第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

当社は、経営理念として「顧客主義(取引先との共生によるパートナーシップの確保)」、「社員主義(社員の自主自律による価値創造の確保)」、「成果主義(機会平等と評価公平性の確保)」を掲げており、事業目的として「取引先の信頼と安心の確保に基づくサービスの提供」、「社員の生活向上と安定の確保」、「コンプライアンス、CSRの遵守と社会貢献」を定めております。以上の経営理念及び事業目的は、当社設立以来の経営に対する基本的な考え方として、経営者はもとより、社員への浸透も図られております。

 

(2)目標とする経営指標

① 売上高伸長率

減収増益や微増収増益では、企業価値の拡大に限度があります。売上高の拡大は、事業展開上必須の事柄であります。

② 利益率

売上高営業利益率、売上高経常利益率、売上高当期純利益率においてそれぞれ目標を設定し、収益力の高さを維持する経営を実践しております。

③ 技術社員数及び稼働率

技術社員数は、当年度、次年度の売上に関わる重要な指数となります。稼働率は、売上高及び売上総利益に大きな影響を与えます。

④ 請負業務比率

付加価値の高い請負業務を50%以上維持させ、新たな可能性の探索や収益率の高い業務比率を増やしていきます。

⑤ コア業務領域および新事業領域の拡大

当社の得意分野である自動車ランプ・内装・ボデー設計等のコア業務領域を拡大させていくことで、強みの更なる強化に繋げてまいります。当社のコア業務領域は、今後、HV/EV等の次世代自動車の普及、自動車部品のモジュール化の進展が期待され、設計開発需要減少の影響は受けにくいと考えております。また、新事業領域(ソフトウェア分野の展開、デジタル解析ソリューション、顧客向けDXソリューション)も拡大を目指します。

⑥ 健全な財務体制の維持

不測の事態に備え、財務体制を強化させていくと共に、資本について適切な活用を視野に入れた経営を実施しております。

⑦ 配当性向

株主に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置づけ、継続的かつ安定的な配当を実施することを基本方針としております。配当政策につきましては、事業拡大のための設備投資などを目的とした内部留保の確保と配当の安定的拡大を念頭におき、財政状態及び利益水準を勘案した上で当期純利益の35%以上(配当性向35%以上)を毎期配当していくことを原則としております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

当事業年度における世界経済は、一時的に落ち着きを取り戻した兆候が見られたものの、先行きについては中東やウクライナ情勢等の地政学的リスク、中国経済の減速懸念、インフレ率の高止まりと世界的な金融引締めの継続などから不透明感が続いています。

我が国経済においては社会経済活動が正常化に向かう中、高水準の企業収益を背景に設備投資が堅調に推移し、緩やかに回復しています。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあり、設備投資、個人消費を中心に緩やかな回復が続くことが期待されます。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、中国経済の先行き懸念など海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。

当社が主力事業を展開する自動車業界及び自動車部品業界においては、脱炭素化に向けた世界的な流れは持続しており、次世代技術の開発に向けて研究開発の歩みは益々加速していくものとみられます。当社が主力とする設計開発アウトソーシング事業は生産の上流工程であるため、自動車メーカーの工場稼働停止や減産が直接契約解除等に影響する可能性は低いと見ておりますが、海外景気の減速が深刻化した際などには業績に影響を及ぼす可能性もあるため、業界の動向に注視する必要があります。また、世界的な物価上昇が続く中、政府や経団連の賃上げの呼びかけもあり、国内の平均賃金は上昇しています。

 

以上のような事業環境のもと、当社はより付加価値が高いソリューション提案型企業「デジタルソリューション企業」を目指し、既存事業のみならず積極的に新規事業の推進に励んでまいりました。その一環として、2023年6月に自社独自のデジタル技術開発へ経営資源を集中させるため、非中核事業である3Dプリント事業を廃止することを決定しました。

なお、中長期的な会社の経営戦略は次のとおりであります。

 

① 数値目標

 

第19期

(2024年9月期)

第20期

(2025年9月期)

第21期

(2026年9月期)

第22期

(2027年9月期)

売上高

10,100百万円

11,100百万円

11,900百万円

12,500百万円

営業利益

710百万円

900百万円

1,100百万円

1,300百万円

 売上高営業利益率

7.0%

8.1%

9.2%

10.4%

経常利益

710百万円

900百万円

1,100百万円

1,300百万円

当期純利益

590百万円

600百万円

740百万円

910百万円

 

 

② ビジョン

  『デジタルソリューション企業』

     デジタル技術を活用し、顧客の潜在ニーズに応えるソリューション提案型企業

 

③ 新たな戦略的取組み

 (1)既存事業の更なる発展や付加価値の創造

a. 軽量化設計技術の発展(EV化により車体軽量化ニーズ など)

b. ソフトウェアや電子部品開発、組込/制御ソフト開発の分野拡大(自動車の電気制御化)

c. 環境配慮設計(リサイクル配慮構造や廃棄物管理しやすい構造)

