第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) 経営理念

インターネットを含むネットワークインフラ及び技術は、私達の社会を大きく変えてきました。エンターテインメントはもちろんのこと、ビジネス向けのサービスに関しても、いつでも、どこでもインターネットにつながっていることを前提にサービスが設計されるようになり、様々な新しいビジネス構造が生まれてきています。

このような変化の中、当社では『「楽しい」で世界をつなぐ』を経営理念に掲げ、つながりから生まれる価値を最大化するために様々なサービスの開発、運営に取り組んでおります。

 

(2) 目標とする経営指標

経営理念である、『「楽しい」で世界をつなぐ』を永続的に達成するために、全ての事業において、「成長スピードの追求」「顧客満足の向上」「効率的な事業運営」という3つの観点を常に強化することにより、事業生産性を最大化することを基本方針としております。それに沿った重要な指標として、営業利益を重要な経営指標として捉えております。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社は、主力事業である広告事業において安定した収益基盤を確保しながら、中長期的な事業成長に向け、広告事業を中心に大規模な事業投資を継続し、開発を進めているAI(人工知能)を活用した新たな広告配信プラットフォームの展開による当該事業の成長により、更なる事業規模の拡大を図ってまいります。

新規事業として取り組んでいるトレーディングカード事業、IoTヘルスケア事業、ブロックチェーン関連事業においては、広告事業以外での新たな収益事業にすべく事業を推進してまいります。

また、引き続き、人材・働く環境への投資として、積極的な人員拡充、組織体制の強化とともに、企業成長の源泉である「人材」の力を最大限に引き出すことで、企業価値向上につなげ、更なる人的資本経営の実現を目指してまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社が対処すべき主要な課題は、以下のとおりと認識しております。

 

① 収益基盤の強化

当社は、『「楽しい」で世界をつなぐ』という経営理念を永続的に達成するため、収益基盤の強化及び生産性の高い事業体制の構築による利益率の改善が重要な経営課題であると認識しております。そのため、今後も継続的に、広告事業における広告ネットワークの拡大及び広告主向けサービスの拡充、新たな収益の柱となり得る事業の確立、複数事業体制による事業間連携、資金・社内リソースの適切な配分、事業の選択と集中による生産性の向上を図ってまいります。

 

② 技術革新への対応

当社が展開する事業は、技術革新のスピードや顧客ニーズの変化が速く、それに基づくサービスの導入が相次いでいる非常に変化の激しい業界に属しております。当社は、これらの変化に対応するため、優秀な技術者の確保、新しい技術の探求や採用等を行い、技術革新に対応できる組織体制の構築に取り組んでまいります。

 

③ 人材の確保と育成

企業の持続的な成長を実現していくためには、必要な人材の確保及び人材の育成が重要であると考えております。また、昨今の働く環境や価値観の急速な変化などもあり、これらに対する柔軟な対応が求められております。当社は、ダイバーシティを尊重した柔軟な雇用形態の実現及び人事制度の刷新等に取り組んでおります。さらに、従業員の能力向上のため、リスキリングや次世代を担う人材への投資を推進いたします。企業成長の源泉である人材の力を最大限引きだすことにより、企業の持続的な成長を実現し、企業価値向上につなげてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1) ガバナンス

当社は、経営環境の変化に迅速に対応できる組織体制及び株主重視の公正で透明性のある経営システムを構築し、維持していくことが重要であると考え、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しております体制により企業活動を行っております。

(2) 戦略

当社は、サステナビリティに関する取組みのうち、特に人材確保・定着に関する取組みについて、経営上重要であると考えております。企業成長の源泉である人材の力を最大限に引き出し、企業価値の向上につなげてまいります。

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社事業は、主にインターネット市場に属しており、サステナビリティに関する取組みにおいては、優秀な人材の確保・定着が経営・事業基盤を安定化させるために重要であると認識しております。

そのため、当社では年齢・性別・国籍等の属性にかかわらず、業務上必要なスキルの有無、意欲、周囲とのコミュニケーション意識等に優れた人材を確保するとともに、こうした人材が定着し、その能力を伸ばすことが出来る環境の整備に努めております。

