第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは創業以来「店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。」の経営理念の下、地域の顧客特性や利用形態を鑑み、魅力のあるコンテンツを活かした店づくりにより、街や公園に新たなライフスタイルを提案し、笑顔と文化を生み出す。お店に人が集い、それが波紋のように広がり、やがて街をも変えるエネルギーとなる。そんな街づくりを目指して、これまでに多種多様なブランドを開発、店づくりを通しての様々な街づくりを進めてまいりました。

今後は、当社グループの持つブランド力を最大限に活かし、新たなビジネスモデルの構築を行うと同時に、サステナブル戦略に基づく街づくりを、既存事業の磨き込みを軸として、持続可能な社会の実現と永続的な企業価値の向上を目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、永続的な利益成長を目指すにあたり、売上を成長させるのみならず、積極的に収益性の改善、公園を始めとした公共施設の開発事業を推し進め、体質の強化及び安全性の向上を図ってまいります。

目標とする経営指標については、売上高、営業利益、営業利益率、総資産当期純利益率及び自己資本比率を重要な経営指標として位置付け、2026年1月期を最終年度とする中期事業計画の数値目標(売上高150億円、営業利益10億5千万円、営業利益率7%、総資産当期純利益率10%、自己資本比率45%)を掲げております。

コロナ禍を経て、人々の消費マインドが大きく変化していく世の中の動きに合わせて、新たに求められる価値のある事業や店舗の在り方、お客様が求めること、スタッフが求めることを大事にしていくことを前提に企業経営を進めてまいります。

この中期事業計画「zetton VISION 23 to 26 ~Road to 2030~」に則り、アフターコロナを見据えた、今後のビジネスチャンスに速やかに対応していき、更なる企業価値向上を図ってまいります。

 

(3) 経営環境及び中長期的な会社の経営戦略

外食産業におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大によって、人々のライフスタイルが変化し、今後「食」のボーダレス化はより一層加速していくものと考えております。

このような環境下において、当社グループは、「店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。」という経営理念の下、地域の立地の顧客特性や利用形態を鑑みて、魅力あるコンテンツが街を活性化させるという思想にて、様々なブランドを開発してまいりました。コンセプトを考えることのできるクリエイティブ能力、それを提案に落とし込むことの出来るプレゼンテーション能力、そしてホスピタリティ溢れるサービスやクオリティの高い料理を提供出来る店舗運営能力が、当社グループの強みと認識しており、その強みを今後の事業戦略に活かすことによって更なる成長を図ってまいります。

① サステナブル戦略に基づく街の活性化

公園に対する新規事業開発及び老朽化した公共施設を、当社グループの持つコンテンツで再生させる公共施設再開発を強化していくことにより、独自性・競争優位性を強めるだけでなく、対象となる公園や施設の活性化を目指し、地域社会への貢献を目指します。

 

② 既存業態の磨き込み(拡張性)

当社グループの持つ5つのコンテンツ(アロハテーブル、ダイニング、アウトドア、ブライダル、インターナショナル)について、基本設計の見直し、戦略的な新業態の開発、高付加価値業態への転換、購買体制の見直し等、利益率を拡大させていく戦略を取るとともに、ゼロから立ち上げるのではなく、これまで培ってきたノウハウを最大限活かして、3や4からスタートさせることによる勝率の向上、また、そのノウハウ自体を収益化させる新しいビジネスモデルへの挑戦を進めてまいります。

 

 

③ ストックビジネス化への取り組み

お客様や当社グループのオペレーションについて、あらゆる角度からデータ化することに挑戦し、その分析に取り組んでまいります。その取り組みを通して、お客様のことをよく把握し、ニーズをより顕在化させ、ご来店されたお客様にご満足いただける価値をしっかり提供することで、これまで以上に当社グループの運営店舗のファンづくりを目指してまいります。これにより、当社グループの無形的なノウハウ価値を着実に積み上げ、フロービジネスからストックビジネスに舵取りできるよう邁進してまいります。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けながらも、創業時からの企業理念である「店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。」こそが、普遍の理念であると再確認し、持続可能な社会の実現と永続的な企業価値の向上を目指してまいります。

