文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社グループが判断したものです。
当社グループは、「世界を便利に、人々を幸せに」をミッションとし、独自開発のAIアルゴリズムによる画像・動画解析と端末処理(エッジコンピューティング)技術を活用した「AIエンジニアリング事業」を展開しています。
新型コロナウイルス感染拡大を経て、生活習慣の大きな変化がますます進んでいます。在宅勤務・リモートワークの多様化やインターネットやメタバースを通じたショッピングやエンターテイメントの広がりなど、日常生活においてデジタル化が急速に進んでいます。
一方、街なかに目を向けてみると、デジタル化による便利さを十分に享受できる環境が十分に整ったとは言えない状況が続いています。当社グループは、AIカメラやネットワーク化されたデジタルサイネージの普及で、より便利な社会を実現する新しいサービスを独自に発案し、先端的なAI技術のサービス化を実現するとともに、周辺領域でのM&Aによるグループ企業の拡大などを通じて事業分野を拡げてまいりました。
また、持続可能な社会を実現するために国連サミットにて採択されたSDGs(持続可能な開発目標)に則して、省資源・省エネルギーで使えるエッジAI技術、AIを活用した安心・快適な街づくりへの貢献等に取組むことにより、持続的な社会づくりに貢献し、日本のみならず、グローバルな市場で企業価値を向上させていくことを目指しています。
(2) 目標とする経営指標
当社グループは、収益性を維持しながら中長期的な成長を図るため、成長性、収益性及び効率性を重視した経営が必要と認識しています。このため、売上高、売上総利益及びEBITDAを重要な指標と位置づけております。
2005年頃から深層学習を用いない業務のデジタル化を支援するサービス展開が始まり、2012年に機械学習研究領域において深層学習(ディープラーニング)技術が生み出されました。以来、深層学習技術の活用は様々な産業にて研究が行われています。深層学習技術についての実証実験が多数の大企業やスタートアップ企業で進んできた一方、実際に事業化され市場形成するまでに浸透したサービスが創出された例はこれまでごく限られていると当社グループは考えています。昨今は大規模言語モデルを用いたサービス化が大きな脚光を浴びておりますが、最も情報量が多く取り扱いが一層難しい非構造化データである映像領域においては、市場の巨大さに比して事業化の例は極めて限定的で、まだ見ぬ潜在市場は計り知れないと言えます。2017年にAIを搭載できるエッジデバイスが登場し、拡張性の高いAIサービスが進展する素地が整いました。
インターネット産業においては、2000年頃に検索エンジンと広告事業の連動により、インターネット広告事業が初めて勃興し、同時に、世界を襲ったインターネットバブルとその崩壊により優勝劣敗化が加速度的に進行し、技術力とビジネス力の双方を持ち得た企業のみが勝ち残りを遂げるに至っております。深層学習活用は現在、2000年以前のインターネット産業と同じく黎明期にあると当社グループは考えております。深層学習活用においてもインターネットバブルと同様なことが起こり、飛躍的な成長を遂げるスタートアップが世界で勃興しはじめていると当社グループは考えております。「人工知能が経営にもたらす『創造』と『破壊』」(EY総合研究所株式会社 2015年9月15日)によれば、卸売り・小売り・生活関連・広告・運輸・モビリティ分野でのAIサービスの市場規模は2020年の13兆円から2030年までに53兆円まで拡大すると予想されています。
こうした課題認識から、当社グループでは高度なAIエンジニアリング力と卓越したビジネス創出力の融合こそが、深層学習技術の飛躍的な拡大に必要不可欠であると考えております。当社グループは2018年の創業以来、既にAIが活用されている事業分野の大企業の研究開発の一部を担う受託開発ではなく、顧客企業が認識していない潜在市場を自社で掘り起こすことで市場自体を作り上げる事業開発を専業としています。独自に開発・構築したAIサービスを顧客企業に提供してまいりました。このような事業開発を推進した結果、当社グループの展開するAIサービスは「人流・防犯」、「駐車場・モビリティ」、「サイネージ広告」、「在宅勤務支援」、「ファッショントレンド解析」へと分野を拡大してまいりました。いずれも、スマートシティを構成するサービスとして展開しています。
当社グループが注力するスマートシティ分野は、特に中国や東南アジア諸国において注目され、複数の大規模なプロジェクトが進行しています。スマートシティとは建物、地形、エネルギー、交通などのデータを横断的に分析して、エネルギー効率がよく、環境に配慮した、安全安心な都市づくりで、AI技術の活用が大きく期待される分野でもあります。
"Smart Cities Market by Functional Area: Global Opportunity Analysis and Industry Forecast, 2018-2025"(Allied Market Research)によると、スマートシティの世界的な市場規模は、2025年には2.4兆ドルになるとみられています。画像認識AI分野では、特に成長が著しいアジア太平洋地域について、年率平均25.4%で成長すると予想されています。当社グループはスマートシティ分野でのサービス展開を加速させてまいります。また、今後も新しい事業分野を自ら創出し、AIエンジニアリングで様々な課題に取組んでまいります。
当社グループのAIエンジニアリング事業の実社会での活用はスタートしたばかりです。既存サービスを成熟化させ、より社会で使われるサービスへ成長させていくとともに、当社グループの技術の活用領域を拡大させたいと考えています。今後も継続的に新規事業を生み出す事業構築力と、それを即時に実際のサービスとして実装していくAIエンジニアリング力強化のため、人材採用や人材育成などに注力してまいりたいと考えております。
