文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「不動産の賃貸料から生成されるマリオンのサービスを以て、年金・医療・介護・環境のサプリメントとなし、皆様に夢のある快適な老後と幸せをお届けすること」を経営理念に掲げております。また、「不動産のサービスで、サステナブルな社会に貢献する」ことを中期経営計画におけるビジョンとして掲げております。
この経営理念を具体化するため、リスクの適切な制御のもと、居住用を中心とした賃貸不動産による安定的な事業基盤を確保するとともに、不動産賃貸事業の基盤に基づく経営理念を具現化する不動産証券化商品を生成し、かかる住に関連したサービスを通じて社会に貢献することにより当社の企業価値を高め、ステークホルダー各位の期待に応えてまいります。
(2)目標とする経営指標
不動産市況等のリスクを適切に制御しつつ、不動産賃貸事業および不動産証券化商品の組成・販売による安定成長を目指していくことを基本方針に、財務指標としては売上高経常利益率の水準と推移を、業務指標としては入居率の推移を重視しております。
(3)経営環境
2023年の基準地価は住宅地や商業地など全用途の全国平均が2年連続で上昇いたしました。
また、円安基調の継続等を受けた海外の金融緩和マネーの流入や建設工事費の高止まりにより不動産売買価格が高値圏で推移していることから、賃貸不動産の投資利回りは首都圏を中心に低下が著しく、賃貸不動産の仕入れにあたっては、収益性と不動産市況リスクの見極めが一層重要になる局面にあるものと考えられます。
当社が許可を有する不特法関連では、国土交通省が2016年3月に取り纏めた「不動産投資市場の成長戦略~2020年に向けた成長目標と具体的取組」の中で、不特法の事業については、投資家保護とのバランスを斟酌しつつ、既存の枠組みについて必要な検討を行い、事業の充実を図る必要があるとされ、2017年6月2日に公布された改正不特法において、一連の取引を電磁的に完結するクラウドファンディング対応に係る改正が盛り込まれ、2017年12月1日に施行、2019年4月15日に関連施行規則の改正が実施されております。
かかる中、当社は、施行規則改正日同日付にて、電磁取引を含む改正不特法に基づく金融庁長官・国土交通大臣許可を取得し、改正不特法に基づくクラウドファンディング業務運営の体制を整備いたしました。
(4)中長期的な経営戦略
当社といたしましては、これらの状況を踏まえまして、以下のとおり考えております。
①不動産賃貸サービス
当社事業の基盤を構成する不動産賃貸サービスについては、相対的に入居率変動リスクが少なく、底堅い需要が期待される居住者向け賃貸不動産、中でも単身者向けを中心に事業を展開いたしております。
当事業年度末現在、当社の賃貸業務の比較優位性のひとつである地方公共団体等は首都圏における当社賃貸顧客の31.9%を占め、安定的な賃貸顧客基盤の維持拡大など、既存所有賃貸不動産の入居率の維持・安定・改善施策の着実な実施につとめることにより、ストック収益の安定的な確保を図ってまいります。
投資利回りの低下、不動産市況リスクの増大を踏まえて、新規賃貸不動産仕入れについては慎重検討を基本としつつ、利回りの低下は特に首都圏において顕著であることから、首都圏以外の政令指定都市における仕入れ機会を引き続き追求し、賃貸業務基盤の拡充と、新規不動産証券化案件の組成につなげてまいります。
②不動産証券化サービス
不特法に基づく当社の不動産証券化商品は、当事業年度末現在当社総負債の31.4%、当事業年度売上高に占める対象賃貸不動産の賃貸売上比率が19.0%を構成するなど、当社事業において重要な位置付けにあるほか、不動産業界向けの金融機関の融資姿勢の後退時など金融環境が難しい状況下にあっても、投資家の皆様からの直接の資金調達に基づく賃貸不動産の仕入れを可能とし、当社賃貸不動産ポートフォリオ構築において大きな役割を果たしてまいりました。
不動産売買価格が高騰し、賃貸不動産購入に対する金融機関の融資姿勢の厳格化が懸念されるなか、証券化商品についての投資家の皆様との関係の維持発展に努めるとともに、新たに取得した電磁的取引に関する改正不特法許可に基づく不動産クラウドファンディング型証券化商品の展開を進めることにより、当該分野における当社の優位性を維持強化してまいります。
③不動産売買
当社は、賃貸・証券化業務のライフサイクルの一環として、含み益の実現益への転換による投資収益の確定の手段として賃貸不動産の売却を行います。また、長期所有および新規不動産証券化の対象賃貸不動産の仕入れ、既存ポートフォリオの入れ替え等の目的で、賃貸不動産の購入を実施いたします。
不動産市況の状況を踏まえ、所有賃貸不動産の売却については、所有賃貸不動産にかかる含み益の実現益への転換に向けての取り組みの一環として引き続き時宜を捉えた対応を行う一方、賃貸不動産の購入については、当面の方針としては、案件の選別、利回りの検討等において慎重な対応を基本としつつ、仕入れ好適時期の到来に向けての時宜を得た対応を可能とする体制の整備を進める方針であります。
(5)会社の対処すべき課題
このような経営環境の下、株主をはじめ、賃貸顧客、投資家の皆様などの利害関係者各位の期待に応え、当社が持続的な成長を実現し株主価値を高めるために優先的に対処すべき課題として、以下を認識しております。
①賃貸不動産仕入れ力の持続的強化と査定力の一段の強化
不動産賃貸事業基盤の持続的拡大を実現するとともに、安定的かつ継続的に不動産証券化サービスを提供していくためには、優良不動産の仕入れを安定的に実現していくことが課題であります。
現下の市場環境においては、優良不動産の価格は高止まりの状況にあり、投資利回りが低下していることから、不動産の仕入れについてはリスク分析に基づく選別を強化するとともに、首都圏ならびに政令指定都市における優良不動産の情報収集力、価値査定力の継続的強化を図っていく方針であります。
②保有賃貸不動産の収益力・競争力の維持向上
安定的な収益基盤を確保するためには、保有不動産を競争力のあるものに維持し向上させていくことが課題であります。そのため、計画的な修繕の実施や賃貸顧客のニーズが高い設備の導入等の取り組みにより、保有不動産の収益力・競争力の維持向上を図っております。
③資金調達基盤の維持拡大
金融機関及び不特法に基づく匿名組合出資調達基盤の維持・拡大・選択肢の多様化が課題であります。そのため、金融市場の動向を注視し、資金調達環境の変化の捕捉につとめるとともに、金融機関、証券化商品のお客様との関係の維持向上を図っております。
④不動産証券化商品対象物件の品質の維持向上
