当社は、2023年12月22日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)500,000株を1株に併合する株式の併合(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする2024年1月19日開催予定の当社の臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
1.株式併合の目的
当社が2023年9月27日に公表した「MBOの実施及び応募の推奨に関するお知らせ」(以下「当社意見表明プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、株式会社BCJ-76(以下「公開買付者」といいます。)は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)のプライム市場(以下「東京証券取引所プライム市場」といいます。)に上場している当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式、株式会社エイチエムティ(以下「エイチエムティ」といいます。)が所有する当社株式(2,627,600株、所有割合(注1):11.37%)の全て及び一般財団法人松原奨学財団(以下「松原奨学財団」といいます。)が所有する当社株式(1,000,000株、所有割合:4.33%)の全てを除きます。)を取得することにより、いわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)(注2)のための一連の取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施することを決定しております。
(注1)「所有割合」とは、当社が2023年8月10日に提出した「第44期第3四半期報告書」に記載された2023年8月10日現在の発行済株式総数(23,672,000株)から、2023年6月30日現在の当社が所有する自己株式数(570,022株)を控除した株式数(23,101,978株)に対する割合をいい、小数点以下第三位を四捨五入しております。以下、所有割合の記載について同じです。
(注2)「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、公開買付者が対象者の役員との合意に基づき公開買付けを行うものであって対象者の役員と利益を共通にするものである取引をいいます。
その後、当社が2023年11月11日に公表した「株式会社BCJ-76による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」に記載のとおり、公開買付者は、2023年9月28日から2023年11月10日まで本公開買付けを実施した結果、2023年11月17日(本公開買付けの決済の開始日)をもって、当社株式16,356,848株(所有割合:70.80%)を保有するに至りました。
公開買付者は、Bain Capital Private Equity, LPが投資助言を行う投資ファンド及びそのグループ(以下、個別に又は総称して「ベインキャピタル」といいます。)により持分の全てを間接的に所有されている合同会社BCJ-75(以下「公開買付者親会社」といいます。)の完全子会社であり、当社株式を所有し、当社の事業活動を支配及び管理することを主たる目的として、2023年9月13日付で設立された株式会社であるとのことです。
当社意見表明プレスリリースに記載のとおり、当社は、ベインキャピタルより、2023年7月12日、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法による当社株式の非公開化の実現の可能性について検討したい旨の意向を受け、本公開買付けにおける当社株式の1株当たりの買付け等の価格(以下「本公開買付価格」といいます。)の公正性その他本公開買付けを含む本取引の公正性を担保すべく、2023年7月28日付で、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関としてトラスティーズ・アドバイザリー株式会社(以下「トラスティーズ」といいます。)を、リーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任するとともに、本取引の提案を検討するための特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。なお、本特別委員会の委員の構成及び具体的な活動内容等については、下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「③当社における独立した特別委員会の設置及び意見(答申書)の入手」をご参照ください。)を設置し、本取引に関する提案を検討するための体制を整備いたしました。
上記体制の下、当社は、本取引の目的を含む本公開買付けの概要、本取引が当社に与える影響、本取引後の経営方針の内容や足元の株価動向を踏まえ、本特別委員会により事前に確認された交渉方針や交渉上重要な局面における意見、指示、要請等に基づいて、トラスティーズ及びTMI総合法律事務所の助言を受けながら、公開買付者との間で複数回に亘る協議・検討を重ねてまいりました。
当社が主力としている企業向け総合ITサービス事業の分野では、企業におけるDXへの取組みが強化される中、従来のデジタル活用における要素技術が変化しており、AI・IoT・クラウド・ビッグデータなど新たな技術を習得する必要性が増しております。また、当社が提供するビジネスモデルも、従来の顧客要望に的確に応える「要求対応型」のビジネスに加えて、DXで重要視される「共創型」のビジネスに対応していく必要があり、ビジネス基盤を再構築する必要性が増しております。これまで当社は品質の高いシステム開発を柱として、大手ITベンダー等から安定的に受注を確保してきておりますが、社会やニーズの変化に伴い、大手ITベンダーがDXプロジェクトの川下に、中小のITベンダーが逆に川上にそれぞれ事業領域拡大を試みているなど、競争が激化している事業環境の中では、企業等のエンドユーザーから直接案件を受注することが重要となっており、そのための企業等のエンドユーザーへのクラウド・AI・セキュリティ等の新規提案ソリューション及び顧客基盤の拡充と、それを実現可能とするための人材の採用力強化及び採用した人材が高いモチベーションを持って働くことが可能な環境の整備が、昨今の当社の重要な課題と考えております。このような状況のもと、当社は、①DX推進を目的とした専門組織の新設とDXケイパビリティを保有する人材の育成及びDX案件の優先受注、②システムインテグレーションを中心に領域の拡張による全方位・ワンストップでのサービス提供の実現、③業種・業態の垣根を超えるエコシステム(注3)の確立に向けた施策等を継続的に実施してまいりましたが、現在の事業環境のもと上記の課題に対処するためには、より踏み込んだ施策の実施が必要であると考えるに至りました。具体的には、コア事業の顧客基盤の拡充と新規事業の創出、人材育成の更なる強化、積極的なM&Aの実行による事業領域の拡張及びエコシステムの確立等の施策を迅速かつ果敢に実行することが必要であり、その点で当社意見表明プレスリリース「②本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」の「(b)本公開買付け後の経営方針等」に記載の、公開買付者が企図している(ⅰ)ベインキャピタルの投資先との協業による新規ソリューション及び新規顧客基盤の獲得、(ⅱ)中長期の成長に向けた人材及び組織基盤の強化及び(ⅲ)M&A及びPMIの支援の内容は、当社の中長期的な競争力・収益力の強化及び成長につながると考えております。
