1【公開買付者の氏名又は名称及び住所又は所在地】

名称   株式会社図研

所在地  神奈川県横浜市都筑区荏田東二丁目25番1号

 

2【公開買付者が買付け等を行う株券等の種類】

普通株式

 

3【当該公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由】

(1)意見の内容

 当社は、2024年5月13日開催の取締役会において、下記「(2)意見の根拠及び理由」に記載の根拠及び理由に基づき、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

 なお、上記取締役会決議は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員である者を含む。)の承認」に記載の方法により決議されております。

 

(2)意見の根拠及び理由

 本公開買付けに関する意見の根拠及び理由のうち、公開買付者に関する記載については、公開買付者から受けた説明に基づいております。

 

① 本公開買付けの概要

 公開買付者は、本書提出日現在、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社株式2,539,690株(所有割合:40.41%)を所有する当社の筆頭株主(注2)であり、当社を実質的に支配していることから連結子会社としているとのことです。公開買付者は、2024年5月13日開催の取締役会において、当社株式の全て(ただし、公開買付者の所有する当社株式及び当社の所有する自己株式を除きます。)を取得し、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とする取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、本公開買付けを実施することを決議したとのことです。

(注1) 「所有割合」とは、当社が2024年5月13日に公表した「2024年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」(以下「当社2024年3月期決算短信」といいます。)に記載された2024年3月31日現在の発行済株式総数(6,284,944株)から、当社2024年3月期決算短信に記載された2024年3月31日現在当社の所有する自己株式数(230株)を控除した株式数(6,284,714株)に占める割合(なお、小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。以下、所有割合の記載について他の取扱いを定めない限り同じです。

(注2) 筆頭株主であることは、当社が2023年11月8日に提出した「第47期第2四半期報告書」第3[提出会社の状況]の1[株式等の状況]の(5)[大株主の状況]に記載された2023年9月30日時点の所有株式数によります。

 

 本公開買付けにおいては、公開買付者は、買付予定数の下限を1,650,110株(所有割合26.26%)としており、本公開買付けに応募された株券等(以下「応募株券等」といいます。)の合計が買付予定数の下限に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。一方、公開買付者は、本公開買付けは、当社を完全子会社化することを目的とするものであることから、買付予定数の上限を設定しておらず、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限以上の場合には、応募株券等の全部の買付け等を行うとのことです。

 なお、買付予定数の下限は、本公開買付けが成立した場合に公開買付者が所有する当社の議決権数の合計が当社の議決権総数(当社2024年3月期決算短信に記載された2024年3月31日現在の当社の発行済株式総数(6,284,944株)から、同決算短信に記載された同日現在の当社が所有する自己株式数(230株)を控除した株式数6,284,714株)に係る議決権の数である62,847個)の3分の2以上となるよう設定しているとのことです。

 公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としているため、本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、後記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載されている当社の株主を公開買付者のみとするための一連の手続(以下「本スクイーズアウト手続」といいます。)を実施することにより、当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得する予定とのことです(ただし、本取引における応募株数が下限に満たない場合はこの限りではありません。)。

 

② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程

 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程は、以下のとおりとのことです。なお、以下の記載のうち当社に関する記述は、当社から受けた説明及び当社が公表した情報に基づくものとのことです。

 公開買付者は、1976年12月に株式会社図形処理技術研究所として設立され、1985年6月にその商号を株式会社図研に変更したとのことです。その後、公開買付者は、1987年6月に、その株式を日本証券業協会に店頭売買銘柄として登録し、1991年10月には東京証券取引所市場第二部に上場、次いで1994年9月に東京証券取引所市場第一部に指定されました。2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、本書提出日現在は東京証券取引所プライム市場に上場しているとのことです。

 本書提出日現在、公開買付者グループ(公開買付者並びに公開買付者の子会社及び関連会社をいいます。以下同じです。)は、公開買付者、当社を含む連結子会社21社、非連結子会社1社及び持分法適用関連会社1社により構成されているとのことです。公開買付者グループは、エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業を中心に設計から製造までのプロセスにかかわるソリューションの研究開発・製造・販売及びこれらに附帯するクライアントサービス等の事業を営んでおり、エレクトロニクス製造業向けの電気設計システム、自動車関連・産業機械製造業向けのワイヤハーネスの設計システム、MBSE(注3)分野におけるモデリングツール等を主要な製品としているとのことです。

(注3) 「MBSE」は、モデルベースシステムズエンジニアリングの略で、航空・宇宙、自動車関連等の複雑で高い品質が求められる製品に使われ始めた次世代の設計手法です。

 

 公開買付者グループは、エレクトロニクス製造業、自動車関連・産業機器製造業を中心にその他のモノづくり企業を含め幅広いお客さまの設計・製造の効率化、生産性の向上を図り、製品の開発、製造を支えることにより、モノづくり産業の発展に貢献することを基本方針としているとのことです。また、製造業全体における製品のエレクトロニクス化、技術革新や製品の複雑化などから、世界のモノづくりを取り巻く環境は劇的に変化しており、公開買付者グループが取り組むべき事業領域は、今後も拡大していくことが見込まれるとのことです。このような中にあって、公開買付者グループは、モノづくりのプロセス全体のDX(デジタルトランスフォーメーション)を実現する革新的なソリューションを提供するため、主力製品の拡販とMBSE分野への取り組み、モノづくり企業のDXを支援する取り組み等に注力しながら、さらなる企業価値の向上に努めているとのことです。

 

 一方、当社は1977年4月に株式会社エルミックシステムとして設立され、2000年7月に東京証券取引所マザーズへ上場いたしました。その後、2005年7月にウェスコム株式会社と合併し、その商号をエルミック・ウェスコム株式会社に変更した後、後記のとおり2009年6月に公開買付者よりSoC事業部を会社分割により承継したことを契機に、同年7月に商号を現在の商号である図研エルミック株式会社に変更いたしました。また、2014年8月に上場金融商品取引所を東京証券取引所マザーズから東京証券取引所市場第二部に市場変更し、2022年4月の東京証券取引所の市場区分の見直しにより、本書提出日現在は東京証券取引所スタンダード市場に移行しております。

 当社は、本書提出日現在、子会社及び関連会社を有しておらず、当社単体で、組込ソフトウェア分野を主な事業領域とし、要件定義から設計・実装、各種標準規格提案、アプリケーション開発、検証環境構築まで一気通貫で技術提供可能なエンジニアリング・サービス(受託開発)と自社製品であるストリーミング製品(ソフトウェア製品、システムプラットフォーム製品)を組み合わせた付加価値の高いソリューションとして、ストリーミング エンジニアリング・サービスを展開しております。当社は、設立当時においては、産業機器や業務用機器を開発する顧客向けに汎用的な通信ボード製品、ネットワーク関連の標準規格に準拠したミドルウェア(注4)製品及び付随するソフトウェア開発を提供し、主にネットワークに係わる技術を蓄積しておりました。一方、2009年6月に公開買付者から会社分割により承継したSoC事業部においては、半導体ベンダーなどに向けたLSI設計サービスや監視機器を開発する顧客などに向けたストリーミング関連の標準規格に準拠したミドルウェア製品及び付随するソフトウェア開発を提供し、特にソフトウェア開発においてはストリーミング技術を蓄積して参りました。

(注4) 「ミドルウェア」は、OS(オペレーティングシステム)とアプリケーションとの間の通信や接続を可能にするソフトウェアです。

 

 昨今の当社を取り巻く環境として、5Gの普及、DX化の促進、AI活用機会の増加の変化が生じたことから、当社においては、ストリーミング技術に関する需要が益々拡大すると認識し、2020年10月1日から、当社の強みであるストリーミング技術を活かしたソフトウェア開発に経営資源を集中し、個別の顧客ニーズに応えるエンジニアリング・サービス(受託開発)を推進し顧客の開発パートナーとしての地位を確立することで、継続的で安定した収益基盤の確立、企業価値の向上に取り組んでおります。

 当社においては、2020年10月1日以降、取り組んできたエンジニアリング・サービス(受託開発)を中心とする当社事業に対する需要は、引き続き堅調に拡大するものと考えております。一方で、かかる需要の拡大を前提として、当社は、以下の経営課題を認識しております。

 

(a)顧客の拡大及び営業リソースの確保の必要性

 当社の事業の中心であるエンジニアリング・サービス(受託開発)は、顧客の経営状況や開発方針の影響を受け易く、特定の顧客への依存度が高すぎると、その顧客の開発中断などがあった場合、当社の業績に大きく影響が出るリスクが内在しているところ、当社としては、当該リスクを低減・分散させるためには、取引顧客数を一定規模まで増加させることが不可欠であると考えております。また、取引顧客数の拡大に向けた営業リソースが十分に確保できない場合、顧客の拡大が計画通り進まず、当社の事業拡大を妨げる要因となることから、当社としては、同時に営業リソースの確保が必要と考えております。

(b)エンジニアの確保及び育成の必要性

 エンジニアリング・サービス(受託開発)を中心とする当社の事業の成長のためには、顧客ニーズに対応するために十分な人数の優秀なエンジニアの採用が不可欠であり、当社としては、新卒・中途を含めた採用の強化に取り組んでいるものの、人材採用競争が激化する中、エンジニアが計画通り採用できなかった場合には、受注機会の逸失など、当社の事業遂行の妨げになると捉えております。また、当社は、日々進化する情報通信技術及び個別の顧客ニーズの変化に的確に対応するためには、先端技術の習得など人材の育成を継続的に行っていく必要があることから、かかる人材採用に加えて人材育成が重要であると考えております。

 

 なお、公開買付者と当社の資本関係は、2008年5月に公開買付者と当社(当時の商号はエルミック・ウェスコム株式会社)との間で業務・資本提携契約を締結し、2008年6月に、公開買付者が、当社の株主ら4名から当社株式1,492,200株を取得して当社の筆頭株主(持株比率(注5)27.61%)となるとともに、当社を持分法適用関連会社としたことに始まります。その後、公開買付者は、2009年6月に、当社が公開買付者からSoC事業部を承継する吸収分割の対価として当社から当社株式1,047,490株の交付を受け、当社を連結子会社化し、本書提出日現在においても当社株式2,539,690株(所有割合40.41%)を所有するに至っております。業務・資本提携契約締結以降、公開買付者と当社は、両社の顧客基盤の一部の相互活用を図るほか、本社事務所の賃貸関係等の協力関係を維持してきました。もっとも、事業上のシナジーの観点では、当社は、個別の顧客ニーズに応えるエンジニアリング・サービス(受託開発)を推進する以前においては、産業機器や業務用機器を開発するメーカー向けの汎用的な通信ボード製品や標準規格に準拠したミドルウェア製品を主として提供していましたが、公開買付者としては、かかる当社の事業においては、標準規格の普及など市場需要の的確な予測に基づいてミドルウェア製品開発などを行う必要があることから、収益基盤に不確実性、不安定性が残りうると考えていたとのことです。また、当社を除く公開買付者グループにおいて提供するソフトウェアその他ソリューションは、主にネットワーク及びストリーミングに係る技術を蓄積していた当社のミドルウェア製品やソフトウェア開発とは技術的には別の要素を含むものであり、両社間の事業上の提携の拡大は進まなかったとのことです。

