当社は、2024年4月8日開催の取締役会において、当社の普通株式(以下「当社株式」といいます。)を併合すること(以下「本株式併合」といいます。)を目的とする、2024年5月16日開催予定の当社臨時株主総会(以下「本臨時株主総会」といいます。)を招集することを決議いたしましたので、金融商品取引法第24条の5第4項及び企業内容等の開示に関する内閣府令第19条第2項第4号の4の規定に基づき、本臨時報告書を提出するものであります。
当社が2024年2月5日に公表した「Jump Life株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」及び2024年3月11日に公表した「(変更)「Jump Life株式会社による当社株式に対する公開買付けに関する意見表明のお知らせ」の一部変更について」(以下「本意見表明プレスリリース」と総称します。)においてお知らせいたしましたとおり、Jump Life株式会社(以下「公開買付者」といいます。)は、株式会社東京証券取引所(以下「東京証券取引所」といいます。)スタンダード市場に上場している当社株式の全てを取得することにより、当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的とした取引(以下「本取引」といいます。)の一環として、2024年2月6日から2024年3月26日までの33営業日を公開買付けにおける買付け等の期間(以下「公開買付期間」といいます。)とする当社株式に対する公開買付け(以下「本公開買付け」といいます。)を実施いたしました。
そして、当社が2024年3月27日に公表した「Jump Life株式会社による当社株式に対する公開買付けの結果並びに親会社及び主要株主である筆頭株主の異動に関するお知らせ」(以下「本公開買付け結果プレスリリース」といいます。)に記載のとおり、公開買付者は、本公開買付けの結果、本公開買付けの決済の開始日である2024年3月29日付で、当社株式10,053,058株(所有割合(注1):87.86%)を所有するに至りました。
(注1)「所有割合」とは、当社が2024年2月5日に提出した「2024年3月期 第3四半期決算短信〔日本基準〕(連結)」(以下「当社第3四半期決算短信」といいます。)に記載された2023年12月31日現在の発行済株式総数(11,450,398株)から、当社第3四半期決算短信に記載された当社の保有する自己株式数(但し、同日現在の監査等委員でない取締役(社外取締役を除きます。)を対象とする株式報酬制度に係る信託が所有する当社株式(68,384株)を除きます。以下同じです。)(8,142株)を控除した株式数(11,442,256株(以下「自己株式控除後発行済株式総数」といいます。))に対する割合(小数点以下第三位を四捨五入しております。)をいい、以下同じとします。
本意見表明プレスリリースにてお知らせしましたとおり、食品業界は、国内の人口減少や少子高齢化に伴う市場規模の縮小、気候変動による天然素材の安定調達不安など厳しい環境下にあると認識しております。国内市場規模の縮小は今後も見込まれていることから、新たな市場を開拓することが重要な経営課題であると認識しており、また、安定した事業運営のために、個体数の減少や魚体の縮小に起因する漁獲高の減少に伴う原料の調達懸念を調達先の多様化により極小化することも重要な経営課題であると認識しております。また、消費者向け製品の多様化や差別化がより一層促進されていることから、原料素材メーカーとして、消費者ニーズの多様化に対応可能な体制構築が求められております。一方、国外ではASEANをはじめとするアジア諸国の経済が引き続き拡大していくことが予想され、日本食の拡大と健康志向の高まりをみせており、上記のとおり国内市場の規模の縮小が見込まれている状況においては、アジア諸国の旺盛な需要を取り込むことが当社の事業規模の拡大において重要であると認識しております。
こうした状況も踏まえて、当社は2022年5月23日付で「価値創造の加速」をビジョンとした2025年3月までの3ヵ年中期経営計画を公表し、①安全・安心の向上、②国内事業(調味料、機能性)の強化、③海外展開の加速、④新たな事業分野の創出の4つを基本戦略として事業運営を行ってまいりましたが、従前より認識していた国内人口の減少・少子高齢化に伴う市場縮小に加えて、当社の事業基盤である水産資源の減少や昨今の原材料高、エネルギー価格の高騰など、当社を取り巻く経営環境は一層厳しさを増しております。また、原材料高やエネルギー価格の高騰などを補う目論見で実施していた価格改定についても、原材料高やエネルギー価格の高騰が継続する中、断続的な値上げについて顧客からの理解が得られにくくなっており、交渉が想定どおりに進捗しない状況が当社業績の一時的な下押し要因となっております。このような状況を踏まえ、2023年8月4日に2025年3月期の定量目標を取り下げ、2027年3月期の定量目標である「連結売上高15,006百万円、連結営業利益495百万円及びROE1.9%」を新規で策定の上、公表しております。このような厳しい経営環境の中で、中長期的な企業価値向上を実現するためには、更なる大胆な経営改革が必要だと認識しております。具体的には、当社事業の強化に必要な設備投資をより迅速に行うことや、市場拡大が想定される中食・外食向けの商品開発体制の構築及び商品開発の加速、旺盛な需要が期待できる海外展開の加速、事業運営上重要である天然由来の水産系原材料の仕入れ体制を強化する観点での垂直統合、当社の企業価値向上に資する企業との提携等が必要だと考えております。
また、このような状況と並行して、当社は、2019年8月頃より、断続的に非公開化を含めた当社の資本施策や企業価値向上に向けた経営資源の最適配分などについて議論してまいりました。2020年2月には、東京証券取引所から市場区分の見直しに関する概要が公表され、2021年度中に新市場区分の選択が必要となり、当社内でも経営資源の最適配分や上場企業であることの意義等、新市場区分選択に関する議論がなされ、その際にも非公開化は選択肢のひとつとして議論されておりました。当該市場区分見直しにおいて、当社は最終的に東京証券取引所スタンダード市場への移行を選択し、現在に至りますが、非公開化を含めた資本施策は当社の経営課題となっていました。
このように、市場規模の縮小や原料調達への懸念といった経営環境が厳しさを増す状況の下、当社は、2023年3月下旬、当社が今後も成長し、中長期的に企業価値を高めていくためには、当社の企業価値向上のための取り組みに対して付加価値を提供し、当社の中長期的な成長を促進してくれることが期待できる戦略的パートナーの下、当社株式を非公開化し、株式市場からの短期的な業績期待に左右されない状況下で、十分な事業投資を行い、かつ大胆な経営改革を行うことが経営上の合理的な選択肢であるという考えに至り、戦略的パートナーの探索を開始することにいたしました。また、戦略的なパートナーの探索に際して、2023年3月下旬に森・濱田松本法律事務所をかかる取引に関するリーガル・アドバイザーに、同年5月上旬にフロンティア・マネジメント株式会社を当該取引に関するファイナンシャル・アドバイザーに、それぞれ選任いたしました。
その後、当社は、入札プロセスを実施し、J-STAR株式会社から受けた提案を検討することが最善であるとの結論に至り、株式会社YJホールディングスが東京証券取引所スタンダード市場に上場している当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得することにより、当社を完全子会社化することを目的とした一連の取引(以下「前回取引」といいます。)を実施することにより、株式市場からの短期的な業績期待に左右されない状況下で、十分な事業投資を行い、かつ大胆な経営改革を行うことが可能になる等、前回取引は企業価値向上に資するものであると判断するとともに、前回公開買付価格についても、妥当なものであり、前回取引の一環としての公開買付け(以下「前回公開買付け」といいます。)は当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
以上の経緯のもと、当社は、2023年8月4日に、前回公開買付けに対して賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、前回公開買付けへの応募を推奨することを決定いたしましたが、前回公開買付けに応募された株券等の数の合計は3,018,668株となり、買付予定数の下限(7,628,600株)に満たなかったため、前回公開買付けは不成立となりました。
その後、当社は、前回公開買付けの結果も踏まえ、当社の企業価値向上のための施策について検討を行っておりましたが、当社を取り巻く経営環境は引き続き厳しい状況にあることから、前回取引の実施を決定した際の当社の考えに変更はなく、企業価値向上策の一つとして、当社の企業価値向上のための取り組みに対して付加価値を提供し、当社の中長期的な成長を促進してくれることが期待できる戦略的パートナーの下、当社株式を非公開化し、株式市場からの短期的な業績期待に左右されない状況下で、十分な事業投資を行い、かつ大胆な経営改革を行うことが経営上の合理的な選択肢であると考えるに至り、2023年11月中旬に、戦略的パートナーの探索を再度実施することを決定し、戦略的パートナーとなり得る事業会社や投資ファンドを探索することについて検討を開始いたしました。なお、当社は、戦略的パートナーの探索に際して、森・濱田松本法律事務所を引き続き本取引に関するリーガル・アドバイザーとすることとしております。
なお、当社は、2023年11月中旬に、当社の株主である株式会社シティインデックスイレブンス、株式会社南青山不動産及び株式会社エスグラントコーポレーション(以下「シティインデックスイレブンスら」といいます。)から、当社が改めて非公開化の実施を検討する場合には、公開された入札手続のもとで戦略的パートナーの探索を行うべき旨や、マネジメント・バイアウト(MBO)(注2)の実施に関する検討を促す旨の申入れを受けました。
(注2)「マネジメント・バイアウト(MBO)」とは、公開買付者が対象者の役員である公開買付け(公開買付者が対象者の役員の依頼に基づき公開買付けを行う者であって対象者の役員と利益を共通にする者である公開買付けを含みます。)をいいます(東京証券取引所の有価証券上場規程第441条参照)。
また、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本公開買付けはいわゆるマネジメント・バイアウトや支配株主との取引等には該当しないものの、本取引が当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としており当社の一般株主に大きな影響を与えること等を踏まえて、当社は、本取引に係る手続の公正性を担保することにより、本取引に係る取引条件の公正性を確保する観点から、当社の特別委員会(以下「本特別委員会」といいます。)を設置し、(a)本取引を実施することの是非(本取引が公開買付けにより行われる場合には、本公開買付けについて当社取締役会が賛同するべきか否か、及び、当社株主に対して本公開買付けへの応募を推奨するべきか否か)を検討し、当社取締役会に勧告を行うこと、なお、(a)の検討に際しては、①当社の企業価値の向上に資するか否かの観点から、本取引の是非について検討・判断するとともに、②当社の一般株主の利益を図る観点から、取引条件の妥当性及び手続の公正性について検討・判断するものとすること、及び、(b)当社取締役会における本取引についての決定が、当社の少数株主にとって不利益なものでないかについて検討し、当社取締役会に意見を述べること(以下「本委嘱事項」といいます。)を委嘱いたしました(本特別委員会の構成、本特別委員会に付与した権限その他本特別委員会の活動内容等については、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」をご参照ください。)。
