第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針

当社グループは、「タスキで世界をつなぐ~革新的なイノベーションで社会のハブになる~」を企業理念に掲げ、先端テクノロジーの活用を強みとするライフプラットフォーマーとして、人々の暮らしのアップデートを目指しております。私たちはこれを具現化するため、以下の「タスキValue」の実践を通して、すべてのステークホルダーに満足いただける企業活動を推し進めることにより、持続的な成長と企業価値の向上を図り、社会を、そして人生を豊かにしていくことの実現に貢献してまいります。

 

〔タスキValue〕

・目指す所

確かなテクノロジーで人・街・暮らしを次なるステージへ

・使命

変化していく世界に対応した、新しいカルチャーを生み出す

・続けていく事

選び抜かれたベストプラクティスで、その先の世界へ

 

これらを実践し、すべてのお客様に満足いただける企業活動・社会貢献を推し進めることにより、企業価値向上を図ることを経営の基本方針としております。

こうした経営方針のもと、当社が事業展開する不動産領域において、先端テクノロジーを活用することによって、不動産業界が自らのポテンシャルをさらに開花させることができると考えており、業界全体の発展と市場のさらなる拡大に貢献できる企業として挑戦していく所存です。

 

(2)中長期的な経営戦略

当社グループは2023年9月19日に開示した「長期ビジョン・中期経営計画」において、SaaS事業の2033年9月期目標としてアクティブ企業数1,500社、メインターゲットとしている中規模(従業員数4~49名)の不動産事業会社の44%のシェア獲得を掲げております。また、Life Platform事業では2033年9月期にトップライン1,100億円を目標に掲げております。継続的な成長のため、中期経営計画(2024年9月期~2026年9月期)においては以下のように策定しております。

 

①SaaS事業契約企業数推移

2023年9月期(実績) 34 社

2026年9月期     350社

 

SaaS事業については、「ARR増大」を中期経営計画上の目標としており、2026年9月期に350社の導入と「ARR増大」を達成するために、以下の3つの具体的施策を中心に進めてまいります。

1.SaaS型営業組織の確立

Life Platform事業の営業体制とは異なる、SaaS拡販に特化した営業組織の構築を急務で推進します。不動産仕入・開発に特化したVartical SaaSの専門人材の育成を進め、顧客獲得率の向上を目指します。

2.販売パートナーモデルの確立

当社は東京23区をLife Platform事業の事業エリアとしていることもあり、SaaS事業の全国的な展開には販売パートナーとの連携が必須となります。不動産業界に精通し、強いパイプを持つ企業とパートナー契約を締結し、顧客紹介を促進します。

3.プロダクト進化・顧客単価向上

外部サービスとの連携を図りながら、高付加価値のオプション機能の開発を行います。

・物件仕入情報管理サービス「TASUKI TECH LAND」:CRM・マーケティングツールとしての機能拡張

・建築プラン自動生成AI「TASUKI TECH TOUCH&PLAN」:精度向上・間取りプラン生成機能の追加

 

②Life Platform事業売上推移

2023年9月期(実績) 184億円

2026年9月期     371億円

 

Life Platform事業においては、2023年9月期から2026年9月期の売上高を倍増することを計画しております。そのための仕入件数目標として、IoTレジデンス事業で101件、リファイニング事業で21件の仕入を目標に据えております。「TASUKI TECH」を活用した仕入物件の検討期間の短縮と業務時間の削減によって生産性を引き上げることと、グループシナジーの活用による機会創出・相互送客を実現し、売上倍増を達成します。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

SaaS事業:導入社数、ARR

Life Platform事業:仕入件数・販売件数及び各プロジェクトの利益率

 

(4)経営環境

新型コロナウイルス感染症が感染法上の分類の5類へ引き下げとなり、感染対策としての行動制限等が解除されたことによりインバウンド需要も高まりを見せ、景気は持ち直し始めております。一方で、ウクライナ情勢に端を発した地政学的リスク等を背景とした世界的なエネルギー資源・原材料の高騰による物価高の影響など先行き不透明な状況は継続しております。

当社グループの所属する不動産業界においては、不動産需要は堅調であり、国土交通省発表の不動産価格指数によると、南関東圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)の住宅価格は引き続き高値圏を推移しております。また、アフターコロナの段階を迎え、国内経済の回復と継続する円安や低金利環境を背景として、国内投資家に加えて海外投資家からも国内不動産への旺盛な購入意欲がみられます。しかしながら、前述の原材料高騰を受けた建築コストの増加や、不足する労働力の確保など、収益力強化のための各企業の工夫が不可欠となっております。

