【要約四半期連結財務諸表注記】
1. 一般的事項
楽天グループ株式会社(以下「当社」)は、日本に所在する企業です。当社及び連結子会社(以下「当社グループ」)の事業の内容及び主要な活動は、注記4. セグメント情報をご参照ください。
当社グループの要約四半期連結財務諸表は、IAS第34号「期中財務報告」に準拠して作成しています。当社は、「四半期連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(平成19年内閣府令第64号)第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を満たしているため、同第93条の規定を適用しています。なお、年次連結財務諸表で求められている全ての情報が含まれていないため、2023年12月31日に終了した連結会計年度の連結財務諸表と併せて利用されるべきものです。
本要約四半期連結財務諸表は、2024年5月14日の取締役会によって承認されています。
当第1四半期連結累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日)
本要約四半期連結財務諸表における連結範囲及び持分法適用範囲は、2023年12月31日に終了した連結会計年度に係る連結財務諸表から重要な変更はありません。
2. 重要性がある会計方針
当社グループが本要約四半期連結財務諸表において適用する重要性がある会計方針は、以下を除き、前連結会計年度に係る連結財務諸表において適用した会計方針と同一です。なお、当第1四半期連結累計期間の法人所得税費用は、見積平均年次実効税率をもとに算定しています。
当社グループは、当第1四半期連結会計期間より以下の基準を適用しています。なお、この適用による要約四半期連結財務諸表への重要な影響はありません。
3. 重要な会計上の見積り及び判断
当社グループは、IFRSに準拠した要約四半期連結財務諸表の作成において、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いています。これらの見積り及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいています。しかしながら、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しています。これらの見積りの見直しによる影響は、当該見積りを見直した期間及び将来の期間において認識しています。
当第1四半期連結累計期間に係る要約四半期連結財務諸表の金額に重要な影響を与える見積り及び判断は、原則として前連結会計年度に係る連結財務諸表と同様です。
4. セグメント情報
当社グループは、インターネットサービス、フィンテック及びモバイルという3つの事業を基軸としたグローバル イノベーション カンパニーであることから、「インターネットサービス」、「フィンテック」及び「モバイル」の3つを報告セグメントとしています。
これらのセグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっています。
「インターネットサービス」セグメントは、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』をはじめとする各種ECサイト、オンライン・キャッシュバック・サイト、旅行予約サイト、ポータルサイト、デジタルコンテンツサイト等の運営、メッセージングサービスの提供や、これらのサイトにおける広告等の販売、プロスポーツの運営等を行う事業により構成されています。
「フィンテック」セグメントは、クレジットカード関連サービス、インターネットを介した銀行及び証券サービス、暗号資産(仮想通貨)の媒介、生命保険サービス、損害保険サービス、電子マネーサービスの提供等を行う事業により構成されています。
「モバイル」セグメントは、通信サービス及び通信技術の提供並びに電力供給サービスの運営等を行う事業により構成されています。
報告されている事業セグメントの会計処理の方法はIFRSに基づいており、事業セグメントの売上収益及び損益は一部の連結子会社を除き連結修正を考慮していない内部取引消去前の金額です。経営者が意思決定する際に使用する社内指標は、IFRSに基づく営業利益に当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を調整したNon-GAAP営業利益ベースです。
経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、将来見通し作成の観点から一定のルールに基づき除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産償却費等のことです。
また、当社グループは、最高経営意思決定者が使用する事業セグメントへ、資産及び負債を配分していません。
前第1四半期連結累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
当第1四半期連結累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
セグメントに係る売上収益から連結上の売上収益への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
セグメント損益から税引前四半期損失(△)への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 前第1四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目には、2022年連結会計年度に発覚した子会社の元従業員及び取引先の共謀による不正行為に係る弁護士費用等、外部の専門家に対する報酬等が含まれています。また、当第1四半期連結累計期間に計上された非経常的な項目には、令和6年能登半島地震における基地局の保守修繕等の発生費用1,154百万円、生損保一体型基幹システムの一部に係る除却損の計上1,174百万円等が含まれています。なお、これらの費用は要約四半期連結損益計算書において、主にその他の費用に計上されています。