 (2)解析事業の拡大

  a. 解析ソリューションの深化(解析ノウハウ蓄積、実機データとの整合性検証)

   b. 試作レスに資するソリューションの提供(解析×ARなど)

 (3)顧客向けDXソリューションの複数展開

    a. 設計に関連する新しいアイテムの継続的な開発

 (4)オフショア開発を含めたグローバル展開

 

④ 戦略的取組みを実現させる施策

    a. 経験者採用を含めた即戦力となる技術者の獲得

  b. 技術者教育の抜本的見直し

  c. 資本提携・事業提携の推進 

  d. システム入替による業務効率性向上

 

 (4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は、健全で透明な企業活動を展開し、顧客への価値提供を通じて売上利益を持続的に拡大することにより、企業価値の永続的発展を目指すことを最大の経営目標であると認識しております。

当社の中核事業である設計開発アウトソーシング事業では、「設計技術集団」としての事業基盤を拡大発展させていくために、技術者の採用と育成に取り組み、高付加価値なソリューション提案を行っていくことが重要であります。世界的な物価上昇が続く中、政府や経団連の賃上げの呼びかけもあり、国内の平均賃金は上昇しています。このため、当社の高付加価値事業の拡大に先行して賃上げが必要になる可能性があることから一時的に収益性が低下する懸念があります。

この対策として、1.採用管理部門を新設し、新卒・経験者採用の強化 2.教育管理部門による技術者教育体制の抜本的な改革 3.社員の技術向上と提案営業を組み合わせた付加価値向上による価格改定を目指してまいります。加えて、永続的な発展を目指していくためには、将来の中核事業となる新規事業を育成していくことも必要不可欠であります。そのため、設計開発アウトソーシング事業で培った技術力、顧客関係性を基に当社独自のデジタル技術やAR技術などを組み合わせ、業務効率化などのソリューション提案開発を推進し、デジタルソリューション企業を目指してまいります。

そして、コンプライアンス体制の強化・確立等を重視するとともに長期的な視点で社会の持続可能性に配慮し、技術者がいきいきと働ける環境を提供することにより、サステナブルな社会の実現に貢献してまいります。

取り組みの具体的な内容は以下のとおりであります。

 

①「社員の自主自律による価値創造の確保」など、当社経営理念の社員への浸透

②技術者の採用強化(新卒、経験者)

③顧客のニーズに対応した社員育成体制の確立と強化

④コア業務領域(ランプ・ボデー・内装など)と新事業領域の売上拡大

⑤設計DX及びAI・AR技術を応用した業務効率化とソリューションの提供

⑥技術力・難易度等に応じた適切な価格の設定

⑦新規企業・分野の開拓など顧客の状況に影響されない受注体制の確立

⑧機密情報へのアクセス権の管理強化及び顧客情報のセキュリティ強化

⑨顧客に信頼されるコンプライアンス体制の強化・確立

⑩管理体制の効率化・情報の共有化、経営コックピットの導入など

⑪長く安心して働ける会社づくり

⑫サステナビリティへの取り組み強化

⑬美容・健康商品製造販売事業における商品知名度のアップによる売上拡大

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ全般

  当社は、事業の基本方針を定めた事業目的と長期的、普遍的な会社の価値観、存在意義を定めた経営理念に基づき、全てのステークホルダーとの信頼の和づくりに取り組んでおります。事業目的では、社会・お客様・社員の三方に対してバランスよく貢献することを表しており、企業を取り巻く環境が変化する中で、社員が安心して働ける環境を整備し、長期的な視点で持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、サステナブルな社会の実現に向けて貢献してまいります。

 

社会課題の解決に向けた6つのマテリアリティ(重要課題)


<ガバナンス>

 当社では、社会の持続可能性に配慮したサステナビリティ経営を強化しており、代表取締役社長が委員長を務めるサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会では、経営方針や経営計画に対するサステナビリティ視点での検証、抽出された課題について評価・審議・意思決定を行います。取締役会に報告された決定事項は、取締役会監督の下、事業本部、部門、各拠点に伝達され、それぞれの事業計画・運営に反映されます。

 

<リスク管理>

 当社では、リスク管理に関する基本方針に従い、サステナビリティを含めた事業を取り巻く様々なリスクに対して的確な管理・実践を行う体制を構築することにより包括的な管理を行っております。サステナビリティ委員会は、定期的にリスクの影響と対応について審議を行い、評価します。リスク評価の結果については、取締役会に報告します。また、取締役会監督の下、リスク管理委員会とも連携し、全社的なリスク管理の観点から適切な対応を行います。

 

ガバナンス及びリスク管理の体制


 

(2)重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通じて識別された当社における重要なサステナビリティ項目は以下のとおりであります。

