第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

 今後の経営環境につきましては、アフターコロナ禍への移行が、個人消費、企業の設備投資、インバウンド需要等、さまざまな面で景気の回復に結びついてくるものと期待しております。しかしながら一方では、インフレリスクに対応した海外の金利上昇、解決の兆しが見えないウクライナ情勢や台湾海峡の緊張等の地政学リスクの高まりによる国際的なサプライチェーンの停滞、資源価格の高騰、生産資材の仕入れ納期長期化等、今後の環境は不透明であります。

そうした経営環境のもと、当社では令和5年2月14日に中期ビジョン「ビジョン80」を公表し、以下のテーマに順次取り組み、業績拡大を目指しているところであります。

① 当社のCIの再構築

 理念体系をStatement(=つなぐ。ツクル。),Mission(存在意義),Belief(経営理念),Value(行動指針)の階層に再構築いたしました。

 令和5年10月1日に、社名を「KLASS(クラス)株式会社」に変更いたしました。

② 「2.4次産業」への展開

 「2.4次産業」とは、製造業(2次)とサービス産業(3次)の互いの接近がコロナを契機に加速するが、各々の基本的性格の転換までは行かず、2→2.4で、3→2.6で留まるであろうという一橋大学名誉教授伊丹敬之氏の言説であります。当社はこれまで、得意な「技術力」と「商品力」によって「新商品」を創り出し、その新商品が新たな「顧客」と「市場」を創り出し、更に数多くの顧客で新たに形成された「ネットワーク」が、新たな「商品」と「サービス」、新たな「価値」と「事業」を創り出してまいりました。すなわち、当社のStatement「つなぐ。ツクル。」に示される通り、「つくって(新商品)→つなぐ(顧客)、つないで(ネットワーク形成)→つくる(新たな商品・サービス)」…この文字通りの好循環が、最大の強みとして当社の発展を形づくってきたものと確信しております。当社は今後、「つなぐ。ツクル。」を基本として、オリジナル商品を生み出し続ける開発型機械メーカーならではのユニークな「2.4次産業」型企業を目指してまいります。

③ 当社事業のSDGsへの貢献

 当社は経営理念にある「豊かな生活空間の創造」そのものがSDGsの基本理念にかなうものである」との基本認識のもと、各種事業の推進を通じて、SDGsに貢献することを基本としております。令和4年4月に竣工した生産本部棟・新組立棟の所要資金を取引銀行団の「SDGs推進シンジケーション」にて調達いたしましたが、その際、メインバンクおよび関連シンクタンクが、当社の各種事業を通じてSDGsの目標達成に向けた貢献が期待できると結論付けてくれました。なお、世界的にも注目を集めているCO2削減に関しましては、当社はメガソーラー発電事業を含めた太陽光発電事業を通じて貢献してまいります。

 

(2)事業展開構想

 当社はこれまで、創業以来のプロフェッショナルセグメントが、技術力と商品力を駆使して新商品を開発し、新市場を作り続けてまいりました。その結果、「プロフェッショナル」がいわば「畑」として長年蓄積した「顧客基盤」「Cash」「技術・ノウハウ」を養分として、コンシューマ・インダストリーの両セグメントがいわば「果実」として育ってまいりました。さらに子会社となった株式会社ROSECCのニュー・インダストリーセグメントが加わりました。今後とも、「安定性」のあるプロフェッショナルと「成長性」のあるその他3セグメントの、それぞれの強みの相乗効果の発揮で更なる発展を目指してまいります。

① プロフェッショナルセグメント(インテリア事業部門、畳事業部門)

 新築住宅等の住宅関連市場を主たるマーケットとするインテリア事業部門、畳事業部門は、長年の事業推進により各々の業界でNO.1シェアと考えております。ともに成熟した市場を対象としております。

 インテリア事業部門におきましては、ホームセンター・建機レンタル・防水等の近接市場への販売推進や、ラミネートマシンをはじめとするプリンティングの前後工程の自動化機器等の新商品開発に加え、令和3年10月には当社で初めてサブスクリプション方式を活用したクラウド型業務管理ソフト「Goolip」を発売し、建設業界等への事業分野の拡大にも期待しております。また営業推進施策においては、復活し始めたリアル展示会の推進と「新しい営業方式」の継続により、一層営業力を強化してまいります。

 畳事業部門におきましても、畳店経営セミナーをリモート開催に切り替えたことで参加者が大幅に増加するなど、「新しい営業方式」が効果を発揮しております。セミナー参加者の「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(中小企業庁)及び「事業再構築補助金」(中小企業庁)の活用は引き続き活発であります。

 今後、畳業界とインテリア内装業界、店舗装飾業界とインテリア内装業界などの融合が加速し、業界の構造変化が予想されます。流通・小売・工事の各業者に対して、そうした環境の下での生き残り・発展のための戦略や商品を、タイムリーに提案してまいります。

