当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)会社の経営の基本方針
当社グループは、お客様のニーズに沿ったバルブの製造からメンテナンスまで、バルブのトータルライフにわたるさまざまなサービスをスピーディにご提供できる体制作りに弛まぬ努力を続けております。お客様に安心してご使用いただける高品質・高性能なバルブ製品、バルブの予防保全に絶大な力を発揮する診断機器、豊富な知識・経験を持つ技術者によるメンテナンスサービスなどで、全国の原子力発電所(以下、「原発」)、火力発電所をはじめとする各種産業用プラントの安全で安定した運転のお手伝いを通じ、社会に貢献できる企業グループであり続けたいと考えております。当社グループでは、グループ会社共通の社是として、
一 信頼される企業として社会の進歩に貢献する
一 誠実と融和により健康で活気ある職場をつくる
一 経営の刷新と技術の開発につとめる
を掲げ、全役職員のベクトルを同じ方向に揃えグループ力の結集を図ることで、顧客満足度を高め、社会・地域の健全な発展に貢献し、従業員とその家族の生活を守り、株主への適正な利益分配を行い、安定的持続可能な強固で粘りのある企業体質の構築を目指しております。
また、当社グループの主な事業である、バルブ製品の製造、メンテナンスとも、高い技術を持つ地域の協力工場や、厳しい工期と過酷な環境下でのメンテナンス作業に従事される外注技術者など、数多くの関係取引先のご協力を頂戴することで成り立っており、常に感謝の心を忘れることなく、今後も関係取引先との相互発展を基本とした強い信頼・協力関係を構築してまいります。
(2)目標とする経営指標
当社グループが製造いたしますバルブ製品、鋳鋼製品のほとんどは、お客様の個別仕様書によって受注・生産を行っており、汎用品はごく一部にすぎません。また、バルブメンテナンスサービスにつきましても、一般的な定期保守点検契約のようなものは存在せず、比較的安定的に売上が望まれる原発の定期検査工事を除いては、基本的にプラントの運転状況とそれに応じた当社の営業活動の成果によるものであります。
よって各年度の売上高は必ずしも安定したものではないため、損益も同様に年度毎の山谷が非常に激しくなる可能性があり、特にバルブ事業は、売上の増減に加えその時々の工場操業度によっても損益に少なからず変動が発生し、目標とする経営指標として、例えば投下資本に対する利益率等を設定したとしても、以上のような理由から分子となる利益の変動が大きく、安定的且つ継続的な目標指標とすることは困難であると考えております。
このため、年度計画及び中期収益計画の策定に際しては、各年度に予想される市場環境から受注想定案件を積み上げることにより、売上高、営業利益、経常利益を予算化することとしております。
そして個々の案件の受注時には、厳密な貢献利益(限界利益)管理のもと、その時々の工場操業度と平準化効果、社員・外注作業者の最適要員配置、後年度における期待収益性などを重要な要素として受注判断を行うことで利益管理を実施しており、これにより機会損失を最小化し、獲得利益の最大化を図っております。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①基本課題
当社グループはこれまで国内原発の原型炉、実証炉、商用炉全てにバルブを納入してまいりました。原発黎明期においては重要な役割を担うバルブは海外製品が導入されていましたが、現在ではPWRと呼ばれる加圧水型原子炉の重要なバルブ・安全弁は当社製品をご採用いただいております。
このように当社グループは日本の原発の発展とともに歩んでまいりました。よって原発関連事業者としての責任と使命は今後も何があっても果たしていくことを基本的な会社方針としております。
福島原発の事故から12年が経過し、これまでにPWR型の6原発12基で再稼働が実現しましたが、BWR型原発については依然、再稼働の見通しは立っておらず、十分な市場回復には程遠い状況が続いております。よって原発を中心とした事業の軸を堅持しつつも、それに比肩する強い収益の柱を加えることが、現在の最重要課題であることに変わりはありません。
これら課題解決を目指し、『中期経営計画2023』では、前中期経営計画に引き続き、既存3事業の深化と新領域への挑戦を主要戦略に掲げ取り組むこととしております。
原子力は再生可能エネルギーの普及と、化石燃料からの脱却を促進する上で欠かすことのできない重要なベースロード電源であって、今後の新たな展開も期待されるところですが、これまで以上に想像力とリスク感応度を高め、決して同じ轍は踏まないことを肝に銘じ事業に取り組んでまいります。
また、統合報告書等を作成できるレベルにはまだまだ至りませんが、非財務情報の開示充実、ESGへの対応など、上場企業として責務を果たしてまいります。
②経営基盤の構造改革
(生産性の改善~TAMES Project~)
当社は前連結会計年度に創業100周年を迎え、新たな100年に向けての第一歩を踏み出しました。社会に求められつつ会社を長く継続するためには、成長戦略とともに事業基盤の強化が不可欠です。これを具体化する施策として、全社的業務効率改善活動である通称『TAMES-Project』の全社展開を進めております。
完全受注生産型事業においては、効率化を単に生産量だけに求めることはできません。すべての営業循環の中において、時間・規格・技術・場所等々、多くの制約の中で機会損失と闘いながら業務効率向上を実現していく必要があり、これは決して簡単なことではありません。
この課題に全社的に取り組み、経営効率向上を目指すのが本プロジェクトの狙いです。その狙いはコスト低減に留まらず、SDGsの諸課題、働き方改革、ICTの推進、健康経営、新製品・サービスの創出など、内外の課題を取り込みながら包括的に企業基盤の強化・改善を進めてまいります。
③既存3事業の深化
バルブ事業、メンテナンス事業、製鋼事業の既存3事業の個別課題を攻めの事業戦略により解決し更なる成長を目指します。
バルブ事業とメンテナンス事業は、当社グループが世界に誇る高温高圧弁・安全弁の技術とそれを象徴するTOAのブランドを活かし、グローバルニッチトップ化戦略の中核に位置付けられます。
国内原発、火力発電設備の安全・安定運転と経済性に貢献する新たな提案で顧客満足度を高め、原発廃止措置支援装置の開発、IT技術による状態監視装置やサービスシステムの構築、新たな製品・メンテナンス機器の開発などで成長を目指してまいります。また同時にコスト面での課題を克服すべくTAMES-Project活動での効率化実現に取り組んでまいります。
製鋼事業は製品の高付加価値化を主要施策として進めてまいります。昨今の経済情勢下、材料高による採算性悪化に苦しんでおり、この対応はもとより、加工、検査、材質、納期、そして何よりも品質を高めた高付加価値製品の提供により収益性の改善を推進してまいります。
④新領域への挑戦
(グローバルニッチトップへの挑戦)
既存事業の中核であるバルブ事業は、世間的には市場飽和状態にあって、決して魅力的なものとは映らないでしょう。だからこそ当社グループはグローバルニッチトップを目指すことを選択し、その中においては新たな事業領域の開発は不可欠な戦略であります。
発電所では非常に多くのバルブが使用されていますが、高温高圧弁・安全弁は数多あるバルブのごく一部に過ぎません。しかし調達価格で見たときその割合は決して小さなものではなく、ここに勝機があると考えております。