Ⅰ.気候変動への取り組み

Ⅱ.人的資本への取り組み

  それぞれの項目に係る当社のサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。

 

Ⅰ. 気候変動への取り組み(TCFD提言に基づく開示)

TCFD提言に基づく情報開示

 TCFD提言は「ガバナンス」・「戦略」・「リスク管理」・「指標と目標」の4つの項目に基づいて開示することを推奨しており、当社は、TCFD提言の4つの開示項目に沿って、主力事業である設計開発アウトソーシング事業における気候変動関連情報を開示します。

<ガバナンス>

       気候変動への対応に係る事案は、代表取締役が委員長を務めるサステナビリティ委員会で審議されます。サステナビリティ委員会では、気候変動が事業に与える影響について、リスク・機会観点での検証、抽出された課題について評価・審議・意思決定を行います。取締役会に報告された決定事項は、取締役会監督の下、事業本部、部門、各拠点に伝達され、それぞれの事業計画・運営に反映されます。また、特定した気候変動に関する影響について、必要に応じてリスク管理委員会へ報告を行い、全社リスクとしての統合管理を図ります。

 

<戦略>

       現在、「カーボンニュートラル」に向けた施策促進は多くの企業にとって大きな課題となっています。当社は、取引先のパートナー企業として、お客様が取り組みを進めるEV車や省エネ製品開発をさらに推し進め、脱炭素社会の実現を目指しています。将来の気候変動が当社へもたらす影響について、TCFDが提唱するフレームワークに則り、シナリオ分析の手法を用いて、2030年時点の外部環境変化を予測の上、分析を行いました。

 シナリオ分析の前提

        シナリオ分析では、国際エネルギー機関(IEA)や、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表する複数の既存シナリオを参照の上、気候変動対策が進む「2℃シナリオ」「1.5℃シナリオ」と、温暖化対策が従来の延長線上に留まる「4℃シナリオ」の2つの世界を想定し、分析を行いました。

 

選定シナリオ

分析時間軸

出所

2℃ / 1.5℃

RCP2.6

RCP1.9

2030年

IPCC「AR5」

SDS(Sustainable Development Scenario)

 

NZE( Net Zero

Emissions by2050 )

IEA「World Energy Outlook 2021」

4℃

RCP8.5

IPCC「AR5」

SSP5

Kriegle et al. (2017), Fossil-fueled development (SSP5): an emission, energy and resource intensive reference scenario for the 21st century. Glob. Environ. Change

 

 

     ② 気候変動に関するリスク・機会の識別

     シナリオ分析に基づき、当社の事業及び財務へのリスク・機会について、定性分析結果を下表の通り、整理しました。

 

リスク・機会

事業及び財務への

影響有無

2℃/1.5℃

シナリオ

4℃

シナリオ

移行リスク・機会

市場

技術

重要商品の
 需要変化

 

再エネ・省エネ技術の普及

機会

自動車業界における低炭素技術の進展に伴い、開発プロジェクト内での人材及び技術面の需要が増加

 ・EV化に伴うソフトウェア・電子部品開発の需要

 ・軽量化設計技術(素材、薄肉化等)の需要

 ・環境配慮設計技術(リサイクル、廃棄物管理等)の需要

人材

採用活動環境の変化

リスク

環境対応スキル・経験を有する人材の採用市場が激化

人材の維持・保持

リスク

環境対応スキルを有する人材の需要拡大により該当人材の退職リスクが増大

 

      なお、事業及び財務へのリスク・機会については、影響の定量化に向け、継続的な分析・検討を進めて参ります。

 

 シナリオ分析に基づく対応策の検討

気候変動によるリスク・機会に対し、下表の通り、5つの施策を策定しております。

対象とするリスク・機会

施策

重要商品の需要変化

再エネ・省エネ技術の普及

機会

自動車業界における低炭素技術の進展に伴い、開発プロジェクト内での人材及び技術面の需要が増加

 ・EV化に伴うソフトウェア・電子部品開発の需要

 ・軽量化設計技術(素材、薄肉化等)の需要

 ・環境配慮設計技術(リサイクル、廃棄物管理等)の需要

◎人材育成及び採用の強化

     ⇒環境対応スキルを有する技術者の育成(研修・勉強会の実施)及び経験者採用の強化

◎デジタルソリューション提供体制の強化

     ⇒低炭素技術に関する業界・顧客ニーズに対するデジタルソリューション提供体制の強化

採用活動環境の変化

リスク

環境対応スキル・経験を有する人材の採用市場が激化

◎PRの強化

  ⇒学生及び経験者に対して低炭素領域に関する当社実績の発信

◎採用手法の強化

  ⇒人材紹介、ダイレクトリクルーティング、リファラル採用などの活性化

人材の維持・保持

リスク

環境対応スキルを有する人材の需要拡大により該当人材の退職リスクが増大

◎従業員エンゲージメント向上への取組み

  ⇒企業理念・ビジョンへの共感、キャリアビジョンの明確化、コミュニケーションの強化、働き方改革(テレワーク推進等)、社外活動(サークル等)など

 