優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下のとおりであります。

① 持続可能な社会の実現に向けた取組み

当社グループは、持続可能な社会の実現と永続的な企業価値の向上を目指す為、事業活動の基盤にサスティナビリティへの取組みを置いております。当社グループが取組むべき課題は「地域の活性化」と「気候変動対策/資源効率化」と捉え、(1)持続可能な社会を実現する地域づくりの貢献、(2)持続可能な低炭素・脱炭素社会実現への貢献、(3)持続可能な資源利用社会実現への貢献、(4)人権・労働に配慮した社会実現への貢献、の4つの活動を軸に、経営理念である「人づくり」「街づくり」を通し、社会への貢献を推進してまいります。

 

② ES経営(従業員満足経営) 人材の確保及び育成

当社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、優秀な人材の確保及び育成が今後の当社グループの成長にあたって重要であると認識しております。その為、人材の確保については、企業理念や経営戦略を通じた当社グループの経営姿勢や店づくりを、潜在する将来の人材にアピールしながら当社グループの認知度を向上させてまいります。また、人材の育成については、従業員のやりがい形成を行うことで従業員の能力が最大限に発揮できる環境作りが整うとともに報酬体系等の見直しを行い、従業員一人一人に向き合った制度づくりを検討、推進してまいります。

 

③ ファンづくり  顧客の囲い込みによる既存事業の収益力向上

当社グループは、様々な立地に対応した多様な事業コンテンツを保有しており、高い業態開発力を持っております。その中において、戦略的にターゲットとした顧客層の満足度を引き上げていくことを目的とした商品開発、サービスカの向上により顧客のファン化を推し進めるとともに、新規来店者数の獲得を狙う販売促進やPR活動、これらを実行できる組織の充実を進め、収益力の持続的拡大を図ることを引き続き推進してまいります。

 

④ 展開力新規事業への挑戦

当社グループは、既存店舗の収益を維持しながら、新たな成長エンジンとなる新事業、新業態の開発に挑戦し、継続的な業績拡大を図る為に、投資効果の高い優良立地への出店や既存設備を活用した事業の拡張に積極的に取組み、収益力を強化拡充する方針であります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 

(1) ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティ活動を重要な経営課題の一つと捉え、全社横断の推進組織「ミライヅクリ」を発足し、サステナビリティ推進体制を構築・強化しております。ミライヅクリは各組織の垣根を越えて多くの社員が主体的に参加し、その成果を組織内に広く浸透させることとしております。また、サステナブル活動の推進責任者としてチーフサステナブルオフィサーを選任し、取締役会や経営会議に対して重要事項の上程や報告を行うとともに、定例会議や年1回以上の全社会議等を通じて、活動内容に関する方針策定や可視化、社員の理解向上に取り組んでおります。

なお、ガバナンス体制全般については、「第4 提出会社の状況-4 コーポレートガバナンスの状況等」をご参照ください。

 

 

(2) 戦略

<サステナビリティ全般>

当社グループは創業以来の経営理念として、「店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。」を掲げております。地域の顧客特性や利用形態に鑑み、魅力のあるコンテンツを活かした店づくりにより、街や公園に新たなライフスタイルを提案し、笑顔と文化を生み出す。お店に人が集い、それが波紋のように広がり、やがて街をも変えるエネルギーとなる。そんな街づくりを目指して、これまで多種多様なブランドを開発、店づくりを通して様々な街づくりを進めてまいりました。これらの街づくりに必要不可欠な取組みとして、当社グループでは2019年に「サステナビリティストラテジー」を掲げ、持続可能な社会の実現を経営戦略の一つと捉えることで、継続的かつ着実に以下に代表されるサステナビリティ活動を推進しております。

 

[持続可能な社会を実現する地域づくりへの貢献]

・経営理念「店づくりは、人づくり。店づくりは、街づくり。」の実践

・公共施設の再生や活性化

[持続可能な低炭素・脱炭素社会実現への貢献]

・サプライチェーンや店舗におけるCO2排出量の算定と削減

[持続可能な資源利用社会実現への貢献]

