第2 【事業の状況】

 

1 【事業等のリスク】

当第1四半期連結累計期間において、新たな事業等のリスクの発生又は前事業年度の有価証券報告書に記載した事業等のリスクについての重要な変更はありません。

当社は、前連結会計年度まで5期連続で営業損失を計上したことから、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような状況が存在しておりますが、「2 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (5)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策」に記載のとおり、諸施策を実施していることから、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。

 

2 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 

文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日において当社が判断したものであります。

 

(1)経営成績の分析

 

当第1四半期連結累計期間(2023年4月1日から2023年6月30日)における世界経済は、ウクライナ情勢の影響による資源価格高騰の長期化、主要各国での金融引き締め、為替の急激な変動等、依然として油断を許さない状況が続いております。また、世界規模で進む気候変動問題に対しては、各国の脱炭素化の動きがますます活発となっており、自動車業界やプラスチック業界への影響が注視されます。

我が国経済においては、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことで経済社会活動の正常化が期待され明るい兆しが見えつつある一方で、資源高騰に伴うエネルギー価格および輸送価格の大幅上昇や各資材価格の値上がり、全国的な人手不足問題と人件費上昇等、継続して様々な経営課題に直面しております。

このような環境下、当社グループでは、コスト上昇に対応した売価の価格改定と製造現場の効率化、販売先および仕入先の新規開拓を進めております。中期経営計画の最終年にあたる当年度において、既存事業の発展・強化に努めるとともに、新規事業であるリサイクル事業の収益改善に進め、当連結会計年度での黒字化を目指してまいりました。

以上の結果、当第1四半期連結累計期間の業績は、売上高318,675千円(前年同四半期比25.3%増)、営業損失1,594千円(前年同期は営業損失48,015千円)、経常利益7,781千円(前年同期は経常損失37,533千円)、親会社株主に帰属する四半期純利益6,111千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失27,970千円)となりました。

 

当社個別決算につきましては、前年同四半期との比較で売上高、営業損失、経常損失ともに健全化を見せ、売上高が23.3%増加、営業損失が39,254千円改善したほか、経常損失は黒字化し6,964千円の経常利益(前年四半期は32,505千円の経常損失)が発生いたしました。

 

回次

第100期

第1四半期累計期間

第101期

第1四半期累計期間

前年同四半期比較

会計期間

自 2022年4月1日
至 2022年6月30日

自 2023年4月1日
至 2023年6月30日

売上高

(千円)

218,236

269,086

+50,849

(+23.3%)

営業損失(△)

(千円)

△41,957

△2,702

経常利益又は

経常損失(△)

(千円)

△32,505

6,964

 

 

 

セグメント別の業績は次のとおりであります。

なお、各セグメントの営業損失は、各事業に配分していない全社費用33,679千円を配分する前の金額であります。

 

(紡績事業)

当第1四半期連結累計期間における当該事業の状況につきましては、得意先の在庫調整の影響を受け、計画していた生産数量には至らなかったものの、価格改定が進んだことで売上高は増加傾向にあります。

主力のアラミド繊維製品においては、資材用途向けが海外他社との競合により、計画より減産となりましたが、防護衣料用途向けへの転換を進めることとなったために、生産量は前四半期連結会計期間(2023年1月~2023年3月)より微減し、114tとなりました。

一方で、回復傾向にある高級インナー向け紡績糸においては、需要のシーズンに入ったこともあり、生産量は前四半期連結会計期間の約3倍を超える21tとなりました。その他、ポリエステル等の他素材については、生産量は前四半期連結会計期間との比較では減少したものの、前年同期並みに推移しております。

この結果、紡績事業の第1四半期連結累計期間の業績は、売上高96,124千円(前同期比12.4%増)、営業利益3,741千円(前年同期比1,319.2%増)となりました。

 

(テキスタイル事業)

当第1四半期連結累計期間における販売状況につきましては、中東及び東アジア各マーケットにて現地での需要は堅調ではあるものの、委託加工先のスペースと人手が不足している影響から、染色及び出荷作業に遅れが出ている状況です。

引き続き第2四半期以降も成約済み契約の消化を急ぎながら、加工場のリソース確保と、高騰する保管・輸送コストの見直しを随時行っていくことが課題となります。

この結果、テキスタイル事業の第1四半期連結累計期間の業績は、売上高116,597千円(前年同期比2.3%増)、営業利益5,777千円(前年同期比188.3%増)となりました。

 

(ヘルスケア事業)