(3) リスク管理

当社では、「コンプライアンス規程」等に基づき、全社がコンプライアンスを徹底するための体制を構築しております。また、必要に応じて弁護士、公認会計士、弁理士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家からアドバイスを受けられる体制を構築するとともに、内部監査及び監査等委員による監査を通じて、潜在的なリスクの早期発見、未然防止及び会社損失の最小化に努めております。当社のコンプライアンス及びリスク管理につきましては、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

(4) 指標及び目標

人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績、指標及び目標

企業成長の源泉である人材の力を最大限に引き出すことを目的として、これまでの管理型組織から多様な人材を活かした自走できる組織への変革を目指してまいります。

当社では、小規模な組織体制であるため、重要性も加味したうえで、年齢、国籍、性別等の区分で管理職の構成割合や人数の目標値等は定めておりません。ただし、当社が掲げるミッションを実現し、事業成長を加速するためには、様々な局面において多様な意見を反映することが重要であるという認識の下、女性や中途採用者の管理職への登用を推進しております。

今後も期待する役割に応じた能力と実績に基づき、積極的に登用を進めるとともに、これらの者が成果を最大化し、適切に能力が評価されるような施策や環境の整備に取り組んでまいります。

 

3 【事業等のリスク】

本報告書に記載する当社の事業の状況及び経理の状況等に関する事項のうち、リスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。

また、必ずしもそのようなリスクとは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。

当社はこれらのリスク発生の可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項及び本報告書中の本項以外の記載内容も併せて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

なお、以下の記載のうち将来に関する事項は、特段の記載がない限り、本報告書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性が内在しているため、実際の結果と異なる可能性があります。また、以下に記載する事項は、将来を含めた当社の事業等のリスク全般を網羅するものではありません。

 

① 市場の動向について

ア.インターネット利用率について

当社が属するインターネット関連市場について、総務省「通信利用動向調査」によりますと、国内における個人のインターネット利用率は2009年以降80%前後で推移しており、特に13歳~59歳までのインターネット利用率は各年齢層で9割を超えており、既に多くの人が利用している社会インフラとなっております。また、通信方式としての5GやIoTサービスの拡大、企業におけるテレワークの導入が今後も普及を後押ししていくものと考えられ、それらによってインターネット上のさらなるデータ量の増大や、それによるAIの活用が見込まれております。しかしながら、インターネット関連市場において何らかの市場変動要因の発生、新たな社会インフラの確立など市場の変化が発生した場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

イ.インターネット広告市場について

当社の広告事業の属するインターネット広告市場について、株式会社D2C/株式会社サイバー・コミュニケーションズ(CCI)/株式会社電通/株式会社電通デジタルの共同調べによりますと、インターネット広告媒体費は、2021年から2022年にかけて前年比115.0%となる2兆4,801億円の規模にまで拡大しており、取引手法別では、運用型広告がインターネット広告市場全体の85.4%を占め、前年比115.3%となる2兆1,189億円と高い成長率を維持しております。しかしながら、インターネット広告市場における何らかの市場変動要因の発生、広告出稿元のマーケティング・販売促進等の予算縮小、広告代理店の営業戦略の変化が発生した場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 

② 広告事業について

ア.競合について

当社が行っている広告事業は、多数の競合会社があり、新規参入も含め、今後はより競争が激化する可能性があります。当社は新規広告商品の開発、ならびに、広告主や媒体運営者への利便性やサービス向上をより重視し、競争力の維持向上に努めてまいりますが、有力な媒体を取扱うことができる等の競合他社以上の優位性を確立できる保証はなく、サービス提供が継続できなくなった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

イ.広告主との関係について

インターネット広告市場は拡大傾向にあり、今後も市場は拡大していくものと想定されます。しかしながら、企業の広告活動は景気動向の影響を受けやすいものであり、今後もテレビ、新聞、雑誌等、既存広告媒体との競合が継続していくと考えられております。今後何らかの理由により、広告主の出稿意欲の減衰など社会環境の変化があった場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