・使い捨てプラスチックの廃止、食品廃棄削減、店舗内装への再生材活用

・持続可能な食材や資材の調達

[人権・労働に配慮した社会実現への貢献]

・ダイバーシティ&インクルージョンの推進

 

 

<人的資本・多様性への対応>

当社グループにおける、多様性の確保を含む人材育成方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

①多様性の確保を含む人材育成方針

当社グループは、人材を最も重要な経営資源と位置づけ、優秀な人材の確保及び育成が今後の当社グループの成長にあたって重要であると認識しております。また、2019年に策定した「サステナビリティストラテジー」において、「人権・労働に配慮した社会実現への貢献」を主要テーマの一つに掲げてダイバーシティ&インクルージョンを推進しており、多様な働き方の実現やキャリア開発の機会を提供し、一人ひとりがやりがいをもって活き活きと活躍し続けられる組織や制度を整備しております。

 

②社内環境整備の方針

当社グループでは、2026年1月期を最終年度とする中期事業計画「zetton VISION 23 to 26 ~Road to 2030~」において、「ES経営」を戦略骨子の一つとしており、ES向上が結果的に顧客満足の向上に繋がり、継続的な企業価値向上に資するものと認識しております。このような考え方のもと、スタッフのやりがい形成を推進する為に、社内研修やES調査を継続的に実施しているほか、働き方ガイドラインを制定して多様な働き方の実現を進めております。また、業界課題でもある給与水準の引上げを目指して、評価や報酬制度の改革に取り組んでおります。

 

 

(3) リスク管理

当社グループにおいて、全社的なリスク管理は、「第4 提出会社の状況-4 コーポレートガバナンスの状況等」に記載の通りですが、サステナビリティに関する重要課題のリスク及び機会の把握・整理・優先順位付け等については、チーフサステナブルオフィサーが取り纏めの上、取締役会や経営会議に対して報告を行い、優先的に対応すべきリスクの絞り込みや対応方針について協議・決定を行うとともに、対応状況について継続的にモニタリングや監督が行われております。

 

 

(4) 指標及び目標

当社グループを取り巻く環境においては、人材への投資を進めると同時に、優秀な人材が活躍できるフィールドを広げることが重要と考えております。また、そうした人材が長く当社で活躍し、付加価値の高いサービス提供を続けていく為には、スタッフのライフステージの変化に対応した労働環境の整備が重要となります。

このような考えのもと、当社グループでは、上記 「(2) 戦略」において記載した、多様性の確保を含む人材育成に関する方針及び社内環境整備方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

 

指標

目標

実績(当連結会計年度末)

平均勤続年数

10年以上

6.4年

平均年間給与

5,000千円

4,292千円

店長以上の役職における女性比率

20%以上

15.6%

 

なお、女性管理職比率、男性育児休業取得率の実績は、「第1 企業の概況-5 従業員の状況-(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異」に記載しています。

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 競合について

外食産業は、他業界と比較すると参入障壁が低く新規参入が多いこと、市場規模の縮小、他業界の垣根を越えた価格競争の影響も受け、非常に厳しい競合状態が続いている業界であります。

このような環境の下、当社グループにつきましては、当社グループ及び各店舗のブランド力を高め、質の高い料理とサービスを提供することにより、低価格路線の業界競争に影響されることなく独自の店舗運営を行い、他社との差別化を図っております。

また、様々な業態開発ができる開発力をもとに、集客力のある施設への出店を積極的に行うとともに、不採算店舗の業態変更・閉店をいち早く行うことで、収益性の高い店舗の開発を目指しております。

しかしながら、今後、当社グループが出店している店舗と同様のコンセプトを持つ競合店舗の増加等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 出店政策について

① 店舗開発の基本方針について

当社グループは、直営店舗及びフランチャイズ店舗による店舗展開を行っており、2024年1月31日現在、71店舗を運営しております。

今後も積極的な出店を行っていく方針ですが、新規の出店にあたっては、出店先の立地条件、賃貸借条件、店舗の採算性などを勘案して出店を決定しており、当社グループの希望する条件に合う物件が見つからない場合、当社グループの業績見通しに影響を与える可能性があります。

