文中の将来に関する事項は、当連結会計年度において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営方針
当社グループは、次の「Mission」、「Vision」、「Value」を掲げ、経営の基本原則に則り、健全かつ公正な事業活動を通じて、当社グループの持続的な成長と企業価値の向上を図るとともに、社会の持続的発展に貢献することを目指しております。
■Mission
可能性を解き放つ
~人の持っている可能性を信じ、自由で活き活きとした人間社会を実現する~
■Vision
世界を拡げるプロフェッショナルカンパニー
■Value
・Learn 学びまくる
・Engage 言ったことはやる
・Think 考え抜く、思い尽くす
・Un-hesitate まずやってみる
・Surprise 驚かせる
■経営の基本原則
・お客様の成長に貢献する
・個人の創造性と個性を尊重する
・誠実に徹する
当社グループでは、上記「Mission」、「Vision」、「Value」、「経営の基本原則」のもとで、企業の成長に不可欠な「変革の実行」を支援するための基幹となる方法論である「ビジネスプロセスマネジメント」の能力・実績を通じ、顧客企業のビジネスを変革・成長させるサービスとして、「プロフェッショナルサービス事業」及び「プラットフォーム事業」を提供しております。
(2) 経営環境及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループを取り巻く市場環境については、デジタル化の急速な進展や労働人口の減少等、企業や人を取り巻く環境やテクノロジーの動向に応じて、常に変化していくものと認識しております。新型コロナウイルス感染症の影響が拡大する中で、社会環境の変化に対応する経営のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対するニーズは底堅く、AI、RPA(Robotic Process Automation)等の業務ロボット導入や、ビッグデータを活用したデジタルマーケティングの導入など、競争力を確保するための戦略的なIT投資は堅調に推移するものと見込んでおり、当社グループでは、優秀な人財の確保及び育成に努め、サービス競争力を継続的に強化させていくことで、顧客への提供価値の拡大を目指しております。
このような状況において、事業の成長を表す売上高の前期からの成長率である売上高成長率を、重要な経営指標と考えています。
(3) 中長期的な経営戦略
上記経営環境のもと、当社グループでは、社会構造の変化に適応すべく、お客様の変革実行能力を高めるための支援を通じて事業機会の最大化を図り、「売上高年平均成長率20%超を継続」、「2024年12月期営業利益率15%」を目標とする中期経営計画(最終年度:2024年12月期)を策定しておりましたが、これまでの活動実績を踏まえ、更なる成長に向けたシナリオの見直しを行い、目標を「売上高年平均成長率25%超を継続」とし、数値目標を2024年12月期連結売上高165億円、連結営業利益20億円に上方修正しております。採用の積極化や個人の成長に向けた取り組みを推進し、デジタル時代のベスト・パートナーを目指して、成長スピードを加速させてまいります。
(4) 対処すべき課題
当社グループでは、中長期的な成長の実現に向けて、既存の事業基盤及びサービス競争力の強化に対する取り組みを推進しております。一方、既存の内部統制システムの運用を徹底し、重要なステークホルダーである「株主」「顧客」「社員」の更なる満足度向上を通じて企業価値を最大化し、社会に貢献する企業となることを目指すべく、以下の項目を重要な課題として認識し、対処してまいります。
① 優秀な人財の確保
当社グループにおいて、事業規模及び事業領域の拡大には、適切な水準でサービスを提供する質の高い人財の確保が必要であり、人財が最も重要な経営資源であると考えております。今後も積極的な採用活動を継続するとともに、採用した人財に対する成長機会の提供や人事評価制度の整備改善、働きやすい環境の整備などを通じて離職率を抑制し、優秀な人財が定着化する仕組み作りを進めてまいります。
② 人財の育成強化
当社グループでは、顧客ニーズに応じて様々な提案型営業やコンサルティングサービスを提供できる質の高い人財を組織的に育成していく必要があると考えております。確保した人財に対する教育基盤(人財育成プラン)を整備するとともに、グループ会社間の人財交流やコンサルタントとエンジニアのキャリア転換機会の充実などを通じ、優秀な人財の育成に向けた取り組みを推進してまいります。
③ グループガバナンスの高度化及びグループ連携の強化
当社グループでは、事業領域の拡大及び優秀な人財の確保を主な目的として、今後もM&Aを積極的に推進していく方針です。そのような状況において、当社グループとして健全な成長を継続していくため、子会社を含むグループ全体としてのガバナンス強化並びに内部管理体制強化をこれまで以上に進めるとともに、グループシナジー発揮のため、グループ企業間の営業連携や業務インフラ整備、人事交流等の施策を推進してまいります。