(注3)エコシステムとは、ビジネス、特にITサービス事業の分野で、同業種間の製品連携や、異業種の企業がそれぞれのノウハウや技術を共有することで連携し、それぞれの業務やサービスを補いながら収益を上げていく構造をいいます。
しかしながら、上記の各施策の推進は、多額の初期投資や継続的な戦略的投資によるキャッシュ・フローの悪化、M&Aに付随するのれん償却費やPMIコストの増加等により短期的には当社の財務状況や業績を大きく悪化させる可能性がある一方で、これらの施策が期待される収益を生むかどうかは不確実であり、資本市場からの十分な評価を得ることができず、当社株式の株価の下落を招く可能性があることから、上場を維持したまま各施策を実行する場合、株主の皆様の利益を損なう可能性は否定できません。他方でこれらの施策を縮小又は先延ばしにすることは、中長期的には当社の競争力・収益力を弱めることにつながると考えております。
以上を踏まえ、当社の株主の皆様に対して発生するおそれがある株価の下落等の悪影響を回避し、前述の施策を迅速かつ果敢に実行していくためには、当社を非公開化し、所有と経営を一致させることで柔軟かつ機動的な経営体制を構築することが必要であると考えました。また、鈴木隆司氏(以下「鈴木氏」といいます。)は当社の代表取締役を9年間務め、当社の事業内容及び経営課題等を熟知していることを踏まえれば、マネジメント・バイアウト(MBO)の手法により当社を非公開化することには十分な合理性があるとの結論に至りました。
加えて、近年の資本市場に対する規制の強化等により、社外役員の招致や内部統制体制の充実・強化のための管理人員の増員等に伴うコストをはじめ、上場を維持するために必要なコストは増加しており、当社の負担になりつつあります。当社株式を非公開化し、これらのコストを上記の施策の実行に振り向けることで、当社の中長期の成長を実現することができると考えております。なお、当社株式の非公開化により、資本市場からエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、社会的な信用の向上といったこれまで上場会社として享受してきたメリットを享受することができなくなります。しかしながら、当社の現在の財務状況及び昨今の間接金融における低金利環境等を考慮すると、当面の間、エクイティ・ファイナンスの必要性は高くなく、また、当社のブランド力や社会的な信用は事業活動を通じて獲得・維持されている部分が大きいこと、ベインキャピタルの支援により更なる人材採用の促進が期待できること等を踏まえると、上場廃止に伴う知名度の低下により優れた人材を確保することが困難になることも考えにくいことから、今後も継続して当社株式の上場を維持する必要性は限定的と考えております。
また、本公開買付価格(930円)が、(a)下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているトラスティーズによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法及び類似公開会社比準法による算定結果の上限値を超える金額であり、また、ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法(以下「DCF法」といいます。)に基づく算定結果のレンジの範囲内であり、その基準値(DCF法による算定の基礎となる割引率及び成長率について、その感応度分析において用いた数値の中央値を使用して算出された当社株式の1株当たりの株式価値。)を上回る金額であること、(b)本公開買付けの公表日の前営業日である2023年9月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値756円に対して23.02%(小数点第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアム率の計算において同じです。)、同日までの過去1か月間の終値単純平均値759円(小数点以下を四捨五入。以下、終値単純平均値の計算において同じです。)に対して22.53%、同日までの過去3か月間の終値単純平均値745円に対して24.83%、同日までの過去6か月間の終値単純平均値758円に対して22.69%のプレミアムが加算されており、2019年6月28日以降、2023年9月8日までに実施された非公開化を目的としたMBO案件におけるプレミアムの実例44件(公表日の前営業日を基準日として、同日までの過去1ヶ月、同過去3ヶ月間及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値におけるそれぞれのプレミアム率の平均値及び中央値がそれぞれ42.11%~51.11%、40.11%~49.27%)と比較した場合、全44件のプレミアム率の平均値や中央値に照らすとやや見劣りするものの、2023年9月26日時点の当社株式のPBRが2倍以上であることを踏まえ、全44件のうち対象会社のPBRが1倍以上である事例16件(上記と同様のプレミアム率の平均値及び中央値がそれぞれ31.89%~35.12%、29.00%~33.31%)及び対象会社のPBRが2倍以上である事例3件(上記と同様のプレミアム率の平均値及び中央値がそれぞれ17.30%~19.56%、17.72%~21.29%)のプレミアム率の平均値や中央値と比較すると、これらと同程度のプレミアム水準にあるといえ、相応なプレミアムが付された価格であると評価できること、(c)下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主への利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(e)本特別委員会が、事前に交渉方針を確認するとともに、適時にその状況の報告を受け、交渉上重要な局面において意見、指示、要請等を行った上で、本公開買付価格について妥当である旨の意見を述べていること等を踏まえ、当社取締役会は、(ⅰ)本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、(ⅱ)本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上より、当社は、2023年9月27日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役の全員一致で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
そして、上記のとおり、本公開買付けが成立いたしましたが、公開買付者は、本公開買付けにより当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式及び存続予定株式(注4)を除きます。)を取得することができなかったことから、当社意見表明プレスリリースに記載のとおり、当社の株主を公開買付者、エイチエムティ及び松原奨学財団のみとするため、本株式併合を実施することとし、本株式併合を目的とする本臨時株主総会を招集することといたしました。