かかる状況において、当社は、従前から当社の取引先であったいなばグループ(株式会社いなば(以下「いなば」といいます。)が形成している子会社27社(2024年2月5日時点)の企業集団をいいます。以下同じです。)について、当社による原材料の供給強化等を通じたシナジーが生じる可能性があるとの考えに基づき、2023年12月1日、INBホールディングス株式会社(以下「INBホールディングス」といいます。)に対して、当社株式の非公開化に関する提案の打診を行いつつINBホールディングスとの間で、当社株式の非公開化の可能性に関して協議を行い、INBホールディングスより、口頭にて当社株式の非公開化を検討する旨を受領しました。その結果、当社は、いなばグループについて、当社がいなばグループの傘下に入り、関係性を強化することにより、いなばグループへの原材料の供給強化等を通じて、安定的な売上の拡大といったシナジーが期待でき、当社の戦略的パートナーになり得ると考えたことから、2023年12月上旬、同社を戦略的パートナー候補の1社として、当社株式の非公開化に関する取引の実施可否や具体的なプロセスについて本格的に検討を開始いたしました。
その一方で、当社は、当社株式の非公開化に際しては、当社の中長期的な企業価値向上の観点から最も適切な戦略的パートナーを選定する必要があることに加え、本取引に係る手続の公正性を担保することにより、本取引に係る取引条件の公正性を確保する必要があると考えたことから、当社の大株主であるシティインデックスイレブンスらから2023年11月中旬に受けた上記の意見も踏まえて、戦略的パートナーの候補を幅広く募るため、本取引に係る入札手続(以下「本入札プロセス」といいます。)を実施することといたしました。
なお、当社は、かかる入札プロセスの検討及び実施と並行して、2023年12月5日に、シティインデックスイレブンスらから、シティインデックスイレブンスらを株式交換完全親会社、当社を株式交換完全子会社とする現金対価による株式交換を実施した後、当社の事業用資産を切り出して新パートナーに売却すること(以下「本株式交換スキーム」といいます。)の検討を促す申入れを受けました。当社は、かかる取引について、当社の企業価値向上に資するか否か及び当社の一般株主に対してどのような影響を及ぼすかという観点から継続して検討を行うことにいたしました。
その後、当社は、上記の入札プロセスを実施する方針のもと、2023年12月中旬に、本取引と同様に上場会社を完全子会社とすることを目的とした取引において多数の実績を有しており、事業会社や投資ファンドに幅広いネットワークを持つファイナンシャル・アドバイザーを起用することが本取引に係る手続の公正性の担保及び当社の中長期的な企業価値向上に資すると考え、みずほ証券株式会社(以下「みずほ証券」といいます。)を本取引に関するファイナンシャル・アドバイザーに選任いたしました。そして、当社は、INBホールディングスのほか、2023年12月中旬から下旬にかけて、29社の事業会社及び9社の投資ファンドに対して本取引に関する提案の打診を行い、当該打診に応じて本取引に関心を示した1社の事業会社及び2社の投資ファンドを対象として、2024年1月15日を期限として、本取引に係る意向表明書の提出を求めることにいたしました。また、INBホールディングスに対しても、2023年12月18日、当該入札手続の一環として、本取引に係る意向表明書の提出を求め、同日、INBホールディングスから本入札プロセスに参加する旨の連絡を受領いたしました。
そのような状況の中で、当社は、2024年1月15日までに、INBホールディングス及び投資ファンド1社から意向表明書をそれぞれ受領いたしました。その上で、本特別委員会は、受領した意向表明書の内容について、みずほ証券による当社株式の株式価値の試算結果も踏まえ、株式価値評価額、資金調達の確実性、本取引実施後の経営方針及びシナジー効果等の観点から慎重に検討を行い、2024年1月17日、株式価値評価額を14,218百万円、1株当たりの公開買付価格を1,250円とするINBホールディングスの提案が、受領した提案の中で最も高い株式価値評価額及び公開買付価格を提示するものであること並びに具体的なシナジーが想定され当社の企業価値向上に資すると考えられること等の理由から、INBホールディングスと具体的な協議を進めることが最善であるとの結論に至り、INBホールディングスに対して、具体的な協議を進める旨を書面により回答しました(以下、INBホールディングスが当社に対して提出した意向表明書を指して「本意向表明書」といいます。)。
また、合わせて、本特別委員会は、INBホールディングスに、本意向表明書についての記載について、(i)想定する当社の経営課題に対する支援内容、(ii)いなばグループにとってのシナジー、(iii)非公開化に伴う当社のディスシナジー、(ⅳ)想定するスキームに関する質問書を送付し、2024年1月23日、INBホールディングスは当社に対して書面での回答を行いました。なお、INBホールディングスは、上記質問に対し、(ⅰ)国内事業(調味料、機能性)の強化、海外展開の加速、新たな事業分野の創出において、当社への支援が可能と考えていること、(ⅱ)ペットフード事業において、当社を完全子会社化することで、N-アセチルグルコサミンやキトサン等の質の高い機能性素材の安定調達が可能となることに加えて、それらの機能性素材を活用した新製品の両社での共同研究開発及び海外事業展開の上での協業が可能になると考えていること、(ⅲ)一般に株式の非公開化に伴うデメリットとしては、資本市場からのエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなること、また、上場会社としての社会的な信用や知名度に影響を及ぼすことが考えられるが、当社は公募増資等の上場会社特有の資金調達の実施は想定していないことに加え、当社はいなばグループの一員となることから、資金調達の必要性に応じて親子ローンや出資が可能であること、INBホールディングスとして、当社の事業活動を通じて培われたブランド力は上場廃止により悪影響が生じることはないと考えていること、(ⅳ)鈴与グループ各社(エスエスケイフーズ株式会社、静岡塩業株式会社及び株式会社ベルキャリエールを総称して「鈴与グループ」、個別に「鈴与グループ各社」といいます。以下同じです。)及びシティインデックスイレブンスらとの応募契約締結を想定しており、また、スクイーズアウトは反対株主の株式買取請求権等が確保できないスキームは採用せず、本公開買付けにおける公開買付価格(以下「本公開買付価格」といいます。)と同額で行う想定であることを回答したとのことです。
一方、本公開買付価格については、2024年1月17日、当社は、INBホールディングスに対して、前回取引時における株主の動向や、前回公開買付けの公表後から現在までの当社の市場株価の水準や推移に加え、みずほ証券による当社株式価値の試算結果等を総合的に勘案し、一般株主の利益の確保の観点から、公開買付価格の引き上げを要請いたしました。
その後、INBホールディングスは、当社との交渉に加えて、鈴与グループ各社及びシティインデックスイレブンスらと応募契約を締結すべく打診及び協議を開始し、まずは、2024年1月22日、INBホールディングスは、鈴与グループの持株会社である鈴与ホールディングス株式会社(以下「鈴与ホールディングス」といいます。)に対して、本公開買付価格を1,250円とした鈴与グループ各社との応募契約締結の打診をし、同日、鈴与ホールディングスより検討する旨の回答を受領したとのことです。その後、同年1月26日、INBホールディングスは、鈴与ホールディングスと本公開買付けの準備進捗状況及び応募契約に関する協議を実施し、同年1月29日に、鈴与ホールディングスより、鈴与グループ各社が応募契約を締結することについて応諾する意向である旨を受領したとのことです。
また、当社は、かかる検討と並行して、2024年1月23日に、シティインデックスイレブンスらとの間で面談を実施し、本入札プロセスの概要を含む本取引の検討の経緯を説明いたしました。これに対して、同面談に同席したシティインデックスイレブンスらのグループ会社の大株主である村上世彰氏からは、本入札プロセスについて好意的な評価が示されるとともに、本取引を実施することをサポートする旨の意向が示されました。それを受けて、INBホールディングス及び当社は、2024年1月25日に、シティインデックスイレブンスらとの間で面談を実施し、本取引を実施する目的、2023年12月5日にシティインデックスイレブンスらから申入れを受けた本株式交換スキームの是非及び本公開買付けへの応募の可否等について議論しました。なお、当社は、本株式交換スキームについて、同スキームにおいても事業用資産の売却先となる戦略的パートナーの探索が必要になるところ、当社が実施した入札プロセスの結果、最善の戦略的パートナー候補であると判断したINBホールディングスとの間において、本公開買付け及びその後のスクイーズアウトを通じて当社を完全子会社化するスキームを検討していたことから、シティインデックスイレブンスに対し、本株式交換スキームではなく、当該スキームによる本取引を実施したい旨を説明しました。
その後、当社は、2024年1月30日に、シティインデックスイレブンスらより、一般株主を含めた株主の利益の最大化という観点を考慮し、公開買付者が公開買付価格を1株当たり1,350円以上として本公開買付けを開始した場合には、公開買付期間中に、シティインデックスイレブンスらが保有する当社株式の全部を市場での売却又は本公開買付けへの応募を通じて処分する意向である旨の伝達を受けました。
これを受けて、当社は、2024年1月30日、INBホールディングスに対して、シティインデックスイレブンスらから示された意向を説明した上、公開買付価格を1,350円以上に引き上げることを要請いたしました。これに対して、当社は、INBホールディングスから、2024年1月31日、公開買付価格を1,350円(前回公開買付け公表日(2023年8月4日)の前営業日である同年8月3日の当社株式の終値823円に対して64.03%、7月4日から8月3日までの1ヶ月の終値単純平均株価820円に対して64.63%、5月8日から8月3日までの3ヶ月の終値単純平均株価823円に対して64.03%、2月6日から8月3日までの6ヶ月の終値単純平均株価852円に対して58.45%のプレミアム。また、提案日の前営業日である2024年1月30日の終値1,225円に対して10.20%、2024年1月4日から2024年1月30日までの過去1ヶ月間の終値単純平均値1,200円に対して12.50%、2023年10月31日から2024年1月30日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値1,188円に対して13.64%、2023年7月31日から2024年1月30日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値1,187円に対して13.73%のプレミアム。)に引き上げる旨の連絡を受領したため、同日、シティインデックスイレブンスらにその旨を伝達した上、シティインデックスイレブンスらから、当該価格で本公開買付けが開始された場合には、公開買付期間中に、シティインデックスイレブンスらが保有する当社株式の全部を市場での売却又は本公開買付けへの応募を通じて処分する旨の意向を改めて確認し、その旨をINBホールディングスに伝えました。