また圧力容器の防護設備のひとつである安全弁は当社グループの看板商品です。原発という極めて高い安全性が求められるプラントの最重要ラインに当社安全弁は設置され、24時間365日、プラントの安全を見守っており、絶対に他社では代替できない技術で顧客の絶大な信頼を得ております。
こういった、ニッチな分野での商品性やサービス力を徹底的に高めることで、ニッチな市場での競争優位を確立してまいります。
(次世代火力発電)
発電分野においては、脱炭素が絶対的な命題となる中、火力発電所は今後確実に、脱化石燃料化へ向かっていきます。残念ながら当社グループのバルブは、風力発電、太陽光発電といった分野では出番がない以上、この火力発電の脱化石燃料化、すなわち水素やアンモニアへの燃料転換に対応するバルブ開発が重要な課題となります。
水素やアンモニアの混焼火力発電は国内においても既に実証事業が進んでいますが、最終形である、専焼型商業発電プラントへのバルブ製品、或いは鋳鋼製品の供給に視点を据え、技術開発に取り組んでまいります。
(廃炉事業)
長期的な事業拡大戦略の一翼を担うのが廃炉事業への進出と考えております。これはバルブ事業の集大成ともいえる事業で、バルブのトータルライフに亘りワン・ストップであらゆるサービスを提供するという、当社グループの目指す姿に通ずるものであります。
具体的な事業のイメージは、廃止された発電所から回収したバルブをリサイクルして新しいバルブ等にして新しい発電所に戻すという非常にシンプルなものですが、そこに至る道程は困難の連続と想定しております。
この実現のため設立した子会社で、資源エネルギー庁より「原子力産業基盤強化事業補助金」に係る間接補助事業者に採択され活動をしております。実際に原発からリサイクル対象の金属が、事業が成立するレベルで排出されるのはまだ先のことで、業績貢献には今しばらく時間を要しますが、早期の参入表明で先駆者としての優位性を築き、今後の事業本格化に備えてまいります。
(デジタル技術の活用)
ビッグデータやセンシング技術などが事業に取り込まれ、多方面で新たなマーケットの創出、ビジネスモデルの開発につながっております。さらにはコンピューターを離れ、何かをインターネットにつなぐことで新たなビジネスを広げるIoT技術も既に当たり前になっております。
当社グループにおいても、長年のバルブ製造やメンテナンスの過程で蓄積した、バルブの検査データや経験、知見、そして電力用高温高圧バルブメーカーとしてのブランド力や市場シェアを活かし、「情報」や「ノウハウ」を商品とした事業展開の可能性についてさらに深く掘り下げる必要があると考えております。
例えばそのひとつとして、バルブや鋳物に関する技術情報の積極的な公開や、特殊設備の異業種での活用可能性を探るなど、新たな市場・顧客を求めデジタルマーケティングに取り組んでおります。また、これまでは狭い市場と決めつけることであまり縁のなかった、各種産業機器等の展示会に積極的に出展し、新たな分野への進出の足掛かりを探る活動を進めております。
やれることは何でもやってみる、TAMES=「試す」の精神で取り組み、これをひとつのきっかけに新たなバルブソリューションを展開してまいります。
(新たな子会社事業とのシナジー創出)
前連結会計年度から太陽電業株式会社を子会社に加えました。同社は東日本地区の原発で放射線管理業務や電気設備関連工事を行っており、同社との連携により市場の拡大が期待できます。東日本大震災以降、同地域での収益は原発に限らず火力発電所でも低下しており、震災前のレベルを取り戻すためにも重要な拠点になり得るものと考えております。
今後は早期のシナジー創出に向け人材の交流をはじめとした具体的な活動を進めてまいります。
また、前中期経営計画で取り組んできました前述の「TAMES-Project」を「TOMOS-Project」に深化させ、社員の挑戦と成長を通じて世の中の課題解決を図ります。
事業活動を通じ、これらの課題を解決することで、持続可能な社会と経済価値の向上を実現し、企業価値を高めてまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
①ガバナンス
当社グループは、持続可能性の観点から企業価値を向上させるため、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)のリスク及び機会に対応するため、期初に各部門において策定され、経営会議において承認された実行計画のもと、各部門において様々な施策を実施し、目標の進捗管理を行っており、定期的に経営会議において報告された後、取締役会で報告しております。
今後、サステナビリティに関するガバナンス強化を図るため、取締役会においてサステナビリティ推進委員会の設置を検討してまいります。
②戦略
2023年10月度から新たにスタートした中期経営計画においては、目指す姿を『世界エネルギーインフラの安全運転に貢献するグローバルニッチトップ』と定め、その実現のため当社グループが取り組むべきマテリアリティを特定しております。
区分 |
マテリアリティ |
内容 |
価値創造に係るマテリアリティ |
持続可能な「つくるチカラ・まもるチカラ」の維持・発展 |
・既存原発の稼働維持と新規原発建設への貢献 |
・次世代燃料火力発電所への貢献 |
||
・バルブ製品の改良(長寿命化)、メンテナンス技術の開発 |
||
・製品、サービスの品質確保 |
||
リファインメタル事業の推進 |
・廃止原発からでる金属廃棄物のリサイクル化 |
|
価値創造の基盤に係るマテリアリティ |
健康で活気ある職場づくり |
・働きやすい職場・環境づくり |
・働きがいのある職場・環境づくり |
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・作業従事者の健康・安全 |
||
人材育成・技術伝承 |
・人材育成 |
|
・技術伝承 |
||
自然災害への危機管理 |
・自然災害・故障などによる事故・操業停止への対応 |
|
ガバナンス強化 |
・コンプライアンス強化 |
事業活動を通じ、これらの課題を解決することで、持続可能な社会と経済価値の向上を実現し、企業価値を高めていきます。
③リスク管理
企業を取り巻くリスクが多様化する中、リスクを最小化するため、内部統制の一環としてリスク管理の強化に取組んでおります。リスク管理表により影響度及び発生頻度の面から、各部門における重要リスクを体系的に分析・評価し、リスクを最小化するための対策を講じるとともに、継続的にその改善を図る活動を行い、リスク管理体制を構築しております。
④指標及び目標
2023年10月度からスタートした中期経営計画において、『信頼される企業として社会の進歩に貢献し、誠実と融和により健康で活気ある職場を作り、常に経営の刷新と技術の開発に努める。』という経営理念のもと、『世界エネルギーインフラの安全運転に貢献するグローバルニッチトップ』を目指す姿とし、前述のマテリアリティに紐づけた事業別戦略を定め、それぞれ目標を設定しております。
当社グループはステークホルダーの皆様に対して持続可能な価値創造の実現を目指してまいります。
※中期経営計画につきましては、2023年11月10日開示の中期経営計画をご覧ください。
(2)気候変動
①ガバナンス
当社グループでは、カーボンニュートラルをはじめとする気候変動に関連した事業環境の変化を重要課題と認識しております。これらの課題に取り組むため、2023年3月に生産本部長を委員長とするTCFD準備委員会を設置しました。
TCFD準備委員会においては、リスク・機会の両面から気候変動関連への取り組みの方針や施策の事前準備を行っており、今後TCFD準備委員会の報告を受け、取締役会においてサステナビリティ推進委員会の設置を検討してまいります。