② コンシューマセグメント(コンシューマ事業部門・ソーラー・エネルギー事業部門)

 コンシューマセグメントにおきましては、当社のコア技術やプロフェッショナルセグメントのお取引先を活かして新築住宅関連市場から離れた事業範囲の拡大を目指しております。新型コロナ禍の影響がまだ払拭できませんが、感染対策も兼ねる防災商品や、葬祭畳や介護用畳等の特殊機能畳、さらには畳の持つ機能を活かしながら開発したフィットネス用防音・防振床材等、当社オリジナル商品の販売を推進してまいります。また、各地のJA・ホームセンター等を窓口として推進している畳替え仲介事業(ネットビジネス)におきましては、全国企業との協業も進みはじめ、対象マーケットの拡大を期待しております。ソーラー・エネルギー事業部門におきましては、自動車ディーラーと連携したV2Hの取組等新しい商材を開発しつつ、SDGsへの対応でニーズが高まっている企業向けソーラー発電システムや、蓄電池等周辺機器の販売に注力してまいります。

③ インダストリーセグメント(産業機器事業部門、食品機器事業部門)

 二次電池製造装置等の産業用製造装置を中心とする産業機器事業部門、大手飲食チェーン向けマルチディスペンサーを中心とする食品機器事業部門の事業を推進しております。

 産業機器事業部門は、神岡工場内に令和4年4月に竣工した新工場棟を活用して、従来組立スペースの不足から見送った大型案件の受注が進んでおります。また、当社の持つコア技術に加え、令和2年10月に子会社とした株式会社ROSECCの持つ、ロボット技術・ウォータージェット技術とのシナジー効果によって、受注分野の拡大を目指してまいります。

 また、自動化・省力化設備として外食業界で高く注目されているマルチディスペンサーにつきましては、大手フードサービスチェーンの需要が復活してまいりましたので、人手不足への対応や衛生的な非接触操作等新型コロナ禍後も変わらないニーズに積極的に対応してまいります。

④ ニュー・インダストリーセグメント

 令和2年10月1日に子会社化した株式会社ROSECCを当セグメントに位置づけております。自動車業界を中心に、ウォータージェット技術、ロボット技術を活かした各種の自動化システムを企画・開発・販売してまいりましたが、住設産業への展開も模索しております。また、当社産業機器事業部門との人的交流や技術面の交流を一層進め、シナジー効果の発揮に努めてまいります。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループでは、収益性の指標として売上高経常利益率を、安定性の指標として自己資本比率を、効率性の指標として総資本回転率を重要な経営指標と位置づけており、バランスの取れた企業価値の拡大を目指してまいります。当連結会計年度の、売上高経常利益率は2.9%、自己資本比率は27.6%、総資本回転率は0.9となりました。

 

(4)経営環境と優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループでは、以下の項目を特に認識すべき課題として捉えております。

① 仕入れ価格の高騰及び調達納期の長期化

 原油価格の上昇や急激な円安進行により、原材料や商品の仕入れ価格が高騰したことに加え、電気・電子関連部品を中心に仕入れ納期の大幅な遅延が続いております。この状況に対処すべく令和4年10月発刊の新総合カタログでの価格改定をはじめ、各種製商品の販売価格を適正水準に見直しておりますが、仕入れ価格が一段と上昇した場合は、更なる対応を検討する方針であります。また、原材料調達の納期遅延につきましても、在庫積み増し等の対策を講じておりますが、使用部品の変更等状況に応じた抜本的な対策も検討しております。

② 開発力の強化

 畳製造装置やインテリア内装施工機器等の従来開発してきた機器の他、当社のコア技術を活かした顧客仕様による工場生産設備等の機器開発において、IoTやロボット技術等の新技術に対応した製品を開発することが求められております。この課題に対処するため、技術者の育成、自由度の高い研究開発体制の構築等の開発環境を整備し、「真似はされても真似するな」の信念に基づいた「オンリーワン製品」の開発を目指してまいります。

 

③ 子会社とのシナジー効果の発揮による事業拡大

 令和2年10月に子会社化した株式会社ROSECCは、ウォータージェット技術、ロボット技術を活かした各種の自動化システムを企画・開発・販売するファブレス企業であります。子会社化後、研究開発部門を中心に、同社との技術面や人材面での交流を進めており、今後、同社とのシナジー効果を発揮した引き合い対応と受注促進に努め、着実な事業拡大に結びつけてまいる方針であります。

④ マーケティング力の向上

 各セグメントにおいて、技術力と商品力を活かしつつ新商品と新市場を拡大していくためには、顧客ニーズを的確に捉え迅速に対応するマーケティング力の向上と、上場企業としての知名度を活かした新規購買先の開拓が課題となってまいります。この課題に対処するため、営業部門での幅広い情報収集とともに、マーケティング担当部署、購買担当部署、担当人員の充実をはかってまいります。