なお、2024年2月2日、当社は、INBホールディングスから、当社の事業計画に対する検証を踏まえたキャッシュ・フロー分析を最重視しつつ、当社の市場株価及び過去の出来高(具体的には、過去10年間(2014年1月31日から2024年1月30日まで)の出来高のうち、90%以上が本公開買付価格1,350円を下回り取引されていること)、過去の同種事例のプレミアム(2020年12月1日から2023年11月30日までの3年間において公表された同種事例(上場会社の非公開化を目的とした他の公開買付けの事例)144件のうち上位10%に相当する14件及び下位10%に相応する14件を除外した116件に係るプレミアムの平均値(公表日の前営業日41.93%、1ヶ月間で44.76%、3ヶ月間で46.04%、6ヶ月間で47.28%(小数点以下第三位を四捨五入)を参考にしているとのことです。なお、同種事例144件の単純平均値と中央値の乖離が大きかったことを踏まえ、極端に大きな値及び小さな値を除外する目的から、プレミアムの平均値の計算においては公表日の前営業日、1ヶ月間、3ヶ月間、6ヶ月間それぞれデータ数の上下10%に相当する14件を除外した116件により算出をしているとのことです。)を総合的に勘案した上で、本特別委員会からの本公開買付価格の引き上げの要請、並びにシティインデックスイレブンスらの意向を踏まえた当社からの本公開買付価格を1,350円以上に引き上げる要請も踏まえ既存株主にとってのメリットについて検討した結果、本特別委員会に対して公開買付価格を1,350円に引き上げる旨の回答を受領しました。
その後、当社は、2024年2月2日、本特別委員会において協議を行い、当社ビジネスの将来見通し、本公開買付価格の当社株式の市場株価に対するプレミアムの水準、過去の類似する取引(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2023年12月末までに公表された上場会社の非公開化を目的とした公開買付け事例(MBO事例、支配株主が関わる公開買付け事例、公開買付者の公開買付け前の議決権所有割合が20%以上である事例、不成立、中止又は撤回となった事例を除く。)23件)において付与されたプレミアム水準(プレミアムの中央値は、公表日の前営業日の終値に対して41.3%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値に対して40.6%、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均値に対して41.7%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して53.0%)及び当社の大株主の意向等を総合的に勘案の上、同日、本公開買付価格を1,350円とすることに応諾する旨をINBホールディングスに伝達いたしました。
以上の経緯のもと、当社は、みずほ証券より取得した2024年2月2日付株式価値算定書(以下「本株式価値算定書」といいます。)及び森・濱田松本法律事務所から得た法的助言を踏まえつつ、本特別委員会における検討及び本特別委員会から提出を受けた2024年2月2日付答申書(以下「本答申書」といいます。)の内容を最大限尊重しながら、本取引に関する諸条件について企業価値向上の観点から慎重に検討を行いました。
その結果、当社は、公開買付者とともに本取引を実施することにより、株式市場からの短期的な業績期待に左右されない状況下で、十分な事業投資を行い、かつ大胆な経営改革を行うことが可能になると考えたことに加え、以下の観点から、本取引は企業価値向上に資すると判断いたしました。
① ペットフード分野におけるシナジー
いなばグループは国内市場で、13.7%のシェア(2022年度の市場規模は約4,800億円)を有しており、当社が製造するペットフード原料のいなばグループへの供給の増加が想定されます。また、当社が強みを持つ機能性素材を活用し、いなばグループとの健康食品などの新製品の共同研究開発を進めることが可能と考えられます。
② 中食・外食向け商品の販売拡大
いなばグループは業務用食品の製造販売を行っており、全国の主要な食品卸、小売業者、給食、病院食、中食、外食企業との取引を有しています。当社が目指す調味料分野における中食・外食向け製品の強化に関し、いなばグループとの協業によって、いなばグループの業務用食品への当社製品の活用と新製品の開発、及びいなばグループの販路を通じた当社製品の拡販が可能と考えられます。
③ 海外展開の加速
当社は海外展開の拡大の一環として、ASEANや米国での販売・生産拠点の設立を目指しています。いなばグループは欧米やASEANにおいて多くの販売拠点を有しており、いなばグループの販路を通じた当社製品の拡販が可能と考えられます。また、いなばグループはタイに生産拠点を有しており、タイ国内での販売に加えて周辺国への輸出を行っています。いなばグループがタイで培った製造や販売等の知見を活用することで、当社のASEANにおける生産拠点設立の実現が加速すると想定されます。
④ M&Aを通じた事業拡大
いなばグループは、食品及びペットフード業界におけるM&Aを通して事業拡大、新技術の獲得、市場の開拓等を実現してきた実績を持ち、いなばグループの企業と連携を行うことで、当社の新事業の創出が可能と考えられます。また、いなばグループが培ったM&Aの知見を活用することで、当社の今後の事業拡大が見込めるものと考えております。
なお、当社としては、上記を含めたいなばとの協業により実行可能となる各施策には多額の先行投資を要するものも含まれているところ、各施策が業績に寄与するまでには相応の時間を要することも見込まれ、施策実行には失敗のリスクも内在するため、一時的には収益及びキャッシュ・フローのマイナスを招く可能性があると考えております。他方で、上場企業である以上、短期的な業績に対してもコミットメントが求められる中、各施策実行の過程で中長期的な成長を優先する意思決定を行った結果、資本市場から十分な評価が得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の利益を損なう可能性があると考えております。そのため、当社としては、本取引により当社株式を非公開化した上で、いなばとの協業を実行していくことが必要であると判断いたしました。
また、当社株式の非公開化により、当社は、資本市場からエクイティ・ファイナンスによる資金調達を行うことができなくなり、また、上場会社であることに伴う社会的な信用の向上といったこれまで上場会社として享受してきたメリットを喪失することになります。もっとも、当社の現在の財務状態を踏まえると、当面の間エクイティ・ファイナンスの必要性は高くなく、また、当社の事業においては、食品安全等に関する規格認証を適切に取得し維持することが信用力の確保として最も重要であり、上場企業であることに伴う社会的な信用力を理由に取引している取引先は僅少だと考えており、上場会社であることによるメリットは大きくないことから、今後も継続して当社株式の上場を維持する必要性は限定的であると考えております。
以上に加えて、当社は、本公開買付価格について、「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているみずほ証券による本株式価値算定書における当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価基準法による算定結果のレンジの上限を上回るものであり、DCF法による算定結果のレンジの範囲内のものであること、前回公開買付けの公表後の市場株価は公開買付価格の引き上げや再度の公開買付け実施への期待の影響を受けている可能性があると判断したことから、これを排除して、本買付条件変更(公開買付者が2024年3月11日付で公表した、本公開買付けの買付予定数の下限を6,865,400株(所有割合60.00%)まで引き下げること及び本公開買付価格を1,438円に引き上げることをいいます。以下同じです。)前の本公開買付価格は、前回公開買付けの公表日(2023年8月4日)の前営業日である同年8月3日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値823円に対して64.03%、また、2023年7月4日から2023年8月3日までの過去1ヶ月の終値単純平均株価820円に対して64.63%、2023年5月8日から2023年8月3日までの過去3ヶ月の終値単純平均株価823円に対して64.03%、2023年2月6日から2023年8月3日までの過去6ヶ月の終値単純平均株価852円に対して58.45%のプレミアムを加えた価格であり、同種案件(経済産業省が「公正なM&Aの在り方に関する指針」を公表した2019年6月28日以降2023年12月末までに公表された上場会社の非公開化を目的とした公開買付け事例(MBO事例、支配株主が関わる公開買付け事例、公開買付者の公開買付け前の議決権所有割合が20%以上である事例、不成立、中止又は撤回となった事例を除く。)23件)において付与されたプレミアム水準の中央値(公表日の前営業日の終値に対して41.3%、同日までの過去1ヶ月間の終値の単純平均値に対して40.6%、同日までの過去3ヶ月間の終値の単純平均値に対して41.7%、同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均値に対して53.0%)を上回るプレミアム水準であると評価できること、前回公開買付けは不成立となったものの、本買付条件変更前の本公開買付価格は前回公開買付価格(前回公開買付けにおける当社株式1株当たりの買付け等の価格をいいます。)よりも213円高い1,350円であること、本取引に際しては、本項に記載のとおり、合計で39社に対して提案の打診を行っており、前回取引と比較してもさらに幅広く提案を募った上で、最も高い公開買付価格を提示した候補者を選定していること、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られており、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること、本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で決定された価格であること等を踏まえて総合的に判断すると、本買付条件変更前の本公開買付価格は、妥当なものであり、本公開買付けは当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
なお、本買付条件変更前の本公開買付価格は、当社の2023年12月31日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり純資産額(1,657円)を19%(小数点以下を四捨五入しています。)下回っているものの、純資産額は会社の清算価値を示すものであり、将来の収益性を反映するものではないため、継続企業である当社の企業価値算定において重視することは合理的でないと考えております。また、同日現在の当社の連結貸借対照表において総資産に占める流動性の低い資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品、土地建物といった固定資産)の割合が39.1%(小数点以下第二位を四捨五入しています。)と相当程度存在すること、清算に際しては売上債権の早期回収に伴う費用・損失、工場の閉鎖に伴う除去コスト、清算に伴う様々な追加コストが発生すると見込まれること等を考慮すると、仮に当社が清算する場合にも、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には当社の株主の皆様に対して分配することができる金額は連結簿価純資産額から相当程度毀損された金額になることが想定されることから、本買付条件変更前の本公開買付価格が2023年12月31日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり純資産額を下回っていることをもって、本買付条件変更前の本公開買付価格の妥当性を否定する理由にはならないと考えております。
これらを踏まえ、当社は、2024年2月5日付の当社取締役会決議により、当社の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決定をいたしました。上記の取締役会決議の詳細は、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」の「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「⑤ 当社における利害関係を有しない取締役(監査等委員を含む。)全員の承認」をご参照ください。