不動産証券化サービスの提供においては、安定的な賃貸収益基盤に基づく優良運用商品を投資家の皆様に継続的に提供することが求められ、不動産証券化商品対象賃貸不動産の高い品質を維持することが課題であります。このため、計画的な修繕や保有賃貸不動産の入れ替えを行う等、保有不動産のきめ細かな管理と品質の継続的な維持向上を図っております。
⑤内部統制とコーポレート・ガバナンスの強化
経営の透明性を確保し、持続的な成長を実現するためには、適正な内部統制環境の整備と、コーポレート・ガバナンスの不断の強化が継続的な課題であります。そのため、組織体制の整備、内部管理体制の継続的な強化を図るとともに、2015年に監査等委員会設置会社に移行し、全役員9名のうち、2名の社外取締役監査等委員、2名の社外取締役を配し、社外取締役による牽制のもとでの事業運営を行っております。
また、当社は、宅地建物取引業法、不特法をはじめとする各種法規制等のもとで事業を行っております。そのため、コンプライアンスを重視した企業経営を推進し、高い倫理観と社会的良識を持った事業運営を進めております。
⑥人財の育成と確保
適正なコーポレート・ガバナンス体制のもとで組織的な事業運営を行い、当社の成長を実現するためには、各種施策を組織のもとで適切に遂行できる人財(注)の育成と確保が課題であります。そのため、人事基本方針の策定をはじめとした人財戦略を経営戦略の重要課題と位置づけ、人財の育成と確保に向けた施策を実施しております。
(注)当社では従業員を会社の財産と捉えて「人財」という表現を用いております。
⑦商品力及びサービス内容の継続的強化と拡充
不特法の改正(2017年6月2日「不動産特定共同事業法の一部を改正する法律(平成29年法律第46号)」公布、2017年12月1日施行、2019年4月15日関連施行規則実施)に伴い、クラウドファンディングの進展への対応を可能とするため、従来書面での締結が要件とされていた不動産証券化商品の契約についても、電磁的方法が認められることとなりました。
当社は、改正不特法施行規則実施当日に、改正不特法に基づく金融庁長官・国土交通大臣許可を取得し、同許可に基づく新規不動産証券化商品i-Bondのサービス提供を開始いたしました。
不動産分野におけるクラウドファンディングの一段の進展を展望し、商品力およびサービス内容の継続的強化と拡充に向けた諸施策を講じてまいります。
⑧情報開示体制の強化
当社の不動産証券化商品について、お客様が有用な運用商品と認識して出資を実行・継続するためには、不動産証券化対象の各賃貸不動産の運用状況についての適切な情報開示を行い、当社及び当社商品に対する信頼を醸成・維持・向上することが課題となります。
当社は、ウェブページ上で、不動産証券化商品対象賃貸不動産の入居・収入状況等を月次で開示しており、お客様が各人の投資資産の状況を検索できる機能を提供しております。不特法改正を受けたクラウドファンディングの一段の進展も踏まえて、システム対応の一段の強化等の施策を実施し、適切な開示と利便性の向上に努めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方および取り組みは、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)基本的な考え方
当社は、環境への取り組みを企業価値向上のための経営課題と位置づけ、2008年12月、ISO14001(環境マネジメントシステム)認証を取得し、以降当該認証に基づく施策の推進主体としてISO委員会を設置・運営してまいりました。
2021年1月、気候変動を含む当社サステナビリティ課題への取り組みを全社的に推進すべく、ISO委員会を発展的に改組しサステナビリティ委員会とし、更に、取締役会決議に基づき、2021年11月以降、経営企画担当取締役を委員長とする組織規程に定める組織体として位置づけ、サステナビリティに関するリスクおよび機会の評価、基本方針の策定、重要課題(マテリアリティ)の特定等を推進しております。
当社のサステナビリティ基本方針は以下のとおりであります。
「私たちは、人間愛に基づいて行動します」「私たちは、不動産の賃貸料から生成されるマリオンのサービスを以て、年金・医療・介護・環境のサプリメントとなし、皆様に夢のある快適な老後と幸せをお届けます」という企業理念のもと、サステナビリティ経営に取り組み、不動産領域での事業活動を通じて持続可能な社会の実現と企業価値の向上を目指してまいります。
1.環境問題への取り組み
私たちは、本業である不動産賃貸関連サービスを通じて、環境問題の解決に向けて「使用電力の削減を始めとする省エネルギー・環境負荷の低減等」に取り組みます。
2.安心安全な暮らしと社会貢献の実現
私たちは、事業活動において「自然災害」に対する防災への取り組みを強化します。また、「ダイバーシティ(多様性)」においては、社会のニーズや社会問題の解決に向けて積極的に取り組み、新たな価値を創造しサステナブルな成長を目指します。
3.個性豊かな人財の育成と安全で快適な職場環境の実現
私たちは、魅力ある人財を確保し、個性を尊重した育成を行います。また、職場環境の快適性を目指し、従業員に対して機会均等や多様性に配慮します。
4.積極的な対話と強固な信頼関係の構築
私たちは、すべてのステークホルダーとの対話を重視します。またステークホルダー と会社間相互で重要課題を共有し、一体となり課題解決に取り組みその進捗状況も開示します。
(2)ガバナンス
サステナビリティ課題への取組を推進する主体としてサステナビリティ委員会を設置し、取締役会決議の下、これを当社組織規程に定める組織体と位置づけております。サステナビリティ委員会を主体としてサステナビリティ基本方針の策定、マテリアリティの特定等を行い、策定した基本方針・特定した重要課題を取締役会に報告しております。
マテリアリティについては、サステナビリティ委員会の統括のもと関係各部署がこれを推進し、マテリアリティへの対応状況等につき、1年一回を目処に、サステナビリティ委員会から取締役会に報告しております。
(3)戦略
サステナビリティ基本方針に基づき、以下のマテリアリティ(重要課題)を特定し、当該課題の実現に向けた施策を推進いたします。
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ESG |
重要課題 |
具体的施策 |
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E(環境) |
1.持続可能な環境への貢献 |
・電子ブレーカー導入による使用電力の削減 ・置き配サービス、宅配ボックスによる再配達減 ・防災グッズの無料配布による災害への備え ・電動マイクロモビリティポート設置による脱炭素化 ・緑化とLED設置の推進 |
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S(社会) |
2.保有不動産を通じた多様な社会への貢献 |