5. 社債
当第1四半期連結累計期間において、当社の米ドル建無担保社債1,800百万米ドル(利率11.25%、償還期限2027年2月15日)を発行しています。
また、以下のとおり2024年満期米ドル建シニア債の現金対価による公開買付け(以下「本買付け」)を実施しました。本買付けの概要は以下のとおりです。
(単位:米ドル)
(注) 1 元本1,000米ドルに対する金額を記載しています。
2 未払利息を除きます。
3 早期応募プレミアムを含みます。
6. その他の金融負債
その他の金融負債にはLyft, Inc.の株式を用いた株式先渡売買契約による預り保証金が含まれており、詳細は以下のとおりです。
Lyft, Inc.株式先渡売買契約
当社は2020年第3四半期連結会計期間において連結子会社であるLiberty Holdco Ltd.を通じて、当社が保有する
Lyft, Inc.の株式31,395,679株全てを活用した先渡売買契約につき、金融機関との間で基礎となる契約を締結しました。2020年第4四半期連結会計期間において当該取引を実行した結果、714百万米ドルの資金を調達しました。5年の契約期間満了時には、現金又はLyft, Inc.の株式で決済することをLiberty Holdco Ltd.が選択できます。当社はLyft, Inc.の株式をLiberty Holdco Ltd.に貸与し、これに関する預り金としてLiberty Holdco Ltd.から当該資金の差入れを受けています。なお、上記資金調達に加え、キャップとフロアーの設定されているカラー取引を締結し、Lyft, Inc.に対する株式投資の株価変動によるリスクの低減を行っています。
また、2021年第2四半期連結会計期間において、当初契約時からLyft, Inc.の株価が上昇したため、カラー契約より生じるデリバティブの公正価値変動リスクに備えるために、カラー契約の一部の想定元本に係るキャップとフロアーの上限及び下限の見直しを行い、契約上の条件変更を行っています。

なお、当第1四半期連結会計期間末において、Lyft, Inc.の株式を使用した資金調達に係る負債を償却原価で測定する負債として、その他の金融負債に166,678百万円(前連結会計年度末は155,069百万円)、Lyft, Inc.の株式に係るカラー契約をデリバティブ資産に73,159百万円(前連結会計年度末は84,552百万円)計上しています。
また、上記一連の取引は資金調達に係る取引であるため、Lyft, Inc.の株式の公正価値評価差額、Lyft, Inc.の株式に係るカラー契約より生じるデリバティブの公正価値評価差額、Lyft, Inc.の株式を使用した資金調達に係る負債より生じた償却原価費用及び為替換算差額は金融収益又は金融費用に計上されます。詳細は、注記13. 金融収益及び金融費用をご参照ください。
7. 資本
その他の資本性金融商品
当社は、資金調達手段の多様化、投資家層の拡大、財務基盤の一層の充実化等を目的として、2021年第2四半期連結会計期間において、米ドル建ノンコール5年永久劣後特約付社債(利払繰延条項付)、ユーロ建ノンコール6年永久劣後特約付社債(利払繰延条項付)及び米ドル建ノンコール10年永久劣後特約付社債(利払繰延条項付)(以下あわせて「本社債」)を発行しました。
本社債は、償還期限の定めがなく当社の裁量のみで償還が可能であること、また、利息支払の任意繰延が可能であり、支払義務がないこと等により、IFRSにおいて、資本性金融商品に分類されます。
なお、前第1四半期連結会計期間末及び当第1四半期連結会計期間末において、支払が確定していないためその他の資本性金融商品の所有者に対する分配として認識していない経過利息の金額は、それぞれ11,652百万円及び13,265百万円です。
また、本社債の元本及び利息について、米ドル、ユーロと日本円の通貨スワップ契約を締結しています。当該通貨スワップは、その他の資本性金融商品の所有者に対する分配額及び当社の裁量により将来償還される場合の現金支出額を固定する効果を有しています。
8. 売上収益
前第1四半期連結累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
2 IAS第20号「政府補助金の会計処理及び政府援助の開示」(以下「IAS第20号」)に基づく政府補助金を、売上収益に含めて表示しています。
当第1四半期連結累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
2 IAS第20号に基づく政府補助金を、売上収益に含めて表示しています。
当社グループは、インターネットサービス、フィンテック及びモバイルを有するグローバル イノベーション カンパニーであり、EC事業を中心に複数のビジネスを行っています。これらのビジネスから生じる収益は顧客との契約に従い計上しており、変動対価等を含む売上収益の額に重要性はありません。また、約束した対価の金額に重要な金融要素は含まれていません。
インターネットサービス
インターネットサービスセグメントにおいては、『楽天市場』、『楽天トラベル』、『Rakuten 24』、『Rakuten Rewards』、『楽天ブックス』等のサービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識しています。
楽天市場及び楽天トラベル