⑤ 生産体制の強化

 令和4年4月に生産本部棟・新組立棟を竣工し、生産能力を強化したことが産業機器の受注拡大に結びつきました。今後、人材育成や労務環境の改善で一層の労働生産性の向上をはかるとともに、親密な外注先の維持・拡大の一層の活用によって、更に生産能力の拡大をはかってまいります。

⑥ 原価管理の充実

 インテリア内装施工機器・工具・コンピュータ式畳製造システム、特殊機能畳、顧客仕様の生産設備やディスペンサー等の厨房機器等の多様な製品を、見込生産又は受注生産により、ロット又は単品で生産しており、その製造工程に応じた適切な原価管理が必要であります。この課題に対処するため、それぞれの製品特性を踏まえた標準原価を設定し、毎月定期的に原価検討会議を開催して改善策を継続的に検討することにより、原価管理の充実に努めてまいります。

⑦ 経営体制の充実

 取締役会においては、中途採用者の取締役への登用や複数の独立社外取締役の選任等により人材の多様化を進め、幅広い観点から充実した審議が可能となる体制整備をはかっております。今般も昨年同様に取締役の多様性マトリックスを作成いたしております。また、令和元年10月には執行役員制度を導入し、事業推進及び社内連携体制の強化とともに、経営層の人材育成に努めております。

⑧ 経営理念の徹底、内部監査、監査等委員会監査、ISOの充実

 社名変更とともに新理念体系を構築して、サステナビリティに関する目標も明確にして推進しているところであります。引き続き、企業行動規範や内部統制システム基本方針、コンプライアンスの重要性も周知徹底するとともに、内部監査室による内部監査の実施と、常勤監査等委員の選定による監査等委員会監査の充実により、経営方針、経営計画の実現のための円滑な業務運営を徹底しております。また、ISO9001とISO14001のマネジメントシステムに基づき、メーカーの原点である品質向上と環境対応の向上に努めております。

⑨ 人材育成

 社員一人ひとりの能力向上を通じた組織力の強化で、従来の市場でのシェア拡大とともに新市場を開発し、売上、利益の拡大をはかってまいる方針であります。その課題に対処するため令和4年10月に人事部を新たに設置いたしました。今後、経営戦略と連動した人事戦略の構築等、人材の育成と更なる活力向上をはかってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社は、令和5年10月1日に、「KLASS(クラス)株式会社」に社名を変更し、同時に理念体系をStatement(=つなぐ。ツクル。),Mission(存在意義),Belief(経営理念),Value(行動指針)に再構築いたしました。(理念体系の詳細は「コーポレート・ガバナンスの概要」に記載)

 具体的には、「Mission」(※)に基づく「サステナビリティ基本方針」(「(2)戦略」で詳述)を策定して、各セグメントの事業の推進を通じて人間社会を取り巻く諸問題を解決することにより「人」「社会」「環境」の3つに貢献するとともに、「Belief」経営理念にある「豊かな生活空間の創造」そのものがSDGsの基本理念にかなうものであるとの基本認識のもと、SDGsにも貢献する方針であります。

(※)「Mission」

私たちは、3つの使命で人と社会と環境に貢献する

・「人を想う」技術で、あらゆる産業のあり方を変える

・「まだないもの」をつくり、世界の人々の暮らしを支える

・日本の「残すべき文化」を、新しい形で未来につなぐ

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、RM(リスクマネジメント)委員会を、取締役・監査等委員、本部長、内部監査室長、ITシステム部長、総務部長、経理部長、人事部長により構成し、企業の存続性の確保及び当社のステークホルダー及び社会からの信頼を得るため、当社グループに影響を及ぼすリスクの審議と、該当部門でのリスク管理とリスク回避を検討・協議することとして、原則として、3ヶ月に1度開催しております。

 なかでも当社事業に特に関わりのあるリスクとして、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク (3)国内需要が減退するリスク、(4)畳需要の減少による畳店の減少リスク、(6)競合のリスク、(8)知的財産権にかかるリスク」を、特に注視しております。

 理念体系の詳細、コーポレート・ガバナンスの状況は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載しております。

 

(2)戦略

「サステナビリティ」基本方針

 当社グループは、「Mission」に定める通り、創業以来75年間育んできた各セグメントの事業の推進を通じて、人間社会を取り巻く諸問題を解決することにより、「人」「社会」「環境」の3つに貢献するとともに、SDGsの各GOALSにも貢献してまいります。

 