② 店舗の撤退について

賃貸借契約の終了、店舗の不採算等何らかの理由で店舗運営が困難となった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。店舗によっては、長期間に亘る賃貸借契約を締結しており、これらの店舗の契約期間前の撤退により多額の違約金等が発生する可能性もあります。その場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

③ 差入保証金について

当社グループの店舗や事務所は、第三者から賃借している物件のため、賃借する際に貸主に対して保証金を差し入れています。この保証金は賃借物件から退去する際に、貸主から返還されることになっておりますが、貸主の財政状態の悪化等により、保証金の全額を回収できない可能性があります。

 

(3) ブランド政策について

当社グループは、立地条件や物件のコンセプトに合わせて多種多様なブランドの店舗を展開しております。当社グループでは店舗名等のブランドは重要であると認識しており、ブランド政策、商標権等の管理に留意しております。

当社グループは、「zetton」「舌呑」「Aloha Table」等の店舗ブランドについて商標権の登録を行っております。現時点まで、店舗ブランドに関してトラブルが生じた事実はありませんが、店舗ブランドに関してトラブルが生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

 

(4) 食材について

食材につきましては、食品の偽装表示や輸入加工食品に関する問題等、その安全性が疑問視される環境下にあり、以前にも増して安全な食材の確保が重要になっております。また、天候不順などによる農作物の不作や政府によるセーフガード(緊急輸入制限措置)の発動など需給関係の変動を伴う事態が生じた場合、食材市況の需給が逼迫し、価格高騰により仕入価格が増加する傾向があります。当社グループにおきましても、安全かつ安定した食材の確保については、慎重に取り組んでいく方針でありますが、以上のような事態が発生した場合、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(5) 食品衛生法について

当社グループは、食品衛生法に基づく「飲食業」として、飲食店の経営を行っています。食品衛生法は、飲食に起因する衛生上の危害の発生防止及び公衆衛生の向上、増進を図る見地から食品の企画・添加物・衛生管理・営業許可等を定めています。当社グループの経営する店舗は、食品衛生法の規定に基づき、所管保健所より飲食店営業許可を取得するとともに、店舗の衛生管理全般について責任を持つ食品衛生責任者を置いています。

これまで当社グループは食中毒事故を起こしたことはありませんが、今後食中毒事故を起こした場合には、食品等の廃棄処分、営業許可の取消し、営業の禁止、もしくは一定期間の営業停止処分、被害者からの損害賠償請求、当社グループの信用力低下等により、当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。

 

(6) 人材確保について

当社グループは、優秀な人材の継続的な確保が重要な経営課題であると認識しております。そのため、新卒者の採用を行うと共に、中途採用による即戦力となる人材の確保に努めております。

また、従業員が高いモチベーションで最大限の能力を発揮できるよう、人事評価制度や研修制度の整備を行うこと等により、従業員の定着率の向上、人材のレベルアップに努めております。

しかしながら、今後、当社グループが必要とする人材が適時に確保できない場合は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

また、中核となる店舗の店長や料理長といった幹部社員が退職した場合においても、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(7) 有利子負債への依存度について

当社グループは、店舗造作費用・差入保証金等の出店に関わる資金の大部分について主に銀行借入等により調達してまいりました。そのため、当社グループの有利子負債残高は2024年1月31日現在、905百万円で総資産(7,685百万円)に占める割合は11.8%となっております。

出店に関わる設備投資の精度向上、経費削減等によるキャッシュ・フローの改善を引き続き行ってまいりますが、金利動向によっては業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8) 借入金の財務制限条項について

当社は、複数の取引金融機関と締結しております借入契約の一部において、連結及び単体に係る財務制限条項が付されており、当社及び当社グループは事業活動をする上でこれらを遵守する必要があります。

今後、当社及び当社グループがこれらの財務制限条項に抵触することとなった場合には、借入先金融機関からの請求により、当該借入についての期限の利益を喪失する可能性があり、当社及び当社グループの経営成績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

 

