当第2四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生、または、前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の分析
①経営成績に関する説明
当第2四半期連結累計期間(2023年3月1日~8月31日)の業績は、売上高が1,615億11百万円(対前年同期比109.4%)、営業利益72億63百万円(同110.0%)、経常利益74億1百万円(同112.1%)、親会社株主に帰属する四半期純利益53億25百万円(同122.8%)となりました。
売上高は、イオングループ内外における顧客内シェア拡大や新規受託物件の増加により増収となりました。とりわけ、営業強化によりイオングループ外の企業や団体からの受託が増加しました。セグメント別では全7事業で増収となり、中でも、エネルギーコスト上昇に伴う省エネ関連工事の受託を拡大した建設施工事業、並びに各種資材の受注を拡大した資材関連事業で2ケタ成長となりました。
営業利益は、売上高拡大に伴い増益となりました。しかしながら、人件費や原材料、物流費が高騰する中、収益性改善に向けた取り組みが不十分であったため、期初に掲げた業績予想に対しては遅れが発生する結果となりました。
[当第2四半期連結累計期間の主な取り組み]
当期は、中期経営計画(2021年度-2023年度)で掲げる「お客さま起点の経営」、「DXの推進」、「グループ経営」の3つの基本方針に則った取り組みを推進しました。
〈お客さま起点の経営〉
・営業強化によるマーケットシェアの拡大
アカウント営業や各支社・支店の地域営業により顧客への提供サービス拡大や他拠点物件の受託を推進することで顧客内シェアを拡大しました。同時に、省エネや防疫対策を含め、これまでに蓄積してきた実績やノウハウを活かしたお客さま起点の提案活動により、多種多様な施設においてサービスの提供を開始しました。
・エネルギーコスト上昇への対応
エネルギーコストの上昇が企業・団体の大きな課題となる中、当社は、電力の大規模需要家である顧客を中心に、照明のLED化や空調・熱源機器の更新といった省エネ提案を積極化しました。これにより、省エネ関連工事の受託を大幅に拡大するとともに施設の省エネ化に貢献しました。
〈DXの推進〉
・データ連携基盤「イオンディライトプラットフォーム」のアップデート
当社では、全てのお客さまに対して、それぞれの課題に最適なソリューションを提案し、効率的に提供していくためのデータ連携基盤「イオンディライトプラットフォーム※」を構築し、その利活用とアップデートを進めています。
当期は、新たに業種・物件用途別の取引分析ツールや計画修繕工事における進捗状況の可視化ツールなどの機能を追加実装することで、営業活動の効率化や機会損失の防止、工事の適切な進行管理を通じた品質向上に繋げました。
※イオンディライトプラットフォーム…施設内外から得られる各種情報を収集・分析、価値ある情報へと加工し、当社グループ各社やパートナー企業を含めたサービスネットワーク全体に共有する仕組み。
・新たな施設管理モデル「エリア管理」の展開
当社では、深刻化する人手不足に対応した持続可能な事業モデル構築を目的に、IoTなどの技術を活用し、複数の施設を効率的に管理する新たな施設管理モデル「エリア管理」を展開しています。遠隔監視機能を備えたカスタマーサポートセンター※への一部業務の集約などにより、常駐設備管理業務の省力化に取り組み、従来の常駐型個別管理から巡回を主体に複数の施設をエリア単位で管理するモデルへと移行を進めています。
当期は、新たに計39施設(累計312施設)にて省人化・無人化を実現し、常駐設備管理員約43名分(累計約210名分)のポストを削減しました。また、常駐ポスト削減に伴い、施設管理の現場で培われた専門性を更なる収益機会の拡大に繋げるため、新規受託物件や営業部門、工事部門などへと専門人材の再配置を実施しました。
※カスタマーサポートセンター(CSC)…2021年度期初より国内全国8支社配下で稼働を開始。各種システムやセンサーの活用により、複数の施設を遠隔制御するとともに、各地域でお客さまの施設情報やリクエストを集約する機能を担う。
・施設管理オペレーションの変革
当社は、「イオンディライトプラットフォーム」の更新や「エリア管理」の展開と並行して、前年度より、現場業務のさらなる生産性向上を目的に、デジタルデバイスを活用した施設管理オペレーションの変革に取り組んでいます。カメラやセンサーなどを活用し、設備点検業務や報告書作成といった定型業務を自動化するとともに、施設毎に使用電力を可視化できる仕組みを構築し、当期は新たに86施設(累計257施設)へと導入しました。
〈グループ経営〉
(国内グループ会社)
中小型施設管理の中核会社であるイオンディライトコネクト株式会社では、コンビニエンスストアや飲食店チェーンにおける新規継続契約や各種工事の受託拡大により、大幅な増収増益となりました。また、旅行関連事業を展開するイオンコンパス株式会社では、人流回復に伴い出張管理サービスや法人向け旅行事業が好調に推移し、業績を大幅に回復しました。これらの結果、国内グループ会社全体で増収増益となりました。
(中国事業)
アジア最大の成長エリアと位置付ける中国では、中核事業会社による顧客内シェア拡大や中・高級施設をターゲットとした新規受託拡大、都市開発プロジェクトへの参画を通じたファシリティマネジメント業務の集中受託などにより、堅調に事業を拡大しました。しかしながら、人件費の上昇などが影響し、営業利益は前年同期比で微減となりました。
(アセアン事業)
アセアンでは、コロナ下で停滞していた経済が回復傾向に転じたこともあり、事業を展開する各国で増収となりました。しかしながら、マレーシアにおける雇用法改正に伴う人件費上昇などの影響により、アセアン事業全体では増収減益となりました。
②当第2四半期連結累計期間における主要事業の概況
[セグメント別業績]
<売上高>
セグメントの名称 |
売上高(百万円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
設備管理事業 |
34,555 |
21.4 |
107.1 |
