第一部【証券情報】

第1【募集要項】

1【新規発行社債(短期社債を除く。)】

銘柄

イオンモール株式会社第40回無担保社債(社債間限定同順位特約付)

記名・無記名の別

券面総額又は振替社債の総額(円)

金50,000百万円

各社債の金額(円)

50万円

発行価額の総額(円)

金50,000百万円

発行価格(円)

各社債の金額100円につき金100円

利率(%)

年1.10%

利払日

毎年4月26日及び10月26日

利息支払の方法

1.利息支払の方法及び期限

 

(1)本社債の利息は、払込期日の翌日から償還期日までこれをつけ、2024年10月26日を第1回の利息支払期日としてその日までの分を支払い、その後毎年4月26日及び10月26日にその日までの前半か年分を支払う。

 

(2)利息を支払うべき日が銀行休業日にあたるときは、その前銀行営業日にこれを繰り上げる。

 

(3)半か年に満たない期間につき利息を支払うときは、その半か年の日割をもってこれを計算する。

 

(4)償還期日後は利息をつけない。

 

2.利息の支払場所

 

別記((注)「14.元利金の支払」)記載のとおり。

償還期限

2029年4月26日

償還の方法

1.償還金額

 

各社債の金額100円につき金100円

 

2.償還の方法及び期限

 

(1)本社債の元金は、2029年4月26日にその総額を償還する。

 

(2)償還すべき日が銀行休業日にあたるときは、その前銀行営業日にこれを繰り上げる。

 

(3)本社債の買入消却は、払込期日の翌日以降、別記「振替機関」欄記載の振替機関が別途定める場合を除き、いつでもこれを行うことができる。

 

3.償還元金の支払場所

 

別記((注)「14.元利金の支払」)記載のとおり。

募集の方法

一般募集

申込証拠金(円)

各社債の金額100円につき金100円とし、払込期日に払込金に振替充当する。申込証拠金には利息をつけない。

申込期間

2024年4月16日から2024年4月25日まで

申込取扱場所

別項引受金融商品取引業者の本店及び国内各支店

払込期日

2024年4月26日

振替機関

株式会社証券保管振替機構

 

東京都中央区日本橋兜町7番1号

担保

本社債には担保及び保証は付されておらず、また本社債のために特に留保されている資産はない。

財務上の特約(担保提供制限)

1.担保提供制限

(1)当社は、当社が国内で既に発行した、または当社が国内で今後発行する他の社債のために担保提供(当社の資産に担保権を設定する場合、当社の特定の資産につき担保権設定の予約をする場合及び当社の特定の資産につき特定の債務以外の債務の担保に供しない旨を約する場合をいう。)を行う場合には、本社債のために担保付社債信託法に基づき、同順位の担保権を設定する。

 

 

 

(2)本項第(1)号に基づき設定した担保権が本社債を担保するに十分でない場合、当社は本社債のために担保付社債信託法に基づき社債管理者が適当と認める担保権を設定する。

 

2.担保提供制限の例外

 

当社が、合併または会社法第2条第29号に定める吸収分割により、担保権の設定されている吸収合併消滅会社または吸収分割会社が国内で発行した社債を承継する場合は、本欄第1項第(1)号は適用されない。

財務上の特約(その他の条項)

担保付社債への切換

(1)当社は、社債管理者と協議のうえ、いつでも本社債のために担保付社債信託法に基づき、社債管理者が適当と認める担保権を設定することができる。

 

(2)当社が別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項または本欄第(1)号により本社債のために担保権を設定する場合は、当社は、直ちに登記その他必要な手続を完了し、かつ、その旨を担保付社債信託法第41条第4項の規定に準じて公告する。

 

(3)当社が別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項または本欄第(1)号により本社債のために担保権を設定した場合、以後、別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項及び別記(注)5(2)は適用されない。

 (注)1.信用格付業者から提供され、もしくは閲覧に供された信用格付

本社債について、当社は株式会社格付投資情報センター(以下「R&I」という。)からA-(シングルAマイナス)の信用格付を2024年4月15日付で取得している。

R&Iの信用格付は、発行体が負う金融債務についての総合的な債務履行能力や個々の債務等が約定どおりに履行される確実性(信用力)に対するR&Iの意見である。R&Iは信用格付によって、個々の債務等の流動性リスク、市場価値リスク、価格変動リスク等、信用リスク以外のリスクについて、何ら意見を表明するものではない。R&Iの信用格付は、いかなる意味においても、現在・過去・将来の事実の表明ではない。また、R&Iは、明示・黙示を問わず、提供する信用格付、またはその他の意見についての正確性、適時性、完全性、商品性、及び特定目的への適合性その他一切の事項について、いかなる保証もしていない。

R&Iは、信用格付を行うに際して用いた情報に対し、品質確保の措置を講じているが、これらの情報の正確性等について独自に検証しているわけではない。R&Iは、必要と判断した場合には、信用格付を変更することがある。また、資料・情報の不足や、その他の状況により、信用格付を取り下げることがある。

利息・配当の繰り延べ、元本の返済猶予、債務免除等の条項がある債務等の格付は、その蓋然性が高まったとR&Iが判断した場合、発行体格付または保険金支払能力とのノッチ差を拡大することがある。

一般に投資にあたって信用格付に過度に依存することが金融システムの混乱を引き起こす要因となり得ることが知られている。

本社債の申込期間中に本社債に関してR&Iが公表する情報へのリンク先は、R&Iのホームページ(https://www.r-i.co.jp/rating/index.html)の「格付アクション・コメント」及び同コーナー右下の「一覧はこちら」をクリックして表示されるリポート検索画面に掲載されている。なお、システム障害等何らかの事情により情報を入手することができない可能性がある。その場合の連絡先は以下のとおり。

