文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
当社は、「音と映像で社会を豊かに」を企業理念に掲げ、設立以来、感動を伝える音声・映像関連の独自技術の研究開発を通じて、豊かな社会の創造に貢献する企業となることをめざしております。
当社は、設立以来、主に音声・映像関連の技術を得意として研究開発を行い、「CRIWARE」として、エンターテインメント分野を中心に展開してきました。今後は、スマートフォンゲーム市場の拡大など、環境の変化に柔軟に対応していくとともに、海外市場における顧客獲得に注力いたします。
また、エンターテインメント以外の市場の開拓にも積極的に取り組み、従来の延長線上にない事業拡大を図り、収益力を高めていく方針です。これからも研究開発型の企業として新技術・新製品の開発に積極的に取り組み、グローバルスタンダードなプロダクトラインナップをめざします。
当社グループは、中長期的な事業拡大と企業価値向上をめざしており、売上高の持続的な成長と20%程度の営業利益率を重要な経営指標としております。ただし、当面はCRI TeleXusへの研究開発投資や、モビリティへのソフトウェア投資を優先して行うため、営業利益率は一時的に低下する見込みです。
当社グループを取り巻く経営環境は、技術革新のスピードが速く、最新のトレンドが目まぐるしく変化する厳しい環境です。また、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動など、わが国経済・物価を巡る不確実性はきわめて高く、予断を許さない状況が続いております。
このような環境の中、当社グループは、ゲーム事業で得られた技術やノウハウ、知見、資金を、エンタープライズ事業の研究開発や営業強化に投下することで、事業領域を拡げ、グループ全体で飛躍的な成長をめざします。また、テレウェア構想の実現のために、オンラインコミュニケーションプラットフォーム「CRI TeleXus(シーアールアイ テレクサス)」への技術開発投資を継続するとともに、将来の事業の柱として期待する「モビリティビジネス」に対しても技術開発投資を継続いたします。
セグメント別には、次の課題に取り組みます。
① ゲーム事業
オンラインコミュニケーションプラットフォーム「CRI TeleXus(シーアールアイ テレクサス)」への技術開発投資を継続するとともに、採用実績を積み上げ、CRI TeleXusの品質や性能をアピールいたします。また、CRIWAREについては、マルチプラットフォーム・マルチエンジンの全方位戦略を継続するとともに、CRIWAREユーザー拡大に向けて、業界内コミュニティの形成や認知度向上に改めて注力いたします。
海外向けは、新作ゲームの認可再開やロックダウン解除により復調しつつある中国市場に引き続き注力し、現地子会社と連携した販促強化により受注拡大を目論見ます。
② エンタープライズ事業
組込み分野につきましては、引き続きカラオケ案件に注力するととともに、新製品となる音の1チップソリューション「CRI SOLIDAS(シーアールアイ ソリダス)」の拡販に努めます。
モビリティ分野につきましては、新製品「CRI Glassco(シーアールアイ グラスコ)」への開発投資を継続いたします。また、「CRI ADX Automotive(シーアールアイ エーディーエックス オートモーティブ)」の量産車両への更なる採用拡大を目論見ます。
クラウドソリューション分野につきましては、引き続きWeb動画ソリューション及びWeb画像軽量化ソリューションの拡販を進めます。加えて、これまで培ってきたネットワーク技術を活かし、大規模開発案件を受託し、当社の技術力の高さをアピールします。
当社グループのサステナビリティに関する考え方および取組は、次の通りです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1) サステナビリティの基本方針と取組み
当社は音と映像で社会を豊かにという企業理念のもと、主に音声・映像関連の研究開発を行い、その成果であるミドルウェア製品ブランド「CRIWARE」を様々な分野へ展開してまいりました。従来のゲーム分野で培った経験を基にモビリティやTeleXusに事業拡大を推進しておりますが、この取組を通じて、持続可能な社会の実現に貢献したいと考えております。
また、そのような事業展開を継続・加速させていくためには、多様な人材の活躍支援、社員の能力発揮を後押しする学びの支援、安心して長く活躍できる基盤作り等を通して、社会やお客様への価値提供の源泉である人材の活躍を支援することが肝要であると考えております。
(2) 事業活動を通じた持続可能な社会の実現に対する取組み
当社は注力分野であるモビリティ分野において、CRI ADX Automotive®、CRI D-Amp Driver®、CRI SOLIDAS™などの当社製品を他社製品に採用していただくことを通じて持続可能な社会の実現に資する製品の提供を進めております。
①ガバナンス
サステナビリティに関する方針や計画については、業務改革委員会の中に設けられたサステナビリティ分科会にて議論を行い、適時に定時取締役会や業務改革委員会に報告を実施しております。
②戦略
自動車向けの「CRI ADX® Automotive」は、自動車に関するサウンド(メロディ音や音声ガイド)の開発を支援するソリューションです。サウンド出力においては内包するソフトウェア「CRI D-Amp Driver®」を使うことで、音声ICハードウェア部品を削減可能です。これにより採用製品の小型化、手配部品・保守部品の削減に貢献し、限られた地球資源を有効に活用することにつながります。