②戦略
当社グループでは気候変動に伴って将来生じる可能性のある当社グループのリスク・機会について、TCFD提言に沿ったリスク・機会を特定し、重要度の評価を行いました。
今後、TCFD準備委員会において気候変動関連リスクへの影響、対策の検討をするとともに、エネルギーインフラの安全で安定した運転に関わる企業として、製品の供給、技術開発などを通じて、市場・社会の脱炭素化、気候変動に対する取り組みに貢献してまいります。
③リスク管理
気候変動関連のリスクについては、TCFD準備委員会において、TCFD提言に沿ってリスクの特定及び評価を行いました。気候関連課題に対するモニタリング方法など、全社的なリスクの評価・管理体制については、今後TCFD準備委員会で検討してまいります。
④指標及び目標
当社グループでは、2022年9月期における提出会社に伴う温室効果ガス排出量を、国際基準であるGHGプロトコルに準拠して算定しました。2022年9月期におけるScope1、Scope2の排出量は以下のとおりであります。
区分 |
排出量 (tCO2) |
|
Scope1(燃料の燃焼等)(注)1 |
2,182 |
|
Scope2(電気の使用) |
ロケーション基準 (注)2 |
2,447 |
マーケット基準 (注)3 |
2,093 |
|
計(Scope1+2) |
(ロケーション基準) |
4,629 |
(マーケット基準) |
4,275 |
(注)1:エネルギーの使用、工業プロセス、廃棄物、六フッ化硫黄(SF6)・フロン(HFC)の漏えいによるCO2排出量を合計
(注)2:日本全国平均係数に基づき算定
(注)3:地球温暖化対策の推進に関する法律で定められた電気事業者別の調整後排出係数に基づき算定
当社グループでは、気候関連のリスクと機会をマネジメントするため、2050年カーボンニュートラル
に向けて、当社グループ事業に伴う温室効果ガス排出量の削減に努めております。
2022年9月期の温室効果ガス排出量の算定結果を踏まえ、今後は、当社グループにとってより効果の
高い取り組みを把握するとともに、具体的な削減目標の検討を進めてまいります。
(3)人的資本
①人的資本の基本方針として
当社グループにとって最も重要な資産は「人」であり、「信頼される企業として社会の進歩に貢献し、誠実と融和により健康で活気ある職場を作り、常に経営の刷新と技術の開発に努める」という経営理念のもと、新たな発想と挑戦する心、そしてものづくりに対する情熱をもって、今までなかった価値を創造し、社会に大きく貢献できる人材を育成することを会社の基本方針としております。
この基本方針を実現するために、「誠実と融和」において一人一人の人格や個性を大切にするとともに、年齢、性別、国籍、職種や役職にかかわらず社員全員が能力とスキルを発揮できるよう、働きがいと働きやすさのある職場環境づくりを行っております。
2022年に創業100周年を迎えましたが、当社グループでは次の100年に向けた通過点と考えております。中期経営計画2023においてはTAMES活動(活動の詳細については「④具体的な取組として」に記載しております)をTOMOS活動に深化させ、決意を新たに取り組んでまいります。次の100年に、夢を、心を、技術をつなぐ企業として、社員の挑戦と成長を通じて世の中の課題解決を図り、持続可能な社会の実現に向け努めてまいります。
②人材の確保について
中長期的な事業を継続するにあたり、ベテラン社員が持つ知見や技能、ノウハウ等の伝承を当社グループの課題と捉え、若年層社員への技術伝承を促進する観点から、ベテラン社員の働き方の見直しの検討を進めてまいります。
また、新卒採用に加え中途採用や非正規社員の活用等の多面的な対策を講じ、女性及び中途入社者の採用数拡大、障がい者雇用等に留意しながら多様性の確保に取り組んでまいります。
多様な人材を適材適所に配置し、個人の能力を発揮できるよう、年齢・性別によらず能力のある社員の積極的登用を継続して実施してまいります。
③人材の育成について
中期経営計画2023の行動方針を実現する為、社員一人一人がプロフェッショナルな人材として能力を高め、個人の能力を最大限に発揮できるようキャリア形成・支援を行ってまいります。
教育においては各職場でのOJTを基本としつつ、OFF-JTとして階層別研修を実施し、中長期的視点で人材育成に取り組んでおります。
今後は、リスキル・キャリア形成・深堀りといった観点で教育研修の検討を進め、社員にとって仕事を通じて自分が成長する「自己実現の場」として「働きがい」と「働きやすさ」を実感できる、人と組織の活力が溢れる「エンゲージメント」の高い会社を引き続き目指してまいります。
社外研修の受講者数(2022年10月1日~2023年9月30日)
研修種別 |
受講者数 |
新任管理職研修 |
6人 |
階層別研修 |
74人 |
④具体的な取組として
一般事業主行動計画に掲げた目標の達成に向け、全社として年次有給休暇の積極的な取得に努めるとともに、出産・育児と仕事の両立について積極的な支援を進めており、育児休業の取得はもとより、男女問わず、短時間勤務、休暇取得等の制度を導入しており、社員のワークライフバランスに配慮した社内環境整備を実施しております。
TAMES活動(TAMES-Active)においては、女性社員の活躍推進、男性社員の育児休業の取得促進を目的とした啓蒙活動に取り組むとともに、若年層社員のモチベーション向上や社員同士のコミュニケーション向上を目的とした交流会を実施してまいりました。
TAMES-Active主催の研修、活動実績
研修、活動内容 |
対象 |
実施目的 |
「女性活躍」のセミナー |
女性社員・管理職等 |
女性社員の活躍推進は中長期的な企業競争力の維持・向上に不可欠であることを認識し、組織づくり・管理職としての取り組み等を学ぶことで意識改革の場とする事を目的として実施しました。 |
「コミュニケーション向上」の研修 |
ライン職 |
積極的なコミュニケーションが求められる職層を受講対象とし、部下や後輩社員に「主体性を持って取組むこと」や「成長や挑戦」を促す気付きを得ることを目的として実施しました。 |
「男性育休取得推進チームマネジメント」の研修 |
男性の育児参画という視点から、世代間、性別役割分担意識のギャップを理解し、組織として男性育児休業等を促進するメリットを考えることを目的として実施しました。 |
|
「若手社員交流会(茶話会)」 |
若年層社員 |
若手社員が部署や職場の垣根を越えてコミュニケーションをとり、相互理解を深めること、モチベーション向上による早期離職防止を目的として実施しました。 |
⑤指標と目標
一般事業主行動計画(2021年10月1日~2026年9月30日までの5年間)の目標と現状
取組内容 |
目標値 |
実績値 |
|
2026年度 |
2023年度 |
2023年度 |
|
①全従業員に占める女性社員の比率 |
16% |
14.7% |
|
②管理職に占める女性労働者の人数 |
3名以上 |
1名 |
|
③配偶者出産休暇取得率、平均取得日数 |
100%、3日以上 |
100%、9.4日 |
|
④育児休業等取得率 |
男性:50%以上 女性:100% |
男性:100% 女性:該当者なし |
|
⑤育児休業等の平均取得期間(注)1 |
男性:通算1か月以上 女性:1年 |
男性:13.5日 女性:該当者なし |
|
⑥有給休暇取得率 |
80%以上 |
70%以上 |
79.0% |