マーケットプレイス型ECサービスである『楽天市場』や、旅行予約サービスである『楽天トラベル』等においては、取引の場を顧客に提供することをその基本的な性格としています。当社グループは、これらのサービスの運営にあたり、出店者・旅行関連事業者への出店サービス及びシステム利用に関するサービス、当社グループを通じた販売拡大のための広告関連サービス、出店者・旅行関連事業者と消費者の決済に関する決済代行サービス等を提供しています。また、これらのサービスは諸規約に基づき、サービス内容や当事者間の権利と義務が定められており、サービスの内容の区分可能性や顧客への移転パターンに基づき、主な履行義務を下記のとおりに識別して、収益を認識しています。
『楽天市場』への出店サービスについて、当社グループは規約に基づき出店者に対し契約期間に渡り、当社グループのマーケットプレイス型ECウェブサイトへの出店サービス及び出店コンサルティングサービス等を提供する義務を負っています。当該履行義務は、契約期間に渡り時の経過につれて充足されるものであり、収益は当該履行義務が充足される契約期間において、出店形態別に定められた金額に基づき、各月の収益として計上しています。なお、取引の対価は3ヶ月、半年又は1年分を履行義務の充足前である契約時に前受けする形で受領しています。
システム利用に関するサービスについて、当社グループは規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対して出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との間での個々の取引の成立に関するサービスの提供を行う義務を負っています。当該履行義務は、出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との個々の取引の成立時点で充足されるものであり、当該履行義務の充足時点で、流通総額(出店者・旅行関連事業者の月間売上高)にサービス別・プラン別・流通総額の規模別に定められている料率を乗じた金額にて収益を計上しています。当該金額は、履行義務の充足時点である取引成立時点から概ね3ヶ月以内に支払を受けています。
広告関連サービスについて、当社グループは広告規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対し期間保証型等の広告関連サービスを提供しており、契約で定められた期間に渡り、広告を掲示する義務を負っています。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて期間均等額で収益を計上しています。広告料金の支払は、原則として広告掲載開始日が属する月の翌々月末までに受領しています。
決済代行サービスについて、当社グループと出店者・旅行関連事業者間における、決済代行規約に基づき、決済代行サービスを提供しています。当該サービスは、当社グループが、クレジットカード等による取引代金をカード会社等から受領し、出店者・旅行関連事業者への支払義務を負っています。当該サービスについては、主に消費者のクレジットカード等の利用取引が生じた時点が履行義務の充足時点となると判断しており、同時点で手数料収益を計上しています。当該手数料の支払は、履行義務の充足後、支払区分に基づいた請求締切日から1ヶ月半以内に受領しています。
Rakuten 24、楽天ブックス
インターネットサービスのうち、当社グループが主に楽天会員に対して商品を提供するインターネット通販サイト『Rakuten 24』、『楽天ブックス』等のサービスにおいては、当社グループが売買契約の当事者となります。これらの直販型の取引においては顧客に商品が到着した時点で収益を計上しています。また、履行義務の充足時期である商品到着後、概ね2ヶ月以内に支払を受けています。なお、楽天ブックスのうち、国内における書籍(和書)販売については、再販売価格維持制度を考慮すると代理人取引としての性質が強いと判断されるため、収益を関連する原価と相殺の上、純額にて計上しています。
Rakuten Rewards
『Rakuten Rewards』においては、Rakuten Rewards会員に対するキャッシュバックを通じ、Rakuten Rewards会員による小売業者(顧客)のウェブサイトでの購入を促進するサービス(以下「キャッシュバック・サービス」)、ウェブサイトにおける広告掲示、個人向けターゲティングメールサービス等を提供しています。主なサービスであるキャッシュバック・サービスに関しては、契約に基づきRakuten Rewards会員による小売業者のウェブサイトでの購入を促進するために、Rakuten Rewards会員へキャッシュバックを行う義務を負っており、当該履行義務はRakuten Rewards会員による購入時点が履行義務の充足時点となると判断しています。Rakuten Rewards会員の購入を確認した時点で購入金額に一定の料率を乗じた金額を手数料として収益計上しており、同時にRakuten Rewards会員に対するキャッシュバック費用を原価として計上しています。当該サービスの提供により生じる収益及び費用は、『Rakuten Rewards』が顧客及びRakuten Rewards会員とのそれぞれに対して価格設定を含む取引の裁量権を有していることから総額にて計上しており、手数料は履行義務の充足時点である注文確定月の月末から概ね3ヶ月以内に支払を受けています。
フィンテック
フィンテックセグメントにおいては、『楽天カード』、『楽天証券』、『楽天銀行』等の金融サービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識しています。
楽天カード