ウ.新しい広告手法について

当社は、リスティング広告、行動ターゲティング広告等、多様な広告手法に迅速に対応し、サービスを提供しております。しかしながら、今後独創的な広告手法が考案され、その変化に対応するための技術開発に多大な費用が生じた場合、または、技術変化への対応が遅れることによって、当社の提供する広告サービスが陳腐化した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

エ.サービスの信頼性等について

当社では、広告サービスの信頼性確保のために、広告媒体の成果報酬の不正請求について、厳正に対応しております。また請求には手作業による集計等が一部で行われていることから、人為的なミス等から請求内容の誤謬が生じたりすることを避けるためチェックの徹底を行っております。そのほか、規約を設けて参加手続面での管理を実施、その後も必要に応じ広告媒体に関する調査を定期的に行うことで不正請求を排除し、サービスの信頼性向上に努めております。しかしながら、自然災害や事故等の予期せぬ要因によりこれらの対応に不備が生じ、広告主からクレームを受けた場合や収益計上が適切に行われない場合、あるいは、損害賠償を請求された場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 

③ IoTヘルスケア関連のサービスについて

 ア.IoTヘルスケア関連市場の成長について

当社は、今後の企業価値向上のために、2019年2月に開始したIoTに関連するサービスのノウハウを活かして、ヘルスケア分野に参入し、IoTヘルスケアに関連するサービスを開始しております。当社にとって新しい事業分野であるため、サービスを提供するまでに想定以上の期間やコストを要する場合があります。

また、株式会社グローバルインフォメーションによるとヘルスケアIoT市場は2026年にかけて20.5%の年間平均成長率で拡大し、2026年には2,537億米ドルに達すると予測されております。しかしながら、拡大スピードの鈍化や市場の縮小等により、当初想定していた成果を挙げることができない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

イ.提携先について

当社は、複数のプロダクト開発企業と提携し、機器の販売、機器より取得したデータを蓄積、活用するためのシステム開発等を行っております。提携先の事業方針又は戦略が変化した場合、提携先との提携が解消された場合、提携先の経営状態等が著しく悪化し事業継続が困難となった場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

また、提携先であるヘルスケア分野のプロダクト開発企業においては、FDA(米国食品医薬品局)に対して、検査機器のEUA(緊急使用許可)の取得を目指しておりますが、製品開発が進捗しなかった場合や、事業が計画どおりに進捗しなかった場合等には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

ウ.サービスや機器の不具合について

当社は、IoTヘルスケアに関連するサービスとして、プロダクト開発企業が持つ様々な機器、サービス等を、取引先や市場のニーズに応じて、営業、システム開発の両面から結合し、環境に適合させて提供してまいります。これらのサービスにおいては、安定稼動のために常に対策を講じておりますが、機器の不具合、コンピュータシステムや通信ネットワークに障害等によりサービスの停止を余儀なくされた場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

④ トレカ関連のサービスについて

ア.業務提携先について

当社はトレカ販売・買取のノウハウを保有する業務提携先とトレカの販売に特化した自動販売機の共同運営を行っております。業務提携先の事業方針又は戦略が変化した場合、業務提携先との協業関係が解消された場合、業務提携先の経営状態等が著しく悪化し事業継続が困難となった場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

イ.商品の在庫と仕入れについて

当社は、一部の商品を需要予測に基づき在庫保有しております。しかしながら、市場の変化、顧客事情等により予測した需要が実現しない場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑤ ブロックチェーン関連のサービスについて

ブロックチェーンに関連するサービスは、新しい事業分野であるため、サービスを提供するまでに想定以上の期間を要する場合や想定以上のコストを要する場合があります。また、市場の拡大スピードの鈍化や市場の縮小等により、当初想定していた成果を挙げることができない場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

 

⑥ 事業全般に係るリスクについて

ア.事業展開に関わる業務提携やM&A

当社は、既存事業の業容拡大や、新サービスを導入することにより将来的な成長に寄与すると判断した場合には、業務提携やM&Aを積極的に検討する方針であります。

これらの実行に関しては、ビジネス、財務、税務及び法務等に関するデューデリジェンスを行い各種リスクの低減に努めますが、予期せぬ事態の発生や様々な外部要因の変化により、提携事業又はM&A対象企業の事業等が計画通りに進展せず、想定した成果が上がらない場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

