第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 文中の将来に関する事項は、提出日現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 経営方針

ニッケグループは、長期安定的に企業価値を向上させるために、「経営理念」「経営方針」に則り、株主をはじめとする多様なステークホルダーの皆さまから信頼される経営を目指しております

<経営理念>

”人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、

わたしたちは情熱と誇りをもってチャレンジして行きます。”

・未開の分野に目を向け、「高機能商品」「地域NO.1サービス」の開発と提供へ挑戦し、みらい生活創造企業を目指します。

<経営方針>

・「全員がチャレンジ精神を持ち」「人が育つ」、生命力あふれた会社を目指します。

・お客様の声と研究開発から、独自性のある商品・サービスで市場を創造します。

・常に未来を見つめ、グローバルな視点に立ち、世界に広がるお客様と社会の発展に貢献します。

・多くの市場で勝ち抜くために、広く人財を求め、多様な「知」を結集して、事業を革新・発展させます。

・お客様や株主様、社員、取引先、地域社会をはじめとした様々なステークホルダーとの永続的な信頼関係を築くことにより、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指します。

 

(2) 経営環境

新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、行動制限や海外からの入国制限が緩和され経済・社会活動の正常化が進んでいますが、依然としてその影響が色濃く残る事業分野もあります。加えて、ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫、資源・エネルギー価格の高騰や為替の変動にともなう物価上昇など、以前にも増して先行きが不透明な状況が続いております。また、中国における不動産市況の悪化等に伴う景気減速も、各事業分野にその影響が表れております。国内では賃上げ等による個人消費の持ち直しはあるものの、まだ力強さは感じられません。

ニッケグループもこのような事業環境に大きく影響を受けておりますが、中長期的・グローバルな目線で変化を捉え、リスクに対処するとともに「チャンス」も認識し、次の第3次中期経営計画を推し進めてまいります

 

当社グループにおける環境認識は以下のとおりです。

 

<衣料繊維事業>

・日本では少子化よる学生数の減少は続いていく。海外市場への取り組みは必須である。

・世界の衣料市場は回復していく。国内生産による優位性と海外展開が鍵となる。

・国内産地の疲弊が進み、バリューチェーンの再構築が必要となる。

・SDGsに謳われる持続可能な社会の実現、環境配慮型素材や機能素材、多様性がキーワードとなる。

 

<産業機材事業>

・自動車関連分野は、中国市況の影響を受けるも回復基調であり、EV化などの技術発展によるビジネスチャンスは引き続き期待できる。

・環境関連分野では、各地で規制強化が進みビジネスは拡大すると見込む。

・家電・OA分野は、海外での拡大を見込む。

・リサイクルビジネスなどSDGsを意識した市場の拡大が見込まれる。

 

<人とみらい開発事業>

・地域密着型ショッピングセンターは堅調に推移する。不動産開発分野では省エネビルなど資産価値を高めた物件の引き合いが増える。

・ライフサポート分野では、介護・保育関連市場は引き続き拡大していくものの、アフター・コロナにおける運営手法やサービスの構築が必要である。

 

 

<生活流通事業>

・Eコマース市場の盛り上がりは、アフター・コロナにおいて落ち着きを見せるものの、その利便性から拡大基調は変わらない。

・一方で、Eコマースによるボーダレス化から、海外勢やメーカー直販も含め競合が増加する。仕入品価格や物流費、広告宣伝費用の上昇基調も続く。

 

<メディカル関連事業>

・国内外において、医療機器・医薬用品業界は拡大していく。

・長期的には再生医療分野の市場が拡大していく。

 

(3) 対処すべき課題

①「RN130第2次中期経営計画(2021~2023年度)」の総括

 

 

(単位:百万円)

 

 

第2次中期経営計画(2021年度~2023年度)※1

 

2020年度

2021年度

2022年度

2023年度

 

実績

中期計画

実績

中期計画

実績

中期計画

業績予想

※2

実績

売上高

104,915

107,000

106,619

114,000

109,048

127,000

121,000

113,497

営業利益

9,048

8,600

9,900

9,500

10,707

11,500

11,000

11,016

経常利益

12,655

8,200

9,784

9,700

11,715

11,700

11,400

11,634

親会社株主に

帰属する当期純利益

7,121

4,000

8,308

6,500

7,283

7,800

7,300

7,643

 

※1 2021年1月14日公表

※2 2023年1月13日公表

 

(a)業績

ニッケグループは、中長期ビジョン「RN130ビジョン」において、今後10年間の目指す方向性、企業像、経営戦略を再構築し、更なる中長期的な企業価値の向上を目指すことを掲げております。2021年1月14日に公表した「RN130 第2次中期経営計画」は、RN130ビジョンへ向けて加速していく3年間と位置付け、新型コロナウイルスの影響を注視しながら着実に業績を回復させ、過去最高の売上利益を更新することを目指しました。そのための基本戦略を、①成長事業や新規事業、合理化への資源の重点配分、②海外ビジネスの拡大、③資本効率の改善、④事業部内再編によるシナジー効果の創出、として各種施策に取り組んでまいりました。

結果、3期連続の増収・営業利益増益となり、第2次中期経営計画の目標の一つである「2019年度に達成した過去最高の営業利益を更新する」については中期経営計画2年目(2022年度)に前倒しで達成することができました。中期経営計画最終年度(2023年度)については、計画数値である「連結売上高1,270億円以上、連結営業利益115億円以上、親会社株主に帰属する当期純利益78億円以上」に対して未達となりましたが、2023年1月13日に公表した期初の業績予想を各利益において上回ることができました。

急激な環境変化のなかで事業ごとに好調な年もあれば不調な年もありますが、これらが相互補完することにより営業利益は継続して100億円台を維持し、安定した収益基盤の構築が進んでおります。衣料繊維事業では利益率の高いアイテムへの絞り込みと省力化・効率化への取り組みから営業利益率は大幅に向上し、筋肉質な経営体制を構築してきました。産業機材事業では株式会社フジコーのグループ化によるシナジー創出から、2022年度には過去最高の営業利益を更新することができました。人とみらい開発事業は事業再編を進めるとともに、ショッピングセンターや保有不動産の付加価値向上と低効率資産の処分を進め、2023年度には過去最高の営業利益を更新しました。生活流通事業はコロナ禍のなかでEコマース事業は好調でしたが、今後の競争激化を見据え再構築を進めております。メディカル関連事業は開発品の上市が遅れたものの、利益率の高い商品の拡販やコスト削減に努め黒字が定着しました。

 

 

