第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

<経営方針>

 当社グループは「We Guard All」を経営理念として掲げております。主力のインターネット投稿監視、カスタマーサポートのみならず、広告審査やサイバーセキュリティ等様々なサービス展開を通してすべての利用者に安心、安全を提供してまいります。

 

 当社グループでは更なる企業価値向上のために下記の事項を対処すべき課題として取り組みを進めております。

1.人材の確保と育成について

 当社グループは、持続的な成長のために優秀な人材を確保し育成することで、高品質のサービス提供及びサービス品質の維持を通じて、顧客満足を高めることが重要であると考えております。

 現状、労働人口の減少やインターネット業界における高スキル人材の不足により人材獲得が激化しております。当社ではこれまで長年に亘り人材獲得に向けて積極的に採用活動を継続しており、その中で培ったノウハウを活かし創意工夫をしながら人材を獲得しております。

 また、人材の入社後は階層別研修や資格支援制度等でスキルの向上を図るとともに、正社員登用制度等の整備や職場環境の改善を通じて優秀な社員の定着を促進しております。引き続き人材の採用及び育成の強化に取り組んでまいります。

 

2.システム及びセキュリティの更なる強化

 当社グループの業容拡大を支えていくためには、増加している投稿件数や管理レポートを安定的かつ効率的に処理するための技術開発及び運用体制を確立するとともに、社内システムの安定稼動や、セキュリティ強化を実施することが、従来以上に重要であると考えております。こうした観点から、然るべき時機を判断しながら、必要なシステム投資を着実に進めてまいります。

 

3.事業領域の拡大

 当社グループが、ソーシャルサポート、ゲームサポート及びアド・プロセスを収益の軸としつつ、多様な収益源による安定的な成長を遂げていくためには、既存の事業領域を拡大するとともに新規事業を推進することが重要であると考えております。

 今後はサイバーセキュリティ事業の更なる基盤強化や規模拡大、並びにM&A等を活用した事業規模の拡大や新サービスの提供に積極的に取り組むことで事業領域を広げ、総合ネットセキュリティ企業として更なる飛躍を目指してまいります。

 

4.コーポレート・ガバナンスの意識向上

 当社グループは、企業価値の安定的な増大と株主重視の立場に立って経営の健全性の確保と透明性を高めることが重要であると考えております。その実現のため、子会社に対する管理監督強化並びに内部統制システム及び管理部門の充実を図り、徹底したコンプライアンス重視の意識向上とコーポレート・ガバナンスの浸透を図ることで、内部管理体制をより一層整備してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、取締役会においてサステナビリティに関する対応方針及び施策等の監督を行います。また、各事業部において、サステナビリティに関する具体的な施策等の推進及びリスク管理を行い、これらの進捗状況等を必要に応じて取締役会に報告します。

 

(2)戦略

① 気候変動

 当社グループは、気候変動によるリスクと機会が当社グループの事業、財務等に及ぼす影響を分析し、事業所における電気使用量及び温室効果ガス削減等の各種取り組みを推進しております。

 

② 人的資本

 当社グループは、持続的な成長のために、多様な人材が活躍できる環境づくりに努めること及び優秀な人材を確保し育成することが重要であると考え、階層別研修の実施や資格取得支援制度、正社員登用制度等の各種取り組みを推進しております。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、取締役会の監督のもと、各事業部においてサステナビリティに関する情報収集及びリスク・機会の評価並びに管理を行っております。また、全社的なリスクに関してはリスク管理委員会と連携するとともに、重要と判断するリスクについては、その重要性に応じて取締役会に報告するものとしております。

 

(4)指標及び目標

① 気候変動

 当社グループは、現時点において気候変動に関する数値目標を定めておりませんが、上記(2)において記載した電気使用量等の削減に関する取り組みを推進しております。

 当連結会計年度における国内拠点の電力使用量は以下のとおりです。

  2023年9月期:1,564,027kWh

 

② 人的資本

 当社グループは、現時点おいて人的資本に関する全社共通の数値目標を定めておりません。

 なお、当社単体における人的資本に関する数値目標及び当事業年度の実績は以下のとおりです。

 

目標

実績(当事業年度)

女性管理職比率

2026年3月までに30%以上

36.4%

 

 

3【事業等のリスク】

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、本項において将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)事業に関するリスク

① 特定の取引先への依存について

 当社のインターネットセキュリティ事業においては、TikTok Pte Ltd.に対するインターネットセキュリティ事業の販売実績が、第26期は14.8%を占め、他のクライアントよりも高くなっております。従いまして、TikTok Pte Ltd.の事業方針の変更または事業動向によっては、当社の事業戦略及び経営成績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合について