(9) 自然災害や天候等について

当社グループは、新型コロナウイルス感染症等の疫病、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震等をはじめとする大規模災害等に備え、マニュアルを策定し、必要とされる安全対策や事業継続の為の対策を講じております。

しかしながら、災害や感染症等が発生した場合のリスク全てを回避することは困難であり、また、天候不順や異常気象等により来店客数の減少や店舗を休業せざるを得ない状況が発生した場合には、事業活動の縮小等、当社グループの経営成績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

当連結会計年度(2023年2月1日~2024年1月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行やインバウンド需要の回復によって、経済活動の正常化が進展し、個人消費が回復傾向となりました。一方で、為替市場の円安進行やロシア・ウクライナ情勢の長期化による原材料や資源価格の高騰等が続いており、依然として先行き不透明な状況が続いております。

外食産業におきましては、急激な物価上昇や慢性的な労働力不足等により厳しい状況が続いておりますが、来店客数に回復の動きが見られ、インバウンド需要増加が見込まれる等、市場環境の変化や、お客様のライフスタイルの変化に迅速に対応していくことが求められております。

こうした環境の中、当社グループは、2023年2月に発表いたしました中期事業計画「zetton VISION 23 to 26~Road to 2030~」を推進しており、それぞれの街の資産を磨くことで新しい価値創造を実現する「新しい街づくり3.0」をビジョンとして、環境変化に対応した事業構造の変化と永続的な企業価値の向上を目指しております。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

(国内事業)

新規事業として2023年4月に、横浜市の山下公園内に「THE WHARF HOUSE YAMASHITA KOEN」を開業し、葛西臨海公園に続く公園再生事業をスタートさせました。本公園の再開発は、Park-PFI制度による公募において、当社がコンソーシアムの代表構成者として進める初のプロジェクトです。これまで以上に多様な公園での過ごし方を提案することで、街の魅力向上に貢献するとともに、今後各地に展開可能なビジネスモデルの構築を進めてまいります。また、太宰府市の九州国立博物館内に「九州国立博物館Mカフェ」、「太宰府いい乃じ」を開業、大阪天王寺・てんしば内に「KNEADERS」を開業した他、複数の新規事業がスタートしております。

加えて、国内商業タウン再生事業におきましては、各地の商業施設屋上でのビアガーデンやバーベキューが楽しめるアウトドア事業コンテンツ、多種多様な地域性や立地に合わせた事業展開を進めているダイニング事業コンテンツを中心に各店舗で集客が回復傾向となり、売上高・利益ともに好調に推移いたしました。

 

(海外事業)

米国ハワイ州にて事業を運営しております連結子会社 ZETTON,INC.が担う海外商業タウン再生事業におきましては、既存店舗、新規店舗ともに概ね好調にて推移しており、更なる事業規模拡大に向けて、準備を進めております。

 

この結果、当連結会計年度の連結業績は、売上高は上記の通り好調に推移する一方、利益については、前年同期は米国政府による「RRF(レストラン活性化基金)」受給分652百万円を会計に反映していたこと、決算期の変更に伴い前年同期と対象期間が異なること、スタッフの処遇改善を実施したこと等の影響により減益となっております。ただし事業面においては、国内市況の回復や店舗の収益向上施策等の効果によりアウトドア事業、ダイニング事業及びインターナショナル事業が前年比で大きく伸長いたしました。また、社内の採算基準を下回る店舗の中で、営業努力による改善が困難であった店舗について、採算改善と人材の有効活用を目的として退店を実施いたしました。これにより原状回復費等を特別損失として計上しております。

当連結会計年度の連結業績につきましては、売上高12,570百万円、営業利益203百万円、経常利益202百万円、親会社株主に帰属する当期純利益50百万円となりました。

※当社は2023年1月期より決算日を2月末日から1月31日に変更いたしました。そのため、2024年1月期(2023年2月1日~2024年1月31日)と比較対象となる2023年1月期(2022年3月1日~2023年1月31日)の期間が異なるため、対前期増減率については記載しておりません。