(b) 「RN130 第2次中期経営計画」における基本戦略の進捗

(ⅰ) 成長事業や新規事業・合理化への資源の重点配分および海外ビジネスの拡大

・衣料繊維事業における成長ドライバーの育成は、コロナ禍における行動制限から、特に海外事業の進捗が遅れました。中国事業では、学生服について市場環境の変化から戦略を見直し、ビジネスユニフォームやテキスタイルの展開に取り組みました。また、ニッケ独自の「糸」技術を活用したニット製品事業の取り組みも進めました。製造分野においては、省エネ・省人・自動化への取り組みを進め、製造コストの上昇を抑えることができました。

・産業機材事業においては、環境関連分野の更なる拡大として、高機能フィルター「アドミレックス」の生産拠点として中国での生産設備を増強しました。販売活動については順調に推移したものの、新工場の本格稼働が遅れたため、2024年度以降の業績貢献を見込んでおります。グループ化した株式会社フジコーとは、生産体制の統合や海外拠点の活用など連携を進め、不織布事業強化への体制を整えました。

・人とみらい開発事業においては、商業施設運営分野ではニッケコルトンプラザのリニューアルを実施し好調を維持しました。不動産開発分野では低収益不動産の再開発を進め、東京ビルの建て替えも進行しております。ライフサポート分野の拡大としては介護施設5拠点、保育施設1拠点を新規開設し、その安定運営と収益向上に取り組んでおります。また、通信及び新規サービス分野では事業ポートフォリオの見直しによる事業再編に取り組みました。

・生活流通事業においては、コロナ禍におけるEコマース市場の拡大により業績を大きく拡大してまいりましたが、競合の増加や仕入品価格・物流費・広告宣伝費用の上昇基調が続いており、今後の競争激化を見据え再構築を進めております。M&Aについては、独自性と商品拡充、販売・調達ルートの多様化を目的として3件(株式会社ワイワイ、サンコー株式会社、株式会社インテリアオフィスワン)を実行しました。

・メディカル関連事業においては、ニッケグループの繊維技術を活用した開発を進め、生体吸収性シート「Pawdre」が薬事承認されましたが、当初計画からは遅れ、2024年度以降の業績貢献を見込んでおります。

(ⅱ) 資本効率の改善

・製造分野においては、省エネ・生産工程のシンプル化に向けた設備投資などを行ってまいりました。

・不動産開発分野においては、既存施設・遊休施設の再開発・再々開発の実行、次のビジョンへ向けた施策を進めております。

・事業の選別を徹底し、非効率な事業の撤退や分離を推進してまいりました。

・政策保有株式については第2次中期経営計画3ヶ年において42銘柄を売却し22.4億円(簿価ベース)の縮減を実施しました。また、自己株式取得については2022年度において3百万株、2023年度において約2百万株を実施し、自己株式の消却については2022年度に8百万株を実行、2024年度には約2百万株の消却を予定しております。

・ROEについては継続して7%程度となり、2021年度には8%超を達成しました。更なる資本効率の改善に取り組み、ROE8%以上を継続的に達成できる経営体質の構築に取り組んでまいります。

(ⅲ) 事業部内再編によるシナジー効果の創出

・衣料繊維事業においては、連携強化と更なる効率化を目的としてテキスタイル・ヤーン事業の再編やユニフォーム事業の再編を実施しました。

・産業機材事業においては、グループ化した株式会社フジコーとの連携による不織布事業の強化や海外拠点の活用を進めました。

・人とみらい開発事業においては、健康志向の高まりへの対応とスクール事業の強化を目的として、スポーツ事業会社(ゴルフ・テニス事業)を統合しました。

・生活流通事業においては、Eコマース会社の統合やグループ各社の物流機能の集約を進め、商材の拡充や販売ルートの共有、経営効率化を図りました。

 

②「RN130第3次中期経営計画(2024~2026年度)」について

2024年1月12日に公表した「RN130第3次中期経営計画」は、RN130ビジョンの最終フェーズとして、未開の分野に目を向け、「高機能商品」「地域NO.1サービス」の開発と提供へ挑戦し、各事業が描く「みらい生活創造企業」の具現化を目指すことを掲げております。着実に「前年よりも成長」し、過去最高の売上・各利益の更新を目標といたします

 

 

(a) 第3次中期経営計画における基本戦略

下記の基本戦略を実現するために、「3つの投資」を実行してまいります。

 

<3つの投資> 

  ・商品開発・合理化・省エネ設備への投資

  ・顧客拡大のための投資

  ・人財投資

 

(ⅰ) 成長事業や新規事業、合理化(省エネ・省人・自動化)への資源の重点配分

<衣料繊維事業>

  ・成長ドライバーの育成(海外テキスタイル、ニット製品)

  ・製造強化(省エネ・省人・自動化)

  ・バリューチェーンデジタル化による生産性向上

  ・製造バリューチェーンの強化(国内モノづくりの強化と海外リスク分散)

  <産業機材事業>

    ・自動車関連(EV対応)、環境関連(高機能フィルター「アドミレックス」)の更なる拡大

  ・不織布事業の収益強化

  ・海外ビジネスの拡大(海外拠点の設備投資、海外販売の拡大)

  ・リサイクルビジネス(古着反毛)への本格参入  

  <人とみらい開発事業>

  ・不動産開発事業の推進(東京ビル再開発、神戸ビル改修、一宮遊休地・伊丹土地・コルトンプラザ南側開発など)

    ・商業施設や保有不動産のリニューアルによる顧客満足・資産価値の向上

  ・不採算物件の見直し(撤退、再開発もしくは処分) 

  ・ライフサポート事業における運営体制の強化

  <生活流通事業>

  ・Eコマースビジネスの強化(物価高騰・競争激化への対応、海外Eコマース、商材拡充)

  ・SPA(製造小売り)のバリューチェーン構築

    ・Eコマース事業に適した物流基盤の構築

  <メディカル関連事業>

  ・新製品の投入と拡販(生体吸収性シート「Pawdre」、腹腔鏡手術用マルチポート「DomePort」などの製品開発と拡販)

  ・再生医療分野への挑戦(細胞培養用ゼラチン繊維基材「Genocel」、PGAシートなどの用途拡大)

 

(ⅱ) 海外ビジネスの拡大

・モノづくりは国内強化と地政学リスクも鑑みた再構築、販売は海外での拡販を推進

 地政学リスク、特に中国景況を注視しながら進める

・衣料繊維事業におけるテキスタイル・ニット製品事業の拡大

・産業機材事業における海外事業拡大(「アドミレックス」「ヒメロン」の拡販、海外拠点の設備投資実行)

