当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況
当社は2022年12月期から4年間を対象とする中期経営計画のもと、「食を通じて社会課題の解決に取り組み、持続的に成長できる強い企業」を目指しております。基本戦略である「4つのアクション(①野菜摂取に対する行動変容の促進 ②ファンベースドマーケティングへの変革 ③オーガニック・インオーガニック、両面での成長追求 ④グループ経営基盤の強化と挑戦する風土の醸成)の有機的連携による持続的成長の実現」に取り組み、さらなる企業価値の向上に努めてまいります。
当第1四半期連結累計期間(2024年1月1日から2024年3月31日)は、トマト加工品を中心とした世界的な原材料価格の高騰が継続しております。日本国内においては、物価上昇による生活者の節約志向の高まりなどを受け、景気の先行きは依然として不透明な状況が続きました。
このような状況の下、国内加工食品事業においては、主要原材料をはじめ製造費用の増加を受け、野菜飲料やトマト調味料など一部製品の出荷価格を改定しました。これに対し、需要の落ち込みを最小限に抑えるべく積極的な需要喚起策に取り組みました。この結果、販売数量の減少を想定よりも抑えることができ、増収増益となりました。
国際事業においては、トマトペーストの販売価格の上昇、フードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。また、インオーガニックの成長として、持分法適用会社であったIngomarの持分を2024年1月に追加取得し、連結子会社化したことにより、売上収益が純増となりました。この結果、国際事業は増収増益となりました。なお、取得日直前に保有していたIngomar持分を取得日における公正価値で再測定した結果、93億23百万円の段階取得に係る差益を、「その他の収益」に計上しました。
当第1四半期連結累計期間の連結業績の前年同期比並びにIngomar子会社化に伴う影響は以下の通りです。
(単位:百万円)
※Ingomar連結子会社化影響は、当期の同社業績に、連結財務諸表作成上必要な調整を加え、前年同期に計上した同社の持分法投資損益を差し引いております。なお、取得した資産及び引き受けた負債について、当第1四半期連結会計期間末において取得原価の配分が完了していないため、その後の損益認識含め、現時点で入手可能な情報に基づき、暫定的に算定をしております。
以上により、当第1四半期連結累計期間の売上収益は、前年同期比40.3%増の673億78百万円、事業利益は前年同期比75.2%増の58億90百万円となりました。営業利益は、前年同期比4.4倍の151億34百万円、親会社の所有者に帰属する四半期利益は前年同期比5.8倍の117億73百万円となりました。
※ 事業利益は、売上収益から売上原価並びに販売費及び一般管理費を控除し、持分法による投資損益を加えた、経常的な事業の業績を測る利益指標です。
セグメント別の業績の概況は次の通りであります。
当第1四半期連結会計期間にIngomarを連結子会社化したことを契機に、セグメントの管理区分の見直しを行いました。この結果、国際事業の内訳として「トマト他一次加工」、「トマト他二次加工」、を新たに開示しております。また、「国内農事業」及び、国際事業に含まれていた「種苗の生産・販売事業」を「その他」へ集約いたしました。
なお、前第1四半期連結累計期間のセグメント情報については、変更後の区分により作成したものを記載しております。
(単位:百万円)
※1トマト他一次加工:農作物を加工した、ペーストなどの製造・販売
※2トマト他二次加工:主に、農作物の一次加工品に調味料などを加えて加工した、ピザソースなどの製造・販売
<国内加工食品事業>
国内加工食品事業では、飲料や調味料等の製造・販売を手掛けております。
当事業における売上収益は、前年同期比11.4%増の328億7百万円、事業利益は、前年同期比45.5%増の28億3百万円となりました。
[飲料:「野菜生活100」シリーズ、トマトジュース、野菜一日これ一本、他]
飲料カテゴリーは、トマトジュースにおいて、血圧・コレステロールが気になる健康関心層に加え、美容関心層の新規ユーザーを獲得したことにより、好調に推移しました。
「野菜生活100」シリーズは、「野菜生活100 レモンサラダ」など新商品の発売や、「朝を味方に。」をテーマとした需要促進策が一定の効果をもたらしました。
以上により、同カテゴリーの売上収益は、前年同期比10.0%増の181億34百万円、事業利益は、前年同期比14.0%増の18億7百万円となりました。
[通販:野菜飲料、サプリメント、スープ等の通信販売]
通販カテゴリーでは、主に、野菜飲料、サプリメント、スープなどの製造・販売を行う通信販売「健康直送便」を手掛けております。
通販カテゴリーは、スープが好調に推移したものの、野菜飲料をはじめとする定期顧客数が前年を下回りました。
以上により、同カテゴリーの売上収益は、前年同期比0.2%増の27億60百万円となりました。事業利益は、原材料価格の高騰などにより、前年同期比4.5%減の2億6百万円となりました。