イ.法的規制について

当社が展開している事業は、様々な法的規制の対象となっており、各法令には違反した場合の罰則規定等が定められております。当社では、常に法令遵守を意識した事業活動を行っており、現時点では各々の罰則規定等に抵触していないものと認識しております。しかしながら、今後の法改正次第では、何らかの法的規制を受ける場合や対応措置をとる必要性が生じる可能性があります。また、当社の事業活動に関連して、新たな法令施行により何らかの法的規制を受けることとなった場合には、事業活動が制限され、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

また、当社が参入しているブロックチェーン関連のサービスにつきましては、近年生まれた新しい分野であります。当社としましては、弁護士等の専門家に相談しつつ法令に抵触しないよう運用してまいります。しかしながら、現行制度の見直し等により当社の事業に多大な制約や変更が生じた場合には、当社の事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。

ウ.知的財産権について

当社が日常的な事業活動を行う過程において使用しているコンテンツ、ソフトウエア及びシステムは、第三者の知的財産権を侵害するものではないものと認識しておりますが、予期せぬ要因により当社が保有する又は使用許諾を得ているもの以外の知的財産権を侵害する可能性があります。そのような事態が生じた場合には、当社が第三者の知的財産権を侵害することによる損害賠償請求、もしくは、使用差し止め請求等の訴えを起こされる可能性、または、当該知的財産権に関する対価の支払い等が発生する可能性があります。

エ.個人情報の管理について

当社では、推進する事業の性質上、個人情報を取り扱っており、「個人情報の保護に関する法律」に規定される個人情報取扱事業者に該当いたします。個人情報の取り扱いにつきましては、既に認証を受けている情報セキュリティマネジメントシステムの一環として、「個人情報の保護に関する法律」に沿った対応をとり、社内ルール化と共に社内体制を整備しております。

当社は、国内におけるCookieの利用規制等を含む個人情報に関連するさまざまな保護規制やEU一般データ保護規則(GDPR)、Cookieに関する規制等の諸外国における個人情報に関する保護規制について、最新情報を収集し、適宜、対応しております。

しかしながら、当社が保有する個人情報等につき、何らかの要因で個人情報の漏洩があった場合には、適切な対応を行うための相応なコスト負担、当社への損害賠償請求、信用の低下等によって、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

オ.システム障害について

当社は、サービスに適応した通信ネットワークシステムやインフラの安定稼動が事業の前提であると認識しております。自然災害や事故等、電力供給の停止等の予測不可能な様々な要因によって通信ネットワークの切断やコンピュータシステムのダウンが生じた場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。また、当社のコンピュータシステムは、適切なセキュリティ手段を講じて外部からの不正アクセスを回避するよう努めておりますが、コンピュータウィルスやハッカーの攻撃等によりシステム障害が生じた場合には、当社の事業及び業績が影響を受ける可能性があります。

 

 

⑦ 経営管理全般に係るリスクについて
ア.人材の確保及び育成について

当社において優秀な人材の確保、育成及び定着は重要課題であり、事業戦略に基づく採用活動、人事評価制度の整備や研修の実施等の施策を通じ、人材の確保、育成及び定着に取り組んでおります。しかしながら、自然災害等の予期せぬ要因により当社が企図する採用活動や人材育成が困難になった場合には、適正な人材配置が困難となり、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

イ.コンプライアンスについて

当社は、役職員に法令、定款、社内規程、行動規範及び社会倫理の遵守を徹底させるため、コンプライアンス委員会を組織し、役職員への啓蒙・教育を実施しております。しかしながら、万が一法令等に抵触する事態が生じた場合には、信用低下を招き、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

ウ.訴訟について

当社は、役職員に対する法令遵守の教育活動を通じて法令違反行為等の低減に努めておりますが、予期せぬ事態により、取引先、役職員その他第三者とのトラブルが発生し、訴訟等が発生する可能性があります。その場合、訴訟内容や賠償金額によって、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