『楽天カード』においては、主としてクレジットカード関連サービスを提供しています。主にクレジットカード利用者と加盟店間の資金決済を通じて得られる加盟店手数料、クレジットカード利用者から得られるリボルビング払い手数料、分割払い手数料及びキャッシング手数料を得ています。加盟店手数料に関しては、カード会員のショッピング取引後、加盟店から楽天カード株式会社へ売上データが送信されたタイミングにおいて、決済サービスの提供という履行義務が充足されるため、同時点でクレジットカードの決済金額に一定の料率を乗じた手数料収益を計上しています。また、カード決済金額の1%分の通常ポイントをカード会員に付与しており、これらのポイント費用は加盟店手数料から控除しています。楽天カード株式会社はカード会員から基本的に1ヶ月に1回所定の日にカード利用代金の回収を行うため、履行義務充足後、概ね2ヶ月以内に実質的に支払を受けることとなります。リボルビング払い手数料、分割払い手数料及びキャッシング手数料に関しては、各残高に対してそれぞれ分割支払回数等に応じた一定の料率を乗じた利息収益を、IFRS第9号「金融商品」(以下「IFRS第9号」)に従いその利息の属する期間に認識しています。
楽天証券
『楽天証券』においては、金融商品取引業務とその他の付随業務を提供し、これら取引に付随して発生する手数料やトレーディング損益、利息等を収益の源泉としています。金融商品取引業務には、国内株式取引に加え、外国株式取引、投資信託の販売等、様々な取引が存在し、それぞれの手数料体系は異なっています。現物株式に関する委託取引、信用取引及び投資信託の販売取引等に関連して発生する手数料に関しては、約定日等の取引成立時において履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を計上しています。現物株式取引から生じる手数料については、原則として履行義務の充足後2営業日以内に、信用取引及び先物取引から生じる手数料は建玉の決済が行われる半年から概ね1年以内に受領しています。また、IFRS第9号に従い、外国為替証拠金取引については、公正価値で測定された利得及び損失が純額で売上収益に計上され、国内株式信用取引の建玉に対する金利収益については、その利息の属する期間に収益を認識しています。
楽天銀行
『楽天銀行』においては、インターネットを通じた銀行業務(預金、貸出、為替)及びその他様々なサービスを提供しています。貸出については、個人向けローンである「楽天銀行スーパーローン」及び住宅ローンである「楽天銀行住宅ローン(金利選択型)」等を取り扱っており、貸出金利息収入を得ています。また、資金運用から生じる有価証券利息等の利息収入も得ています。貸出金利息や有価証券利息等の資金運用収益は、IFRS第9号に従い、その利息の属する期間に収益を認識しています。為替手数料等については、取引が行われた時点で履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を認識しています。なお、為替手数料等に関する支払は同日に受領しています。
モバイル
モバイルセグメントにおいては、『楽天モバイル』、『楽天エナジー』等のサービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識しています。
楽天モバイル
『楽天モバイル』は、移動体通信事業者(MNO)及び仮想移動体通信事業者(MVNO)として、主に音声通話・データ通信サービス(以下「通話・通信サービス」)の提供と、携帯端末の販売を行っています。通話・通信サービスについては、契約に基づき、契約者に常時利用可能な通話・通信サービス回線を提供し、当該回線を利用した通話・通信サービスを提供することを履行義務として識別しています。また、携帯端末の販売については、携帯端末を引き渡すことを履行義務として識別しています。なお、複数のサービスをセットで提供する場合には、契約者から受領する対価をそれぞれの履行義務に対して独立販売価格で案分しています。常時利用可能な回線を維持する履行義務については時の経過に基づき、通話・通信サービスの提供の履行義務については回線の利用に応じて充足されると判断しており、したがって、回線の提供については契約期間に渡って収益を計上し、通話・通信サービスの提供については回線の利用状況に応じた回線使用料を各月の収益として計上しています。携帯端末の販売については契約者に端末を引き渡し、回線が開通した時点で履行義務が充足されると判断しており、当該時点にて関連する収益を計上しています。いずれの履行義務に対する支払も、請求日から概ね2ヶ月以内に受領しています。
楽天エナジー
『楽天エナジー』においては、電気事業法に基づく小売電気事業者として、「楽天でんき」の運営を行っており、契約に基づき、顧客である契約者に電気を販売する履行義務を負っています。当該履行義務は調達した電気を一般送配電事業者等を介し顧客へ供給した時点で充足されると判断しており、したがって、顧客の電力の利用状況に応じた電力使用料を各月の収益として計上しています。主に使用電力量にプランごとに設定されている地域別の単価を乗じた金額を、月ごとに契約者に請求しており、当該支払は請求日から概ね2ヶ月以内に受領しています。なお、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づき顧客から徴収し費用負担調整機関へ納付する再生可能エネルギー発電促進賦課金については、売上、売上原価の双方から除外しています。
なお、日本政府によるコロナ禍における「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づく施策である「電気・ガス価格激変緩和対策事業」(2023年1月より発動)により受領する補助金について、IAS第20号 に基づき会計処理を行い、売上収益に含めて表示しています。また、受領する当該補助金は、事業の趣旨に従い、適切に全額小売価格に反映させています。
当社グループは、顧客との契約獲得のための増分コスト及び契約に直接関連する履行コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産(以下「契約コストから認識した資産」)として認識しており、要約四半期連結財政状態計算書上は「その他の資産」に計上しています。契約獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったであろうものです。