「CRI SOLIDAS™」ではD-Amp Driver®をさらに発展させました。SOLIDASはサウンド出力に加えて、サウンド入力、音声信号処理(ノイズキャンセル、エコーキャンセル、イコライザーなど)も内包した新世代のフルデジタルオーディオ用ソリューションです。サウンドに関わる機能を多く内包することで、さらに製品の小型化や部品点数の削減に貢献いたします。
③リスク管理
リスク管理については、年1回の事業計画立案時、並びに必要性に応じて社長によるレビューを行い、サステナビリティに関わる潜在的なリスクや機会を特定し、適切な対策を講じます。
CRI ADX Automotive®、CRI D-Amp Driver®、CRI SOLIDAS™の売上高を着実に成長させることで持続可能な社会の実現を目指します。(23期実績186百万円、24期予算260百万円)
(3)人的資本に対する取組み
当社における、主な人材の活躍支援に対する考え方および取組は以下の通りです。
・多様な優秀人材の獲得
当社では、新卒・中途問わず社会やお客様への価値提供の源泉となる優秀な人材の獲得を実施しております。また、選考において、性別等のあらゆる属性を問わず積極的に採用しており、その方針を今後も継続してまいります。
・社員の能力発揮を後押しする学びの支援
当社では、入社後に実施する新入社員研修、昇格者を対象とした階層別研修、社内有志で実施のライトニングトークの場に加え、前期よりE-learning研修導入を行いました。その他、社員が「やりたい!」と自主的に考えたアイディアを発表するチャレンジ奨励制度や従業員が自ら学ぶ姿勢を奨励し、能力開発を支援することを目的とする資格取得手当の支給等の制度も具備しております。このような学びの支援を通じて、多様な人材の活躍を後押ししております。
・安心して長く活躍できる基盤作り
当社では、あらゆる属性を問わず、優秀な人材がそれぞれのライフステージの変化に対して柔軟に安心して活躍できるよう、年間5日を上限に取得できる時間単位の年次有給休暇制度、小学校卒業まで利用できる育児短時間勤務制度や出産・育児休業取得制度などの整備及び活用支援を行っております。
②指標および目標
上記で記載した基本方針・戦略(人的資本について)に則り、人材の多様性を含む人材の育成に関する方針、社内環境整備に関する方針に係る指標として次の指標を用いております。
当該指標に関する目標および実績は、次の通りです。
※当社グループでは、上記において記載した方針および指標については、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに、具体的な取組が行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われていないため、連結グループにおける記載が困難です。このため、上記の指標に関する目標および実績は、連結グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。今後についてはグループ会社への適用拡大を検討する予定です。
以下において、当社グループの事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を記載しております。また、必ずしも事業上のリスクとはいえない内容についても、投資家の投資判断において重要と考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から開示いたします。
なお、当社グループはこれらのリスクが発生する可能性を十分認識した上で、発生の回避や、万が一発生した場合の対応に努める方針でありますが、当社株式に対する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を慎重に検討された上で行われる必要があります。また、本項の記載内容は、当社グループの事業もしくは当社株式への投資に関するリスクのすべてを網羅するものではありません。
なお、本項における記載事項は、当連結会計年度末現在における当社の認識を基に記載したものであり、将来の環境の変化等によって、本項の認識が変化する可能性があります。
① 株式会社セガとの関係について
セガサミーホールディングス株式会社の子会社である株式会社セガは、ゲーム関連コンテンツの企画・開発・販売事業等で世界展開しており、当社グループの重要な顧客の1社であります。また、当社設立時の親会社であり、役員の派遣等の人的関係はありませんが、現在も大株主であります。今後、株式会社セガが何らかの理由によって当社製品の採用方針を変更した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
② 事業内容に関するリスクについて
a. 当社のゲーム向け音声・映像関連製品は、国内市場においては、これまでの導入実績やサポートノウハウ、顧客との信頼関係が構築されていることから、他社の競合製品より優位性があると考えており、安定的な収益基盤となっております。また、他社が優位性の高い製品や当社製品の代替となり得る技術を市場投入した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
b. 当社のモビリティ市場向け事業は、体制を強化し、将来の中核事業として育てるための開発投資を継続実施しております。今後、主要顧客との取引関係や自動車業界の動向に変化が生じた場合や当社技術、製品が組み込まれた部品やシステム等において当社起因による不具合が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