 

<リスク管理>

   当社では、気候変動関連リスクを最も注意すべきリスクの一つと認識しており、サステナビリティ委員会にて一元的に管理が行われています。

   サステナビリティ委員会は、定期的に気候変動の影響と対応について審議を行い、評価します。リスクの評価については、少なくとも年1回以上、また必要に応じて取締役会に報告されます。また、リスク管理委員会は、気候変動の影響についての報告・提言があった場合は、全社的なリスク管理の観点から適切な対応を決定します。取締役会はサステナビリティ委員会とリスク管理委員会から気候変動に関するリスク管理の状況と対応について報告を受け、気候変動に関する取り組みを監督します。

 

<指標と目標>

①CO2排出量実績(Scope1・2・3)

     当社は2022年度より、CO2排出量の算定に取り組んでおり、以下に結果を開示します。なお、Scope3におけるCO2排出量の増加については、新型コロナウィルス感染症の収束に伴い、通勤及び出張が増加したことが主な要因となります。

 

(CO2排出量実績)

Scope

排出量(t-CO2)

2022年9月期実績

2023年9月期実績

Scope1

36.2

35.8

Scope2

193.6

168.1

合計(Scope1+2 )

229.8

203.9

Scope3

664.6

729.0

 

 

②CO2排出量の削減目標

 当社の設計開発アウトソーシング事業においては、元々CO2排出量は少ない状況にあります。しかしながら、昨今の地球温暖化、その原因となっている温室効果ガスについて、当社を含めた社会全体で積極的な削減を目指すべき状況であると認識しております。当社では、削減目標の定量化に向けて、CO2排出量の削減施策の分析・検証を進めて参ります。

 

Ⅱ.  人的資本への取り組み

     当社では、事業を取り巻く環境が変化する中で、持続的な成長に向けた最重要課題として「人財育成」を推進しております。創業の精神「設計技術者が自らのために、ともに働き合う設計技術者集団の確立」に基づき、技術者が夢や希望を持ち、いきいきと働ける環境を整備してまいります。

  <戦略>

   当社における人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりです。

 

①人材育成方針

      当社は、持続的な成長を支える高付加価値人材の育成を中長期的な視点で強化してまいります。具体的には、当社独自のコンピテンシーモデル(アビストWay)をベースとした社員のスキル管理及びビジネススキル教育(テクニカル、ヒューマン、コンセプチュアル)により、社員のスキル向上を図ります。また、当社のビジョンである「デジタル技術を活用し、顧客の潜在ニーズに応えるソリューション提案型企業」の実現に向けて、デジタル技術に関する知識と現場の課題解決に関するスキルを併せ持つデジタルソリューション人材の育成を強化します。

・コンピテンシーモデル(アビストWay)をベースとしたスキル管理及びビジネススキル教育

 ※新卒研修、階層別研修、役職者研修、管理職研修、幹部研修など

・デジタル知識と課題解決スキルを併せ持つデジタルソリューション人材の育成

 ※デジタルスキル研修、ソリューションスキル研修、ソリューション提案制度など

 

②社内環境整備方針

      当社は、長期的な視点で持続的な成長と企業価値の向上を実現するために、将来を担う新卒社員と多様な経験を有する経験者を積極的に採用しております。また、性別、年齢、国籍を問わず、様々な人材が活躍できる環境を提供し、経営理念の一つである「機会平等と評価公平性の確保」に基づき、社員の能力を最大限に発揮できる最適なポジションに登用してまいります。

・新卒及び経験者を最適な人数、比率で採用

・性別、年齢、国籍を問わない人材採用

・経営理念(機会平等と評価公平性の確保)に基づく評価制度及び人材登用

 

   また、社員が安心して働き続けることができるように、仕事と家庭の両立が可能で、安全衛生・健康に配慮された職場環境を整備します。さらに社員がやりがいを感じ、個々の能力を最大限に発揮できるようにエンゲージメント向上への取り組みを行ってまいります。

・コンピテンシーモデル(アビストWay)をベースとしたスキル管理及びビジネススキル教育

 ※新卒研修、階層別研修、役職者研修、管理職研修、幹部研修など

・デジタル知識と課題解決スキルを併せ持つデジタルソリューション人材の育成

 ※デジタルスキル研修、ソリューションスキル研修、ソリューション提案制度など

・仕事と育児の両立のための行動計画

  ※育児休業を取得しやすい職場風土づくり、産前産後休暇・育児休業者への情報提供など

・社員エンゲージメントの把握

  ※職場環境アンケートによる状況把握及びエンゲージメント向上施策の実施

・ウェルビーイングに対する取り組み

   ※ストレスチェック、年休奨励日、リフレッシュ休暇など

・社内コミュニケーションに対する取り組み

  ※社員サポート制度、チーム力向上支援制度を活用した個人及び組織のパフォーマンス向上

・働き方の多様性に対する取り組み

  ※リモートワーク、フレックス制度、服装自由化、役職呼称の廃止など

 

