第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、又は、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。

なお、前第2四半期連結会計期間において、合同会社プロスペクト陸前高田他4社の再生可能エネルギー事業を、前第4四半期連結会計期間において、PT JTRUST OLYMPINDO MULTI FINANCEをそれぞれ非継続事業に分類しております。これにより、前第1四半期連結累計期間の関連する数値を組替えております。

また、前第1四半期連結会計期間において行われた企業結合に係る暫定的な会計処理を、前第4四半期連結会計期間に確定させたため、前第1四半期連結累計期間の関連する数値を遡及修正しております。

 

(1)経営成績の状況

当第1四半期連結累計期間における営業収益は、PT Bank JTrust Indonesia Tbk.(以下、「Jトラスト銀行インドネシア」という。)において、順調に貸出金残高が増加したことにより利息収益が増加したことや、Jグランド株式会社(以下、「Jグランド」という。)において販売用不動産における販売収益が増加したこと等により、31,554百万円(前年同期比21.2%増)と、業績は順調に拡大しており、第1四半期としては過去最大となりました。営業損益は、日本金融事業や東南アジア金融事業の銀行2行が着実に利益を計上した一方で、韓国の貯蓄銀行において貸倒引当金(損失評価引当金)を積み増ししたことや、東南アジア金融事業の銀行において基準金利の高止まりや銀行業における預金の増加に伴い預金利息費用が増加したこと等に加え、前第1四半期連結会計期間に株式会社ミライノベート(以下、「ミライノベート」という。)の吸収合併に伴い負ののれん発生益10,113百万円を計上したことに比べ減少し、281百万円の営業損失(前年同期は10,135百万円の営業利益)となりました。また、親会社の所有者に帰属する四半期利益は、為替相場が円安に振れ、外貨建て資産負債の評価替えによる為替差益を計上したこと等により、38百万円(前年同期比99.6%減)となりました。

 

当第1四半期連結累計期間における当社グループの新たな事業展開の詳細は以下のとおりとなります。

(日本での事業展開について)

Jトラストグローバル証券株式会社(以下、「Jトラストグローバル証券」という。)では、従来の個人金融資産5,000万円~1億円を保有する準富裕層向けビジネスに加え、個人金融資産1億円~5億円を保有する富裕層を新たなターゲットと捉え顧客開拓に乗り出すとともに、プライベートバンキングサービスを提供できる人材の獲得・育成に力を入れております。また、2024年1月より、新たなサービスとして同社に口座を有する顧客が無料で利用できる「株の相談窓口」及び「投資の相談窓口」を開設し、サービスの充実を図っております。

株式会社グローベルス(以下、「グローベルス」という。)では、株式会社東京証券取引所が開設しているTOKYO PRO Market(以下、「TPM」という。)への上場を目指し、2024年内のTPMへの上場申請に向けて準備を進めております(※1)。

当社では、株主の皆様への更なる利益還元と、資本効率の向上により、適切な株主価値の実現を図ることを目的に、2024年2月に自己株式の取得及び消却を行うことを決議し、2024年2月29日付けで自己株式9,380,000株の消却を完了しております。

 

※1 グローベルスによる準備の過程において、TPM上場に向けた検討の中止、上場申請時期の延期、又は株式会社東京証券取引所による上場申請の不承認といった可能性もありますのでご留意ください。

 

(海外での事業展開について)

インドネシアでは、Jトラスト銀行インドネシアにおいて、前連結会計年度に引き続き、日系大手デベロッパーの現地法人やインドネシアのデベロッパーとの間で住宅販売に係る業務提携の拡大を目指しております。これにより2024年3月末現在、30カ所の住宅ローン提携先プロジェクトを実現し、引き続き、インドネシアの皆様の豊かな社会づくり及び生活に貢献できるよう、SDGs目標の一つである「住み続けられるまちづくりを」に取り組み、企業活動を通じて持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えております。

カンボジアでは、QRコード決済受領口座や小切手帳発行など小規模事業者向けの専用口座をリリースし、新規顧客の獲得に取り組んでおります。

シンガポールでは、2024年1月11日付けで、シンガポール控訴裁判所において、Group Lease Holdings Pte. Ltd.(以下、「GLH」という。)、此下益司氏ほか4者(以下、総称して「被告ら」という。)による上告許可の申立てが棄却され、JTRUST ASIA PTE.LTD.(以下、「Jトラストアジア」という。)勝訴の第一審判決(※2)が確定いたしました。また、2024年3月4日付けで、シンガポール高等法院はJトラストアジアの申立てに基づき、GLHの清算手続開始を決定し、GLHに対して清算人を選任いたしました。