なお、当社は、2007年4月27日開催の当社取締役会において、「当社株式の大規模買付行為に関する対応方針(買収防衛策)」(以下「本プラン」といいます。)を導入し、その後一部変更を加えた上で現時点まで本プランを継続しておりますが、上記のとおり、当社は、本取引の実施は当社の企業価値向上に資するものであると判断したことから、上記取締役会において、本公開買付けに対して本プランを適用せず、対抗措置を発動しないことを決議いたしました。
その後、当社は、当社株式について、本買付条件変更前の本公開買付けの公開買付価格である1株当たり1,350円を数円上回る取引が複数回発生したことから、2024年2月16日、公開買付者に対し、当社株式の非公開化に支障が生じない範囲において、本公開買付けの成立の確実性を高めることを目的として、公開買付価格の引き上げ及び買付予定数の下限の引き下げを含む本公開買付けの条件変更の検討の要請を行いました。そして、2024年2月16日、当社は、EYストラテジー・アンド・コンサルティング株式会社(以下「EY」といいます。)を通じて、公開買付者より、パッシブ・インデックス運用ファンドが保有する当社株式の試算を報告するよう依頼を受けました。これに対し、2024年2月26日、当社は、公開買付者に対し、みずほ証券から2024年2月15日現在の当社の株主名簿を前提として、パッシブ・インデックス運用ファンドが577,700株(所有割合:5.05%)に相当する当社株式を保有している旨の推計結果を得たとの報告を行いました。
また、2024年3月4日、当社は、公開買付者より、本公開買付けの成立の確実性を高めるため、本公開買付価格を1,350円から1,360円に引き上げる旨の伝達を受けました。
これに対して、当社は、公開買付者に対して当該提案を検討する旨を伝えた後、本公開買付けの成立の確実性をより高めるべく、2024年2月14日及び同月15日付で大量保有報告書の変更報告書を提出した、3D Investment Partners Pte. Ltd.(以下「3D Investment Partners」といいます。)に対して本公開買付けの成立に向けた協力を仰ぐべく、2024年3月6日、3D Investment Partnersと面談の機会を持ち、3D Investment Partnersに対し、公開買付者と合意可能な本公開買付価格の水準を検討いただきたいとの要請を行いました。これに対し、当社は、3D Investment Partnersから、本公開買付けが企業価値向上のための最善の選択肢であるか、本公開買付価格に妥当性があるかについて適切な検討を行ってほしいとの回答を頂きました。これを受けて、当社は企業価値向上及び少数株主保護という観点から再度検討を行い、2024年3月7日、公開買付者に対し、3D Investment Partnersから示された意向及び当社の検討結果を説明した上、本公開買付価格を、公開買付者が提案する1株当たり1,360円から、1株当たり1,440円に引き上げることの検討を要請いたしました。
その後、2024年3月7日、当社は、公開買付者より、3D Investment Partnersに対し、本公開買付価格を1株当たり1,438円に引き上げる旨の提案を行い、3D Investment Partnersから、公開買付期間中に、その運用するファンドが保有する当社株式の全部を市場での売却又は本公開買付けへの応募を通じて処分する意向である旨の伝達を受けた旨、及び本買付条件変更後の本公開買付価格を最終的なものとし、今後、本公開買付価格を変更しないことを決定した旨の伝達を受けました。
当社は、公開買付者が、本買付条件変更を決定したことを受けて、2024年3月11日付の当社取締役会において、本買付条件変更について再度慎重に協議・検討を行い、本買付条件変更に関する本特別委員会の意見等を踏まえ、(ⅰ)本買付条件変更を前提としても、本公開買付け及び本公開買付け成立後の当社を非公開化するための一連の手続を通じて、当社を非公開化し、株式市場からの短期的な業績期待に左右されない状況下で、十分な事業投資を行い、かつ大胆な経営改革を行うことこそが、当社が今後も成長し、中長期的に企業価値を高めていくための経営上の合理的な選択肢であると考えられることに変更はなく、(ⅱ)本買付条件変更に係る本公開買付価格1,438円については、(a)公開買付者による本買付条件変更に係る本公開買付価格が決定された2024年3月7日の前営業日である同年3月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,347円及び本公開買付けの公表日の翌営業日である2024年2月6日から公開買付者により本買付条件変更に係る本公開買付価格が決定された同年3月7日の前営業日である同年3月6日までの間の終値単純平均1,348円を上回る金額であること、(b)本公開買付けの公表日の翌営業日である2024年2月6日から公開買付者により本買付条件変更に係る本公開買付価格が決定された同年3月7日の前営業日である同年3月6日までの間において、1,438円又はそれを超えた金額での取引は行われていないこと、(c)本公開買付けによりその公表前に比べてプレミアムを付した価格で株主が当社株式を売却することが引き続き可能となると考えられることから、妥当なものであると判断できること、(d)当社及び公開買付者が、当社の大株主である3D Investment Partnersと交渉を行い、当該交渉を経て公開買付者の当初提示額を上回る金額に引き上げられた金額であり、3D Investment Partnersは、公開買付期間中に、その運用するファンドが保有する当社株式の全部を市場での売却又は本公開買付けへの応募を通じて処分する意向を示していること、(ⅲ)本買付条件変更に係る買付予定数の下限の引き下げによっても、当該株式数は、公開買付者と利害関係を有さない当社の株主の皆様が所有する当社株式の数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」を充足する株式数となり、手続の公正性は引き続き担保されるものであること、(ⅳ)公開買付者による、本公開買付けが成立した場合における当社株式1,430,275株を1株に併合する旨の当社株式の併合に係る議案が成立する蓋然性についての検討を踏まえると、本公開買付けが成立した場合、非公開化が実現されない可能性は低いと考えられること、(ⅴ)本公開買付けの成立後、公開買付者の所有する当社の議決権が当社の総株主の議決権の3分の2を下回り、当社を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続として行われる本株式併合の議案が臨時株主総会で承認されない場合は、公開買付者は、最終的には、当社株式を追加取得することを明示しているが、当該価格は、本公開買付価格と比較して、当該追加取得に応じて売却をいただく株主の皆様にとって経済的に不利益と評価されることのない合理的な価格(当社が株式併合又は株式分割を実施するなど、調整を要する事象が発生しない限り、原則として本公開買付価格と同額)で追加取得する方針としていることから、強圧性を排除するとともに応募した株主の皆様にとって不平等な結果が生じないようにすることで公正性が担保される見込みであること、(ⅵ)上記(ⅰ)、(ⅳ)及び(ⅴ)のとおり、本買付条件変更は、合理的な目的のもと、少数株主の利益に配慮した形でなされるものであり、本買付条件変更により本公開買付けの成立確度を高めることは、当社の企業価値に資すると考えられる本取引の実現可能性を高めるとともに、少数株主に適切な売却機会を与える観点で望ましいと考えられることから、本買付条件変更を踏まえても、本公開買付けに賛同する旨の意見及び当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の意見を維持することに決定いたしました。
その後、上記のとおり、本公開買付けが成立いたしましたが、公開買付者は、本公開買付けにより、当社株式の全て(但し、当社が所有する自己株式を除きます。)を取得できなかったことから、当社は、公開買付者の要請を受け、2024年4月8日開催の当社取締役会において、本臨時株主総会において株主の皆様のご承認をいただくことを条件として、当社の株主を公開買付者のみとするために、下記「3.1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法、当該処理により株主に交付することが見込まれる金銭の額及び当該額の算定根拠」に記載のとおり、本株式併合を実施することを本臨時株主総会に付議することを決議いたしました。
なお、本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。
当社株式1,430,275株を1株に併合いたします。
上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、本株式併合により、公開買付者以外の株主の皆様の所有する当社株式の数は、1株に満たない端数となる予定です。本株式併合の結果生じる1株未満の端数については、その合計数(会社法(平成17年法律第86号。その後の改正を含みます。以下同じです。)第235条第1項の規定により、その合計数に1株に満たない端数がある場合にあっては、当該端数は切り捨てられます。)に相当する数の株式を、会社法第235条その他の関係法令の規定に従って売却し、その売却により得られた代金を、端数が生じた株主の皆様に対して、その端数に応じて交付します。当該売却について、当社は、本株式併合が、当社の株主を公開買付者のみとすることを目的とした本取引の一環として行われるものであること、及び当社株式が2024年6月6日をもって上場廃止となる予定であり、市場価格のない株式となることから、競売によって買受人が現れる可能性は低いと考えられることに鑑み、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所の許可を得て公開買付者(Jump Life株式会社)に売却することを予定しております。
この場合の売却額につきましては、必要となる裁判所の許可が予定どおり得られた場合には、本株式併合の効力発生日の前日である2024年6月9日時点の当社の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様が所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である1,438円を乗じた金額に相当する金銭が、各株主の皆様に交付されるような価格に設定する予定です。但し、裁判所の許可が得られない場合や計算上の端数調整が必要な場合においては、実際に交付される金額が上記金額と異なる場合もあります。
Jump Life株式会社
公開買付者は、本株式併合により生じる端数の合計数に相当する当社株式の取得に要する資金を、公開買付者の親会社であるいなば食品株式会社(以下「いなば食品」といいます。)において、株式会社静岡銀行(以下「静岡銀行」といいます。)から借入れた上で、本公開買付けに係る決済の開始日の前営業日前までに、いなば食品が公開買付者に貸付けを行うことにより賄うことを予定しているとのことです。
当社は、公開買付者が、本株式併合により生じる端数の合計数に相当する当社株式の取得に要する資金を確保できることを、いなば食品に対して金170億円を限度として融資を行う用意がある旨の静岡銀行による2024年3月11日付融資証明書及び公開買付者に対して金170億円を限度として融資を行う用意がある旨のいなば食品による2024年2月2日付融資証明書により確認しております。また、公開買付者によれば、本株式併合により生じる端数の合計額に相当する当社株式の売却代金の支払いに支障を及ぼす可能性のある事象は発生しておらず、また、今後発生する可能性も認識していないとのことです。
したがって当社は、公開買付者による1株に満たない端数の合計数に相当する当社株式の売却に係る代金の支払のための資金を確保する方法は相当であると判断しております。