 インターネットセキュリティ市場には当社グループと競合にある会社が数社ありますが、今後の成長が期待される市場であるため、国内外の多数の事業者がこの分野に参入してくる可能性があります。当社グループに比べ、資本力、マーケティング力、幅広い顧客基盤、より高い知名度を有する会社が新規参入する等他社との競合状況が激化した場合には、価格の下落、又は、競争価格以外の要因でも受注を失う恐れがあり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 新技術の出現について

 IT関連技術は技術革新の進歩が速く、それに応じて業界標準及び利用者ニーズが変化し、新技術が相次いで登場しております。これらの新技術等への対応が遅れた場合、当社グループの提供するサービスが陳腐化・不適応化し、業界内での競争力低下を招く恐れがあります。その場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 設備及びネットワークの安全性について

 インターネットは重要な社会基盤として社会全般に浸透しており、そのネットワークは継続的に拡大を続けております。そのため、当社グループの設備及びネットワークは24時間稼動、年中無休での運用が求められております。インターネットセキュリティ事業はインターネットを通じて提供しているため、システムに支障が生じることは、サービス全般の停止を意味しており、設備面で電源の二重化やファイアーウォールの設置、ネットワークの監視など、障害の発生を未然に防止するべく最大限の取り組みを行っております。

 しかしながら、地震、火災などの災害のほか、コンピュータウイルスやハッカーなどの行為、その他予期せぬ重大な事象の発生により、万一、当社グループの設備又はネットワークが利用できなくなった場合には、サービス停止に伴う信用の低下を引き起こし、顧客の解約はもちろん今後の新規顧客の獲得に支障が生じることが考えられ、当社グループの業績に重要な影響が生じる可能性があります。

 

⑤ インターネット利用者及びソーシャルメディアの衰退について

 当社グループの主力事業であるインターネットセキュリティ事業の多くは、ブログやSNSなどソーシャルメディアと呼ばれるインターネットメディアに対するサービスであります。現在は消費者の多くがインターネットを通じてソーシャルメディアの積極的利用を行っており、それに比例して当社グループのインターネットセキュリティ事業に対するニーズも高まっております。

 しかしながら、将来においてインターネットに代わる新たなサービスが提供され消費者がインターネットを利用する機会が減少した場合や、ソーシャルメディアそのものの利用者数が減少した場合には、ソーシャルメディアに対するコメント等の投稿数が減少することが予想されるため、当社グループの業績に重要な影響が生じる可能性があります。

 

⑥ 個人情報の流出について

 当社グループが顧客向けに提供するサービスにおいて、個人情報や画像データ、コメント等をサーバ上へ保管する場合があり、採用している様々なネットワークセキュリティにも拘らず、不正アクセスによる個人情報の流出等の可能性が存在しております。

 このような個人情報の流出等が発生した場合、当社グループに対する損害賠償の請求、訴訟、行政官庁等による制裁、刑事罰その他の責任追及がなされる可能性があります。また、これらの責任追及が社会的な問題に発展し、当社グループが社会的信用を失う可能性があります。

⑦ M&Aによる事業拡大について

 当社グループは、既存事業の強化、事業規模の拡大及び多様な収益源の確保を目的として、M&Aを有効活用していく方針であります。M&Aにおいては、対象となる企業の財務内容、契約関係及び事業の状況等について事前にデューデリジェンスを実施し、可能な限りリスクの低減に努めております。

 しかしながら、M&A後に、事業環境に急激な変化が生じた場合やその他予期し得ない理由により当初の計画通りに事業が進展しない場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 子会社管理体制について

 当社は子会社の事業運営に関して管理責任を有しており、当社グループ全体のリスク管理体制やコンプライアンス体制の継続的な強化を図る必要があります。今後、何らかの理由によりこれらの管理体制が十分に機能しなくなった場合には、当社グループの業績、風評に重大な影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)法的規制について

① 労働者派遣法について

 当社グループの売上の一部に人材派遣による売上があります。当社グループは「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備に関する法律」(以下、「労働者派遣法」という。)に基づく厚生労働大臣の「一般労働者派遣事業」の許可を取得しており、労働者派遣法に基づく規制を受けております。

 当社グループは法令を遵守し、事業を運営しておりますが、万一法令違反に該当するような事態が生じた場合、又は関連法令や解釈が変更になった場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② その他