エ.資金使途について

当社は、2021年4月に広告事業拡大における運転資金・システム投資等、ヘルスケア分野の事業化権利獲得及び出資・業務提携に係る費用並びに事業開発費用、広告・IoT領域・ブロックチェーン関連のM&A及び資本・業務提携に係る費用に充当することを資金使途として、第三者割当の方法により第2回無担保転換社債型新株予約権付社債および第23回新株予約権の発行による資金調達を行っております。しかしながら、急速に変化する経営環境に柔軟に対応していくため、最適な時期に最適な分野へ資金を投じる等、資金調達時点の計画以外を資金使途とする可能性があります。また、計画に沿って資金を使用したとしても、想定通りの投資効果が得られなかった場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

オ.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社では、転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権を発行しております。当該新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化することになり、将来における株価への影響を及ぼす可能性があります。2023年11月末日現在、当該新株予約権による潜在株式数は5,881,000株であり、2023年11月末日現在における発行済株式数10,646,300株の55.24%に相当しております。

カ.投資有価証券の減損について

当社では、資本業務提携先などの投資有価証券を保有しております。取締役会にて四半期毎に投資先の財務状況等の把握に努めておりますが、市場環境の急激な悪化や競争環境の激化による投資先の財務状況等の悪化などにより、投資価値が毀損し、かつ回復の可能性がないと判断した場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

キ.グロース市場上場維持基準への抵触のリスクについて

当社は、株式会社東京証券取引所にて2022年4月適用の新市場区分についてグロース市場を選択しておりますが、2023年9月末時点におけるグロース市場の上場維持基準への適合状況は、「時価総額」については基準を充たしておりません。2025年9月期までに上場維持基準を充たすため、各種取組みを進めてまいりますが、財政状態及び経営成績並びに市場環境や経済情勢によっては、2025年9月期までにグロース市場の上場維持基準を充足できない可能性があります。

ク.自然災害等について

当社の本店所在地は東京都であり、他の地域に拠点を分散しておりません。そのため、東京都において大地震、台風等の自然災害や火災等の事象により、役職員の負傷、設備の損壊、電力供給の停止又は制限等の不測の事態が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

⑧ 筆頭株主との関係について

株式会社ウィズ・パートナーズが無限責任組合員を務めるウィズ AIoT エボリューション ファンド投資事業有限責任組合は2023年9月末現在、11.98%の当社株式を保有しており、第2回無担保転換社債型新株予約権付社債及び第23回新株予約権の潜在株式を含めますと発行済株式総数の33.08%に相当いたします。同社とは投資契約を締結し、同社が保有しているノウハウやネットワークを活用して事業の進展を図ることで協力関係を維持しておりますが、将来において同社の保有方針が変更され、協力関係が解消された場合には、当社の財政状態、事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

① 経営成績の状況

当事業年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限の緩和により、社会経済活動について回復基調にあるものの、国際情勢等による資源価格の高騰や円安の継続、世界的な金融引き締めにより企業を取り巻く環境は、依然として先行き不透明な状況が継続しております。

当社が主にサービスを提供しているインターネット広告関連分野においては、日本社会におけるデジタルトランスフォーメーション(DX)が加速したこともあり、順調に拡大を続けているほか、ChatGPTをはじめとするAI(人工知能)を用いた「生成系AI」が、今後の技術革新として大きな注目を集めており、様々な分野での社会実装が期待されております。

また、当社が本年9月より新規事業として参入したトレーディングカード市場においても、ユーザー層の裾野が広く、一般社団法人日本玩具協会によると、カードゲーム・トレーディングカード市場の2022年度における市場規模は、前年比132.2%となる2,349億円に拡大しております。

このような環境の下、当社では、前事業年度から中長期的な事業成長に向け、広告事業を中心とした大規模な事業投資が必要と判断し、AI(人工知能)を活用した新たな広告配信プラットフォームの開発を進めております。