当社グループにおける契約コストから認識した資産は、主に『楽天カード』と『楽天モバイル』において計上されており、計上時及び四半期ごとに回収可能性の検討を行っています。
回収可能性の検討に用いる見積り及び仮定は、前提とした状況が変化すれば、契約コストから認識した資産に関する減損損失を損益に認識することにより、契約コストから認識した資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があるため、当社グループでは、当該見積りは重要なものであると判断しています。
楽天カード
資産計上されている契約獲得のための増分コストは、主に顧客を獲得するために発生した入会関連費用です。また、契約に直接関連する履行コストは、主にカードの作成に関する費用です。資産計上された当該入会関連費用は新規入会者に付与した楽天ポイントに関するコストであり、契約を獲得しなければ発生しなかった増分コストです。なお、当該費用を資産計上する際には、カードの有効稼働会員割合等を加味した上で、回収が見込まれる金額のみを資産として認識しています。
当該資産については、会員のカード利用による決済サービスの提供という履行義務が充足されるカード会員の見積契約期間に応じた5年間から10年間の均等償却を行っています。
回収可能性の検討に当たっては、当該資産の帳簿価額が、カード会員との契約が継続すると見込まれる期間に渡り関連するクレジットカード関連サービスと交換に当社グループが受け取ると見込んでいる対価の残りの金額から、当該サービスの提供に直接関連し、まだ費用として認識されていないコストを差し引いた金額を超過しているかどうかの判断を行っています。
楽天モバイル
資産計上されている契約獲得のための増分コストは、主に代理店手数料及びアフィリエイトプログラムに関する費用です。また、契約に直接関連する履行コストは端末・SIMの発送に関する費用及びインターネット回線のセットアップ費用です。資産計上された代理店手数料及びアフィリエイトプログラムに関する費用は、顧客の獲得に応じて支払う手数料であり、契約を獲得しなければ発生しなかった増分コストです。
通話・通信サービスに係る当該資産においては、通信サービスの提供という履行義務が充足されるユーザーの継続利用期間を見積って4年間から8年間で均等償却を行っています。通話・通信サービス及び携帯端末の販売をセットで提供する場合には、契約獲得のための増分コストは、それぞれの履行義務の独立販売価格の比率に基づき配分した上で、携帯端末の販売に係る当該資産については、契約者に端末を引き渡し、回線が開通した時点で一時に償却しています。
回収可能性の検討に当たっては、当該資産の帳簿価額が、ユーザーとの契約が継続すると見込まれる期間に渡り関連する通話・通信と交換に当社グループが受け取ると見込んでいる対価の残りの金額から、当該サービスの提供に直接関連し、まだ費用として認識されていないコストを差し引いた金額を超過しているかどうかの判断を行っています。
前連結会計年度末及び当第1四半期連結会計期間末現在、当社グループが契約コストから認識した資産の残高は、それぞれ123,071百万円及び125,438百万円です。
9. 1株当たり利益
親会社の所有者に帰属する基本的1株当たり四半期損失(△)及び希薄化後1株当たり四半期損失(△)の算定上の基礎は、以下のとおりです。
(注) 前第1四半期連結累計期間において、28,704千株相当の新株予約権は、逆希薄化効果を有するため希薄化後1株当たり四半期損失(△)の計算から除外しています。
当第1四半期連結累計期間において、46,792千株相当の新株予約権は、逆希薄化効果を有するため希薄化後1株当たり四半期損失(△)の計算から除外しています。
10. 偶発事象及び契約
一部の連結子会社は、クレジットカードに附帯するキャッシング及びカードローンによる融資業務を行っています。当該貸付金については、貸出契約の際に設定した額(契約限度額)のうち、当該連結子会社が与信した額(利用限度額)の範囲内で顧客が随時借入を行うことができる契約となっています。
なお、同契約は融資実行されずに終了するものもあり、かつ、利用限度額についても当社グループが任意に増減させることができるものであるため、融資未実行残高は必ずしも全額が貸出実行されるものではありません。
また、一部の連結子会社において、連結子会社の業務提携先から融資を受けた一般顧客に対して債務保証を行っています。
更に、当社は、一部の持分法適用関連会社のリース負債に対して債務保証を行っています。
上記の貸出コミットメントラインに係る未実行残高及び営業保証業務等における保証債務の状況は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(2) 借入コミットメントライン契約
当社及び一部の連結子会社では、複数の金融機関と借入コミットメントライン契約を締結しており、未実行残高は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(3) コミットメント(契約)
有形固定資産及び無形資産の取得に係るコミットメントの状況は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
11. 配当金
配当金の支払額は、以下のとおりです。
12. その他の収益及びその他の費用
その他の収益及びその他の費用の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1 当第1四半期連結累計期間において、令和6年能登半島地震における基地局の保守修繕費等の発生費用が含まれています。
2 当第1四半期連結累計期間において、生損保一体型基幹システムの一部に係る除却損が含まれています。
13. 金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1 Lyft, Inc.への株式投資の評価益を当第1四半期連結累計期間において25,570百万円計上しています。
