当第1四半期連結累計期間において、当四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
① 当社グループの経営成績
当第1四半期連結累計期間における当社グループを取り巻く経営環境は、長期化する国際情勢の緊迫状態や資源価格の高騰によって継続的に物価は上昇しております。公共・民間の投資は堅調に推移しているものの、2023年度の新築住宅着工戸数は前年から減少している状況などに鑑みると、高止まりする建設関連コストによる投資意欲の低下が懸念され、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、2025年度を最終年度とする中期経営計画「PROTECT×CHANGE」において定めた以下の成長戦略を着実に推進することで企業価値の向上を図ってまいります。
当第1四半期連結累計期間における売上高は119億66百万円(前年同四半期比11.1%増)及び売上総利益は26億37百万円(前年同四半期比20.2%増)となりました。
販売費及び一般管理費は21億27百万円であり、前年同四半期比8.8%増と増加しております。主な増加要因及びそれらによって期待される効果等は以下のとおりであります。
*1 2023年4月より定期昇給と合計して平均約5%の上昇率にて実施
*2 下記2社を前第1四半期連結会計期間末より連結の範囲に含めています。
株式会社メデア:再生可能エネルギー関連事業(太陽光発電事業)の強化
株式会社アドアシステム:住宅機器関連事業(空調設備工事)の強化
これらの結果、営業利益は5億9百万円(前年同四半期比114.9%増)となり、経常利益は4億94百万円(前年同四半期比97.3%増)及び親会社株主に帰属する四半期純利益は2億54百万円(前年同四半期比143.2%増)となりました。
② セグメントごとの経営成績
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
本事業セグメントでは、家庭から排出される生活排水を浄化して河川等に放流する「浄化槽」や産業排水処理を浄化するための「排水処理システム」の開発・設計・製造・施工・販売・メンテナンスを幅広く手掛けることで、様々な情報を製品開発にフィードバックすることが出来る循環型のサービス体制を構築して展開しております。
上記の下水処理だけでなく、排水を再利用する中水事業や地下水を汲み上げて飲料化する上水事業にも取り組んでおります。
・浄化槽・排水処理システム
a 国内
大型工事案件の進捗状況による影響に加え、仕入価格や外注費の上昇に係る価格転嫁についての取り組みが進んでいることにより売上高が増加しております。また、セグメント利益につきましても大型工事の高利案件の計上があり、前年同四半期と比較すると大きく増加しております。
b 海外
グループ全体の海外売上高は前年同四半期と比較して増加しており、国別の状況は以下のとおりです。
c メンテナンス売上
当社グループの中期経営計画にて定める成長戦略に基づき、ストックビジネスとしてメンテナンス売上の拡大による強固な企業基盤作りを進めております。契約件数を増やすとともに、既存のメンテナンス契約先との価格交渉も進めており、随時原価の上昇部分の転嫁を行っている状況であります。
また、海外におけるメンテナンス売上も全体への影響は僅少ながらも増加しております。浄化槽の性能を維持するためにメンテナンスは必須であり、メンテナンス売上の拡大は当社グループの企業基盤強化だけでなく水環境を改善するためにも重要であると認識しておりますので、環境意識の醸成や規制づくりへの働きかけも含めて推進してまいります。
・地下水飲料化事業
ストックビジネスであるエスコ契約※に係る新規契約は増加しております。
近年ではエスコ契約を行わない地下水飲料化装置の販売につきましても顧客ニーズが高まっていることによって売上高は増加しております。この場合も、販売後のメンテナンス契約を締結することでストックビジネスの拡大に貢献しており、新規契約によって増加しております。
地下水飲料化装置の導入は、公共の上水道料金と比較してコストメリットがあるだけでなく、災害などで上水道が寸断された際のライフラインとしての活躍も期待されていることから、近年は各自治体からもBCP対策としての有用性に興味を示していただいております。
※エスコ契約:設備費用・運転費用を全て当社が調達し、月々のシステム使用料金を水の使用量に応じて契約先にご負担いただく契約であります。本ビジネスモデルにおける施設の償却は契約期間である10年間の定額法にて実施しており、10年経過後もエスコ契約が継続する場合においては償却費の負担が大幅に減少することとなり、利益基盤の強化に大きく寄与いたします。
本事業セグメントでは、当社の祖業でもある卸売事業としてゼネコンやハウスメーカー、ホームセンター等へのキッチン・ユニットバス・トイレ等を中心とした住宅設備・建築資材の販売をおこなっております。
また、施工を伴う事業も行っており、タイルなどの外壁工事や農業温室を取り扱うとともに、近年ではM&Aによって空調設備、冷凍冷蔵設備なども取り扱っております。
なお、当連結会計年度より従来は商材の販売のみであった「木構造事業※」における新たな取組として、メーカーとして地域産材利活用方法の提案・構造設計・部材製造・販売・建て方支援などの幅広い業務を請負う形での展開を開始いたしました。
※木構造事業:鉄骨造、RC造に対し、柱や梁などメインフレーム(構造体)が木材でできているものを木造あるいは木構造と呼び、中大規模施設などさまざまな非住宅の建築物に対し、耐震・耐火に優れた木構造を提案する事業です。従来は鉄骨・RC造で建てられていた建物に地域の木材を利用することができ、地場産材の活用事例としても注目されています。また、サステイナビリティの面では、樹木が吸収した二酸化炭素を固定化することができ、カーボンニュートラルの実現に貢献します。
・建設関連業者等(ゼネコン・地場建築業者・ハウスメーカー等)向け住宅設備・建築資材等の販売