(注)1.上記⑤における育児休業等の平均取得期間は、男性の目標値が通算1か月(20労働日)以上であることから、20日以上取得した場合は20日として平均を算出しております。
2.指標と目標に関する数値は、提出会社における数値を記載しております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 事業環境の変化
当社グループのバルブ事業の売上は、原子力・火力発電所に代表される国内電力市場向けの製品・メンテナンスが重要な割合を占めています。また、当社グループはわが国の原子力発電黎明期より原発事業に関わってきました。その責任を全うするためには、今後も電力市場に強く依存した事業運営は不可避であり、どのような要因であれ、電力市場に大きな変化が生じることは、当社グループの業績に重大な影響が及ぶ可能性があります。
その要因は、自然災害、原発再稼働等に対する司法判断や国による規制、事故等による発電所の運転停止、発電技術革新、発電燃料の転換、電力自由化などの発電事業形態の変化、地球温暖化問題に由来する従来型火力発電市場縮小とそれに伴う市場の変化、電力業界を取り巻くサプライヤーの動向、再生可能エネルギーや局所発電など消費者側における発電設備転換など、実にさまざまなものが想定されます。
例えば、2011年に発生した東日本大震災による福島原発事故では、事故後国内すべての原発が停止し、その後、多くの原発で廃炉が決定され、市場は大きく縮小する事態となりました。幸いにも当社グループの主力マーケットである加圧水型原発(PWR)は、今日までに6原発12基で再稼働を果たし、今後一定期間はそれら原発の定期検査(定検)による安定収益が見込まれる状況となりましたが、裏返せばこのことは、PWR型原発の定検に依存した収益構造となりかねず、原発に依存しすぎるが故に苦境に陥ることとなった過去と同じ轍を踏まないことを改めて肝に銘ずる必要があります。
今後は、全く再稼働に至っていない沸騰水型原発(BWR)の運転再開による一定の需要が見込まれますが、わが国の電力政策において原発はどう位置付けられていくのかはもちろん、小型原発(SMR)や次世代原発に対する国の取組はどうなっていくのかなど、まだまだ不透明な状況が続くことが想定されます。
火力発電所においても、温室効果ガス削減問題からその市場は極めて不透明な状況にあります。特に海外では、既に国内以上に厳しい状況に向かっており、世界的な投資の引き揚げ・停止などにより、新規事業の計画中止が相次いでいるとの認識です。
他方これらを背景に、電力プラントは大きく変化しつつあります。まずはゼロ・エミッション火力発電燃料である水素、アンモニアなどへの燃料転換、そしてAIやITを用いたプラント管理技術の変化が特に当社グループにとって重要なものと考えています。当社グループがこういった新しい技術等に対応したバルブ製品、メンテナンスを提供できない場合、これまで築いた高温高圧弁メーカーとしてのステータスは大きく揺らぎかねません。よって、積極的な研究と投資を継続し、しっかりと市場の変化に対応していく必要がありますが、高度な要求とその速度に対応できない場合には、重大な業績への影響が生じる可能性があります。
(2) 大規模自然災害や事故、感染症などによる影響
当社グループの製造拠点は、バルブ製造を行う兵庫県尼崎市の本社工場とバルブの主要素材である鋳鋼部品の製造を行う三重県伊賀市の伊賀工場の国内2か所となっています。これらの生産拠点が、地震、台風、洪水、高潮などによる大規模自然災害や火災事故に見舞われた場合、業績等に重大な影響を受ける可能性があります。
本社工場の所在する兵庫県尼崎市は、南海トラフ巨大地震の被害想定地域であることに加え、工場の多くの建屋は1960年代の建築であるため、耐震性や耐火性に対しリスクを有しており危機感を一層強めています。伊賀工場は本社工場が担う製造工程の前工程として機能していることから、設備面において一方の緊急時に他方がその機能・役割を代替する関係にはなく、どちらか一方が被災することはそのまま生産プロセスの途絶に直結し、機会損失の発生や納期遅延など当社グループの業績に重大な影響が生じる可能性があります。
実際、本社工場は1995年1月に発生した阪神大震災で被災しました。工場そのものは周辺地域の状況に比して小さな被害に留まりましたが、従業員の多くが被災し、また公共交通機関が長期に亘り途絶したため、工場稼働の支障期間も長期に及び、相応の業績への影響が発生しました。
一般に、軽減と移転しかリスク対応策のないこの課題に対し、現実的にどれほどの具体的対策が可能か非常に難しいところではありますが、まずは確実な事業継続体制確立のための恒久対策として、そして、従業員の命を守り安心・安全に働くことができる職場の実現のため、工場建屋の耐震改修、或いは適地への移転などについて鋭意検討するとともに、非常時のBCP対応を着実に進めてまいります。
しかし、他方ではこれらの対策には非常に多額の資金が必要となります。そのため当社グループでは、ここ数期の好調な業績で増加した資金の集積に努めてまいりました。当社グループは完全受注生産型の事業形態であることから、業績は年度により大きく変動する傾向があり、そのような状況下においては、金融機関からの十分な資金調達が得られない可能性があるためです。このような政策は必ずしも、投資家の利害と一致しない可能性もありますが、事業の継続性をまず確実なものとするために不可欠なものと考えております。そして裏返せばこの対応が遅れ、危惧するリスクが顕在化した場合には、極めて重大な業績への影響を回避できない可能性が高いものになると考えております。
2020年春以降、世界を大混乱に陥れた新型コロナウイルスは完全に沈静化したとの認識です。しかし、今後も変異型の登場や新種のウイルスなどで再度同様の事態となる可能性は否定できず、社内クラスターや大量の濃厚接触者の発生、顧客や協力会社が同様の状況に陥ることでサプライチェーンが途絶する、或いは予定した工事の中止・中断・延期など、事業運営に重大な支障が生じる可能性があります。
また、海外との取引においては、当該相手国での経済活動規制の影響もありましたが、日本政府による厳しい渡航制限が長く続いたことで、特に営業面での影響を受け、新規プラント建設プロジェクトの延期に伴う受注計画への影響、海外発電所へのメンテナンス技術者の派遣見送りによる受注機会の喪失など、事業戦略の抜本的見直しが迫られることとなりました。
今回の新型コロナウイルスに限らず、インフルエンザ、ノロウイルス等、感染症拡大の恐れは常にあります。今後も先手の対策で事業影響の最小化を図ってまいりますが、防疫の限界、或いはそもそも当社グループの対応だけでリスクを回避できる種類のものではないことから、その状況によっては業績に重大な影響を与える可能性があります。
(3) 製品、メンテナンス上の瑕疵などに起因し生じる影響
当社グループの製品は、原発をはじめとした各種産業用プラントの重要部位で採用されているため、その製造上の欠陥や当社グループが行ったメンテナンスの不具合等により動作不良等が生じ本来の機能を果たせない場合、重大な事故による被害の発生、或いはプラントの運転停止による経済的損害の発生などが賠償問題につながる可能性があり、それらは当社グループの業績に重大な影響を及ぼすリスクがあります。
当社グループでは、まずは従業員の一人一人に品質意識の徹底を図り、組織基盤を作り上げたうえで品質マネジメントシステムを適切に運用し、それを担保するための内部統制システムを組み合わせることで、高い品質レベルを維持できるものと考えております。今後も更なる品質体制の強化により、リスクが顕在化することのないよう努めてまいります。
