第2【事業の状況】

1【事業等のリスク】

 当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについて重要な変更があった事項は、以下のとおりです。本項における将来に関する事項は、別段の表示がない限り、本四半期報告書提出日現在において当社が判断したものです。また、以下の見出しに付された項目番号は、前事業年度の有価証券報告書における「第一部企業情報 第2事業の状況 3事業等のリスク」の項目番号に対応するものです。なお、前事業年度の有価証券報告書における⑩以降の項目番号は変更となります。

 

(5) その他の主要なリスク

⑩ A-12 IFRSにおける保険契約の評価に係るリスク

 当社は、2023年度第1四半期連結累計期間より、IFRSを任意適用しています。IFRSにおいては、保険契約の評価を、原則として報告日時点における将来キャッシュ・フローに関する現在の見積り、現在の割引率及び非金融リスクに係るリスク調整に関する現在の見積りを用いて測定しています。将来キャッシュ・フロー及び非金融リスクに係るリスク調整の見積りについて、保険契約の評価をするにあたっての前提条件の変更があった場合、その影響額は契約サービスマージン(CSM)で調整されます。しかしながら、保険事故発生率、解約失効率、維持費率の著しい悪化、または、非金融リスクに係るリスクの著しい増大により、保険契約グループにおいてCSMで調整しきれない悪化方向の前提条件の変更を行うこととなる場合、その影響額のうちCSMを超える金額については当期の損失として計上されることになります。その結果、財務会計上の損失が生じ、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。また、保険契約の評価における割引率は金利変動による影響を受けます。当社によって対処し得る程度を超えて市場環境が大きく変動した場合、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ A-13 IFRSにおける繰延税金資産の評価に係るリスク

 当社は、2023年度第1四半期連結累計期間より、IFRSを任意適用しています。IFRSにおいては、保険契約の評価に係る税務上の将来加算一時差異があり、その解消により回収が見込まれる範囲内で税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対する繰延税金資産を認識しています。当社の経営状況の悪化や将来の見通しの変化等により、保険契約の評価に係る将来加算一時差異が減少し、税務上の繰越欠損金及び将来減算一時差異に対する繰延税金資産の一部又は全部の回収ができないと判断した場合、繰延税金資産は減額され、その結果、当社の財務内容及び業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

2【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当社グループは、第1四半期連結累計期間より、IFRSを適用しています。また、前第2四半期連結累計期間及び前連結会計年度の財務数値についても、IFRSに組み替えて比較分析を行っています。なお、財務数値に係るIFRSと日本基準との差異については、「第4 経理の状況 1 要約中間連結財務諸表 要約中間連結財務諸表注記」の「15. 初度適用」をご覧ください。

 

(1) 経営成績

契約の状況

 当社グループは、新たな収益機会の拡大を目指して、2023年7月より団体信用生命保険(以下、「団信」)の提供を開始しました。当第2四半期連結会計期間末の個人保険及び団信を合算した保有契約年換算保険料*1は、前連結会計年度末比113.4%の27,255百万円となりました。内訳について、個人保険は前連結会計年度末比102.7%の24,685百万円、団信は2,570百万円となりました。

 個人保険における保有契約件数、新契約年換算保険料及び新契約件数、解約失効率は次のとおりです。保有契約件数は、前連結会計年度末比102.5%の582,784件となりました。また、当第2四半期連結累計期間の新契約年換算保険料は、前年同期比65.9%の1,387百万円、新契約件数は、前年同期比64.1%の34,507件となりました。また、当第2四半期連結累計期間の解約失効率*2は、6.7%(前年同期6.3%)となりました。

*1.年換算保険料とは、1回当たりの保険料(団信は、保有契約を元に算出される翌月の収入保険料)について保険料の支払い方法に応じた係数を乗じ、1年当たりの保険料に換算した金額をいいます。当社商品の保険料は全て月払いのみとなっているため、1ヶ月当たりの保険料に12を乗じたものを年換算保険料としています。

*2.解約失効率は、解約・失効の件数を月々の保有契約件数の平均で除した比率を年換算した数値です。

 

 収支の状況

(百万円)

 

2022年度第2四半期

連結累計期間

2023年度第2四半期

連結累計期間

増減額

保険収益

10,025

11,766

1,740

保険サービス損益

2,946

4,088

1,142

金融損益*3

△423

66

490

その他の損益*4

△374

△228

146

税引前中間利益

2,147

3,926

1,778

親会社の所有者に帰属する中間利益

1,437

2,759

1,321

 当第2四半期連結累計期間の保険収益は、前年同期比117.4%の11,766百万円となりました。内訳について、個人保険に係る保険収益は11,170百万円、団信に係る保険収益は595百万円となりました。個人保険については、保険収益を構成する主要な要素のうち、「予想保険金及び維持費*5」は5,177百万円、「消滅したリスクに関する非金融リスクに係るリスク調整の変動(以下、「リスク調整リリース」)」は872百万円、「提供したサービスについて認識したCSM*6(以下、「CSMリリース」)」は3,435百万円となりました。保険サービス損益は、主にリスク調整リリース及びCSMリリースの計上により、前年同期比138.8%の4,088百万円となりました。金融損益は、主に投資信託の評価益が増加したことにより、66百万円となりました。その他の損益は、保険サービスに直接関連しない費用の計上等により、△228百万円となりました。