※店舗数について、当期間に11店舗出店及び11店舗退店を行ったことにより、当連結会計年度末の店舗数は、直営店69店舗(国内60店舗、海外9店舗)、FC店2店舗の合計71店舗となっております。

 

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ209百万円減少の1,585百万円となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は485百万円(前年同期は536百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益108百万円及び減価償却費298百万円等の資金増加要因が、売上債権の増減額105百万円等の資金減少要因を上回ったこと等によるものであります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は683百万円(前年同期は735百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出668百万円等によるものであります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は75百万円(前年同期は466百万円の支出)となりました。これは主に長期借入金の返済による支出405百万円及び長期借入れによる収入380百万円等によるものであります。

 

 

③ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当連結会計年度の生産実績を示すと、次のとおりであります。

なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントの名称を飲食事業として記載しております。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年2月1日

至 2024年1月31日)

金額(千円)

前期比(%)

飲食事業

3,442,758

合計

3,442,758

 

(注)1.当社グループの主たる事業は、飲食店舗の運営であるため、生産実績の金額には売上原価の金額を記載しております。

2.前期は、決算期変更により11ヶ月決算となっているため、前期比は記載しておりません。

 

b.受注実績

当社グループの主たる事業は飲食店舗の運営であり、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を示すと、次のとおりであります。

なお、当社グループは単一セグメントであるため、セグメントの名称を飲食事業として記載しております。

 

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年2月1日

至 2024年1月31日)

金額(千円)

前期比(%)

飲食事業

12,570,017

合計

12,570,017

 

(注) 前期は、決算期変更により11ヶ月決算となっているため、前期比は記載しておりません。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における財政状態及び経営成績に影響を与えるような経営者の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績値や状況を総合的に勘案して合理的と判断される前提に基づき、見積り及び予測を行っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これら見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。

 

(固定資産の減損)

当社グループは、原則として、各店舗を独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位としてグルーピングをしており、減損の兆候がある店舗について、割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失を計上しております。回収可能価額は、正味売却価額または使用価値により算定しております。

減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる場合があります。

 

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産及び法人税等調整額に重要な影響を与える可能性があります。

 

② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析及び検討内容
イ 財政状態

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

 

ロ 経営成績

Ⅰ(売上高)

日本国内におきましては、新規事業として2023年4月に、横浜市の山下公園内に「THE WHARF HOUSE YAMASHITA KOEN」を開業し、葛西臨海公園に続く公園再生事業をスタートさせました。また、太宰府市の九州国立博物館内に「九州国立博物館Mカフェ」、「太宰府いい乃じ」を開業、大阪天王寺・てんしば内に「KNEADERS」を開業した他、複数の新規事業がスタートしております。

加えて、国内商業タウン再生事業におきましては、各地の商業施設屋上でのビアガーデンやバーベキューが楽しめるアウトドア事業コンテンツ、多種多様な地域性や立地に合わせた事業展開を進めているダイニング事業コンテンツを中心に各店舗で集客が回復傾向となり、売上高・利益ともに好調に推移いたしました。

米国ハワイ州にて事業を運営しております連結子会社 ZETTON,INC.が担う海外商業タウン再生事業におきましては、既存店舗、新規店舗ともに概ね好調にて推移しており、更なる事業規模拡大に向けて、準備を進めております。

 

Ⅱ(営業利益)

前年同期は米国政府による「RRF(レストラン活性化基金)」受給分652百万円を会計に反映していたこと、決算期の変更に伴い前年同期と対象期間が異なること、スタッフの処遇改善を実施したこと等の影響により減益となっております。その結果、営業利益は、203百万円(前年同期は372百万円)となりました。

Ⅲ(経常利益)

前年同期に計上していた休業協力金収入が無くなったことなどにより、経常利益は202百万円(前年同期は452百万円)となりました。

Ⅳ(親会社株主に帰属する当期純利益)

親会社株主に帰属する当期純利益50百万円(前年同期は486百万円)となりました。

 

ハ 経営成績に重要な影響を与える要因について

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

ニ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、原材料費、人件費及び店舗家賃等の営業費用であり、設備投資資金需要のうち主なものは、新規出店及び既存店の改装費等であります。

