当第3四半期累計期間における、本四半期報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項の発生、又は前事業年度の有価証券報告書に記載した「事業等のリスク」についての重要な変更はありません。
なお、重要事象等は存在していません。
文中の将来に関する事項は、本四半期報告書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当第3四半期累計期間における国内経済は、緩やかに回復しました。個人消費は持ち直しに足踏みもみられましたが、設備投資は持ち直しの動きがあり、ソフトウェア投資は増加しました。企業業績についても、総じて改善しました。当社の主要な事業領域であるクレジットカード業界においては、個人消費の持ち直しによりクレジットカード会社の取扱高は、前年の実績を引き続き上回り推移しています。経済産業省はキャッシュレス決済比率を2025年までに4割程度にするという目標を掲げていますが、2023年の算出結果は、キャッシュレス決済比率39.3%、キャッシュレス決済金額126.7兆円となり、堅調に上昇しています。クレジットカード業界においては、不正利用被害額の増加により不正検知のニーズが急速に高まっており、システム基盤はモダナイゼーションや費用対効果向上のためにクラウド導入の動きが加速化、また業界を問わずセキュリティに対するIT投資意欲も高まっています。
こうした事業環境の中、当社は2025年6月期を最終年度とする3カ年中期事業計画を推進しています。事業構造の変革や事業領域の拡大による事業基盤の強化、拡大を進めるとともに、自らの持続的成長に向けて、人財基盤と共創基盤の確立に取り組んでいます。
事業基盤の強化、拡大においては、当社が強みをもつ決済業務に係るシステム開発事業を基礎として、クラウドサービスの成長によるストックビジネスの拡大と、決済データの利活用や顧客のIT戦略支援による決済事業領域の拡大、セキュリティ事業の構造改革、及び、決済・金融以外の産業の DX に貢献する IT 基盤の提供による事業領域の拡大を進めています。人財基盤については、人的資本経営推進室を新設し、事業戦略に合致した人財戦略を進め、共創基盤については、事業改革を進めるビジネスリライアビリティプロジェクトや共創プロジェクト等の社内プロジェクトを立ち上げ、組織横断型、社員全員参加型の取組み、対話を深めています。
当第3四半期累計期間の業績については、上期に引き続きシステム開発、クラウドサービス、セキュリティの主要3分野の売上が伸長し、前年のFEPシステム※更改の大型ハードウェア販売に伴う反動減を吸収し、売上高10,751百万円(前年同期比8.6%増)、営業利益1,496百万円(前年同期比31.7%増)となり、大幅な増収増益となりました。主力事業であるFEP領域は、既存顧客のシステム更改時期にハードウェア販売を伴うことから、売上及び利益の増減に大きな影響を与えていますが、今期は3カ年中期事業計画の目標であるクラウドサービスやセキュリティなどのストックビジネス拡大やFEP領域以外の決済領域の拡大により、増収増益となりました。
売上高の内訳としては、決済・金融分野については、クレジットカード会社向けの大型案件等により、システム開発が増加しました。クラウドサービスについては、カード不正利用検知サービス「IFINDS」を中心にユーザー数が増加し、売上高も伸長しました。セキュリティについては、取扱製品の絞り込みに加え、今期は鍵管理システム(HSM)、ID管理ソリューションなどの販売が貢献し、売上高が増加しました。
売上総利益は、システム開発やクラウドサービスの売上増加と粗利率の改善により増加しました。販売管理費はコストの最適化を進めたことで前年同期並みに推移し、通期計画に対して順調に進捗しています。その結果、営業利益は1,496百万円(前年同期比31.7%増)、経常利益は1,503百万円(前年同期比29.9%増)、四半期純利益1,027百万円(前年同期比31.6%増)となりました。
受注については、受注高は13,773百万円(前年同期比15.9%増)、受注残高は13,995百万円(前年同期比21.2%増)となりました。クラウドサービスについては、前年に長期複数年契約があったため、受注高は前年同期比で減少しましたが、受注残高は増加しました。システム開発は、受注高、受注残高ともに前年同期比で増加、セキュリティについても、長期複数年契約があり、受注高、受注残高ともに増加しました。
中期事業計画で拡大を目指しているクラウドサービスについては、売上高1,799百万円(前年同期比33.2%増)、売上総利益274百万円(前年同期比3.9倍)となりました。売上高については、「IFINDS」のユーザー数増加により、大幅増収となりました。利益については、粗利率の高いサービスの構成比率が上がったことなどにより、前年同期比で増加しました。またクラウドサービスは主に複数年契約の受注となっており、3月末時点で受注残高は7,371百万円となりました。2024年6月期は売上高2,500百万円を計画しており、順調に進捗しています。
当社は、決済領域では主にクレジットカード会社のFEPシステムや不正検知システムの開発を行っています。システムの中核は「NET+1(ネットプラスワン)」「ACEPlus(エースプラス)」等の自社製品で構成しており、例えば、FEPシステムの開発では、自社製品販売と、顧客の機能要件に合わせてカスタマイズするシステム開発、開発したソフトウェアを搭載するハードウェア販売の売上がそれぞれ計上されます。
また、セキュリティ領域では、企業組織の内部情報漏えいを防ぐ自社製品「CWAT(シーワット)」と、サイバーセキュリティ対策のための他社製品の開発・販売を行っています。
※ FEP(Front End Processing)システム:クレジットカード決済処理に必要なネットワーク接続やカード使用認証等の機能をもつハードウェア、及びソフトウェア
(2) 財政状態の分析
(資産)
当第3四半期会計期間末における資産の残高は、前事業年度末に比べ2,020百万円増加し、15,704百万円となりました。うち流動資産は、前事業年度末に比べ695百万円増加し、8,558百万円となりました。これは主に、現金及び預金が389百万円減少したものの、受取手形、売掛金及び契約資産180百万円、その他に含まれる前渡金693百万円、前払費用114百万円の増加があったためです。
固定資産は、前事業年度末に比べ1,325百万円増加し、7,145百万円となりました。これは主に、有形固定資産166百万円、無形固定資産939百万円、投資有価証券163百万円の増加があったためです。
(負債)
当第3四半期会計期間末における負債の残高は、前事業年度末に比べ1,970百万円増加し、6,854百万円となりました。これは主に、支払手形及び買掛金285百万円、前受金1,313百万円、賞与引当金241百万円の増加があったためです。
(純資産)
当第3四半期会計期間末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ49百万円増加し、8,849百万円となりました。これは主に、株式給付信託(BBT)導入により自己株式99百万円を取得したものの、利益剰余金107百万円、その他有価証券評価差額金42百万円の増加があったためです。
当第3四半期累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
当第3四半期累計期間の研究開発費の総額は16百万円です。
主な内容としては、ハイパフォーマンスコンピューティング・分散処理に関する新たなコア技術開発、NET+1の機能更新、マルチテナント型不正検知サービスの開発等を行いました。
当第3四半期会計期間において、経営上の重要な契約等は行われていません。