R&I:電話番号 03-6273-7471

2.社債、株式等の振替に関する法律の規定の適用

本社債は、その全部について社債、株式等の振替に関する法律(以下「社債等振替法」という。)第66条第2号の定めに従い社債等振替法の規定の適用を受けることとする旨を定めた社債であり、社債等振替法第67条第2項に定める場合を除き、社債券を発行することができない。

3.期限の利益喪失に関する特約

当社は、次の各場合に該当したときは、直ちに本社債について期限の利益を喪失する。ただし、別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項または別記「財務上の特約(その他の条項)」欄第(1)号により当社が本社債のために担保付社債信託法に基づき社債管理者が適当と認める担保権を設定したときには、本(注)3(2)に該当しても期限の利益を失わない。当社は、本社債について期限の利益を喪失した場合はその旨を本(注)10に定める方法により公告する。

(1)当社が別記「利息支払の方法」欄第1項または別記「償還の方法」欄第2項の規定に違背したとき。

(2)当社が別記「財務上の特約(担保提供制限)」欄第1項の規定に違背したとき。

(3)当社が別記「財務上の特約(その他の条項)」欄第(2)号、本(注)4、本(注)5、本(注)6及び本(注)10の規定に違背し、社債管理者の指定する1か月を下回らない期間内にその履行または補正をしないとき。

(4)当社が本社債以外の社債について期限の利益を喪失し、または期限が到来してもその弁済をすることができないとき。

(5)当社が社債を除く借入金債務について期限の利益を喪失したとき、もしくは当社以外の社債またはその他の借入金債務に対して当社が行った保証債務について履行義務が発生したにもかかわらず、その履行をすることができないとき。ただし、当該債務の合計額(邦貨換算後)が5億円を超えない場合は、この限りではない。

(6)当社が、破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の申立てをし、または取締役会において解散(合併の場合を除く。)の議案を株主総会に提出する旨の決議を行ったとき。

(7)当社が、破産手続開始、民事再生手続開始もしくは会社更生手続開始の決定、または特別清算開始の命令を受けたとき。

(8)当社がその事業経営に不可欠な資産に対し差押えもしくは競売(公売を含む。)の申立てを受け、または滞納処分を受ける等当社の信用を著しく害損する事実が生じ、社債管理者が本社債の存続を不適当であると認めたとき。

4.定期報告

(1)当社は、随時社債管理者にその事業の概況を報告し、また、毎事業年度の決算、剰余金の配当(会社法第454条第5項に定める中間配当を含む。)については書面をもって社債管理者にこれを通知する。ただし、当該通知については、当社が本(注)4(2)に定める書類の提出を行った場合はこれを省略することができる。当社が、会社法第441条第1項の定めに従い一定の日において臨時決算を行った場合も同様とする。

(2)当社は、金融商品取引法に基づき作成する有価証券報告書、四半期報告書または半期報告書、確認書、内部統制報告書、臨時報告書、訂正報告書及びこれらの添付書類について、金融商品取引法第27条の30の3に基づき電子開示手続の方法により提出を行う。なお本社債発行後に金融商品取引法(関連法令を含む。)の改正が行われた場合、改正後の金融商品取引法に従って開示手続を行うものとする。

5.社債管理者への通知

(1)当社は、本社債発行後、社債原簿に記載すべき事由が生じたとき並びに変更が生じたときは、遅滞なく社債原簿にその旨の記載を行い、書面によりこれを社債管理者に通知する。

(2)当社は、当社が国内で既に発行した、または当社が国内で今後発行する他の社債のために担保提供を行う場合には、遅滞なく書面によりその旨並びにその債務額及び担保物その他必要な事項を社債管理者に通知する。

(3)当社は、次の各場合には、あらかじめ書面により社債管理者に通知する。

① 事業経営に不可欠な資産を譲渡または貸与しようとするとき。

② 事業の全部または重要な事業の一部を休止または廃止しようとするとき。

③ 資本金または準備金の額の減少、組織変更、合併、会社分割、株式交換または株式移転(いずれも会社法において定義され、または定められるものをいう。)をしようとするとき。

6.社債管理者の調査権限

(1)当社は、社債管理者が本社債権保全のために必要と認め請求した場合には、当社並びに当社の連結子会社の事業、経理、帳簿書類等に関する資料または報告書を提出しなければならない。また、同様の場合に、社債管理者は、当社の費用で自らもしくは人を派して当社並びに当社の連結子会社の事業、経理、帳簿書類等につき調査を行うことができる。

(2)本(注)6(1)の場合で、社債管理者が当社並びに当社の連結子会社の調査を行うときは、当社は、社債権者の利益保護に必要かつ合理的な範囲内でこれに協力する。

7.社債管理者の裁判上の権利行使

社債管理者は、社債権者集会の決議によらなければ、本社債の全部についてする訴訟行為または破産手続、再生手続、更生手続もしくは特別清算に関する手続に属する行為(会社法第705条第1項に掲げる行為を除く。)を行わない。

8.債権者保護手続における社債管理者の異議申述

会社法第740条第2項本文の定めは、本社債には適用されず、社債管理者は、会社法第740条第1項に掲げる債権者の異議手続において、社債権者集会の決議によらずに社債権者のために異議を述べることはしない。

9.社債管理者の辞任

(1)社債管理者は、以下に定める場合その他の正当な事由がある場合には、社債管理者の事務を承継する者(事前に当社の承認を得た者に限る。)を定めて辞任することができる。