当社グループは、AI技術を活用したサービス開発を主軸に事業を展開してまいりました。本連結会計年度においては、プロジェクト単位の受注積み上げによる事業モデルから、AI技術を活用したサービス開発と、それを自社でユニットとして販売する事業モデルへと急速な転換を進めております。高度なAIサービスの開発・展開を目指すにあたって、以下の3つの優位性を最大限に発揮・強化する戦略を採用しております。
当社グループは、経験豊富なコンサルファーム出身者と、世界トップのインターネット企業でプロジェクトや営業を統括したメンバーを擁しています。
顧客の委託ニーズを伺う受け身の営業活動を行わないことで、主体的に付加価値を作りだす事業創出と事業展開のみに注力することが可能となっています。外資系コンサルティングファームにおいて、グローバル企業でのAI/IoTの活用や事業化をリードした経験を有する当社代表取締役社長をはじめ、国内外を代表する企業で新規事業を統括したメンバーの豊富な経験をもとに事業構築を行っております。
当社グループの深層学習の開発にあたっては、汎用なオープンアルゴリズムを転用せず、独自開発のアルゴリズムと自社で生成した学習データやコンピュータグラフィックスといった先端技術を活用し、高い精度のAIアルゴリズムを作り上げています。当社グループは、環境負荷を軽減させながら広く街なかで活用いただけることを前提に、端末処理(エッジコンピュータによる処理)に対応するAIライセンスの開発に注力しております。
当社グループには、世界各国からAIエンジニアが集まってきております。国籍を限定せず能力を重視した採用を進めて外国籍のエンジニアを多く採用してきた結果、英語で自由に開発活動ができる環境が構築されております。本邦の限られたAIエンジニア数を成長の律速要因とせず、博士号を保有するエンジニアや国際学会での多数の論文発表経験を持つエンジニアを複数擁しております。
東京大学大学院理学系研究科物理学専攻で理論物性の研究テーマで博士号を取得した後に、株式会社野村総合研究所で多くの大規模システム開発に携わってきた当社常務執行役員CTOをはじめとし、優秀なエンジニアを引き付ける開発能力を有し、かつ、日々の業務において研鑽をしております。
AIや機械学習の知見を検知を有するデジソリューション事業本部、ライフスタイル事業本部、マーケティング事業本部のメンバーと高い専門性を持つエンジニアが協業することで、より実社会に求められる技術をスピード感をもって開発しております。2022年12月末日現在、29件の国内外で取得済あるいは出願中の特許を有しております。
当社グループは、国内外の多様な企業との法人営業経験を豊富に保有する当社の代表取締役が創業しております。また、AI技術にも精通した多様なバックグラウンドを持った営業人材を確保しており、AI企業が苦手とする営業活動を戦略的に行える体制を構築しております。
東南アジア地域においては、当社グループにとって事業拡大の機会が多いと考えており、現地人材の活用やきめ細かな顧客対応など現地競合企業との差別化を図り、取引拡大を目的に2022年11月4日に現地法人Neural Group (Thailand) Co., Ltd.を設立し、事業を開始しました。
IV. M&Aを通じた事業領域の拡大
当社グループは事業成長を急速に加速するため、M&Aを通じたグループ拡大による積極的な成長を目指しており、着実に実績を積み上げてまいりました。コンサルティングファームとPEファンドで多くのM&Aを手掛けてきた取締役CFOの種良典を中心としたM&Aチームが、事業成長に資するM&Aの迅速な実施と早期のシナジー効果を創出する統合プロセスの推進を担っています。
2021年11月1日にはハイグレードマンション向けのサイネージ広告領域で独占的に事業展開していた株式会社フォーカスチャネルを子会社化し、サイネージ広告事業の基盤となるサイネージ筐体の設置台数を急拡大させました。フォーカスチャネルのグループ取り込みにより、AIサイネージサービスを自社の広告事業として展開していくための組織体制、人員体制を短期間で確立することができました。
また、2022年2月21日には、屋外電子看板大手の株式会社ネットテンを子会社化しました。これにより、ネットテンの電子看板を活用し、スマートシティ領域において新たな事業展開を見込んでおります。
2022年8月1日には両者のシナジー追求を加速するため、株式会社ネットテンを存続会社とし、株式会社ネットテンによる株式会社フォーカスチャネルの吸収合併を実施し、2022年9月1日にニューラルマーケティング株式会社へ商号変更を行っております。
当社グループは引き続き積極的なM&A戦略により、加速的な事業成長を目指しております。
独自の深層学習技術のライブラリの開発や、深層学習モデルを低コスト活用できる端末処理(エッジコンピューティング)は当社グループの競争力の源泉の一つであり、継続的な強化が重要であるものと認識しております。今後も国籍を問わずに卓越した能力を持つAIエンジニアの採用及び育成に努め、重点的に投資してまいります。
当社グループにおける、特定企業や特定産業に依存しない独立性・独自性のあるビジネスモデルは、既に展開している事業・サービスに限らず、まだAIの活用が始まっていない新たな産業分野においても適用可能であると考えております。当社グループはエッジコンピューティングによるAI解析の優位性を最大限に活用し、既存事業・サービスで培った独自の成功モデルから得た知見を取り入れたさらなる新規事業を発掘し、早期の事業化により、当社グループの技術の活用の場を広げてまいります。なお、これまでは高度なAIに関する専門知識やユーザーの理解を有する営業人員でしか販売が難しかったAIサービスの更なる成熟化を進めることで、AIに関する理解がない者にも広く販売ができるよう製品開発を推進しております。
③ 営業体制の強化
フィーベース事業(AIライセンス提供やAI開発)からユニットベース事業(自社AIサービスの販売)へビジネスモデルを進化させながら、当社グループは急速に事業規模拡大をしており、売上成長が直接的に収益を押し上げるビジネスモデルを構築しております。
事業拡大期において、今後も当社グループ製品へのニーズは高まるものと考えているため、事業拡大に合わせて充分な体制を維持強化すべく、営業人材の積極的な採用及び育成に取り組んでまいります。