(注5) 「持株比率」とは、当社が2008年6月26日に公表した第31期有価証券報告書に記載された2008年3月31日現在の当社の発行済株式総数5,404,592株に対する割合(なお、小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいいます。

 

 公開買付者は、2009年6月に当社(当時の商号はエルミック・ウェスコム株式会社)を連結子会社として以降、当社の上場会社としての独立性を尊重しながら、公開買付者グループ及び当社の中長期的成長の観点から、両社間の資本関係については慎重な検討を重ねてきたとのことです。このような中、上記のとおり、当社は、2020年10月1日以降、個別の顧客ニーズに応えるエンジニアリング・サービス(受託開発)を推進し顧客の開発パートナーとしての地位を確立することで、継続的で安定した収益基盤の確立、企業価値の向上に取り組んできており、2021年6月25日に当社が提出した第44期有価証券報告書に記載のとおり、2021年3月期においては82百万円(なお、百万円未満を切り捨てております。以下、本段落における当社の当期純損失及び当期純利益について同じです。)の当期純損失を計上していましたが、2022年6月24日に当社が提出した第45期有価証券報告書に記載のとおり、2022年3月期においては、当社が2021年5月10日に公表した「2021年3月期 決算短信〔日本基準〕(非連結)」に記載された2022年3月期の業績予想の20百万円の当期純利益を上回る69百万円の当期純利益を計上し、さらに、2023年6月27日に当社が提出した第46期有価証券報告書に記載のとおり、2023年3月期でも前事業年度比154.1%増(なお、小数点以下第二位を四捨五入しております。)の176百万円の当期純利益を計上いたしました。これらの状況をみて、公開買付者としても、2024年1月中旬には、当社の経営の安定化が進んでいると考えるようになり、これにより、公開買付者は、当社が公開買付者グループと事業における連携を深める環境が整い、ビジネス上のシナジーを高めることがより期待される状況になったと考えたとのことです。

 しかし、公開買付者は、当社株式が上場している状況においては上場会社としての独立性の確保の必要性及び公開買付者と当社の少数株主との間での潜在的な利益相反の懸念があり、経営資源の共有や迅速な意思決定という観点で制約があると考えており、同じく2024年1月中旬、この制約を克服して事業の連携を深めるために、本公開買付けを通じ当社を公開買付者の完全子会社とすることを検討すべきであるとの考えに至ったとのことです。そして、公開買付者は、2024年2月中旬、以下の(ⅰ)及び(ⅱ)において記載するメリットにも鑑み、中長期的な公開買付者グループの発展のためには、公開買付者が当社とより強固に連携し、相互に補完し合いながら、当社の強みを活かしていくことが重要であり、また、当社が上場を維持して独立した経営を継続するよりも、当社が公開買付者の完全子会社となることで、公開買付者グループとしてより一体的で綿密に連携した業務運営を行うことが、モノづくりのプロセス全体のDXを実現する革新的なソリューションの提供を目指す公開買付者グループの事業の成長に資するものであると考えたことから、その実現のために本公開買付けを実施することが適切であるとの考えに至ったとのことです。

 公開買付者は、当社が公開買付者の完全子会社となることで、具体的には以下のような取組みや効果が期待できると考えているとのことです。

 

(ⅰ)連携強化による公開買付者グループとしてのより綿密で一体的な事業の推進

 公開買付者は、公開買付者グループにおいては、世界のモノづくり企業の設計・製造にかかわる様々な課題の解決に向けた最適なソリューションの提供に努めており、公開買付者の設立以来の事業活動を通じて蓄積された、設計システムに加え、MBSEソリューションに関する最新の技術ノウハウ、顧客に対するサービス提供体制構築等の知見や顧客とのネットワーク等の経営資源を有していると考えているとのことです。他方で、当社は、ストリーミング技術を中心にエンジニアリング・サービス(受託開発)を提供する中で、高い技術力を有しており、公開買付者としては組込ソフトウェア市場等の当社が強みを有する市場は今後も安定的に成長していくものと考えているとのことです。

 公開買付者は、このような双方の有する経営資源や強みを最大限に活用し、公開買付者グループとして、ITの領域において顧客に対して付加価値の高いソリューションを継続的に提供していくためには、両社がより綿密に連携して一体的に事業展開をすることが望ましいものの、当社が上場を維持している状況では、上場会社としての独立性の確保の必要性及び公開買付者と当社の少数株主との間での潜在的な利益相反の懸念から、顧客基盤、事業基盤、財務基盤その他の経営資源の共有や相互活用には制約があり、また、公開買付者の意思決定においても当社の少数株主の利益に配慮したより慎重な検討が必要となると認識しているとのことです。

 公開買付者は、このような制約や意思決定上の配慮を継続するよりも、当社を完全子会社化し、技術力及び顧客に対するサービス提供体制構築に関する知見その他顧客へのソリューションの提案に向けた各種ノウハウや顧客とのネットワークをこれまで以上に公開買付者グループの各会社との間で綿密に共有して、公開買付者グループ全体で経営資源を最大限に活用し、また、それぞれの経営陣における意思決定の連携及び機動性を高めることが公開買付者グループ及び当社のビジネスの成長及び企業価値の向上にとって非常に有益であると考えているとのことです。

 具体的には、受託開発に主軸を移し顧客のニーズに応えることで成長している当社の顧客基盤を更に拡大することが、当社の更なる事業規模の拡大、企業価値の向上につながると考えているとのことです。公開買付者は設立以来約50年間に亘る事業活動を通じて蓄積してきた顧客に対して付加価値の高いソリューションを提供するための技術ノウハウ及びエンジニアを豊富に有していると考えており、これらの技術ノウハウを当社にも共有することや必要な場合には公開買付者のエンジニアを当社に派遣すること等により、公開買付者グループの有する経営資源を活用することで、当社の提供可能なエンジニアリング・サービスの質及び量の向上を図り、当社の企業価値の向上に向けたバックアップ体制を整備することが可能と考えているとのことです。そして、これにより、当社の事業のより一層の成長に繋がり得る顧客基盤の更なる拡大をもたらすことができると考えているとのことです。また、顧客基盤の更なる拡大のためには、当社における優秀なエンジニアの採用・エンジニア人材の育成、プロジェクトマネジャー等のミドルマネジメントを担う優秀な人材の獲得及び育成といった人的資源の確保・育成に係る体制をより盤石なものとしておくことが非常に重要であると考えているとのことです。公開買付者は、少子高齢化による労働人口の減少、IT業界の市場拡大、顧客の求める技術水準の上昇といった諸条件の下、優秀な人材の獲得をめぐる競争は極めて厳しい状況にあると認識しているとのことですが、そのような環境の中でも、公開買付者グループには、優秀な人材の採用や育成に関する豊富なノウハウがあると自負しており、それを活用して当社における人材の確保及び育成に係る体制の強化、拡充を支援するとともに、公開買付者グループ全体での人材交流による人材の確保と育成を実施することで、当社の事業規模の拡大、ひいては企業価値の更なる向上に必要な人的資源の確保をサポートすることができると考えているとのことです。また、公開買付者と当社は、共通の顧客もいるため、本公開買付けにより当社が公開買付者の完全子会社となれば、かかる顧客に対して、その需要に応じたより包括的かつ効果的なソリューションの提案を行う等、顧客基盤の更なる活用が可能となると考えているとのことです。

 公開買付者は、当社が公開買付者の完全子会社となり、公開買付者グループとしてより綿密な関係を構築し、一体的に経営資源を活用することで、短期的には当社の取り扱う事業領域である組込ソフトウェア市場の成長に対応する態勢を整備し、収益機会を確保して経営の安定化を引き続き推し進め、中長期的にも、公開買付者グループ全体での成長の加速及び企業価値の向上を実現できると考えているとのことです。

 

(ⅱ)公開買付者グループの一体的経営による効率化

 公開買付者は、当社を公開買付者の完全子会社とすることで、上記の効果に加え、グループの一体的経営による効率化も図ることができると考えているとのことです。具体的には、当社を公開買付者の完全子会社とすることで、当社における上場維持のための種々のコストを削減できるほか、状況に応じ、管理部門の連携等を通じた費用の削減を図ることも可能であり、公開買付者グループ全体でより効率的に資源配分することを期待できるとのことです。また、事業上又は経営上の意思決定の迅速化により、当社の経営資源をより事業活動に集中させることができると考えているとのことです。

 さらに、公開買付者が当社株式の100%を保有していない現状においては、公開買付者が当社に対して企業価値向上を企図した経営資源の提供を行う場合にも、最終的には、利益の一部が公開買付者グループ外の者に帰属することになりますが、公開買付者が当社を完全子会社化した後には、かかる利益の流出がなくなるとのことです。利益の流出がなくなれば、公開買付者は躊躇することなく公開買付者及び公開買付者グループの経営資源やノウハウを当社に注入することができるようになると考えているとのことです。

 また、当社の更なる事業の安定化及び拡大のためには、開発技術の向上や人材育成のための中長期的な投資も状況に応じ積極果敢に行う必要があるところ、こうした投資は、一時的には当社事業の費用の増加や利益の減少を招く可能性もあるとのことです。公開買付者は、当社が公開買付者の完全子会社となることで、一時的な投資負担の増加や短期的な業績悪化が少数株主に与える影響を考慮することなく、必要な投資を実行していくことが可能となると考えているとのことです。

 このように、当社を公開買付者の完全子会社とすることにより公開買付者から当社に経営資源の提供等を実施できる体制を整えることができ、ひいては当社及び公開買付者グループの事業の価値向上のための施策を進めていくことが可能になると考えているとのことです。

 なお、公開買付者は、上記シナジーの検討と並行して、当社が上場を廃止して公開買付者の完全子会社となることのデメリットについても検討をした結果、2024年2月中旬、一般にはエクイティ・ファイナンスにおける資金調達が困難であるということが考えられるものの、当社に資金需要が生じた場合でも、公開買付者グループの有する資金力を活用することが可能であると考えているため、デメリットよりも上記シナジー効果によるメリットの方が大きいと判断したとのことです。