① 社債管理者と本社債の社債権者との間で利益が相反するまたは利益が相反するおそれがある場合。

② 社債管理者が、社債管理者としての業務の全部または重要な業務の一部を休止または廃止しようとする場合。

(2)本(注)9(1)の場合には、当社並びに辞任及び承継する者は、遅滞なくかかる変更によって必要となる行為をしなければならない。

10.社債権者に通知する場合の公告の方法

本社債に関し社債権者に対し公告を行う場合は、法令に別段の定めがあるときを除き、当社定款所定の電子公告の方法によりこれを行うものとする。ただし、事故その他やむを得ない事由によって電子公告による公告をすることができない場合は、当社定款所定の新聞紙並びに東京都及び大阪市において発行する各1種以上の新聞紙(ただし、重複するものがあるときはこれを省略することができる。)によりこれを行う。また、社債管理者が社債権者のために必要と認める場合には、社債管理者の定款所定の公告方法によりこれを行う。

11.社債要項及び社債管理委託契約証書の公示

当社及び社債管理者は、その本店に本社債の社債要項及び2024年4月15日付イオンモール株式会社第40回無担保社債(社債間限定同順位特約付)管理委託契約証書の謄本を備え置き、その営業時間中、一般の閲覧に供する。

12.社債権者集会に関する事項

(1)本社債及び本社債と同一の種類(会社法の定めるところによる。)の社債(以下「本種類の社債」と総称する。)の社債権者集会は、当社または社債管理者がこれを招集するものとし、社債権者集会の日の3週間前までに社債権者集会を招集する旨及び会社法第719条各号所定の事項を本(注)10に定める方法により公告する。

(2)本種類の社債の社債権者集会は、東京都においてこれを行う。

(3)本種類の社債の総額(償還済みの額を除く。また、当社が有する本種類の社債の金額の合計額は算入しない。)の10分の1以上にあたる本種類の社債を有する社債権者は、社債等振替法第86条第3項に定める書面を社債管理者に提示のうえ、社債権者集会の目的である事項及び招集の理由を記載した書面を当社または社債管理者に提出して本種類の社債の社債権者集会の招集を請求することができる。

13.発行代理人及び支払代理人

株式会社みずほ銀行

14.元利金の支払

本社債に係る元利金は、社債等振替法及び別記「振替機関」欄記載の振替機関の業務規程その他の規則に従って支払われる。

 

2【社債の引受け及び社債管理の委託】

(1)【社債の引受け】

引受人の氏名又は名称

住所

引受金額

(百万円)

引受けの条件

SMBC日興証券株式会社

東京都千代田区丸の内三丁目3番1号

15,000

1.引受人は、本社債の全額につき、共同して買取引受を行う。

2.本社債の引受手数料は各社債の金額100円につき金50銭とする。

みずほ証券株式会社

東京都千代田区大手町一丁目5番1号

15,000

野村證券株式会社

東京都中央区日本橋一丁目13番1号

10,000

三菱UFJモルガン・スタンレー証券株式会社

東京都千代田区大手町一丁目9番2号

10,000

50,000

 

(2)【社債管理の委託】

社債管理者の名称

住所

委託の条件

株式会社みずほ銀行

東京都千代田区大手町一丁目5番5号

1.社債管理者は、本社債の管理を受託する。

2.本社債の管理手数料については、社債管理者に、期中において年間各社債の金額100円につき金2銭を支払うこととしている。

 

3【新規発行による手取金の使途】

(1)【新規発行による手取金の額】

払込金額の総額(百万円)

発行諸費用の概算額(百万円)

差引手取概算額(百万円)

50,000

442

49,558

 

(2)【手取金の使途】

 上記差引手取概算額49,558百万円は、20,000百万円を2024年5月2日に償還期限が到来するコマーシャルペーパーの償還資金に、残額を2024年10月末日までに返済期日が到来する借入金返済資金の一部に充当する予定であります。

 

第2【売出要項】

 該当事項なし

 

第3【第三者割当の場合の特記事項】

 該当事項なし

 

第4【その他の記載事項】

 該当事項なし

 

第二部【公開買付け又は株式交付に関する情報】

第1【公開買付け又は株式交付の概要】

 該当事項なし

 

第2【統合財務情報】

 該当事項なし

 

第3【発行者(その関連者)と対象者との重要な契約(発行者(その関連者)と株式交付子会社との重要な契約)】

 該当事項なし

 

第三部【参照情報】

第1【参照書類】

 会社の概況及び事業の概況等金融商品取引法第5条第1項第2号に掲げる事項については、以下に掲げる書類を参照すること。

 

1【有価証券報告書及びその添付書類】

 事業年度 第112期(自 2022年3月1日 至 2023年2月28日) 2023年5月18日関東財務局長に提出

 

2【四半期報告書又は半期報告書】

 事業年度 第113期第1四半期(自 2023年3月1日 至 2023年5月31日) 2023年7月13日関東財務局長に提出

 

3【四半期報告書又は半期報告書】

 事業年度 第113期第2四半期(自 2023年6月1日 至 2023年8月31日) 2023年10月13日関東財務局長に提出

 

4【四半期報告書又は半期報告書】

 事業年度 第113期第3四半期(自 2023年9月1日 至 2023年11月30日) 2024年1月12日関東財務局長に提出

 

5【臨時報告書】

 1の有価証券報告書提出後、本発行登録追補書類提出日(2024年4月15日)までに、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第9号の2の規定に基づく臨時報告書を2023年5月19日に関東財務局長に提出

 