④ 内部管理体制及びコーポレート・ガバナンスの強化
当社グループでは、今後の更なる事業拡大に向けて、会社規模に応じた適切な内部管理体制の整備を図るために監査等委員会設置会社へ移行し、運用面の徹底を推進し、実効性のある、効率的かつ信頼性の高い組織基盤を構築・運用してまいります。また、企業価値の更なる向上のため、経営課題としてガバナンスの強化に取り組んでおり、コーポレート・ガバナンスコードに準拠して取締役会の監督機能を強化し、経営の透明性を高めるとともに、意思決定の迅速化を実現してまいります。
⑤ 新型コロナウイルス感染症への対応
当社グループでは、新型コロナウイルス感染の感染拡大に伴う影響を最小限に抑えるため、対策本部を設置し対応に当たっております。同時に、社員及び顧客をはじめとするステークホルダーの皆様の安全確保を最優先とし、社員の時差出勤・在宅勤務の推奨、出社時の換気・手洗い・マスク着用の徹底、Web会議システムの活用など、同感染症拡大防止対策を講じております。また、同感染症に限らず、当社グループを取り巻く想定外のリスクや不測の事態を想定し、経営環境の変化に臨機応変に対応できる体制の構築を図るとともに、リモートワーク等多様な環境下で働く社員の生産性及び創造性の向上に向けた取り組みを進めてまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる事項を、以下に記載しております。当社グループは、これらのリスクの可能性を認識した上で、発生の回避及び発生した場合における当該リスクによる影響の最小化に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の事業等のリスク及び本項以外の記載事項を慎重に検討した上で行われる必要があると考えております。
なお、記載事項における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。また、以下の記載は当社グループに関する全てのリスクを網羅しているものではありません。
(1) 事業環境に関するリスク
① 市場環境の変化について
当社グループは、プロフェッショナルサービス事業において、ビジネスプロセスマネジメントに関する知見及び実績を起点として、コンサルティング及びデジタル活用サービスを変革テーマに応じ、組み合わせて提供しています。ビジネスプロセスマネジメントに係る取り組みを推進する上で、ビジネスモデルの変革と共に、進化を続けるテクノロジーの利用は不可欠となっており、今後も企業のIT投資マインドは高水準で推移することが見込まれますが、国内外の経済情勢や景気動向の悪化、予期せぬ要因による市場拡大の阻害といった状況が生じた場合には、新規顧客開拓の低迷や既存顧客からの受注減少等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 競合について
当社グループが手掛けるプロフェッショナルサービス事業は、一部コンサルティング領域について大手コンサルティング会社やSIer(システムベンダー)と競合する可能性はあるものの、基本的には各ベンダーに対して中立な立場でサービスを提供できる会社として独自のポジションを確立しているため、競合する要素は少ないものと考えております。また、プラットフォーム事業についても、掲載される案件やエンジニア等の情報は他のクラウドソーシングサービス等が扱う領域と異なることから、競合の要素は少ないものと考えております。しかしながら、今後、他社がノウハウを蓄積し、当社グループが提供するサービス領域での競合となった場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
③ 特定の取引先への依存について
当社グループの売上について、販売比率(当連結会計年度における連結売上高に占める割合)が売上高全体の10%に近い水準となっている取引先があり、売上高に占める特定の取引先への依存度が高くなっております。当社グループでは、特定の取引先への依存による業績に対する影響を緩和するため、営業力を強化し、積極的な営業活動による新規顧客等の獲得を通じて、営業基盤の拡大に努めて参ります。
しかしながら、当該特定の取引先における経営方針や業績の変化等によって、契約が想定外に短期間で終了した場合や、取引先の意向により規模縮小等の契約変更を余儀なくされた場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業運営に関するリスク
① 特定人物への依存について
当社の代表取締役社長CEOである樺島弘明は、当社設立メンバーの1人であり、最高経営責任者として経営方針や事業戦略の立案・決定及び事業推進において重要な役割を果たしております。
当社グループは、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、同氏に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により、同氏が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 優秀な人財の獲得及び育成について
