図りました。その結果、3月の楽天スーパーセール期間中には期間受注金額が前期比を上回り過去最高となりました。当社グループ顧客層に関心の高い「美・健康」に関する新規事業においては、「手芸と眠り」に着目した新ブランド『アスシア』を立ち上げ、体に合わせて高さを調節できる『アスシア枕』の広告キャラクターに株式会社太田プロダクション所属タレントの野呂佳代さんを起用しました。WEB広告によるプロモーション活動や、トーカイグループ店舗・ECサイトにとどまらない販売チャネル拡大に取組んでおります。また、これまでの店舗再編を一層推し進め、エリア戦略の徹底により新規出店を中国・四国地区に1店舗行い、不採算店舗の閉鎖を北海道・東北地区9店舗、関東地区6店舗、中部地区5店舗、近畿地区9店舗、中国・四国地区4店舗、九州・沖縄地区7店舗の合計40店舗実施し、当第3四半期連結会計期間末の店舗数は279店舗となりました。

これらの結果、小売事業の売上高は94億84百万円(前年同四半期比10.7%減)、営業損失は9億40百万円(前年同四半期は12億61百万円の営業損失)となりました。

 

(出版・教育事業)

出版・教育事業は、手芸人口の減少、出版業界の縮小などにより売上が伸び悩みましたが、日本ヴォーグ社を中心に様々な施策に取組んでまいりました。今回で5度目の開催となる、糸のマーケットイベント『楽・イトマ!』を日本ヴォーグ社本社内のCRAFTING ART GALLERYにて開催しました。毛糸店26店が出店し、2日間で1,800名以上の来場があり大盛況となりました。手づくりキットカタログ『手づくりマルシェ』では、株式会社IKホールディングスとの取組みにより、生協ルートでの販売が拡大し売上が好調に推移しております。新規事業として、使う人の想いが詰まったネクタイを日常使いできる小物などにリメイクする「ネクタイリメイク」のテスト販売を開始しました。株式会社ヴォーグ学園(以下、『ヴォーグ学園』という。)では、受講者獲得施策として、手芸のジャンルを横断した講座プロモーション「アニマルデザインを楽しむ講座キャンペーン」を実施するなど、月間延べ受講生数は1万人を超え順調に推移しております。

これらの結果、出版・教育事業の売上高は24億43百万円(前年同四半期比0.2%減)、営業損失は28百万円(前年同四半期は30百万円の営業損失)となりました。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

当第3四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べ4億79百万円減少し、122億33百万円となりました。流動資産は3億29百万円減少し、78億28百万円となりました。流動資産の減少は、商品及び製品が4億21百万円減少したことによるものであります。固定資産は1億49百万円減少し、44億5百万円となりました。固定資産の減少は、差入保証金が97百万円減少したことによるものであります。

(負債)

当第3四半期連結会計期間末における負債は、前連結会計年度末に比べ11億49百万円増加し、88億35百万円となりました。流動負債は15億88百万円増加し、66億円となりました。流動負債の増加は、電子記録債務が1億6百万円、未払法人税等が1億4百万円、契約負債が81百万円減少したものの、短期借入金が20億円増加したことによるものであります。固定負債は4億38百万円減少し、22億34百万円となりました。固定負債の減少は、長期借入金が3億30百万円、社債が30百万円減少したことによるものであります。

(純資産)

当第3四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末に比べ16億28百万円減少し、33億98百万円となりました。純資産の減少は、当第3四半期において親会社株主に帰属する四半期純損失16億55百万円を計上したこと等によるものであります。

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

該当事項はありません。

 

(5)従業員数

当第3四半期連結会計期間において、黒字化体質確立に向けた抜本的な構造改革の一環として、藤久にて希望退職を実施いたしました。これにより、小売事業において従業員数が前連結会計年度末に比べ91名減少し、当第3四半期連結会計期間末における当社グループの従業員数は286名となりました。なお、従業員数は就業人員数(当社グループから当社グループ外への出向者を除き、当社グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であります。

 

 

3【経営上の重要な契約等】

当第3四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定または締結等はありません。