 

 そこで、公開買付者は、当社を完全子会社化する本取引について検証し、その具体的な手法について検討するために、2024年1月に公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として株式会社大和総研(以下「大和総研」といいます。)を、2024年1月に公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとして山下総合法律事務所をそれぞれ選任して、本取引に関する検討及び当社との協議を行う体制を構築したとのことです。

 公開買付者は、2024年2月2日、当社に対して、本取引に関して検討している旨を伝え、その後、2024年2月19日に、当社に対して、本取引の目的、本取引後の経営関与方針、本取引のスキーム等について記載した初期的な意向表明書(以下「本意向表明書」といいます。)を提出し、同日、当社からは慎重に検討したいとの反応があったとのことです。

 当社は、公開買付者からの本意向表明書の提出を受け、同年2月19日、本公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)を含む本取引の公正性を担保すべく、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてG-FAS株式会社(以下「G-FAS」といいます。)を、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所をそれぞれ選任し、シティユーワ法律事務所の助言を踏まえ、公開買付者から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引について検討・交渉等を行うための体制を構築いたしました。

 具体的には、本取引の是非や取引条件の妥当性についての検討及び判断が行われる過程全般に亘ってその公正性を担保するため、当社取締役会の諮問機関として、2024年2月19日に特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置いたしました。なお、本特別委員会の構成及び具体的な活動内容等については、後記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。

 その上で、公開買付者は、本取引の実現可能性の精査のためのデュー・ディリジェンスを2024年2月下旬から同年4月下旬まで実施するとともに、並行して、同年2月中旬から5月上旬にかけて、当社及び本特別委員会に対し、本取引の意義及び目的並びに当社の完全子会社化後の当社の経営方針を説明するとともに、当社及び本特別委員会との間で本公開買付価格についての協議・交渉を続けてきたとのことです。具体的には、2月19日の本意向表明書の提出により本取引の目的、本取引後の経営関与方針、本取引のスキーム等を提案した後、公開買付者は、2024年3月11日、本特別委員会を通じて当社によるヒアリングを受け、本取引を提案するに至った検討過程、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるデメリット・メリットその他の影響及び程度並びに本取引後に予定している経営方針等について説明をするとともに、これに対する質疑応答を行ったとのことです。その後、当社からは、公開買付者が提案・説明した本取引の意義及び目的並びに当社の完全子会社化後の当社の経営方針について、再質問、意見又は提案は受けていないとのことです。また、本公開買付価格については、公開買付者は、当社株式の市場株価の推移(提案実施日の前営業日である2024年3月29日の当社株式の終値が351円、直近1か月間の取引成立日の終値単純平均値が341円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値について同じです。)、直近3か月間の取引成立日の終値単純平均値が325円、直近6か月間の取引成立日の終値単純平均値が310円)、大和総研による当社株式の初期的試算、さらに当社から公開買付価格の引き上げに関する要請を受ける可能性及び本公開買付けに対する応募の見通しを勘案し、2024年4月1日付「貴社の完全子会社化に関する価格のご提示」と題する書面を交付することにより、当社に対して本公開買付価格を400円とする提案を行ったとのことです。なお、当該価格は、当該提案日の前営業日(2024年3月29日)の東京証券取引所スタンダード市場における終値351円に対して13.96%(小数点以下第三位を四捨五入しています。以下、プレミアムの計算について同じです。)、同日までの過去1か月間の終値単純平均値341円に対して17.30%、同日までの過去3か月間の終値単純平均値325円に対して23.08%、同日までの過去6か月間の終値単純平均値310円に対して、29.03%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となるとのことです。

 その後、公開買付者は、当社及び本特別委員会から2024年4月8日付で「公開買付価格のご提案に関する回答書」を受領し、当社の少数株主の利益を保護し、当社としての説明責任を果たす観点から、本公開買付価格は、合理的なプレミアムが付されたと評価できることが重要であるとして、より高い本公開買付価格の提示を要請されたとのことです。公開買付者は、当社から提案価格の再検討を要請されたことを踏まえ、2024年4月11日付「貴社の完全子会社化に関する価格のご提示(第2回)」と題する書面により、本公開買付価格を405円とする旨の提案を行ったとのことです。なお、当該価格は、当該提案の前営業日(2024年4月10日)の東京証券取引所スタンダード市場における終値322円に対して25.78%、同日までの過去1か月間の終値単純平均値335円に対して20.90%、同日までの過去3か月間の終値単純平均値325円に対して24.62%、同日までの過去6か月間の終値単純平均値313円に対して、29.39%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となるとのことです。これに対して、当社及び本特別委員会から2024年4月16日付で「公開買付価格のご提案に対する回答書」を受領し、類似する他社事例(経済産業省による「公正なM&Aの在り方に関する指針-企業価値の向上と株主利益の確保に向けて-」(2019年6月28日)(以下「M&A指針」といいます。)公表以降の支配株主による上場子会社の完全子会社化事例)におけるプレミアム水準(平均値及び中央値ともに40%以上)との比較において、当該価格のプレミアム水準は低いと言わざるを得ず、決して合理的なプレミアムが付されているとはいえないとして、より高い本公開買付価格の再提示を要請されたとのことです。その後、公開買付者は、2024年4月18日付「貴社完全子会社化に関する価格のご提示(第3回)」と題する書面により、本公開買付価格を410円とする旨の提案を行ったとのことです。なお、当該価格は、当該提案の前営業日(2024年4月17日)の東京証券取引所スタンダード市場における終値317円に対して29.34%、同日までの過去1か月間の終値単純平均値333円に対して23.12%、同日までの過去3か月間の終値単純平均値325円に対して26.15%、同日までの過去6か月間の終値単純平均値314円に対して、30.57%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となるとのことです。これに対して、当社及び本特別委員会から2024年4月22日付で「公開買付価格のご提案に対する回答書」を受領し、当該価格のプレミアム水準は、類似する他社事例との比較において低いと言わざるを得ず、決して合理的なプレミアムが付されているとはいえないとして、本公開買付けの公表予定日の前営業日、直近1か月の終値単純平均値、直近3か月の終値単純平均値及び直近6か月の終値単純平均値のうち少なくとも半数以上との関係でプレミアム割合が40%を超え得る水準として、本公開買付価格を1株当たり445円とする提案がなされたとのことです。公開買付者は、これを踏まえ、2024年4月26日付「貴社完全子会社化に関する価格のご提示(第4回)」と題する書面により、本公開買付価格を415円とする旨の提案を行ったとのことです。なお、当該価格は、当該提案の前営業日(2024年4月25日)の東京証券取引所スタンダード市場における終値320円に対して29.69%、同日までの過去1か月間の終値単純平均値325円に対して27.69%、同日までの過去3か月間の終値単純平均値326円に対して27.30%、同日までの過去6か月間の終値単純平均値317円に対して、30.91%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となるとのことです。これに対して、当社及び本特別委員会から2024年4月30日付で「公開買付価格のご提案に対する回答書」を受領し、当該価格のプレミアム水準は、なお類似する他社事例との比較において低いと言わざるを得ないとして、より高い本公開買付価格の提示を要請されたとのことです。これを受けて、公開買付者は、2024年5月9日付「貴社完全子会社化に関する価格のご提示(第5回)」と題する書面により、本公開買付価格を425円とする旨の提案を行ったとのことです。なお、当該価格は、当該提案の前営業日(2024年5月8日)の東京証券取引所スタンダード市場における終値324円に対して31.17%、同日までの過去1か月間の終値単純平均値321円に対して32.40%、同日までの過去3か月間の終値単純平均値326円に対して30.37%、同日までの過去6か月間の終値単純平均値320円に対して、32.81%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となるとのことです。これに対して、当社及び本特別委員会から2024年5月9日付で「公開買付価格のご提案に対する回答書」を受領し、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果のうちディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)による算定レンジの中央値を上回ることが望ましいこと等の理由により、本公開買付価格を1株当たり435円とする提案がなされたとのことです。その後、公開買付者は、2024年5月10日付「貴社完全子会社化に関する価格のご提示(第6回)」と題する書面により、本公開買付価格を430円とする旨の提案を行ったとのことです。なお、当該価格は、当該提案日(2024年5月10日)の東京証券取引所スタンダード市場における終値323円に対して33.13%、同日までの過去1か月間の終値単純平均値321円に対して33.96%、同日までの過去3か月間の終値単純平均値326円に対して31.90%、同日までの過去6か月間の終値単純平均値320円に対して、34.38%のプレミアムをそれぞれ加えた金額となるとのことです。これに対して、当社及び本特別委員会から2024年5月10日付で「公開買付価格のご提案に対する内諾書」を受領し、最終的な意思決定は2024年5月13日開催の当社取締役会における決議によることを前提として、本公開買付価格を430円とすることに内諾する旨の回答がなされ、本公開買付価格について、当社との間で合意に至ったとのことです。

 以上の経緯のもとで、公開買付者は、2024年5月13日開催の取締役会において、本取引の一環として本公開買付けを実施することを決議したとのことです。

 

③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由

 当社は、上記「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」に記載のとおり、2024年2月2日に公開買付者から、本取引に関して検討する旨の連絡を受けた後、2024年2月19日に本意向表明書の提示を受け、同日、慎重に検討したいとの反応を返すとともに、これを契機として、公開買付者との間で協議を開始することや本取引の実施の是非等を含めて検討し、また公開買付者との間で交渉するため、2024年2月19日に当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてG-FASを、リーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所をそれぞれ選任するとともに、シティユーワ法律事務所の助言を踏まえ、公開買付者が当社の支配株主(親会社)であり、本取引が構造的な利益相反の問題を内包すること等に鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、公開買付者から独立した立場で、当社の企業価値の向上及び当社の一般株主の皆様の利益の確保の観点から本取引について検討・交渉等を行うための体制の構築を開始いたしました。

 具体的には、2024年2月19日開催の当社取締役会の決議により、外部の有識者を含む委員(東京証券取引所に独立役員として届け出ている当社の社外取締役(監査等委員)であり、公開買付者から独立した、本間政司氏及び安藤宏和氏、並びにM&A業務に従事する専門家として本取引の検討を行う専門性・適格性を有すると考えられる外部有識者である須田雅秋氏(公認会計士、須田公認会計士事務所)の3名)によって構成される本特別委員会(本特別委員会の具体的な活動内容等の詳細については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)を設置しいたしました。