第2【参照書類の補完情報】

 参照書類としての有価証券報告書及び四半期報告書(以下「有価証券報告書等」という。)に記載された「事業等のリスク」について、当該有価証券報告書等の提出日以後、本発行登録追補書類提出日(2024年4月15日)までの間において生じた変更その他の事由はありません。以下の内容は、当該有価証券報告書等に記載された「事業等のリスク」を一括して記載したものであります。

 また、当該有価証券報告書等には将来に関する事項が記載されておりますが、そのうち参照書類である有価証券報告書の「第一部 企業情報 第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)中期的な会社の経営戦略及び会社の対処すべき課題」中「2025年にめざす姿」に記載の連結営業利益等の各目標値については2024年4月9日付で修正しております。当該事項を除き、本発行登録追補書類提出日現在においても変更の必要はないと判断しております。なお、当該将来に関する事項については、その作成時点での予想や一定の前提に基づき判断したものであり、その達成を保証するものではありません。

 

[事業等のリスク]

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資家の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しています。ただし、将来の業績や財政状態に与えうるリスクや不確実性は、これらに限定されるものではありません。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年5月18日)現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の「(1)リスクマネジメント推進体制」に関する記載については、2023年5月21日より導入する執行役員制度に基づく内容を反映しています。

 

(1)リスクマネジメント推進体制

 当社は、当社グループの損失の危険の管理に関する規程その他の体制として、リスク管理の最高責任者を代表取締役社長、各ユニットの責任者を担当取締役、各ユニット配下の各統括部の責任者を担当執行役員としています。リスク管理の執行と監督の分離を行うことで、事業の継続と人命の安全を確保するための体制と環境の整備のさらなる強化を図っています。また、危機の未然防止および危機発生時の被害最小化を目的とした「経営危機管理規則」を策定し、リスクの減少および被害の低減に努めています。

 具体的には、当社グループに与える影響の高いリスク項目を選定し、項目毎に対応する主管部門を定め、当該部門がリスク対策のPDCAサイクルを行い、担当執行役員がその実行を担い、担当取締役がその状況・効果をモニタリングすることで、当社グループ全体の損失の危険を管理することを通じ、ブランド価値の毀損防止はもとより、企業価値の向上にも努めていきます。

 さらに、緊急かつ重大な損失の危険が発生した場合は、「経営危機管理規則」に基づき適切な情報伝達および意思決定を行い、被害を最小限に止めるなどの的確な対応を行います。

 

■リスク管理委員会の設置・活動概要

 当社では、当社グループ全体のリスク管理運営状況の把握、リスク管理体制の持続的な見直し等リスク管理体制の維持向上を目的に、取締役管理担当を委員長とするリスク管理委員会を以下のとおり設置しています。リスク管理委員会では、リスク状況の分析、リスク回避のための継続的な活動並びに代表取締役社長への意見具申およびリスクマネジメント推進体制に関わる課題、対応策の審議を行います。また、重大インシデント等に対応するリスク対策についても、リスク管理委員会での議論を通じ、実効性の高い対策へ繋げています。

 さらに、地震等の即時判断が必要なクライシスについては、別途、対策本部を設置し、迅速かつ的確な初期対応を行うとともに、事態の拡大防止と早期収束に対応します。

 リスク管理委員会は年5回程度開催しており、年度初め(3月)に、昨年度の取組内容および本年度の取組方針について、取締役会へ報告しています。なお、国内外子会社においても株式会社OPAおよび海外現地法人については国別にリスク管理委員会が設置されており、その審議内容は当社のリスク管理委員会へ情報共有されています。

 当社のリスク管理委員会の構成メンバーは以下の通りとなります。

・委員長:取締役管理担当

・委員 :A)経営危機管理規則に定めるリスク対応主管部門の所属長

B)委員長が指名する者

・事務局:法務部

(注) 委員については、リスク管理体制の実効性向上を図るべく、当社グループに与える影響の高いリスク項目において、平常時のリスク予防とリスク発生時に事態を主体的に対応する部門の責任者を選定しています。

 

<リスクマネジメント推進体制図>

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■リスクマネジメントプロセス

 当社のリスク管理を行うにあたり、さまざまなリスクがある中で、効率的で効果的な管理を行うため、特に当社グループに影響を与えるリスク項目を特定し、そのリスク管理の体制をリスク管理委員会より代表取締役社長へ提言します。その後、各リスク項目の対応主管部門を選定し、当該部門がリスク対策の立案・実施と振り返りを担当執行役員と行うと共に、リスク管理委員会、担当取締役や内部監査が執行機関の実施状況のモニタリングを行い、リスク対策の実効性を評価します。

 なお、特定した各リスク項目における対応主管部門のリスク対策の検討・進捗状況については、リスクの性質毎に経営戦略リスク、コンプライアンスリスク、その他のリスクの3つに区分して管理します。経営戦略リスクに関しては、重要な政策・経営課題について議論、意見交換を行う経営戦略諮問委員会において、テーマ毎に考え方や取り組みの方向性を検討する際に留意するとともに、その区分に応じて担当執行役員を定め、当該執行役員より四半期毎にリスク対策の進捗状況を取締役会に報告します。

 コンプライアンスリスクはコンプライアンス委員会にて、その他のリスクはリスク管理委員会にて同様に報告され、必要に応じリスク対策の内容・進捗について議論を行います。各リスク項目のリスク対策は、最終的に全てリスク管理委員会にて集約し管理します。

 リスク対策の実施については、リスク対応主管部門より社内承認を経て、決定し実行します。

 