[食品他:トマトケチャップ、トマト調味料、ソース、贈答品、他]
食品カテゴリーは、価格改定後のトマトケチャップ需要の落ち込みに対し「焼きケチャップ」などのメニュー情報発信と販促活動を強化したことにより、好調に推移しました。
業務用カテゴリーは、価格改定後も外食需要の高まりなどにより、好調に推移しました。
ギフト・特販カテゴリーは、長期保存可能な備蓄用製品の販売が好調に推移しました。
以上により、食品他カテゴリーの売上収益は、前年同期比16.8%増の119億12百万円、事業利益は、増収により前年同期比6.3倍の7億89百万円となりました。
<国際事業>
国際事業では、農業生産、商品開発、加工、販売を展開しております。
当事業における売上収益は、前年同期比86.4%増の362億23百万円、事業利益は、前年同期比76.8%増の39億15百万円となりました。
[トマト他一次加工:トマトペースト、ダイストマト、にんじん汁、冷凍地中海野菜、他]
トマト他一次加工は、米国、欧州、豪州においてトマトペーストやダイストマト等の製造、販売を手掛けております。
トマト一次加工品は、世界的な需給の逼迫を受け、市場価格の高騰が継続しています。
米国においては、「米国事業の更なる成長」「トマト加工事業のグローバルネットワークの拡充」「持続可能なトマト加工事業構築」を目的にIngomarを連結子会社化し、事業を拡大しました。欧州においては、Holding da Industria Transformadora do Tomate, SGPS S.A.(以下、HIT)にて主要顧客への販売時期の変更により減収となりましたが、豪州においては、Kagome Australia Pty Ltd.(以下、KAU)にて、販売価格の上昇により増収となりました。
以上により、トマト他一次加工の売上収益は、前年同期比197.6%増の191億12百万円、事業利益は、前年同期比75.9%増の20億31百万円となりました。
[トマト他二次加工:ピザソース、バーベキューソース、トマトケチャップ、他]
トマト他二次加工は、米国、欧州、豪州、台湾、インドにおいて主としてフードサービス企業向けにピザソースやバーベキューソース、トマトケチャップ等の製造、販売を手掛けております。
トマト他二次加工品は、世界的な原材料やエネルギーを始めとしたコストの増加に伴い、販売価格が上昇しております。
米国のKAGOME INC.をはじめ、各地域において、フードサービス企業向けの販売が好調に推移しました。
以上により、トマト他二次加工の売上収益は、前年同期比32.0%増の172億57百万円、事業利益は、前年同期比90.2%増の21億90百万円となりました。
<その他>
その他には、国内農事業、種苗の生産・販売、並びに新品種・栽培技術などの開発、不動産事業、業務受託事業、新規事業等が含まれております。
売上収益は、前年同期比19.1%増の47億47百万円、事業利益は1億46百万円(前年同期は事業損失2億22百万円)となりました。
なお、当第1四半期連結会計期間より、その他に含めることとした「国内農事業」について、売上収益は前年同期比0.6%増の19億71百万円、また事業損失が54百万円(前年同期は事業損失59百万円)となりました。
(2) 財政状態の状況
当第1四半期連結会計期間は、資産合計につきましては、前期末に比べ880億59百万円増加いたしました。
流動資産につきましては、前期末に比べ358億65百万円増加いたしました。
これは、主にIngomarの連結子会社化などにより「棚卸資産」が404億68百万円、「営業債権及びその他の債権」が42億79百万円、それぞれ増加したことによります。なお「現金及び現金同等物」はIngomarの持分追加取得に伴う支出などにより、108億82百万円減少いたしました。
非流動資産につきましては、前期末に比べ521億93百万円増加いたしました。これは、主にIngomarの連結子会社化に伴い、「無形資産」が370億28百万円、「有形固定資産」が193億52百万円増加したことなどによります。なお、同社は子会社化に伴い持分法適用の対象外となったことから、「持分法で会計処理されている投資」が60億27百万円減少しております。
負債につきましては、前期末に比べ537億86百万円増加いたしました。
これは、主にIngomarの持分追加取得に伴う「借入金」が379億43百万円、Ingomarの連結子会社化などにより「繰延税金負債」が83億71百万円、「営業債務及びその他の債務」が83億69百万円、それぞれ増加したことによります。
資本につきましては、前期末に比べ342億72百万円増加いたしました。これは、「親会社の所有者に帰属する四半期利益」により117億73百万円、「非支配株主持分」が207億40百万円、「その他の資本の構成要素」が52億27百万円それぞれ増加いたしました。一方で、剰余金の配当により35億36百万円減少しております。
この結果、親会社所有者帰属持分比率は41.2%、1株当たり親会社所有者帰属持分は1,692円94銭となりました。
(3) キャッシュ・フローの状況