当社グループにおいては、人財が最重要経営資源であり、今後の企業規模拡大に向けて、当社の理念に共感し、高い意欲を持った優秀な人財を継続的に採用し、育成していくことが重要であると考えております。
しかしながら、IT・コンサルティング業界における人財の争奪戦は激しさを増しており、優秀な人財の採用・確保及び育成が計画通りに進まない場合や、優秀な人財の社外流出が生じた場合、人財採用に係るコストが高騰した場合には、競争力の低下や事業規模拡大の制約、顧客に提供するサービスレベルの低下をもたらし、当社グループの事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
③ 外注先の確保について
当社グループのプロフェッショナルサービス事業においては、一部の業務を、専門性や経済性等を考慮して選定した適切な外部協力会社に委託しております。プロジェクト成功のためには、信頼感のある外部協力会社から、タイムリーに支援を受けることのできる体制を構築しておくことが重要です。
現状では、外部協力会社とは安定的な取引関係を保っておりますが、外部協力会社による品質トラブルが発生した場合や必要なコンサルタント数を適切に確保できない場合、外注コストが高騰した場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 不採算案件(プロジェクト)について
当社グループのプロフェッショナルサービス事業においては、各プロジェクトについて想定される難易度及び工数に基づいて見積りを作成し、適正な利益率を確保した上で、プロジェクトを受注しております。受注後は、想定工数に乖離が生じないよう、要員管理・進捗管理・予算管理等のプロジェクト管理を行っておりますが、予期せぬトラブルやスケジュール変更等により工数が大幅に増加し、不採算案件が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ システムトラブルについて
当社グループのプラットフォーム事業における「アサインナビ」サービスは、インターネットを介して顧客に提供されております。安定的なサービス運営を行うために、サーバー設備の増強やセキュリティ機能の強化、社内体制の整備等を行っておりますが、大規模なプログラム不良やアクセス数の急激な増加に伴う負荷の増加、不正アクセス、自然災害及び予期し得ない事故、その他何らかの要因により大規模なシステム障害が発生した場合には、サービス利用者との信頼関係に悪影響が生じ、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 情報セキュリティリスクについて
当社グループでは、サービス提供にあたり、顧客の機密情報や個人情報を受領することがあるため、役員及び従業員に対し、守秘義務の遵守、機密情報や個人情報の情報管理を徹底しております。
しかしながら、何らかの要因によってこれらの情報が外部に漏えいしたり、改ざん・不正使用等の問題が生じたりした場合、当社グループの社会的信用に重大な影響を与え、損害賠償等の対応費用を含め、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 内部管理体制の構築について
当社グループの組織体制は小規模なものとなっておりますが、現在の人員構成において最適と考えられる内部管理体制を構築しております。当社グループは、今後の事業拡大に合わせて内部管理に係る人員の確保及び体制の強化が順調に進まなかった場合、内部管理機能が有効に機能せず、適切な事業運営を行うことができなくなり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 法的規制に関するリスク
① 一般的な法的規制について
現在、プロフェッショナルサービス事業及びプラットフォーム事業のいずれにおいても、事業運営に関する特有の法的規制はありません。しかし、新しく法的規制が制定された場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性、及び事業展開のスピードに悪影響を及ぼす可能性があります。
なお、プロフェッショナルサービス事業において提供しているサービスには、労働者派遣法に基づく労働者派遣事業に該当するものがあり、当社は、労働者派遣法に基づき、厚生労働大臣より「労働者派遣事業の許可」を受け、これを実施しております(許可番号:派13-301883、有効期間:2019年8月1日から2024年7月31日まで)。
労働者派遣法では、派遣元事業主が許可の欠格事由に該当した場合には、事業の全部又は一部の停止を命じることや、許可の取り消し等ができる旨を定めております。現時点で、当社が労働者派遣法に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後、何らかの理由により、当社又は当社の役員が労働者派遣法に抵触した場合、当社の事業活動に支障をきたすことが予想され、当社の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
② 知的財産権について