①「人」への取り組み

テーマ

具体的な取り組み

数値目標・実績

ダイバーシティの実現

女性従業員数の増加

採用した従業員に占める女性の割合

15%以上達成

在宅勤務、時短勤務、時間単位有休などの利用者数の増加

30%以上上昇

育児休業の取得推進(取得率)

女性90%以上、

男性10%以上達成

育児休業の取得推進(平均取得期間)

女性8か月以上、

男性2週間以上達成

業務仕分け、採用要件の見直し、意識改革のための

研修の実施など

 

キャリア形成

教育制度・資格制度の充実

 

キャリア申告制度の新設

 

従業員の健康増進

健康診断メニューの充実

 

 

 

②「社会」への取り組み

テーマ

具体的な取り組み

主な対象製品

少子高齢化社会への対応

自動化・省力化製品の開発と販売

自動壁紙糊付機

コンピュータ式畳製造システム

マルチディスペンサー

畳製品の販売による乳幼児や高齢者にやさしいゆとりと安らぎの場の提供

ウォッシャブル畳

防水ソフト畳

湯ったりたたみ

地域社会との共存と貢献

神岡工場内での充電ステーションの設置、緊急避難スペースの提供

 

防災用畳、畳堤用畳の寄贈

 

兵庫県たつの市へふるさと納税の返礼品の提供

 

地域産業の自動化・省力化への貢献

そうめん流し器

マキトール

粉ふるい撹拌機

皮革面積測定機

給餌器

アグリ事業を通じた地域密着型の食料の確保

 

伝統産業の存続発展

畳店の構造改革(機器販売+コンサルティング)による畳店の事業継承への貢献

 

一般顧客と畳店の仲介事業による畳替えの需要促進

 

畳製品の販売による畳の定義や活用場所の拡大

高床式ユニット畳

おくりたたみ

そくさい

 

③「環境」への取り組み

テーマ

具体的な取り組み

数値目標・実績

省エネ・畜エネへの貢献と再生可能エネルギーの拡大

二次電池製造装置の製造

 

三日月サンシャインパークの稼働

年間発電量:約100万kWh

石炭火力発電所で行った場合に比べ約900tのCO2削減に貢献

太陽光発電システムの販売

これまでに販売・設置してきたパネルの総数による年間発電量:約2,350万kWh

約21,000tのCO2削減

電化厨房機器の販売

 

事業活動内での環境負荷軽減

社用車のハイブリッド化

1年あたりのガソリン使用量削減:マイナス33,919.3リットル

CO2排出量の削減:マイナス78,760.6kg

杉の木換算で約5,658本と同じ効果

事業所内での太陽光発電

神岡工場で使用する電力の約30%を賄う

作業服のリサイクル

社名変更に伴い入替となる作業服について、リサイクル可能な素材を使用したものを採用

古い作業服もすべてリサイクルに

リサイクル資材の活用

梱包時に使用するPPバンドをリサイクル素材に変更

環境に配慮した製品開発

分解が容易な構造への変更

成型部品の単一材料化

リサイクル材料の採用 その他

 

(3)リスク管理・機会

 サステナビリティに関わるリスクのマテリアリティ、認識したリスクの管理等はRM(リスクマネジメント)委員会が検討し、その他のサステナビリティ関連等の課題への対応は経営会議で検討の上、必要に応じて取締役会の承認も得てその対応を実施することとしております。

 なお、発生するリスク(ピンチ)は、一方で機会(チャンス)にもなりうる場合もあるとの認識を持ってリスク管理に対応しております。

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)原材料価格の高騰、納期長期化や調達難のリスク

 原油価格等のエネルギー価格の上昇や、円安傾向の継続により、原材料や商品の仕入れ価格の高騰が続いていることに加え、電気・電子関連部品を中心に仕入れ納期の大幅な遅延は未だ解消されておりません。当社においては、令和4年10月発刊の新総合カタログでインテリア商品の価格を全面的に見直したほか、各種製商品の価格も見直して、適正な収益率の維持をはかっておりますが、原材料や商品の仕入れ価格が一段と上昇した場合は、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、仕入納期の長期化については在庫積み増し等の対策を講じておりますが、更に調達が難しくなった場合等は、生産・販売計画に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)新型コロナウイルス感染症の感染拡大のリスク・機会

 新型コロナウイルス感染症は、令和5年5月に感染法上の分類が5類に変更されるなど、感染状況に景気が左右されないアフターコロナ期への移行が進み、景気の回復につながるものと期待しておりますが、再び急速な感染拡大等により社会活動全体が停滞した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。一方で、感染拡大で生じた大きな変化には「元の状態に戻る変化」と「決して元には戻らない変化」の二種類の変化があると考えられ、例えばコロナ禍で実施したリモート営業活動や、リアル開催からリモート開催に変更した畳店向けセミナー等の新しい営業方式は、ともに大きな効果があったことから「元に戻らない変化」と言えましょう。そうした「元に戻ることのない変化」を先取りして実施することは、新商品、新事業、新制度等の創出の機会となっております。