当第1四半期連結累計期間における現金及び現金同等物は、251億28百万円となり、前連結会計年度末比で108億82百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
営業活動によるキャッシュ・フローは、134億56百万円の純収入(前年同期は42億50百万円の純収入)となりました。これは、主に税引前四半期利益が143億79百万円となったこと、減価償却費及び償却費が28億88百万円となったこと、棚卸資産が97億96百万円減少したこと、営業債権及びその他の債権が45億21百万円減少したこと(以上、キャッシュの純収入)、Ingomarの持分段階取得に係る既存出資持分の時価評価益が93億23百万円となったこと、営業債務及びその他の債務が57億30百万円減少したこと、法人所得税等の支払いにより15億37百万円支出したこと(以上、キャッシュの純支出)などによります。
投資活動によるキャッシュ・フローは、379億15百万円の純支出(前年同期は12億82百万円の純支出)となりました。これは、主にIngomarの持分追加取得に伴い360億46百万円支出したことによります。
財務活動によるキャッシュ・フローは、131億50百万円の純収入(前年同期は28億1百万円の純収入)となりました。これは、配当金の支払いにより34億49百万円、社債の償還により10億円それぞれ支出があったものの、短期借入の増加により181億46百万円収入があったことによります。
(4) 事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
なお、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針の概要は以下のとおりであります。
① 基本方針の内容
当社は、当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社グループの事業特性、並びに当社の企業価値の源泉を十分理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させることができる者であることが必要と考えております。当社の株式について、特定の買付者による大量取得行為が行われる場合に、株主の皆さまが当社の株式を売却されるか否かは、最終的には株主の皆さまのご判断に委ねられるべきものと考えられますが、その前提として、株主の皆さまに適切かつ十分な情報をご提供したうえで、ご判断を頂くために適切かつ十分な期間と機会を確保することが重要と考えております。当社は、2021年開催の第77回定時株主総会終結のときをもって「当社株式の大量取得行為に関する対応方針(買収防衛策)」を継続しない旨を決定し現在に至っておりますが、当社株式の大量買付を行おうとする者に対しては、大量買付行為の是非を株主の皆さまが適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて当社取締役会の意見等を開示し、株主の皆さまの検討のための時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法及びその他関係法令に基づき、適切な措置を講じてまいります。
② 基本方針の実現に資する特別な取り組み
a.企業価値向上への取り組み
当社は、長期ビジョンや2025年のありたい姿の達成に向け、中期経営計画を策定し、経営課題に取り組むことで企業価値の向上を図ってまいります。
b.コーポレート・ガバナンスの強化に向けた取り組み
当社では、コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方に基づき、体制の整備・運用を行うことで、経営の客観性、透明性を高め、高度なアカウンタビリティを実現し、真の「開かれた企業」を目指してまいります。
③ 本取り組みに対する当社取締役会の判断及びその理由
本取り組みは、前述のとおり、基本方針の実現のため、当社の企業価値及び株主共同の利益を確保・向上させるために取り組むものであります。
このため、当社取締役会は、本取り組みが基本方針に沿い、株主の皆様共同の利益を損なうものではなく、当社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断しております。
(5) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、9億83百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
当第1四半期連結会計期間において、新たに締結した重要な契約は次のとおりであります。
(Ingomarの持分追加取得(連結子会社化)等)
当社は、2024年1月26日開催の取締役会において、全額出資子会社のKUHへの出資を通じて、当社グループの持分法適用関連会社であるIngomarの持分を追加取得することを決議し、同日付でIngomarを連結子会社化しました。
あわせて同日付で自己株式処分に係る発行登録をしております。