プラットフォーム事業において提供している「アサインナビ」サービスにおいて使用する商標、ソフトウエア、システム等について、現時点において、第三者の知的財産権を侵害するものはないと認識しております。今後も、権利侵害を回避するため監視・管理等を行っていく方針でありますが、プラットフォーム事業の事業分野において、当社グループとして認識していない知的財産権が既に成立している可能性、又は新たに第三者による著作権等が成立する可能性もあります。その場合、第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や使用差し止め、権利に関する使用料等の支払請求がなされることが想定され、そのような事態が発生した場合には、当社グループの財政状態及び経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
(4) その他のリスク
① 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社は、取締役及び従業員に対して、財政状態及び経営成績向上に対する意欲を高めることを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。新株予約権が権利行使された場合には、既存株主が保有する株式の価値が希薄化する可能性があります。なお、2022年12月末日現在、新株予約権による潜在株式数は307,300株であり、発行済株式総数4,495,375株の6.8%に相当しております。
② 配当政策について
当社グループは、株主への利益還元と同時に、財務体質を強化し、事業競争力を高めることが経営の重要課題であるとして認識しております。現在、当社グループは成長過程にあるため、内部留保の充実を図り、経営基盤を安定化させつつ、事業拡大、事業効率化に向けた成長投資を優先し、業績を伸長させることで企業価値を高めて行くことが、株主に対する最大の利益還元につながるものと考えており、当面の間は内部留保資金の確保を優先し、剰余金の配当は行わないことを基本的な方針としております。
将来的に、当社グループが一定水準以上の規模に成長して安定成長軌道に入り、財務の安全性が確保された段階で、配当の実施についても検討する予定ですが、現時点における配当の実施及び実施時期は未定であります。
③ 企業買収及び資本参加について
当社グループは、デジタルシフトや生産性向上を実現するテクノロジー企業との事業連携強化や事業規模拡大による市場競争力強化を通じた企業価値の向上に向けて、必要に応じて企業買収及び資本参加を含む投資を実施することがあります。実施に当たっては、市場動向や顧客ニーズ、相手先企業の業績や財務状況、技術力や収益性及び投資の回収可能性に関する十分な調査及び検討を行いますが、買収後の市場環境や競争環境の急激な変化、想定外の事態の発生等により、期待した利益やシナジー効果を確保することができず、投下した資金が回収できない場合や追加的費用が発生した場合等において、投資有価証券評価損及びのれんの減損等多額の損失が発生する可能性があり、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
なお、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が残りながらも、経済活動の正常化に向けた持ち直しの動きが見られましたが、地政学的リスクの長期化や半導体不足、エネルギー・原材料価格の高騰に伴う物価上昇、各国の政策金利上昇による金融市場の変動等、世界経済の先行きには、依然として不透明感が漂う状況が続いております。
当社グループの主たる事業領域である情報サービス産業においては、企業経営に対する新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する中、社会環境の変化に対応するためのデジタルトランスフォーメーション(DX)に関する注目度は引き続き高く、AI、RPA(Robotic Process Automation)等の業務ロボット導入やテレワーク推進等の働き方改革など、社内における変革活動を側面支援するサービスへのニーズは、引き続き、底堅く推移いたしました。
このような経営環境のもと、当社グループは、前連結会計年度に策定した中期経営計画に基づき、ロボティクス・AI・ビジネスプロセスマネジメントを活用することによって、企業変革と働き方改革を促進支援する会社として、顧客の現場に入り込み、顧客の課題や変革テーマに応じた各種支援をワンストップで提供するプロフェッショナルサービス事業及び企業のIT人材不足を解消するプラットフォーム事業を展開してまいりました。プロフェッショナルサービス事業では、人材採用活動を積極化し、安定的なサービス提供能力の拡大に向けた取り組みを推進いたしました。プラットフォーム事業では、既存サービスである「アサインナビ」及び「コンサルタントジョブ」の積極展開に加え、事業会社とDX企業のマッチングを行う新サービス「CS Clip」のサービス提供を開始しましたが、関連する固定資産(ソフトウエア)の収益性低下に伴い、減損損失を計上しました。また、中長期的な企業価値向上に向けた資本業務提携を行うとともに、当社グループの創業20周年を機に、企業文化やブランドをより一層強化する取り組みも推進しました。