不動産業界ではまだまだ属人的でアナログな業務が多く存在している一方で、行政の環境整備を背景に、事業者間では取引のオンライン化や事務業務のデジタル化など、徐々にDX化が進みつつあります。

当社グループは、市場の拡大・変化及び競合企業の増加等の経営環境の変化に対応すべく、さまざまなテクノロジーを活用して社会の需要に合致した事業戦略により、持続的な成長の実現に取り組んでまいります。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループの対処すべき課題は以下のとおりであります。

①IoTレジデンスの強化

当社グループのIoTレジデンスは、東京23区・駅近(徒歩5分程度)に特化し、販売先である投資家や企業等の嗜好にあった商品を提供するために、立地選定及び商品企画力の強化と認知度の向上及びブランディング強化が重要であると考えております。引き続き当社グループは東京23区に特化し、プロジェクト実績を積み上げ、ニッチトップカンパニーとしてシェアアップを図ることで、ブランディングの強化に取り組んでいく方針であります。

 

②ストック収益の確保を実現するSaaS型ビジネスの強化

現在、当社グループはIoTレジデンスのフロー収入の割合が大きいですが、中期的には、安定的なストック収益の確保が可能となるSaaS(Software as a Service)型のビジネスの強化が必要であると考えております。当社グループが取り組む不動産価値流通プラットフォーム「TASUKI TECH」は、SaaS型ビジネスをBtoBビジネスとして展開しており、SaaS型ビジネスの拡大により、当社グループ全体の収益の安定性の確保を図っていく方針であります。

 

③新規事業の開拓

当社グループの更なる成長と事業拡大のためには、新規事業の開拓は必要不可欠と考えており、Life Platform事業をコアビジネスとしつつ新たな事業領域への展開を図ってまいります。また、グループ各社がもつ顧客基盤及び次世代ソリューションを活用し、グループ全体としてシナジー効果の追求を行い、競争優位性の維持・向上を図っていく方針であります。

 

④優秀な人財の採用と育成

当社グループの持続的な成長のためには、多岐にわたる経歴を持つ優秀な人財を多数採用し、営業体制や開発体制、管理体制等を整備していくことが重要であると捉えています。当社グループのミッションや事業内容に共感し、高い意欲を持った優秀な人財を採用していくために、積極的な採用活動を進めるとともに、高い意欲を持って働ける環境や仕組みの構築に取り組んでいく方針であります。

 

⑤システムの安定性確保

当社グループの事業は、コンピューターシステムを結ぶ通信ネットワークに依存しており、自然災害や事故等により通信ネットワークが切断された場合には、当社グループの事業に重大な影響を及ぼす可能性があります。このため、当社グループではセキュリティ対策やシステムの安定性確保に取り組んでいく方針であります。

 

⑥内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化

当社グループの事業の拡大、継続的な成長のためには、内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの更なる強化が重要な課題であると認識しております。当社グループは、監査役と内部監査の連携、定期的な内部監査の実施、経営陣や従業員に対する研修の実施等を通じて、内部管理体制の一層の強化に取り組んでいく方針であります。

 

⑦サステナビリティへの取り組み

当社グループは、ESG経営の推進が中長期的な企業価値最大化につながることを念頭に、事業活動を通じた、脱炭素化の推進、環境負荷軽減、安全でレジリエントかつ持続可能な住み続けられるまちづくりの推進に取り組むほか、多様性や人権の尊重など社会課題の解決並びにコーポレート・ガバナンスの強化に取り組み、持続可能な社会の実現に向けたESG経営の高度化を図っていく方針であります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループは、「タスキで世界をつなぐ~革新的なイノベーションで社会のハブになる~」を企業理念に掲げ、ライフプラットフォーマーとして暮らしの住まいを提供するLife Platform事業、不動産デベロッパー向けにマルチプラットフォームを提供するSaaS事業、及び不動産融資サービスを行うFinance Consulting事業を展開しております。これらの事業活動を通じた、脱炭素化の推進、環境負荷軽減、安全でレジリエントかつ持続可能な住み続けられるまちづくりの推進に取り組むほか、アナログな手法や業務が多い不動産業界の不動産デベロップメント領域において各業務に分散している様々なシステムやプロセスを統合管理し、全体最適を実現するサービスを提供することで、新たな価値の創出と持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティをグループの重要な経営課題の一つとして位置付け、サステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、代表取締役社長を委員長とし、取締役(常勤)を含む各部管掌役員で構成され、全社横断的で迅速な意思決定が可能となる組織体制を構築しております。