当社グループは一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であるものと認識しております。経営の公正性・透明性確保のためにコーポレート・ガバナンスを強化し、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。
当社グループは海外への事業展開を進めており、海外企業向けに多様な販売チャネルを活用した営業活動を展開しております。
当社グループが主力サービス分野の一つとして進めるスマートシティにおいては、成長著しい東南アジアの潮流を捉える必要性が高いとの認識のもと、同地域への事業拡大の拠点として2020年4月30日にシンガポール支店を登記いたしました。更に2022年11月4日にタイ王国にて現地法人を設立いたしました。新型コロナウイルス感染の影響が回復傾向の中、東南アジア全域における事業展開を見据え、基盤整備を進めております。現時点でのタイ法人の業績に占める割合は軽微であり、益々の営業活動と現地企業へのサービス展開で国内に匹敵する事業を構築することを目標に、事業を推進していきたいと考えております。
用語集
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。当社グループはこれらのリスクの発生可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社グループの株式に関する投資判断は本項及び本項以外の記載内容も合わせて、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
本項に記載している将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループが属するAIビジネスの国内市場は成長を続けており、2020年度の市場規模は1兆1,084億円になるとみられ、2025年度には1兆9,357億円(2019年度比2.0倍)にも及ぶと予想されています。エッジAIコンピューティングについては2020年度予想の177億円から2025年度までに565億円(2019年度比4.2倍)まで成長すると予想されます(出所:富士キメラ総研「2020 人工知能ビジネス総調査」2020年10月)。
スマートシティの世界的な市場規模は、"Smart Cities Market by Functional Area: Global Opportunity Analysis and Industry Forecast, 2018-2025"(Allied Market Research)によると、2025年には2.4兆ドルになるとみられています。また、「人工知能が経営にもたらす『創造』と『破壊』」(EY総合研究所株式会社 2015年9月15日)によれば、AIサービス市場全体は2030年までに87兆円規模まで急拡大する見込みで、そのうち卸売り・小売り・生活関連・広告・運輸・モビリティ分野は2020年の13兆円から2030年までに53兆円まで拡大すると予想されております。今後、国内海外においてAI関連市場は拡大を続けるものと見込まれており、各産業でAIの実用化に向けた取組みが進んでおります。
しかしながら、市場の成長ペースが大きく鈍化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。また、市場の拡大が進んだ場合であっても、当社グループが同様のペースで順調に成長しない可能性があります。さらに、市場が成熟していないため、今後、大手企業による新規参入等により市場シェアの構成が急激に変化した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループはAI事業領域において事業展開しておりますが、当該分野においては多くの企業が事業展開していることもあり、競合サービスが増加する可能性があります。引き続き事業の拡大及び競争力の維持・強化を努めてまいりますが、優れた競合企業の登場、競合企業によるサービス改善や付加価値が高いビジネスモデルの出現等により、当社グループの競争力が低下する可能性があり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは独自のAIアルゴリズムによる画像・動画解析技術を軸に事業を展開しており、当該技術及びその周辺技術の競争優位性を維持・強化し続けることが重要であると認識しております。また、当社グループは既に保有している技術の維持・強化だけでなく、新技術の積極的な展開を行い適時に独自のサービスを構築していく方針であり、優秀なエンジニアの採用・育成や創造的な職場環境の整備に加え、外部イベントへの参加やオープンな技術勉強会の開催等により最新の技術動向や環境変化を把握できる体制を構築することで、技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応できるよう努めております。
しかしながら、技術革新等への対応が遅れた場合や開発費等の予想を超える多額の費用が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループサービスでは、画像データを収集・分析し、その結果を事業展開において活用しております。
著作権等の他者が保有する画像データに関する権利を侵害することがないように対応しておりますが、著作権法等の法規制が改正され、当社グループ事業における公開画像データの利活用が制限される場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、個人が特定できない属性情報のみを画像データより抽出・解析しており、個人情報保護法の適用対象とはならないと考えておりますが、国内外の個人情報保護に関する法規制は個人情報保護に対する関心の高まりとともに継続的にその在り方が再検討されており、今後、国内外の既存法令等の改正等による規制強化がなされた場合には当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