また、事業拡大に向け、積極的な人員拡充や組織体制強化等、働く環境への投資を実施しており、企業成長の源泉である「人材」の力を最大限に引き出せるような人的資本経営の実現を通じ、企業価値向上を図っております。

以上の結果、当事業年度の業績は、売上高2,144,815千円(前年同期比19.7%減)、営業損失98,874千円(前年同期は13,196千円の営業利益)、経常損失100,621千円(前年同期は10,274千円の経常利益)、当期純損失102,421千円(前年同期は100,629千円の当期純損失)となりました。

 

各セグメントの業績は次のとおりであります。

 

(広告事業)

広告事業の売上高は2,084,623千円(前年同期比21.6%減)、セグメント利益は32,883千円(前年同期比76.9%減)となりました。

アドネットワーク「ADroute」は、新規取引先や広告枠の獲得にて徐々に売上高が回復しております。一方で、運用代行サービス「トレーディングデスク」は、経済活動の再開に伴う需要動向の変化や市況感による停滞もあり売上高が減少しております。また、システム等の受託開発、運営保守は、取引先から継続受注しております。

なお、当事業年度より、広告事業においては、中長期的な事業成長のための大規模なシステム開発を含む先行投資を実施しております。

 

(その他事業)

その他事業の売上高は60,192千円(前年同期比360.9%増)、セグメント損失は41,404千円(前年同期は15,140千円のセグメント損失)となりました。

その他事業には、ブロックチェーンゲーム配信等及びIoTソリューションの企画・開発・販売・運用等が含まれております。

ブロックチェーン関連では、ブロックチェーンゲームの収益性が低く、将来的な見通しが立たないため、ゲームタイトルの配信権の譲渡やサービス終了に向けた対応を開始しておりますが、ブロックチェーン技術においては可能性のある技術であると経営判断しており、これまで培ったノウハウを活かし、今後ゲーム領域以外での技術転用による事業展開を模索してまいります。

また、積雪深自動モニタリングシステム「YUKIMI」は、次のシーズン(2023年12月~2024年3月)に向けて営業強化を図り、内閣府より実施されているデジタルを活用した地方の社会課題解決・魅力向上の取り組みを支援する「デジタル田園都市国家構想推進交付金」を活用した取り組みの提案によって、複数の自治体から受注しております。

なお、その他事業では、当事業年度の第4四半期会計期間より、新たに開始したトレーディングカード事業を含んでおり、第4四半期会計期間より業績に寄与しております。

 

② 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ138,052千円減少し、1,422,460千円となりました。流動資産は、前事業年度末に比べ293,782千円減少し、1,182,243千円となりました。これは、主に流動資産のその他が18,972千円増加したものの、現金及び預金が334,059千円、売掛金が10,441千円減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前事業年度末に比べ155,729千円増加し、240,216千円となりました。これは、主に長期貸付金が5,400千円減少し、ソフトウエア仮勘定が99,640千円、敷金及び保証金65,147千円が増加したこと等によるものであります。

 

(負債)

当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ57,009千円減少し、568,373千円となりました。これは、主に買掛金が12,962千円、賞与引当金が16,340千円、転換社債型新株予約権付社債が22,290千円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ81,042千円減少し、854,087千円となりました。これは、主に当期純損失102,421千円を計上したものの、転換社債型新株予約権付社債の転換により資本金及び資本剰余金がそれぞれ11,145千円増加したこと等によるものであります。なお、2023年2月の欠損填補を目的とした減資により、資本金が167,178千円減少し、資本剰余金が66,548千円、利益剰余金が100,629千円増加しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べて334,059千円減少し、906,037千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動によるキャッシュ・フローは172,862千円の減少となりました。これは、主に売上債権の減少10,441千円、未払金の増加12,261千円の計上等があったものの、税引前当期純損失101,471千円の計上、棚卸資産の増加が30,991千円、仕入債務の減少12,962千円等があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは162,208千円の減少となりました。これは、主に長期貸付金の回収による収入5,400千円があったものの、無形固定資産の取得による支出102,461千円、敷金保証金の差し入れによる支出65,147千円等があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは1,012千円の増加となりました。これは、新株予約権の発行による収入1,012千円があったことによるものであります。