 

(3)国内需要が減退するリスク

 プロフェッショナルセグメントの畳事業部門及びインテリア事業部門が販売する製商品のエンドユーザーは、新設住宅着工戸数の増減やリフォーム工事の動向等により受注状況が左右される傾向にあります。新設住宅着工戸数は長期的には減少していくと予測されておりますが、長期的な変動に対しては製商品の拡充やシェア拡大、販売マーケットの拡大で対応する計画であります。しかしながら、新設住宅着工戸数が短期間で大幅に減少した場合、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)畳需要の減少による畳店の減少リスク・機会

 当社は畳製造装置市場でトップシェアを維持していると判断しておりますが、新設住宅着工戸数の減少に加え住宅の洋風化で畳の需要は減少し、畳店の減少も続いて畳製造装置販売事業へのリスクとなっております。そうした環境の中で、当社は畳店に畳製造装置単体を販売するだけではなく、営業力の強化や事業の多角化、取扱商品の多様化等の提案を含む畳店経営の近代化コンサルティングを実施し、全国で約750店の畳店の事業承継・発展に尽くしてまいりました。この戦略提案は伝統産業の継承としてまさにSDGsに適うものでもあり、シェア拡大をはかっていく機会を与えてくれるものと考えております。

 

(5)建物内装の工法変更のリスク・機会

 当社は壁紙糊付機のマーケットで圧倒的なシェアを占めておりますが、将来建物内装で壁紙貼り付け工法に変わる工法が出現した場合、壁紙糊付機のマーケットが縮小し当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。また同時に、今後益々社会問題化していく「人手不足」の根本解決策としての自動化・省力化へのニーズは高まる一方であることが想定され、内装施工における新たな自動化・省力化工法をいち早く確立し提案することによって、逆に事業拡大に向けた機会にもなるものと考えます。

 

(6)競合のリスク

 当社は、70年以上にわたり各種製品を開発・製造した実績により、インテリア内装施工機器や畳製造装置の市場、並びにそうした機器開発で得たコア技術を活かした顧客仕様による産業用機械市場で確固たる地位を築き、高品質かつ顧客ニーズに適合した製品を供給することで、競合するメーカーとの差別化をはかっておりますが、今後競合製品の品質向上等により当社製品の優位性が維持できない場合には、当社グループの事業展開及び経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)仕入先への依存リスク

 当社は多品種の商品を販売しておりますが、一部の商品について特定の仕入先に依存しているものがあります。そのような特定の仕入先とは取引開始以来、良好な関係を継続しており、今後も仕入取引を継続していく方針であり、また継続的かつ安定的に仕入ができるよう情報交換等含め連携を強化しております。

 しかしながら、今後、自然災害、品質問題及び仕入先の経営悪化等何らかの要因により商品を継続的かつ安定的に仕入れることが困難な状況となった場合、他の仕入先の商品へ切替えることにより、当社グループの事業展開、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)知的財産権にかかるリスク・機会

 当社は、「真似はされても、真似するな」の考え方の下、他社との差別化技術の研究開発を推進しており、自社が保有する技術等については特許権の取得により保護をはかっております。しかしながら、当社が保有する知的財産権が第三者に不正に侵害された場合には、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 一方、当社が販売している製品や今後販売する製品が、第三者の知的財産権に抵触する可能性を完全には否定することはできません。また、当社が認識していない特許権等が成立することにより、第三者より損害賠償等の訴訟が起こされる可能性もあります。しかしながら、守りではなく攻めのための、他社に先駆けた差別化技術の開発とそれに伴う知的財産権の取得は、他社製品との差別化による収益力の強化のための機会につながっております。

 

(9)金利変動のリスク

 当社は、運転資金及び設備資金について主に金融機関からの借入れにより資金調達をおこなっております。今後の金利動向が上昇局面となった場合、支払利息等の金利負担が増加することで金融収支が悪化し、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが借入契約の財務制限条項に抵触し、金利引き上げを請求されたり期限の利益を喪失した場合、当社グループの借入コストや資金調達能力に影響を与える可能性があります。

 

(10)物流コストの高騰・物流2024年問題に係るリスク

 当社は、販売先への納品について物流業者へ委託しており、全国3カ所に物流拠点を置いて物流コストの削減に取り組んでおります。しかしながら、運送費が高騰し、コスト削減努力でも補えない場合や、それらを販売価格に転嫁できない場合などは、当社グループの経営成績及び財政状態が影響を受ける可能性があります。また、物流2024年問題として、運送業者の業務逼迫が広範囲かつ多様な影響を引き起こすことが予想されています。当社においても、何らかの支障が予見されれば、速やかに対応すべく影響を注視しておりますが、充分な対応ができない場合は当社グループの配送サービスの低下や、物流コストの高騰につながる可能性があります。