(注4)存続予定株式とは、エイチエムティ及び松原奨学財団(以下、総称して「存続予定株主」といいます。)が本公開買付けに応募しないことを合意した株式数である3,627,600株(所有割合:15.70%)のことをいいます。
なお、本株式併合により、公開買付者及び存続予定株主以外の株主の皆様が保有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
2.株式併合の割合
当社株式について、500,000株を1株に併合いたします。
3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
(1)会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法
上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付者、存続予定株主以外の株主の皆様が保有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(合計した数に1株に満たない端数がある場合には、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を売却し、その端数に応じて、その売却により得られた代金を株主の皆様に交付します。
当該売却について、当社は、当社株式が2024年2月7日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性はほとんど期待できないこと、本株式併合が、当社の株主を公開買付者及び存続予定株主のみとし、当社株式を非公開化するために行われるものであり、かかる目的との関係では公開買付者が端数相当株式の買受人となるのが整合的であること、及び当社において自己株式を増加させる必要も存しないことなどを踏まえて、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て公開買付者に売却することを予定しております。
この場合の売却額は、上記裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、株主の皆様の所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である930円を乗じた金額に相当する金銭を各株主の皆様に交付できるような価格に設定する予定です。
(2)当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠
本株式併合においては、株主の皆様が保有する当社株式の数に、本公開買付価格と同額である930円を乗じた金額に相当する金銭を、株主の皆様に交付することを予定しております。
また、本公開買付価格(930円)が、(a)下記「3.会社法第234条の規定により一に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付されることが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているトラスティーズによる当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価法及び類似公開会社比準法による算定結果の上限値を超える金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であり、その基準値(DCF法による算定の基礎となる割引率及び成長率について、その感応度分析において用いた数値の中央値を使用して算出された当社株式の1株当たりの株式価値。)を上回る金額であること、(b)本公開買付けの公表日の前営業日である2023年9月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値756円に対して23.02%、同日までの過去1か月間の終値単純平均値759円に対して22.53%、同日までの過去3か月間の終値単純平均値745円に対して24.83%、同日までの過去6か月間の終値単純平均値758円に対して22.69%のプレミアムが加算されており、2019年6月28日以降、2023年9月8日までに実施された非公開化を目的としたMBO案件におけるプレミアムの実例44件(公表日の前営業日を基準日として、同日までの過去1ヶ月、同過去3ヶ月間及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値におけるそれぞれのプレミアム率の平均値及び中央値がそれぞれ42.11%~51.11%、40.11%~49.27%)と比較した場合、全44件のプレミアム率の平均値や中央値に照らすとやや見劣りするものの、2023年9月26日時点の当社株式のPBRが2倍以上であることを踏まえ、全44件のうち対象会社のPBRが1倍以上である事例16件(上記と同様のプレミアム率の平均値及び中央値がそれぞれ31.89%~35.12%、29.00%~33.31%)及び対象会社のPBRが2倍以上である事例3件(上記と同様のプレミアム率の平均値及び中央値がそれぞれ17.30%~19.56%、17.72%~21.29%)のプレミアム率の平均値や中央値と比較すると、これらと同程度のプレミアム水準にあるといえ、相応なプレミアムが付された価格であると評価できること、(c)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の利益相反を解消するための措置が採られていること等、少数株主への利益への配慮がなされていると認められること、(d)上記利益相反を解消するための措置が採られた上で、当社と公開買付者との間で独立当事者間の取引における協議・交渉と同等の協議・交渉が行われた上で決定された価格であること、(e)本特別委員会が、事前に交渉方針を確認するとともに、適時にその状況の報告を受け、交渉上重要な局面において意見、指示、要請等を行った上で、本公開買付価格について妥当である旨の意見を述べていること等を踏まえ、当社取締役会は、(ⅰ)本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、(ⅱ)本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、株主の皆様に対して、合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
また、当社は、2023年9月27日開催の取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役の全員一致で、本公開買付けに賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議した後、本臨時株主総会の招集を決定した2023年12月22日付の当社取締役会の開催時点に至るまでに、本公開買付価格に関する当社の判断の基礎となる諸条件に重大な変更が生じていないことを確認しております。
以上より、当社は、端数処理により当社の株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については相当であると判断しております。
(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置