 

 

④ 生産、受注及び販売の実績

ア.生産実績

該当事項はありません。

 

イ.受注実績

当社は、受注から納品までの期間が短期間のため記載を省略しております。

 

ウ.販売実績

当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

広告事業

2,084,623

△21.6

その他

60,192

360.9

合計

2,144,815

△19.7

 

(注)当事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前事業年度
(自 2021年10月1日
 至 2022年9月30日)

当事業年度
(自 2022年10月1日
 至 2023年9月30日)

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

IBGメディア株式会社

512,834

19.2

328,132

15.3

合同会社DMM.COM

405,470

15.2

株式会社グローバルネット

325,727

12.2

316,441

14.8

株式会社インサイト

292,932

13.7

CTW株式会社

236,263

11.0

株式会社フロンテッジ

220,014

10.3

 

1.主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先につきましては記載を省略しております。

2.前事業年度の株式会社インサイト、CTW株式会社、株式会社フロンテッジに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

文中の将来に関する事項は、本報告書提出日において当社が判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(財政状態)

当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ138,052千円減少し、1,422,460千円となりました。流動資産は、前事業年度末に比べ293,782千円減少し、1,182,243千円となりました。これは、主に流動資産のその他が増加したものの、現金及び預金や売掛金が減少したこと等によるものであります。

固定資産は、前事業年度末に比べ155,729千円増加し、240,216千円となりました。これは、主に長期貸付金が減少し、ソフトウエア仮勘定や敷金及び保証金が増加したこと等によるものであります。

負債合計は、前事業年度末に比べ57,009千円減少し、568,373千円となりました。これは、主に買掛金や賞与引当金の減少、転換社債型新株予約権付社債の当社普通株式への転換による減少等によるものであります。

純資産合計は、前事業年度末に比べ81,042千円減少し、854,087千円となりました。これは、主に当期純損失を計上したものの、転換社債型新株予約権付社債の転換により資本金及び資本準備金が増加したこと等によるものであります。

 

(売上高)

当事業年度の売上高は2,144,815千円(前年同期比19.7%減)となりました。ブロックチェーン関連事業でサービス開始を予定していたタイトルの開始時期が延期されたことやユーザー数や課金額等の推移が想定を下回ったこと、広告事業で一部大口顧客の方針変更に伴い出稿量が減少したことなどの影響により、前年同期比で減収となりました。

 

(営業利益)

当事業年度の営業損益は98,874千円の営業損失(前年同期は13,196千円の営業利益)となりました。減収による売上総利益の減少と、当事業年度から実施している中長期的な事業成長に向けた大規模な事業投資による販売費及び一般管理費の費用増加により、営業利益は減益となりました。

 

(営業外損益及び経常利益)

当事業年度の経常損益は100,621千円の経常損失(前年同期は10,274千円の経常利益)となりました。受取利息や保有する暗号資産などにかかる暗号資産評価益を営業外収益として計上したものの、投資事業組合運用損や新株発行にかかる費用等を営業外費用として計上したこと等により、経常利益は減益となりました。

 

(当期純利益)

当事業年度の当期純損益は102,421千円の当期純損失(前年同期は100,629千円の当期純損失)となりました。

ブロックチェーンゲームのパブリッシング権取得対価として権利金を無形固定資産に計上しておりましたが、この度の契約終了に伴い権利金償却を特別損失に計上したこと等により、当期純損失を計上しております。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当事業年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、上記「(1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

当社の運転資金需要のうち主なものは、広告出稿に伴う媒体費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であり、運転資金は自己資金及び転換社債型新株予約権付社債の発行や新株予約権の行使により調達した資金を基にしております。

資金調達につきましては、2021年4月に第三者割当により転換社債型新株予約権付社債及び新株予約権を発行したこと、その後これらの行使が行われたことにより資金を調達しており、想定される資金需要に十分に対応できる資金を確保しております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載のとおりであります。この財務諸表の作成にあたりまして、見積りが必要となる事項については、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に関して情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

⑤ 経営者の問題認識と今後の方針について

「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。