<リスクマネジメントプロセス図>

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■リスクの特定

 リスクの特定については、その性質により、当社グループに影響を与えるリスクを絞り込みます。特定の方法については次の通りです。

・リスクの洗い出し

取締役、監査役、執行役員、従業員に対しリスクサーベイ(アンケート・ヒアリング)を実施し、定量的かつ定性的評価を実施。

・リスクマップによるリスク評価と特定

リスクサーベイの結果から、リスクの発生頻度と被害・影響の大きさを軸にリスクマップを作成。リスクを評価し、対策を行うべきリスクを特定。

・優先対策リスクマトリクスによる対策優先度の設定

特定されたリスクに対する既存の対策状況を踏まえ、対策の必要性を基に優先対策リスクマトリクスを作成し、優先対策すべきリスクを特定。

 上記について、従来当社ではリスクサーベイを通じリスクを具体的に特定し、当該リスクへの対策を行っています。2021年度にリスク状況の見直しとして改めてリスクサーベイを実施し、その結果91項目のリスクを特定・更新し、現在はそのリスク対策を行っています。なお、リスクサーベイの実施頻度は、中長期の経営計画に反映させることを目的に、数年単位での事業変化を踏まえ定期的に実施する予定としています。また、刻々と変化する事業環境に対応するため、リスクサーベイを実施しない年度においても1年に1度、定期的にリスク管理委員会においてリスク項目・リスク評価の見直しを行う体制とし、また随時インシデントの発生など環境変化に合わせ優先対策すべきリスクを更新しています。

 

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(2)事業等のリスク

 当社は、国内・海外における最新の事業環境を踏まえ、当社グループの事業活動に影響を与える可能性があり、かつ全社的に管理すべきリスクを洗い出しています。リスクマップによるリスク評価および優先対策リスクマトリクスによって特定したリスク項目の内、リスク評価および対策必要性のいずれもが高いリスク項目を、リスク管理委員会における検討を経て、以下の通り分類しています。

分類

リスク項目

リスク評価

対策必要性

事業戦略リスク

① 事業環境の変化に関するリスク

② 不動産開発および投資に関するリスク

③ 人材の確保と育成に関するリスク

④ ガバナンスに関するリスク

財務関連リスク

⑤ 減損リスク

⑥ 資金調達・金利変動・為替変動に関するリスク

オペレーションリスク

⑦ 自然災害・事故・テロの発生に関するリスク

⑧ 戦争・内乱・クーデターの発生に関するリスク

⑨ 感染症拡大に関するリスク

⑩ 情報セキュリティに関するリスク

 

<事業戦略リスク>

① 事業環境の変化に関するリスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

(国内・海外における事業環境)

 当社グループを取り巻く事業環境は、海外においては高い経済発展に伴う小売市場の高い成長性が見込まれる一方、国内外での競合ディベロッパーによる出店加速、世界規模での経済不況による成長減速の懸念等が考えられます。

 国内においては、人口減少や少子高齢化に伴う人口動態や家族構成の変化に加え、Eコマースやシェアリングエコノミーのさらなる進展、消費の二極化など、新型コロナウイルス感染症がもたらした影響もあり、消費行動の変化は加速的に進んでいます。

 さらに、デジタル技術、特にAI等の技術発展により社会のあり方や人の働き方も含めた変化はさらに加速し、また情報セキュリティ面でのリスク管理の重要性も拡大していくことが見込まれます。こうした事業環境の変化に当社が十分に対応できなかった場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(テナント企業における動向)

 当社グループが管理・運営するモールの主要テナントは小売・サービス企業であり、景気や個人消費の動向に影響を受けやすい傾向にあることから、経済情勢が悪化した場合や、他の不動産ディベロッパーや小売企業との競争が激化した場合には、テナントのリーシング条件の悪化や空床区画が増加する等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(サステナビリティ課題への対応)

 気候変動への対応、生物多様性の保護といった環境課題や、人権の尊重、従業員の労働環境への配慮、公正・適正な取引慣行といった社会課題など、サステナビリティを巡る課題への対応強化が不可欠となっていますが、これらの課題に対し十分に対応できなかった場合には、お客さま、地域社会、パートナー企業さま、従業員、株主・投資家さま等のステークホルダーからの当社に対する支持が低下し、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

対策

(国内・海外における事業環境)

 当社グループは、「国内外におけるリージョナルシフトの推進」、「ヘルス&ウエルネスプラットフォームの創造」の2つを取組方針とし、ステークホルダーに対して経済価値、社会価値、環境価値を創出する「真の統合型ESG経営」の実現により持続可能な成長をめざしています。

 海外においては、社会インフラ整備を柱とした経済政策がすすめられていることから、当社では都市化が進展し、街づくりが進められているマーケット成長性が高いエリアにおいて物件開発を推進し、新規出店を進めています。日本で培ったモールの管理・運営ノウハウやDXの取り組みを活かした競争力のあるモール開発により、競合ディベロッパーとの差別化を図っています。

 国内においては、大きく変化する環境変化を事業改革の機会と捉え、変わりゆく地域の課題やお客さまの価値観、潜在的なニーズへの対応に加え、パートナー企業の皆さまの経営課題に応えるべく、既存のビジネスモデル改革を推進していくことで、新たな顧客創造による集客力強化と収益性向上を図っていきます。

 また国内外においては、変化のスピードが速く不確実性の高い時代であることを踏まえ、既存事業の発展のみならず、新たな価値創造に向けた事業創出に注力し、事業領域の拡大に向けた取り組みを推進していきます。

 デジタルに関しては、お客さま一人ひとりのニーズに新たな価値を提供すべく、イオンモールアプリおよびイオングループが持つデータ資産を活用したマーケティング戦略に取り組んでいます。また、プライバシーやセキュリティを担保しつつ、AI等のデジタル技術の活用により、当社従業員のみならず専門店企業を含めたパートナー企業の皆さまの生産性向上を実現していくことで、新たな働き方の確立をめざしていきます。