 サステナビリティ委員会では、サステナビリティ活動の基本方針や中長期的な企業価値向上に影響を及ぼすマテリアリティについて審議を行い、マテリアリティに関する活動計画及び実施状況をモニタリングしております。また、サステナビリティ委員会の審議内容は取締役会へ報告・付議される仕組みとなっております。

 

(2)戦略

 当社グループが優先して取り組むべき4つのマテリアリティは次のとおりです。マテリアリティへの取り組みを通じて、持続可能な社会の実現、当社グループの持続的な成長及び企業価値の向上に取り組んでまいります。

ESG区分

マテリアリティ

取組概要

SDGs項目

E

環境負荷の低減

・CO2排出量削減

・廃棄物削減

・環境配慮サービスの提供

 

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S

DX推進によるサステナビリティの実現

・クライアントへのサービス提供を通じた、不動産価値の見える化及び業務効率の向上

 

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人的資本(「人財」)関連

多様な人財の活躍支援

・健康経営の促進

・人権の尊重・ダイバーシティ&インクルージョン

・将来を担う人財の育成促進

 

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G

健全な経営基盤の確立

・コーポレート・ガバナンスの強化

・コンプライアンスの徹底

 

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 また、当社グループにおける、人的資本(「人財」)の多様性を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のとおりであります。

 

①人財育成方針

 当社グループは、設計、建築、不動産、不動産金融及びIT等の専門人財で構成される、従業員数約40名の少数精鋭組織であります。一人ひとりの自律したプロフェッショナル人財への成長を支え、グループ及び部署間の交流を促進し、相互の専門性やノウハウ・ナレッジの共有により新たな価値創造を組織にもたらす人財育成に取り組んでおります。また、年齢、国籍、性別等を問わず意欲・能力・実績に応じた平等な人事評価に基づき管理職登用を行っております。

 

②社内環境整備方針

 当社グループは、多様な人財が最大限の能力を発揮できる職場環境整備に努め、全ての従業員のワークライフマネジメントを後押しする制度構築及び組織風土の醸成に取り組んでおります。

 出産・育児・介護と仕事の両立支援として、時短勤務、年次有給休暇の時間取得等の制度導入を行い、更に制度の利用促進を図るため、管理職研修を実施しております。

 

(3)リスク管理

 当社グループは、コンプライアンス・オフィサーを委員長、取締役(常勤)を委員として構成するコンプライアンス・リスク管理委員会において全社的なリスクの識別・評価・モニタリングを行っております。また、コンプライアンス・リスク管理委員会は、サステナビリティ委員会と連携し、当社グループのサステナビリティに関する課題に取り組んでおります。

 

(4)指標及び目標

 当社では、上記「(2)戦略」において記載した、「人的資本(「人財」)関連多様な人財の活躍支援」について次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。その他のマテリアリティ「環境負荷の低減」、「DX推進によるサステナビリティの実現」及び「健全な経営基盤の確立」を長期的に評価・管理するために用いる具体的な指標は現在検討中であります。

指標

目標

実績(当事業年度)

月平均時間外労働(時間)

10.0

14.2

有給取得率(%)

76.8

53.0

 

3【事業等のリスク】

当社グループの経営成績、財務状況等に関するリスクについて、投資者の判断に影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を記載しております。当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及び万が一発生した場合の適切な対応により、事業活動に支障をきたさないよう努める方針でありますが、当社の株式に関する投資判断は、本項及び本項以外の記載内容もあわせて、慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。

 

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)事業に関するリスク

①経済状況等の影響について

当社グループが属する不動産業界は、景気動向、金利動向、地価動向、建設価格動向及び税制等の経済状況の影響を受けやすい傾向にあります。賃貸相場の下落及び入居率の悪化による賃貸収入の減少、人材不足や資材価格の高騰による建築費の上昇、金融機関の融資動向の変化等により新築投資用レジデンス開発に支障をきたし、需要動向が悪化した場合、購入者が新築投資用IoTレジデンスの購入を控えることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、連結子会社の㈱タスキプロスが行う不動産担保ローンのビジネスモデルは、不動産市況が悪化した場合、担保不動産の価格下落を受け新規の貸付が減少するリスクが高まることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②競合について