・一般財団法人マリオン財団(現「公益財団法人マリオン財団」)への支援 (児童愛護施設に対する助成事業への協力) ・ESG投資型(ZEHBOND/グリーンBOND/ヘルスケアBOND/地方再生BOND)ボンドの組成・販売 ・国際署名キャンペーン(Equality Act Japan)による「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」に賛同と不平等根絶の実践 |
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3.ステークホルダーへの責任 |
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4.魅力ある職場の実現 |
・積極的な人財の確保と育成 ・従業員の健康と職場環境の快適性の整備 |
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G(ガバナンス) |
5.健全な成長を実現する事業活動の推進 |
・内部統制の強化 ・リスクマネジメントの推進 ・株主・投資家との対話。情報開示 |
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6.適時開示の実践 |
当社は、人財の育成を経営の重要課題と位置づけ、人事基本方針を定め、当該基本方針のもと、人事評価制度、研修体制、OJT推進、自己啓発支援などの人材育成施策を推進しております。
人事評価においては、個人目標管理(Management by Objectives)、職務評価、能力評価からなる評価制度を運営するほか、各部の年次経営計画においても、人財育成に関する施策を盛り込むことを必須としております。
また、Equalty Act Japanによる「ビジネスによるLGBT平等サポート宣言」に賛同し、従業員の個性の尊重、多様性の確保を人事運営の基本方針としております。
職場環境の整備についても重要施策とし、時差勤務、リモートワーク、時短勤務等の柔軟な勤務態様、超過勤務の抑制など、従業員の個々の状況に応じた快適な職場環境の整備を心掛けております。
これら施策については、サステナビリティに関するマテリアリティの項目として明確に位置づけ、対外的に公表しております。
(4)リスク管理
サステナビリティ関連のリスクおよび機会の評価については、サステナビリティ委員会を中心に各部署を対象にこれを実施しております。
サステナビリティ関連のリスクおよび機会は、基本的に事業のリスクおよび機会の要素を構成するものであることから、サステナビリティ関連を含むリスク管理全般についてコンプライアンス・リスク委員会が管理統括を行っております。
サステナビリティ関連のリスクを含む当社事業等のリスクについては、「
(5)指標及び目標
当社は、サステナビリティに関するマテリアリティに定めた具体的施策のうち、環境に関する諸施策については、気候変動課題に関する当社施策の達成目標を示すものとして、2026年9月末までの達成目標を以下のとおり定め、中期経営計画にこれを明示し公表しております。進捗状況についてはサステナビリティ委員会にて管理し、定期的に取締役会に報告することとしております。
電子ブレーカー:70%
LED:70%
緑化:30%
太陽光パネル:30%
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)事業を取り巻く経営環境に関するリスク
①不動産市況の動向について
当社が属する不動産業界は、景気動向、金利動向、地価動向、金融機関の貸出姿勢、税制改正等の経済市況や人口動態変化の影響を受けやすく、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は、賃貸不動産の仕入れの時期・エリア・規模等の選定、保有不動産の売却時期・金額等の判断、不動産証券化商品組成に係る分配率の設定等にあたっては、景気動向、市場環境、不動産市況等の動向を慎重に見極めて運営しておりますが、当該リスクは当社のリスク管理施策によって完全に排除できる性格のものではないことから、市場の急変等の場合においては、時期・規模に応じた影響度をもって顕在化する可能性があると認識しております。
②競合について
当社が属する不動産業界には、大手企業やJ-REITを含む事業者が多数存在しており、優良賃貸不動産の仕入れ等において事業者間での競合が存在します。事業者間での競合は、賃貸不動産の投資利回りの悪化を招き、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は、売却賃貸不動産情報の早期入手、直接取引の推進、個別賃貸不動産の競合状況の精査等のきめ細かな仕入れ施策により、競合リスクの影響度の軽減を図っておりますが、競合リスクは事業運営に内在するリスクであり完全な排除は困難であることから、事業運営の過程で日常的に顕在化する可能性があります。顕在化した場合の影響度は、顕在化の時期、その態様により変動するため確定的な見積もりを行うことは困難ですが、通常の事業運営における競合リスクについては、その影響は当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの通常の変動の範囲内にとどまるものと認識しております。
また、不特法の許可に基づき当社が取り扱う不動産証券化業務については、許可を要することから相応の参入制限が存在するものの、大手企業をはじめ他の事業者も事業に参画しており、他の事業者または他の事業者の扱う商品に関する事象・風評等が、不特法に基づく商品設計、コストおよび信頼性一般に影響を与え、それが当社の扱う商品の設計、コスト、販売等に波及する可能性があります。
当社は不特法に関する他社動向等を緊密にモニターすることで、かかる事象の顕在化リスクの早期把握につとめておりますが、かかる他社に関する風評等の波及リスクは、当社独自で軽減・排除できる性格のものではないことから、顕在化の時期・影響度について確定的な予測を行うことは困難であると認識しております。
(2)当社の業態に関するリスク
①販売に関するリスク
a.不動産賃貸業に関するリスク
当社は入居率の変動リスク分散が可能な居住者向け賃貸不動産を中心に不動産賃貸業を行っておりますが、2023年9月末現在、賃貸不動産の賃貸売上の17.7%を店舗・事務所が占めており、かかる店舗・事務所関連の大口賃借人の退去があった場合には、リスク分散が相対的に難しいことから、当社の経営成績に影響を与える可能性があります。