・生活流通事業における協業を含めた越境Eコマースの取り組み

 

(ⅲ) 資本効率の改善

・低収益不動産の再開発・再々開発、切り離し。

・事業の選択と集中を徹底し、構造改善や撤退・分離、投下資本の組み換えを推進。

 

(ⅳ) 事業部内・事業部間におけるシナジー効果の創出

 グループ全社戦略としては、シナジー効果創出によるグループ経営の強化、内からの成長(設備投資・研究開発投資)と外からの成長(M&A戦略)のバランスのとれた資源配分、資本効率の改善(投資基準としてROIC目標8%・最低5%を設定)、人的資本の価値向上と健康経営の推進、研究開発戦略(既存事業領域の一歩先を行く成長分野、既存事業とは異なる新規事業開拓)などに引き続き取り組んでまいります。

 

 

(b)数値計画

 

(単位:百万円)

 

第2次中期

経営計画

第3次中期経営計画(2024年度~2026年度)※

 

2023年度

2024年度

2025年度

2026年度

 

実績

計画

計画

計画

売上高

113,497

111,000

120,000

130,000

営業利益

11,016

11,000

12,000

13,000

経常利益

11,634

11,600

12,400

13,400

親会社株主に

帰属する当期純利益

7,643

7,700

7,800

8,800

 

 2024年1月12日公表

 

 着実に「前年よりも成長」し、過去最高の売上・各利益の更新を目標といたします。また、資本収益性を意識した経営を推進し、ROE8%目標の達成とPBR1倍超を目指してまいります。

 

(c)成長投資と株主還元

(ⅰ)成長投資と安定的な株主還元のバランスを志向します。

(ⅱ)成長投資については、研究開発投資、M&A投資、設備投資、人財投資など、中長期的な企業価値向上の観点から積極的に実行します。

(ⅲ)株主還元

  ・配当性向については、現行の30%程度から順次切り上げ、第3次中期経営計画最終年度での35%を目標とします。

  ・投資の進捗も鑑み機動的な自己株式取得を行い、総合的な株主還元を充実させてまいります。

 

 現在の不確実な事業環境下においても、足元の状況のみに左右されず中長期的・グローバルな目線で変化を捉え、リスクに対処するとともに「チャンス」も認識することが大切だと考えております。第3次中期経営計画においては、RN130ビジョンの具現化を目指すとともに、その先のビジョンに向けた「ありたい姿」も描きながら成長投資を加速させ、魅力的な事業の創造に取り組んでまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般

当社グループは、グループビジョンに“みらい生活創造企業”を掲げ、サステナビリティを意識した魅力的な事業を創造し、持続可能な社会の実現に向けた貢献及び企業の永続的な成長と発展を目指しております。企業も社会の一員であり、社会的課題の解決に貢献していくことが、ステークホルダーの皆様からのご期待に応え、企業価値の向上に繋がると考えております。

 

<経営理念> 

”人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、

わたしたちは情熱と誇りをもってチャレンジして行きます。”

<グループビジョン>

 未開の分野に目を向け、「高機能商品」「地域NO.1サービス」の開発と提供へ挑戦し、

 みらい生活創造企業を目指します。

<ニッケグループSDGsビジョン>

Innovations Aiming at Sustainable

 Growth of Nikke

ニッケグループは、人と地球に「やさしく、あったかい」企業グループとして、情熱と誇りをもって

チャレンジし、持続可能な社会の実現と社会課題の解決に向けて貢献してまいります。

 

① ガバナンス

当社グループでは、サステナビリティをめぐる社会的課題への対応が経営の重要課題(マテリアリティ) の一つであると認識しており、これらを経営に統合していくことが、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループの永続的な成長に寄与するものと考えております。当社グループでは、マテリアリティ等を認識し、取り組みを推進することを目的として、2022年2月に常設委員会として「サステナビリティ委員会」を設置しました。本委員会は、経営戦略センター長(コーポレート担当役員)を委員長とし、代表取締役社長および各事業本部長、研究開発センター長、人財戦略室長、その他関連部門室長によって構成されており、その審議内容については、取締役会へ適時報告されております。

また、常設委員会として「ニッケグループ地球環境委員会」「企業ブランド戦略委員会」「グループ人財戦略委員会」を設置し、地球環境保全や人的資本経営を推進するとともに、企業ブランドの構築を図っております。

加えて、代表取締役社長直下に「ニッケグループリスク管理委員会」を設置し、当社グループの認識するリスクを特定し、リスクの防止および損失の極小化を図るためのリスク管理体制を強化しております。

 

<ニッケグループ サステナビリティ推進におけるガバナンス体制図>


 

② 戦略

当社グループは、2024年度を初年度とする「RN130ビジョン第3次中期経営計画(2024年~2026年度)」において、「安心・安全への取り組み」「健康・快適への取り組み」「環境への取り組み」「経営基盤の強化」をマテリアリティとして掲げ、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)への取り組みを進めております。また、信頼の基盤はステークホルダーに対して誠実な経営であることと、コンプライアンスレベルを超えて倫理的に行動することであると考え、「企業倫理規範」「企業行動基準」を制定、価値観や意思決定基準をニッケグループで共有しグループ全員での意識向上を図っております。

 

③ リスク管理

当社グループでは、代表取締役社長直下に「ニッケグループリスク管理委員会」を設置し、当社グループの認識するリスクを特定し、リスクの防止および損失の極小化を図るためのリスク管理体制を強化しております。また、各事業部およびグループ各社においても随時、リスク管理委員会を開催し、事業毎の固有リスクの把握を図っております。

また、当社監査役および内部監査部門の監査や、年2回開催の「ニッケグループリスク管理委員会」を通じて、グループ全体の包括的なリスクの認識と共有を図り、リスク管理体制について定期的なレビューを行っております。

 

ニッケグループリスク管理委員会体制


 

④ 指標及び目標

当社グループは、企業の持続的な成長と中長期的な企業価値向上のために、持続可能な社会の実現を意識した企業活動に取り組んでおります。各事業が社会的課題の解決に繋がる「高機能商品」「地域NO.1サービス」を提供していくことをサステナビリティ全般にかかる目標として掲げております。

 

 

(2) 気候変動

当社グループは、企業理念のもと「環境への配慮と高い企業倫理により社会から信頼される企業グループを指向すること」を環境基本方針としております。とりわけ地球環境の保全を最重要の課題と捉え、豊かで住みよい社会の実現に向けた企業活動に努めるため、4つの重点施策と3つの行動指針を定めており、研究開発から製造、技術、販売、流通に至るあらゆる分野において、グループ全従業員が積極的に環境保全活動に取り組んでおります。