 

(11)製品の品質に係るリスク

 当社の製品は、品質管理部門で厳格に管理しておりますが、予期し得ない重大な品質問題が発生する可能性を排除することはできないため、製造物責任賠償保険に加入するなど当該問題発生に際しての備えを強化しております。しかしながら、製造物責任賠償につながるような製品の欠陥の発生は、当社グループに対する評価を著しく毀損させ、売上高の減少等により当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)研究開発におけるリスク・機会

 当社は、顧客ニーズを捉えた製品開発をおこなうことで、幅広い産業分野における販売拡大に努めておりますが、必ずしも想定した成果を得られる保証はなく、タイムリーに新製品を供給できない場合や顧客が要求する水準を満たすことができない場合、当社グループの経営成績に悪影響を及ぼす可能性があります。ただし、幅広い産業分野に向けて長年製品開発を続けてきた結果、7つのコア技術(縫製・裁断・塗布・検尺・折畳・剥離・測定)を培うことができ、新しい市場の開発につながる機会となっております。

 

(13)システム関連のリスク

 当社は、業務を円滑におこなうため、ハードウェア・ソフトウェアの円滑な運用や、コンピュータウイルス等による障害発生の防止に万全を期しておりますが、システム・サーバーダウン、コンピュータハッカーの侵入、ウイルス等による破壊的な影響を受ける場合があり得ます。システムに重大なトラブルが発生した場合には、受注・生産活動に支障が起こり当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)特定の人物への依存に係るリスク

 当社の代表取締役社長である頃安雅樹は、経営方針や経営戦略等の立案・決定における中枢として当社の事業活動において重要な役割を果たしており、同氏に対する当社の依存度は高くなっております。

 当社では、今後の業容及び人員拡大も視野に入れ、経営企画部門の強化、充実をはかっているほか、取締役会や経営会議等における案件の審議、経営情報の報告等を通して、役員及び部門長クラスの人員育成をはかり、代表取締役に過度に依存しない経営体制の整備を進めております。

 しかしながら、何らかの理由で同氏の業務遂行が困難になった場合には、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度においては、コロナ禍の行動制限が緩和から解除に進むなかで、個人消費や訪日外国人数、設備投資が回復基調となって、緩やかな景気回復が続きました。また、当社の主たるマーケットである住宅建設市場も底堅く推移しております。ただし、インフレリスクに対応した海外の金利上昇、解決の兆しが見えないウクライナ情勢や台湾海峡の緊張等の地政学リスクの高まりによる国際的なサプライチェーンの停滞、資源価格の高騰、生産資材の仕入れ納期長期化等、依然として不安定な状況が続いております。

 そうした経営環境の中、当社グループにおきましては、売上高は、インダストリーセグメントが年度を通して好調に推移して全社を牽引する一方で、プロフェッショナルセグメントはやや伸び悩んだものの値上げ効果が奏功して、全社の利益率は改善傾向となりました。

 この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高9,888百万円(前期比2.4%増)、営業利益314百万円(同52.1%増)、経常利益283百万円(同45.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益102百万円(同28.7%減)となりました。

 

 セグメント別の経営成績は以下のとおりであります。

イ.プロフェッショナルセグメント

 プロフェッショナルセグメントは、インテリア内装施工機器・工具・副資材を主力商材とするインテリア事業部門と、畳製造装置を主力商材とする畳事業部門等で構成しております。当連結会計年度のプロフェッショナルセグメントの売上高は7,142百万円(前期比4.1%減)、営業利益132百万円(同19.1%減)となりました。

 インテリア事業部門は、令和4年10月のカタログ発刊前の駆け込み需要の反動減の影響がありましたが、リアルの大規模展示会の復活は自動壁紙糊付機をはじめ各種工具・副資材の売上増に結びつき、同カタログにおける価格の見直しと相まって収益力を強化できております。その結果、売上高は6,158百万円となりました。

 畳事業部門はリモート営業方式での営業活動のさらなる展開等により、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」(中小企業庁)及び「事業再構築補助金」(中小企業庁)での当社畳製造装置使用の案件採択率は順調でありますが、補助金交付時期の影響や申請件数の減少等から低調に推移しました。その結果、売上高は979百万円となりました。

 その他、インテリア・畳両事業部門の取引先に対するコンピュータシステム及び関連資材等の販売につきましては、売上高は4百万円となりました。

 

ロ.コンシューマセグメント

 コンシューマセグメントは、棺用畳をはじめとする各種特殊機能畳等の商品販売及び畳替え仲介のサービス事業を主力とするコンシューマ事業部門と、産業用、一般住宅用等のソーラー発電システムの販売施工を主力とするソーラー・エネルギー事業部門及び売電事業で構成しております。当連結会計年度のコンシューマセグメントの売上高は734百万円(前期比1.0%減)、営業損失12百万円(前期は営業損失12百万円)となりました。