カメラ画像の利活用にあたっては、パートナー企業やカメラ等の端末を設置する不動産・施設所有者の協力を得ながら、経済産業省と総務省が策定した「カメラ画像利活用ガイドブック」に準拠した運用を進めてまいりますが、一般社会の理解を得られないような場合には機器の設置遅延など、事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、当社グループの事業に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、当社グループによる第三者の知的財産権侵害の可能性についても調査可能な範囲で対応を行っております。しかしながら、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性があります。この場合、ロイヤリティの支払や損害賠償請求等により、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社グループの事業を支えるサーバーのうち、特に冗長性が求められるものについては当社グループが契約するクラウドサービスプラットフォームで管理され、複数のサーバーによる負荷の分散、定期的なバックアップの実施等を図り、システム障害を未然に防ぐべく取組みを行っています。また、社内サーバーにて提供されている一部サービスについては、ソフトウエア障害をスタッフに通知する仕組みを整備し、また、障害が発生したことを想定した復旧訓練も実施しています。エッジAIを活用したサービスにおいても、動作状態をモニターする仕組みを導入し、障害対応を迅速に行える体制を構築しています。
しかしながら、上記の取組みにもかかわらず、火災、地震等の自然災害や外的破損、人的ミスによるシステム障害、その他予期せぬ事象の発生により、万一、当社グループの設備及びネットワークの利用に支障が生じた場合には、サービスの停止等を余儀なくされることとなり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの2022年12月期における売上高について、取引先上位3社の占める割合は約2割となり、特定の取引先への依存度が高いことが見られます。当社グループにおいては、今後も得意先との関係強化を図り、安定的な営業取引を含めて良好な関係維持を出来るよう努めるとともに、他社への売上高を拡大することで取引先への依存度低下を図り、リスクの逓減に努める方針です。なお、当社グループはソフトバンク株式会社との間でAI技術を活用したサービスの共同開発に係る業務提携契約を締結しておりましたが、契約期間満了に伴い契約を自動更新しないことについて、2022年7月26日にソフトバンク株式会社と合意し、2022年10月をもって契約を終了しました。
当社グループはファッショントレンド解析において、ソーシャルメディアから日々大量に生成されるデータを取得しております。しかしながら、ソーシャルメディア運営側の方針転換等により情報提供の方針が変更となった場合、サービス品質の低下や情報の取得に対する追加コストの発生等により、当社グループのサービスに影響を及ぼす可能性があります。
当社グループのアルゴリズムモジュール及びソフトウエアは、商品特性ゆえに幅広い産業に対して提供することが可能であります。今後も引き続き他の産業にも積極的に参入し、新サービス及び新規事業に取組んでまいります。これによりシステムへの投資や人件費等、追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性があります。また、新規事業の拡大・成長が当初の予測通りに進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、事業を通じて取得した顧客が保有している機密情報(経営戦略上重要な情報等)及び個人情報を保有する可能性がございます。情報の取扱いについては情報セキュリティ管理規程を整備し、適切な運用に努めております。このような対策にもかかわらず、当社グループの人的オペレーションのミス、その他不測の事態等により情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
重松路威氏は、創業以来、当社の代表取締役社長であり、本書提出日現在で同氏及び同氏の資産管理会社とあわせて当社発行済株式総数(自己株式を除く)のうち57.20%を保有する大株主でもあり、当社グループの事業に関する豊富な知識と経験、人脈を有しており、当社の経営戦略、事業戦略、開発戦略等において重要な役割を果たしております。
当社は、各事業部門長である役職員に権限委譲を行い、重松路威氏に過度に依存しないための経営体制の整備及び人材の育成を進めておりますが、何らかの理由により同氏による当社業務の遂行が困難となった場合、当社グループの事業及び業績に影響を与える可能性があります。
当社は2018年1月に設立されており、設立後の経過期間が短く社歴の浅い会社であります。したがって、当社グループの過年度の経営成績は期間業績比較を行うための十分な材料とはならず、過年度の実績のみでは今後の業績を判断する情報としては不十分である可能性があります。
当社グループの組織体制は小規模であり、業務執行体制及び内部管理体制もそれに応じたものになっております。今後の事業展開に応じて、人員の増強、業務執行体制及び内部管理体制の一層の充実を図ってまいりますが、これらの施策が適時適切に進行しなかった場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは一層の事業拡大を見込む成長段階にあるため、さらなる優秀な人材の確保が今後も必要不可欠であります。AIを専門とする高度なエンジニアは国内外でも人数が限られており、優秀な人材の獲得は他社とも競合が発生するなど、優秀な人材の獲得及びその後の定着・育成は当社グループにとって重要な課題であるものと認識しております。当社グループでは英語によるAI開発体制を構築することにより、海外からの優秀なAIエンジニアを採用できる体制を構築しております。また、働きやすい職場環境の構築や既存の従業員のモチベーションを向上する各種施策を実施することで、優秀な人材を惹き付ける組織であり続けることを目指しております。