 


 

① ガバナンス

気候変動に関するガバナンスは、サステナビリティ全般のガバナンス体制に組み込まれております。

地球環境問題に関しては、「サステナビリティ委員会」においてリスクと機会の分析を行い経営戦略に反映いたします。「サステナビリティ委員会」はコーポレート担当の取締役常務執行役員が委員長を務め、その審議結果は取締役会に適切に報告されております。また、「ニッケグループ地球環境委員会」は、温室効果ガス削減などの地球環境問題に関する指標と目標の設定、実行のための技術の検討、および実績の計量とモニタリングを担い、「サステナビリティ委員会」と連携しております。具体的な実行計画は各事業本部・事業部に設置された「部門地球環境委員会」が立案し遂行する体制となっております。「ニッケグループ地球環境委員会」の委員長は、主として技術部門出身の取締役常務執行役員が指名されております。

 

② 戦略

ニッケグループでは、全ての事業分野を対象として、1.5℃シナリオを想定した移行リスク、4℃シナリオを想定した物理リスク、ならびに機会について分析を行っております。

1.5℃シナリオにおいては、エネルギーコストや資材の高騰、環境対策費用や炭素税の負担増加が想定され、製造機能を有する「衣料繊維事業本部」、「産業機材事業本部」、ならびに商業施設運営や不動産開発を行う「人とみらい開発事業本部」において相応の影響が想定されております。また、環境性能や低炭素素材の採用に対する要求が高まる結果、新たな素材の開発やサプライチェーンの再構築が必要となりコストが増大する可能性があります。

4℃シナリオにおいては、風水害の甚大化により一部の工場や商業施設が被災し、操業停止による損失、ならびに復旧コストが生じる可能性があります。また、羊毛の原産地において干ばつ等が発生した場合、その調達に支障をきたす可能性があります。

一方で、機会の面では、全国に保有する太陽光発電施設はすでにグリーンエネルギー需要の高まりに貢献しておりますが、将来的には自家使用により自社のエネルギーコストの低減とカーボンオフセットに活用することも検討してまいります。また、低環境負荷型オフィスビルの開発やウール素材のサーキュラーエコノミーの追求など、お客さまに選ばれ社会に貢献できるサービスと製品を提供することで、ニッケグループは持続的で着実な成長を実現できるものと考えております。

 

分類

実現時期

影響

説明

現在の取り組み

移行

政策

法規制

技術

短中期

・工場や大規模商業施設における直接エネルギーコストの増大

・各施設、設備のエネルギー効率の最適化

・太陽光発電による創エネ

・再生可能エネルギーの導入

中長期

中~大

・化石エネルギー使用施設、設備の価値低下

・環境対応投資や研究開発費増大の可能性

市場

評判

短中期

中~大

・消費者の低炭素化への期待に対応できない場合、企業ブランドが棄損し競争力低下の可能性

・原材料コスト高騰

・消費者購買行動の的確な把握

・環境配慮商品の積極的開発

・原材料メーカーや業界動向のモニタリング

中長期

中~大

・主にBtoB事業で取引先からCO2排出量削減要請の可能性

・環境対応投資や研究開発費増大の可能性

物理

急性

短中長期

・激甚な風水害による一部施設、設備及び在庫被災の可能性

・BCP体制強化及びリスク管理委員会での体制整備状況のモニタリング

・研究開発施設の改築、移設

中長期

・酷暑による屋外施設の集客力低下

・電力ひっ迫による商業施設、工場の稼働停止

慢性

中長期

・羊毛の産出量減少、品質低下

・工場での労働環境、在庫品質維持コスト増加

・介護、保育施設での利用者の体調管理負担増加

・原材料調達の多様化

・地域医療機関との連携強化

・介護、保育施設の設備改善

機会

資源

エネルギー源

中期

中~大

・太陽光発電施設活用によるエネルギーコスト低減とカーボンオフセット

・製品の再生利用によるコスト削減

・生産技術革新によるCO2削減

・売電用太陽光発電設備の将来的な自家使用検討

・サーキュラーエコノミーへの取り組み推進

・環境配慮型革新紡績糸"Breeza"生産設備導入拡大

製品

サービス

市場

中期

中~大

・低炭素ビルディング開発による競争力の向上

・低環境負荷製品選好の強まりによる天然素材であるウールそのものや当社高機能製品のブランド力、競争力向上の可能性

・製造工程でのCO2排出量削減による顧客評価向上

・東京ビル再開発での低炭素設計採用

・ごみ焼却施設等向け高機能フィルターバグ「アドミレックス」の中国での生産能力増強及びグローバル市場への販売拡大

・環境配慮型革新紡績糸"Breeza"生産設備導入拡大

・「ZQ認証」(※)原料の調達拡大

 

※ZQ認証:羊毛原料について「動物愛護」「環境配慮」「作業の安全性」「雇用環境」等の厳格な基準を第三者機関が監査した上で認証する制度

 

③ リスク管理

気候変動に関するリスク管理は、サステナビリティ全般のリスク管理の中に組み込まれております。

加えて、気候関連リスクに関しては、2022年2月に設置した「サステナビリティ委員会」においてリスクと機会の特定と評価を開始し、特定された短期、中長期リスクの管理に係わる行動計画の策定と見直し、実施状況のモニタリングを「ニッケグループ地球環境委員会」と連携して行っております。

 

 

④ 指標及び目標

ニッケグループは、スコープ1、2のCO2排出量について、2018年度を基準年として2030年度での50%の削減を目指しております。また、2050年度のカーボンニュートラル実現に向け、工場生産設備の更新等によるエネルギー使用量の削減、既存太陽光発電設備の活用ならびに新設、グリーンエネルギーの調達拡大などあらゆる選択肢を検討してまいります。

これらの取り組みに関しては、「ニッケグループ地球環境委員会」において、基本方針・具体的目標の設定、活動および運用、報告および点検、改善方針策定のPDCAサイクルを繰り返すことで推進しております。

 


 

スコープ1、2 CO2排出量実績 - 連結

 

 

(単位:t-CO2/年度)

2018年度

(基準年度※)

2022年度実績

 