<指標と目標>

     当社では、上記「戦略」において記載した人材育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する実績及び目標は、次のとおりです。

取組

指標

実績(当事業年度)

目標

採用/登用

新卒採用数

40名

2023年10月~2027年9月で283名採用

経験者採用数

43名

2023年10月~2027年9月で140名採用

女性社員数

146名

181名 (2026年3月)

女性管理職比率

4.1%

7% (2027年9月)

男女間賃金格差

79.1%

育成

研修受講者数(延べ)

2,447名

3,000名/年 (2027年)

研修受講時間/人 (※)

32時間/半年

35時間/半年

働き方/

エンゲージメント

退職率

7.6%

5.0%以下

男性育児休業取得率

34.8%

2023年8月~2025年7月で50%以上

有給休暇取得日数

14.0日

14.0日/年

 

  ※研修については、集計期間が半年間(2023年4月~2023年9月)

 

3 【事業等のリスク】

当社の事業展開上のリスク要因となる可能性をもった主な事項を開示し、投資家の投資判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を記載いたします。また、当社として必ずしもリスク要因とは考えていない事項についても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。

当社はこれらリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避・分散及び発生した場合の対応に最大限努力する方針であります。また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクを全て網羅するものではありません。

なお、文中における将来に関する事項につきましては、本書提出日現在において判断しております。

 

(1)法的規制について

 主力事業である設計開発アウトソーシング事業のうち労働者派遣業務は労働者派遣法により規制されております。2015年9月30日に厚生労働省より施行された労働者派遣法改正法では、施行日以降、特定労働者派遣事業と一般労働者派遣事業の区別は廃止され、すべての労働者派遣事業は新たな許可基準に基づく許可制となりました。従来の特定労働者派遣事業者は新たに許可証取得が必要となったため、当社は2016年3月1日付にて厚生労働省より労働者派遣事業許可証[許可番号:派13-306330]を取得いたしました。
 設計開発アウトソーシング事業のうち、請負業務については受託者である当社が、委託者である顧客企業から請負契約に基づいて業務委託され、当社の管理と責任のもとで仕事を完成し、成果物を納品するものであり、民法第632条に規制されております。

 また、当社は、水素水の製造及び個人向けの通信販売等を行っており、食品衛生法、特定商取引に関する法律、不当景品類及び不当表示防止法等により規制されております。関連法令の遵守を徹底しておりますが、仮に関連法令に違反するような事態が生じた場合には、事業の継続に支障が生じる可能性があります。

 なお、関係諸法令は、情勢の変化等に伴い、継続的な見直しが行われています。その結果、関係諸法令の改正内容が当社の事業に重大な影響を及ぼす場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)競合について

 労働者派遣業界、特に設計開発アウトソーシング業界内での競合状況が、市場の縮小や周辺業界からの新規参入等により激化した場合には、派遣技術者数の減少や単価の下落、設計請負金額の減少など、業績の悪化要因となります。当社は、過度な価格競争等には巻き込まれないように、設計技術者集団を目指し、優秀な技術者の確保及び社員教育に力を入れておりますが、競合状況の悪化が急激かつ深刻なものである場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

  (3)人件費の上昇について

 主力事業である設計開発アウトソーシング事業では、売上原価の90%以上が労務費であり、労働者の賃金上昇は収益性の悪化に繋がります。世界的な物価上昇が続く中、政府や経団連の賃上げの呼びかけもあり、国内の平均賃金は上昇しています。賃金上昇率が大幅かつ急激である場合には業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)社会保険料率の上昇について

 当社では、請負業務はもとより、派遣業務におきましても、全ての社員が常用雇用者となり社会保険に加入しております。そのため、年金制度や健康保険制度などの改正により社会保険料率が上昇しますと、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(5)人材の確保について

 当社は機械・機械部品・電子等の設計開発、システム・ソフトウエア設計開発等の技術を提供する設計開発アウトソーシング事業を展開しているため、技術者は重要な経営資源であり、技術者の確保は事業拡大のための重要な要素であります。

 技術者の確保につきましては、採用管理部を設置し、技術系社員の新卒採用と中途採用を実施しております。全国の理工系大学、高等専門学校への学校訪問・学内セミナー・インターンシップへの積極的な取り組み等を実施し、求人ウェブ、ホームページ等ネット媒体の活用及びハローワークを中心に積極的に技術者の採用活動を行っております。

しかしながら、万が一当社がこれらの技術者の確保を充分にできなかった場合や、技術者の退職数が当社の予想を大きく超えた場合には、取引先企業からの技術者の要望に対応できず、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)請負業務における瑕疵担保責任及び製造物責任について