しかしながら、当社グループの計画どおりに人員が確保・育成できず、適正な人材配置が困難となった場合や労働力市場や経営環境等の変化により人材流出が進んだ場合、競争力の低下や一層の業容拡大の制約要因が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は創業以来配当を実施しておりませんが、株主に対する利益還元は経営の重要課題であると認識しております。
しかしながら、当社グループは未だ成長過程にあると考えており、さらなる内部留保の充実を図り経営体質の強化、事業拡大のための投資等に充当していくことが株主に対する最大の利益還元につながると考えております。将来的には収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の充実状況及び当社グループを取り巻く事業環境を勘案したうえで、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針でありますが、現時点においては配当実施の可能性及びその実施時期については未定であります。
当社グループはこれまで国内を中心に事業展開をしてまいりましたが、今後はさらなる海外事業展開も検討してまいります。海外展開におきましては、為替変動、進出国の経済動向、政情不安、法規制の変更など多岐にわたるリスクが存在し、当社グループはこれらのリスクを最小限にすべく十分な対策を講じたうえで事業展開を進めていく方針ですが、予測困難なリスクが発生した場合には当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは今後の事業拡大等を目的として、国内外を問わずM&A、出資、子会社設立等の投資を事業展開の選択肢の一つとして考えております。これらの投資の実行に際しては、ビジネス・財務・法務等に関する詳細な検討を行い、各種リスクの低減に努める方針であります。
これらの投資の実行のための検討費用が発生する場合、または、これらの検討で確認・想定されなかった事象がこれら投資の実行後に判明あるいは発生したり、市場環境の変化等により投資先の事業展開が計画どおりに進まないことにより投資を回収できない場合や、減損損失を計上することになる場合等には、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。
⑧ 子会社管理について(顕在化の可能性:中、顕在化の時期(又は頻度):常時、影響度:中)
当社グループでは子会社を4社(ニューラルエンジニアリング株式会社、ニューラルマーケティング株式会社、Neural Group (Thailand) Co., Ltd.、Neural Solution (Thailand) Co., Ltd.)有しております。これらの会社は当社グループの傘下となってからの期間が短く、また、事業規模も小さいことから今後の急速な事業成長に管理体制の整備が追い付かない可能性があります。そのため、当社の管轄部門において内部統制を含め管理体制の強化に努めております。
しかしながら、管理体制が不十分であることにより、法令違反や許認可に関わる手続き不備等によって当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨ 大規模な自然災害等について(顕在化の可能性:低、顕在化の時期(又は頻度):常時、影響度:中)
当社グループは有事に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じておりますが、台風、地震、津波等の自然災害が想定を大きく上回る規模で発生した場合、当社グループ又は当社グループ取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、本書提出日現在、世界的に流行している新型コロナウイルス感染症は、収束時期が依然として不透明であります。当社グループのビジネスへの影響は軽微ではあると認識しておりますが、例えば、デジタルサイネージ機器の設置場所である商業施設が閉鎖される場合や外出自粛により広告需要が落ち込むなど顧客の業績への影響が想定を超えて長期化した場合には、当社グループ又は当社グループの取引先の事業活動に影響を及ぼし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、本書提出日現在において提起されている訴訟はありません。しかしながら、将来何らかの事由の発生により訴訟等による請求を受ける可能性があります。このような事態が生じた場合、当社グループの社会的信用が毀損する他、当社グループの事業展開及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
(資産の部)
当連結会計年度末における流動資産は2,030,490千円となり、前連結会計年度末に比べ271,819千円増加いたしました。これは主に、売掛金が343,410千円増加したこと及び棚卸資産が169,148千円増加したこと並びに現金及び預金が313,083千円減少したことによるものであります。
当連結会計年度末における固定資産は1,772,866千円となり、前連結会計年度末に比べ1,111,737千円増加いたしました。これは主に、のれんが922,731千円増加したこと及び顧客関連資産が211,038千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、3,803,357千円となり、前連結会計年度末に比べ1,383,556千円増加いたしました。
(負債の部)
当連結会計年度末における流動負債は1,616,007千円となり、前連結会計年度末に比べ626,921千円増加いたしました。これは主に、買掛金が46,940千円増加したこと及び1年内返済予定の長期借入金が451,568千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における固定負債は1,754,906千円となり、前連結会計年度末に比べ1,646,926千円増加いたしました。これは主に、長期借入金が1,491,212千円増加したことによるものであります。