(4) コンピューターシステム停止による影響
当社グループは完全受注生産型のビジネスを行っていることから、ビジネスフローに最適化させた、オリジナルの基幹業務系情報処理システムを採用しています。ここでその現状やリスク対策について詳らかにすることは、逆に新たなリスクを招く可能性があるため差し控えますが、ネットワーク環境に由来するシステム運用上の支障や、悪意をもったウイルス攻撃などによるデータ喪失・破壊、或いはデータが利用不能に陥るなどのリスクは常に存在していると考えています。
これらのリスクに備えるため、当社グループでは、営業・技術情報の保全のため、物理的な情報流出対策を実施するとともに、次世代型ウイルス検知システム(NGAV)とエンドポイント対策(EDR)によるシステムの入口・出口の監視、データの多重化などを行うことで、被害の防止と軽減を図っております。そして同時に、システム利用者の意識改革教育の実施、システム運用における内部統制の確立で万全を期しています。
しかし、一般に言われるとおり、ウイルスをはじめとしたシステムに対する悪意をもった攻撃リスクを完全に排除することは困難であると同時に、コストと便益の関係から決して無尽蔵のリソースを投入し対策を行うことが最善ではないとの認識でいます。よって、万一の場合においても被害の最小化と復旧の最速化を図ることで対応してまいりますが、想定以上の状況が生じた場合には重大な事業への影響が生じる可能性があります。
(5) 法的規制、各種許認可等を維持できない場合の影響
当社グループの一部事業は、建設業法に基づく一般建設業、特定建設業の許可を必要とするものです。そしてこの許可を維持するため、或いは許可に基づき具体的な工事を施行するためには、一定の人的要件を常に充足しておく必要がありますが、今後何らかの事由により、その要件を充足できなくなった場合には当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループは、原子力・火力発電所等を納入先とすることから、製品においては、数多くの規制・規格・許認可への適合が、製造・メンテナンスの工程では、一定の経験年数や技量認定・資格を取得した作業員による作業実施や配置が求められます。昨今の採用難による人材不足の中にあっては、こういった資格者の確保にも重大な懸念が生じる可能性があって、当社グループでは、これらの要件を欠くことのないよう計画的な人材育成とプロセス管理を実施していますが、さまざまな要因による能力的制約や人的制約等から、これらに適切に対応することができない場合には業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。
(6) 労働災害による影響
製造現場、メンテナンス現場では常に労働災害と背中合わせの状況にありますが、安全に優先する何物も存在しないとの意識をもって、「ご安全に」を日々の挨拶に、全社グループを挙げ無災害に取り組んでいます。
しかし無災害を長期に亘り継続することは非常に難しく、現にここ数年でいくつかの休業災害が発生しています。いずれも少しの不注意や作業上の不手際の問題であって、原因が単純であるが故になかなか根絶には至らないというのが現実です。
労働災害の発生は、大切な従業員の命を脅かし苦痛をもたらすことはもちろん、労働災害を引き起こす要因が潜在する職場そのものが高い生産性を実現できず、その結果として作業に遅れが生じるなど多くの影響をもたらします。そして、労働災害が発生した場合には、その内容によっては、顧客の信頼を失墜し、場合によっては指名停止を受けるなど営業活動への支障が生じることもあって、そのような事態に陥った場合の業績への影響は重要なものとなる可能性があります。
労働災害は仕事の仕組みと個人への教育とチームワークで防ぐ必要があります。個々の安全意識と集団の安全意識を徹底的に高め、精神論だけではなく、物理的な安全対策のためにリソースを投入することで災害が起きない仕組みをしっかりと構築し、安全第一の職場を作り上げリスクの顕在化を阻止してまいります。
(7) コンプライアンス違反による影響
当社グループは会社法、金融商品取引法、労働法、税法等の各種法令はもとより、製造するバルブに関する各種規格のほか、取引先との契約に基づく合意等も含め、非常に多くの規制への適合が求められるため、それら規則が遵守されているかを管理するための体制を構築しています。
具体的には監査等委員、会計監査人、内部監査室、品質保証統括室などによる組織的な監査に加え、各事業部門において業務手順を「見える化」することでリスクの所在とその対策を明確にする内部統制システムの運用によりコンプライアンスを担保するとともに、万一コンプライアンスが損なわれるようなことがあった場合においても、適時に不適切な事象を発見する仕組みを構築することで被害・影響の最小化に努めております。
しかし、コンプライアンスの概念は極めて多岐・広範に亘ることから、会社の業績やブランドイメージに対し致命的な影響が生じる状況に至らないことを管理体制の基本とせざるを得ず、完全にリスクを排除することは困難であると考えられます。
当社グループは電力事業という極めて社会性の高い分野で、且つ原発向けという完全な品質を求められるバルブ製品・サービスの提供を生業とするため、コンプライアンス問題で、顧客・社会の信頼を損ねることは致命的なものとなり、企業の存在そのものが否定される可能性にもつながりかねないことを強く認識し、日々コンプライアンス活動に取り組んでおります。
また、昨今ではコンプライアンス違反の態様は多様化しており、例えば、ハラスメントの問題や、SNSを利用した不適切な情報拡散などが特に重要なリスクとなりつつあるとの認識です。
ハラスメントはパワハラ、セクハラが代表的なものと考えますが、それは日常的に様々なシチュエーションの中で起こり得る問題であって、個人の認識の違いや人間関係に影響される部分も多いことから、非常に複雑な背景を理解した上での対策が求められます。また、SNS上での不適切な発信は、認知に手間取ること、発生後の有効な回復法が実質的に機能しないことを考えると、防止策のみが有効な対応となります。
こういった問題に対し、会社が迅速に適切で毅然とした対応が取れない場合、従業員のモチベーションを低下させ、会社に対するロイヤリティが損なわれ、会社の信用が失墜することから、常より社内の状況に注意を払い、こういったコンプライアンス違反の発生を防止し、起こった場合の適切な対応を図ることで重大なリスクとして顕在化することを防いでまいります。
(8) 環境に対する課題意識の高まりによる影響
地球温暖化問題に由来する環境への課題意識の社会的な高まりは、当社グループの事業においても、営業面、コスト面に非常に大きな影響をもたらすものと考えています。特に営業面においては、当社グループの主要顧客である火力発電所が、二大温室効果ガスである二酸化炭素の最大排出源のひとつであることから、その影響は当然に不可避の状況にあるといえます。このリスクについては、社会と顧客の対応を注視し、その変化に迅速に対応していくことはもちろん、次の予想される展開に対し先手を打って対応していくことで軽減を図る以外はないものと考えております。
他方、コスト面におきましても重大な課題が存在します。当社グループのバルブ製造プロセスには、鋳鋼製造工程があり、非常に大きな電力を消費することから、電力料の生産コストに占める割合は非常に高いものとなっています。今後、この製造過程での電力使用に伴う温室効果ガス削減の対応が必要となりますが、例えば、設備改善や非化石証書等の購入などによるとしても、相応のコストが必要であり、その内容によっては業績に大きな影響を与える可能性があります。