警備事業 |
25,421 |
15.8 |
105.4 |
清掃事業 |
35,200 |
21.8 |
104.2 |
建設施工事業 |
28,811 |
17.8 |
123.4 |
資材関連事業 |
22,993 |
14.2 |
112.4 |
自動販売機事業 |
4,904 |
3.0 |
102.6 |
サポート事業 |
9,624 |
6.0 |
107.9 |
合計 |
161,511 |
100.0 |
109.4 |
<セグメント利益>
セグメントの名称 |
セグメント利益(百万円) |
構成比(%) |
前年同期比(%) |
設備管理事業 |
2,866 |
24.6 |
101.5 |
警備事業 |
1,584 |
13.6 |
109.8 |
清掃事業 |
2,787 |
23.9 |
83.8 |
建設施工事業 |
2,376 |
20.4 |
169.1 |
資材関連事業 |
1,116 |
9.6 |
112.2 |
自動販売機事業 |
650 |
5.6 |
117.0 |
サポート事業 |
264 |
2.3 |
94.6 |
合計 |
11,647 |
100.0 |
107.5 |
<設備管理事業>
設備管理事業は、売上高345億55百万円(対前年同期比107.1%)、セグメント利益28億66百万円(同101.5%)となりました。同事業では、契約業務の新規受託や各種整備業務の受注拡大により増収増益となりました。また、収益性の改善に向けて、エリア管理の展開や施設管理業務の省力化に伴う人件費単価の見直しを推進するとともに、コスト構造の変革を目的に業務単価の見直しや一部整備業務の内製化などの取り組みに着手しました。
<警備事業>
警備事業は、売上高254億21百万円(対前年同期比105.4%)、セグメント利益15億84百万円(同109.8%)となりました。同事業では、施設警備の新規受託や安全カメラの受注拡大などにより増収増益となりました。また、収益性の改善を目的に、入退店管理、並びに閉店業務のシステム化や価格交渉を通じた単価見直しに向けた取り組みを推進しました。
<清掃事業>
清掃事業は、売上高352億円(対前年同期比104.2%)、セグメント利益27億87百万円(同83.8%)となりました。同事業では、継続契約の新規受託により増収となった一方、人件費の上昇などにより収益性が低下し、減益となりました。こうした中、SLA※への移行に向けて商業施設5店舗において実証実験を推進するとともに単価見直しに向けた取り組みに着手しました。
※SLA(Service Level Agreement)…サービス提供者と顧客の間で合意されたサービスの成果(出来栄え)に基づく契約形態。
<建設施工事業>
建設施工事業は、売上高288億11百万円(対前年同期比123.4%)、セグメント利益23億76百万円(同169.1%)となりました。同事業では、「エリア管理」による省力化を通じた体制強化により、省エネ関連工事をはじめとした各種工事の受託を拡大するとともに、各工事における仕様や工程の最適化を通じた収益性の改善により大幅な増収増益となりました。
<資材関連事業>
資材関連事業は、売上高229億93百万円(対前年同期比112.4%)、セグメント利益11億16百万円(同112.2%)となりました。同事業では、原材料や物流費が上昇傾向にある中、イオングループ内でのシェア拡大に注力するとともに、各種資材における原価上昇分の売価への適正な反映に取り組み、増収増益となりました。
<自動販売機事業>
自動販売機事業は、売上高49億4百万円(対前年同期比102.6%)、セグメント利益6億50百万円(同117.0%)となりました。同事業では、営業強化による新たな設置先の開拓などにより増収増益となりました。また、商機の拡大を目的に、冷凍自動販売機をはじめとした新たな自動販売機の展開を推進しました。
<サポート事業>
サポート事業は、売上高96億24百万円(対前年同期比107.9%)、セグメント利益2億64百万円(同94.6%)となりました。同事業では、お客さまの施設とその周辺の管理運営に関するアウトソーシングニーズに応える様々なサービスの提供拡大に取り組みました。また、旅行関連事業の寄与などにより増収となりました。一方で、仕入原価や人件費の上昇が影響し減益となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ23億6百万円減少し576億90百万円となりました。
なお、当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの主な要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税金等調整前四半期純利益の計上74億1百万円、減価償却及びのれん償却17億98百万円、売上債権の増加13億75百万円、仕入債務の増加7億89百万円、棚卸資産の増加5億47百万円、法人税等の支払20億37百万円により、49億84百万円の資金の増加(前第2四半期連結累計期間は9億23百万円の資金の増加)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、主に有価証券及び投資有価証券の取得による支出74億17百万円、有価証券及び投資有価証券の売却及び償還による収入65億3百万円、有形及び無形固定資産の取得による支出19億56百万円により、32億32百万円の資金の減少(前第2四半期連結累計期間は59億41百万円の資金の減少)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、主に配当金の支払21億円26百万円、自己株式の取得による支出25億88百万円により、45億83百万円の資金の減少(前第2四半期連結累計期間は20億66百万円の資金の減少)となりました。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4)研究開発活動
特記事項はありません。
当第2四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約等の決定又は締結等はありません。