2 前第1四半期連結累計期間において、Lyft, Inc.株式の先渡売買契約のカラー契約より生じるデリバティブ評価益を9,401百万円、外貨建永久劣後特約付社債に係る通貨スワップから生じるデリバティブ評価益を5,910百万円計上しています。当第1四半期連結累計期間において、外貨建永久劣後特約付社債に係る通貨スワップから生じるデリバティブ評価益を23,900百万円計上しています。なお、外貨建永久劣後特約付社債については、注記7. 資本をご参照ください。
3 Lyft, Inc.株式の先渡売買契約に係る金融負債を償却原価で測定したことによる金利費用を前第1四半期連結累計期間において237百万円、当第1四半期連結累計期間において267百万円計上しています。なお、Lyft, Inc.株式の先渡売買契約については、注記6. その他の金融負債をご参照ください。
4 Lyft, Inc.への株式投資の評価損を前第1四半期連結累計期間において6,701百万円計上しています。
5 Lyft, Inc.株式の先渡売買契約のカラー契約より生じるデリバティブ評価損を当第1四半期連結累計期間において11,393百万円計上しています。
6 Lyft, Inc.株式の先渡売買契約による資金調達に係る負債より生じた為替換算差額を前第1四半期連結累計期間において1,890百万円、当第1四半期連結累計期間において11,343百万円計上しています。
14. 金融商品の分類
当社グループにおける金融商品の分類は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2023年12月31日)
(金融資産)
(単位:百万円)
(注) 1 デリバティブ資産のうち、30,466百万円については、ヘッジ手段であるデリバティブであり、公正価値の変動はその他の包括利益に計上されます。
2 保険契約資産18,018百万円及び再保険契約資産24,195百万円を除いています。
(金融負債)
(単位:百万円)
(注) 1 デリバティブ負債のうち、2,401百万円については、ヘッジ手段であるデリバティブであり、公正価値の変動はその他の包括利益に計上されます。
2 再保険契約負債6,992百万円を除いています。
当第1四半期連結会計期間末(2024年3月31日)
(金融資産)
(単位:百万円)
(注) 1 デリバティブ資産のうち、25,172百万円については、ヘッジ手段であるデリバティブであり、公正価値の変動はその他の包括利益に計上されます。
2 保険契約資産18,568百万円及び再保険契約資産22,663百万円を除いています。
(金融負債)
(単位:百万円)
(注) 1 デリバティブ負債のうち、7,365百万円については、ヘッジ手段であるデリバティブであり、公正価値の変動はその他の包括利益に計上されます。
2 再保険契約負債6,879百万円を除いています。
15. 金融商品の公正価値
下記は、当社グループの保有する金融商品の帳簿価額と公正価値の比較を示しています。
なお、現金及び現金同等物、売上債権、証券事業の金融資産、その他の金融資産、仕入債務、証券事業の金融負債、証券事業の借入金及び銀行事業の借入金は下表に含めていません。
これらは主に短期間で決済されるものであり、公正価値と帳簿価額が近似する金融資産又は金融負債、もしくは将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した割引率により算定した公正価値と帳簿価額が近似している金融資産又は金融負債で構成されています。
また、デリバティブ資産及びデリバティブ負債、保険事業の有価証券及び有価証券は経常的に公正価値で測定される金融資産又は金融負債で構成されているため下表には含めていません。
(単位:百万円)
(注) リース負債380,367百万円及び再保険契約負債6,992百万円を除いています。また、Lyft, Inc.株式先渡売買契約による預り保証金が帳簿価額に155,069百万円、公正価値に145,637百万円含まれています。Lyft, Inc.株式先渡売買契約については、注記6. その他の金融負債をご参照ください。
(単位:百万円)
(注) リース負債374,720百万円及び再保険契約負債6,879百万円を除いています。また、Lyft, Inc.株式先渡売買契約による預り保証金が帳簿価額に166,678百万円、公正価値に156,552百万円含まれています。
公正価値の算定方法は以下のとおりです。
・カード事業の貸付金、銀行事業の貸付金
カード事業の貸付金及び銀行事業の貸付金の公正価値は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値によって算定しています。
・銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券、有価証券
銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券及び有価証券のうち、上場株式の公正価値については連結会計期間末の市場の終値を用いて算定しています。非上場株式の公正価値については、主に取引事例法等、適切な評価技法を用いて算定しています。また、債券等の公正価値については、売買参考統計値やブローカーによる提示相場等、利用可能な情報に基づく合理的な評価方法により算定しています。
・その他の金融負債
その他の金融負債の公正価値は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値によって算定しています。
・デリバティブ資産、デリバティブ負債