 上記のような体制の下、当社は、2024年2月中旬以降同年5月上旬にかけて、公開買付者から本取引の意義及び目的並びに当社の完全子会社化後の当社の経営方針について説明を受けるとともに、本公開買付価格について、本特別委員会より事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における本特別委員会からの意見・指示・要請等に基づき、G-FAS及びシティユーワ法律事務所から助言を受けながら、公開買付者との間で協議・交渉を重ねて参りました。具体的には、2月19日の本意向表明書の提出により本取引の目的、本取引後の経営関与方針、本取引のスキーム等の提案を受けた後、当社は、2024年3月11日、本特別委員会を通じて公開買付者に対するヒアリングを実施し、本取引を提案するに至った検討過程、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるデメリット・メリットその他の影響及び程度並びに本取引後に予定している経営方針等について説明を受け、これに対する質疑応答を行いました。その後、当社は、公開買付者が提案・説明した本取引の意義及び目的並びに当社の完全子会社化後の当社の経営方針について、再質問、意見又は提案は行っておりません。

 また、本公開買付価格については、当社は、公開買付者から、2024年4月1日付「貴社の完全子会社化に関する価格のご提示」と題する書面により、本公開買付価格を400円とする提案を受けました。その後、当社は、2024年4月8日付「公開買付価格のご提案に関する回答書」により、当社の少数株主の利益を保護し、当社としての説明責任を果たす観点から、本公開買付価格は、合理的なプレミアムが付されたと評価できることが重要であるとして、より高い本公開買付価格の提示を要請いたしました。当社は、公開買付者から、2024年4月11日付「貴社の完全子会社化に関する価格のご提示(第2回)」と題する書面により、本公開買付価格を405円とする提案を受けました。これに対して、当社は、2024年4月16日付「公開買付価格のご提案に対する回答書」により、類似する他社事例(M&A指針公表以降の支配株主による上場子会社の完全子会社化事例)におけるプレミアム水準(平均値及び中央値ともに40%以上)との比較において、当該価格のプレミアム水準は低いと言わざるを得ず、決して合理的なプレミアムが付されているとはいえないとして、より高い本公開買付価格の再提示を要請いたしました。その後、当社は、公開買付者から、2024年4月18日付「貴社完全子会社化に関する価格のご提示(第3回)」と題する書面により、本公開買付価格を410円とする提案を受けました。これに対して、当社は、2024年4月22日付「公開買付価格のご提案に対する回答書」により、当該価格のプレミアム水準は、類似する他社事例との比較において低いと言わざるを得ず、決して合理的なプレミアムが付されているとはいえないとして、本公開買付けの公表予定日の前営業日、直近1か月の終値単純平均値、直近3か月の終値単純平均値及び直近6か月の終値単純平均値のうち少なくとも半数以上との関係でプレミアム割合が40%を超え得る水準として、本公開買付価格を1株当たり445円とする提案を行いました。その後、当社は、公開買付者から、2024年4月26日付「貴社完全子会社化に関する価格のご提示(第4回)」と題する書面により、本公開買付価格を415円とする旨の提案を受けました。これに対して、当社は、2024年4月30日付「公開買付価格のご提案に対する回答書」により、当該価格のプレミアム水準は、なお類似する他社事例との比較において低いと言わざるを得ないとして、より高い本公開買付価格の提示を要請いたしました。その後、当社は、公開買付者から、2024年5月9日付「貴社完全子会社化に関する価格のご提示(第5回)」と題する書面により、本公開買付価格を425円とする提案を受けました。これに対して、当社は、2024年5月9日付「公開買付価格のご提案に対する回答書」により、当社の第三者算定機関による当社株式価値の試算結果のうちDCF法による算定レンジの中央値を上回ることが望ましいこと等の理由により、本公開買付価格を1株当たり435円とする提案を行いました。その後、当社は、公開買付者から、2024年5月10日付「貴社完全子会社化に関する価格のご提示(第6回)」により、本公開買付価格を430円とする旨の提案を受けました。これに対して、当社は、公開買付者に対し、2024年5月10日付「公開買付価格のご提案に対する内諾書」により、最終的な意思決定は2024年5月13日開催の当社取締役会における決議によることを前提として、本公開買付価格を430円とすることに内諾する旨を回答し、本公開買付価格について、公開買付者との間で合意に至りました。

 

 さらに、当社は、リーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所から、本取引に関する諸手続を含む当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の留意点について、必要な法的助言を受けるとともに、本特別委員会から2024年5月10日付で答申書(以下「本答申書」といいます。)の提出を受けました(本答申書の概要については、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。その上で、当社は、リーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所から受けた法的助言及び第三者算定機関であるG-FASから2024年5月10日付で取得した株式価値算定書(以下「当社株式価値算定書」といいます。)の内容を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引により当社の企業価値の向上を図ることができるか、本公開買付価格を含む本取引の諸条件は妥当なものか等の観点から慎重に協議・検討を行いました。

 その結果、当社は2024年5月13日開催の当社取締役会において、以下の点等を踏まえると、本取引を通じて当社株式を非公開化し、公開買付者の完全子会社となることが、当社の企業価値の向上に資するものであるとの判断に至りました。

 

Ⅰ.連携強化による一体的な事業の推進が可能となること

 当社は公開買付者の連結子会社ではあるものの、公開買付者と当社が独立した上場会社であるため、営業情報の共有には一定の制約が存在するが、公開買付者による当社の完全子会社化により、かかる制約なく営業情報を早期に共有することで、両社の営業情報及び経営資源を相互に利用できること。公開買付者と当社が独立した上場会社であるため、顧客基盤の相互活用にも一定の制約が存在するが、公開買付者による当社の完全子会社化により、かかる制約なく相互活用が可能になることを通じて、当社のビジネスチャンスを増加させ、これらによってグループ全体の付加価値の取込みや売上収益の拡大に繋がると考えられること。

Ⅱ.公開買付者の顧客基盤を活用した顧客開拓力の拡大

 公開買付者の顧客基盤及び営業リソースを活用した当社のサービスの顧客獲得機会の拡大が見込まれ、当社の事業拡大を実現できると考えられること。

 

Ⅲ.本取引による当社のデメリットが限定的であること

 一般に、株式の非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなることや、知名度や社会的信用の向上といった上場会社として享受してきたメリットを以後享受できなくなること、人材採用が困難になることが挙げられるが、当社においては、(a)資本面では現状、金融機関からの借入による資金調達を要しない状況であることに加えて、仮に将来的に必要になった際にも上場会社である公開買付者を通じた資金調達を行うことが可能であると考えられること、(b)公開買付者の完全子会社となることにより上場会社グループとしての社会的な信用が維持され得ると考えられること、(c)人材採用については、上記(b)のとおり当社の社会的な信用は維持され得ると考えられることに加えて、公開買付者の多様な採用ノウハウ及び採用チャネルを活用することを通じて、活性化が期待できることから、当社における株式の非公開化によるデメリットは限定的と考えられること。

 

 また、当社は、2024年5月13日開催の当社取締役会において、以下の点等を踏まえると、本公開買付価格は当社の株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。

 

(ⅰ)本公開買付価格が、下記「(3)算定に関する事項」の「② 算定の概要」に記載されている当社株式価値算定書における算定結果のうち、市場株価平均法の算定レンジ及び類似会社比較法の算定レンジの上限値を上回り、かつ、DCF法の算定レンジの中央値を上回る価格であること。

(ⅱ)本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2024年5月10日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値323円に対して33.13%、2024年5月10日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値321円(円未満を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同じとします。)に対して33.96%、同過去3ヶ月間の終値単純平均値326円に対して31.90%、同過去6ヶ月間の終値単純平均値320円に対して34.38%のプレミアムをそれぞれ加えた金額であり、2024年5月10日時点の当社のPBRは2倍超であるが、(ア)M&A指針が公表された2019年6月28日以降、2024年5月9日までに公表され成立した支配株主による従属会社の非公開化に向けた公開買付けの事例のうち対象会社のPBRが2倍超である4件のプレミアム割合の中央値(公表日の前営業日の終値に対して31.27%、公表日の前営業日までの直近1か月間の終値単純平均値に対して32.68%、直近3か月間の終値単純平均値に対して37.15%、直近6か月間の終値単純平均値に対して35.92%)との比較において、公表日の前営業日までの直近3か月間の終値単純平均値及び直近6か月間の終値単純平均値に対するプレミアム割合において下回るが、公表日の前営業日の終値及び公表日の前営業日までの直近1か月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において上回ること、(イ)当該4件に、M&A指針が公表された2019年6月28日以降、2024年5月9日までに公表され成立し、支配会社による従属会社の買収と同じくM&A指針が対象としているMBOに係る非公開化に向けた公開買付け事例のうち対象会社のPBRが2倍超である10件を加えた14件のプレミアム割合の中央値(公表日の前営業日の終値に対して26.83%、公表日の前営業日までの直近1か月間の終値単純平均値に対して25.66%、直近3か月間の終値単純平均値に対して33.88%、直近6か月間の終値単純平均値に対して27.37%)との比較において、公表日の前営業日までの直近3か月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において下回るが、公表日の前営業日の終値、公表日の前営業日までの直近1か月間の終値単純平均値及び直近6か月間の終値単純平均値に対するプレミアム割合において上回ること等に鑑みれば、かかる類似事例と同程度のプレミアム水準にあると認められ、相応のプレミアムが付された価格であると評価できること。

(ⅲ)本公開買付価格の決定に際しては、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が採られていること等、少数株主の利益への配慮がなされていると認められること。

(ⅳ)本公開買付価格が、上記措置が採られた上で、本特別委員会の実質的な関与の下、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が複数回行われた上で決定された価格であること。

(ⅴ)本公開買付価格は、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会から取得した本答申書においても、公正性が確保されていると考えられると判断されていること。

 

 以上より、当社は、本公開買付けを含む本取引を実施することで上記Ⅰ及びⅡに記載のシナジーを実現することが可能となると考えられることから、当社の企業価値の向上に資するものであり、かつ、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2024年5月13日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。当該取締役会における決議の方法につきましては、下記「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」の「⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員である取締役を含みます。)による承認」をご参照ください。

 

④ 本公開買付け後の経営方針

 上記「② 公開買付者が本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程」のとおり、公開買付者は、当社には現在の主たる事業である一般の受託開発とは一線を画するエンジニアリング・サービス(受託開発)における強みがあると考えているとのことです。本公開買付け後も、当社の従前の事業内容を大きく変更することは予定していないとのことですが、公開買付者グループ内の連携を強化して、公開買付者グループの経営資源の投入をより容易にするとともに、意思決定の迅速化、経営の効率化を進めることで、中長期的に当社の事業を拡大し、当社を含む公開買付者グループの成長を推進するための施策を検討していく予定とのことです。