・衣料繊維事業は、2019年度に江陰日毛紡績有限公司を事業譲渡した影響が含まれており、基準年対比で半減しております。

・産業機材事業は、2021年9月に㈱フジコーを連結子会社とし、2022年度から連結排出量の集計対象としたため、基準年度比で増加しております

・グループ全体では、トップランナー変圧器の導入、照明のLED化、空調設備の更新、モーター・ブロワーの高効率化・インバータ化等の設備の改善、及びレイアウト変更等の省エネに各事業部が継続的に取り組み、着実に排出量を削減しております。引き続き、2030年度に50%削減を目指して取り組んでまいります。

衣料繊維事業

33,593

16,881

 

産業機材事業

9,544

11,834

 

人とみらい

開発事業

11,100

10,022

 

生活流通事業

441

355

 

その他

20

146

[増減率]

合計

54,698

39,237

△28.2%

 

※連結全社全事業所を対象にスコープ1、2の集計を

開始した2018年度を基準年度と定めております。

 

スコープ3 CO2排出量実績 - ニッケ単体

 

 

(単位:t-CO2/年度)

2022年度実績

 

・2022年度から、ニッケ単体の主要事業所(製造事業所、ショッピングセンター、賃貸施設等)を対象とし、スコープ3への影響が大きいと考える5つのカテゴリーで実績の集計を開始しております。

・引き続き、対象とする事業所及びカテゴリーの拡大に取り組んでまいります。

合計※

39,511

 

 

※カテゴリー1(購入・サービス品)、2(資本財)、3(エネルギー活動)、5(廃棄物)、13(リース資産)を集計しております。

 

(3) 人的資本

① 戦略

ニッケグループでは、2008年から15年にわたり中長期ビジョンを策定し経営を行っております。その根底を貫いているのは『人財が最も重要な経営資本である』という認識であり、「人が成長する会社」をスローガンに人財が安心して働き、能力が発揮できる職場環境の整備を行っております。

 

 

<人財が成長するための取り組み>

(a) 人財理念

私たちは2008年に人財の成長にフォーカスし人財理念を定めました。

 

「社員の使命は、仕事を通じて自ら学び成長することです」

「会社の使命は、成長しようと努力する社員に対して支援することです」

 

この理念を実現することを最優先課題とし様々な取り組みを行っております。特に人財育成については育成体系を構築し当社グループにとって必要なコア能力を「思考力」と「対人能力」であると定義、各階層に必要な研修を行っております。グループの主要な役割を担っている人財は次世代経営者養成研修(VOC研修)を受講することにより戦略を磨き、持続的な企業価値の向上に取り組んでおります。この研修は10年以上継続して実施しており、卒業生は延べ130名を超えております。卒業生は社長、役員、執行役員、事業部長などグループの主要なポストで活躍しております。さらに、20歳代や30歳代の人財を対象にしてビジネスリーダー育成プログラムを実施しております。会社を飛び出しビジネススクールに通い、グループ外の人財と議論、他流試合をすることによって強いビジネスパーソンを創っております。この取り組みは6年経過し、50名程度の人財を輩出しました。階層別研修はすべて手挙げ方式によって募集し、人財の自律した成長を促進させております。

 

(b) 健康経営

心身共に健全な状態でなければ組織の活性化や生産性の向上は望めません。ヘルスリテラシーの向上を目的とした医療情報サイトの導入や、罹患後の病気や生活の相談ができる外部窓口の設置、健康保険組合の活動と連携したコラボヘルスの推進、ストレスチェックの導入などに取り組んでおります。また、現在のところ2社のみですが、指標となる行動指針としてグループ全体で「健康経営優良法人」の認定取得を進めております。

 

(c) ダイバーシティ&インクルージョン(DE&I)

国籍、性別、文化、価値観などの多様性を受け入れ、新卒・キャリア採用ともに幅広く活躍の場を提供してグローバル化や顧客ニーズの変化に対応した新たな価値を創造しております。また、働き方に対する価値観が多様化していくこれからの時代を見据え、全ての人財がより幅広く活躍できる働きやすい職場環境づくりに着手しております。男女共に仕事を続けながら子育てができる環境づくりを目指し、提出会社では法定を大幅に上回る育児短時間勤務制度(小学校6年生の年度末まで)の拡充や、男性育児休業の推進(2023年実績(注):85.71%)など、仕事と育児の両立を支援しております。さらに、2009年には65歳定年制を導入、介護世代への支援を広げた介護休業制度、地域限定総合職制度など、安心して働ける環境を構築しております。ワーク・ライフ・バランスを尊重する柔軟な勤務形態・休暇制度の検討、高齢者・障がい者のさらなる雇用促進、福利厚生の拡充など、常に変化する環境や価値観に対応し続けられるよう努めこれらの活動をグループ全体に拡げるよう取り組んでおります。

 

② 指標及び目標

人財の多様性の確保を含む人財の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いており、目標及び実績は次のとおりであります。なお当該指標につきましては、連結グループに属する全ての会社で目標値を設定しているものではなく、連結グループにおける記載が困難であることから、提出会社単体で記載しております。

指標

実績(2023年度)(注)

目標(2026年度)

管理職に占める女性労働者の割合

8.49%

15.0%

男性労働者の育休取得率

85.71%

90.0%

労働者の男女の賃金の差異(全労働者)

56.53%

70.0%

 

 

(注)(3) 人的資本に記載のある実績につきましては、管理職に占める女性労働者の割合は2023年9月30日現在、その他の指標については2022年10月1日から2023年9月30日までの間の実績となっております。

 

3 【事業等のリスク】

「グループリスク管理委員会」を設置し、当社グループの認識するリスクを特定して、リスクの防止及び損失の極小化を図るためのリスク管理体制を強化しております。そのうち、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクは、以下のとおりであります。

なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

(1) 重要な取引先の業績悪化、事業撤退等

当社グループは、衣料繊維、繊維資材、乗馬用品、産業向機械等の各種製品を、国内外の取引先に販売しておりますが、一部の製品については、主として特定の取引先に販売しております。このため、そのような取引先において、業績の悪化や当該製品に関する事業の撤退、大規模な在庫調整、生産調整あるいは当該製品の大幅な値下げ要求等が生じた場合には、当社グループの売上減少が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、当該リスクが顕在化する可能性は認識しておりますが、営業力の強化や販路の拡大、事業領域の拡大・多角化を図るなどの対応を推進しております。

また、景気後退等により重要な取引先が破綻した場合には、貸倒引当金を大幅に超える貸倒損失が発生するなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上しております。与信管理制度のもと、取引先別に限度額を設定するなど、与信リスクミニマイズへの対応策をとっております。また、取引内容によっては、取引信用保険等によるリスク移転も行っております。