 

(テナント企業における動向)

 リーシング面では、国内外におけるテナント企業とのリレーションシップを活かし、新規テナントの誘致や新たな業態開発等による付加価値の提供を通じて、お客さまにとって魅力あるモールづくりを推進しています。

 

(サステナビリティ課題への対応)

 サステナビリティを巡る課題への対応としては、当社はSDGsと日本および海外における社会課題を考慮したマテリアリティ分析を実施、ステークホルダーおよび自社にとっての重要度を評価し、ESG視点での重要課題として5分野10項目からなるマテリアリティを定めています。全社で課題を共有し、ステークホルダーの皆さまとの共創を通じて課題解決に向けた施策を推進することで、「真の統合型ESG経営」の実現をめざしていきます。

 

② 不動産開発および投資に関するリスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

 当社グループでは、市場調査、用地選定、用地確保に向けた地権者との交渉から法的手続き、モールや複合施設の建設、テナント募集を経て開店に至るため、モールや複合施設等の不動産開発にかかる期間が長期にわたり、かつ投資が多額となるため、投資回収までは一定の期間を要します。天候不順、自然災害、開発地域の環境汚染、許認可の取得遅延、地域住民との調整等により、開発スケジュールに遅延が生じた場合、また、不動産価格や建築コストの上昇により不動産の取得および賃借にかかるコストが増加した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 同様に、既存店舗に対するリニューアルを中心とした投資においても、リニューアル実施にかかる期間が長期にわたり、かつ投資が多額となるため、投資回収までは一定の期間を要します。リニューアルスケジュールの遅延や建築コストの上昇に伴いリニューアルコストが増加した場合には、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また今後、モール築年数の経過に伴い、空調や熱源機器等の施設・設備が老朽化した場合には、故障・事故の発生可能性が増すとともに、修繕コストが増加することで、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

 当社グループでは、将来の新規開発物件やリニューアル物件におけるスケジュール遅延を防止するため、各部門間で連携しながら進捗管理を実施するとともに、国内外の新規出店およびリニューアル等の投資採算計画に関する責任部門を明確にし、収益・コスト面で最適なプランの策定やコスト圧縮策の検討を行っています。こうした厳格な投資採算基準による運用のもと、損益計画の妥当性および投資回収の実現性を取締役会、経営会議で審議した上で、事業を推進する体制を整えています。モール築年数の経過に伴う修繕コスト増加に対しては、一定年数を経過したモールを中心に修繕ルールを定め、安全・安心を最優先に計画的に対応しています。

 

③ 人材の確保と育成に関するリスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

 当社グループは、国内事業および成長ドライバーである中国・アセアンにおける海外事業の事業拠点拡大と収益力強化に向けた基盤づくりを推し進めており、グローバルな視点で高いマネジメント能力やリーダーシップを発揮できる人材の確保・育成が必要となります。

 特に国内では、少子高齢化の進展に伴う労働人口の減少等の影響もあり、事業拡大に必要な人材の確保・育成が計画通りに進まない場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

 当社グループでは、人材こそが持続的成長を実現していくための最大の経営資源であるという考えのもと、多様な人材が健康で能力を発揮し続けられる企業をめざし、人的資源への投資により成長戦略を推進しています。

 急速な社会変化に対応し、ビジネスモデルを革新していくためにダイバーシティ経営を推進しており、多様な従業員が個性や能力を発揮し活躍できる制度や職場環境の整備を進めています。

 教育面では、従業員の職位や成長度合いに応じた研修や、海外事業の将来を担う人材育成のための国内・海外間における活発な人材交流を行うほか、将来の経営幹部候補人材の育成プログラムやキャリア開発の機会(イオンビジネススクール)等、様々な人材育成・教育プログラムを整備しています。

 人員の異動配置においても社員の自律的なキャリア形成を促し、日々の業務へのモチベーション向上のため、社内公募制度の拡大を図っています。

 取締役・監査役に対しては、より高いリーダーシップと経営戦略を培う能力開発や、コンプライアンス、ガバナンスの知識向上のために経営幹部対象のトレーニング機会を提供しています。また、経営者候補の育成においては、経営責任者として必要な基準やキャリアプラン、育成方針・計画などについて、透明性・公正性を確保するために、独立社外役員を中心に構成する指名・報酬諮問委員会で協議を行っています。

 

④ ガバナンスに関するリスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

(当社グループにおけるガバナンス)

 取締役会が十分かつ適切な情報を得られず、業務執行部門に対する監督が機能不全に陥ることで、企業理念や経営戦略に即した経営判断がなされなかった場合や、職務権限規程や決裁・承認プロセスにおける不備等によってチェック・けん制機能が適切に機能しない状況が生じ、重大な事件や不祥事が発生した場合等、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループにおけるガバナンスが十分に機能しないことで、グループ子会社の業務を把握できないこと等を背景とした重大な事件や不祥事の発生、買収・合併時においてシナジーが発揮できない等、子会社の業績が著しく悪化した場合、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。

 

(イオン株式会社および同社の関係会社との取引におけるガバナンス)

 当社グループは、イオン株式会社(以下、「同社」)および同社の連結子会社等(以下、「イオングループ各社」)により構成する企業グループに属しており、親会社である同社との緊密な関係を活かして、ショッピングモールの管理・運営を行っています。

 親会社である同社と当社グループの少数株主との間には潜在的な利益相反の関係があり、同社からの独立性が十分に確保できず、同社との取引条件が少数株主の権利や利益を毀損する条件となった場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、モールの開発においては、集客力のある核テナントの役割は非常に重要であり、今後、当社グループが開発するモールに関して、同社子会社であるイオンリテール株式会社等が運営する総合スーパー「イオン」「イオンスタイル」が核テナントとなることが予想されます。同社およびイオングループ各社の実績、出店方針、既存店の廃止方針等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