当第1四半期連結累計期間における当該事業の状況につきましては、新たに香港向けに日本製化粧品の輸出を開始したこと、及び子会社である中部薬品工業の収益構造の健全化が順調に推移したことにより、計画を超える営業利益を達成することができました。

この結果、ヘルスケア事業の第1四半期連結累計期間の業績は、売上高31,920千円(前年同期比37.4%増)、営業利益2,788千円(前年同四半期は10,555千円の営業損失)となりました。

 

(リサイクル事業)

当第1四半期連結累計期間における当該事業の業績につきましては、生産及び販売ともに順調に推移しております。加えて大口転売品の商談が成立したことにより収益も大幅に改善しており、事業別の営業利益では黒字化を達成しました。

この結果、リサイクル事業の第1四半期連結累計期間の業績は、売上高74,033千円(前年同期比134.7%増)、営業利益19,777千円(前年同四半期は7,365千円の営業損失)となりました。

ただし、現在の中国市場を中心とした世界的な需給悪化、及び原油ナフサを中心とした原料価格の下落が第2四半期以降の当該事業に与える影響に注視してまいります。

 

 

(2)財政状態の分析

 

(資産)

総資産は前連結会計年度末より108,195千円減少し1,963,144千円となりました。これは主に、借入金の返済及び諸税金の納付により現金及び預金が79,843千円減少し206,733千円になるとともに、四半期末月の売上高が小さかったこと及び入金サイトの短期化により、受取手形及び売掛金が20,393千円減少し、118,602千円に、前連結会計年度末に出荷が遅延していた在庫を販売したことにより商品及び製品が8,977千円減少し98,684千円になった影響であります。

 

(負債)

負債は前連結会計年度末より116,282千円減少し995,121千円となりました。これは主に、借入金の返済により、短期借入金が20,000千円減少し519,500千円に、長期借入金が83,229千円減少し103,622千円に、消費税の納付により未払消費税が14,061千円減少し4,042千円に、法人事業税及び法人住民税の支払いにより未払法人税等が7,111千円減少し3,073千円になった影響であります。

 

(純資産)

純資産は前連結会計年度末より8,086千円増加し968,023千円となりました。主な内訳は、四半期純利益を計上したことにより利益剰余金が6,111千円増加し△1,151,616千円に、投資有価証券の時価上昇によりその他有価証券評価差額金が1,975千円増加し10,961千円になった影響であります。

 

 

(3)優先的に対応すべき事業上及び財務上の課題

当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。

 

(4)研究開発活動

 当第1四半期連結累計期間における研究開発費の総額は2,098千円であります。

紡績事業については、取引先企業と共に生産品種の拡大等に取り組み、販売費及び一般管理費に2,032千円計上しております。

その他の事業については、抗菌・抗ウイルス糸の研究開発に取り組み、販売費及び一般管理費に66千円計上しております。

テキスタイル事業及びヘルスケア事業については、研究開発費の計上はありません。

 

(5)継続企業の前提に関する重要事象等を解消するための対応策

1「事業等のリスク」に記載の継続企業の前提に関する重要な疑義を生じさせるような事象に対応すべく、以下の対応策を実施しております。

 

① 紡績事業及びテキスタイル事業の強化

紡績事業は、取引先との連携強化、研究開発の迅速化により高機能繊維の開発及び生産効率の改善をより一層図り利益率の向上を図ってまいります。

テキスタイル事業は、グレードの多様化による販売強化に取り組んでおります。

② ヘルスケア事業のポートフォリオ変更

ヘルスケア事業は、海外向けに販売可能な商品の開拓、連結子会社である中部薬品工業を中核としたオーラルケア用品や健康補助食品の開発強化に取り組みます。

③リサイクル事業の強化

リサイクル事業は、営業人材確保による原材料の仕入強化及び製造設備の拡充による取扱い可能品目の多様化によって事業を拡大していき、売上と利益の拡大を図ります。

④ キャッシュ・フローの改善

運転資金面では、金融機関からの当座貸越契約により調達した資金を活用しているものの、新規設備や商品仕入の先行投資のため、キャッシュ・フローは継続してマイナスの状態にあります。引き続き、新株予約権行使促進等の資金政策を進めるとともに、投資の早期収益化に努めてまいります。なお、2023年1月17日に第三者割当による新株及び新株予約権の発行を決議し、同年2月7日に発行価額の払込を受けていることから、今後の資金的余裕は担保しております。

 

これらの対応策を進めていくことにより、当第1四半期会計期間末において継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。

 

 

3 【経営上の重要な契約等】

当第1四半期連結会計期間において、経営上の重要な契約の決定又は締結等は行われておりません。