当社の事業では、小規模な新築投資用IoTレジデンスを主に東京23区で創出しており、当社では、物件取得の規模・立地に加え、企画の差別化を志向しておりますが、大小様々な不動産関連事業者が多数存在し、競合等が発生しております。

当社は、事業開始以降、プロジェクト実績を積み上げることにより、新築投資用IoTレジデンスの創出にかかるノウハウ等を蓄積するほか、当社の認知度及び信用力の向上を推進しており、今後も競合事業者との差別化を図っていく方針であります。

しかしながら、今後、競合事業者の業容拡大や新たな事業者参入等により競争が激化した場合には、当社の取引機会が減少し、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③資金調達について

当社グループは、物件の取得、建築工事、貸付等の事業資金を自己資金だけでなく、金融機関からの借入金によって調達しており、有利子負債依存度が高い傾向にあります。そのため、市場金利が上昇する局面や、不動産業界又は当社グループのリスクプレミアムが上昇した場合には、支払利息等が増加し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

また、事業資金を調達する際には、特定の金融機関に依存することなく、個別の物件毎に金融機関に融資を打診しており、現時点では安定的に調達ができております。しかしながら、当社グループの財政状態が著しく悪化する等により当社グループの信用力が低下し、安定的な融資が受けられないなど、資金調達に制約を受けた場合は、物件の取得や建築工事等の発注に支障をきたし、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④事業用地の取得について

当社は、東京23区を中心として事業用地を取得し、不動産の企画、開発、販売を行っております。東京23区は、交通の便や良好な住環境などから安定した賃貸ニーズが見込まれる地域と判断しており、創業時より主に同地域における優良な事業用地の取得に注力してきた結果、事業展開が同地域に集中しております。このような状況において、事業用地の仕入情報の取得先である不動産仲介業者等との間で良好な関係を構築しているものの、同地域の地価が急激に上昇した場合や、競合他社との用地取得競争が激化した場合、同地域において優良な用地を計画通りに取得できず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤近隣住民とのトラブルリスクについて

当社は新築投資用IoTレジデンスの建設にあたり、関係する法令、各自治体の条例等を十分検討したうえ、周辺環境と調和した不動産開発を行うために、近隣住民に対する事前説明会を実施しており、近隣住民との関係を重視して開発を行っております。しかしながら、建設中の騒音や日照問題、プライバシーへの配慮等を理由に近隣住民とのトラブルが発生する可能性があり、問題解決による工事遅延や追加工事が発生する場合、計画の中止や変更が必要となり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥外注委託について

当社の設計施工業務等については、設計・施工等の能力、工期、コスト及び品質等を勘案し、外部の事業者に委託しております。十分な外注先の確保や外注先に委託した案件の進捗管理に努めているものの、当社の選定基準に合致する外部委託先を十分に確保できない場合や、外部委託先の経営不振、繁忙期における対応の遅れによる工期遅延、資材価格の急激な高騰による外注価格の上昇等が生じた場合には、当社の事業推進に影響が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦収益計上基準及び業績変動について

当社は、物件を不動産オーナーや企業に引渡しをした時点にて収益を認識しております。そのため、事業年度及び四半期ごとに業績を認識した場合、物件の引渡し時期に伴い、期ずれなどの業績偏重が生じる可能性があります。また、各物件のプロジェクトの進捗状況、販売計画、竣工時期の変更、天災やその他予想しえない事態の発生による施工遅延、不測の事態の発生による引渡し遅延があった場合には、計画していた時期に収益が認識できず、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧在庫リスクについて

当社は、開発用地の仕入及び新築投資用IoTレジデンス企画・販売を中長期的な経済展望に基づき実施し、物件の早期売却を図っております。しかしながら、急激な景気の悪化、金利の上昇及び不動産関連税制の影響により、販売が計画どおりに進まなかった場合には、新築投資用IoTレジデンス開発の遅延や完成在庫の滞留が発生し、資金収支の悪化を招く可能性があります。また、当社は「棚卸資産の評価に関する会計基準」(企業会計基準第9号 2006年7月5日)を適用しておりますが、時価が取得原価を下回った販売用不動産、仕掛販売用不動産の評価損が計上された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨契約不適合責任について