 また、公開買付者は、本公開買付けの実施後、意思決定の迅速化、経営の効率化及びコスト削減等の観点から、当社については、監査等委員会設置会社から監査役設置会社(監査役会は非設置)への移行、会計監査人非設置会社への移行、及び資本金の減資等を検討したいと考えているとのことです。その詳細や具体的な時期については、当社と協議のうえ、決定していく予定とのことです。

 他方、本公開買付けの実施後も、当社の経営における自主性や独立性を尊重する方針であり、当社の業務執行取締役等、当面の主要な業務執行体制については、本書提出日においては基本的に大きな変更をすることは予定していないとのことです。また、当社の現在の従業員の雇用は継続することを前提にしており、当面の間について、雇用方針、処遇についての変更を求めることは予定していないとのことです。

 

(3)算定に関する事項

① 算定機関の名称並びに当社及び公開買付者との関係

 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の過程における公正性を担保するため、当社及び公開買付者から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるG-FASに対し、当社株式の価値算定を依頼し、2024年5月10日付で当社株式価値算定書を取得しております。

 なお、G-FASは、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本特別委員会は、G-FASの独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認しております。また、当社は、公開買付者及び当社において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置が講じられており、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えられることから、G-FASから、本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。なお、本取引に係るG-FASの報酬には、本公開買付けを含む本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれています。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合に当社に相応の金銭的負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本公開買付けの完了を条件として支払われる成功報酬が含まれていることをもって独立性が否定されるわけではないとの判断のもと、上記の報酬体系によりG-FASを当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しております。

 

② 算定の概要

 G-FASは、当社の財務状況等について検討を行った上で、多面的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から採用すべき算定手法を検討した結果、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在する観点から市場株価平均法を、当社と比較的類似する事業を営む上場会社が複数存在し、類似会社との比較による株式価値の類推が可能であることから類似会社比較法を、また、当社の将来の事業活動に基づく本源的価値を評価に反映する観点からDCF法を用いて、当社株式の価値算定を行っております。

 上記の各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。

 

市場株価平均法:320円から326円

類似会社比較法:317円から425円

DCF法   :378円から475円

 

 市場株価平均法では、基準日を2024年5月10日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値(323円)、直近1か月間(2024年4月11日から2024年5月10日まで)の終値単純平均値(321円)、直近3か月間(2024年2月13日から2024年5月10日まで)の終値単純平均値(326円)、直近6か月間(2023年11月13日から2024年5月10日まで)の終値単純平均値(320円)を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲は、320円から326円までと算定しております。

 類似会社比較法では、完全に類似していないものの、当社と比較的類似する事業を営むと想定される上場会社として株式会社アルファシステムズ、株式会社コア、デジタル・インフォメーション・テクノロジー株式会社、日本プロセス株式会社、東海ソフト株式会社及び株式会社セックを選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率を用いて、当社株式の株式価値を算定し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を317円から425円までと算定しております。

 DCF法では、当社が作成した2025年3月期から2027年3月期までの3期分の事業計画における収益予測及び投資計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2025年3月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの価値を378円から475円までと算定しております。なお、当社の保有する現預金は、最低限の必要運転資金(売上高の1か月程度の水準)を除き、株式価値に反映しております。また、割引率は8.5%%~10.5%を採用しており、継続価値の算定については永久成長率法を採用し、永久成長率を-0.5%~0.5%としております。

 なお、G-FASがDCF法による分析に用いた当社作成の事業計画において、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、大幅なフリー・キャッシュ・フローの減少を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年3月期において、一時的な売上債権の回転期間の伸長に起因する運転資本減少に伴うフリー・キャッシュ・フロー増加の影響が解消されることから、フリー・キャッシュ・フローにおいて前年度比40.4%(小数点以下第二位を四捨五入しております。)の減少を見込んでおります。また、G-FASがDCF法の算定に使用した当社の事業計画には、本取引実現後に公開買付者が想定する企業価値向上施策については、現時点において定量的に見積もることが困難であるため加味されておりませんが、DCF法の算定にあたり、上場関連費用の削減効果のみ考慮しております。

 G-FASがDCF法の算定の前提とした当社作成の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。

 

(単位:百万円)

 

 

2025年3月期

2026年3月期

2027年3月期

売上高

1,106

1,301

1,452

営業利益

196

223

254

EBITDA

212

244

277

フリー・キャッシュ・フロー

107

130

161

 

 G-FASは、当社の株式価値の算定にあたり、公開情報及びG-FASに提供された一切の情報が正確かつ完全であることを前提としており、独自にそれらの正確性、妥当性、完全性に関する検証を行っておらず、また、当社の個別の資産及び負債(簿外資産及び簿外債務、その他の偶発債務を含みます。)に関して、独自の評価又は鑑定を行っておらず、それらに関していかなる鑑定書や評価書も取得しておりません。さらに、G-FASは、当社の株式価値の算定に影響を与える未開示の重要事実が存在しないこと及び当社の財務予測(事業計画その他の情報を含みます。)が、当社の経営陣によって現時点において得られる最善の予測と判断に基づき、合理的に作成されていることを前提としております。G-FASの算定は、2024年5月10日までにG-FASが入手した情報及び経済条件を反映しております。G-FASの算定は、当社取締役会が当社の株式価値を検討するための参考に資することを唯一の目的としております。

 

(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)

 公開買付者は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、本公開買付けにより当社株式の全て(ただし、公開買付者が所有する当社株式及び当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかった場合には、本公開買付けの成立後、以下の方法により、当社の株主を公開買付者のみとするための本スクイーズアウト手続を行うことを企図しているとのことです。

 

① 株式売渡請求

 公開買付者は、本公開買付けの成立により、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%以上となり、公開買付者が会社法第179条第1項に規定する特別支配株主となる場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、会社法第2編第2章第4節の2の規定に基づき、当社の株主(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の全員(以下「売渡株主」といいます。)に対し、その所有する当社株式の全部を売り渡すことを請求(以下「株式売渡請求」といいます。)する予定とのことです。

 株式売渡請求においては、当社株式1株当たりの対価として、本公開買付価格と同額の金銭を売渡株主に対して交付することを定める予定とのことです。この場合、公開買付者は、その旨を当社に通知し、当社に対して株式売渡請求の承認を求めるとのことです。当社が取締役会の決議により株式売渡請求を承認した場合には、関係法令の定める手続に従い、売渡株主の個別の承認を要することなく、公開買付者は、株式売渡請求において定めた取得日をもって、売渡株主からその所有する当社株式の全部を取得するとのことです。そして、公開買付者は、売渡株主の所有していた当社株式1株当たりの対価として、各売渡株主に対して本公開買付価格と同額の金銭を交付する予定とのことです。なお、当社は、公開買付者から株式売渡請求をしようとする旨及び会社法第179条の2第1項各号の事項について通知を受けた場合には、当社取締役会にてかかる株式売渡請求を承認する予定です。

 株式売渡請求に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定としては、会社法第179条の8その他の関係法令の定めに従って、売渡株主は、裁判所に対して、その所有する当社株式の売買価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。なお、上記申立てがなされた場合の当社株式の売買価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 

② 株式併合

 公開買付者は、本公開買付けが成立したものの、公開買付者が所有する当社の議決権の合計数が当社の総株主の議決権の数の90%未満である場合には、本公開買付けの決済の完了後速やかに、株式併合を行うこと及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を開催することを当社に要請する予定とのことです。また、公開買付者は、当社の企業価値向上の観点から、本臨時株主総会を早期に開催することが望ましいと考えており、当社に対し、本公開買付けの決済の開始日後の近接する日(本書提出日現在においては、2024年7月中旬頃を予定しているとのことです。)が本臨時株主総会の基準日となるように、基準日設定公告を行うことを要請する予定とのことです。当社は、公開買付者の要請に応じ本臨時株主総会を開催する予定であり、本臨時株主総会の開催は2024年9月上旬頃を予定おります。なお、公開買付者は、本臨時株主総会において上記各議案に賛成する予定とのことです。

 本臨時株主総会において株式併合の議案についてご承認をいただいた場合には、当社の株主の皆様は、株式併合がその効力を生ずる日において、本臨時株主総会においてご承認をいただいた株式併合の割合に応じた数の当社株式を所有することとなります。株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、当該端数の株式を所有する当社の株主の皆様に対して、会社法第235条その他の関係法令の定める手続に従い、当該端数の合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。以下同じです。)に相当する当社株式を当社又は公開買付者に売却することによって得られる金銭が交付されることになります。当該端数の合計数に相当する当社株式の売却価格については、当該売却の結果、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該当社の株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことを当社に要請する予定とのことです。なお、株式併合の割合は、本書提出日現在において未定ですが、公開買付者は、当社の株主が公開買付者のみとなるよう、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数が1株に満たない端数となるように決定されるよう当社に要請する予定とのことです。なお、当社は本公開買付けが成立した場合には、公開買付者によるこれらの要請に応じる予定です。

 株式併合に関連する一般株主の権利保護を目的とした会社法上の規定として、株式併合をすることにより株式の数に1株に満たない端数が生じるときは、会社法第182条の4及び第182条の5その他の関係法令の定めに従い、当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)は、当社に対し、自己の所有する当社株式のうち1株に満たない端数となるものの全てを公正な価格で買い取ることを請求することができる旨及び裁判所に対して当社株式の価格の決定の申立てを行うことができる旨が定められています。上記のとおり、株式併合においては、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)の所有する当社株式の数は1株に満たない端数となる予定ですので、株式併合に反対する当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)は、上記申立てを行うことができることになる予定です。なお、上記申立てがなされた場合の買取価格は、最終的には裁判所が判断することになります。

 

 上記①及び②の各手続については、関係法令についての改正、施行及び当局の解釈等の状況等によっては、実施に時間を要し、又は実施の方法に変更が生じる可能性があります。ただし、その場合でも、本公開買付けに応募されなかった当社の株主の皆様(ただし、公開買付者及び当社を除きます。)に対しては、最終的に金銭を交付する方法が採用される予定であり、その場合に当該各株主の皆様に交付される金銭の額については、本公開買付価格に当該各株主の皆様が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一になるよう算定する予定とのことです。以上の各場合における具体的な手続及びその実施時期等については、当社と協議の上、決定次第、当社が速やかに公表する予定とのことです。

 なお、本公開買付けは、本臨時株主総会における当社の株主の皆様の賛同を勧誘するものでは一切ありません。また、本公開買付けへの応募又は上記各手続における税務上の取扱いについては、株主の皆様において自らの責任にて税理士等の専門家にご確認いただきますようお願いいたします。

 