 インターネット関連法令については、当社グループ自体が遵守しなければならない法令はごく限られておりますが、当社グループが受注するクライアントが遵守しなければならない法令は多数存在しております。当社グループが監視するサイトにおいて重大な掲載可否判断誤り等のミスを犯した場合、クライアントに対する信用が下がり、クライアントから契約解消や取引停止を言い渡され、間接的に財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)経営体制に関するリスク

① 有能な人材の確保や育成について

 当社グループは、急激な事業拡大に伴って優秀な人材の確保とその育成が重要な課題となっており、内部での人材育成と抜擢及び外部からの人材登用に努めております。しかしながら、当社グループの属する市場が今後拡大し、競争が激化すれば、競合他社との人材獲得競争も激化し、当社グループの人材が外部に流出することや、人材確保に支障をきたす可能性があります。かかる事態が生じた場合、当社グループの競争力に影響を与える可能性があります。

 

② オペレーター確保について

 当社グループの業務は実務部分を大量に雇用した臨時従業員であるオペレーターに拠っております。オペレーターの確保及び育成には万全を期しておりますが、何らかの理由でオペレーターの雇用に支障をきたした場合には、当社グループの円滑な業務の遂行及び積極的な受注活動が阻害される恐れがあります。

 

③ 内部管理体制について

 当社グループは、内部関係者の不正行為等が発生しないよう、国内外の法令・ルールの遵守を当社グループの行動基準として定めるとともに、内部監査等で遵守状況の確認を行っております。しかしながら、法令等に抵触する事態や内部関係者による不正行為が発生する可能性は皆無でないため、これらの事態が生じた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

業績等の概要

(1)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大防止に伴う行動制限が緩和され、国内経済は緩やかに回復しております。一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化や主要各国での金融引き締めに伴う影響等により、国内外における物価・コストの上昇が見られ、経済的な見通しは依然として不透明な状況が続いております。

 当社グループを取り巻く国内のインターネット関連市場では、動画視聴やEC(インターネット通販)サービス、Fintech関連サービスの拡大・成長傾向が継続しております。また、コロナ禍が落ち着き、旅行や購買などの消費行動が活発となったことに伴い、広告出稿も各企業が積極的に行う中、広告内容の真偽等に消費者の関心が高まりを見せており、広告審査業務に関する需要が伸長しております。

 今後もインターネットにおける技術革新はますます進み、様々なサービスが展開されていくものと予想されますが、リモートワークの定着・拡大に伴うセキュリティへの不安の高まりや、IoT(※1)の進展によりあらゆるモノがサイバー攻撃のリスクにさらされる等、サイバーセキュリティの課題は年々増え、かつ深刻化しており、全てのインターネットユーザーが安心して利用できるよう、安全性を求める声は引き続き高まりを見せております。

 

用語説明

(※1)Internet of Things(モノのインターネット)の略称。建物、車、及び電子機器等の様々なモノをネットワークによりサーバーやクラウドサービスへ接続し、相互に情報交換する仕組み。

 

 このような環境のもと、当社グループは「We Guard All」を経営理念に掲げる総合ネットセキュリティ企業として、「AIと人のハイブリッド」を強みに、インターネットの安心・安全に貢献する高品質かつ高効率のサービスを、多くのクライアントの皆様に提供してまいりました。

 当社グループの主力サービスであるソーシャルサポートサービス、及び成長分野として位置付けているサイバーセキュリティは、インターネットの安心・安全を実現するために必要不可欠であり、今後もサービス品質の強化、プロダクトの改善に努めてまいります。

 当連結会計年度においては、EC・フリマサイトのカスタマーサポートや広告審査業務が堅調に拡大しました。また、サイバーセキュリティ事業は、脆弱性診断サービスやWAF(※2)の拡販により大きく伸長いたしました。

 その一方で、新型コロナウイルスワクチン関連業務など一部中型案件の減少が重なったこと、博多センターの新規開設による初期投資があったこと、一部の低収益案件の影響(収益率改善済み)により、前年同期比で増収減益となりました。

 

用語説明

(※2)Web Application Firewallの略称。ウェブアプリケーションの脆弱性を悪用する攻撃を検出・防御し、ウェブサイトを保護するためのセキュリティ製品。

 

 この結果、当連結会計年度における売上高は11,909,152千円(前年同期比1.3%増)、営業利益は1,778,661千円(前年同期比21.7%減)、経常利益は1,806,722千円(前年同期比21.9%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,229,569千円(前年同期比27.2%減)となりました。

 