当社は、民法及び宅地建物取引業法のもと、当社が販売した物件について契約不適合責任を負っており、万が一、当社が販売した物件が契約の内容に適合しないとされた場合には、補修や補修工事費用の負担、損害の賠償等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩貸付債権の質について

不動産市況が悪化して地価が下落した場合には、担保不動産の価値の目減りによって、貸付債権の質が低下する可能性があります。当社グループは、貸付実行時における厳格な与信判断及び与信事後管理における担保不動産の再評価に注力し、健全な債権内容の維持に努めております。

しかしながら、今後不動産市況が悪化した場合、担保不動産の価格下落による担保不足の貸付債権の増加リスク、顧客の返済能力の低下による支払遅延リスクや貸倒リスクが高まることにより、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪法的規制等について

当社グループが行う事業につきましては、以下の法令等による規制を受けております。しかしながら、今後、これらの法令等の解釈の変更及び改正が行われた場合、また、当社グループが行う事業を規制する法令等が新たに制定された場合には、事業内容の変更や新たなコスト発生等により、当社グループの業績及び今後の事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループが取得している以下の許認可(登録)等につき、本書提出日現在において、事業主として欠格事由及びこれらの許認可(登録)の取消事由に該当する事実はないものと認識しておりますが、今後、欠格事由又は取消事由に該当する事実が発生し、許認可(登録)取消や更新ができない等の事態が発生した場合には、当社グループの事業に支障をきたすと共に財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、当社グループが取得している許認可、免許及び登録等の状況は以下のとおりであります。

(当社)

許認可等の名称

許認可登録番号

有効期限

関係法令

許認可等の取消事由

宅地建物取引業者

国土交通大臣(2)第9357号

2028年5月22日

以後5年ごとに更新

宅地建物取引業法

宅地建物取引業法第66条

金融商品取引業登録

(第二種金融商品取引業)

関東財務局長

(金商)第3323号

期間の定め無し

金融商品取引法

金融商品取引法第52条、第54条

不動産特定共同事業者許可

金融庁長官・国土交通大臣第99号

期間の定め無し

不動産特定共同事業法

不動産特定共同事業法第36条

 

(㈱タスキプロス)

許認可等の名称

許認可登録番号

有効期限

関係法令

許認可等の取消事由

貸金業登録

東京都知事(1)

第31878号

2025年1月28日

以後3年ごとに更新

貸金業法

貸金業法第24条

 

⑫災害の発生について

地震、暴風雨、洪水等の自然災害、戦争、暴動、テロ、火災等の人災が発生した場合、当社が販売する不動産の価値が著しく下落する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の主要なプロジェクトエリアは東京23区であり、当該地域において地震その他の災害が発生した場合や、新型インフルエンザ、新型コロナウイルス等の感染症が想定を大きく上回る規模で発生及び流行した場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑬新規事業及び「SaaS事業」への投資に関するリスク

当社及び非連結子会社を含む当社グループは継続的な成長と収益の多様化を図るために、内部資金や外部からの調達資金により新規事業及び「SaaS事業」への投資を進めていく方針ですが、事業が安定して収益を生み出し当社グループの業績に貢献するまでには一定の時間を要することが予想されます。新規事業及び「SaaS事業」に対し、先行してシステムへの投資や人件費等、追加的な支出が発生することによって、当社グループの全体の利益率が低下する可能性があります。また、将来の経営環境の変化等により新規事業及び「SaaS事業」の拡大・成長が当初の想定どおりに進まない場合や投下した資金の回収ができない場合において、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)組織体制に関するリスク

①小規模組織について

当社グループは、2023年9月30日現在の従業員数は36名であります。この人員に常勤役員6名を加えた小規模な組織体制で業務を遂行しております。小規模組織であるため、役職員一人一人が担う業務の質及び貢献度は相応に高く、一時的な不在・欠員が生じても、業務手順の共有や代行体制等により業務遂行に支障がないよう努めております。しかし、何らかの理由により大量の欠員が同時に生じた場合や新型コロナウイルス等の感染症の蔓延その他何らかの事故・災害等により役職員に就業が困難な事態が生じた場合には、業務遂行に著しい支障をきたす可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績並びに今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

②人員確保について

当社グループは、人財採用及び人財育成を重要な経営課題と位置づけており、不動産業界、IT・FinTech業界における優位性を確保すべく、人財採用と人財育成に関する各種施策を継続的に講じております。しかしながら、十分な人財確保が困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③個人情報管理について