(5)上場廃止となる見込み及びその事由

 当社株式は、本書提出日現在、東京証券取引所スタンダード市場に上場しておりますが、公開買付者は、本公開買付けにおいて買付予定数の上限を設定していないため、本公開買付けの結果次第では、東京証券取引所の定める上場廃止基準に従って、当社株式は、所定の手続を経て上場廃止となる可能性があります。また、本公開買付けの成立時点では当該基準に該当しない場合でも、本公開買付けの成立後、公開買付者は、上記「(4)本公開買付け後の組織再編等の方針(いわゆる二段階買収に関する事項)」に記載の本スクイーズアウト手続を実施することを予定しておりますので、かかる手続が実行された場合、当社株式は東京証券取引所の上場廃止基準に従い、所定の手続を経て上場廃止となります。なお、当社株式の上場廃止後は、当社株式を東京証券取引所スタンダード市場において取引することはできません。

 

(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置

 公開買付者及び当社は、当社が公開買付者の連結子会社であるため、本公開買付けを含む本取引が支配株主との重要な取引等に該当し、また、類型的に公開買付者と当社の一般株主との間に構造的な利益相反の問題及び情報の非対称性の問題が存在する取引に該当することに鑑み、本公開買付けの公正性を担保するとともに、本公開買付けを含む本取引に関する意思決定の過程における恣意性を排除し、利益相反を回避する観点から、以下の措置を実施しております。

 なお、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「① 本公開買付けの概要」に記載のとおり、公開買付者は、本書提出日現在、当社株式を2,539,690株(所有割合:40.41%)所有しているため、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けに応募することを希望する一般株主の皆様の利益に資さない可能性もあるものと考え、本公開買付けにおいて、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ」(Majority of Minority)の買付予定数の下限は設定していないとのことですが、公開買付者及び当社において以下の①乃至⑦の措置を講じていることから、当社の一般株主の利益には十分な配慮がなされていると考えているとのことであり、当社としても同様に判断しております。また、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置に関する記述は、公開買付者から受けた説明に基づくものです。

 

① 公開買付者における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 公開買付者は、本公開買付価格の公正性を担保するため、本公開買付価格を決定するに際して、公開買付者及び当社から独立した第三者算定機関として、公開買付者のファイナンシャル・アドバイザーである大和総研に対し、当社株式の株式価値の算定を依頼したとのことです。なお、大和総研は、公開買付者及び当社の関連当事者には該当せず、本公開買付けに関して重要な利害関係を有していないとのことです。また、公開買付者は、公開買付者及び当社において本公開買付価格の公正性を担保する措置(「(6)本公開買付価格の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置等、本公開買付けの公正性を担保するための措置」に記載の措置)を実施し、当社の少数株主の利益への配慮が十分になされていると考えられることから、大和総研から本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)は取得していないとのことです。

 大和総研は、複数の株式価値算定手法の中から当社株式の株式価値の算定にあたって採用すべき算定手法を検討のうえ、当社株式が東京証券取引所スタンダード市場に上場しており、市場株価が存在することから市場株価法、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社の株式価値が類推可能であることから類似会社比較法及び将来の事業活動を評価に反映するためにDCF法の各手法を用いて当社株式の株式価値の算定を行い、公開買付者は大和総研から2024年5月10日付で当社の株式価値に関する株式価値算定書(以下「公開買付者株式価値算定書」といいます。)を取得したとのことです。

 大和総研による当社株式の1株当たり株式価値の算定結果は以下のとおりとのことです。

 

市場株価法  :320円~326円

類似会社比較法:316円~423円

DCF法   :332円~442円

 

 市場株価法では、基準日を2024年5月10日として、東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の基準日終値323円、直近1か月間(2024年4月11日から2024年5月10日まで)の終値単純平均値321円、直近3か月間(2024年2月13日から2024年5月10日まで)の終値単純平均値326円及び直近6か月間(2023年11月13日から2024年5月10日まで)の終値単純平均値320円を基に、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を320円から326円までと算定しているとのことです。

 類似会社比較法では、当社と類似する事業を営む上場会社の市場株価や収益性を示す財務指標との比較を通じて、当社株式の株式価値を評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を316円から423円と算定しているとのことです。

 DCF法では、当社から提供された2025年3月期から2027年3月期までの3期分の事業計画、直近までの業績の動向、一般に公開された情報等の諸要素を考慮して、2025年3月期以降に当社が将来創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引くことにより当社の企業価値や株式価値を評価し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を332円から442円までと算定しているとのことです。なお、DCF法において前提とした当社の将来の財務予測においては、大幅な増減益を見込んでいる事業年度は含まれておりませんが、大幅なフリー・キャッシュ・フローの減少を見込んでいる事業年度が含まれているとのことです。具体的には、2025年3月期において、一時的な売上債権の回転期間の伸長に起因する運転資本減少に伴うフリー・キャッシュ・フロー増加の影響が解消されることから、フリー・キャッシュ・フローにおいて前年度比42.1%(小数点以下第二位を四捨五入しております。)の減少を見込んでいるとのことです。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、本書提出日現在において収益に与える影響を具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。

 

 公開買付者は、本公開買付価格について、大和総研から取得した公開買付者株式価値算定書で示された市場株価法及び類似会社比較法による算定結果の上限を上回っており、また、DCF法による算定結果の範囲内であることに加え、当社取締役会による本公開買付けへの賛同の可否、当社株式の市場株価の推移(基準日を2024年5月10日とした基準日終値323円、直近1か月間(2024年4月11日から2024年5月10日まで)の終値単純平均値321円、直近3か月間(2024年2月13日から2024年5月10日まで)の終値単純平均値326円及び直近6か月間(2023年11月13日から2024年5月10日まで)の終値単純平均値320円))並びに本公開買付けに対する応募の見通し等を総合的に勘案し、当社との協議・交渉の結果等も踏まえ、最終的に2024年5月13日開催の取締役会において、本公開買付価格を1株当たり430円とすることを決定したとのことです。

 

 本公開買付価格430円は、本公開買付けの実施についての公表日の前営業日である2024年5月10日の当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における終値323円に対して33.13%、同日までの過去1か月間の終値単純平均値321円に対して33.96%、同日までの過去3か月間の終値単純平均値326円に対して31.90%、同日までの過去6か月間の終値単純平均値320円に対して34.38%のプレミアムをそれぞれ加えた価格となるとのことです。

 また、本公開買付価格である1株当たり430円は、本書提出日の前営業日である2024年5月13日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値326円に対して31.90%のプレミアムを加えた価格となるとのことです。

 

② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得

 当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に対する意思決定の公正性を担保するために、公開買付者及び当社から独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるG-FASに対し、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2024年5月10日付で当社株式価値算定書を取得いたしました。

 当社及びG-FASとの関係並びに算定の概要については、上記「(3)算定に関する事項」をご参照ください。

 

③ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得

 当社は、本取引が構造的な利益相反の問題を内包すること等に鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2024年2月19日に開催された当社取締役会における決議により、公開買付者及び当社から独立した、外部の有識者を含む委員(当社の社外取締役(監査等委員)兼独立役員である本間政司氏、当社の社外取締役(監査等委員)兼独立役員である安藤宏和氏、及び外部有識者である須田雅秋氏(公認会計士、須田公認会計士事務所)の3名)によって構成される本特別委員会を設置いたしました。当社は、当初から上記3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。また、本特別委員会の委員の互選により、当社の社外取締役(監査等委員)兼独立役員である本間政司氏が本特別委員会の委員長に就任しております。なお、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。

 そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かを含む。)、(ⅱ)本取引の条件(本公開買付けにおける買付け等の価格を含む。)の公正性、(ⅲ)本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性、(ⅳ)本取引(本公開買付けに対して賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、その他当社による本取引の手続に係る決定を含む。)が当社の少数株主にとって不利益なものでないか、(ⅴ)上記(ⅰ)から(ⅳ)を踏まえ、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非(以下、(ⅰ)から(ⅴ)を総称して「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点についての答申書を当社取締役会に提出することを委嘱いたしました。

 また、当社は、上記取締役会決議において、本公開買付けに対する意見表明の内容を審議する当社取締役会においては、本特別委員会の設置の趣旨に鑑み、本諮問事項に対する本特別委員会の答申内容を最大限尊重するものとし、本特別委員会が取引条件を妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は、本公開買付けに賛同しないこととする旨を決議しております。併せて、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対して、(a)本特別委員会が自ら公開買付者と交渉を行うことができる権限のほか、公開買付者との交渉を当社の社内者やアドバイザー等が行う場合でも、本特別委員会は、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与えることができる権限、(b)必要に応じて自らの外部アドバイザー等(ファイナンシャル・アドバイザー、第三者算定機関、リーガル・アドバイザー等)を選任し(この場合の費用は当社が負担する。)、又は、当社が選任する外部アドバイザー等について、指名又は承認(事後承認を含む。)する権限、更に、(c)答申を行うにあたって必要となる一切の情報の収集を当社の役員及び従業員並びに外部アドバイザー等に対して求めることができる権限をそれぞれ付与しております。上記(b)の権限付与を受けて、本特別委員会は、2024年2月26日に開催された第1回の会合において、当社が選任する外部アドバイザー等に関し、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるG-FAS並びにリーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所について、いずれも独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、その選任を承認しております。

 本特別委員会は、2024年3月26日から2024年5月10日までに、会合を合計11回開催したほか、会合外においても電子メール等を通じて、意見表明や情報交換、情報収集等を行い、必要に応じて随時協議を行う等して、本諮問事項に関し、慎重に検討を行いました。具体的には、本特別委員会は、当社から、当社の事業内容・業績推移、主要な経営課題、本取引により当社の事業に対して想定されるメリット・デメリット、本取引の条件の検討の際に基礎とされる当社の事業計画の内容及び策定手続等について説明を受け、質疑応答を行いました。本特別委員会は、当社が作成した事業計画について、当社からその内容及び重要な前提条件について説明を受けるとともに、これらについての合理性を確認し、承認しております。また、公開買付者から、本取引を提案するに至った検討過程、本取引後に想定している施策の内容、本取引によって見込まれるメリット・デメリットその他の影響の内容及び程度、並びに本取引後に予定している当社の経営方針等について説明を受け、質疑応答を行いました。さらに、当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるG-FASから、当社株式の株式価値の算定に関する説明を受け、その算定過程に関して質疑応答を行った上で、当該算定結果の合理性について検討いたしました。以上の検討に際して、本特別委員会は、当社のリーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所から、特別委員会の意義・役割等を含む本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置の内容について適宜助言を受けております。

 そして、本特別委員会は、当社から、当社と公開買付者との間における本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、当社に対して計5回にわたり、公開買付者に対して本公開買付価格の増額を要請すべき旨を意見し、当社が当該意見に従って公開買付者と交渉を行ったことにより、公開買付者との交渉過程に実質的に関与いたしました。