当社は、本株式併合の効力発生後、2024年6月中旬から同月下旬を目途に、会社法第235条第2項の準用する同法第234条第2項の規定に基づき、裁判所に対して、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式を公開買付者に売却することについて許可を求める申立てを行うことを予定しております。当該許可を得られる時期は裁判所の状況等によって変動し得ますが、当社は、当該裁判所の許可を得て、2024年7月上旬から同月中旬を目途に当該当社株式を公開買付者に売却し、その後、当該売却により得られた代金を株主の皆様に対して交付するために必要な準備を行った上で、2024年9月上旬から同月中旬を目途に当該売却代金を株主の皆様に対して交付することを見込んでおります。
当社は、本株式併合の効力発生日から売却に係る一連の手続に要する期間を考慮し、上記のとおり、それぞれの時期に、本株式併合の結果生じる1株未満の端数の合計数に相当する当社株式の売却が行われ、また、当該売却代金の株主への交付が行われるものと判断しております。
上記「(1)1株に満たない端数の処理をすることが見込まれる場合における当該処理の方法」の「① 会社法第235条第1項又は同条第2項において準用する同法第234条第2項のいずれの規定による処理を予定しているかの別及びその理由」に記載のとおり、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額は、本株式併合の効力発生日の前日である2024年6月9日時点の当社の最終の株主名簿に記載又は記録された株主の皆様が所有する当社株式の数に本公開買付価格と同額である1,438円を乗じた金額となる予定です。
当社は、以下の点等を踏まえると、本公開買付価格である1,438円は当社の株主の皆様にとって妥当なものであり、本公開買付けは、当社の株主の皆様に対して合理的な株式売却の機会を提供するものであると判断いたしました。
(a)本公開買付価格が、下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「② 当社における独立した第三者算定機関からの株式価値算定書の取得」に記載されているみずほ証券による本株式価値算定書における当社株式の株式価値の算定結果のうち、市場株価基準法による算定結果のレンジの上限を上回るものであり、DCF法による算定結果のレンジの範囲内のものであること
(b)本公開買付価格は、a.本買付条件変更に係る本公開買付価格が決定された2024年3月7日の前営業日である同年3月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,347円及び本公開買付けの公表日の翌営業日である2024年2月6日から公開買付者により本買付条件変更に係る本公開買付価格が決定された同年3月7日の前営業日である同年3月6日までの間の終値単純平均1,348円を上回る金額であること、b.本公開買付けの公表日の翌営業日である2024年2月6日から公開買付者により本買付条件変更に係る本公開買付価格が決定された同年3月7日の前営業日である同年3月6日までの間において、1,438円又はそれを超えた金額での取引は行われていないこと、c.本公開買付けによりその公表前に比べてプレミアムを付した価格で株主が当社株式を売却することが引き続き可能となると考えられること、d.当社及び公開買付者が、当社の大株主である3D Investment Partnersと交渉を行い、当該交渉を経て公開買付者の当初提示額を上回る金額に引き上げられた金額であること
(c)本取引に際しては、上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、合計で39社に対して提案の打診を行っており、前回取引と比較してもさらに幅広く提案を募った上で、最も高い公開買付価格を提示した候補者を選定していること
(d)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」に記載の本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られており、当社の少数株主の利益への配慮がなされていると認められること
(e)本公開買付けの公正性を担保するための措置が採られた上で決定された価格であること
(f)下記「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会においても、本公開買付価格を含む本取引の条件は妥当性が確保されていると判断されていること
また、当社は、2024年2月5日及び2024年3月11日開催の取締役会において、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して本公開買付けへの応募を推奨することを決議した後、本臨時株主総会の招集を決定した2024年4月8日開催の取締役会における決議時点に至るまでに、本公開買付価格の算定の基礎となる諸条件に重大な変更が生じていないことを確認しております。
以上のことから、当社は、端数処理により株主の皆様に交付することが見込まれる金銭の額については、相当であると判断しております。
本株式併合は、本取引の一環として、本公開買付け後のいわゆる二段階買収の二段階目の手続として行われるものであるところ、当社の経営陣の全部又は一部が公開買付者に直接又は間接に出資することも予定されておらず、本公開買付けを含む本取引は、いわゆるマネジメント・バイアウト取引にも該当いたしません。もっとも、当社は、本取引が当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としており当社の一般株主に大きな影響を与えること等を踏まえて、本取引に係る手続の公正性を担保することにより、本取引に係る取引条件の公正性を確保する観点から、森・濱田松本法律事務所の助言を踏まえ、以下の措置を講じております。
上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、INBホールディングスのほか、2023年12月中旬から下旬にかけて、29社の事業会社及び9社の投資ファンドに対して本取引に関する提案の打診を行い、当該打診に応じて本取引に関心を示した1社の事業会社及び2社の投資ファンドを対象として、本取引に係る意向表明書の提出を求めることにいたしました。また、INBホールディングスに対しても、当該入札手続の一環として、本取引に係る意向表明書の提出を求めることといたしました。
本特別委員会は、候補者から受領した意向表明書の内容について、みずほ証券による当社株式の株式価値の試算結果も踏まえ、株式価値評価額、資金調達の確実性、本取引実施後の経営方針及びシナジー効果等の観点から慎重に検討を行い、INBホールディングスの提案が、受領した提案の中で最も高い株式価値評価額及び公開買付価格を提示するものであること並びに具体的なシナジーが想定され当社の企業価値向上に資すると考えられること等の理由から、INBホールディングスの提案が最善であると判断いたしました。
当社は、本公開買付けに関する意見を決定するにあたり、当社、公開買付者ら(公開買付者及びINBホールディングスをいいます。以下同じです。)、鈴与グループ及びシティインデックスイレブンスらから独立したファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券に対して、当社の株式価値の算定を依頼し、同社から2024年2月2日付で本株式価値算定書を取得いたしました。なお、みずほ証券は、当社、公開買付者ら、鈴与グループ及びシティインデックスイレブンスらの関連当事者には該当せず、みずほ証券のグループ企業である株式会社みずほ銀行(以下「みずほ銀行」といいます。)は、いなばグループとの間で通常の銀行取引の一環としての融資取引等を行っておりますが、本公開買付けを含む本取引に関して、当社、公開買付者ら、鈴与グループ及びシティインデックスイレブンスらとの間で重要な利害関係を有しておりません。みずほ証券は金融商品取引法(第36条第2項)及び金融商品取引業等に関する内閣府令(第70条の4)の適用法令に従い、みずほ証券とみずほ銀行間の情報隔壁措置等の適切な利益相反管理体制を構築し、かつ実施しており、みずほ銀行の貸付人の地位とは独立した立場で当社の株式価値算定を行っているとのことです。本特別委員会は、みずほ証券の算定機関としての実績に加え、みずほ証券とみずほ銀行との間において適切な弊害防止措置が講じられていること等に鑑み、本取引におけるファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として職務を行うにあたり十分な独立性が確保されており、当社がみずほ証券に対して当社株式の株式価値算定を依頼することに関し、特段の問題はないと判断しております。また、本取引に係るみずほ証券に対する報酬には、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれております。当社は、同種の取引における一般的な実務慣行及び本取引が不成立となった場合であっても当社に相応の金銭負担が生じる報酬体系の是非等も勘案すれば、本取引の成立等を条件に支払われる成功報酬が含まれることをもって独立性が否定されるわけではないと判断の上、上記の報酬体系によりみずほ証券を当社のファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として選任しました。
なお、当社は、当社及び公開買付者において、本公開買付価格の公正性を担保するための措置並びに利益相反を回避するための措置(具体的には「(3)本取引の公正性を担保するための措置及び利益相反を回避するための措置」の「①入札手続の実施」乃至「⑦他の買付者からの買付機会を確保するための措置」記載の措置)を実施し、当社の少数株主の利益には十分な配慮がなされていると考えていることから、みずほ証券から本公開買付けの価格の公正性に関する意見書(フェアネス・オピニオン)は取得しておりません。
みずほ証券は、当社の財務状況、当社株式の市場株価の動向等について検討を行った上で、多面的に評価することが適切であると考え、複数の株式価値算定手法の中から採用すべき算定手法を検討した結果、市場株価基準法及びDCF法を用いて、当社の株式価値の算定を行いました。上記各手法を用いて算定された当社株式1株当たりの価値の範囲は、以下のとおりです。
市場株価基準法 :1,189円から1,219円
DCF法 :1,168円から1,837円
市場株価基準法においては、本公開買付けの公表日の前営業日である2024年2月2日を算定基準日として、当社株式の東京証券取引所スタンダード市場における算定基準日の終値1,219円、同日までの過去1ヶ月間の終値単純平均株価1,204円、同日までの過去3ヶ月間の終値単純平均株価1,189円及び同日までの過去6ヶ月間の終値単純平均株価1,197円を基に、当社株式の1株当たりの価値の範囲を1,189円から1,219円までと算定しております。