 

※2 「第一審判決」は、2023年4月10日付けで、シンガポール高等法院において言い渡された、被告らに対して、連帯して124,474,854米ドル及びこれに対する2021年8月1日からの利息の支払い等を命じた判決を指します。

 

セグメントごとの経営成績の詳細は次のとおりです。

なお、文中の営業債権の残高につきましては、貸倒引当金(損失評価引当金)控除前の残高で記載しております。

(日本金融事業)

信用保証業務につきましては、株式会社日本保証(以下、「日本保証」という。)が、国内の債権回収業務につきましては、主に日本保証、パルティール債権回収株式会社が、その他の金融業務につきましては、日本保証が、クレジット・信販業務につきましては、Nexus Card株式会社(以下、「Nexus Card」という。)及びMIRAI株式会社(以下、「MIRAI」という。)が、金融商品取引法に基づく金融商品取引業(証券業務)につきましては、Jトラストグローバル証券が行っております。

営業債権の残高は以下のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

2023/3

2024/3

増減額

増減率

主な増減要因

債務保証残高

208,037

225,700

17,662

8.5%

 

 

有担保

202,100

223,304

21,204

10.5%

有価証券担保ローン及びアパートローンに対する保証の増加

 

無担保

5,937

2,395

△3,541

△59.6%

MIRAIの子会社化に伴う連結調整による減少

買取債権残高

16,360

16,114

△245

△1.5%

 

商業手形残高

790

△790

△100.0%

日本保証における期日決済による減少

営業貸付金残高

2,335

1,439

△896

△38.4%

Nexus Cardにおける大口返済による減少

割賦立替金残高

7,591

13,412

5,821

76.7%

割賦取扱高の増加及びMIRAIの子会社化による増加

証券業に関連する資産

27,285

31,801

4,515

16.5%

預託金の増加

 

営業収益は、Nexus Cardにおいて割賦取扱高の増加により割賦立替手数料が増加したことや、Jトラストグローバル証券において堅調な株式市場を受けて役務収益等が増加し、3,768百万円(前年同期比23.4%増)、セグメント利益は、1,463百万円(前年同期比66.4%増)となりました。

 

(韓国及びモンゴル金融事業)

韓国において、JT親愛貯蓄銀行株式会社(以下、「JT親愛貯蓄銀行」という。)及びJT貯蓄銀行株式会社(以下、「JT貯蓄銀行」という。)が貯蓄銀行業務を、TA資産管理貸付株式会社が不良債権の買取及び回収業務を行っております。また、モンゴルにおいて、J Trust Credit NBFIが金融業務を行っております。

営業債権の残高は以下のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

2023/3

2024/3

増減額

増減率

主な増減要因

銀行業における貸出金残高

393,232

401,490

8,257

2.1%

延滞率を考慮のうえ収益性を判断し貸出を選別したことにより微増

営業貸付金残高

1,577

1,164

△413

△26.2%

SPCの清算により、買取債権へ属性変更したことによる減少

買取債権残高

1,960

2,932

972

49.6%

SPCの清算により、営業貸付金から属性変更したこと及び定期的な債権買取による増加

 

営業収益は、銀行業における貸出金残高や投資有価証券が増加したことにより貯蓄銀行業務における利息収益が増加したことから、11,939百万円(前年同期比6.0%増)となりました。セグメント損失は、韓国国内の景気動向を踏まえ、貸倒引当金(損失評価引当金)を積み増ししたこと等により、1,286百万円のセグメント損失(前年同期は578百万円のセグメント損失)となりました。

 

(東南アジア金融事業)

インドネシアにおいて、Jトラスト銀行インドネシアが銀行業務を、PT JTRUST INVESTMENTS INDONESIA及びPT TURNAROUND ASSET INDONESIAが債権回収業務を行っております。また、カンボジアにおいて、J Trust Royal Bank Plc.(以下、「Jトラストロイヤル銀行」という。)が銀行業務を行っております。

営業債権の残高は以下のとおりです。

 

 

 

 

 

(単位:百万円)

 

 

2023/3

2024/3

増減額

増減率

主な増減要因

銀行業における貸出金残高

305,747

387,882

82,134

26.9%

インドネシアにおける積極的な貸出残高増強策

 