この結果、負債合計は、3,370,914千円となり、前連結会計年度末に比べ2,273,847千円増加いたしました。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産合計は432,443千円となり、前連結会計年度末に比べ890,290千円減少いたしました。これは主に、利益剰余金917,644千円の減少によるものであります。
当社グループは「世界を便利に、人々を幸せに」をミッションとして、リアル空間のデジタル化による社会課題の解決を目指しております。当社グループ事業は、デジソリューション、ライフスタイルの2つのサービスドメインで構成されております。
デジソリューションサービスドメインでは、AIカメラを活用した駐車場や物流施設のトラックバースの効率的な運用を実現する「デジパーク」、街中の人流解析や防犯に活用いただける「デジフロー」、在宅勤務支援ツール「リモデスク」、屋外および屋内用LEDディスプレイの「デジルック」、デジタルサイネージを媒体とするマンションサイネージ広告サービス「フォーカスチャネル」を提供しております。ライフスタイルサービスドメインでは、アパレル向けファッショントレンド解析「AIMD」やアパレル企業を中心に幅広いAIシステムソリューションを提供しております。
当連結会計年度においてはフィーベース事業(AIライセンス提供やAI開発)からユニットベース事業(自社AIサービスの販売)へビジネスモデルを進化させながら、急速に事業規模拡大、売上伸長を実現しました。また、高い粗利率を維持しながら事業規模拡大を実現しており、売上成長が直接的に収益を押し上げるビジネスモデルを構築しております。一方、当社グループは事業拡大期にあることから、のれんや顧客関連資産の償却費用や事業拡大に伴う販管費(人件費)の増加等で、通期の営業損益は悪化しました。
また、サイネージについては、当社グループが目指すAIスマートシティの実現において重要な要素で、今後の成長領域と捉えており、2021年11月に株式会社フォーカスチャネル、2022年2月に株式会社ネットテン(2022年9月にニューラルマーケティング株式会社へ商号変更)を買収し、完全子会社化しました。フォーカスチャネル社の取得時点での事業計画では、マンションサイネージ広告事業から生じる超過収益力としてのれんを計上しておりましたが、その後、グループ全体の効率的な経営資源の配分を考えシナジー創出を加速するため、2022年8月1日を効力発生日とするネットテン社によるフォーカスチャネル社の吸収合併を行い、事業統合を実施致しました。その結果、フォーカスチャネル社の取得時の当初計画との乖離が発生し、マンションサイネージ広告事業のみを源泉とする当初事業計画に基づいたのれんの回収可能価額算定の結果、減損損失を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,878,743千円(前年度比185.0%増)となり、営業損失311,963千円(前連結会計年度は営業利益20,181千円)、経常損失307,824千円(前連結会計年度は経常利益13,650千円)、親会社株主に帰属する当期純損失は909,182千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益11,267千円)となりました。
なお、当社グループの事業セグメントはAIエンジニアリング事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度より 417,908千円減少し、1,008,082千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動による資金の減少は318,242千円(前年同期は788千円の減少)となりました。主な要因は、減損損失664,741千円、税金等調整前当期純損失964,346千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果、使用した資金は262,957千円(前年同期は494,585千円の支出)となりました。主な要因は、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出251,253千円、子会社株式の条件付取得対価の支払額150,000千円、保険積立金の解約による収入206,315千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果、獲得した資金は162,824千円(前年同期は496,553千円の収入)となりました。主な要因は、短期借入金の純減額150,000千円及び長期借入金の返済による支出368,771千円並びに長期借入れによる収入700,000千円によるものであります。
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合。
2.当連結会計年度の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債や収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定は次の通りです。
ニューラルマーケティング株式会社に係る顧客関連資産及びのれんの評価
当グループは、保有しかつ使用している資産の帳簿価額について、帳簿価額の回収ができなくなる可能性を示す事象又は状況の変化が生じた場合は、減損の兆候の有無を判定します。この判定において、資産の帳簿価額が減損していると判断された場合は、帳簿価額が回収可能価額を超える金額を減損損失として認識します。