DCF法では、当社が本取引に際して作成した2024年3月期から2031年3月期までの8期分の連結ベースの事業計画、一般に公開された情報等の諸要素を前提として、当社が2024年3月期以降において創出すると見込まれるフリー・キャッシュ・フローを、一定の割引率で現在価値に割り引いて当社の企業価値や株式価値を算定し、当社株式1株当たりの株式価値の範囲を1,168円から1,837円と算定しております。なお、当該事業計画は、本取引の実行を前提としたものではなく、本取引実行により実現することが期待されるシナジー効果については、現時点において具体的に見積もることが困難であるため、当該事業計画には加味しておりません。当該事業計画には、前年度比で大幅な増減益を見込んでいる事業年度が含まれております。具体的には、2025年3月期には、一部製品の売上増加やエネルギー価格高騰が一服することによる変動費減少を主因に営業利益が前事業年度比117百万円増加すること、これらの要因に加え、前事業年度比設備投資金額を抑制したことを要因にフリー・キャッシュ・フローが前事業年度比698百万円増加することが見込んでおります。2026年3月期には、注力素材への設備投資や研究開発センターへの設備投資に伴いフリー・キャッシュ・フローが前事業年度比3,493百万円減少することが見込まれているとのことです。2027年3月期には、一部製品において、大型受注を想定していることに伴う売上増加を主因に営業利益が前事業年度比295百万円、EBITDAが前事業年度399百万円、これらの要因に加え、前事業年度比設備投資金額を抑制したことを要因にフリー・キャッシュ・フローが4,273百万円増加することを見込んでおります。なお、当該事業計画の数値については、2024年3月期の着地見込みの更新に伴い、前回公開買付け時の事業計画との差異が生じております。
なお、下記「④ 当社における独立した特別委員会の設置及び特別委員会からの答申書の取得」に記載のとおり、本特別委員会は、当該事業計画の内容及び作成経緯等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行うことを通じて、当該事業計画の合理性について確認をしております。
当社は、当社取締役会の意思決定の公正性及び適正性を担保するために、当社、公開買付者ら、鈴与グループ及びシティインデックスイレブンスらから独立したリーガル・アドバイザーとして森・濱田松本法律事務所を選任し、本公開買付け及びその後の一連の手続に対する当社取締役会の意思決定の方法及び過程その他の意思決定にあたっての留意点に関する法的助言を受けております。なお、森・濱田松本法律事務所は、当社、公開買付者ら、鈴与グループ及びシティインデックスイレブンスらの関連当事者には該当せず、本取引に関して重要な利害関係を有しておりません。また、森・濱田松本法律事務所の報酬体系は、本公開買付けの成立如何によって成功報酬が発生する体系とはなっておりません。
本株式併合は、本取引の一環として、本公開買付け後のいわゆる二段階買収の二段階目の手続として行われるものであるところ、本取引は、いわゆるMBOには該当しないものの、当社は、本取引が当社を公開買付者の完全子会社とすることを目的としており当社の一般株主に大きな影響を与えること等を踏まえて、本取引に係る手続の公正性を担保することにより、本取引に係る取引条件の公正性を確保する観点から、森・濱田松本法律事務所の助言も踏まえて、2023年12月15日付の取締役会決議により、東京証券取引所に独立役員として届け出ている当社の社外取締役である森憲司氏(当社社外取締役)、東京証券取引所に独立役員として届け出ている当社の社外取締役である長沢芳裕氏(当社社外取締役)並びに弁護士として同種の上場会社を完全子会社とすることを目的とした取引について高度な見識を有する後藤高志氏(弁護士)の3名から構成される、当社、公開買付者ら、鈴与グループ及びシティインデックスイレブンスらのいずれからも独立した本特別委員会を設置いたしました。なお、本特別委員会の構成については、本特別委員会全体としての知識・経験・能力のバランスを確保しつつ適正な規模をもって構成するとともに、本取引と同種の取引に関する専門性を補完する観点から、上記の3名を選定いたしました。また、本特別委員会の委員は、前回特別委員会の委員と同じであり、また、いずれも公開買付者ら、鈴与グループ及びシティインデックスイレブンスら並びに本取引との間に特段の利害関係を有しておりません。本特別委員会の委員の報酬については、稼働時間に時間単価を乗じて算出するものとされており、成功報酬は採用しておりません。また、当社は、本特別委員会の委員として設置当初からこの3名を選定しており、本特別委員会の委員を変更した事実はありません。
その上で、当社取締役会は、上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、本特別委員会に対し、本委嘱事項を委嘱いたしました。また、当社取締役会は、本特別委員会設置の決議に際して、(a)当社取締役会は、本特別委員会の判断内容を最大限尊重して本取引に関する意思決定を行うこと、及び、(b)本特別委員会が本取引の取引条件が妥当でないと判断した場合には、当社取締役会は当該取引条件による本取引の承認をしないことを決議するとともに、本特別委員会に対し、(a)本取引の相手方との間で取引条件等についての交渉(当社役職員やアドバイザーを通じた間接的な交渉を含む。)を行うこと、(b)本委嘱事項について検討するに当たり、必要に応じ、自らの財務のアドバイザー若しくは第三者算定機関及び法務のアドバイザー(以下「アドバイザー等」と総称する。)を選任又は指名すること(この場合の費用は当社が負担すること。)、又は当社のアドバイザー等を指名し、若しくは承認(事後承認を含みます。)すること(なお、本特別委員会は、当社のアドバイザー等を信頼して専門的助言を求めることができると判断した場合には、当社のアドバイザー等に対して専門的助言を求めることができること。)、(c)本特別委員会が必要と認める者に本特別委員会への出席を要求し、必要な情報について説明を求めること、(d)当社グループの役職員から本取引に関する検討及び判断に合理的に必要な情報を受領すること、並びに、(e)その他本取引に関する検討及び判断に際して必要と本特別委員会が認める事項について権限を付与することを決議しております。
本特別委員会は、2024年1月9日から2024年2月2日までの間に合計7回にわたって開催され、本特別委員会の各開催日間においても電子メール等を通じて審議・意思決定等を行う等して、本委嘱事項に関して、慎重に協議及び検討を行いました。
具体的には、まず、2024年1月9日開催の第1回特別委員会にて、リーガル・アドバイザーである森・濱田松本法律事務所並びにファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券につき、いずれも独立性及び専門性に問題がないことから、それぞれ、リーガル・アドバイザー、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関として承認し、本特別委員会としても必要に応じて専門的助言を受けることができることを確認いたしました。
さらに、本特別委員会は、当社が社内に構築した本取引の検討体制(本取引に係る検討、交渉及び判断に関与する当社の役職員の範囲及びその職務を含みます。)に、独立性及び公正性の観点から問題がないことを確認しております。
その上で、本特別委員会は、(a)当社から、当社の事業環境、当社の経営状況・課題、本取引の背景・目的・経緯・影響、本取引のストラクチャー等について説明を受けるとともに、(b)いなばグループに対する書面による質問等を通じて、いなばグループから、本取引によって創出されるシナジー効果を含む本取引の意義・目的、本取引後の当社の企業価値向上施策を含む事業運営方針、本取引のストラクチャー、本公開買付価格を含む取引条件の考え方、資金調達の方法等について説明を受けました。
また、本特別委員会は、当社及びみずほ証券から、みずほ証券が当社の株式価値の算定に際して使用した事業計画の内容及び作成経緯のほか、本株式価値算定書の内容及び算定手法・前提等について説明を受け、これらの点に関する質疑応答を行いました。
そのほか、本特別委員会は、本特別委員会を都度開催し、当社、みずほ証券及び森・濱田松本法律事務所から、候補者の選定に係る入札プロセスの内容を含む本取引に係るINBホールディングスとの間の協議・交渉の経緯及び内容等につき適時に報告を受けた上で、最終的な本取引の取引条件の提案を受けるに至るまで、複数回に亘り当社及びみずほ証券との間で交渉方針等について協議し、これを指示する等して、INBホールディングスとの協議・交渉に直接的又は間接的に関与しております。
以上の経緯で、本特別委員会は2024年2月2日に、当社取締役会に対し、本委嘱事項につき大要以下を内容とする本答申書を提出しております。
(a) 本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的である。
・ 当社は、1959年3月に設立され、調味料、機能性食品、水産物その他の食品等の製造・販売事業を営む会社であり、主に国内外から調達する天然由来の水産系原材料を活用した調味料及び機能性食品の原料素材や加工品を主たる収益源とし、売上高の大半(90%超)を国内販売に依存する中堅メーカーである。なお、水産物セグメントは主力セグメントと比較して相対的に利益率が低い状況となっている。
・ 過去数事業年度における当社の収益実績を見ると、売上・利益ともに下降傾向が継続しており、直近の2023年3月期においても、調味料セグメントにおいて販売価格の改定効果等により売上高が前期比微増となったものの、主力事業である調味料・機能性食品における継続的な原材料やエネルギー価格等の高騰等が主たる悪化要因となり、セグメント利益は前期比でいずれも減少した(調味料セグメントは前期比12.6%減、機能性食品セグメントは前期比30.5%減)。以上の結果、当社は2022年5月に「価値創造の加速」をビジョンとした2025年3月までの3ヵ年中期経営計画(以下「現中計」という。)を2023年8月4日に見直し、2027年3月期の連結営業利益目標額を現中計から大幅に下方修正した。また、進行期である2024年3月期も業績の下降トレンドは継続しており、通期連結業績予想数値における営業利益は前期比で70%超の減少と予想している。
・ 当社は、現在の当社を取り巻く事業環境及び経営課題について、①売上高の大半を国内市場へ依存する一方で国内の人口減少や少子高齢化に伴い国内市場規模の縮小傾向が継続すると見込まれるため、新たな市場開拓を要する、②主力事業は主に天然由来の水産系原材料を活用しているところ、気候変動による天然素材の個体数の減少や魚体の縮小に起因する漁獲高の減少に伴って原料の調達懸念が生じているため、調達先の多様化により当該懸念の極小化を要する、③主力製品の最終的な利用先は短期に嗜好が変化しうる消費者向け食品であるところ、消費者向け製品の多様化や差別化がより一層促進されていることから、消費者ニーズの多様化に対応可能な体制(研究開発センターや工場投資、中食・外食向けの商品開発及びマーケティングの強化等を含む。)の構築を要する、④国外ではASEANをはじめとするアジア諸国の経済が引き続き拡大していくことが予想され、日本食の拡大と健康志向の高まりをみせており、上記のとおり国内市場の規模の縮小が見込まれている状況においては、アジア諸国の旺盛な需要の取り込みを要する、と認識している。
・ 当社は上記課題に対して、①安心・安全の向上、②国内事業(調味料、機能性)の強化、③海外展開の加速及び④新たな事業分野の創出の4つを基本戦略に据え、それぞれについて中長期的な経営戦略を立案し、原材料費や輸送費用の高騰によるコスト増を価格転嫁するための値上、原材料費やエネルギー価格の高騰に対応するための原料調達先の多様化・生産ロットの最大化・工場への太陽光発電設備の設置、販管費上昇に対応するための物流経費の削減等に取り組んできた。
・ しかるに現時点においても、気候変動等のコンロールが困難な外的要因により調達価格、調達可否や原材料品質等が左右される天然由来の水産系原材料に依存していること、商社や水産資源の一次加工業者経由の間接的な仕入ルートに依存していること、仕入の3分の1程度を為替変動や世界的なインフレ(特にアジア諸国におけるインフレ)等の影響を受ける輸入に依存していること等の原材料仕入に関する構造的な問題を解決するには至っていない。
・ このため当社は、このような現状を打破し、中長期的な企業価値向上を実現するためには、更なる大胆な経営改革が必要であると認識している。具体的には、当社事業の強化に必要な設備投資をより迅速に行うことや、市場拡大が想定される中食・外食向けの商品開発体制の構築及び商品開発の加速、旺盛な需要が期待できる海外展開の加速、事業運営上重要である天然由来の水産系原材料の仕入れ体制を強化する観点での垂直統合、当社の企業価値向上に資する企業との提携等が必要と認識している。