インドネシア

175,361

246,806

71,444

40.7%

厳格な審査体制の下で積極的な貸出増強策を推進

 

カンボジア

130,386

141,076

10,689

8.2%

預金残高とのバランスを考慮した貸出残高計画に基づく

買取債権残高

27,494

29,664

2,170

7.9%

債権買取による増加

 

営業収益は、Jトラスト銀行インドネシアにおいて銀行業における貸出金の増加に伴う利息収益の増加により、11,227百万円(前年同期比36.2%増)となりました。また、セグメント利益は、銀行業における預金が増加したことにより預金利息費用が増加したものの、積極的なマーケティング戦略を継続し、資金調達コストの抑制や経費の削減を進めたことやJトラストロイヤル銀行において大口不良債権の回収に伴い貸倒引当金(損失評価引当金)繰入額が減少したこと等により、1,026百万円(前年同期比32.3%増)となりました。

 

(不動産事業)

不動産事業につきましては、主にJグランド、グローベルス及び株式会社ライブレントが国内での不動産事業を行っており、Prospect Asset Management,Inc.が米国ハワイ州での不動産事業を行っております。

営業収益は、Jグランドにおいて販売用不動産における販売収益が増加したことにより、4,592百万円(前年同期比36.0%増)となりました。また、セグメント損益につきましては、Jグランドにおいて販売用不動産における販売原価が増加したことや前第1四半期連結会計期間にミライノベートの吸収合併に伴い負ののれん発生益10,113百万円を計上したことに比べ減少し、43百万円のセグメント損失(前年同期は10,056百万円のセグメント利益)となりました。

 

(投資事業)

投資事業につきましては、主にJトラストアジアが投資事業などを行っております。

営業収益は、3百万円(前年同期比95.9%減)、セグメント損失は訴訟費用の増加により、916百万円(前年同期は204百万円のセグメント損失)となりました。

 

(その他の事業)

その他の事業につきましては、主にJ Sync株式会社が当社グループのシステム開発、コンピュータの運用及び管理業務を行っております。

営業収益は、147百万円(前年同期比8.1%増)、セグメント損益は、2百万円のセグメント損失(前年同期は3百万円のセグメント利益)となりました。

 

(2)資本の財源及び資金の流動性についての分析

当第1四半期連結会計期間末における資産は、前連結会計年度末に比べ70,309百万円増加し1,285,024百万円となりました。これは主に、韓国において内国為替決済等によりその他の金融資産が32,005百万円減少した一方で、現金及び現金同等物が34,104百万円、銀行業における有価証券が20,445百万円、銀行業における貸出金が41,574百万円増加したこと等により増加したものです。

負債につきましては、前連結会計年度末に比べ67,140百万円増加し1,113,639百万円となりました。これは主に、銀行業における預金が65,149百万円増加したこと等により増加したものです。

資本につきましては、前連結会計年度末に比べ3,169百万円増加し171,384百万円となりました。これは主に、剰余金の配当を実施したこと等により利益剰余金が1,745百万円減少した一方で、海外子会社等の換算差額の増加等によりその他の資本の構成要素が3,577百万円増加したこと等により増加したものです。

 

(3)キャッシュ・フローの状況

当第1四半期連結会計期間末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ34,104百万円増加し、139,844百万円となりました。

 

当第1四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当第1四半期連結累計期間における営業活動による資金の増加は、45,841百万円(前年同期は25,853百万円の資金の減少)となりました。これは主に、銀行業における貸出金の増加額が17,312百万円と資金が減少した一方で、銀行業における預金の増加額が32,026百万円、その他の金融資産の減少額が20,026百万円、制限付預金の減少額が8,965百万円とそれぞれ資金が増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当第1四半期連結累計期間における投資活動による資金の減少は、13,688百万円(前年同期は7,346百万円の資金の減少)となりました。これは主に、銀行業における有価証券の取得による支出42,340百万円が、銀行業における有価証券の売却及び償還による収入25,422百万円を上回ったことにより資金が減少したことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当第1四半期連結累計期間における財務活動による資金の減少は、3,150百万円(前年同期は4,056百万円の資金の減少)となりました。これは主に、長期借入金の純減額が1,588百万円、配当金の支払額が1,784百万円とそれぞれ資金が減少したことによるものです。

 

(4)事業上及び財務上の対処すべき課題

当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。

 

(5)研究開発活動

該当事項はありません。

 

3【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。