デリバティブ資産及びデリバティブ負債のうち、為替予約の公正価値については、先物為替相場等に基づき算定しています。相対取引のデリバティブについては、ブローカーによる提示相場等に基づき算定しています。また、金利スワップの公正価値については、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び連結会計期間末の金利スワップの利率により割り引いた現在価値により算定しています。なお、金利スワップ契約の取引相手先は高格付を有する金融機関に限定されており、信用リスクは僅少と判断しているため、公正価値の算定にあたり考慮していません。
・銀行事業の預金
銀行事業の預金のうち、要求払預金の公正価値については、連結会計期間末に要求された場合の支払額(帳簿価額)としています。また、定期預金の公正価値は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値により算定しています。なお、残存期間が短期間(1年以内)のものは、公正価値は帳簿価額に近似していることから、当該帳簿価額を公正価値としています。
・社債及び借入金、カード事業の社債及び借入金
社債及び借入金並びにカード事業の社債及び借入金のうち、満期までの期間が長期のものの公正価値は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値により算定しています。
下記は、公正価値のレベル1からレベル3までの公正価値ヒエラルキーに基づく分類を示しています。
<各ヒエラルキーの定義>
レベル1:同一の資産又は負債について活発な市場における(無調整の)公表価格
レベル2:当該資産又は負債について直接に又は間接に観察可能な、レベル1に含まれる公表価格以外のインプットを使用して算定された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法によって算定された公正価値
当社グループは、各ヒエラルキー間の振替を、振替を生じさせた事象が発生した各四半期連結会計期間末において認識しています。
連結財政状態計算書において公正価値で測定される資産及び負債に関するヒエラルキー別分類
前連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度においてレベル1とレベル2の間の重要な振替はありません。
当第1四半期連結会計期間末(2024年3月31日)
(単位:百万円)
当第1四半期連結累計期間においてレベル1とレベル2の間の重要な振替はありません。
下表は、一つ以上の重要なインプットが観察可能な市場データに基づかないレベル3に分類された金融商品の各連結累計期間の期首から期間末までの残高の増減を示す調整表です。
前第1四半期連結累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 純損益に認識した利得又は損失は、「売上収益」、「その他の収益」、「その他の費用」、「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
2 その他の包括利益に認識した利得又は損失は、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の変動」及び「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の変動」に含まれています。
3 「有価証券」については、投資先が取引所に上場したことに伴い、活発な市場における無調整の公表価格が利用可能となったことによる振替です。
レベル3に分類された非上場株式の評価技法として、主に取引事例法を採用しています。その他の評価技法及びインプットは以下のとおりです。
観察可能でないインプットの割引率については上昇した場合に株式の公正価値が減少する関係にあります。
当第1四半期連結累計期間(自 2024年1月1日 至 2024年3月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 純損益に認識した利得又は損失は、「売上収益」、「その他の収益」、「その他の費用」及び「金融収益」に含まれています。
2 その他の包括利益に認識した利得又は損失は、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の変動」及び「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の変動」に含まれています。
レベル3に分類された非上場株式の評価技法として、主に取引事例法を採用しています。その他の評価技法及びインプットは以下のとおりです。
観察可能でないインプットの割引率については上昇した場合に株式の公正価値が減少する関係にあります。
非上場株式等の公正価値の測定は、所定のルールに従って営業部門から独立した管理部門により行われています。公正価値を測定するにあたり、個々の資産の性質、特徴及びリスクを最も適切に反映できる評価モデルを決定しています。評価モデルの採用論拠及び評価過程について、リスク管理部門に報告され、公正価値の評価の方針及び手続に関する適正性が確保されています。
銀行事業の有価証券の公正価値の測定は、時価算定事務基準に従いリスク管理部門により行われています。取引金融機関等から提供される価格については、有価証券種別ごとに分類し、それぞれの分類に応じて時価変動に影響を与えうる重要な指標の推移をモニタリングし、価格変動との整合性の確認を行っています。検証内容については、月次でリスク管理委員会・経営会議・取締役会に報告しています。
保険事業の有価証券の運用・管理については、「職務権限規程」及び「資産運用リスク管理規程」に従っています。株式の多くは、営業と密接な関係のある政策目的で保有しているものであり、取引先の市場環境や財務状況等をモニタリングしており、価格変動との整合性の確認を行っています。