 コンシューマ事業部門は、フィットネスクラブ向け防音・防振床材が好調を維持しましたが、住宅向けの畳替え需要は依然として回復してきておらず、棺用畳は円安の影響で海外生産委託分の損益が悪化しました。その結果、売上高は583百万円となりました。

 ソーラー・エネルギー事業部門は、中規模以上の案件開拓は依然として低調で、SDGs推進の観点から期待する法人向け市場の開拓も不十分な状況が続きました。その結果、売上高は97百万円となりました。一方、兵庫県佐用町に設置しているメガソーラー発電所「三日月サンシャインパーク」をはじめとする売電事業は、順調に稼働し、売上高は53百万円となりました。

 

ハ.インダストリーセグメント

 インダストリーセグメントは、畳製造装置やインテリア内装施工機器の開発製造で培った当社のコア技術(「縫製」「裁断」「検尺」「塗布」「剥離」「折畳」「測定」)を活用したオーダーメイド産業用機器を開発する産業機器事業部門と、味噌汁、うどん・そば等に対応するオリジナルのマルチディスペンサーを主力商品とする食品機器事業部門で構成しております。当連結会計年度のインダストリーセグメントの売上高は1,462百万円(前期比49.5%増)、営業利益175百万円(同117.9%増)となりました。

 産業機器事業部門は、主要製品である二次電池製造装置のリピート受注が極めて好調であったほか、その他の生産設備案件の引き合いも増加いたしました。また、二次電池製造装置の年度末の受注残も積み上がっております。その結果、売上高は1,172百万円となりました。

 食品機器事業部門につきましては、大手飲食チェーンからのマルチディスペンサーの引き合いは徐々に回復してきたものの売上の回復にはつながりませんでした。その結果、売上高は289百万円となりました。

 

ニ.ニュー・インダストリーセグメント

 令和2年10月1日に子会社化した株式会社ROSECCを当セグメントに位置付け、得意とする自動車関連業界に加えて、住宅設備関連業界の開拓を進めております。当連結会計年度においては、自動車生産の回復による関連業界の顧客からの消耗品需要の増加が業績回復に貢献いたしました。その結果、当連結会計年度のニュー・インダストリーセグメントの売上高は549百万円(前期比10.8%増)、営業利益18百万円(前期は営業損失25百万円)となりました。

 

②財政状態

イ.資産の部

 当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ144百万円増加し、10,575百万円となりました。資産のうち流動資産は、現金及び預金が301百万円減少しましたが、売掛金が387百万円、棚卸資産が113百万円増加したこと等により175百万円の増加となりました。固定資産につきましては、有形固定資産が45百万円増加、投資その他の資産が54百万円増加しましたが、無形固定資産が131百万円減少したことにより、31百万円の減少となりました。

ロ.負債の部

 当連結会計年度末の負債につきましては、前連結会計年度末に比べ71百万円増加し、7,660百万円となりました。負債のうち流動負債は、短期借入金が200百万円増加、未払消費税等が147百万円増加しましたが、支払手形及び買掛金が124百万円減少、電子記録債務が182百万円減少、未払金が266百万円減少したこと等により、162百万円の減少となりました。固定負債につきましては、主に長期借入金が240百万円増加したことにより、233百万円の増加となりました。

ハ.純資産の部

 当連結会計年度末の純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ73百万円増加し、2,915百万円となりました。これは、主に利益剰余金が48百万円増加したことによるものであります。

 

③キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ284百万円減少し、803百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の営業活動の結果、資金は162百万円の減少(前連結会計年度は263百万円の増加)となりました。これは主に、売上債権の増加416百万円、棚卸資産の増加113百万円、仕入債務の減少311百万円等の資金減少要因が、税金等調整前当期純利益175百万円、減価償却費241百万円、減損損失108百万円、未払又は未収消費税等の増減額200百万円等の資金増加要因を上回ったためであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の投資活動の結果、資金は512百万円の減少(前連結会計年度は1,088百万円の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出481百万円によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度の財務活動の結果、資金は390百万円の増加(前連結会計年度は757百万円の増加)となりました。これは主に、短期借入れによる収入200百万円、長期借入れによる収入510百万円の資金増加要因が、長期借入金の返済による支出214百万円、配当金の支払額53百万円等の資金減少要因を上回ったためであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

イ.生産実績

当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  令和4年10月1日

 至  令和5年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プロフェッショナル

1,713,909

98.0

コンシューマ

331,338

93.1

インダストリー

1,093,284

164.3

ニュー・インダストリー

310,159

94.4

合計

3,448,691

112.3

(注)金額は製造原価によっております。

 