当社は、退去リスクは不動産賃貸業に固有の日常的な業務運営上のリスクとして捉え、各賃貸借契約の契約更改時期の管理を徹底するとともに、大口賃借人の契約更改動向等を適切にモニターすることにより、リスクの顕在に対する対策と、顕在化の場合の善後策を適時適切に講じております。かかる通常の退去リスクについては、顕在化の頻度・影響度は当社の通常の不動産賃貸サービスの営業成績の変動の範囲内にとどまり、その影響は限定的であると判断しております。予期せぬ大口退去等、当該リスクが突発的に顕在化する可能性は皆無ではないものの、その蓋然性は極めて低いと認識しております。
b.賃貸不動産の売却に関するリスク
当社は、不動産証券化商品の償還等に際して、市況に応じて、証券化の対象となった賃貸不動産を売却することにより償還資金の手当てを行うとともに、含み益の実現等を図っております。かかる市場売却は、他の選択肢との比較において、売却による償還に経済合理性が認められる場合に実施いたしますが、不動産市況や金融環境の急変、購入者の資金手当て能力の状況、競合賃貸不動産の状況等によっては、所期どおりの金額・時期での売却が実現できない可能性があり、その場合、償還資金の別途の手当て、売却金額の調整または売却の見送りなどを余儀なくされることにより、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は、不動産市況をはじめとする外部環境、購入候補者の属性等を慎重に見極めて売却時期・売却先等を選定するとともに、不動産証券化商品の償還に伴う売却については、償還時期到来前から十分な準備期間を以て売却活動を行うなど、リスクの軽減につとめております。
不動産価格の上昇や金融緩和局面が相当期間に亘り継続していることから、不動産市況等急変の顕在化の可能性もありうるものと認識しており、市況の見極めを一段と強化しておりますが、かかるリスクは当社独自のリスク管理施策のみを以て軽減・排除できるものではなく、実際に顕在化した場合には当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
顕在化した場合の影響度は、顕在化の時期、規模、態様や各事業年度内において計画する保有賃貸不動産の売却の比重によって変動しますが、仮に全ての売却が不首尾に終わる規模での急変が事業年度の初期に顕在化した場合、その影響度は、各事業年度における不動産売却の比重如何では、当社経営成績の過半に及ぶ可能性もあると認識しております。
②賃貸不動産仕入れに関するリスク
当社は、不動産賃貸業務基盤の維持拡大、償還した不動産証券化商品の代替物件の手当てなど、賃貸不動産ポートフォリオの維持拡大並びに品質向上のため、新規の賃貸不動産の仕入れ機会を追求しております。かかる賃貸不動産の仕入れ原資は、主として金融機関からの借入または不動産証券化商品による出資金により賄いますが、市場環境の急変、金融機関の貸出姿勢の変化、投資家の皆様のリスク選好の変化等によっては資金手当てが十分ではなく、所期どおりの賃貸不動産仕入れが実現できない可能性があり、その場合、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
金融緩和局面が相当期間継続していることから、当該リスク顕在化の可能性は増大していると認識しております。かかるリスクは、当社独自のリスク管理のみを以て軽減・排除できるものではなく、顕在化した場合の影響度は、顕在化の時期、規模、仕入れ競合先各社への影響度合い等により変動することから、確定的な見積もりを行うことは困難であると認識しております。当社は、当社の財務状況等への信任の維持、金融機関及び既存の不動産証券化商品投資家の皆様との良好な関係の維持、金融機関の貸出スタンスのきめ細かな確認、新規の不動産証券化商品への投資家の皆様の投資拡大、不動産証券化商品の商品性向上等の施策を実施することにより、かかるリスクが顕在化した場合の影響度の軽減と相対的な優位性の確保につとめております。
また、当社は精査の上で賃貸不動産の仕入れを行いますが、仕入れ後において、建築基準法等の隠れた瑕疵が判明した場合等においては、仕入れた賃貸不動産を当初目的に沿って活用できず、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。当該リスクの顕在化の可能性は僅少であると判断しております。
③在庫・固定資産に関するリスク
当社は、売却目的で棚卸資産に計上した資産については、「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号、平成20年9月26日)を、賃貸不動産については、「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」(企業会計基準第20号、平成23年3月25日)及び「固定資産の減損に係る会計基準」(企業会計審議会、平成14年8月9日)並びに同適用指針(企業会計基準適用指針第6号、平成21年3月27日及び企業会計基準適用指針第23号、平成20年11月28日)を適用しており、販売用不動産の評価損、賃貸用不動産の減損損失が計上された場合、当社の経営成績や財政状態に影響を与える可能性があります。
当社は、賃貸不動産の取得にあたっては、個別の立地、入居状況、入居率の維持・向上の可能性等を慎重に検討のうえで取得判断を行うとともに、保有賃貸不動産それぞれの入居率、キャッシュ・フローの状況をきめ細かく確認のうえ、ポートフォリオの管理を行っており、個別賃貸不動産に起因する減損等のリスクの顕在化の可能性は高くないと判断しております。不動産市況の急変、自然災害、環境変化等の外部要因を起因とするリスクについては、当社のリスク管理のみを以て軽減・排除できるものではないことから、かかる事態が発生した場合には、顕在化の時期・規模に応じた影響を与える可能性がありますが、かかるリスクの顕在化の可能性は高くないと認識しております。
④不測の事故・自然災害等による経営成績変動について
当社は、首都圏をはじめ、主要都市に賃貸不動産を所有しておりますが、当該エリアにおいて、火災、暴動、テロ、地震、噴火、津波等の不測の事故や自然災害が発生した場合、不動産の資産価値の低下、不動産投資意欲の冷え込み、空室の長期化、保有賃貸不動産の被災に伴う補修等による費用負担の増加等を通じて、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、賃貸不動産の取得にあたっては、自然災害の発生リスクが高いと認められる地域に所在する賃貸不動産を回避すること、火災保険等の付保などの対策を講じること、事前の対策が可能な災害等については影響度軽減のための事前対策を講じること、災害前後での保有賃貸不動産の状況の適時の確認と対応策の実施等により、当社保有賃貸不動産に対する自然災害リスクの低減につとめております。かかるリスクは当社独自のリスク管理施策のみを以て軽減・回避できるものではなく、その影響度について確定的な見積もりを行うことは困難であると認識しております。