(2) 事業の再編、事業構造改善

当社グループは、持続的な成長と収益の向上を目指すため、必要に応じ事業の再編や事業構造改善を実施する場合があります。この場合、事業構造改善の費用が増加するなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、事業の概況や市場動向を注視し、適切なタイミングで事業の再編や構造改善を実施するように努めております。

(3) 株価の大幅下落、為替相場の変動等

当社グループは、取引先を中心として市場性のある株式を相当量保有しており、株価が大幅に下落した場合には、その他有価証券評価差額金の減少や売却時に損失が発生するなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

保有する株式については、取締役会で、保有銘柄ごとに、その保有目的や保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を具体的に精査し、その保有の適否を検証しております。

また、年金資産にも市場性のある株式が含まれているため、株価が大幅に下落した場合には、年金資産の減少及び退職給付費用(数理計算上の差異の費用処理)の増加が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、退職給付債務の把握、年金資産の運用状況のモニタリングを定期的に行い、年金資産の運用配分の見直しを適宜行うことによりリスクの低減を図っております。

また、繊維事業の原料の多くは海外から輸入しており、為替相場が大幅に変動した場合には、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、為替予約等のリスクヘッジを行い、為替相場の変動による影響を最小限に止める措置を講じております。

(4) 製品の欠陥等

当社グループは、重大な製品の欠陥等が発生した場合には、多額の損害賠償支払いや当社グループの信用失墜が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。そのような事態に備えて、製造物責任賠償については保険に加入しておりますが、この保険が最終的に負担する賠償額を十分にカバーできるという保証はありません。

当社グループは、製品の欠陥等の発生リスクを未然に防止しながら、所定の品質管理基準に従って、品質管理体制を強化し、重大な製品の欠陥が発生しないように努めております。

 

(5) 原材料の購入

当社グループの繊維事業の主要製品に使用される原材料の価格は国際市況やその他の環境要因(天候、為替相場等)により大きく左右されるため、当該事業の経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、複数購買やグローバル調達による購買ルートの検討等を行い、安定調達に努めております。

(6) 海外事業展開

当社グループは、繊維事業を中心に海外に生産拠点を保有しておりますが、予期しない法律または規制の変更、不利な政治的要因、社会混乱などのリスクが内在しており、これらの事象が発生した場合には、生産活動ほかに著しい支障が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、在外子会社と密接なコミュニケーションをはかることにより現地の情勢把握に努めるとともに、現地専門家の助言を得ることによりリスクの軽減を図っております。

(7) 災害・重大な感染症の拡大等

当社グループは、国内外の各地で生産活動ほかの企業活動を行う上で、それらの工場等での大規模な地震、風水害、雪害等の自然災害や火災等が発生した場合、生産活動等に著しい支障が生じるなど、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

災害等のリスクは常に顕在化する恐れがあると認識していますが、実際に災害等が発生した場合でも被害、損失を最小限に食い止められるよう、予防対策、緊急時の措置についての関連規程、マニュアルを整備するとともに、各種訓練を定期的に実施しております。

また、新型コロナウイルス感染症等の重大な感染症の発生及び感染拡大による影響が長期化、深刻化した場合、市況の悪化や国内外サプライチェーンの停滞、当社グループ事業活動の停滞等、経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、重大な感染症拡大の事態が発生した場合には、出張や大会議の自粛、Web会議システム等のオンラインツールの活用、テレワークや時差出勤などの措置を講じることで感染症拡大の防止に努めております。

(8) 固定資産の減損

当社グループは、様々な事業分野で製品の販売やサービスの提供を行っており、このため、継続的な設備投資や事業の成長のためのM&Aを実施しております。各市場における事業環境の悪化や競合の激化等により、事業の収益性が低下した場合には、当社グループの保有する有形固定資産及びのれん等の減損損失を計上するなど、当社グループの経営成績及び財政状態等に重要な影響を及ぼす可能性があります。

当社グループは、各市場の事業環境を注視し、各事業分野においては、高付加価値の商品やサービスを提供するなど顧客満足の向上を目指しております。また、設備投資やM&Aの新規投資においては投資効率や投資回収期間を勘案の上、実施しております。

(9) 情報セキュリティリスク

当社グループは、各種の基幹システムを導入して業務運営を行うとともに、業務上必要となる各種情報を情報システム上で管理しております。サイバー攻撃、不正アクセス、大規模停電などの予期せぬ事態により、システム停止、重要データの破壊、情報流出等が生じた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績等に影響を与える可能性があります。

当社グループは、これらの情報システムやネットワークの管理において、安定稼働やセキュリティ対策に力を入れ、適切なサーバの管理や情報のバックアップ、サイバーセキュリティ保険加入等の必要な措置を講じております。

 

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

ニッケグループは、中長期ビジョン「ニッケグループRN(リニューアル・ニッケ)130ビジョン(2017~2026年度)」(以下「RN130ビジョン」という)において、各事業が魅力的な事業を創造し、今後の更なる企業価値向上に向けて、永続的な成長と発展を目指すことを掲げております。

当連結会計年度は、「RN130ビジョン」の具現化に向けて策定した「RN130第2次中期経営計画(2021~2023年度)」の最終年度であるとともに、「RN130ビジョン」に向けての総仕上げとなる「第3次中期経営計画(2024~2026年度)」を策定する年となりました。経済活動の回復にはなお時間がかかり、2023年度も不透明な状況が続きましたが、一方で、環境を始めとしたサステナビリティ志向の高まりは新たな機会も生んでおり、これらの変化をチャンスと捉えて各種施策を実行してまいりました

この結果、当連結会計年度の経営成績は、連結売上高113,497百万円(前年同期比4.1%増)、連結営業利益11,016百万円(前年同期比2.9%増)、連結経常利益11,634百万円(前年同期比0.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益7,643百万円(前年同期比4.9%増)となりました。円安による仕入コストの上昇や、資材価格・エネルギー費・物流費高騰の影響もありましたが、人とみらい開発事業が好調だった事に加え、経費圧縮や業務の効率化を進めた効果等により、売上高は増収、営業利益は昨年に引き続き過去最高値を更新しました。

 

セグメントの概況は以下のとおりであります。

 

(a) 衣料繊維事業

衣料繊維事業の当連結会計年度の売上高は31,359百万円(前年同期比5.5%増)、営業利益3,323百万円(前年同期比2.8%増)となりました。円安による羊毛原料コストの上昇やエネルギー費の高騰が、収益を圧迫しました。

(ユニフォーム分野)