これらの必要資金については、営業キャッシュ・フローで充当するとともに、必要に応じて金融機関等からの借入れによる資金調達を実施して充当しております。今後におきましても、安定的な経営を続けるために必要な流動性を確保しながら、金融情勢を勘案して、安定資金を重点的に調達していく方針であります。なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は、905百万円であります。

 

ホ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループにおける今後の成長に向けた課題については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。

 

へ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、売上高、営業利益、営業利益率、総資産当期純利益率及び自己資本比率を重要な経営指標として位置付け、2026年1月期を最終年度とする中期事業計画の数値目標(売上高150億円、営業利益10億5千万円、営業利益率7%、総資産当期純利益率10%、自己資本比率45%(注))を掲げております。

コロナ禍を経て、人々の消費マインドが大きく変化していく世の中の動きに合わせて、新たに求められる価値のある事業や店舗の在り方、お客様が求めること、スタッフが求めることを大事にしていくことを前提に企業経営を進めてまいります。この中期事業計画「zetton VISION 23 to 26 ~Road to 2030~」に則り、アフターコロナを見据えた、今後のビジネスチャンスに速やかに対応していき、更なる企業価値向上を図ってまいります。

(注) 在外子会社によるASC第842号「リース」の適用の影響を控除・修正したBSにて算出しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

1.株式会社アダストリアとの資本業務提携

当社は、株式会社アダストリアと資本業務提携契約を締結しております。

契約内容は、次のとおりであります。

① 資本業務提携の主な理由

両社が継続的に相互補完、協力関係を構築することで、さらなる企業価値の向上を目的としております。

 

② 資本業務提携の内容等

・ 新たなプロモーションの展開

当社は、これまで集客の手段として、グルメ媒体をメインとしておりましたが、今後は、オウンドメディア(自社公式ウェブサイト、SNSアカウント、会員制度、自社ポイントシステム等)を通じた集客を目標として掲げております。

一方で、株式会社アダストリアは、オウンドメディアを通じた強力なプロモーション活動について、豊富な経験とナレッジを有しており、今後は本資本業務提携を通じて、新たなプロモーションスキルを獲得することは、当社の集客戦略の強化に大いに役立つものと考えております。

 

・ ブランド強化及びライフスタイル提案

当社は、ハワイアンカルチャーをベースとしたライフスタイルを提唱するカフェ&ダイニング事業として、「アロハテーブル事業」を展開しております。

一方で、株式会社アダストリアは、アパレル企業として、企画、製造、物流、販売のすべてを行っており、トレンドや売り筋、客層を把握した上でのマーケットインでの企画を得意としております。今後は本資本業務提携を通じて、当社の各事業のブランド力の強化を図ることが可能となり、ライフスタイル提案をより積極的に推進すること、当社が目指す事業戦略を実現することが可能となると考えております。

 

・ 海外進出の加速化

当社は、アメリカ、ハワイ州にZETTON,INC.を設立し、海外進出を実現しておりますが、アジアには拠点を有しておりません。当社は、中国を含むアジア圏において事業展開を行った経験がないため、信頼できる現地パートナーの選定等の課題をクリアすることが難しいとの判断によりこれまで具体化できておりませんでした。

一方で、株式会社アダストリアは、中国、台湾、香港、米国本土に拠点を有しており、その中でも中国、上海には大型の店舗を複数有しており、最大規模の店舗では、フードコートも運営しております。今後は本資本業務提携を通じて、中国を含むアジア圏への進出を実現させることが可能となると考えております。

 

・ 商業施設との交渉力強化

株式会社アダストリアは、国内の商業施設に1,300超の店舗を保有しており、国内有数の売上規模を誇るアパレル事業者であります。これにより、大型商業施設に対する強い交渉力を有しており、今後は本資本業務提携を通じて、賃料面を含む好条件での出店が可能となると考えております。

 

2.株式交換契約(簡易株式交換)の締結

当社は、2024年3月21日開催の取締役会において、株式会社アダストリアを株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、同日付で株式交換契約を締結いたしました。

詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)に記載のとおりであります。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。