(9) 材料費等原価高騰による影響
当社グループの製造するバルブの主な原材料は、鉄、ステンレスを中心とした金属材料で、クロム、ニッケル、タングステンなどのいわゆるレアメタルも使用しています。このような金属材料は、市況により調達価格や調達可能数量やロットが変動することから、これらの安定的調達のため、信頼のおける複数のサプライヤーとの取引を行うなどでリスクヘッジを図っておりますが、著しい価格の高騰や調達支障の発生のリスクは常にあります。
また、特に主要材料であるスクラップは、製鉄業界が環境問題で高炉を停止させており、今後はこれまでの鉄鉱石からスクラップへと原料需要が移っていく可能性があります。当社グループのバルブは、これらスクラップをはじめとする金属材料を電炉で溶かし、鋳型に流し込むことで製造する鋳鋼弁と呼ばれるものです。この鋳造工程では溶解時に非常に多くの電力を消費し、またその後工程である熱処理段階でも電気、或いは灯油などのエネルギーを使用します。
ロシアによるウクライナ侵攻、海外主要国との政策金利差による為替変動などが、原材料価格や燃料価格の上昇ほか多方面に、今までにないほどの大きな影響をもたらしていますが、環境問題に由来する社会構造の変化も含め、業績に対し大きな影響を与える可能性があります。
(10) IT・DX化の対応遅れ・不首尾による影響
当社グループにおきましても、IT・DXを活用した製品・サービスの開発はもちろん、生産設備やメンテナンス機器への応用は重要課題と考えております。
例えばバルブのメンテナンスでは、従来の時間監視型の保全から状態監視型の保全に軸足が移る中、いかにプラントの運転中にバルブの異常事象を把握し、次回のメンテナンスにつなげていく必要があります。或いは、工場の老朽化に対し、今後大規模な設備投資が必要になると考えますが、この投資に際しても、いかに効率的な生産を実現していくかは重要な課題です。そしてこれらの実施に際しての最も必要な視点は、IT・DXの最大限の利用であると考えます。
これらの実現に取り組んでいくため、2023年4月にR&Dセンターを新たに設置しました。IT・DX人材の育成、IT・DXと製品・サービスの融合、IT・DXを活用した生産・販売といった業務プロセスの開発などをワンストップで実施する体制としています。
今後、R&Dセンターを中核に全力で取り組んでまいりますが、仮に著しく時流に乗り遅れ、従来の枠を脱することができないなら、それは商品力でもコスト競争力でも他社の後塵を拝することになり、その結果として業績に大きな影響を与える可能性があります。
(11) 情報セキュリティによる影響
当社グループは原子力事業に携わる事業者として、顧客情報や個々の取引情報について、極めて厳格な管理が求められているとの認識です。
昨今の代表的な情報漏洩事象の多くはコンピューターシステムへの不正アクセスから生じ、それは殆どの場合、コンピューターシステムの停止によるリスクと一体であることから、(4) コンピューターシステム停止による影響 に記したとおり、システムへの不正アクセス対策に万全を期すこととしております。
また、専ら人に由来するアナログ的な情報漏洩についても、その多くはコンピューターシステム上の情報管理を厳格にすることである程度は防止できるものと考え、ハードウエアに対する制限や、操作ログの収集・保管などによる牽制効果を期待した予防的統制を実施しております。
情報の漏えいは、その情報で不当な利益を得ようとするもの、悪意に基づくもの、単純ミスによるものなど、実にいろいろな動機・きっかけにより発生し得ることから、情報に対する全従業員の意識向上が基本対策と考え、情報セキュリティ教育に注力しています。
しかし今日のネットを拡散媒体として情報漏えいは実質的に不可逆的で、時には回復不可能なものとなる場合があり、その結果として業績に大きな影響を与える可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類感染症移行により、社会活動の正常化が進む中、インバウンド需要の回復や設備投資に持ち直しの動きがみられ、緩やかな回復傾向が続きましたが、国内における物価の上昇、国際情勢の緊迫に起因する資源価格やエネルギー価格の高騰、円安の進行など、依然として先行き不透明な状況が続いており、その影響については引き続き注視する必要があります。
当社グループは、原子力・火力発電所用バルブの製造・メンテナンスを主としたバルブ事業を中核に鋳鋼製品の製造事業などを展開しており、前連結会計年度から、主に東日本の原子力発電所(以下、「原発」)で放射線管理業務等を行う太陽電業株式会社をグループに加え、事業領域の拡大を図っております。
現在、バルブ事業の中核である原発向けビジネスは、東日本大震災の津波による東京電力福島第一原発事故以降、依然として厳しい状況にあり、また、もう一方の主要納入先である石炭火力発電所につきましても、地球温暖化問題から、世界規模でグリーン・トランスフォーメーション(以下、「GX」)実現に向けた取り組みが進む中、その将来について不確実性が高まりつつあります。しかし、本年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」において、原発は、電力の安定供給やカーボンニュートラル実現に向けた脱炭素のベースロード電源としての重要な役割を担うとされ、安全性の確保を前提に、原発の再稼働や運転期間の延長、新設やリプレース、廃炉の検討など原子力の活用の方針が明示され、本年8月には稼働から40年を超える関西電力高浜原発1号機が再稼働を果たしました。
このような環境の中、世界エネルギーインフラの安全運転に貢献するグローバルニッチトップを目指し、事業戦略として、既存のバルブ事業、製鋼事業の深化に加え、廃止原発から発生する金属廃棄物をリサイクル原材料として活用するリファインメタル事業、水素を用いた発電に使用されるバルブの開発、太陽電業株式会社との連携による事業領域の拡大などを推し進めると同時に、事業基盤の強化として、健康で「働きがい」と「働きやすさ」のある職場・環境づくりなどに取り組んでいくことを「中期経営計画2023」に掲げております。詳細は「中期経営計画2023」をご覧ください。
このような中、当連結会計年度におきましては、主力事業であるバルブ事業において、関西電力大飯原発3号機、同高浜原発1号機、4号機や九州電力川内原発1号機、2号機、同玄海原発3号機、4号機における定期検査工事などが売上計上されたほか、前連結会計年度より子会社となった太陽電業株式会社における電気設備関連事業の売上が通期を通して計上された影響もあり、全体の売上高は93億96百万円(前年同期比10.4%増)となりました。
採算面では、前連結会計年度に対し増収となったこと、バルブ事業で採算の良い原発向けのメンテナンス工事が堅調であったことなどから、営業利益は4億76百万円(前年同期は86百万円の赤字)、経常利益は5億38百万円(前年同期は27百万円の黒字)、親会社株主に帰属する当期純利益は4億35百万円(前年同期は60百万円の赤字)となりました。
表:報告セグメント内の種類別売上高
報告セグメント |
種類別の売上高 |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前年同期比(%) |
バルブ事業 |
バルブ(新製弁) |
1,721 |
1,475 |
△14.3 |
バルブ用取替補修部品 |
913 |
980 |
7.3 |
|
原子力発電所定期検査工事 |
795 |