⑤法的規制等について
a.法的規制について
当社が属する不動産業界は、宅地建物取引業法、建築基準法、都市計画法、借地借家法等、不動産取引に関する多数の法的規制を受けております。また、当社が取扱う不特法に基づく商品についても、種々の法的規制があります。
当社では、事業継続のため、これら多数の法的規制に対応できる体制を構築しており、現時点において事業継続に支障をきたす事項はありませんが、今後、何らかの理由によりこれらの法的規制の大幅な変更があった場合には、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、当社の法令遵守体制等に起因するリスクの顕在化の可能性は高くないと認識しており、法的規制の変更等の外部要因に起因するリスクについても、関連法令の改正等の動向をモニターすることにより顕在化のリスクを早期に把握し体制の整備を行う方針でありますが、かかる外部要因によるリスクについては、その顕在化の内容、時期等を当社が制御できるものではないことから、その影響度を事前に見積もることは困難であると認識しております。
b.許認可等について
当社の主要事業におきましては、事業活動に際して、以下の免許、許認可等を取得しております。
当事業年度末現在、当該免許及び許認可等が取消となる事由は発生しておりませんが、今後、何らかの理由によりこれらの免許、登録、許可の取消等があった場合、当社の主要事業の活動に支障をきたすとともに経営成績に重大な影響を与える可能性があります。
当社は、法令等遵守を徹底するとともに、内部管理・内部統制体制を整備することにより、登録・免許の取消事由を惹起することのない業務運営につとめており、かかる免許・登録・許可の取消しリスクの顕在化の可能性は僅少であると認識しております。
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取得・登録者名 |
取得年月日・許認可等の名称及び所管官庁等 |
許認可等の内容及び有効期限 |
主な許認可等の取消事由 |
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株式会社 マリオン |
1995年2月24日 宅地建物取引業者免許 東京都 |
宅地建物取引業に関する許可 東京都知事 (7)第72526号 2023年2月25日から 2028年2月24日まで(5年間) 以後5年ごと更新 |
宅地建物取引業法 第5条、第66条及び第67条 |
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株式会社 マリオン |
2007年9月30日 第二種金融商品取引業 関東財務局 |
第二種金融商品取引業 関東財務局長 (金商)第1502号 |
金融商品取引法第52条 |
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株式会社 マリオン |
2019年4月15日 不動産特定共同事業許可 金融庁長官・国土交通大臣 |
不動産特定共同事業法第3条 第1項に基づく許可 金融庁長官・国土交通大臣第100号 |
不動産特定共同事業法 第36条 |
(3)当社事業体制に関するリスク
①小規模組織に関するリスクについて
当社は、当事業年度末現在、従業員21名と小規模組織であり、内部管理体制についても組織の規模に応じたものとなっております。また、小規模な組織であるため、業務を特定の個人に依存している場合があります。
今後の業務拡大に応じて求められる組織体制を整備するため、所要の人財の採用と教育研修による人財の育成を行い、社内管理体制の継続的な充実を図ってまいります。
しかしながら、当社の事業拡大に見合った適切かつ十分な組織体制の構築に至らなかった場合、適切なリスク管理と内部統制のもとでの事業運営、事業拡大に制約が発生し、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当事業年度末現在、かかるリスクの顕在化の可能性は僅少であると認識しております。
②個人情報の管理について
当社は、賃貸不動産の入居者や不動産証券化商品の投資家の皆様など、事業を通じて取得した個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」等による規制を受けております。
個人情報の管理については、個人情報保護規程等による規程化、外部侵入防止システムの採用、物理的・論理的アクセス権限の設定、セキュリティ意識の向上を目的とした教育・研修等による周知徹底等により、細心の注意を払い取り扱っておりますが、個人情報の不正利用、その他不測の事態によって重要な情報が外部に漏洩した場合、当社への信用の低下や損害賠償請求等により、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は個人情報管理体制の適切な運用につとめており、かかるリスクが顕在化する蓋然性は低いと認識しております。
③特定の人物への依存リスクについて
当社の創業者であり代表取締役社長である福田敬司は、当社設立以来、当社の経営方針、経営戦略、資金調達等、事業活動の推進にあたり重要な役割を担ってまいりました。
当社は、監査等委員会設置会社への移行、社外取締役の配置等のガバナンス体制の強化、役職員の情報共有の強化や職務権限の明確化、権限委譲を進め、創業者に過度に依存しない経営体制の整備を進めてまいりましたが、体制の整備の過程において、同氏が職務を遂行出来なくなるような不測の事態が生じた場合、当社の経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、取締役会をはじめとした特定の人物に依存しないガバナンス体制に基づく業務運営を行っており、現状体制に特記すべき問題は認めていないことから、かかるリスクが顕在化する可能性は低いと認識しております。
(4)その他のリスク
①ストック・オプションと株式希薄化のリスク
当社は、当社の取締役及び従業員に対し、当社の経営成績向上に関する貢献意欲や士気を高めるとともに、株主との価値観の共有を推進することによる企業価値向上を図るため、新株予約権を付与しております。当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式数は59,300株であり、これは発行済株式総数の3.7%に相当しております。今後、これらの新株予約権が行使された場合、当社の1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。
現行の市場環境、新株予約権の行使条件等に照らして、短期的にかかる希薄化リスクが顕在化する可能性は低いと認識しております。