 また、2023年8月に株式会社チェンジホールディングスによる公開買付けに賛同するとともに、同社との資本業務提携契約を締結し、加えて同社を割当先とする第三者割当による新株式発行に関する決議を行いました。

 その後、同年10月に公開買付けが成立し、第三者割当による新株式発行も完了しております。

 弊社は今後、当該資本業務提携によるシナジー効果を最大限に発揮するとともに、これまでの主力事業はもとより、サイバーセキュリティ領域における加速度的な成長を目指し、引き続き努力を重ねてまいる所存です。

 

 当社グループは単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はありません。業務の種類別の業績は以下の通りであります。

 

① ソーシャルサポート

 ソーシャルサポートは、ソーシャルWebサービス等の様々なインターネットサービスを対象に、投稿監視、カスタマーサポート及び風評調査等を提供しております。

 当連結会計年度においては、EC・フリマサイト向けのカスタマーサポートサービスや監視業務の受注が好調に推移いたしました。

 また、食品・飲食業界向けにSNSのリスク投稿を即時に検知・報告し、対応のサポートまで行う「SNSリスク即時検知サービス」を提供開始するなど、新たなサービスの提供にも積極的に取り組みました。

 その一方、新型コロナウイルス感染症のワクチン接種受付業務など中型案件の終了や規模縮小が同時期に発生し、売上が減少することもありました。

 その結果、売上高は6,848,322千円(前年同期比2.1%増)となりました。

 

② ゲームサポート

 ゲームサポートは、ソーシャルゲームを対象に、主にカスタマーサポート及びデバッグ業務等を提供しております。

 当連結会計年度においては、海外ゲーム会社のローカライズ案件(言語翻訳や調整等の支援)が伸長いたしました。

 これを契機として、海外タイトルの日本人ゲームユーザーに特化した、独自の検証・ユーザーインタビュー・QA対応まで一貫して行い、ユーザーが持つプレイ時の違和感を低減することでセールスを促進する包括的サービス「日本ゲームユーザーインタビュー」の提供を開始いたしました。

 しかしながら、国内ゲーム市場は変わらずその規模は大きいものの、大型のヒットタイトルに恵まれず、ゲームサポートは減収となりました。

 その結果、売上高は1,874,774千円(前年同期比10.0%減)となりました。

 

③ アド・プロセス

 アド・プロセスは、インターネット広告審査業務及び運用代行業務を提供しております。

 当連結会計年度においては、官公庁案件の受注実績やデジタル広告市場の規制強化などによる需要の増加を受け、広告審査業務が堅調に推移いたしました。

 その結果、売上高は1,534,689千円(前年同期比8.1%増)となりました。

 

④ サイバーセキュリティ

 サイバーセキュリティは、主に脆弱性診断、WAF、セキュリティの経営課題を解決するコンサルティングサービスを提供しております。

 また、各企業のセキュリティ強化、サプライチェーンリスク低減など、日々増加する市場のニーズに応えるべく、サービスラインナップの拡充などを行ってまいりました。

 その中で脆弱性診断の内製化を考えている企業に向けて、脆弱性の基礎知識から脆弱性診断員としてスキル習得までを幅広くレクチャーし、内製化の体制構築をサポートする「脆弱性診断内製化支援」の提供を開始いたしました。

 その結果、売上高は773,478千円(前年同期比16.7%増)となりました。

 

⑤ その他

 その他は、主にハードウェアに対するデバッグ業務を提供しております。

 完全子会社であるEGテスティングサービス株式会社が、30年以上の経験とノウハウに裏打ちされた高品質なサービスを訴求し、深耕営業、新規開拓に取り組みました。

 その結果、売上高は877,887千円(前年同期比0.1%減)となりました。

 

(2)キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は5,749,760千円となり、前連結会計年度末における資金4,951,106千円に対し、798,653千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動により得られた資金は1,262,484千円(前連結会計年度は1,655,492千円の収入)となりました。

 これは、税金等調整前当期純利益の計上1,684,732千円があったものの、法人税等の支払額694,050千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動により支出された資金は140,580千円(前連結会計年度は275,186千円の支出)となりました。

 これは主に、有形固定資産の取得による支出128,016千円、無形固定資産の取得による支出18,141千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動により支出された資金は328,837千円(前連結会計年度は138,596千円の支出)となりました。

 これは主に、配当金の支払いによる支出239,068千円、自己株式の取得による支出89,769千円があったことによるものであります。

 

生産、受注及び販売の実績

(1)生産実績

 当社グループは、生産に該当する事項はありませんので生産実績は記載しておりません。

 