公開買付者及び当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)に該当する本取引の一環として行われるものであり、構造的な利益相反の問題が存在すること等を踏まえ、本公開買付価格の公正性の担保、本公開買付けの実施を決定するに至る意思決定の過程における恣意性の排除及び利益相反の回避の観点から、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するため、以下の措置を実施いたしました。
なお、以下の記載のうち、公開買付者において実施した措置については、公開買付者から受けた説明に基づくものです。
① 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得
当社は、本公開買付けに関する意見表明を行うにあたり、公開買付者から提示された本公開買付価格に関する当社の意思決定の過程における公正性を担保するために、公開買付関連当事者(注5)から独立した第三者算定機関であるトラスティーズに対して、当社株式の株式価値の算定を依頼し、2023年9月26日付で株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)を取得いたしました。
なお、トラスティーズは、公開買付関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るトラスティーズの報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる固定報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、第1回の特別委員会において、トラスティーズの独立性及び専門性に問題がないことから、当社の第三者算定機関として承認した上で、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認しております。
(注5)「公開買付関連当事者」とは、公開買付者、鈴木氏、存続予定株主、増田航太氏(以下「増田氏」といいます。)、本応募合意株主及び当社のことをいいます。なお、本応募合意株主とは、本公開買付けに際して、公開買付者との間で、その所有する当社株式の全てを本公開買付けに応募する旨の契約を締結した当社の株主である、松原春男氏、鈴木氏、加藤淳子氏、作間栄氏、松原春彦氏、佐藤正之氏、葭原秀之氏、長瀬昇二氏、酒井久吉氏、株式会社アイキューブ、林恭孝氏、梅原隆氏、増田行男氏、菊池方希氏、立川昇氏及び芹澤靖氏を総称していいます。
トラスティーズは、本公開買付けにおける算定手法を検討した結果、当社が継続企業であるとの前提の下、当社株式について多面的に評価することが適切であるとの考えに基づき、当社株式が東京証券取引所プライム市場に上場していることから市場株価法を、当社と比較可能な上場会社が複数存在し、類似会社比較による当社株式の株式価値の類推が可能であることから類似公開会社比準法を、当社の将来の事業活動の状況を算定に反映させるためにDCF法をそれぞれ算定方法として採用し、当社株式の株式価値の算定を行っております。なお、公開買付者及び当社は、「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載のとおり、本公開買付けを含む本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置を実施していることから、トラスティーズから本公開買付価格の公正性に関する意見(フェアネス・オピニオン)を取得しておりません。
上記の各手法に基づいて算定された当社株式1株当たりの株式価値の範囲は以下のとおりです。
市場株価法:745円~759円
類似公開会社比準法:621円~817円
DCF法:812円~1,086円
市場株価法では、2023年9月26日を算定基準日として、基準日である2023年9月26日の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値756円、直近1ヶ月間の終値単純平均値759円、直近3ヶ月間の終値単純平均値745円及び直近6ヶ月間の終値単純平均値758円を基に、当社株式の1株当たりの価値の範囲を745円から759円までと算定しております。
次に、類似公開会社比準法では、当社と比較的類似する事業を営む類似上場企業として、株式会社DTS、株式会社システナ、TDCソフト株式会社、株式会社アイネット、株式会社フォーカスシステムズ、コムチュア株式会社、株式会社CIJ、株式会社システムリサーチ、株式会社エヌアイデイ、アイエックス・ナレッジ株式会社、株式会社ジャステック、ベース株式会社、株式会社キューブシステム、株式会社クロスキャット及びアドソル日進株式会社を選定した上で、企業価値に対するEBITDAの倍率(EV/EBITDA倍率)を用いて、当社株式の株式価値を算定し、その1株当たりの株式価値の範囲を、621円から817円までと算定しております。
最後に、DCF法では、当社が作成した2022年9月期から2026年9月期までの5期分の事業計画における財務予測、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2023年9月期以降に生み出すと見込まれるフリー・キャッシュ・フローを一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式の1株当たりの価値の範囲を812円から1,086円までと算定しております。割引率は加重平均資本コスト(WACC:Weighted Average Cost of Capital)とし、8.58%から11.58%を採用しております。継続価値の算定にあたっては、永久成長率法を採用し、永久成長率法では永久成長率を0.00%から0.50%としております。
トラスティーズがDCF法の算定の前提とした当社作成の事業計画に基づく財務予測は以下のとおりです。また、当該財務予測は、大幅な増減益は見込んでおりません。また、本取引の実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、反映しておりません。
(単位:百万円)
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2023年 9月期 (3ヵ月) |
2024年 9月期 |
2025年 9月期 |
2026年 9月期 |
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売上高 |
3,961 |
16,894 |
18,314 |
20,269 |
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営業利益 |
453 |
2,040 |
2,230 |
2,554 |
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EBITDA |
467 |
2,114 |
2,284 |
2,608 |
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フリー・キャッシュ・フロー |
104 |
1,283 |
1,406 |
1,583 |