c. 当社のCRI TeleXusは、映像や音声、情報をリアルタイムに送受信するプラットフォームとして、技術開発投資を継続実施しております。今後、予期できない各国の法令・規制等の制定、強化によって、製品仕様に多大な変更を行う必要が生じた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 海外事業に関するリスクについて
当社グループでは、現在、ゲーム関連市場の拡大が期待される中国を中心に海外事業を展開しております。海外での事業活動におきましては、予期し得ない政策、法制度および許認可制度等の変更、経済情勢の悪化や日本との関係の悪化等の社会環境の変化、テロ・戦争の発生等の影響、感染症の流行による社会的混乱等のリスクが潜在しており、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ サイバー攻撃に関するリスクについて
当社グループは、顧客・取引先等の機密情報や個人情報、自社技術に関する知的財産等を保有しております。当社グループでは、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)を認証取得するとともに、これらの情報の外部への不正な流出、漏洩を防止するために、社内研修を通じた社員への啓蒙活動を継続的に実施するなどの施策を講じております。しかしながら、サイバー攻撃、不正アクセス、コンピューターウイルスの侵入等により、当社グループが保有する機密情報や個人情報、自社技術に関する知的財産等が外部へ流出、漏洩した場合等には、損害賠償請求等が発生するリスクや、信用が失墜するリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 会社組織のリスクについて
当社グループの製品開発は高い技術力が必要となるため、優秀なエンジニアを採用して、育成することが重要な課題であります。そのため当社グループでは、高い資質を持つ人材を採用するために、働く環境や処遇面の改善に取り組んでおりますが、今後、人材の獲得競争が激化する等により、エンジニア採用に支障が生じたり、離職者が著しく増加した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 投資リスクについて
当社グループは、M&Aや資本業務提携による積極的な事業拡大を推進しております。投資対象の検討は慎重に行っておりますが、投資後、計画通りに進まない場合には、投資有価証券評価損が発生し、当社グループの業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ その他
a. ストックオプション及び第三者割当新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を高めることを目的に、会社法の規定に従ってストックオプションとして、2018年2月15日に第5回新株予約権(2018年1月18日開催の取締役会決議)を発行しております。また、第三者割当新株予約権として、2021年1月12日に第4回無担保転換社債型新株予約権付社債(2020年12月24日開催の取締役会決議)を発行しております。2023年9月末日現在、新株予約権の潜在株式数の合計は698,137株であり、発行済株式総数5,578,150株の12.5%に相当します。
これらが行使された場合、当社株式価値の希薄化や株式売買の需給への影響をもたらし、当社グループの株価形成に影響を及ぼす可能性があります。
b. 特許など知的財産や訴訟に関するリスクについて
当社は製品開発を通じて多くの技術やノウハウを蓄積し、その性質に応じて特許権の取得や営業秘密による秘匿化を適宜行っております。しかしながら、当社の事業分野で第三者による知的財産権が成立する等により、当社が意図せず第三者の知的財産権を侵害、訴訟対象となった場合には、損害賠償請求等が発生するリスクや、信用が失墜するリスクがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、海外経済の回復ペース鈍化の影響を受けつつも、企業収益は全体として高水準で推移し、業況感は緩やかに改善しており、景気は緩やかに回復しております。
当社グループを取り巻く事業環境については、新型コロナウイルス感染症の影響が和らぎ、働き方がテレワークから出社中心に戻る動きも一部見られるものの、コロナ禍を契機として普及したテレワークは、新たな働き方として認識されつつあり、ボイスチャットやWeb会議ツールなどオンラインコミュニケーションツールの活用は常態化しております。また、メタバースと呼ばれる仮想空間の熱狂的なブームは落ち着いたものの、メタバースの活用を真剣に検討してきた事業者にとって、ビジネス展開を加速するための環境が整い、今後メタバースを次世代プラットフォームとして活用する機会が増えるものと予想されます。
これらの状況下、当社グループは、オンラインコミュニケーションプラットフォーム「CRI TeleXus(シーアールアイ テレクサス)」の開発を行うとともに、今後成長が見込める事業、市場を見据えた研究開発体制を整備し、事業基盤の拡大、グループシナジーの創出に注力いたしました。
当連結会計年度の業績は、売上高2,990,991千円(前期比5.3%増)、営業利益344,882千円(前期比254.0%増)、経常利益379,259千円(前期比173.8%増)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、特別損失の計上により232,583千円(前期は339,600千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