当社グループは、各事業運営を通じて取得した個人情報を保有しており、これらの個人情報の管理について、「個人情報の保護に関する法律」の規定に則って作成されたプライバシーポリシーを有し、その遵守に努めております。しかし、コンピューターシステムの瑕疵、コンピューターウイルス、外部からの不正な手段によるコンピューター内への侵入、役職員・パートナー事業者の過誤、自然災害、急激なネットワークアクセスの集中等に基づき、個人情報が漏洩した場合や個人情報の収集過程で問題が生じた場合、当社グループへの損害賠償請求や当社の信用の下落等の損害が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績並びに今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)その他のリスク

①疾病の蔓延について

当社グループは、インフルエンザや新型コロナウイルス等の疾病の蔓延が発生した場合であっても、時差出勤や在宅勤務等により柔軟に事業を継続できる体制の整備に努めておりますが、今後、事態がさらに深刻化、長期化した場合には、商談機会の減少による新規取引案件の減少、出勤や客先訪問が困難になることによるサービスレベルの一時的・部分的な低下、設備・資材等のサプライチェーンの停滞に伴う調達の遅延等が発生し、当社グループの財政状態及び経営成績並びに今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

②訴訟等について

当社グループは、法令及び契約等の遵守のため「コンプライアンス管理規程」を定めて社内教育やコンプライアンス体制の充実に努めております。しかしながら、当社が事業活動を行うなかで、顧客、取引先又はその他第三者との間で予期せぬトラブルが発生し、訴訟に発展する可能性があります。かかる訴訟の内容及び結果によっては、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、多大な訴訟対応費用の発生や当社グループの社会的信用の毀損によって、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③配当政策について

当社は、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして位置付けており、業績と経営環境を勘案のうえ、企業体質の強化や将来の事業展開に備えるための内部留保を確保しつつ、連結配当性向35%以上を目標として、安定的な配当を継続することを基本方針としております。事業基盤を支えるシステム開発投資や景気変動の影響を受けにくい企業体質の確立に向けた関連事業投資を進め、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施する方針であります。内部留保資金の使途につきましては、既存事業の拡大発展のほか、今後の新規事業の展開への備えとしていくこととしております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比べ48億65百万円増加し、174億87百万円となりました。流動資産は前連結会計年度末と比べ48億52百万円増加の169億25百万円、固定資産は前連結会計年度末と比べ13百万円増加の5億61百万円となりました。

流動資産の主な増加要因は、販売用不動産が前連結会計年度末と比べ8億51百万円減少した一方で、仕掛販売用不動産が前連結会計年度末と比べ29億14百万円、現金及び預金が25億16百万円増加したことによります。

 

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比べ16億1百万円増加の103億60百万円となりました。流動負債は前連結会計年度末と比べ16億3百万円減少の38億55百万円、固定負債は前連結会計年度末と比べ32億5百万円増加の65億4百万円となりました。

流動負債の主な減少要因は、1年内返済予定の長期借入金が前連結会計年度末と比べ14億67百万円、短期借入金が2億2百万円減少したことによります。

固定負債の主な増加要因は、長期借入金が前連結会計年度末と比べ32億21百万円増加したことによります。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末と比べ32億64百万円増加の71億27百万円となりました。増加要因は、株式発行により資本金及び資本準備金が前連結会計年度末と比べ合計で24億10百万円増加したほか、剰余金の配当6億83百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益15億37百万円を計上したことにより、利益剰余金が前連結会計年度末と比べ8億54百万円増加したことによります。

 

②経営成績の状況

当連結会計年度の日本経済においては、新型コロナウイルス感染症が感染法上の分類の5類へ引き下げとなり、感染対策としての行動制限等が解除されたことによりインバウンド需要も高まりを見せ、景気は持ち直し始めております。一方で、ウクライナ情勢に端を発した地政学的リスク等を背景とした世界的なエネルギー資源・原材料の高騰による物価高の影響など先行き不透明な状況は継続しております。

当社グループの所属する不動産業界においては、不動産需要は堅調であり、国土交通省発表の不動産価格指数によると、南関東圏(東京・神奈川・千葉・埼玉)の住宅価格は引き続き高値圏を推移しております。また、アフターコロナの段階を迎え、国内経済の回復と継続する円安や低金利環境を背景として、国内投資家に加えて海外投資家からも国内不動産への旺盛な購入意欲がみられます。しかしながら、前述の原材料高騰を受けた建築コストの増加や、不足する労働力の確保など、収益力強化のための各企業の工夫が不可欠となっております。