②有利子負債依存と金利変動のリスク
当社は、賃貸不動産仕入れ資金の相当部分を金融機関からの借入金に依存しております。借入については、基本的に固定金利またはそれに準じた条件での長期借入としておりますが、金融機関との協議により変動金利による長期借入もあり、今後も事業拡大に伴い、不特法に基づく匿名組合への出資金と並んで、有利子負債については相応の水準で推移すると想定され、金利が上昇した場合には、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、既存金融機関との緊密な連携を行うとともに、金融機関の融資姿勢、金融政策の動向、既存有利子負債の満期構成、借入条件等をモニターすることにより、かかるリスクの軽減につとめておりますが、金融市場全体や、業界他社動向等に起因するリスクについては、当社独自の対策によって軽減・排除が難しいことから、顕在化した場合には、その時期、規模、態様等に応じて影響を受けるものと判断しておりますが、顕在化の影響を確定的に見積もることは困難であると認識しております。
当事業年度、前事業年度の有利子負債残高、総資産額ならびに有利子負債依存度は以下のとおりであります。
(単位:千円)
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前事業年度 (2022年9月30日) |
当事業年度 (2023年9月30日) |
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有利子負債残高(a) |
6,622,142 |
9,542,311 |
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総資産額(b) |
15,378,984 |
18,741,132 |
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有利子負債依存度(a/b) |
43.1% |
50.9% |
(注)有利子負債残高は、短期借入金、長期借入金(1年内返済予定の長期借入金を含む)、リース債務(短期及び長期)の合計額であります。
③借入金にかかる財務制限条項について
当社は、賃貸不動産仕入れにかかる資金調達方法の一つとして金融機関から融資を受けておりますが、これらのうちには、2期連続して経常利益を赤字にしないことや純資産額を一定以上に保つこと、借入の担保となる資産の稼働状況を一定以上に保つことを確約する条項が存在するものがあります。当社がこれらの条項に抵触した場合、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
現状の当社経営成績や財政状態は、かかる財務制限条項の要求水準との間に相当の安全マージンを確保していること、当社は財務制限条項の遵守状況を適切に管理し、財務制限条項を安定的に充足するべく業務運営を行っていることから、現状かかる財務制限条項抵触リスクは僅少であると認識しております。
④一般社団法人ホンジン・ホールディングスとの関係について
一般社団法人ホンジン・ホールディングスは、2005年4月に当社の前身である株式会社マリオン管財の全額拠出により設立され、当社グループにおいて不動産賃貸業を行う有限会社HONJINの株式100%を保有するとともに、当社代表取締役社長福田敬司が単独理事及び単独社員の任にあったことから、当社が実質的に支配しているとして2016年3月まで連結子会社の位置付けにありました。
2016年3月1日付で開催された同法人臨時社員総会において、当社代表取締役社長福田敬司の単独議決権を放棄するとともに、事業目的から不動産の保有・取得・処分等を削除し、地球緑化、医療介護等の公益福祉目的を事業目的とする法人となりました。2016年4月1日付での当社による有限会社HONJINの吸収合併に伴い、合併対価としての普通株式1,500株を取得し、当事業年度末現在、当社株式の議決権19.2%を保有しております。
同社団法人は、前述のとおり当社の株主となっており、当社代表取締役社長福田敬司が同法人の代表理事を兼任しております。なお、当社代表取締役社長福田敬司を含む当社関係者の役員は、同法人の保有する当社株式に係る議決権行使については関与をしない方針です。
現状、同社団法人の議決権の状況には変化は見込まれておらず、同社団法人の関係についての当社方針を変更する予定はないことから、同社団法人との関係に関するリスクの態様が変化する可能性は僅少と認識しております。
(1)経営成績等の概要
①経営成績
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が緩和されるなど、持ち直しの動きがみられた一方、ウクライナ侵攻の長期化等に伴う資源価格の高止まりや、内外金利差の拡大等を受けての急激な為替変動など、先行き不透明な状況が継続いたしました。
当社の主要業務である賃貸住宅分野においては、貸家の住宅着工戸数は2021年3月以降前年同月比増加に転じましたが、当社が主に取り扱う単身世帯向けの居住用賃貸住宅については、総務省の発表によれば、人口減少のなか世帯数は増加が継続し、なかでも単独世帯は2000年以降一貫して増加、2010年対比で一般世帯に占める割合は25.5%から32.9%に上昇しており、当社の賃貸住宅についても堅調な需要が継続しました。
コロナ禍の賃料収入への影響も、当社が主力とする居住用賃貸住宅については現時点では僅少であり、今後の状況推移によるリスクの増大の可能性は認められるものの、当面の入居需要は引き続き堅調に推移するものと見込まれます。
一方、マンションの不動産価格指数は、国土交通省の発表によれば、124ヶ月連続で前年同期比上昇し、2023年6月時点では190.7と高水準にあり、新規物件仕入れに伴うリスク増加傾向が継続しております。
このような事業環境のもと、当社は、新規賃貸物件の仕入れについては引き続き慎重対応を基本とし、既存賃貸物件の入居率の維持向上と、入居率等へのコロナ禍の影響を注視し、可能な対策を講じることによるリスク管理のもとでの安定的な賃料収入の維持確保に努めるとともに、手持ち不動産の選別的な売却による利益の確定と新規物件の選別的取得を実施いたしました。
<不動産賃貸サービス>
当事業年度における不動産賃貸サービスにおいては、利回り及び不動産市況リスクの状況を踏まえて、保有物件、サブリース物件及び受託物件の入居率の維持向上に注力することにより、安定収益の確保につとめました。
この結果、不動産賃貸サービスの売上高として1,208百万円(前事業年度比4.1%減)を計上いたしました。
<不動産証券化サービス>
当事業年度における不動産証券化サービスにおいては、既存証券化サービス物件の入居率の維持向上につとめることにより、安定収益の確保につとめました。