(2)受注実績

 当社グループのインターネットセキュリティ事業は、主に一般利用者から投稿されたコメント、画像等により業務が実施され、その処理件数に対して課金するシステムを採用しているとともに、受注から販売までの所要日数が短く常に受注残高は僅少であり、期中の受注高と販売実績とがほぼ対応するため、記載を省略しております。

 

(3)販売実績

 当連結会計年度における販売実績を業務の種類別に示すと、以下の通りであります。

区分

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

  至 2023年9月30日)

前年同期比(%)

ソーシャルサポート(千円)

6,848,322

2.1

ゲームサポート(千円)

1,874,774

△10.0

アド・プロセス(千円)

1,534,689

8.1

サイバーセキュリティ(千円)

773,478

16.7

その他(千円)

877,887

△0.1

合計(千円)

11,909,152

1.3

(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、以下の通りであります。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

売上高(千円)

割合(%)

売上高(千円)

割合(%)

TikTok Pte Ltd.

1,915,385

16.3

1,760,750

14.8

 

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1)重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成しております。

 この連結財務諸表の作成にあたりましては、部分的に資産・負債、収益・費用の数値に影響を与えるような見積り等の介在が不可避となりますが、当社経営陣は過去の実績や提出日現在の状況等を勘案し、会計基準の許容する範囲内かつ合理的にそれらの判断を行っております。

 なお、重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

(2)財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における流動資産の残高は7,404,023千円となり、前連結会計年度末における流動資産6,510,045千円に対し、893,978千円の増加(前年同期比13.7%増)となりました。

 これは主に、現金及び預金が798,653千円、売掛金が16,121千円増加したことによるものであります。

 当連結会計年度末における固定資産の残高は1,708,932千円となり、前連結会計年度末における固定資産1,903,997千円に対し、195,065千円の減少(前年同期比10.2%減)となりました。

 これは主に、無形固定資産が130,660千円、投資その他の資産が101,195千円減少したことによるものであります。

 この結果、当連結会計年度末における総資産は、9,112,955千円(前連結会計年度末比8.3%増)となりました。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債の残高は1,726,791千円となり、前連結会計年度末における負債1,931,282千円に対し、204,490千円の減少(前年同期比10.6%減)となりました。

 これは主に、未払法人税等が311,390千円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産の残高は7,386,163千円となり、前連結会計年度末における純資産6,482,760千円に対し、903,403千円の増加(前年同期比13.9%増)となりました。

 これは主に、剰余金の配当245,399千円及び自己株式の取得90,002千円を実施した一方、親会社株主に帰属する当期純利益1,229,569千円を計上したことによるものであります。

 

(3)経営成績の分析

(売上高)

 当連結会計年度における売上高は11,909,152千円(前連結会計年度比1.3%増)となりました。

 

(売上原価)

 当連結会計年度における売上原価は8,551,093千円(前連結会計年度比7.8%増)となりました。

 

(売上総利益)

 当連結会計年度における売上総利益は3,358,058千円(前連結会計年度比12.1%減)となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は1,579,397千円(前連結会計年度比2.0%増)となりました。

 

(営業利益)

 当連結会計年度における営業利益は1,778,661千円(前連結会計年度比21.7%減)となりました。

 

(経常利益)

 当連結会計年度における経常利益は1,806,722千円(前連結会計年度比21.9%減)となりました。

 

(税金等調整前当期純利益)

 当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は1,684,732千円(前連結会計年度比26.8%減)となりました。

 

(法人税等)

 当連結会計年度における法人税等は455,163千円(前連結会計年度比25.6%減)となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

 当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は1,229,569千円(前連結会計年度比27.2%減)となりました。

 

(4)経営成績に重要な影響を与える要因について

 「第2 事業の状況 3事業等のリスク」に記載の通りであります。

(5)キャッシュ・フローの分析

キャッシュ・フローの状況

 「第2 事業の状況 4経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 業績等の概要 (2)キャッシュ・フロー」に記載の通りであります。

 

(参考)キャッシュ・フロー関連指標の推移

 

2020年9月期

2021年9月期

2022年9月期

2023年9月期

自己資本比率(%)

76.2

71.9

77.0

81.0

時価ベースの自己資本比率(%)

605.0

446.4

341.5

292.9

キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)

0.0

0.0

0.0

0.0

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

754.6

10,056.6

352,082.6

0.0

 1.各指標の算出方法は以下の通りであります。

自己資本比率:自己資本/総資産

時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産

キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー

インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い

 (注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。

 (注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。

 (注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しております。

 (注4)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

 (注5)利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。

 