顧客関連資産及びのれんの評価の公正価値の基礎となるニューラルマーケティング株式会社の株式価値を算定するために用いる評価技法として、評価対象会社の株式価値は将来の収益性・成長性によるところが大きいと考えられます。DCF法は会社の将来の収益性を基に株式価値を算定するものであり、継続企業の評価においては理論的に優れた方法であるといえることから、DCF法を採用しております。使用価値は経営者により承認された事業計画を基礎とした将来キャッシュ・フローの見積額を、加重平均資本コストをもとに算定した割引率で現在価値に割り引いて算定しており、現時点で合理的であると判断される一定の前提に基づいていますが、マーケットに係るリスク、経営環境に係るリスク等により、実際の結果が大きく異なることがありえます。また、使用価値の算定に使用する割引率については、株式市場の動向や金利の変動等により影響を受けます。将来キャッシュ・フロー及び使用価値の見積りは合理的であると考えていますが、将来キャッシュ・フローや使用価値の減少をもたらすような予測不能な事業上の環境の変化に起因する見積りの変化が、資産の評価に不利に影響する可能性があります。当グループは、公正価値及び使用価値算定上の複雑さに応じ、外部専門家を適宜利用しています。
のれんは、事業買収で獲得する市場競争力を基礎とする超過収益力の源泉であり、被取得会社の純資産と、取得の対価の差額の内、顧客関連資産(無形資産)等に計上された額以外をのれんとして計上します。のれんは、日本基準に基づき、定額法による償却を行っており、減損の兆候が有る場合には、その資産の属する資金生成単位又は資金生成単位グループごとに回収可能価額を見積り、減損テストを実施しています。
(1)当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
(2)識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
当社グループは、他の資産又は資産グループのキャッシュ・フローから概ね独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位によって資産のグルーピングを行っています。ニューラルマーケティング株式会社に係る顧客関連資産及びのれんについて、取得原価のうちこれらに配分された金額が相対的に多額であるため、減損の兆候が存在すると判断しましたが、これらの資産に関連する事業から生じる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を上回っていることから、当連結会計年度において減損損失の認識をしておりません。
割引前将来キャッシュ・フローの基礎となる事業計画において、特に重要な構成要素は、デジタルLEDサイネージの販売見積り額です。この販売見積り額は、主として営業人員数増加や、それに伴う受注件数の拡大といった重要な仮定に基づいて策定しております。
これらの割引前将来キャッシュ・フローの見積りにおいて用いた重要な仮定は合理的であると判断しておりますが、将来の不確実な状況変化により、仮定の見直しが必要となった場合には翌連結会計年度の連結財務諸表における、顧客関連資産及びのれんの金額に重要な影響を与える可能性があります。
a.財政状態の分析 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
c.キャッシュ・フローの分析 前述の「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金のほか、従業員の給与手当等の営業費用であります。当社グループは、事業運営上必要な資金を安定的に確保するために、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等でバランスよく調達していくことを基本方針としております。
また、当社グループではM&A等を実施することにより成長機会を捉え、事業基盤の拡充を行うことが当社グループの中長期的な企業価値の向上を図る上で重要な戦略と考えており、上記事業での資金需要とは別にM&A等の資金需要が発生する可能性があります。
④ 経営成績に重要な要因を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に 記載のとおりであります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
⑥ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析・検討内容
a. 売上高
当連結会計年度の売上高は、2,878,743千円となりました。これは主に、当連結会計年度に連結子会社化したニューラルマーケティング株式会社(旧社名 株式会社ネットテン)の連結取込期間に亘る業績寄与、並びにAIエンジニアリング事業の積み上げ、各種プロダクトの拡販が進んだことによるものであります。
b. 売上総利益
当連結会計年度の売上総利益は、1,849,665千円となりました。これは主に、ニューラルマーケティング株式会社の連結子会社化したことにより、売上が増加したことによるものです。当連結会計年度の売上総利益率は64.3%と高い水準を維持しており、売上成長に伴い売上総利益の拡大を実現いたしました。
c. EBITDA
当連結会計年度のEBITDAは、△22,101千円となりました。これは主にニューラルマーケティング株式会社を連結子会社化したことによる費用の増加、事業規模拡大に伴う人員増加により販売費及び一般管理費の増加が売上総利益の増加を上回ったことによるものです。
第6期第3四半期連結累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年9月30日)
文中の将来に関する事項は、本有価証券届出書提出日現在において判断したものであります。
なお、前連結会計年度末において、企業結合に係る暫定的な会計処理の確定を行っており、前年同四半期連結累計期間との比較・分析にあたっては暫定的な会計処理の確定による見直し後の金額を用いています。
(1) 財政状況及び経営成績の状況
当社グループは「AIで心躍る未来を」をミッションとして掲げ、枠にとらわれない幅広い領域でのAIサービスの展開を目指しております。生成AI技術をはじめとする最先端技術の向上や、AI技術を通じたリアル社会での地域広告メディアの拡大に加え、エッジAIを活用した高品質なAIサービスでスマートシティの実現と発展に貢献するとともに、事業の持続可能性向上に取り組んでいます。当社グループ事業は、デジソリューション、ライフスタイルの2つのサービスドメインで構成されております。