当社の設計開発アウトソーシング事業のうち請負業務は、顧客企業から業務を請負い、その業務の指示や設計技術者の労務管理等について当社が一切の責任を負い、業務の遂行・完成を約し、その成果物を納品するものであり、その業務の成果に対し対価を受け取る形態になっております。当社はこの請負業務の売上構成比率を維持し、安定的な事業の柱とすることを目指しています。

請負業務において成果物に対する瑕疵担保責任や製造物責任等の追及を受けるリスクがあり、それによる賠償責任による費用が発生した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7)情報の取り扱いについて

 当社は、顧客企業に関する情報を大量に取り扱っておりますが、情報セキュリティマネジメントシステム(ISO/IEC 27001、登録組織:本社・東京支店(受託型請負業務に限る)、登録活動範囲:顧客要求に基づいた三次元CADによる設計業務)を認証取得したことで、万全の情報セキュリティ体制を確立するとともに、万が一の場合に備え、IT業務賠償責任保険にも加入しております。

 しかしながら、特に請負業務における顧客企業の製品開発等の機密性の高い情報、ノウハウが何らかの原因により外部に漏洩した場合、当社の社会的信用を失墜させるだけでなく、損害賠償につながるリスクが存在し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)自動車関連分野への依存について

 当社では、設計開発アウトソーシング事業に占める自動車関連の売上高構成比率が51.3%(2023年9月期)と高く、自動車関連企業の業績の影響を受けやすい状況にあります。そのため、EV普及やモジュール化による、自動車部品点数の減少の影響を受けにくい、自動車ランプや内装等をコア技術領域として技術者シフトを行い、環境変化への対応力の向上を図っています。また、顧客企業の動向を把握し、その変化に対応できるよう十分注意して営業活動を行っています。

 しかしながら、当社の想定を超えて、依存度の高い顧客企業の業績不振や設計・開発部門への投資の減少、また当該部門の海外へのシフト等が起きた場合には、当社技術者の稼働率が低下し、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)特定取引先への依存について

 当社の主たる取引先業界は自動車・輸送機器分野であり、なかでもトヨタ自動車株式会社向け売上高は、当社の全売上高の22.3%(2023年9月期)を占めております。

 当社は、同社及び関連部品メーカーの設計業務において欠かすことのできない存在となるべく、これまで以上に設計技術者の技術力向上に注力していくとともに、当社の技術力を生かせる新たな分野、新たな取引先への売上拡大にも積極的に取り組んでまいります。しかしながら、同社及び関連部品メーカー向けの売上高が大きく減少した場合には、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)稼働率について

 当社の設計開発アウトソーシング事業では、全ての社員が常用雇用者となり、顧客企業に派遣していない期間や請負業務に配属していない期間でも技術者に対する労務費(原価)は発生いたします。そのため、技術者の稼働率が低下した場合は、売上高が減少すると同時に原価率は上昇し、利益率の低下を余儀なくされます。当社は、技術者の研修を充実してスキルアップを図り、顧客企業の需要・ニーズ・信頼に応え、高い稼動率を確保できるよう努めております。また大規模地震などの災害時に備え、事業継続・早期復旧を図るための事業継続計画を定めておりますが、経済環境の変化や顧客企業の動向、他社との競合の激化、大災害等により稼働率が低下した場合は、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(11)システム障害について

 システム障害によるリスクを十分に認識した事業継続計画を定め、サーバーの安定的運用環境の確保や通信回線の冗長化等の施策を施しておりますが、自然災害・コンピューターウイルスあるいはサイバーテロ等によりITインフラが停止・破損した場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(12)新規事業への進出について

 中長期的な企業発展を目指し、新規事業にも積極的に取り組んでまいりますが、その遂行過程において事業環境の急激な変化や、事後的に顕在化する予測困難な問題等によりリスクが発生する可能性は否定できず、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(13)美容・健康商品製造販売事業について

 当社では、美容・健康商品製造販売事業において、水素水などの飲料製造販売に取り組んでおります。飲料業界は比較的景気の波に左右されにくいものと考えておりますが、個人向け通信販売あるいは企業向けOEM販売が計画通りに進まない場合には、工場建設等に係る投資資金を回収できず、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、同事業では、飲料水等に関する製造も行っているため、製造、保管、運搬、販売の各過程において、衛生面の管理には万全を期しておりますが、顧客の健康被害等が生じるような事故が発生した場合は、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(14)感染症拡大及び自然災害発生等について

 当社は、感染症拡大や自然災害等が発生した場合に備えて、取引先、従業員及びその家族の安全及び健康の確保を最優先として、リモートワークの実施等による勤務形態の見直しやWeb会議の促進、オフィスの消毒徹底など事業活動を継続しつつ感染拡大防止のための措置を講じております。新型コロナウイルス感染症の影響については、軽微になりつつありますが、今後新たな感染症の流行が顧客企業の活動に影響を及ぼすことや、技術社員が業務に従事することができない状況が発生した場合に、業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当事業年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 ① 財政状態及び経営成績の状況