この結果、不動産証券化サービスの売上高として272百万円(前事業年度比1.6%減)を計上いたしました。
<不動産売買>
当事業年度における不動産売買においては、岡山県岡山市に保有する共同住宅1棟、福岡県福岡市に保有する共同住宅1棟、新潟県阿賀野市に保有する土地22筆、新潟県柏崎市に保有する土地9筆、栃木県足利市に保有する区分所有建物1室、静岡県賀茂郡東伊豆町に保有する古家付土地1筆及び北海道白老郡白老町に保有する土地31筆を売却するとともに、東京都新宿区所在の区分所有建物2室、東京都文京区所在の共同住宅1棟、岩手県盛岡市所在の遊技場1棟、東京都豊島区所在の共同住宅1棟を取得いたしました。この結果、不動産売買の売上高として1,324百万円(前年同期比123.2%増)を計上いたしました。
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高2,808百万円(前事業年度比30.0%増)、営業利益382百万円(前事業年度比68.9%増)、経常利益160百万円(前事業年度比76.2%増)、当期純利益142百万円(前事業年度比135.9%増)となりました。
当社事業は、不動産賃貸関連サービスの単一セグメントであるため、セグメント別の記載は行っておりません。
②キャッシュ・フロー
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、有形固定資産の取得等により投資活動によるキャッシュ・フローが3,875百万円の支出を計上する一方、短期及び長期借入並びに匿名組合預り金の増加により財務のキャッシュ・フローが3,168百万円の収入を計上した他、販売用不動産の売却により棚卸資産が1,049百万円減少するとともに、税引前当期純利益157百万円の計上等により営業活動によるキャッシュ・フローが1,348百万円の収入を計上したことにより、前事業年度末に比べ642百万円増加し、当事業年度末には1,470百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は1,348百万円(前事業年度は969百万円の獲得)となりました。
収入の主な内訳は、税引前当期純利益157百万円、減価償却費234百万円、棚卸資産の減少額1,049百万円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は3,875百万円(前事業年度は54百万円の支出)となりました。
支出の主な内訳は、有形固定資産の取得による支出3,950百万円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は3,168百万円(前事業年度は776百万円の支出)となりました。
収入の主な内訳は、短期借入れによる収入3,174百万円、長期借入れによる収入3,728百万円及び匿名組合預り金の預りによる収入1,709百万円であり、支出の主な内訳は、短期借入金の返済による支出2,669百万円、長期借入金の返済による支出1,311百万円及び匿名組合預り金の償還による支出1,350百万円であります。
③生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社で行う事業は、提供する商品・サービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b. 受注実績
当社は受注に基づく生産もしくは商品・サービスの提供を行っておりませんので、当該記載を省略しております。
c. 販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。
不動産賃貸関連サービスの単一セグメントであるため、事業内容別に区分した記載としております。
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事業内容 |
当事業年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
前事業年度比(%) |
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不動産賃貸サービス(千円) |
1,208,914 |
95.9 |
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不動産証券化サービス(千円) |
272,402 |
98.4 |
|
不動産売買(千円) |
1,324,230 |
223.2 |
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小計(千円) |
2,805,547 |
131.7 |
|
その他(千円) |
2,539 |
8.4 |
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合計(千円) |
2,808,087 |
130.0 |
(注)1.不動産証券化サービスの販売実績は、証券化商品の販売等に係わる手数料の他、証券化対象賃貸不動産に係わる賃料収入等の売上実績を記載しております。
2.不動産売買の販売実績は、不動産の売却によるものを別記したものであり、当事業年度については、全て不動産賃貸サービス対象不動産にかかるものであります。
3. 主な相手先別の販売実績は、前事業年度及び当事業年度は居住用物件の販売であります。
4.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前事業年度 (自 2021年10月1日 至 2022年9月30日) |
当事業年度 (自 2022年10月1日 至 2023年9月30日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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東京建物不動産販売株式会社 |
- |
- |
950,895 |
33.9 |
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株式会社マリモ |
593,200 |
27.5 |
- |
- |
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株式会社フルネス |
- |
- |
318,401 |
11.3 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①当事業年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は、以下のとおりであります。