対策

(当社グループにおけるガバナンス)

 当社の取締役会は、取締役11名中5名を独立社外取締役で構成しており、様々な分野において豊富な経験と高い見識を有する社外取締役から意思決定における妥当性・適正性を確保するための助言・提言を得て審議を進めています。また、2023年5月21日より執行役員制度を導入し、経営の監督と業務執行を分離し、取締役による監督機能の強化を図っていきます。

 当社はコンプライアンス経営を重視し、職務執行においては「贈賄防止基本規則」や「ハラスメント防止規則」等を遵守するとともに、取締役管理担当を委員長とするコンプライアンス委員会を設け、法令、定款および社内規定等の遵守状況の確認と改善策について審議を行い、重要案件については取締役会に報告しています。

 子会社管理においては、関係会社管理規則に基づき承認事項を確認し、権限規則に則り承認手続きを行っており、子会社との取引においては「関連当事者取引管理規則」に則り取引条件の客観性を確保しています。さらに、子会社における職務執行の効率性を確保するための体制として、当社の取締役会において子会社を含めた当社グループの中期経営計画、年度経営目標および予算配分等を承認し、四半期ごとにそれらに沿った事業戦略および諸施策の進捗状況を検証するとともに、その他重要な情報について報告を受けます。

 

(イオン株式会社および同社の関係会社との取引におけるガバナンス)

 当社では、支配株主と少数株主との利益が相反する重要な取引・行為の監督を目的として、2021年11月に独立社外取締役のみで構成する構成するガバナンス委員会を設置、2022年度は9回開催しました。これらの取引・行為については、その重要性に応じて同委員会で審議・検討を行い、当社の企業価値向上の観点から当該取引の公正性および合理性が確保されていることを検証したうえで取締役会での審議を経て承認を得ることとしており、監督機能がより強化されています。また、同社を含めた関連当事者間の取引においては、「関連当事者取引管理規則」に則り、取引条件の客観性を確保しています。

 また、当社は、日常の事業運営にあたっては、独自の経営判断に基づき遂行しつつ、事業運営における重要な問題については、同社との協議もしくは同社への報告を行っています。同社ならびにイオングループ各社とは、相互に自主・独自性を十分に尊重しつつ綿密な連携を保ちながら、持続的な成長、発展、業績の向上に努めています。

 当社グループがモール開発を進める上で、核テナントに「イオン」「イオンスタイル」を誘致することは、安定的な賃料収入が見込める、平日における来店動機となる、有事の際に防災拠点としてグループ総力を挙げた対応が可能である等の面でメリットがあります。なお、当社グループの営業収益に対するイオンリテール株式会社の占める比率は2023年2月期9.5%であり、イオンリテール株式会社以外の「イオングループ各社」の合計が占める比率は同11.2%であります。

 

<財務関連リスク>

⑤ 減損リスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

 当社グループが保有する事業用固定資産については、経営環境の著しい悪化、テナント退店による空床の拡大等により各モールの営業損益の赤字が続いた場合や、保有する土地の市場価格が著しく下落した場合、または金利変動等により割引率が上昇した場合等において、減損損失が発生することにより、当社グループの経営成績および財政状態、信用力に影響を及ぼす可能性があります。

対策

 当社グループは、想定されるリスクシナリオを把握・分析したうえで、収益・コスト面で最適なプランを策定しており、一定額以上の投資案件については、損益計画の妥当性および投資回収の実現性を取締役会、経営会議で審議し、投資採算計画の精度向上に努めています。

 開業後のモールについては、営業状況について全社ベースの会議体にて検証を行っている他、開業後一定期間経過後のモールについて、投資採算の実績検証結果を取締役会に報告しています。減損の懸念があるモールに対しては、定期的にモニタリングする体制を構築し、業績や施策の進捗状況を確認し経営会議に報告しています。また、対策プロジェクト(バリューアッププロジェクト)チームを組成し、主に収益改善に向けた施策の実行により、減損リスクの削減に努めています。

 

⑥ 資金調達・金利変動・為替変動に関するリスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

 当社グループは、成長戦略に基づくモール開発にかかる資金を、主に金融機関からの借入や社債発行、リース活用、増資等により調達しており、金融市場の混乱や当社グループの事業見通しの悪化、信用力の低下等の要因により、当社グループの望む条件にて適時に資金調達が実施できない可能性があります。なお、市場金利が上昇した場合には、モール開発にかかる資金および借り換え時における資金調達コストの増加、リース活用時における物件オーナーへの支払賃料の上昇等により、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 また、当社グループは、今後の成長ドライバーである中国・アセアンにおける海外事業を拡大しており、海外の開発物件における資材調達等、外貨建て取引が増加していることから、為替相場変動の影響を受けるため、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

 当社グループは、原則、固定金利による資金調達を実施しており、為替変動リスクの一部については為替予約および通貨スワップによるヘッジを実施しています。また、資金調達(借入)先および資金調達手段の多様化を進めつつ、有利子負債残高のコントロール等による信用格付の維持・向上に努め、必要な資金調達枠を確保するとともに、調達環境が急変した状況においても必要な運転資金を即時に調達できるようにコミットメントラインを設定しています。

 

<オペレーションリスク>

⑦ 自然災害・事故・テロの発生に関するリスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

 当社グループは、国内外で事業を展開していることから、出店する国・エリアにおいて、大規模地震、台風、集中豪雨等の自然災害や、火災・停電等の人為的な事故、あるいは人命を危機にさらす暴動・テロ等の発生により、当社グループが管理・運営するモールに毀損、焼失、劣化等の甚大な被害が生じ、休業を余儀なくされた場合、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