トラスティーズは、当社株式の株式価値の算定に際し、当社から提供を受けた情報及び一般に公開された情報等をそのまま採用し、それらの資料及び情報等が、全て正確かつ完全なものであることを前提としており、独自にそれらの正確性及び完全性の検証は行っておりません。また、当社の資産及び負債(簿外資産及び負債、その他偶発債務を含みます。)に関して独自の評価・査定を行っておらず、第三者機関への鑑定又は査定の依頼も行っておりません。トラスティーズの算定は、2023年9月26日までの上記情報を反映したものです。
② 当社における独立した法律事務所からの助言
当社は、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するため、公開買付関連当事者から独立したリーガル・アドバイザーとしてTMI総合法律事務所を選任し、本公開買付けを含む本取引に関する当社取締役会の意思決定の過程、方法その他の本公開買付けを含む本取引に関する意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。なお、TMI総合法律事務所は、公開買付関連当事者の関連当事者には該当せず、本公開買付けを含む本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、本取引に係るTMI総合法律事務所の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。また、本特別委員会は、第1回の特別委員会において、TMI総合法律事務所の独立性及び専門性に問題がないことから、当社のリーガル・アドバイザーとして承認した上で、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認しております。
③ 当社における独立した特別委員会の設置及び意見(答申書)の入手
当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、当社における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ること等に鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2023年7月28日付の取締役会決議により、公開買付関連当事者から独立した委員によって構成される本特別委員会(本特別委員会の委員としては、当社の社外取締役(監査等委員)である足立伸男氏、鷲﨑弘宜氏及び藤貫美佐氏を選定いたしました。当社は、当初からこの3名を本特別委員会の委員として選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。)を設置いたしました。なお、本特別委員会の委員の互選により、足立伸男氏が本特別委員会の委員長に就任しております。また、当社は、公開買付者との間の交渉状況について本特別委員会に適時に報告を行うものとし、本特別委員会は、必要に応じて、公開買付者との本取引に係る条件交渉について方針を定め、重要な局面で意見を述べ、当社に対して要請を行うことができ、また、当社は公開買付者との本取引に係る条件交渉について、本特別委員会より受けた意見、指示及び要請を最大限尊重することをあらかじめ決定しております。また、本特別委員会の委員の報酬は、本取引の成否にかかわらず支払われる時間単位の報酬のみであり、本取引の公表や成立等を条件とする成功報酬は含まれておりません。
そして、当社は、上記取締役会決議に基づき、本特別委員会に対し、(a)本取引の目的の合理性(本取引が当社企業価値向上に資するかを含みます。)に関する事項、(b)本取引の取引条件の妥当性(本取引の実施方法や対価の妥当性を含みます。)に関する事項、(c)本取引の手続の公正性(いかなる公正性担保措置をどの程度講じるべきかの検討を含みます。)に関する事項、(d)上記(a)乃至(c)その他の事項を踏まえ、当社の取締役会が本取引の実施(本公開買付けに係る当社の意見表明を含みます。)を決定することが当社の少数株主に不利益か否か(以下、(a)乃至(d)の事項を「本諮問事項」といいます。)について諮問し、これらの点について答申書を当社に提出することを嘱託いたしました。当社取締役会は、本取引に関する決定を行うに際して、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件について妥当でないと判断した場合には、本取引を実行する旨の意思決定を行わないことを併せて決議しております。
また、併せて、当社取締役会は、本特別委員会に対し、(i)本取引に係る調査を行うことができる権限、(ⅱ)当社に対し、(ア)本特別委員会としての提案その他の意見又は質問を公開買付者に伝達すること、及び(イ)本特別委員会自ら公開買付者と協議・交渉する機会の設定を要望することができるほか、これを要望しない場合であっても、当社は、公開買付者と協議・交渉を行った場合にはその内容を速やかに本特別委員会に報告し、本特別委員会は、当該内容を踏まえ、公開買付者との協議・交渉の方針について、当社に対して意見を述べ、また、必要な指示・要請を行うことができる権限並びに(ⅲ)当社の費用にて、弁護士、算定機関、公認会計士その他のアドバイザーを独自に選任することができ、また、当社のアドバイザーに対して必要な指示を行うことができるほか、必要と認めるときはアドバイザーの変更を求めることができる権限等を与えることを決定しております。
本特別委員会は、2023年7月31日より2023年9月26日までの間に合計10回開催され、本諮問事項についての協議及び検討が慎重に行われました。具体的には、本特別委員会は、まず第1回の特別委員会において、当社が選任した第三者算定機関及びリーガル・アドバイザーにつき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれを当社の第三者算定機関及びリーガル・アドバイザーとして承認した上で、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。
その上で、本特別委員会は、当社から、当社の事業環境及び経営課題並びに意向表明書についての見解、本取引による非公開化の要否、本取引の意義及びメリット、本取引によって見込まれる当社事業への影響の内容並びに当社の事業計画の作成経緯等についてインタビュー形式及び書面で説明を受け、質疑応答を行いました。また、ベインキャピタル及び鈴木氏から、本取引の目的及び背景並びに本取引による非公開化の要否、本取引のスキーム及び条件、本取引の意義及びメリット、本取引によって見込まれる当社事業への影響の内容、本取引後の経営方針並びに本取引の公正性を担保するための措置等についてインタビュー形式及び書面で説明を受け、質疑応答を行いました。また、当社の第三者算定機関であるトラスティーズから、当社株式の株式価値の算定に関する説明を受け、質疑応答を行った上で、当該算定結果の合理性について検討いたしました。また、当社のリーガル・アドバイザーであるTMI総合法律事務所から、特別委員会の意義・役割等を含む本取引の手続面における公正性を担保するための措置、並びに本取引に係る当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の利益相反を回避するための措置の内容について助言を受けております。