当社はより付加価値が高いソリューション提案型企業「デジタルソリューション企業」を目指し、既存事業のみならず積極的に新規事業の推進に励んでまいりました。その一環として、2023年6月に自社独自のデジタル技術開発へ経営資源を集中させるため、非中核事業である3Dプリント事業を廃止することを決定しました。設計開発アウトソーシング事業において、中途を中心に採用が難航したこと、人件費等の費用や新規事業への投資が増加したことから、当事業年度における売上高は95億8百万円(前年同期比2.4%増)、営業利益は7億17百万円(同6.2%減)、経常利益は7億28百万円(同15.8%減)、当期純利益は7億16百万円(同152.6%増)となりました。

 

セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。 

a. 設計開発アウトソーシング事業

当セグメントにおきましては、売上高は93億41百万円となり、セグメント利益(営業利益)は16億54百万円、セグメント利益(営業利益)率17.7%となりました。主に派遣において受注量が増加したことが売上高に貢献しました。

b. 3Dプリント事業

当セグメントにおきましては、事業廃止への取り組みを進めていることに加え、主要顧客における受注遅れが発生した結果、売上高は66百万円となり、セグメント損失(営業損失)は50百万円となりました。

c. 美容・健康商品製造販売事業

当セグメントにおきましては、OEM製品の受注減少の影響により、売上高は1億28百万円となり、セグメント利益(営業利益)は11百万円セグメント利益(営業利益)率8.6%となりました。

d. 不動産賃貸事業

当セグメントにおきましては、賃貸物件は引き続き高稼働した一方で、水道光熱費など経費が増加したことにより、売上高は60百万円となり、セグメント利益(営業利益)は24百万円、セグメント利益(営業利益)率40.6%となりました。

 

なお当社は、2023年2月1日付で連結子会社である株式会社アビストH&Fを吸収合併し、個別決算による開示となりました。そのため、前事業年度のセグメント情報を作成していないことから、前事業年度との比較は記載しておりません。(以下、②キャッシュ・フローの状況、③生産、受注及び販売の実績においても同じであります。)

 

当事業年度末における総資産は92億51百万円となり、前事業年度末に比べ8億92百万円の増加となりました。これは、現金及び預金、投資有価証券の増加によるものです。

負債合計は25億43百万円となり、前事業年度末に比べ3億25百万円の増加となりました。これは主に役員退職慰労引当金の増加によるものです。

純資産合計は67億8百万円となり、前事業年度末に比べ5億66百万円の増加となりました。これは、主に利益剰余金及びその他有価証券評価差額金の増加によるものです。

 

 ② キャッシュ・フローの状況

当事業年度末における各キャッシュ・フローの状況とその主な内訳は次のとおりであります。

営業活動によるキャッシュ・フロー

営業活動により得られた資金は、8億27百万円となりました。この主な内訳は、税引前当期純利益6億27百万円、法人税等の支払額3億18百万円および役員退職慰労引当金の増加2億3百万円となっております。

投資活動によるキャッシュ・フロー

投資活動により得られた資金は、40百万円となりました。この主な内訳は、有形固定資産の売却による収入1億4百万円、有形固定資産の取得による支出49百万円となっております。

財務活動によるキャッシュ・フロー

財務活動により使用した資金は4億7百万円となりました。この主な内訳は、配当金の支払額4億5百万円となっております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

当事業年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年10月1日2023年9月30日)

生産高(千円)

前年同期比(%)

3Dプリント事業

99,361

美容・健康商品製造販売事業

6,428

合計

105,789

 

(注)1.設計開発アウトソーシング事業は、機械・機械部品の設計開発及びソフトウエア開発などの技術提供サービス事業であり、提供するサービスの性格上、生産実績になじまないため、記載を省略しております。

 不動産賃貸事業は、生産活動を行っておりませんので、記載しておりません。

 2.セグメント間の取引については、相殺消去しております。

 3.金額は、製造原価によっております。 

 

 b. 受注実績

当社の設計開発アウトソーシング事業はその形態から受注高と販売金額がほぼ同等となるため、記載を省略しております。3Dプリント事業および美容・健康商品製造販売事業は、受注から販売までの期間が短く、期中の受注高と販売金額がほぼ同等となるため、記載を省略しております。不動産賃貸事業は、受注実績になじまないため、記載を省略しております。

 

 c. 販売実績

販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2022年10月1日2023年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

設計開発アウトソーシング事業

9,341,039

3Dプリント事業

66,040

美容・健康商品製造販売事業

40,748

不動産賃貸事業

60,943

合計

9,508,771

 

(注) 1.主な相手先別販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

当事業年度

(自 2022年10月1日2023年9月30日)

販売高(千円)