1,225 |
54.0 |
|
その他メンテナンス等の役務提供 |
2,811 |
2,939 |
4.5 |
|
小計 |
6,241 |
6,620 |
6.1 |
|
製鋼事業 |
鋳鋼製品 |
1,056 |
1,161 |
9.9 |
電気設備関連事業 |
電気設備関連工事 |
1,032 |
1,432 |
38.8 |
その他 |
地域復興事業 |
104 |
88 |
△15.3 |
リファインメタル事業 |
160 |
167 |
4.0 |
|
消去又は全社 |
△81 |
△73 |
- |
|
合計 |
8,514 |
9,396 |
10.4 |
報告セグメント別では、バルブ事業の売上高は、前述の関西電力大飯原発3号機、同高浜原発1号機、4号機や九州電力川内原発1号機、2号機、同玄海原発3号機、4号機における定期検査工事などが売上計上され、売上高は66億20百万円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益は採算性の良い原発関係の売上が増加した影響等から、13億85百万円(同26.2%増)となり、前年同期に比し増益となりました。
製鋼事業は、前年同期に比し一部顧客からの売上が増加した結果、売上高は11億61百万円(前年同期比9.9%増)、セグメント利益は電力料の増加、材料の仕入価格の高騰などあったものの、受注残の増加に伴い稼働率が向上した影響などから、1億81百万円の赤字(前年同期は3億41百万円の赤字)となり、前年同期に比し赤字は大幅に縮小しました。
前連結会計年度から報告セグメントに追加した電気設備関連事業は、2022年1月より新たに子会社となった太陽電業株式会社における事業であり、原発における設備・放射線計測器類の保守や電気設備工事などを主に行っております。当連結会計年度におきましては、初めて事業年度を通じて連結対象となり、売上高は14億32百万円(前年同期比38.8%増)と増加し、それに伴いセグメント利益も1億75百万円(前年同期比233.5%増)と前年同期に比し増益となりました。
感染症などの感染拡大による業績への影響については、主にメンテナンス工事の現場においてクラスターが発生するなどで工事日程に影響が生じ、売上計上に時期ズレなどが生じる可能性を危惧いたしましたが、当連結会計年度におきましては、そういった重大な事象は発生しておらず、格段の影響はありませんでした。
今後も同様のリスクは続きますが、事業の性質上、工事そのものが中止になるということはほぼありません。しかし工期変更や工事現場への入場規制による効率低下などが業績にマイナス影響が出る可能性について、状況に変化は無いものと考えております。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は47億7百万円となり、前連結会計年度末に比して5億80百万円増加しました。この内訳は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
減価償却を3億68百万円実施した上で税金等調整前当期純利益を5億97百万円計上したところに、棚卸資産の増加で2億84百万円の減少がありましたが、契約負債の増加で5億円、未払消費税等の増加で3億円の増加などキャッシュ・インの要因が上回ったことから11億11百万円のキャッシュ・イン(前年同期は3億82百万円のキャッシュ・アウト)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出を中心に2億98百万円のキャッシュ・アウト(前年同期は8億6百万円のキャッシュ・アウト)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
前連結会計年度に係る期末配当及び当連結会計年度の中間配当の実施、短期借入金の減少などにより2億60百万円のキャッシュ・アウト(前年同期は2億14百万円のキャッシュ・イン)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
(1) 生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
バルブ事業(千円) |
1,876,273 |
8.0 |
製鋼事業(千円) |
1,401,793 |
2.7 |
合計(千円) |
3,278,066 |
5.7 |
(注)1.金額は製造原価によっております。
2.バルブ事業のメンテナンス等、電気設備関連事業及びその他については、事業の性格上生産実績の概念は馴染みませんので金額及び前年同期比を記載しておりません。
(2) 受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
受注高(千円) |
前年同期比(%) |
受注残高(千円) |
前年同期比(%) |
バルブ事業 |
6,285,763 |
△11.0 |
3,728,097 |
△8.2 |
製鋼事業 |
1,437,575 |
42.9 |
644,448 |
74.9 |
電気設備関連事業 |
1,666,936 |
48.3 |
326,512 |
255.7 |
その他 |
244,461 |
△9.4 |
29,316 |
△27.5 |
消去又は全社 |
△73,574 |
- |
- |
- |
合計 |
9,561,162 |
2.0 |
4,728,374 |
3.6 |
(注)金額は販売価格によっております。
(3) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
前年同期比(%) |
バルブ事業(千円) |
6,620,485 |
6.1 |
製鋼事業(千円) |
1,161,582 |
9.9 |
電気設備関連事業(千円) |
1,432,220 |
38.8 |
その他(千円) |
255,605 |
△3.6 |
消去又は全社(千円) |
△73,574 |
- |
合計(千円) |
9,396,319 |
10.4 |
(注)主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先別 |
前連結会計年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
当連結会計年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
||
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
三菱商事パワーシステムズ株式会社 |
3,162,247 |
37.1 |
3,402,173 |
36.2 |
東京パワーテクノロジー株式会社 |
771,778 |
9.1 |
1,012,637 |
10.8 |
三菱重工業株式会社 |
858,991 |
10.1 |
544,574 |
5.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の資産残高は140億65百万円となり、前連結会計年度末に比して10億91百万円増加しました。その内訳は、流動資産が98億90百万円で同8億46百万円増加し、固定資産は41億75百万円で同2億44百万円の増加となっております。
流動資産では、電子記録債権が1億70百万円減少し、現金及び預金が5億80百万円増加となっております。固定資産では、建設仮勘定が1億8百万円減少しておりますが、建物及び構築物が1億86百万円増加となっております。