セグメント毎の経営成績は、次のとおりであります。
(ゲーム事業)
当社製ミドルウェア「CRIWARE(シーアールアイウェア)」等の国内ライセンス売上は、第3四半期において複数の一括ライセンス契約の受注したことにより、増加いたしました。一方、海外向けは、中国において新型コロナウイルス感染症の影響で停滞していたライセンス売上が第3四半期より回復に転じたものの、これまでのマイナス分を補うまでには至らず、減少いたしました。株式会社ツーファイブが行う音響制作は、音声収録業務が堅調に推移いたしました。株式会社アールフォース・エンターテインメントが行うゲーム開発/運営の売上は、第2四半期で終了した開発案件に代わる大型の新規案件を獲得できず、減少いたしました。当セグメントの売上高は1,971,809千円(前期比8.9%減)、セグメント利益は184,970千円(前期比20.3%増)となりました。
(エンタープライズ事業)
組込み分野の売上は、カラオケ案件の受注が好調に推移し、増加いたしました。また、モビリティについても、ADX-AT(サウンド開発ソリューション)の採用台数が大幅に増加したことによりライセンス収入が伸長し、増加いたしました。新規分野の売上は、CEDECなどのカンファレンスシステム開発案件を複数受注し、増加いたしました。また、特定顧客からの公共系システム開発案件が堅調に推移したことに加え、第3四半期で新たに電子玩具向けシステム開発案件を受注したことにより、増加いたしました。当セグメントの売上高は1,019,182千円(前期比50.6%増)、セグメント利益は159,912千円(前期は56,338千円のセグメント損失)となりました。
(資産の部)
当連結会計年度の資産の部は、前連結会計年度末に比べて142,384千円増加し、5,159,044千円となりました。これは主に、「現金及び預金」の増加(前連結会計年度末に比べて74,533千円の増加)、「売掛金及び契約資産」の増加(前連結会計年度末に比べて46,118千円の増加)及び「有価証券」の増加(前連結会計年度末に比べて100,198千円の増加)並びに「無形固定資産」の増加(前連結会計年度末に比べて45,060千円の増加)があった一方、「有形固定資産」の減少(前連結会計年度末に比べて16,295千円の減少)及び「投資その他の資産」の減少(前連結会計年度末に比べて105,542千円の減少)によるものであります。
(負債の部)
当連結会計年度の負債の部は、前連結会計年度末に比べて128,128千円増加し、1,608,575千円となりました。これは主に、「その他流動負債」の増加(前連結会計年度末に比べて131,801千円の増加)及び「未払法人税等」の増加(前連結会計年度末に比べて16,232千円の増加)があった一方、「買掛金」の減少(前連結会計年度末に比べて22,228千円の減少)によるものであります。
(純資産の部)
当連結会計年度の純資産の部は、前連結会計年度末に比べて14,256千円増加し、3,550,469千円となりました。これは主に、「親会社株主に帰属する当期純利益」の計上による「利益剰余金」の増加(前連結会計年度末に比べて232,583千円の増加)があった一方、「自己株式」の取得による減少(前連結会計年度末に比べて215,364千円の減少)及び「為替換算調整勘定」の減少(前連結会計年度末に比べて2,659千円の減少)によるものであります。
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末に比べ73,313千円増加し、3,391,081千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は495,423千円(前連結会計年度は23,320千円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上298,461千円、減価償却費の計上119,886千円及び子会社株式売却損の計上80,797千円並びに未払消費税等の増加額82,291千円の資金の増加要因があった一方、売上債権の増加額99,855千円及び法人税等の納付額56,571千円の資金の減少要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により使用した資金は209,431千円(前連結会計年度は527,021千円の支出)となりました。これは主に、敷金及び保証金の返還による収入7,005千円の資金の増加要因があった一方、無形固定資産の取得による支出153,189千円及び連結の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出51,212千円の資金の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により支出した資金は215,382千円(前連結会計年度は97,013千円の支出)となりました。これは主に、自己株式の取得による支出215,945千円の資金の減少要因があったことによるものであります。
当連結会計年度の当社グループに係る生産、受注及び販売の実績は次のとおりであります。
なお、当社グループは、ミドルウェア使用許諾及びサポートによる売上が主でありますが、生産、受注という概念と馴染まないため、下記、生産実績及び受注状況の表については受託売上について記載しております。
当連結会計年度の生産実績を分野ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 金額は販売価格によっております。
当連結会計年度の受注状況を分野ごとに示すと、次のとおりであります。