 以上の結果、税引前中間利益は、前年同期比182.8%の3,926百万円となりました。また、当第2四半期連結累計期間の親会社の所有者に帰属する中間利益は、前年同期比191.9%の2,759百万円となりました。

 なお、当第2四半期連結累計期間において発生した保険契約の履行に直接関連する費用のうち、保険契約群団の獲得に直接起因する費用(マーケティング、新規契約の査定及びシステムに係る費用等の合計)である保険獲得キャッシュ・フローは前年同期比87.1%の4,400百万円、保険獲得キャッシュ・フローに含まれない費用である維持費は前年同期比107.3%の2,098百万円となりました。

*3.金融損益とは、主に金融資産から生じる投資損益、保険金融収益または費用、再保険金融収益または費用の小計です。

*4.その他の損益とは、保険サービスに直接関連しない費用、保険事業以外の損益を指し、商品開発費用や子会社の損益等が含まれます。

*5.維持費とは、保険契約の履行に直接関連する費用のうち、保険獲得キャッシュ・フローに含まれない費用を指し、保険契約の管理及び維持に係る費用や保険サービス提供のための間接費用が含まれます。

*6.CSMはContractual Service Marginの略であり、将来において保険サービスを提供するにつれて認識することとなる未稼得利益を表します。

 

(2) 財政状態

資産、負債及び純資産の状況

 当第2四半期連結会計期間末の総資産は、105,830百万円(前連結会計年度末93,814百万円)となりました。主な勘定残高として、高格付けの公社債を中心とする投資有価証券は48,340百万円、保険契約資産は29,146百万円となりました。保険契約は一般的には負債として計上されるものの、当社グループは以下の表「保険契約負債の内訳」のとおり、個人保険の保険契約負債はマイナスとなることから保険契約資産として計上しています。その内訳は、個人保険における将来キャッシュ・フロー現価△143,711百万円、リスク調整27,029百万円及びCSM87,535百万円となりました。また、団信においては保険料配分アプローチを適用して測定し、保険契約負債として346百万円を計上しました。

 

保険契約負債の内訳

(百万円)

将来キャッシュ・フロー現価

(保険金等から保険料を差し引いた収支の現価)

△143,711

リスク調整

27,029

CSM

87,535

個人保険における保険契約負債 合計

△29,146

団信における保険契約負債(保険料配分アプローチを適用して測定する契約に係る保険契約負債)

346

 負債は、主に繰延税金負債が増加したことにより、18,776百万円(前連結会計年度末18,110百万円)となりました。主な勘定残高は、繰延税金負債16,921百万円となりました。

 資本は、公募及び第三者割当による新株式発行を行ったことに加え、中間利益を計上したことにより、87,054百万円(前連結会計年度末75,704百万円)となりました。

 また、行政監督上の指標のひとつとして経営の健全性を判断するために活用する指標である連結ソルベンシー・マージン比率は、当第2四半期連結会計期間末において2,760.9%となり、充分な支払余力を維持しています。

 

キャッシュ・フローの状況

 当第2四半期連結累計期間における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に保険契約資産の増加がマイナスに影響したものの、税引前中間利益の計上により、3,070百万円の収入(前年同期909百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有形固定資産及び無形資産の取得により、377百万円の支出(前年同期1,702百万円の支出)となりました。また、財務活動によるキャッシュ・フローは、主に公募及び第三者割当による新株式発行により、9,737百万円の収入(前年同期54百万円の支出)となりました。

 以上の結果、現金及び現金同等物の当第2四半期連結会計期間末残高は、24,589百万円(前連結会計年度末12,137百万円)となりました。

 

(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの要約中間連結財務諸表は、IFRSに準拠して作成しています。この要約中間連結財務諸表の作成

にあたり採用した重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第4 経理の状況 要約中間

連結財務諸表注記 4. 重要な会計上の見積り及び判断」をご参照ください。

 

(4) 経営方針・経営戦略等

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営方針・経営戦略の重要な変更はありません。

 

(5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。

 

(6) 研究開発活動

 該当事項はありません。

 

 

 

3【経営上の重要な契約等】

 当社は、2023年8月30日の取締役会で、三井住友カード株式会社、株式会社三井住友フィナンシャルグループ及びライフネットみらい株式会社の4社間における資本業務提携基本契約の締結を決議しました。本契約は、付加価値の高い保険商品と決済サービスとの連携を通じて、幅広い顧客にサービスを提供することで、デジタル保険マーケットを牽引することを目的としています。また当社は、同日付の取締役会において、三井住友カード株式会社と株式引受契約を締結し、同社を割当先とする第三者割当による新株式発行を決議しました。