割合(%)

トヨタ自動車株式会社

2,114,442

22.3

 

 

2. 設計開発アウトソーシング事業及び3Dプリント事業に関する取引先業種別の販売実績は次のとおりであります。

取引先業種

当事業年度

(自 2022年10月1日

 至 2023年9月30日 )

販売高(千円)

割合(%)

 

自動車・輸送機器

4,825,225

51.3

電子部品・電気機器(自動車関連)

1,421,101

15.1

情報処理・ソフトウエア(自動車関連)

9,344

 0.1

自動車関連

6,255,670

66.5

電気機器(家電等)

786,977

8.4

情報処理・ソフトウエア(アプリケーションソフトウエア等)

918,581

9.8

一般機械機器

501,607

5.3

その他製造業

332,004

3.5

その他

612,240

6.5

合計

9,407,079

100.0

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える様々な見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等をもとに適切な仮定を設定し、合理的な判断をしていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。
 重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計方針) 」に記載のとおりであります。
 

② 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a. 当事業年度の経営成績等の分析

当事業年度における当社の売上高は、95億8百万円(前年同期比2.4%増)となりました。これは主に主力の設計開発アウトソーシング事業において、技術社員数は第18期末1,143名(前期末より14名減)となりましたが、技術者稼働率が年間平均97.9%となったことによるものです。営業利益につきましては、7億17百万円(同6.2%減)となりました。経常利益は7億28百万円(同15.8%減)、当期純利益は子会社合併による法人税等の調整額により7億16百万円(同152.6%増)となりました。

 

(期末技術者数及び年間平均稼働率の推移)

技術者数

技術者年間平均稼働率

第18期

1,143名

97.9%

第17期

1,157名

96.6%

第16期

1,171名

94.1%

第15期

1,137名

97.3%

第14期

1,081名

97.3%

 

(派遣・請負別売上高及び請負売上高比率の推移)

請負売上高(百万円)

派遣売上高(百万円)

請負売上高比率

第18期

5,339

3,948

57.5%

第17期

5,513

3,582

60.6%

第16期

5,184

3,454

60.0%

第15期

5,213

3,643

58.9%

第14期

5,068

3,727

57.6%

 

 

b. 経営成績に重要な影響を与える要因

「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は、外部環境の変化に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保することで、経営成績に重要な影響を与える可能性のあるリスク要因を分散、低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

c. 資本の財源及び資金の流動性

当社では、経営環境の変化に対応するため資金の流動性を確保することで安定した財務基盤を維持することに努めております。

主な資金需要は、人件費、販売費及び一般管理費等の営業経費に加えて、3Dプリンタや3D-CAD端末等の設備投資等であります。

運転資金、設備資金等の所要資金につきましては、原則として自己資金で賄うこととしております。M&A等の一時的な資金需要が生じた場合には、主に自己資金及び金融機関による長期借入により資金を調達することとしております。

 

d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等

当社では、事業規模の拡大を示す売上高の伸び率と、事業規模の拡大に必須となる組織規模の拡大を示す従業員数を重要な指標としたうえで、事業の収益力を示すものとして売上高営業利益率を重視しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

(固定資産の譲渡)

当社は、2023年3月15日開催の取締役会において、下記の通り保有する固定資産の譲渡について決議いたしました。

1.譲渡理由

2023年3月31日をもちまして、海老名事業所を閉鎖し、それに伴い保有する固定資産を売却するものです。

2.譲渡資産の内容

(1)資産の内容 海老名事業所 土地・建物

(2)所在地 神奈川県海老名市下今泉 1-19-13

(3)現況 海老名事業所(2023 年 3 月 31 日閉鎖)

3.譲渡先の概要

当該不動産売買契約における譲渡先との守秘義務により、譲渡先及び譲渡価額については公表を差し控えさせていただきますが、国内事業会社となります。また、譲渡する固定資産の帳簿価額及びその譲渡価額は当社の最近事業年度(2023 年 9 月期)末日における純資産額の30%未満であり、その譲渡益は、経常利益及び当期純利益の 30%未満であります。なお、当社と譲渡先の間には、記載すべき資本関係、人的関係及び取引関係はなく、譲渡先は当社の関連当事者には該当しておりません。

4.譲渡の日程

取締役会決議 2023年3月15日

物件引渡日  2023年5月12日

5.損益に与える影響

当該固定資産の譲渡によって固定資産売却益(特別利益)を2023年9月期に計上しております。

 

6 【研究開発活動】

 (設計開発アウトソーシング事業)

当社は、新たな事業創造の一環として、デジタルソリューション技術の開発に取り組んでおります。
 テクノロジーを利用して意欲向上と生産性向上を実現することを目指し、ARソリューション、設計支援ソリューション、AIソリューション等の技術を融合し業務を支援する分野で研究開発活動を行っております。
 当事業年度における研究開発費の金額は112百万円であります。