学校制服用素材は、前年を上回りました。官公庁制服用素材は、警察向け、消防向け共に前期並みでした。一般企業制服用素材は、交通関係向け販売が増加しました

(テキスタイル分野)

一般衣料用素材は、国内販売はスーツ生地等の販売が大幅に増加し好調でした。海外販売は、前期並みでした

(ヤーン分野)

売糸は、ニット関連の販売が大幅に増加し好調でした

 

 

(b) 産業機材事業

産業機材事業の当連結会計年度の売上高は24,713百万円(前年同期比3.6%増)、営業利益1,586百万円(前年同期比18.7%減)となりました。

(自動車関連分野)

車両向けの不織布や縫製糸・結束紐などは、前期並みでした。車載電装品他製造ラインのファクトリーオートメーション設備の販売は、半導体等の部材入手遅延の影響等もありましたが、顧客からの受注・引合いが回復傾向にあり、堅調でした。

(環境関連分野)

フィルター資材などの環境・エネルギー関連資材は、前期並みでした。

(その他産業関連分野)

半導体関連装置や画像検査装置は部材不足により客先への納品遅れが生じ低調でした。OA向け資材、その他工業用資材は、顧客の在庫調整の影響を受け低調でした。

(生活関連分野)

ラケットスポーツ関連は、バドミントンガットの市況が回復したことに加え、新商品の販売が好調で堅調でした。フィッシング関連は、コロナ特需は一巡したものの、OEM受託生産が伸び前期並みでした。生活関連資材は、顧客の在庫調整の影響を受け、楽器用フェルトの受注が不調でした

 

(c) 人とみらい開発事業

人とみらい開発事業の当連結会計年度の売上高は32,870百万円(前年同期比5.9%減)、営業利益7,086百万円(前年同期比15.2%増)となりました。

(商業施設運営分野)

商業施設運営は、コロナ禍の影響が軽減され各種イベントが再開したことや、2022年10月にリニューアルしたコルトンプラザの来場者が増加したことが寄与し、堅調でした。自社所有外の商業施設におけるプロパティマネジメントおよびコンサルティング業務は、前期並みでした

(不動産開発分野)

不動産賃貸事業は、施設賃貸で既存契約の再契約が進み安定した収益を確保したことに加え、既存物件の売却により、好調でした。建設関連は、建築資材の価格高騰や調達遅れによる工期遅延等が発生し、低調でした。

(ライフサポート分野)

保育関連は、2022年の施設閉鎖の影響がありましたが、既存施設は安定的に推移し、前期並みでした。介護関連は、通所施設についてはコロナ禍の影響から未だ回復していませんが、2023年3月に愛知県あま市に新たに2施設を開業し、入所者数が順調に増加している為、前期並みでした。スポーツ関連は、前期並みでした

(通信及び新規サービス分野)

通信関連は、手数料収入が減少し低調でした。新規サービス関連は、コロナ禍の影響で低迷していた児童向けアミューズメント施設の利用者数が回復した事や、持ち帰り商品の需要増加で菓子類販売が順調に推移しましたが、レンタルビデオ店の撤退等により、売上は低調でした

 

(d) 生活流通事業

生活流通事業の当連結会計年度の売上高は20,799百万円(前年同期比23.8%増)、営業利益555百万円(前年同期比41.8%減)となりました。原材料費の高騰、円安による仕入コストの上昇、競争が激化しているEC事業等での広告宣伝費および物流費の上昇が収益を圧迫しました。

(寝装品及び業務用品分野)

寝装品は、EC向け販売が低調でした。業務用品は、災害用備蓄毛布や航空機内膝掛け毛布が復調したことに加え、防疫品の販売も堅調に推移し好調でした

(生活雑貨分野)

100円ショップ向け等の雑貨販売は、堅調でした。家具類の販売は、当期より株式会社インテリアオフィスワンが加わったこともあり大幅な増収となりました。EC向け生活家電の販売は、当期よりサンコー株式会社がグループに加わったこともあり大幅な増収となりました。フィルム関連は、携帯電話の新規販売台数の鈍化に連動し低調でした

(ホビー・クラフト分野)

スタンプ用インクの販売は、国内及び海外販売が共に低調でした。スタンプ販売は、オリジナルスタンプ等が貢献したものの、インクパッドや年賀商材の販売減少により低調でした。乗馬用品販売は前期並みでした

(その他)

保険代理店の経営成績は、前期並みでした。コンテナ販売は、大幅な増収となりました

 

② キャッシュ・フローの状況
(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の営業活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べ、売上債権の増加等により、454百万円減少して8,995百万円となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の投資活動による資金の収入は、前連結会計年度に比べ、有価証券の取得による支出の減少等により7,869百万円増加して990百万円となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度の財務活動による資金の支出は、前連結会計年度に比べ、短期借入金の減少等により、268百万円増加して9,767百万円となりました。

以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比929百万円増加して35,292百万円となりました。

 

(キャッシュ・フロー関連指標の推移)

当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は以下のとおりであります。

 

2021年度期末

2022年度期末

2023年度期末

自己資本比率(%)

62.9

65.3

68.1

時価ベースの自己資本比率(%)

37.8

43.6

53.8

キャッシュ・フロー対有利子負債比率

1.7

2.1

1.6

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

147.6

102.2

98.8

 

(注1)各指標は、いずれも連結ベースの財務諸表数値を用いて、以下の計算式により計算しております。

    自己資本比率           :自己資本/総資産

    時価ベースの自己資本比率     :株式時価総額/総資産

    キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

    インタレスト・カバレッジ・レシオ :営業キャッシュ・フロー/利払い

(注2)株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

(注3)有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。

(注4)営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。

 

③ 生産、受注及び販売の実績

当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その形態・単位等は必ずしも一様でなく、また受注生産をとらない製品もあり、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。

このため生産、受注及び販売の状況については「①財政状態及び経営成績の状況」における、各セグメント業績に関連付けて示しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a) 財政状態の分析

当連結会計年度における総資産は166,129百万円(前連結会計年度比1.7%増)となりました。

当連結会計年度における自己資本比率は68.1%となり、当連結会計年度における1株当たり純資産は1,638円62銭となりました。また、自己資本当期純利益率(ROE)は、7.0%(前連結会計年度比増減なし)となりました。

(流動資産)

当連結会計年度における流動資産は92,823百万円(前連結会計年度比4.4%増)となりました。その主な内容は、売上債権の増加2,158百万円や棚卸資産の増加2,319百万円等であります。

(固定資産)

当連結会計年度における固定資産は73,306百万円(前連結会計年度比1.6%減)となりました。その主な内容は、建物及び構築物の減少1,749百万円や建設仮勘定の増加550百万円等であります。