・ 以上の認識内容は、従前からの当社の認識と軌を一にするものであり、本特別委員会が行ったINBホールディングスに対する書面質問への回答及び質疑応答によれば、当該認識内容について、当社といなばの間に認識の齟齬もない。
・ いなばが本取引後に実行を要するとして提案する施策内容、具体的には①国内事業(調味料、機能性)の強化、②海外展開の加速及び③新たな事業分野の創出は、上述した当社を取り巻く事業環境、経営課題及び基本戦略・中長期的な経営戦略・施策と整合的であり、いなばグループの事業内容や企業規模を踏まえると、その実現可能性を否定するに足る事情もないから、中長期的な視点から、従前より当社が計画している施策に加えて、いなばが提案する各施策を抜本的かつ機動的に実行することが当社の企業価値の向上に資するものであるとの当社の判断内容は、合理的なものとして首肯し得るところである。
・ 他方で、当該施策を現状の資本関係で行うことには、①従前より当社が計画している施策に加えて、いなばとの協業により実行可能となる上述の各施策の実行には多額の先行投資を要するものも含まれていること、当該施策が業績に寄与するまでには相応の時間を要することも見込まれること、海外進出、新製品の開発・上市やM&A等の施策実行には失敗のリスクも内在すること等により、一時的には収益及びキャッシュ・フローのマイナスを招く可能性があること、②上場企業である以上、短期的な業績に対してもコミットメントが求められる中、上記各施策実行の過程で中長期な成長を優先する意思決定を行った結果、資本市場から十分な評価が得られず、当社株式の株価の下落が生じ、既存株主の利益を損なう可能性もあることといった懸念も存する。
・ 以上のことからすれば、①当社を取り巻く外部環境及び内部環境を踏まえると、いなばの提案する施策を積極的かつ機動的に実行することが当社の経営課題の克服に繋がり、もって当社の中長期的な企業価値向上に資するものであり、かつ、②本取引は、当社の株主に発生する可能性のある悪影響を回避しつつ当社の中長期的な企業価値向上を実現する手段として優れていることから、本取引にメリットがあるとの当社の判断は合理的なものとして首肯しうる。
・ 他方で、本取引のデメリットについても具体的な検討がなされており、その検討内容に特段不合理な点は認められない。その検討結果によれば、少なくとも前述したメリットを明らかに上回るデメリットが本取引によって生じるとは認められない。また、当社の企業価値向上の観点において、本取引に優る有効な代替手段が存在すると認めるに足る事情は見当たらない。
・ 以上のことから、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的であると思料する。
(b) 本公開買付けを含む本取引に係る手続の公正性が確保されている。
・ 本取引は現時点で若干数の当社株式を保有するに過ぎない事業会社グループによる買収であるため、いわゆる構造的利益相反取引には該当しない。にもかかわらず本取引では、本特別委員会の設置(本特別委員会の実効性を高める実務上の工夫の実施を含む。)、独立した外部専門家(ファイナンシャル・アドバイザー及びリーガル・アドバイザー)の早期登用並びに専門的助言及び本株式価値算定書の取得、競争原理の働く入札手続を通じた積極的なマーケット・チェックの実施、本取引公表後における買収提案の機会の確保、マジョリティ・オブ・マイノリティ条件の設定、本取引の検討・交渉・決議における利害関係者の排除、少数株主への情報提供の充実を通じたプロセスの透明性の向上、強圧性の排除といった各種の公正性担保措置が履践されている。
・ 本取引の具体的状況に照らすと、当該公正性担保措置の内容は、①取引条件の形成過程における独立当事者間取引と同視し得る状況の確保及び②少数株主による十分な情報に基づく適切な判断の機会の確保といういずれの視点からしても、必要十分な内容・組合せであり、かつ、現実にも実効性をもって運用されたと思料する。
・ 以上の次第であるから、本取引においては、公正な手続を通じて当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされていると認められる。
(c) 本取引の条件の妥当性は確保されている。
・ 本取引は構造的利益相反取引ではなく、当社から独立した事業会社による買収取引であるから、買収者と当社の間で馴れ合いの条件交渉が行われる構造的な懸念はない。このため、当社と公開買付者の関係はいわゆる独立当事者であり、本取引は基本的には独立当事者間取引に近似する取引と評価する余地がある。
・ また、本件では、前回取引に関わる一連の開示により、当社が非公開化を実施する意向を有していること、前回公開買付けが不成立となったこと等は公知の事実となっており、当社株式の買収に関心を有する者は当社にアプローチすることも可能な状況下において、本取引と同様に上場会社を完全子会社とすることを目的とした取引において多数の実績を有しており、事業会社や投資ファンドに幅広いネットワークを持つみずほ証券の支援を得ながら、幅広い業種かつ多数の候補者をリストアップし、相当の期間と工数を費やした上で競争原理が働く競争入札手続が行われており、当該手続を経て最高価格であったいなばの提案価格は合理的に実現可能な最善の条件であることが一定程度推認される。
・ さらに本取引における対価は、当社及び公開買付者が、当社の筆頭株主であるエスエスケイフーズを含む鈴与グループの持株会社である鈴与ホールディングス及び大株主であるシティインデックスイレブンスらと複数回の交渉を行い、当該交渉を経て公開買付者の当初提示額を上回る金額に引き上げられた金額である。当該交渉の結果、鈴与グループは公開買付者と応募契約を締結し、シティインデックスイレブンスらは当該価格で本公開買付けが開始された場合には、公開買付期間中に保有する当社株式の全部を市場での売却又は本公開買付けへの応募を通じて処分する意向を示している。上記各株主は売却価格の最大化に最も利害関係を有しており、特に投資会社等は株式価値評価に関する専門的知見と売却価格を引き上げる強い動機を有していると推定される。これらを踏まえると、当社及び公開買付者が、価格引き上げについて当社の少数株主と利害が一致する大株主と交渉を行い、かつ、現に価格の引き上げが行われた上で妥結したことは、取引条件に関する協議・交渉過程において独立当事者間で行われる場合と実質的に同視し得る状況があったものといえる。
・ 以上に加えて、①本取引の条件が形成される過程において本特別委員会の設置及び関与を含む公正性担保措置の履践を通じて独立当事者間取引と同視し得る状況が確保されており、現に当事者間で真摯な交渉を経て合意されたこと、②本株式価値算定書は、我が国において多数の実績を有する大手事業者であって、公開買付関連当事者及び当社から独立した第三者算定機関により作成されており、かつ、算定基礎となる財務予測や前提条件(フリー・キャッシュ・フローの算定、割引率、継続価値、事業価値に加減算する非事業用資産及び有利子負債を含む。)等に不合理な点(算定基礎となる財務予測を恣意的に悲観的な収益予測としたことを窺わせる事情を含む。)は見受けられず、その算定方法及び算定結果は合理的なものと認められるところ、本取引における対価は、市場株価基準法レンジの上限値を超え、かつ、DCF法のレンジに収まること、③前回公開買付けの公表日以前の株価対比で見ると、同種案件を上回るプレミアム水準であることを総合的に考慮すれば、当社の少数株主は、本取引において対価の交付を受けることにより、「本取引を行わなくても実現可能な価値」のみならず「想定される本取引による企業価値増加効果」も相当程度享受することを推認させる。
・ なお、本取引における対価は当社の2023年12月31日現在の連結簿価純資産から算出した1株当たり純資産額を下回っている。もっとも、修正純資産法は、将来の収益性やキャッシュ・フローを加味しないことから、継続企業の株式価値算定には馴染まない手法であるとの判断に不合理な点は認められない。また、仮に当社が清算する場合にも、簿価純資産額がそのまま換価されるわけではない。当社の具体的な状況を見ても、連結貸借対照表において総資産に占める流動性の低い資産(商品及び製品、仕掛品、原材料及び貯蔵品、土地建物といった固定資産)の割合が約39.1%と相当程度存在すること、清算に際しては売上債権の早期回収に伴う費用・損失、工場の閉鎖に伴う除去コスト、清算に伴う様々な追加コストが発生すると見込まれること等を考慮すると、仮に当社が清算する場合にも、連結簿価純資産額が同額で換価されるわけではなく、現実的には当社株主に分配することができる金額は連結簿価純資産額から相当程度毀損された金額になることが想定される。以上の諸点を踏まえると、本取引における対価が1株当たり純資産額(2023年12月31日現在)を下回っていることをもって、本取引における対価の妥当性を否定する理由にはならないとの判断に不合理な点は認められない。
・ 以上の点を総合的に考慮すると、本公開買付価格は、妥当なものであり、本公開買付けは当社の株主に対して合理的な株式売却の機会を提供するものである。
・ また、スキームその他の取引条件についてみても、本取引の方法及び対価は、当社の少数株主にとって不利益ではないため、公正性・妥当性が認められる。
・ 以上の次第であるから、本取引の条件には公正性・妥当性が確保されている。
(d) 当社取締役会が本公開買付けに賛同意見を表明し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することは相当であるため、当該決議を行うことを勧告する。
・ 本公開買付けに対して当社の取締役会が賛同意見を表明すること及び当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨することの是非を問うものである。
・ 本特別委員会としては、前記(a)から(c)において検討を要請されている事項が、本事項を検討する際の考慮要素になるものと考える。
・ そして、本特別委員会の審議の結果、前記(a)から(c)について、いずれも問題があるとは考えられないことは、本答申書で詳細に述べてきたとおりである。
・ 以上から、本取引は当社の企業価値の向上に資するものであり、本取引の目的は合理的であるから、当社の取締役会が賛同の意見を表明すること、及び、本公開買付価格を含む本取引の条件は公正な手続を経て形成された妥当な内容であって本公開買付けは当社株主に合理的な株式の売却機会を提供するものであるから、当社の株主に対して本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議を行うことは、いずれも相当であるため、当該決議を行うことを勧告する。
(e) 本取引に関する決定(本公開買付けに関する意見表明の決定を含む。)は当社の少数株主にとって不利益なものでない。
・ 本取引は当社の少数株主にとって不利益なものではないと考えられるかを問うものである。
・ もっとも、本特別委員会としては、前記(a)から(d)において検討を要請されている事項が、(e)を検討する際の考慮要素になるものと考える。
・ そして、本特別委員会の審議の結果、前記(a)から(d)について、いずれも問題があるとは考えられないことは、本答申書で詳細に述べてきたとおりである。
・ 以上から、本特別委員会は、本取引は当社の少数株主にとって不利益なものでないと思料する。
その後、当社は、本買付条件変更に係る提案がなされる可能性が生じたことを受け、本特別委員会に対して本買付条件変更を前提としても、上記の答申内容を維持できるかどうかにつき意見を求めたところ、本特別委員会は、2024年3月4日及び同月7日に本特別委員会を開催し、当社取締役に対してヒアリングを行った上で検討を行い、同年3月11日に、当社の取締役会に対して上記答申内容を維持することが妥当であると考える旨を決議しました。本特別委員会の当該判断の理由は以下のとおりです。
(a) 本買付条件変更の目的は合理的である。