ロ.商品仕入実績

当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  令和4年10月1日

 至  令和5年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プロフェッショナル

3,219,811

95.7

コンシューマ

89,240

140.9

インダストリー

8

1.9

ニュー・インダストリー

103,256

137.0

合計

3,412,317

97.4

(注)金額は仕入価格によっております。

 

ハ.受注実績

当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  令和4年10月1日

 至  令和5年9月30日)

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

インダストリー

1,819,930

121.3

1,052,780

146.8

ニュー・インダストリー

101,611

23.4

144,161

175.0

合計

1,921,541

99.4

1,196,940

149.7

 

 

ニ.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自  令和4年10月1日

 至  令和5年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

プロフェッショナル

 製品

 商品

 

2,474,115

4,668,425

 

85.3

102.2

 計

7,142,541

95.9

コンシューマ

 製品

 商品

 

548,014

186,013

 

91.5

130.3

 計

734,027

99.0

インダストリー

 製品

 商品

 

1,443,772

18,409

 

149.0

198.7

 計

1,462,181

149.5

ニュー・インダストリー

 製品

 商品

 

394,371

154,888

 

100.8

148.2

 計

549,259

110.8

合計

9,888,009

102.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、本文の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における経営成績等の分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当連結会計年度のキャッシュ・フローについて、営業活動は下請法対応による支払サイト短縮化の影響の結果使用した資金は162百万円、投資活動は神岡工場内の既設工場の改修工事及び社名変更に伴う対応費用の結果使用した資金は512百万円、財務活動は必要資金をSDGsシンジケーションを活用した金融機関借入で調達した結果得られた資金は390百万円となり、当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は803百万円となりました。詳細については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 財務政策について、運転資金及び設備投資資金は、主として自己資金により充当し、大型投資の資金は必要に応じて金融機関からの借入等により資金調達することを基本方針としております。

 当連結会計年度における投資資金は、自己資金と金融機関からの借入により充当いたしました。

 なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は4,359百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。

 この連結財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。

 重要な会計上の見積り及び見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

(1)研究開発の目的(研究開発方針)

 当社では「職人さんの手仕事の省力化・自動化」という経営理念の下、当社の原点であるプロフェッショナルセグメントで、壁紙糊付機や内装施工機器、コンピュータ式畳製造システム等の機器において、競合他社製品と差別化した製品開発に注力してきた結果、「縫製」「裁断」「検尺」「塗布」「剥離」「折畳」「測定」という機能において当社独自のコア技術を蓄積しております。現在では、そのコア技術をプロフェッショナルセグメントのほか、インダストリーセグメントにおける顧客仕様による産業用製造装置や、飲食店向けディスペンサーの開発など、今後更なる成長が期待される市場での製品拡大もはかっております。

 また、設計・開発からのアウトプットについて、営業部門と品質保証部も加えた全社一体でレビューすることで、機能、品質の両面の要求事項を満たした新製品を効率的に開発する体制を構築しております。

 

(2)研究体制

 研究開発本部は次の5部で構成しております。

①企画部

規程の制定・改廃、知的財産権の対応・管理、研究開発本部内のISO推進等の業務をおこなっております。

②開発1部

プロフェッショナルセグメントである壁紙糊付機をはじめとするインテリア関係の機器工具の開発業務、副資材の開発業務(甲種危険物取扱主任者、水質関係第一種公害防止管理者資格を有する者を専任で従事させております)、コンシューマセグメントの通販関係の製品の開発業務をおこなっております。

③開発2部

インダストリーセグメントの開発業務をおこなっております。

畳床の縫製や畳を製造するための省力化ラインをはじめとする畳製造装置関係の開発業務、インダストリーセグメントの食品機器関係の開発業務の製品の開発業務をおこなっております。

④開発3部

インダストリーセグメントの開発業務をおこなっております。

当社の「縫製」「裁断」「検尺」「塗布」「剥離」「折畳」「測定」というコア技術を駆使して、大手エンジニアリング会社とも協力し、特殊生産装置、省力・省人・合理化プラント、ロボット、専用機、試験・検査機等々の工場設備や産業機械の開発業務を展開しております。

⑤開発4部

開発1部から開発3部において設計された機械の電気制御、制御プログラムの開発業務をおこなっております。また更に、プロフェッショナルセグメントであるインテリア内装業界、畳業界等に特化したパソコンのパッケージソフトの開発業務(第2種情報処理技術者、応用情報技術者いずれかの資格保有の者が従事しております)もおこなっております。

 

(3)研究開発金額

 当連結会計年度における研究開発費の総額は231百万円であります。セグメント別の内訳は、プロフェッショナルセグメント107百万円、コンシューマセグメント6百万円、インダストリーセグメント118百万円であります。