(流動負債)

当連結会計年度における流動負債は34,258百万円(前連結会計年度比10.4%減)となりました。その主な内容は、短期借入金の減少3,754百万円や仕入債務の減少378百万円等であります。

(固定負債)

当連結会計年度における固定負債は17,735百万円(前連結会計年度比1.9%増)となりました。その主な内容は、繰延税金負債の増加1,544百万円や長期借入金の減少884百万円等であります。

(純資産)

当連結会計年度における純資産は114,135百万円(前連結会計年度比5.9%増)となりました。その主な内容は、その他有価証券評価差額金の増加3,201百万円や自己株式の増加2,174百万円等であります。

(b) 経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度における売上高は113,497百万円(前連結会計年度比4.1%増)となりました。

セグメント別の売上高につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(営業利益)

衣料繊維事業につきましては、円安による羊毛原料コストの上昇やエネルギー費高騰の影響でユニフォーム分野が減益となったものの、テキスタイル、ヤーン分野が堅調だったこと等により、営業利益は増加いたしました。

産業機材事業につきましては、原料費・エネルギー費高騰に対する価格転嫁遅れや中国に投資した高機能フィルター「アドミレックス」工場の本格稼働の遅れ、また中国の楽器用フェルト販売の低迷など、コスト上昇に中国の景況悪化が加わったこと等により、営業利益は減少いたしました。

人とみらい開発事業につきましては、昨年10月にリニューアルした市川コルトンプラザが好調に推移し、また不動産事業で新規賃貸物件や販売用不動産を売却したこと等により、営業利益は増加いたしました。

生活流通事業につきましては、競争激化や仕入価格の上昇、広告費・運送費の高騰等により、営業利益は減少いたしました。

以上の結果、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は23,002百万円(前連結会計年度比4.1%増)となり、営業利益は11,016百万円(前連結会計年度比2.9%増)となりました。

 

(経常利益)

営業外損益は、前連結会計年度に賃貸関係収入を計上していたこと等により、収益減少となりました。

以上の結果、当連結会計年度における経常利益は11,634百万円(前連結会計年度比0.7%減)となりました。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

特別損益は、前連結会計年度に固定資産売却益を計上していたものの、当連結会計年度に関係会社株式売却益や補助金収入を計上したこと等により、収益増加となりました。

以上の結果、当連結会計年度における税金等調整前当期純利益は11,373百万円(前連結会計年度比2.4%増)となり、法人税等調整額の減少等により、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は7,643百万円(前連結会計年度比4.9%増)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

(a) キャッシュ・フローの分析

当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(b) 資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要は、主に衣料繊維事業における原材料の仕入や製造経費、販売費及び一般管理費等であり、投資を目的とした資金需要は、主に保有する不動産への設備投資等によるものであります。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金、社債及びリース債務を含む有利子負債の残高は14,751百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は35,292百万円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、以下のとおりであります。

(繰延税金資産)

当社グループは、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。

(固定資産の減損)

当社グループは、固定資産の減損に係る回収可能性の評価にあたり、独立したキャッシュ・フローを生み出す最小の単位でグルーピングを行い、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損し、当該減少額を減損損失として計上することとしております。減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては、将来の利益計画に基づき慎重に検討を行っておりますが、その見積りの前提とした条件や仮定に変化が生じた場合、減損処理が必要になる可能性があります。

(退職給付会計)

退職給付に係る資産及び負債のうち、確定給付制度に係る分については、割引率や年金資産の期待運用収益率等の数理計算上で設定される前提条件に基づいて算出しております。実際の計算が前提条件と異なる場合、または制度に変化や変更が生じた場合は、将来の退職給付に係る負債、及び退職給付費用に影響を与える可能性があります。

 

(3) 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、「売上高」、「営業利益」、「自己資本当期純利益率(ROE)」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度における「売上高」は113,497百万円(前連結会計年度比4.1%増)、「営業利益」は11,016百万円(前連結会計年度比2.9%増)、「自己資本当期純利益率(ROE)」は7.0%(前連結会計年度比増減なし)となりました。

 

なお、今後の見通しにつきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

 

5 【経営上の重要な契約等】

(建物等賃貸契約)

契約会社名

相手先

契約内容

期限

日本毛織株式会社

(当社)

株式会社ダイエー

商業施設「ニッケコルトンプラザ」

の賃貸

2021年11月から2024年11月

日本毛織株式会社

(当社)

株式会社エディオン

商業施設「ニッケパークタウン」

の賃貸

2022年10月から2028年10月

日本毛織株式会社

(当社)

ユニー株式会社

商業施設「アピタ各務原」の賃貸

2000年9月から2026年9月

 

 

6 【研究開発活動】

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の研究開発費は901百万円であり、主なセグメントの研究開発活動は次のとおりであります。

 

(1) 衣料繊維事業

羊毛産業のリーディングカンパニーに相応しい、「安全」「安心」「快適」「環境」をテーマに社会貢献につながるモノ作りを目指しています。

当連結会計年度における当社グループの衣料繊維事業の研究開発費は245百万円であり、当期に取り組んだ主な内容は前期からの継続を含め次のとおりであります。

①新しい紡績工法による毛羽の少ないウール糸・織物の開発

②服から服への取り組み、循環型制服素材の開発

③植物由来ポリエステルおよび再生ポリエステルを活用した環境に配慮したウール織物の開発

 

(2) 産業機材事業

当社グループの産業機材事業における研究活動は、主に資材製造販売子会社の研究開発部門を中心に、産業用資材、スポーツ用品等顧客満足に応えられる商品開発を行っております。

当連結会計年度における当社グループの産業機材事業の研究開発費は208百万円であり、当期に対外的に発表した主な製品及び技術は次のとおりであります。

①バドミントンガット RYZONIC

②ソフトテニスガット SONICBLOW 他

③釣り糸 イカメタルステルスリーダー 他

 

(3) 研究開発センター

研究開発センターは「研究開発ビジョン:既存事業の一歩先を行く成長分野にチャレンジ」を基に「安全・安心」「健康・快適」「環境」の実現に向けた研究テーマに取り組んでいます。

当連結会計年度における研究開発センターの研究開発費は447百万円であり、当期に取り組んだ主な内容は前期からの継続を含め次のとおりです。

① 医療用素材の開発

② 高機能素材の開発

③ 環境対応素材の開発

④ テキスタイルの自動検査技術

⑤ 環境データ集計システムの導入

⑥ CO2削減策の検討 他