 本特別委員会は、以上の経緯のもと、本諮問事項について慎重に審議及び検討を重ねた結果、2024年5月10日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の本答申書を提出いたしました。

 

(a)答申内容

(ⅰ)本取引は当社の企業価値の向上に資するものといえ、その目的は正当であり、かつ合理性があると考えられる。

(ⅱ)本公開買付価格を含む本取引の条件には公正性が確保されていると考えられる。

(ⅲ)本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続には公正性が確保されていると考えられる。

(ⅳ)本取引(本公開買付けに対して賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、その他当社による本取引の手続に係る決定を含む。)は、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられる。

(ⅴ)上記(ⅰ)から(ⅳ)を踏まえると、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは、いずれも相当であると考えられる。

 

(b)答申理由

(ⅰ)本取引の目的の正当性・合理性(本取引が当社の企業価値の向上に資するか否かを含む。)

 以下の点を総合的に考慮すると、本取引は当社の企業価値の向上に資するものといえ、その目的は正当であり、かつ合理性があると考えられる。

・当社によれば、昨今の当社を取り巻く環境として、5Gの普及、DX化の促進、AI活用機会の増加の変化が生じたことから、当社においては、ストリーミング技術に関する需要が益々拡大すると認識し、2020年10月から、当社の強みであるストリーミング技術を活かしたソフトウェア開発に経営資源を集中し、個別の顧客ニーズに応えるエンジニアリング・サービス(受託開発)を推進し顧客の開発パートナーとしての地位を確立することで、継続的で安定した収益基盤の確立、企業価値の向上に取り組んでいるとのことである。当社においては、2020年10月以降、取り組んできたエンジニアリング・サービス(受託開発)を中心とする当社事業に対する需要は、引き続き堅調に拡大するものと考えているとのことである。一方で、かかる需要の拡大を前提として、当社は、以下の経営課題を認識しているとのことである。

a 顧客の拡大及び営業リソースの確保の必要性

 当社の事業の中心であるエンジニアリング・サービス(受託開発)は、顧客の経営状況や開発方針の影響を受け易く、特定の顧客への依存度が高すぎると、その顧客の開発中断などがあった場合、当社の業績に大きく影響が出るリスクが内在しているところ、当社としては、当該リスクを低減・分散させるためには、取引顧客数を一定規模まで増加させることが不可欠であると考えている。また、取引顧客数の拡大に向けた営業リソースが十分に確保できない場合、顧客の拡大が計画通り進まず、当社の事業拡大を妨げる要因となることから、当社としては、同時に営業リソースの確保が必要と考えている。

b エンジニアの確保及び育成の必要性

 エンジニアリング・サービス(受託開発)を中心とする当社の事業の成長のためには、顧客ニーズに対応するために十分な人数の優秀なエンジニアの採用が不可欠であり、当社としては、新卒・中途を含めた採用の強化に取り組んでいるものの、人材採用競争が激化する中、エンジニアが計画どおり採用できなかった場合には、受注機会の逸失など、当社の事業遂行の妨げになると捉えている。また、当社は、日々進化する情報通信技術及び個別の顧客ニーズの変化に的確に対応するためには、先端技術の習得など人材の育成を継続的に行っていく必要があることから、かかる人材採用に加えて人材育成が重要であると考えている。

・当社によれば、本取引によって当社が公開買付者の完全子会社となることで、(ア)連携強化による一体的な事業の推進が可能となること(当社は公開買付者の連結子会社ではあるものの、公開買付者と当社が独立した上場会社であるため、営業情報の共有には一定の制約が存在するが、公開買付者による当社の完全子会社化により、かかる制約なく営業情報を早期に共有することで、両社の営業情報及び経営資源を相互に利用できる。公開買付者と当社が独立した上場会社であるため、顧客基盤の相互活用にも一定の制約が存在するが、公開買付者による当社の完全子会社化により、かかる制約なく相互活用が可能になる。)、(イ)公開買付者の顧客基盤及び営業リソース等を活用した顧客開拓力の拡大(公開買付者の幅広い顧客基盤の共有が一層進められること及び公開買付者の販売チャネルの共有その他営業リソース等の更なる活用が可能となることを通じて、当社のサービスの受注機会がより多く創出され、顧客獲得機会の拡大及び当社の事業拡大を実現できると考えられる。)及び(ウ)上場維持コストの負担軽減(当社が公開買付者の完全子会社となり、当社株式が上場廃止となることで、監査費用等の固定的な上場維持コストを削減することが可能となるほか、近年の新市場区分における上場維持基準への適合対応及び改訂されたコーポレートガバナンス・コード等に対応するための体制や業務負担を軽減できる。)が想定されるとのことであるが、当社が想定するシナジー効果の実現に向けて、当社と公開買付者の認識に著しい乖離は認められない。また、公開買付者グループとの連携の更なる強化により、当社においては、当社単体と比較して、公開買付者に蓄積された顧客基盤及び営業リソース等の更なる利活用により、顧客獲得機会の拡大、更には事業規模の拡大等が現状よりも更に促進され得るという点は、本特別委員会としても首肯できるものである。これらの事情を踏まえると、本特別委員会としては、本取引後もこれまでの当社の経営方針を主軸に置いた上で、当社と公開買付者グループとの更なる連携の強化を実現することにより、当社の経営課題の解決が一層促進されることが期待できると考えられ、この点において、本取引の実施が当社の企業価値の向上に資するとの当社の判断には一定の合理性があると思料する。

・本取引により当社株式が上場廃止となることに伴い想定され得るデメリットについて、当社及び公開買付者に対するインタビュー等を通じて検討した結果、当社の取引先に対する影響、今後の資金調達への影響、コンプライアンス体制への影響、今後の人材採用への影響、既存従業員への影響など、いずれにおいてもその影響は限定的と考えられ、本取引によって期待されるメリットを上回るデメリットが生じる具体的な可能性は、特段認められない。

 

(ⅱ)本取引の条件(本公開買付価格を含む。)の公正性

 以下の点を総合的に考慮すると、本公開買付価格を含む本取引の条件には公正性が確保されていると考えられる。

・本公開買付価格は、G-FASによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価平均法の算定レンジ及び類似会社比較法の算定レンジの上限値を上回り、かつ、DCF法の算定レンジの中央値を上回る価格である。この点、G-FASから受けた当該算定結果に係る説明を踏まえると、算定手法の選択や各算定手法による具体的な算定過程に特段不合理な点は見当たらない。なお、DCF法の算定の基礎とされた当社の事業計画については、具体的な計画数値の設定過程において公開買付者の関与はないとのことであり、事業計画の内容について、当社によれば、足元における事業環境を踏まえた標準的な内容となっており、特に保守的な内容としているものではないとのことであって、その他当社の独立性に疑念を生じさせる事情は特段見当たらず、本事業計画の内容について、当社の少数株主の利益の観点から不合理な点は認められない。以上より、G-FASによる当社株式の株式価値の算定結果には一定の合理性があると考えられるところ、本公開買付価格は、当該算定結果に照らして合理的な水準にあると考えられる。

・本公開買付価格は、本公開買付けの公表日の前営業日である2024年5月10日を基準日として、当社株式の基準日の終値、直近1か月間の終値単純平均値、直近3か月間の終値単純平均値、直近6か月間の終値単純平均値に対して、それぞれ33.13%(基準日)、33.96%(直近1か月間)、31.90%(直近3か月間)及び34.38%(直近6か月間)のプレミアムが付されたものとなる。2024年5月10日時点の当社のPBRは2倍超であるが、(ア)M&A指針が公表された2019年6月28日以降、2024年5月9日までに公表され成立した支配会社による従属会社の非公開化に向けた公開買付け事例のうち対象会社のPBRが2倍超である4件のプレミアム割合の中央値(公表日の前営業日の終値に対して31.27%、公表日の前営業日までの直近1か月間の終値単純平均値に対して32.68%、直近3か月間の終値単純平均値に対して37.15%、直近6か月間の終値単純平均値に対して35.92%)との比較において、公表日の前営業日までの直近3か月間の終値単純平均値及び直近6か月間の終値単純平均値に対するプレミアム割合において下回るが、公表日の前営業日の終値及び公表日の前営業日までの直近1か月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において上回ること、(イ)当該4件に、M&A指針が公表された2019年6月28日以降、2024年5月9日までに公表され成立し、支配会社による従属会社の買収と同じくM&A指針が対象としているMBOに係る非公開化に向けた公開買付け事例のうち対象会社のPBRが2倍超である10件を加えた14件のプレミアム割合の中央値(公表日の前営業日の終値に対して26.83%、公表日の前営業日までの直近1か月間の終値単純平均値に対して25.66%、直近3か月間の終値単純平均値に対して33.88%、直近6か月間の終値単純平均値に対して27.37%)との比較において、公表日の前営業日までの直近3か月間の終値単純平均値に対するプレミアム水準において下回るが、公表日の前営業日の終値、公表日の前営業日までの直近1か月間の終値単純平均値及び直近6か月間の終値単純平均値に対するプレミアム割合において上回ること等に鑑みれば、本公開買付価格はかかる類似事例と同程度のプレミアム水準にあると認められ、相応のプレミアムが付された価格であると評価できる。

・本公開買付けにおいては、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティに相当する買付予定数の下限の設定は予定されていないが、経済産業省が2019年6月28日付で公表した「公正なM&Aの在り方に関する指針」においても、既に買収者の保有する買収対象会社の株式の割合が高い場合においては、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定することにより、企業価値の向上に資するM&Aの成立を阻害してしまうおそれ等があるとの懸念もあり、常に当該条件を設定することが望ましいとまでいうことは困難であるとされている。本特別委員会としては、公開買付者における当社株式の所有割合を踏まえると、上記の懸念が相当程度当てはまると考えられること、仮に同条件を設定すると、かえって本公開買付けに応募した少数株主の利益を害する可能性があること、さらに、他の公正性担保措置の実施状況に照らせば、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性は確保されていると評価できること等を総合的に考慮すると、本公開買付けにおいて、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていなくとも、本取引の条件の公正性が否定されるものではないと思料する。