a. 財政状態の分析
(a) 流動資産
当事業年度末における流動資産は2,496百万円となり、前事業年度末に比べ332百万円増加いたしました。
これは主に、販売用不動産が378百万円減少した一方、現金及び預金が622百万円増加したことによるものであります。
(b) 固定資産
当事業年度末における固定資産は16,244百万円となり、前事業年度末に比べ3,029百万円増加いたしました。
これは主に、土地が1,740百万円、建物が1,311百万円増加したことによるものであります。
(c) 流動負債
当事業年度末における流動負債は1,769百万円となり、前事業年度末に比べ399百万円増加いたしました。
これは主に、1年内償還予定の匿名組合預り金が133百万円減少した一方、短期借入金が504百万円増加、1年以内返済予定の長期借入金が106百万円増加したことによるものであります。
(d) 固定負債
当事業年度末における固定負債は12,967百万円となり、前事業年度末に比べ2,836百万円増加いたしました。
これは主に、長期借入金が2,309百万円、匿名組合預り金が525百万円増加したことによるものであります。
(e) 純資産
当事業年度末における純資産は4,003百万円となり、前事業年度末に比べ125百万円増加いたしました。
これは主に、当期純利益の計上142百万円等により利益剰余金が126百万円増加したことによるものであります。
b. 経営成績の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は2,808百万円となり、前事業年度に対し648百万円の増加(前事業年度比30.0%増)となりました。これは、主に当事業年度の販売用不動産の売却による売上高が前事業年度と比較して増加しているためです。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は1,901百万円となり、前事業年度に対し561百万円の増加(前事業年度比41.9%増)となりました。これは、主に販売用不動産関連原価が増加したことによるものであります。
その結果、当事業年度の売上総利益は906百万円(前事業年度比86百万円増、10.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は523百万円となり、前事業年度に対し69百万円の減少となりました。これは主に、給料手当27百万円、業務委託費25百万円及び広告宣伝費が10百万円減少したことによるものであります。
その結果、当事業年度の営業利益は382百万円(前事業年度比156百万円増、68.9%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は42百万円となり、前事業年度に対し23百万円の増加となりました。これは主に、保険解約益が24百万円増加したことによるものであります。
当事業年度における営業外費用は264百万円となり、前事業年度に対し109百万円の増加となりました。これは主に、支払手数料46百万円及びシンジケートローン手数料53百万円が増加したことによるものであります。
その結果、当事業年度の経常利益は160百万円(前事業年度比69百万円増、76.2%増)となりました。
また、売上高経常利益率は5.7%(前事業年度比1.5ポイント増)となりました。
(当期純利益)
その結果、法人税等14百万円を控除し、当事業年度の当期純利益は142百万円(前事業年度比82百万円増加、135.9%増)となりました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因といたしましては、法的規制、景気や金利の変動などの経済状況の影響など様々な要因が挙げられます。詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
当社事業は、不動産賃貸関連サービスの単一セグメントであるため、セグメントごとの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は行っておりません。
②資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の概要 ②キャッシュ・フロー」に記載のとおりです。
当社の資金需要の主なものは、賃貸不動産の取得費用であり、その調達手段は主として、金融機関からの借入金及び不特法許可に基づく匿名組合預り金によっております。賃貸不動産取得費用以外の運転資金につきましては、自己資金で対応することを原則とし、一定程度の手元流動性を維持し、金融費用を低減するよう努めております。
③重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値及び報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行っております。
当該見積りにつきましては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に関して適切な仮定設
定、情報収集を行い、見積り金額を計算しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、こ
れらの見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
① 販売用不動産の評価
販売用不動産について、正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を正味売却価額まで減額し、当該減少額を評価損として計上しております。そのため、販売計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ正味売却価額が帳簿価額を下回る場合には評価損が必要となる可能性があります。
② 固定資産の評価
固定資産について、土地と建物を一体として物件単位でグルーピングしており、減損の兆候があり、かつ資
産の回収可能価額が帳簿価額を下回る場合は、回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。
減損の兆候の判定及び回収可能性の見積りは、不動産鑑定士による鑑定評価額及び将来キャッシュ・フロー
の見積り等であります。不動産市況、経済情勢等の著しい変化や収益状況の悪化等により、見積額の前提と
した条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損損失の発生する可能性があります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。