また、本特別委員会は、当社から、当社と公開買付者との間における本取引に係る協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、本特別委員会において協議し、本公開買付価格につき、上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり交渉が行われ、公開買付者から本公開買付価格を1株当たり930円とする旨の提案を受けるに至るまで、当社に複数回意見する等して、公開買付者との交渉過程に実質的に関与いたしました。
本特別委員会は、以上の経緯の下、本諮問事項について慎重に協議及び検討を重ねた結果、2023年9月27日付で、当社取締役会に対し、委員全員の一致で、大要以下の内容の答申書(以下「本答申書」といいます。)を提出いたしました。
1 本取引の目的の合理性について
(1)本取引の目的等の概要
本特別委員会は、当社意見表明プレスリリース「3.本公開買付けに関する意見の内容、根拠及び理由」の「(2)意見の根拠及び理由」の「② 本公開買付けの実施を決定するに至った背景、目的及び意思決定の過程並びに本公開買付け後の経営方針」及び「③ 当社が本公開買付けに賛同するに至った意思決定の過程及び理由」に記載の本取引の目的及び本取引により向上することが見込まれる当社の企業価値の具体的内容等について、当社、ベインキャピタル及び鈴木氏に対してヒアリングを行った。
(2)検討
本特別委員会は、上記の当社を巡る経営環境その他の事項の具体的な内容の当否・合理性、本取引が当社の従業員や取引先等に与える影響、及びこれらを踏まえた当社の企業価値向上の可能性等について、詳細な検討を実施した。すなわち、現在当社の置かれた経営環境の中、ベインキャピタル及び鈴木氏がいかなる企業価値向上の施策案を構想し、それがどの程度具体的で実践的か、それを実行に移すために本取引を実施する必要性はあるのか、本取引の実施が当社の事業上どのようなメリットをもたらし、他方でデメリットの有無、程度はどのように想定されるか等を含めて、総合的に検証を行った。
その結果、上記「(1)本取引の目的等の概要」に記載の当社並びにベインキャピタル及び鈴木氏が想定している本公開買付けを含む本取引の意義及び目的には、著しく不合理な点はなく、合理的な検討の結果と認められることから、本取引は当社の企業価値向上を目的として行われるものといえ、当社が想定している各施策を実現する必要があるとの当社の判断に特段不合理な点は認められないと判断するに至った。
一方で、本取引によって当社株式は非上場化されるため、上場企業であることによるメリットは喪失することになる。しかしながら、当社のブランド力や社会的信用は、事業活動を通じて獲得・維持されているため、必ずしも非上場化したことで当社のブランド力や社会的信用を失うわけではない。人材採用においても同様に、必ずしも非上場化したことでブランド力等を失うわけではない。そのため、上場を維持する必要性及び非上場化によるデメリットは限定的であると考えられる。
なお、本取引後、エイチエムティは、公開買付者親会社に対するエイチエムティの出資割合が1%程度となるように、エイチエムティが本取引により受領した金銭の一部を公開買付者親会社に再出資することを予定しているとのことであるが、①ベインキャピタルの完全子会社であるBCPE Sauna Cayman, L.P.が公開買付者親会社の約96.1%の株式を所有予定であり、同社が、会社法上、普通決議、特別決議を単独で可決することができる議決権の3分の2以上の所有割合を確保していること、及び、②エイチエムティは、公開買付者親会社の株式に係る株主総会における議決権その他の株主権をBCPE Sauna Cayman, L.P.の指示に従って行使するものとする株主間契約を締結していることから、エイチエムティの経営、ガバナンス、事業面における影響はきわめて限定的であるとのことであるため、エイチエムティが公開買付者親会社の株主として残ることで当社の企業価値向上を目的として行われる各施策の実行が阻害されるおそれは認められない。
また、下記「2 本取引の取引条件の妥当性について」の「(3)本取引の実施方法等の妥当性」に記載のとおり、本取引後、松原奨学財団が公開買付者親会社のA種優先株式(以下「本A種優先株式」といいます。)を取得及び保有することが予定されているとのことであるが、本A種優先株式には議決権が付与されず、松原奨学財団の経営、ガバナンス、事業面における影響はきわめて限定的であるとのことであるため、松原奨学財団が公開買付者親会社の株主として残ることで当社の企業価値向上を目的として行われる各施策の実行が阻害されるおそれは認められない。
(3)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の目的は合理的であると判断するに至った。
2 本取引の取引条件の妥当性について
(1)トラスティーズによる株式価値算定書
当社が、公開買付関連当事者から独立した第三者算定機関であるトラスティーズから取得した株式価値算定書によれば、当社株式の1株当たりの株式価値は、市場株価法によると745円~759円、類似公開会社比準法によると621円~817円、DCF法によると812円~1,086円とされている。
本公開買付価格は、トラスティーズから取得した株式価値算定書の市場株価法及び類似公開会社比準法による算定結果の上限値を超える金額であり、また、DCF法に基づく算定結果のレンジの範囲内であり、その基準値(DCF法による算定の基礎となる割引率及び成長率について、その感応度分析において用いた数値の中央値を使用して算出された当社株式の1株当たりの株式価値。)を上回る金額である。
そして、本特別委員会は、トラスティーズから株式価値評価に用いられた算定方法等について詳細な説明を受けるとともに、トラスティーズ及び当社に対して、評価手法の選択や類似公開会社の選定方法、DCF法の算定の基礎となる当社の事業計画、割引率の算定根拠、永久成長率の算定根拠等に関する質疑応答を行った上で検討した結果、一般的な評価実務に照らして不合理な点は認められなかった。
加えて、本公開買付価格(930円)は、本取引の公表予定日の前営業日(2023年9月26日)の東京証券取引所プライム市場における当社株式の終値756円に対して23.02%(小数点以下第三位を四捨五入。以下、株価に対するプレミアムの数値(%)において同様とする。)、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値759円(小数点以下を四捨五入。以下、終値の単純平均値の計算において同様とする。)に対して22.53%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値745円に対して24.83%、同日までの過去6ヶ月間の終値の単純平均値758円に対して22.69%のプレミアムをそれぞれ加えた金額である。2019年6月28日以降、2023年9月8日までに実施された非公開化を目的としたMBO案件におけるプレミアムの実例44件(公表日の前営業日を基準日として、同日までの過去1ヶ月、同過去3ヶ月間及び同過去6ヶ月間の終値単純平均値におけるそれぞれのプレミアム率の平均値及び中央値がそれぞれ42.11%~51.11%、40.11%~49.27%)と比較した場合、全44件のプレミアム率の平均値や中央値に照らすとやや見劣りするものの、本答申時点の当社株式のPBRが2倍以上であることを踏まえ、全44件のうち対象会社のPBRが1倍以上である事例16件(上記と同様のプレミアム率の平均値及び中央値がそれぞれ31.89%~35.12%、29.00%~33.31%)及び対象会社のPBRが2倍以上である事例3件(上記と同様のプレミアム率の平均値及び中央値がそれぞれ17.30%~19.56%、17.72%~21.29%)のプレミアム率の平均値や中央値と比較すると、これらと同程度のプレミアム水準にあるといえ、相応なプレミアムが付された価格であると評価できる。