(6)経営戦略の現状と見通し

 当社グループの事業領域であるインターネット関連市場は、スマートフォンを中心としたソーシャルメディアやソーシャルゲームといったソーシャルWebサービスに加え、FintechやIoTなど、引き続きこれまで以上の成長が予想されます。

 そのような中、2023年10月に株式会社チェンジホールディングスによる公開買付けが成立し、同社を割当先とする第三者割当による新株式の発行が完了いたしました。当社グループは、今後、同社との資本業務提携によるシナジー効果を最大限に発揮するとともに、これまでの主力事業はもとより、サイバーセキュリティ領域における加速度的な成長を目指してまいります。

 サイバーセキュリティ事業を除く既存事業におきましては、市場の成長、新たなサービスや技術の登場、規制強化等の契機を的確にとらえ、継続的な成長による収益貢献を見込んでおります。また、株式会社チェンジホールディングスによるコンサルティングのノウハウを活用し、営業組織の体制を強化することで、顧客開拓により一層注力するとともに、同社の顧客基盤を活用してサービスの拡販・提供に取り組むほか、これまで以上に市場、顧客の要望に合わせたサービスの提供を目指します。

 サイバーセキュリティ事業におきましては、企業のサイバーセキュリティ対策に関する旺盛な需要を受け、既存サービスである脆弱性診断、WAF、コンサルティングサービスを軸に、市場の需要に応じてワンストップでサイバーセキュリティサービスを提供できるよう、サービスラインナップの拡充を続けてまいります。加えて、更なる成長に向けてセキュリティ人材を確保し、株式会社チェンジホールディングスが有するデジタル人材育成力を活用して育成するなど、教育体制の強化や、マーケティングなどにも戦略的投資を行ってまいります。

 今後、両社の強みを生かした各種施策を推進し、日本のサイバーセキュリティ分野におけるトップクラスのセキュリティベンダーとなることを目指すとともに、さらなる企業価値向上に向けて取り組んでまいります。

5【経営上の重要な契約等】

 当社は、2023年8月2日開催の取締役会決議に基づき、同日付で株式会社チェンジホールディングス(以下「チェンジHD」といいます。)との間で資本業務提携契約を締結いたしました。

 また、当該資本業務提携契約に基づき、チェンジHDが実施しておりました当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)に対する公開買付けの成立に伴い、チェンジHDを割当先とする第三者割当による新株式発行(本公開買付け及び本第三者割当増資を総称して、以下「本取引」といいます。)を実施いたしました。これにより、チェンジHDは当社株式5,844,624株を保有し、同社は当社の親会社となりました。

 本契約の概要は以下のとおりです。また、本取引の詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な後発事象)」に記載のとおりです。

 

① 資本業務提携の目的

 本取引を通じて、当社がチェンジHDの連結子会社となることで、両社グループの業務提携関係を円滑に発展させ、セキュリティ業界の再編を通じて、両社グループで日本のサイバーセキュリティ分野におけるトップクラスのセキュリティベンダーとなることを目指し、両社グループの相乗的な企業価値の向上を図ることを目的とする。

 

② 業務提携の内容

(A) チェンジHD及び当社は、上記①記載の目的を達するため、以下の事項に関する業務提携について今後誠実に協議を行う。

(ア)チェンジHDグループのセキュリティ関連サービスやサポートの内製化

(イ)チェンジHDグループの顧客基盤を活かした当社グループのセキュリティ関連サービスの展開

(ウ)当社グループの顧客基盤を活かしたチェンジHDグループのサービスの展開

(エ)当社グループのセキュリティ分野の技術、チェンジHDグループのセキュリティ分野の知見を活かした新規サービスの共同開発

(オ)共同でのセキュリティ人材の育成プログラムの開発及び展開

(カ)両社グループにおける人材の相互交流

(キ)セキュリティ分野でのM&Aの推進

(ク)その他両社グループの発展に資する事項

 

(B) チェンジHD及び当社は、上記①記載の目的を達成するために、(ア) 両社グループの間での従業員の出向、派遣その他の人事面での協力、(イ)両社グループによる共同案件の速やかな立ち上げ・推進、技術のノウハウの共有並びに開発支援等の実施に向けた人材交流、並びに(ウ) 両社グループにおける会社管理機能の協力及び効率化を目的とした相互の人材交流につき、誠実に協議の上、実施する。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。