当連結会計年度の販売実績を分野ごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般的に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(売上高)
ゲーム事業においては、複数のミドルウェア一括ライセンス契約の受注にかかる売上計上、音声収録業務の堅調な推移があったものの、新規ゲーム開発案件の不足や、中国での新型コロナウイルス感染症の影響によるマイナス分を補いきれず減収となりました。エンタープライズ事業においては、モビリティのライセンス売上の大幅な増加、カラオケ案件及びシステム開発案件における複数の受注獲得によって増収となりました。その結果、売上高は2,990,991千円(前連結会計年度比5.3%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
売上原価は1,258,372千円(前連結会計年度比15.7%減)となりました。これは主に、新規ゲーム開発案件の不足により売上が減収したことに伴う人件費及び外注費の減少並びに、研究開発活動の増加によるものであります。この結果、売上総利益は1,732,619千円(前連結会計年度比28.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は1,387,736千円(前連結会計年度比11.0%増)となりました。これは主に、人件費の増加及び研究開発費の増加によるものであります。なお、当連結会計年度における研究開発費は189,397千円(前連結会計年度比146.1%増)となりました。この結果、営業利益は344,882千円(前連結会計年度比254.0%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は、主として役員退職慰労引当金戻入額の計上、受取配当金及び補助金収入等により40,041千円(前連結会計年度比15.5%減)となり、営業外費用は、主として為替差損等により5,664千円(前連結会計年度比10.5%減)となり、この結果、経常利益は379,259千円(前連結会計年度比173.8%増)となりました。
(特別損失及び税金等調整前当期純損益)
特別損失は、関係会社株式売却損により80,797千円(前連結会計年度比82.2%減)となり、この結果、税金等調整前当期純利益は298,461千円(前連結会計年度は314,937千円の税金等調整前当期純損失)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純損益)
税金費用は、67,853千円(前連結会計年度比215.9%増)となり、この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は232,583千円(前連結会計年度は339,600千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
当社グループにおける中長期的な事業拡大と企業価値向上のために必要な資金需要の主なものは、人件費等の原価、販売費及び一般管理費の営業費用及び研究開発費であり、自己資金により賄っております。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの主な増減要因につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」欄に記載のとおりであります。
当社グループは、中長期的な事業拡大と企業価値向上をめざしており、売上高の持続的な成長と20%程度の営業利益率を重要な経営指標としております。
当連結会計年度は、売上高2,990,991千円(前期比5.3%増)、営業利益344,882千円(営業利益率11.5%)となりました。子会社とエンタープライズ事業の収益改善を成し遂げたことにより、期初に掲げた目標「V字回復」を達成し、営業利益率は大きく改善いたしました。ただし、当面はCRI TeleXusへの研究開発投資や、モビリティへのソフトウェア投資を優先して行うため、営業利益率は20%には達しない見込みです。
販売等の契約
研究開発をベースに許諾製品を開発することが当社の主要ビジネスであるため、新技術の検証や研究には柔軟に工数を割りあてております。
音声・映像・画像分野の最新技術動向を把握しつつ、実際の開発環境やユーザー環境に適用できるようなテーマの研究開発を行っております。
また、顧客や見込み顧客と接する中で、必要とされる技術、必要とされそうな技術テーマについて取り組んでおります。
音声・映像・画像にかかわる技術を核として、ゲーム向けや、ネットワーク通信関連の研究開発を進めております。
既に提供中のツール・ミドルウェアについても、新規プラットフォームの対応や、機種固有機能の活用などの研究開発を行っております。
各開発チームが担当する顧客分野において、必要とされる技術を中心に開発本部長が方針を決定し、研究開発を進めております。開発チーム間での情報共有を行い、研究成果は他分野への活用も模索いたします。製品化の目途が立った段階で、経営判断を行い製品開発にシフトいたします。また、研究開発の後に顧客との受託契約を締結し、受託開発に移行する場合もあります。
音声関連技術については、組込み分野向けの製品として、汎用のICチップに音声処理のソフトウェアを搭載した「CRI SOLIDAS」を発表いたしました。
画像関連技術については、画像最適化ツール「OPTPiX ImageStudio」の超解像機能を強化し、ハイブリッドエンジンによる画像の質感とシャープな輪郭線を両立させる機能を搭載いたしました。
なお、当連結会計年度の研究開発費総額は、