(負債の部)
負債残高は40億99百万円となり、前連結会計年度末に比して4億34百万円増加しました。主な要因は、長期借入金が2億28百万円、繰延税金負債が58百万円、退職給付に係る負債が63百万円、それぞれ増加したことなどによるものです。
(純資産の部)
純資産の残高は99億65百万円で、前連結会計年度に係る株主配当金の支出、退職給付に係る調整累計額の減少を計上しましたが、当連結会計年度での親会社株主に帰属する当期純利益を計上し、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定の増加により、前連結会計年度末に比して6億57百万円増加しました。
② 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は93億96百万円となり、前連結会計年度と比べ8億82百万円増加(前年同期比10.4%増)しました。
当連結会計年度では、前連結会計年度に新たに連結の範囲に含めた太陽電業株式会社による電気設備関連事業が4億円及びバルブ事業において前連結会計年度に比べ3億78百万円、製鋼事業においても同じく1億4百万円それぞれ増加となり、前連結会計年度の売上高を大幅に上回ることとなりました。
(営業利益)
当連結会計年度の営業損益は4億76百万円の黒字(前年同期は86百万円の赤字)となりました。
当連結会計年度では、バルブ事業において前連結会計年度に比べ、原子力発電所の定期検査工事件数、再稼働前点検工事等の案件が増加したこと等で、前連結会計年度を上回る営業利益となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の営業利益に営業外損益の純額62百万円を加算し、これに特別損益の純額58百万円を加算し、次に法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を加減算した結果、4億35百万円の黒字(前年同期は60百万円の赤字)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資本の財源は、自己資金及び金融機関からの借入によっており、金融機関からの借入金については適宜に長期・短期の借入金により資金調達を行うほか、取引金融機関と特定融資枠契約、コミットメントライン契約を締結することで必要な財源の確保を図っております。
資金の流動性は、営業活動によるキャッシュ・フローを確実に獲得することを基本に、適正な投資活動と財務活動を組み合わせることで十分な流動性の確保と財務体質の健全性を維持するよう努めております。
当社グループの事業は主に完全受注生産型であることから、売上時期の偏重や製品の仕掛期間長期化による影響が、営業活動によるキャッシュ・フローの変動につながる傾向にあることから、これら事象について、キャッシュ・フローへの影響を十分に考慮した業務運営を社内に指示・徹底しております。
またこれら事象へ対応する目的も含め、取引金融機関とコミットメントライン契約を締結し、機動的な資金調達体制を維持するとともに、運転資金の効率的な運用を図っております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。詳細については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、感染症などの感染拡大による会計上の見積りへの影響については、「第5経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (追加情報)」に記載しております。
(1)業務提携援助契約
相手方の名称 |
国名 |
契約品目 |
契約締結日 |
契約内容 |
契約期間 |
HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社 |
中国 |
抽気逆止弁 鍛造玉型弁 |
2010年7月28日 |
技術的知識、情報及びノウハウの提供 |
2010年7月28日から22年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで |
HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社 |
中国 |
湿分分離加熱器逃し弁 |
2013年4月18日 |
技術的知識、情報及びノウハウの提供 |
2013年4月18日から23年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで |
HEハルビン・パワー・プラント・バルブ社 |
中国 |
原子力発電所用抽気逆止弁 |
2013年4月18日 |
技術的知識、情報及びノウハウの提供 |
2013年4月18日から22年間若しくは「製品」の製造開始年月日から20年間のどちらか早く到達した日まで |
(2)資本提携契約
契約会社名 |
契約締結日 |
契約内容 |
西華産業株式会社 |
2023年3月13日 |
弁製品及び弁部品の販売その他の事業における資本提携 |
(3)コミットメントライン契約
契約会社名 |
契約締結日 |
契約内容 |
株式会社三菱UFJ銀行 |
2018年3月30日 |
総額5億円のコミットメントライン契約による借入枠の設定 |
当社グループの研究開発活動は、顧客との対面活動を含め多角的視野を持ち深層追究することで、当社グループの目指すバルブ総合エンジニアリングサービスの高付加価値化に繋げていくことを目標にしています。各部門間の情報連携を高め、相乗効果を発揮させると同時に、当連結会計年度は研究開発を加速させ一早く具現化するためR&Dセンターを新たな組織として立上げ、新たな市場性へ新商材をリサーチし顧客ニーズの発掘と把握に努め、継続的に顧客ニーズの抽出と新商品アイデアに対する可能性評価を行い、研究開発活動を進めています。
当社グループの研究開発体制は、R&Dセンターを主体とし次世代へ向けて、新しいものづくりとサービスを追求するため、従来の技術に加え、次世代発電燃料対応バルブの開発、発電所内でのセンシング技術対応、原発廃止措置に係る技術開発、メンテナンス技術の高度化など、様々なイノベーションに本格的な取り組みを進めるため、調査と開発の二つの要素を持ち合わせ、個別な専門性が必要な際は他部門と横断的に連携が可能な組織としております。
なお、これらの成果は、主体となるR&Dセンターから定期的に関連各部門にフィードバックし、研究開発が確実に前進するようフォローできる体制としています。
さらに、研究開発が大きく現実の課題と乖離することがないように、また喫緊の課題に適切な優先順位をつけて確実に進捗・対応していくため、経営と研究開発活動の連携を常に意識し、経営から出された課題・問題点を迅速かつ確実に解決・具体化できるように選択と集中による資源の有効活用を意識しながら取り組んでいます。
以上の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は、
各セグメントにおける主な研究開発の内容は、次のとおりであります。
(バルブ事業)
1.原子力新型炉用バルブの開発
2.発電分野やそれ以外の水素関連バルブの開発
3.配管内研磨機の開発
4.手動弁取付け用デジタル開度計の開発
5.センサー等による弁状態監視装置の開発
6.廃炉金属切断装置の開発
7.弁座交換装置の開発
これらバルブ事業に係る研究開発費は、
(その他)
原子力産業基盤強化補助事業
これらその他に係る研究開発費は、5,037千円であります。