デジソリューションサービスドメインでは、AIカメラを活用して商業施設の大型駐車場や物流施設のトラックバースの効率的な運用を実現する「デジパーク」と、街中の人流解析や防犯に活用いただける「デジフロー」、AIカメラを活用して広告効果の可視化を実現するデジタルサイネージを媒体とした広告サービスを提供しております。また、AIの研究・開発企業であるOpenAI社が提供するChat GPTを用いたWeb解析や口コミへの自動返信機能を兼ね備えた新たなWebサービス「Generative Web」の販売を開始するなど、最先端テクノロジーを活用したサービス展開を推進しております。ライフスタイルサービスドメインでは、アパレル向けファッショントレンド解析「AIMD」をはじめとする幅広い領域でAIシステムサービスを提供しております。
当第3四半期連結累計期間において、売上高は、2022年11月30日にOpenAIにより発表されたChatGPTを始めとするAIのモデルの1つである大規模言語モデル(LLM)が注目され第四次産業革命を迎えるといわれているAI市場の追い風を受ける中、2021年度においてユニットベース事業(自社AIサービスの販売)へ移行したサービスについて汎用的なニーズに基づく使いやすさを追求し、また、前年同期では連結損益計算書への損益取込期間が短い株式会社ネットテン(2022年9月にニューラルマーケティング株式会社へ商号変更)の影響もあり、前年同四半期より増加しました。
一方、当社グループは事業成長期にあり、活動を支えるために事業基盤を強化すべく、営業人員の積極的な採用、海外を含む事業拠点の拡大、AIエンジニアの採用及び育成を行った結果、事業拡大に伴う販管費の増加等で前年同四半期より営業損益は悪化しました。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の売上高は2,194,046千円(前年同四半期16.2%増)となり、営業損失624,414千円(前年同四半期は営業損失309,569千円)、経常損失644,922千円(前年同四半期は経常損失293,514千円)、親会社株主に帰属する四半期純損失は601,812千円(前年同四半期は親会社株主に帰属する四半期純損失872,153千円)となりました。
なお、当社グループの事業セグメントはAIエンジニアリング事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
より詳しい決算内容に関しては、当社IRサイトより、2023年11月10日発表の「2023年12月期 第3四半期 決算説明資料」をご覧ください。
参考URL:https://www.neural-group.com/ir/library/index.html
(資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における流動資産は1,769,515千円となり、前連結会計年度末に比べ260,975千円減少いたしました。これは主に、現金及び預金が133,359千円減少したこと並びに受取手形、売掛金及び契約資産が185,849千円減少したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における固定資産は1,711,257千円となり、前連結会計年度末に比べ61,608千円減少いたしました。これは主に、のれんが77,909千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、3,480,773千円となり、前連結会計年度末に比べ322,583千円減少いたしました。
(負債の部)
当第3四半期連結会計期間末における流動負債は1,551,475千円となり、前連結会計年度末に比べ64,532千円減少いたしました。これは主に、流動負債「その他」に含まれる未払金が66,510千円減少したことによるものであります。
当第3四半期連結会計期間末における固定負債は1,410,840千円となり、前連結会計年度末に比べ344,066千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が284,811千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、2,962,315千円となり、前連結会計年度末に比べ408,599千円減少いたしました。
(純資産の部)
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は518,458千円となり、前連結会計年度末に比べ86,015千円増加いたしました。これは主に、資本金339,504千円の増加、資本剰余金339,504千円の増加、利益剰余金601,812千円の減少によるものであります。
該当事項はありません。
第5期連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当社グループは、技術分野として独自の深層学習技術のライブラリを開発し、当社グループのAIエンジニアリング事業に活用しております。深層学習の開発にあたっては既存の汎用AIシステムを転用するのではなく、独自の学習データを収集して学習モデルを構築し、高い検出精度の学習モデルを常に開発し続けております。
当連結会計年度における当社グループが支出した研究開発費の総額は259,082千円であります。
なお、当社グループの事業はAIエンジニアリング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
第6期第3四半期連結累計期間(自 2023年1月1日 至 2023年9月30日)
当第3四半期連結累計期間における研究開発費の総額は148,112千円です。なお、当第3四半期連結累計期間において、第5期連結会計年度より研究開発活動の状況に重要な変更はありません。