(2)交渉過程の手続の公正性
下記「3 本取引の手続の公正性について」のとおり、本公開買付けを含む本取引に係る交渉過程の手続は公正であると認められるところ、本公開買付価格は、かかる交渉の結果も踏まえて決定されたものであると認められる。
(3)本取引の実施方法等の妥当性
公開買付者は、本スクイーズアウト手続後、当社がエイチエムティの所有する当社株式の全てを自己株式取得することを実施することを予定しているとのことである。本自己株式取得価格は、みなし配当の益金不算入規定が適用されることを考慮して、仮にエイチエムティが本公開買付けに応募した場合の税引後手取り額と本自己株式取得に応じた場合に得られる税引後手取り額が同等となる金額として、株式併合前の当社株式1株当たり737円を予定しているとのことである。本自己株式取得は、公開買付価格の最大化と株主間の公平性を両立させる観点からベインキャピタルからエイチエムティに提案したものとのことである。
さらに、公開買付者は、本スクイーズアウト手続及び本自己株式取得後に、本スクイーズアウト手続及び本自己株式取得の完了を条件として、公開買付者を株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とし、株式交換の対価を公開買付者親会社の本A種優先株式とする株式交換を実施する予定とのことである。本三角株式交換の成立後は、当社の株主は公開買付者のみとなり、松原奨学財団に対して本A種優先株式が交付される予定とのことである。本三角株式交換の具体的な日程等の詳細については未定とのことであるが、本A種優先株式の内容としては、①公開買付者親会社が剰余金の配当を行う場合、本A種優先株式を有する株主に対し、普通株式を有する株主に先立って配当を行うこと、②本A種優先株式は公開買付者親会社の株主総会の議決権を有さないこと、がそれぞれ定められる予定とのことである。なお、公開買付価格の均一性(金融商品取引法第27条の2第3項)の趣旨に抵触しないよう、松原奨学財団が所有する当社株式の価値は本公開買付価格と同額で評価し、本公開買付価格よりも有利な条件とならない株式交換比率を設定するとのことである。
以上より、本取引のスキームは公開買付けのみを行うスキームと比べて、当社の少数株主の皆様が享受できる金額を多くすることができるというメリットを踏まえれば、当社の少数株主にとって不利益なスキームではないと考えられる。
(4)本公開買付け後の手続において交付される対価
本公開買付けに応募しなかった少数株主(存続予定株主を除く。)は、本公開買付けの後に実施される予定の非公開化の手続において、最終的に金銭が交付されることになるところ、当該手続において交付される金銭の額については、本公開買付価格に株主が所有していた当社株式の数を乗じた価格と同一となるよう算定される予定である旨が、プレスリリース等で明示される予定である。
(5)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の取引条件は妥当であると判断するに至った。
3 本取引の手続の公正性について
(1)当社による検討方法
当社が本取引について検討するにあたっては、公開買付関連当事者から独立したフィナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるトラスティーズ並びにリーガル・アドバイザーであるTMIから助言・意見等を得ながら、当社の企業価値の向上ひいては株主共同の利益の観点から、本公開買付価格を始めとする本公開買付けの買付条件の妥当性及び本取引の一連の手続の公正性といった点について慎重に検討及び協議を行っている。
本特別委員会は、TMI及びトラスティーズの独立性及び専門性に問題がないことを確認し、当社のリーガル・アドバイザー並びにファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認している。また、本特別委員会としても、必要に応じてTMI及びトラスティーズから専門的助言を受けることができることを確認し、現に助言・意見等を得ている。
(2)当社による協議・交渉
当社は、本公開買付価格について、少数株主の利益保護の観点からその公正性を確保するための実質的な協議・交渉を公開買付者との間で複数回にわたって行っている。
具体的には、当社は、トラスティーズを通じて、公開買付者からの本公開買付価格の提案に対して、複数回にわたり繰り返し価格交渉を実施した。なお、当該協議・交渉にあたっては、本特別委員会は、当社から当該協議・交渉の経緯及び内容等について適時に報告を受け、本特別委員会を通じて方針等を協議し、意見を述べるなどした上で行うなど、本特別委員会が公開買付者との交渉過程に実質的に関与する形で行われている。
そして、その交渉の結果として、930円という本公開買付価格の決定に至るまでには、当社株式1株当たり810円とする公開買付者の当初の提案より、120円の価格引上げを引き出している。
(3)本取引の交渉過程における特別利害関係人の不関与
当社を代表して本取引を検討・交渉する取締役には、本取引後に再出資を予定している鈴木氏、及び増田氏(鈴木氏の補佐役として、鈴木氏及びベインキャピタルを支援するとともに、公開買付者の検討、交渉及び判断に参加若しくは補助しており、本公開買付け後も本取引に鈴木氏の補佐役としてとして関与することを予定している。)を含め、本取引に特別な利害関係を有する者は含まれておらず、その他、本取引に係る協議、検討及び交渉の過程で、公開買付関連当事者その他の本取引に特別な利害関係を有する者が当社側に不当な影響を与えたことを推認させる事実は存在しない。
(4)マジョリティ・オブ・マイノリティ条件
公開買付者によれば、いわゆるマジョリティ・オブ・マイノリティ(majority of minority)条件を本公開買付け成立の条件とはしていないとのことである。もっとも、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件を設定すると、本公開買付けの成立を不安定なものとし、かえって本公開買付けへの応募を希望する少数株主の利益に資さない可能性があること、及び本公開買付けにおいては、適切な公正性担保措置が実施されており、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えられることからすれば、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されていないことのみをもって、適切な公正性担保措置が講じられていないと評価されるものではないと考えているとのことであり、この考え方は不合理ではない。
また、本件においては、本取引実施後に公開買付者親会社の株主となることが予定されているエイチエムティ、鈴木氏及び松原奨学財団、並びにエイチエムティを資産管理会社に持つ松原春男氏及びその親族2名(加藤淳子氏及び松原春彦氏)は、買収者と重要な利害関係を共通にする者としてマジョリティ・オブ・マイノリティ条件の分母となる一般株主からは除外するべきである。他方で、それ以外の株主は、仮に公開買付者との間で本公開買付けに係る応募契約を締結したとしても、それのみで買収者と重要な利害関係を共通にする者とは評価されず、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の分母となる一般株主に含まれるとも考えられる。この考え方を前提とすると、本公開買付けの下限はマジョリティ・オブ・マイノリティ条件が設定されているため、本公開買付けにおいては本取引の公正性に資する下限が定められているとの評価も可能である。