2023年度の新設住宅着工戸数が前年比4.6%減と減少している中、注文住宅の減少幅は11.4%となっており、1959年以来の低水準となっております。一方で、マンションなどの需要は大きな増減はないことから、当社におきましても大阪や広島などのマンションの新築が多いエリアと戸建てが中心となるエリアで販売状況が大きく異なることとなりました。その結果、建設関連業者等への住宅設備・建築資材等の卸売につきましては前年と比較して減少という結果となりました。
仕入価格の上昇部分の販売価格への転嫁につきましては概ね進んでいる状況ではありますが、今後の課題として当社の人件費のベースアップ等による上昇や今後見込まれる配送費の増加部分の転嫁については引き続き解決すべき課題として認識しております。
・ホームセンター向けリテール商材の販売
新型コロナウイルス感染症の5類感染症への移行に伴い、天候不順や行動制限解除等の影響によってリフォームやDIY需要が減少しております。そのため、ホームセンター向けのリテール商材の販売につきましては前年同四半期と比較して減少しております。
・住機部門工事(外壁・農業温室・冷凍冷蔵設備工事・空調設備工事・木構造等)
前第1四半期連結会計期間末より新たに空調設備工事を行う子会社を連結の範囲に含めていることから売上は大きく増加しております。また、農業温室工事におきましては設備投資需要が回復していることから堅調に推移しております。
(再生可能エネルギー関連事業)
本事業セグメントでは、太陽光発電事業、小形風力発電事業、バイオディーゼル燃料(BDF)事業、水熱処理事業※を行っております。日本では2020年10月に「2050年カーボンニュートラル宣言」を行い、エネルギー政策の大幅な転換が始まりました。当社グループでは2002年にBDF事業に参入して以降、様々な社会ニーズに対応するために活用頂ける選択肢を増やしており、電力需要家の皆様に最適なエネルギーミックスをお選びいただけるような総合的なサービスを展開しております。
※水熱処理:高温高圧状態の水で有機物を処理することで廃棄物等を有効活用することのできる処理方法であり、燃焼を伴わないことからNOx(窒素酸化物), SOx(硫黄酸化物),ダイオキシン等の有害物質を処理時に発生させない処理です。
・太陽光発電事業
前第1四半期連結会計期間末より新たに子会社を連結の範囲に含めていることに加え、FIT※による売電を行っているサイトは189件(前年同四半期比25件増)、PPA※による売電を行っているサイトは29件(前年同四半期比26件増)という状況であり、売上は大きく増加しております。
※FIT:当社グループが自己資金で太陽光発電所を開設し、再生可能エネルギー源を用いて発電された電気を国が定める価格で一定期間、電気事業者が買い取ることを義務付けるものです。
※PPA:当社グループが自己資金で太陽光発電所を開設し、再生可能エネルギー源の電気を購入したい電力需要家との間で電力購入契約を結び、発電した電気を供給する仕組みです。
・小形風力発電事業
前第1四半期連結累計期間におきましては、他3社と共同参画しております環境省の「CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業」における売上を計上していたことから、前年同四半期比は減少しております。現在、実証事業は終了しておりますが市場での販売開始に向けた検証を進めている状況です。
なお、FITを利用した小形風力発電に係る売電のための施設について、現在24サイトが稼働しており、引き続き2025年までに総数70サイトの稼働の計画に向けて推進してまいります。
・バイオディーゼル燃料関連事業
「B5軽油」の営業強化に引き続き取り組んでいることから契約件数は堅調に増加しており、前年同四半期と比較して売上高が増加しております。
なお、関東地方でのBDFの販売を展開するために精製プラントを茨城県に建設いたしました。本格的な製造の開始は2024年8月頃を見込んでおりますが、愛媛県での知見を元に近隣の自治体等とも連携した取り組みを展開してまいります。
※B5軽油:当社グループでは、使用済み天ぷら油を精製したバイオディーゼル燃料である「D・OiL」を製造しております。「B5軽油」は軽油にD・OiLを5%混合したものであり、国の定める軽油の強制規格(法律に基づいて守ることが義務付けられている規格)を満たしており、軽油と同様に安全かつ安心して使用可能です。
・水熱処理事業
当該事業では新技術確立に向けた研究開発を中心に行っており、売上への寄与は僅少であります。
本事業セグメントでは、安全で美味しいボトル型ウォーターサーバーの宅配サービスと水道直結型ウォーターサーバーのレンタルサービスを取り扱っており、「水」に特化した住環境サービスとして、ご家庭に安心かつ安全な飲料水を提供する家庭用飲料水事業を展開しております。
家庭用飲料水事業について、廃プラスチックの問題等に鑑みてボトル型ウォーターサーバーから水道直結型ウォーターサーバーへの転換を進めております。そのため、ボトル型ウォーターサーバーの契約数は減少しておりますが、サブスクモデルである水道直結型ウォーターサーバ―の契約者数は増加しております。
(2) 財政状態の状況
(資産)
大型案件の完成により完成工事未収入金が前連結会計年度と比較して増加していることから、前連結会計年度と比較して流動資産が増加しております。
また、再生可能エネルギー関連事業において茨城県にバイオディーゼル燃料の精製プラントを建設したことや、前連結会計年度より開始したベンチャーキャピタル事業において積極的にスタートアップ投資を行っていることから、前連結会計年度と比較して固定資産が増加しております。
(負債・純資産)
大型案件の進捗に伴い工事未払金が増加したことから、前連結会計年度と比較して流動負債が増加しております。
また、昨年行った2社のM&A及び再生可能エネルギー関連事業への設備投資に係る借入の定期返済により、前連結会計年度と比較して固定負債が減少しております。
当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は17百万円であります。
当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。