そのような事業環境下において、当社グループはさらなる成長と収益力強化を目指し、リファイニング事業の本格取組みの開始や、第1号不動産私募ファンドの組成など、社内の組織再編も行いながら、事業領域の拡大を積極的に実施してまいりました。また、SaaS事業においても、2022年12月にSaaS事業を株式会社ZISEDAI(当社100%子会社・非連結)へ分社化し、これまで以上にIT開発に注力するとともに、主力プロダクト「TASUKI TECH LAND」の拡販が本格的に始動しました。

Life Platform事業においては、新築投資用IoTレジデンスは底堅い需要に支えられ、64件の販売をいたしました。仕入環境においても、当社が用地仕入のターゲットとしている空き家関連の税制改正法案が可決され、追い風となっております。国土交通省によると、全国で空き家対策が進んでおり、東京都においても今後空き家処分の流れが加速することが予想されます。また、中古物件を取り扱うリファイニング事業の本格取組み開始により、当社取り扱い物件の幅も広がることとなりました。

SaaS事業においては、人材不足や働き方改革の流れを受けて業務効率化の必要性が高まる不動産業界において、現場を知り尽くした不動産デベロッパーが開発した実務有用性の高いプロダクトとして評価されており、順調に導入社数を伸ばしております。不動産業界と関係の深い建設業界の働き方改革である2024年問題も背景に、「TASUKI TECH TOUCH&PLAN」も引き合いが強くなっております。不動産業界全体のDX化を推進すべく、今後もLife Platform事業でこれまで培ったリレーションの活用や、新たな販売パートナーとの協業スキームにより、新規契約社数の積み上げと、ARR(年間経常収益)の拡大に注力してまいります。

創業10周年を迎えたことを契機として、2023年9月19日に「長期ビジョン・中期経営計画」を発表し、「BEYOND2033~デジタル技術を原動力に、進化のその先へ~」を新たなビジョンに掲げました。3年後の2026年9月期には売上高・経常利益・当期純利益をそれぞれ2023年9月期業績の約2倍とする計画です。この中期経営計画を達成するために、SaaS事業「ARRの増大」、Life Platform事業「売上倍増」、「インオーガニック戦略」を必達の項目として掲げております。これまでの10年間で積上げてきたキャッシュ・フローを強みに、SaaS事業への成長投資や戦略的投資を積極的に行っていく方針です。

当連結会計年度における経営成績は、売上高は前連結会計年度と比べ62億88百万円増加の185億65百万円(51.2%増)、営業利益は前連結会計年度と比べ7億15百万円増加の24億30百万円(41.7%増)、経常利益は前連結会計年度と比べ6億57百万円増加の22億28百万円(41.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度と比べ4億49百万円増加の15億37百万円(41.3%増)となりました。

 

セグメントの業績は、以下のとおりであります。

(Life Platform事業)

新築投資用IoTレジデンス販売及び開発用地販売の合計で前連結会計年度と比べ25件増加の64件の引渡しを行いました。売上高は前連結会計年度と比べ62億17百万円増加の184億30百万円、営業利益は前連結会計年度と比べ6億72百万円増加の23億73百万円となりました。

 

(Finance Consulting事業)

売上高は前連結会計年度と比べ75百万円増加の1億39百万円、営業利益は前連結会計年度と比べ22百万円増加の26百万円となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」)の残高は、前連結会計年度末と比べ25億16百万円増加し、62億28百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、全体で4億48百万円の資金の減少(前連結会計年度は3億7百万円の資金の増加)となりました。主な資金の減少要因は、棚卸資産の増加額20億62百万円、法人税等の支払額5億77百万円であります。また、主な資金の増加要因は、税金等調整前当期純利益22億6百万円であります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動によるキャッシュ・フローは、全体で1億44百万円の資金の減少(前連結会計年度は11億72百万円の資金の減少)となりました。主な資金の減少要因は、短期貸付金の純増加額1億44百万円であります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動によるキャッシュ・フローは、全体で31億9百万円の資金の増加(前連結会計年度は13億23百万円の資金の増加)となりました。主な資金の増加要因は、長期借入れによる収入105億2百万円、株式の発行による収入23億49百万円であります。また、主な資金の減少要因は、長期借入金の返済による支出89億77百万円、配当金の支払額6億83百万円であります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

b.受注実績

当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

金額(千円)