(5)本特別委員会の設置及び本特別委員会の意見を最大限尊重すること
当社は、本公開買付けがいわゆるマネジメント・バイアウト(MBO)の一環として行われるものであり、当社における本取引の検討において構造的な利益相反状態が生じ得ること等に鑑み、当社の意思決定に慎重を期し、また、当社取締役会の意思決定過程における恣意性を排除し、公正性、透明性及び客観性を担保するために、2023年7月28日付の取締役会決議により、公開買付関連当事者から独立した委員によって構成される本特別委員会(本特別委員会の委員としては、当社の社外取締役(監査等委員)である足立伸男氏、鷲﨑弘宜氏及び藤貫美佐氏を選定している。)を設置し、本取引に係る決定を行うに際しては、本特別委員会の意見を最大限尊重し、本特別委員会が本取引の条件等について妥当でないと判断した場合には、本取引を行う旨の意思決定は行わないこととしている。
(6)その他の公正性担保措置の実施等
上記(1)乃至(5)記載の事項に加えて、本取引に際して以下の公正性担保措置が実際に実施されているか、又は実施されることが予定されている。
(ⅰ)公開買付者と当社とは、公開買付者以外の者による公開買付け等の機会が不当に制限されることがないよう、当社が公開買付者以外の対抗的買収提案者と接触することを制限するような合意は行っておらず、対抗的な買付けの機会を妨げないよう配慮していること。なお、本覚書においては、公開買付者以外の者から本取引と実質的に抵触し若しくは本取引の実行を困難にする又はその合理的なおそれのある取引の提案、勧誘、申込、協議申入れ又は情報提供を受けた場合、直ちに、公開買付者に対し、その旨及び当該提案等の内容を通知し、その対応について公開買付者との間で誠実に協議する旨が定められる予定であるが、当社が公開買付者以外の対抗的買収提案者と接触することが制限されるものではない。また、本覚書においては、公開買付者に対する賛同の意見表明を撤回することを一定程度制約する旨の規定が定められる予定であるが、対抗的な公開買付けが行われ、又はそれについての書面による真摯な提案がなされたときは、原則として、実務上合理的な手続及び要件のもと、賛同の意見表明を撤回又は変更することができる旨が規定される予定であることから、対抗的な買付け等の機会が妨げられているとはいえない。
(ⅱ)本公開買付けの決済の完了後速やかに、株式併合及び株式併合の効力発生を条件として単元株式数の定めを廃止する旨の定款の一部変更を行うことを付議議案に含む臨時株主総会の開催を当社に要請することを予定しており、当社の株主に対して株式買取請求権又は価格決定請求権が確保されない手法は採用していないこと。
(ⅲ)公開買付期間が法令に定められた最短期間(20営業日)よりも長期である30営業日に設定される予定であり、本公開買付けに関して、当社の株主に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保していること。
(7)小括
以上のような点を踏まえ、本特別委員会において、慎重に協議及び検討した結果、本取引の手続は公正であると判断するに至った。
4 当社取締役会が本取引の実施(本公開買付けに関する意見表明を含む。)を決定することが少数株主にとって不利益か否かについて
本特別委員会の審議においてその他当社の少数株主に特段の悪影響を及ぼす事象は確認されておらず、上記1乃至3記載の事項等を踏まえて、本取引が当社の少数株主に及ぼす影響を慎重に検討した結果、当社取締役会が本取引の実施を決定することは、当社の少数株主にとって不利益ではないと判断するに至った。
④ 当社における利害関係を有しない取締役全員(監査等委員を含みます。)の承認
当社は、トラスティーズから取得した本株式価値算定書、TMI総合法律事務所からの法的助言を踏まえつつ、本特別委員会から提出された本答申書の内容を最大限尊重しながら、本公開買付けを含む本取引の意義及び諸条件について、慎重に協議及び検討を行いました。その結果、当社は、上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、本取引について、本公開買付けを含む本取引により当社の企業価値が向上すると見込まれるとともに、本公開買付価格及び本公開買付けに係るその他の諸条件は当社の株主の皆様にとって妥当であり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式の売却の機会を提供するものであると判断し、2023年9月27日開催の当社取締役会において、審議及び決議に参加した当社の取締役(鈴木氏及び増田氏を除く取締役7名)の全員一致で、本公開買付けへ賛同する旨の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けへの応募を推奨する旨を決議いたしました。
なお、当社の取締役のうち、代表取締役社長である鈴木氏は、本取引後、当社の取締役及び代表取締役の地位を退任する予定ですが、本取引の実行後、公開買付者親会社に再出資するとともに、適切な後任者が決定されるまでの一定期間は現任のまま代表取締役社長として留任することを予定しており、退任後も当社の顧問又はこれに類似する役職に就き、継続して当社の経営に一定程度関与することが予定されていることから、本取引に関して当社と構造的な利益相反状態にあり、必ずしも当社の少数株主と利害が一致しないため、特別利害関係人として、当該取締役会における審議及び決議には一切参加しておりません。当社取締役である増田氏は、鈴木氏の補佐役として、鈴木氏及びベインキャピタルを支援するとともに、公開買付者の検討、交渉及び判断に参加若しくは補助しており、本公開買付け後も本取引に鈴木氏の補佐役としてとして関与することを予定していることから、利益相反の疑いを回避する観点から、当該取締役会における審議及び決議には一切参加しておりません。また、鈴木氏及び増田氏は、いずれも当社の立場において公開買付者との協議及び交渉にも一切関与しておりません。
⑤ 本公開買付けの公正性を担保する客観的状況の確保
公開買付者は、公開買付期間を、法令に定められた最短期間が20営業日であるところ、30営業日に設定しているとのことです。公開買付期間を比較的長期に設定することにより、当社の株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な判断機会を確保するとともに、当社株式について対抗的買収提案者にも対抗的な買付け等を行う機会を確保し、これをもって本公開買付価格の適正性を担保することを企図しているとのことです。
また、公開買付者及び当社は、当社が対抗的買収提案者と接触することを禁止するような取引保護条項や公開買付者に対する賛同の意見表明を撤回することができないような制約を含む合意等、当該対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておりません。このように、上記公開買付期間の設定とあわせ、対抗的な買付け等の機会が確保されることにより、本公開買付けの公正性の担保に配慮しております。
4.株式併合がその効力を生ずる日
2024年2月9日(予定)
以 上