 当社グループでは、自然災害や疫病・事故等に対応する「経営危機管理規則」および経営危機関連諸規定の整備・周知徹底、大規模地震やテロ活動を想定した対策訓練を警察・消防等の行政機関と連携して実施、有事の際に損害を最小限に抑えるためのリスク対応体制の整備・強化を継続的に実施しています。

 建物・設備面の対策としては、耐震補強の実施や防煙垂れ壁のシート化等による大規模地震発生時の被害軽減対策、水害による浸水可能性があるモールには止水板の設置等の対策を講じています。

 また、当社グループは、運営する全モールを対象とする火災保険、災害(除く地震)による罹災時の喪失賃料等を補償する利益保険、地震・津波による損害を補償する地震保険についてイオングループ合同の保険に加入し、リスクが顕在化した際の補償の確保に努めています。

 

⑧ 戦争・内乱・クーデターの発生に関するリスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

 当社グループは、国内外で事業を展開していることから、出店する国・エリアにおける戦争・内乱・クーデター等が発生すると、当社グループが管理・運営するモールに毀損、焼失、劣化等の甚大な被害が生じる可能性があります。その場合、長期間にわたるモールの休業、国内外におけるテナント撤退に伴う空床拡大、被害を受けたモール再建にかかるコスト等が発生することにより、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

 当社グループでは、特に海外での事業展開にあたっては、出店国・エリアの政府や現地企業等との提携により事業を推進することが多く、相手先との緊密なコミュニケーションを通じた情報収集に努めています。

 また、「経営危機管理規則」、「緊急事態対応マニュアル」等の各種規定やマニュアルの整備を完了し、インシデントを基にした改訂を実施しています。また、各国におけるBCP(事業継続計画)に基づく訓練の実施、危機管理に関する従業員への教育等の対策を講じることで、有事においても適切な対応を実現する体制の維持・向上に努めています。

 

⑨ 感染症拡大に関するリスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

 当社グループは、国内外でモール事業を展開しており、出店国・エリアにおいて大規模かつ深刻な感染症が流行した場合、各国政府や自治体によるロックダウン(都市封鎖)や活動自粛要請等により外出機会が減少し、お客さまの価値観や消費行動が変容する可能性があります。また、当社グループが管理・運営するモールにおいて、臨時休業や営業時間の短縮、出店計画の変更を余儀なくされる等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

 当社グループでは、感染防止対策として、お客さま、テナントおよび当社従業員の健康と生活を守り、お客さまとともに地域社会の安全・安心な生活を守ることを目的とし制定したイオンの防疫対策等の基準「イオン新型コロナウイルス防疫プロトコル」に基づき、徹底した感染防止対策のもと、モール館内の環境改善やモールオペレーション体制による管理・運営を行っています。なお、新型コロナウイルス感染症については国内外において概ね収束状況にあり、各国ではポストコロナにおける生活スタイルへの移行が進んでいます。今後、新たな変異ウイルス発生に伴い感染症が再拡大する可能性も踏まえ、今後も科学的なアプローチによる分析をもとに、有効な防疫対策を都度検証しながら改善を進めています。

 お客さまの価値観や消費行動の変容に対しては、新常態(ニューノーマル)における新たなモールコンセプトやサービス機能の提供等、従来のビジネスモデルからの変革を進めていく好機ととらえ、国内外において社会変化に対応したモールづくりに取り組んでいます。

 また、従業員が健康かつ安全に働くことができるように、検温等による体調管理の徹底や在宅勤務の推進により感染拡大防止に努めています。さらに、TV会議システムの活用やリモートワークの環境整備等により業務効率化を推進し、働き方改革の実現に向けた取り組みを進めています。

 

⑩ 情報セキュリティに関するリスク

リスク評価

対策必要性

リスクシナリオ

 当社グループでは、DX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進等、事業活動における情報システムの重要性は非常に高まっており、大規模な自然災害等によりデータセンターが被災し情報システムに障害が生じた場合、事業活動の継続に支障をきたす可能性があります。

 また、サイバー攻撃による被害や不測の事態の発生可能性は高まっており、お客さまや従業員などの個人情報や業務上の機密情報等の外部流出や改ざん等が発生した場合、当社グループの社会的信用の低下および損害賠償による多額の費用負担が生じる等、当社グループの経営成績および財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

対策

 情報システムの停止リスクに対しては、主に稼働しているデータセンターに加え、遠隔地にバックアップのデータセンターを待機稼働しています。メインのデータセンターに障害が発生した場合も復旧可能な体制を整備しており、当社グループで運用中のBCPを更に強化し、大規模な自然災害等による当社グループの事業への影響の極小化を図っています。

 情報の外部流出・改ざん等のリスクに対しては、サイバー攻撃対策として、業務用端末へのウイルス対策ソフトの導入、ネットワーク通信ログの収集ツールの導入、業務用端末における外部記憶媒体の利用制御等を実施しています。また、運用面では、外部システムを導入する際の担当部門によるセキュリティチェックの定期的な実施や、利用アプリケーション等への最新セキュリティパッチの適用、従業員への情報セキュリティ教育の実施、定期的な情報システムのセキュリティチェック等の対策を講じています。

 

第3【参照書類を縦覧に供している場所】

イオンモール株式会社本店

(千葉市美浜区中瀬一丁目5番地1)

株式会社東京証券取引所

(東京都中央区日本橋兜町2番1号)

 

第四部【保証会社等の情報】

 該当事項なし