・本スクイーズアウト手続としては、株式売渡請求又は株式併合が予定されているところ、いずれの場合でも、法令上、本公開買付けに応募しなかった株主に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されている。また、公開買付者によれば、本スクイーズアウト手続は、本公開買付けの決済の完了後速やかに進めていく予定とのことであり、さらに、①株式売渡請求の場合は、公開買付者が、1株当たりの対価として、各株主に対し本公開買付価格と同額の金銭を交付すること、②株式併合の場合は、併合の結果生じた端数の合計数に相当する当社株式の売却価格について、当該売却の結果、本公開買付けに応募しなかった当社の株主に交付される金銭の額が、本公開買付価格に当該各株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう設定した上で、裁判所に対して任意売却許可の申立てを行うことが予定されている。以上のとおり、本取引においては、いわゆる強圧性の問題に対応すべく、本公開買付けに応募しなかった少数株主の利益に配慮がなされているといえ、本スクイーズアウト手続に係る条件には、一定の合理性があると考えられる。

・下記(ⅲ)のとおり、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続には公正性が確保されていると考えられるところ、本公開買付価格を含む本取引の条件は、かかる公正な手続を経た上で決定されたものであることが認められる。

 

(ⅲ)本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続の公正性

 以下の点を総合的に考慮すると、本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続には公正性が確保されていると考えられる。

・当社は、本取引の検討にあたり、当社の意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、公正性担保措置の一環として本特別委員会を設置している。本特別委員会は、本公開買付価格の具体的な交渉に入るより以前に設置されており、設置時期につき不合理な点は認められず、また、各委員の独立性を疑うべき事由は認められない。また、当社取締役会は、本特別委員会の設置を決議するに際し、本特別委員会に対し、①本特別委員会が自ら公開買付者と交渉を行うことができる権限のほか、公開買付者との交渉を当社の社内者やアドバイザー等が行う場合でも、適時にその状況の報告を受け、重要な局面で意見を述べ、指示や要請を行うこと等により、取引条件に関する交渉過程に実質的に影響を与えることができる権限、②必要に応じて本特別委員会独自の外部アドバイザー等を選任する権限(この場合の費用は当社が負担するものとされている。)のほか、当社が選任する外部アドバイザー等について指名又は承認(事後承認を含む。)する権限、③答申を行うにあたって必要となる一切の情報の収集を当社の役員及び従業員並びに外部アドバイザー等に対して求めることができる権限をそれぞれ付与している。これを受けて、本特別委員会は、当社が選任したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関、並びにリーガル・アドバイザーにつき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことを確認の上、それぞれを当社のアドバイザー等として承認した。さらに、当社取締役会は、本特別委員会の設置を決議するに際し、本公開買付けに対する意見表明の内容を審議する取締役会においては、本特別委員会の答申内容を最大限尊重するものとし、本特別委員会が取引条件を妥当でないと判断した場合には、本公開買付けに賛同しないこととする旨を決議しており、特別委員会の判断内容の実効性の確保に配慮がなされている。以上のとおり、特別委員会としての実効性を高めるための実務上の措置が採られた上で、本特別委員会は、企業価値の向上及び少数株主の利益を図る立場から、本取引の是非や取引条件及び手続の公正性について検討・判断を行った。

・当社は、本取引に係る意思決定の公正性を担保するために、独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるG-FASから当社株式価値算定書を取得しているほか、独立したリーガル・アドバイザーであるシティユーワ法律事務所から本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けている。なお、当社は、G-FASから、いわゆるフェアネス・オピニオンまでは取得していないが、我が国においては、フェアネス・オピニオンの公正性担保措置としての有効性は事案により一様ではないと解されている中、本取引の検討過程に照らした結果、本取引の是非を検討するために、フェアネス・オピニオンの取得が必須であると考えるべき事情までは認められず、これを取得しなくとも、本取引に係る交渉過程及び意思決定過程に至る手続の公正性が否定されるものではないと思料する。

・本特別委員会は、公開買付者との本公開買付価格に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、交渉の方針等について協議を行い、当社に意見する等して、その交渉過程に実質的に関与しており、かかる交渉過程に関して、当社の少数株主の利益に配慮すべき観点から特段不合理な点は見当たらない。

・当社の取締役7名のうち1名が公開買付者の出身者であり、同社に在籍していた期間が35年以上に亘り、かつ、同社を退職してから5年を経過していないところ、当社においては、利益相反の問題による影響を受けるおそれを可能な限り排除し、本取引の公正性を担保する観点から、上記の1名の取締役は、当社取締役会におる本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議に参加しないことが予定されている。その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付者からの独立性に疑義がある者が当社の意思決定に不当な影響を与えたことを推認させる事実は認められない。

・公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間の20営業日より長期の30営業日に設定することにより、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保しつつ、公開買付者以外にも当社株式の買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買付価格の公正性を担保することを企図しているとのことである。また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触等を行うことを制限するような内容の合意は一切行っていないとのことであり、上記公開買付期間の設定と併せて、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことである。

・本取引に係るプレスリリースにおいては、本特別委員会に関する情報、当社株式の株式価値の算定結果の内容に関する情報、本取引を実施するに至った背景・目的等に関する情報、当社と公開買付者との間で行われた取引条件等に関する協議・交渉の具体的な経緯に関する情報等について、それぞれ一定の開示が予定されており、当社の株主による取引条件の妥当性等についての判断のために相当な情報が開示される予定であることが認められる。

 

(ⅳ)本取引(本公開買付けに対して賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、その他当社による本取引の手続に係る決定を含む。)が当社の少数株主にとって不利益なものではないか

 以上のとおり、(ⅰ)本取引は当社の企業価値の向上に資するものといえ、その目的は正当であり、かつ合理性があると考えられ、(ⅱ)本公開買付価格を含む本取引の条件には公正性が確保されていると考えられ、(ⅲ)本取引に係る交渉過程及び意思決定に至る手続には公正性が確保されていると考えられる。そして、上記の検討事項以外の点において、本取引が当社の少数株主にとって不利益なものであると考えるべき特段の事情は認められないため、本取引(本公開買付けに対して賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨すること、その他当社による本取引の手続に係る決定を含む。)は、当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられる。

 

(ⅴ)上記(ⅰ)から(ⅳ)を踏まえ、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非

 上記(ⅰ)から(ⅳ)を踏まえると、当社取締役会が本公開買付けに対して賛同意見を表明すること、及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは、いずれも相当であると考えられる。

 

④ 当社における独立したリーガル・アドバイザーからの助言

 当社は、本公開買付けを含む本取引に係る当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、公開買付者及び当社から独立したリーガル・アドバイザーとしてシティユーワ法律事務所を選任し、本取引において手続の公正性を確保するために講じるべき措置、本取引の諸手続並びに本取引に係る当社の意思決定の方法及びその過程等に関する助言を含む法的助言を受けております。

 シティユーワ法律事務所は、当社及び公開買付者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るシティユーワ法律事務所の報酬は、タイムチャージ方式によるもののみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。なお、本特別委員会は、2024年2月26日開催の第1回の会合において、シティユーワ法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことを確認した上で、当社のリーガル・アドバイザーとして選任することを承認しております。

 

⑤ 当社における独立した検討体制の構築

 当社は、構造的な利益相反の問題を排除する観点から、公開買付者から独立した立場で、本取引に係る検討、交渉及び判断を行う体制を当社の社内に構築いたしました。

 具体的には、当社は、2024年2月19日付で公開買付者から本意向表明書を受領して以降、利益相反の疑義を回避する観点から、当社と公開買付者との間の本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件に関する交渉及び当社内部における検討過程において、公開買付者の役職員を兼務しない取締役2名及び従業員3名の計5名による社内検討体制を構築いたしました。このような体制のもとで、当社は、G-FASがDCF法の算定の基礎とした2025年3月期から2027年3月期までの3期分の事業計画を策定しており、当該事業計画の作成過程において公開買付者による関与はありません。

 以上の取扱いを含めて、当社の社内に構築した本取引の検討体制(本取引の検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)はシティユーワ法律事務所の助言を踏まえたものであり、独立性及び公正性の観点から問題がないことについて、本特別委員会の承認を得ております。

 

⑥ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員である者を含みます。)の承認

 当社は、G-FASから受けた財務的見地からの助言並びに当社株式価値算定書の内容及びシティユーワ法律事務所から受けた法的助言を踏まえつつ、本答申書において示された本特別委員会の判断内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引が当社の企業価値の向上に資するか否か、及び本公開買付価格を含む本取引に係る取引条件が妥当なものか否かについて、慎重に協議・検討いたしました。

 その結果、当社は、上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引を実施することで上記「(2)意見の根拠及び理由」の「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」の「Ⅰ.連携強化による一体的な事業の推進が可能となること」及び「Ⅱ.公開買付者の顧客基盤を活用した顧客開拓力の拡大」に記載のシナジーを実現することが可能となると考えられることから、当社の企業価値の向上に資するものであり、かつ、本公開買付価格は当社の株主の皆様が享受すべき利益が確保された妥当な価格であり、本公開買付けは当社の株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2024年5月13日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役6名の全員一致で、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。

 なお、当社の取締役7名のうち、髙橋慶氏は、公開買付者の出身者であり、同社に在籍していた期間が35年以上に亘り、かつ、同社を退職してから5年を経過していない状況に鑑み、利益相反の疑いを可能な限り回避する観点から、当社取締役会における本公開買付けへの意見表明に係る議案の審議及び決議に参加しておらず、また、本取引に関し、当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切参加しておりません。

 

⑦ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保

 公開買付者は、当社との間で、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項を含む合意等、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。また、公開買付者は、本公開買付けの買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)を法令に定められた最短期間である20営業日より長い30営業日に設定しているとのことです。このように、公開買付者は、公開買付期間を法定の最短期間よりも長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について公開買付者以外の者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、もって本公開買付けの公正性の担保に配慮しているとのことです。

 

(7)公開買付者と当社の株主・取締役等との間における公開買付けへの応募に係る重要な合意に関する事項

 該当事項はありません。

 

4【役員が所有する株券等の数及び当該株券等に係る議決権の数】

氏名

役職名

所有株式数(株)

議決権の数(個)

朝倉 尉

代表取締役社長

10,000

100

藤井 孝博

取締役 開発本部長

100

1

赤田 正樹

取締役 営業本部長

200

2

高橋 雄一郎

取締役 管理本部長

100

1

髙橋 慶

取締役(監査等委員)

0

0

本間 政司

取締役(監査等委員)

0

0

安藤 宏和

取締役(監査等委員)

0

0

10,400

104

 (注1) 役名、職名、所有株式数及び議決権数は本書提出日現在のものです。

 (注2) 髙橋慶、本間政司及び安藤宏和は、社外取締役です。

 

5【公開買付者又はその特別関係者による利益供与の内容】

 該当事項はありません。

 

6【会社の支配に関する基本方針に係る対応方針】

 該当事項はありません。

 

7【公開買付者に対する質問】

 該当事項はありません。

 

8【公開買付期間の延長請求】

 該当事項はありません。

 

以 上