レベル3に分類された銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券、有価証券、デリバティブ資産及びデリバティブ負債について、インプットがそれぞれ合理的に考えうる代替的な仮定に変更した場合の公正価値の増減は重要ではありません。また、レベル3に分類されたその他の金融資産については、インプットがそれぞれ合理的に考えうる代替的な仮定に変更した場合の重要な公正価値の増減は見込まれていません。
16. 後発事象
(1) 組織再編
当社と、当社の連結子会社である楽天銀行株式会社は、各社取締役会の決議に基づき、2024年4月1日、楽天銀行株式会社を含む当社グループのフィンテック事業の再編(以下「本再編」)に向け、協議を開始することについて合意し、本再編に関する基本合意書を締結しました。
① 本再編の協議開始の背景・目的
フィンテック事業の各サービスは、人々の生活のニーズに応える総合金融サービスとして、会員基盤が継続的に拡大しています。各フィンテック事業においては、キャッシュレス社会における事業全体の更なる成長に向けて、これまで各サービス間の連携強化を進めてきました。一方、金融サービスに対する顧客ニーズが益々多様化し、よりシームレスかつ機動的なサービス運営が求められています。
そのような中、今後の経営戦略、経営資源の最適配分、グループ・ストラクチャーの最適化を継続的に検討してきました。その結果、斯かる事業環境の変化を踏まえ、顧客への革新的な金融サービスの提供、一層の付加価値提供に向けて、事業横断的なフィンテック事業における迅速かつ機動的な意思決定とデータ連携やAI活用を含む連携の深化が重要であり、本再編がフィンテック事業のエコシステムの更なる拡大と競争優位性の向上に繋がることから、本再編の協議を開始することが適切と判断しました。フィンテック事業のエコシステム強化が、ひいては楽天エコシステム全体の成長を加速させ、当社グループの企業価値向上に資すると考え、その財務健全性等を引き続き考慮しながらグループの最適な組織構成及び資本構成を検討していきます。
また、楽天銀行株式会社においては、ゼロキャッシュ時代の到来を見据えた本邦金融市場のリーディングカンパニーを目指し、更なる顧客基盤の拡充と収益基盤の強化、FinTech領域の成長取込みに取り組んでいます。楽天銀行株式会社は、この目指す事業拡大の実現に向けて、楽天エコシステムを回遊する楽天会員を効率的に獲得し、かつ当社グループ各社と協業し、楽天エコシステムに存在する資金決済ニーズや資金需要等に対して銀行サービスを提供することにより顧客数及び取引機会を増やし、業容拡大の更なる加速に向けて取り組んでいます。個人ビジネスにおいては、1)「生活口座として利用される銀行」、2)テクノロジーを活用した時間と場所を選ばない「安心・安全で便利な銀行」を目指しています。法人ビジネスにおいては、テクノロジーを使って融資、預金、為替を含めた全ての銀行サービスを顧客のニーズに合わせて提供し、1)「取引先企業の規模に関わらず全ての取引先に利便性を提供する銀行」、2)「企業経営者のパートナーになる銀行」を目指しています。
そのような中、楽天銀行株式会社にとって、本再編は、フィンテック事業を運営する他の各社とのより深度ある連携を実現し、個人ビジネスにおいては、顧客のライフサイクル・ライフステージに応じた総合金融サービスの提供、法人ビジネスにおいては、フィンテック事業の法人顧客基盤に対する楽天銀行株式会社の法人サービスの提供の推進・加速に寄与するものと判断し、本再編の更なる検討・協議を進めることを決定しました。
② 本再編の形態
楽天銀行株式会社、楽天カード株式会社、楽天証券ホールディングス株式会社、楽天インシュアランスホールディングス株式会社等のフィンテック事業全体を一つのグループに集約する組織再編を想定しています。
本再編後においても、楽天銀行株式会社は、引き続き楽天エコシステムを形成する上で、当社の重要な連結子会社であり、フィンテック事業は当社グループのコアとなる事業セグメントの一つであるとの位置づけに何ら変更はありません。
なお、2023年11月9日付「楽天証券ホールディングス株式会社の東京証券取引所への上場申請取下げのお知らせ」において、楽天証券ホールディングス株式会社の上場方針の維持についてお知らせしましたが、協議の結果として本再編を実施する場合においては、楽天証券ホールディングス株式会社の上場を行わない可能性について楽天証券ホールディングス株式会社と協議する予定です。
上記は現時点における方針であり、監督官庁の許認可等を含め今後の協議・検討の結果次第では、当社グループの更なる組織再編が必要になる場合や、本再編の全部又は一部を実施しないという結論に至る可能性があります。
③ 今後の見通し
当社及び楽天銀行株式会社は、今後、本再編に関する最終契約を締結し、(必要があれば)楽天銀行株式会社の株主総会の承認及び必要な監督官庁等による許認可の取得をした上での速やかな本再編の効力発生を目指し、協議を進めていきます。本再編の効力発生は2024年10月を目指していますが、監督官庁の許認可等を含め今後の協議・検討の結果次第では、上記日程が変更になる可能性があります。
また、現時点では、これによる連結財務諸表への影響を算定することはできません。
(2) 社債の発行
当社は、2024年4月10日に、以下のとおり米ドル建社債を発行しました。
(注) 当社が締結した複数の通貨スワップによる利率の加重平均
当社は、2024年4月24日に、以下のとおりユーロ円建社債を発行しました。
(3) 社債の買入れ
当社は、以下のとおり円建シニア債の現金対価による買入れ(以下「本買入れ」)を実施しました。なお、本買入れが要約四半期連結損益計算書に与える重要な影響はありません。
① 本買入れの実施理由
本買入れを実施することで、社債償還スケジュールの平準化を目指します。
② 本買入れに係る事項の内容
当社は、2024年2月14日開催の取締役会において、剰余金の配当について決議しています。配当金の総額及び1株当たりの金額は、「第4 経理の状況 1 要約四半期連結財務諸表 要約四半期連結財務諸表注記 11. 配当金」をご参照ください。