前年同期比(%)

Life Platform事業

18,430,350

50.9

Finance Consulting事業

135,063

111.3

合計

18,565,413

51.2

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

東急リバブル㈱

 1,448,106

11.8

(注)当連結会計年度の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当該割合が10%未満であるため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。

連結財務諸表を作成するにあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。

 

(固定資産の減損処理)

当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。

 

②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

(売上高)

主に東京都23区内において、仲介業者との関係強化を推進しつつ、積極的かつ効率的に販売活動を展開しました。また、中古物件を取り扱うリファイニング事業の本格取組みの開始により、取り扱い物件の幅を広げることにも努めました。これらの結果、販売は好調に推移しております。売上高は、引渡し件数の増加(新築投資用IoTレジデンス販売及び開発用地販売の合計で前連結会計年度比25件増の64件)に伴う不動産販売高の増加(前連結会計年度比62億34百万円 52.0%増)により、前連結会計年度比62億88百万円増加(51.2%増)の185億65百万円となりました。

 

(売上原価、売上総利益)

売上原価は、売上高の増加に伴い、前連結会計年度比51億45百万円増加(55.2%増)の144億66百万円となりました。売上総利益は、不動産販売に係る売上総利益が前連結会計年度比10億75百万円増加(38.3%増)の38億84百万円(利益率は23.4%から21.3%と2.1ポイント減少)となったことにより、前連結会計年度比11億43百万円増加(38.7%増)の40億99百万円(利益率は24.1%から22.1%と2.0ポイント減少)となりました。

なお、当社では不動産販売の売上総利益率の目標値を18%と設定しております。当連結会計年度は、IoT対応設備を標準仕様とした物件について、顧客から高い評価を得た結果、いずれも利益率が18%を上回る利益率となり、全体として目標値を上回っております。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

販売費及び一般管理費は、人員増に伴う給料及び手当(前連結会計年度比55百万円 18.1%増)、役員報酬(前連結会計年度比29百万円 28.2%増)、販売手数料(前連結会計年度比2億1百万円 95.5%増)、租税公課(前連結会計年度比71百万円 37.1%増)、役員賞与引当金繰入額(前連結会計年度比14百万円 42.2%増)等の増加により、前連結会計年度比4億27百万円増加(34.5%増)の16億69百万円となりました。営業利益は、販売費及び一般管理費の増加を売上総利益の増加が吸収し、前連結会計年度比7億15百万円増加(41.7%増)の24億30百万円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

営業外収益は、受取利息(前連結会計年度比7百万円 494.0%増)の増加により前連結会計年度比6百万円増加(93.7%増)の13百万円となりました。営業外費用は、借入金の増加による支払利息(前連結会計年度比38百万円 29.9%増)、支払手数料(前連結会計年度比9百万円 67.5%増)の増加及び株式交付費16百万円の計上により、前連結会計年度比64百万円増加(43.1%増)の2億15百万円となりましたが、経常利益は前連結会計年度比6億57百万円増加(41.8%増)し、22億28百万円となりました。

 

(特別利益、特別損失、税金等調整前当期純利益)

前連結会計年度に投資有価証券売却益10百万円及び固定資産売却益4百万円の特別利益を計上した一方、当連結会計年度は特別損失に固定資産除却損22百万円を計上(前連結会計年度比7百万円 52.6%増)した結果、税金等調整前当期純利益は6億35百万円増加(40.4%増)し、22億6百万円となりました。

 

(親会社株主に帰属する当期純利益)

税金等調整前当期純利益の増加に伴い、法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額が合計で前連結会計年度比1億86百万円増加(38.6%増)しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度比4億49百万円増加(41.3%増)し、15億37百万円となりました。

 

なお、財政状態及びキャッシュ・フローの状況に関する分析については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。

 

③資本の財源及び資金の流動性

当社グループの資金需要のうち主なものは、販売用不動産の取得費及び開発費、ソフトウエア開発費、不動産融資資金、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入や社債の発行による調達を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金及び社債を含む有利子負債の残高は93億69百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は62億28百万円となっております。

 

④経営成績に重要な影響を与える要因

経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。

そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化、優秀な人財の確保、市場のニーズにあったサービスの展開等により、当社グループの経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。