・ 公開買付者によれば、本買付条件変更は、当社株式の市場取引の状況や本公開買付けの成立の確度を高める必要性を総合的に勘案し、本公開買付けのより確実な成立を目指すために行われるものとのことであり、かかる説明に不合理な点は認められない。
・ 本公開買付けが成立した場合における本株式併合に係る議案が成立する蓋然性について、公開買付者の検討結果を踏まえると、本公開買付けが成立した場合に非公開化が実現されない可能性は低いと判断することが合理的と考えられる。
・ また、本公開買付けの成立後、公開買付者の所有する当社の議決権が当社の総株主の議決権の3分の2を下回る場合、当社を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続として行われる本株式併合の議案が臨時株主総会で承認されない可能性が想定されるが、公開買付者によれば、万が一、そのような事態となった場合においては、最終的には当社株式を追加取得することを明示しており、この点においても本公開買付けが成立した場合に非公開化が実現されない可能性は低いものといえる。なお、追加取得の手法が具体化し、当該手法が支配株主等との重要な取引に該当するなど必要な場合には、改めて特別委員会で検討を行うものとする。
・ 少数株主の利益に配慮した形で本買付条件変更がなされるものであれば、本買付条件変更により本公開買付けの成立可能性が向上することは、当社の企業価値の向上に資すると考えられる本取引の実現可能性を高めるとともに、少数株主に適切な売却機会を与える観点で望ましいものと考えられる。
(b) 本公開買付けを含む本取引に係る手続の公正性が確保されている。
・ 本買付条件変更前の買付予定数の下限は7,628,200株とされており、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」を満たす水準に設定されていたが、本買付条件変更により買付予定数の下限が、6,865,400株に変更された場合においても、引き続き「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」の応募が本公開買付けの成立の条件となる。
・ 本公開買付けの成立後、公開買付者の所有する当社の議決権が当社の総株主の議決権の3分の2を下回り、当社を公開買付者の完全子会社とするための一連の手続として行われる本株式併合の議案が臨時株主総会で承認されない場合は、公開買付者は、最終的には当社株式を追加取得することを明示しているが、当該価格は、本公開買付価格と比較して、当該追加取得に応じて売却を行う株主にとって経済的に不利益と評価されることのない合理的な価格(当社が株式併合又は株式分割を実施するなど、調整を要する事象が発生しない限り、原則として本公開買付価格と同額)で追加取得する方針としていることから、強圧性を排除するとともに応募した株主にとって不平等な結果が生じないようにすることで公正性が担保される見込みである。
・ 本公開買付届出書の訂正届出書のドラフトによれば、本買付条件変更に至る経緯が詳細に開示される予定であり、本買付条件変更に係る充実した開示がなされる見込みであるといえる。
・ 以上のことからすれば、本取引においては、公正な手続を通じて当社の少数株主の利益への十分な配慮がなされていると認められるとの意見を変更する必要はないと思料する。
(c) 本取引の条件の妥当性は確保されている。
・ 本買付条件変更に係る本公開買付価格1,438円は、公開買付者による本買付条件変更に係る本公開買付価格が決定された2024年3月7日の前営業日である同年3月6日の東京証券取引所スタンダード市場における当社株式の終値1,347円及び本公開買付けの公表日の翌営業日である2024年2月6日から公開買付者により本買付条件変更に係る本公開買付価格が決定された同年3月7日の前営業日である同年3月6日までの間の終値単純平均1,348円を上回る金額である。
・ 本買付条件変更に係る本公開買付価格1,438円は、本公開買付けの公表日の翌営業日である2024年2月6日から公開買付者により本買付条件変更に係る本公開買付価格が決定された同年3月7日の前営業日である同年3月6日までの間において、1,438円又はそれを超えた金額での取引は行われていない。
・ 本公開買付けによりその公表前に比べてプレミアムを付した価格で株主が当社株式を売却することが引き続き可能となると考えられる。
・ さらに本買付条件変更に係る本公開買付価格は、当社及び公開買付者が、当社の大株主である3D Investment Partnersと交渉を行い、当該交渉を経て引き上げられた金額である。当該交渉の結果、3D Investment Partnersは当該価格で、公開買付期間中に、その運用するファンドが保有する当社株式の全部を市場での売却又は本公開買付けへの応募を通じて処分する意向を示している。
・ 以上のことからすれば、本取引の条件は妥当性が確保されているとの意見を変更する必要はないと思料する。
(d) 本買付条件変更は当社の少数株主にとって不利益なものでない。
・ 前記(a)、(b)及び(c)のとおり、本取引の目的は合理性を有し、また本公開買付けを含む本取引に係る手続の公正性、妥当性も確保されているとの意見は変更をする必要がないから、本取引は当社の少数株主にとって不利益なものでないと思料するとの意見を変更する必要もないと思料する。
当社は、ファイナンシャル・アドバイザー及び第三者算定機関であるみずほ証券の本株式価値算定書の内容及び森・濱田松本法律事務所から受けた法的助言を参照し、当社及びINBホールディングスとの間で実施した複数回に亘る協議の内容その他の関連資料を踏まえ、本特別委員会から取得した本答申書の内容を最大限に尊重しながら、本取引に関する諸条件について慎重に審議及び検討を行った結果、当社は、上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、2024年2月5日に、当社の取締役8名のうち、審議及び決議に参加した当社の取締役7名の全員一致で、当社の意見として、本公開買付けに賛同の意見を表明するとともに、当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の決議をいたしました。また、当社は、公開買付者が、本買付条件変更を決定したことを受けて、2024年3月11日付の当社取締役会において、本買付条件変更について再度慎重に協議・検討を行い、本買付条件変更に関する本特別委員会の意見等を踏まえ、本買付条件変更を踏まえても、本公開買付けに賛同する旨の意見及び当社の株主の皆様に対して、本公開買付けに応募することを推奨する旨の意見を維持することを決定いたしました。
なお、当社の取締役8名のうち、代表取締役である山田潤氏(以下「山田氏」といいます。)については、2023年10月17日付で当社の株主である株式会社ナナホシマネジメントから、当社が2019年9月11日付で公表したプレスリリース「当社製品の一部における不適切な食品表示についてのお詫びと今後の対応について」に記載の不適切な食品表示に関し、山田氏及び当時の担当取締役(現時点では退任済み)に対して当社に生じた損害の賠償を求める株主代表訴訟が提起されているところ、本取引が完了して当社の株主が公開買付者のみとなった場合には、当社の現在の株主は株主代表訴訟の原告適格を失うことになるため、本取引の実施について一定の利害関係を有していると評価される可能性も完全には否定できないことから、本取引の意思決定における公正性の確保について慎重を期すため、本取引に関する当該取締役会の審議及び決議並びに当社とINBホールディングス、鈴与グループ各社及びシティインデックスイレブンスらとの協議及び交渉には参加しておりません。なお、山田氏は、本公開買付け開始後に、3D Investment Partnersとの間で行った本公開買付価格の引き上げに関する交渉に関与しております。
公開買付者は当社株式を非公開化することを目的としつつ、本公開買付けの成立の確実性を高めるため、本公開買付けにおいて買付予定数の下限を6,865,400株(所有割合:60.00%)と設定しており、応募株券等の数の合計が買付予定数の下限(6,865,400株)に満たない場合には、応募株券等の全部の買付け等を行わないとのことです。なお、買付予定数の下限(6,865,400株)は、自己株式控除後発行済株式総数(11,442,256株)に係る議決権の数(114,422個、1単元(100株)未満に係る数を切り捨てています。)の60%に相当する議決権の数(68,654個、小数点以下を切り上げております。)に、当社株式1単元(100株)を乗じた株式数としているとのことです。また、当該株式数は、当社第3四半期決算短信に記載された2023年12月31日現在の当社の発行済株式総数(11,450,398株)から、同日現在の当社が所有する自己株式数(8,142株)並びに応募合意株式の数(1,339,400株)及びいなば食品が保有する当社株式(100株)を控除した株式数(10,102,756株)の過半数に相当する株式数(5,051,379株。これは、公開買付者と重要な利害関係を有さない当社の株主の皆様が所有する当社株式の数の過半数、いわゆる「マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)」に相当する数にあたるとのことです。)に応募合意株式の数(1,399,400株)及びいなば食品が保有する当社株式(100株)を加算した株式数(6,390,879株、所有割合55.85%)を上回るものとなるとのことです。これにより、公開買付者と利害関係を有さない当社の株主の皆様の過半数の賛同が得られない場合には、当社の少数株主の皆様の意思を重視して、本公開買付けを含む本取引を行わないこととしているとのことです。なお、公開買付者としては、公開買付者との間で公開買付応募契約を締結している各株主は、いずれも公開買付者と重要な利害関係を共通にするものではないと考えているとのことですが、仮にこれらの株主を一般株主から除外したとしても、上記のとおり、買付予定数の下限は、マジョリティ・オブ・マイノリティ(Majority of Minority)を上回るとのことです。
上記「1.株式併合の目的」に記載のとおり、当社は、戦略的パートナーの探索のため、INBホールディングスのほか、2023年の12月中旬から下旬にかけて29社の事業会社と9社の投資ファンドに対して本取引に関する提案の打診を行い、入札プロセスを実施し、INBホールディングスを戦略的パートナーとして選定しております。
さらに、当社は、公開買付者との間で、本特別委員会の答申が撤回又は変更されていないことを条件として、原則として、当社の取締役会が、本公開買付けに賛同し、当社の株主に対して本公開買付けへの応募を推奨する旨の意見表明(以下、⑦において「賛同意見表明」といいます。)を維持し、これを撤回又は変更する取締役会決議を行わないことに合意しておりますが、当社は、第三者による本取引と競合、矛盾又は実質的に抵触する合理的なおそれのある取引又は行為の提案、公表又は実行がなされた場合で、賛同意見表明を撤回又は変更しないことが、当社の取締役の善管注意義務違反となる相当程度の可能性があると合理的に判断した場合には、賛同意見表明を撤回又は変更することができるとされていることに加え、対抗的買収提案者が当社との間で接触することを制限するような内容の合意を行っておらず、対抗的な買付け等を行う機会を妨げないようにしています。
また、公開買付者は、本公開買付けにおける買付け等の期間を、法令に定められた最短期間である20営業日より長い30営業日に設定することにより、当社の少数株主の皆様に本公開買付けに対する応募について適切な検討期間を提供しつつ、当社株式について、他の公開買付者以外の者による対抗的な買付け等を行う機会を確保することで、本公開買付けの公正性を担保することを企図しているとのことです(なお、本買付条件変更に伴い、公開買付期間は、33営業日に延長されております。)。
したがって、公開買付者以外の者による当社株式に対する買付け等の機会は十分に確保されております。
2024年6月10日(予定)
以上