これらの結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高9,637,207千円(前期は7,375,205千円)、営業利益501,426千円(前期比16.5%減)、経常利益489,557千円(前期比15.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益232,584千円(前期比40.1%減)となりました。
なお、当連結会計年度の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明は、売上高については前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)を記載せずに説明しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(会計方針の変更)(収益認識に関する会計基準等の適用)」に記載のとおりであります。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(プロフェッショナルサービス事業)
プロフェッショナルサービス事業では、企業活動の様々な制約によってIT部門を取り巻く環境が大きく変化していく中で、旺盛なDXに関するニーズが追い風となり、ビジネスプロセスマネジメントを活用した業務の可視化・改善を強みとする従来型のコンサルティング案件(業務分析・設計、IT導入支援・現場展開)の受注は、堅調に推移いたしました。IT(Information Technology)領域の知見とOT(Operational Technology)領域の知見の融合を目指し横河デジタル株式会社と、先端技術領域における知見やエンジニアリソースの確保、グローバル事業展開力の活用を目指しFPTジャパンホールディングス株式会社と、それぞれ資本業務提携を行い、広島県における自治体・地域のサスティナビリティ・トランスフォーメーション(SX)につながるDXアプローチや鹿児島市におけるDX推進支援等、地方自治体の課題解決サポートにも積極的に取り組みました。また、各種セミナーやメディアを通じた外部への情報発信やサービス提供能力を高める上で重要となる採用活動にも継続して注力し、新卒採用においては就活サイト運営会社による表彰も受けました。
この結果、プロフェッショナルサービス事業の売上高は8,480,829千円(前期は7,125,017千円)、セグメント利益(営業利益)は484,115千円(前期比12.1%減)となりました。
(プラットフォーム事業)
プラットフォーム事業では、IT業界に特化した、ビジネスマッチングと学びの場を提供するプラットフォームである「アサインナビ」の会員数は、2022年12月31日現在で法人・個人を合わせ12,494会員(前期末比1,058会員の増加)となり、順調に成長を続けております。会員基盤の拡大に伴い、「アサインナビ」及び「コンサルタントジョブ」によるマッチングや会員向けサービスの実績も増加し、売上高は堅調に推移しました。開発投資を継続していた新サービス「CS Clip」は、2022年7月にサービス提供を開始し、自社・顧客・IT業界の成長を目指すIT企業向けの会員制コミュニティとして立ち上げた「グロースカンパニークラブ」との連携を推進しましたが、既存サービスの収益拡大に向けた組織体制強化や「CS Clip」の減価償却等によるコストが増加しました。
この結果、プラットフォーム事業の売上高は1,629,742千円(前期は323,282千円)、セグメント利益(営業利益)は17,310千円(前期比65.2%減)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べて552,709千円増加し、2,776,968千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と要因は次のとおりであります。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前受金の減少額484,702千円、法人税等の支払額197,978千円、売上債権の増加額105,281千円等がありましたが、前払金の減少額280,589千円、減損損失139,933千円、仕入債務の増加額126,268千円、未払金の増加額98,825千円、減価償却費62,777千円、のれん償却額40,743千円等により、255,254千円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出269,065千円、投資有価証券の取得による支出40,000千円、無形固定資産の取得による支出19,385千円等により、329,860千円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、自己株式の取得による支出299,918千円、長期借入金の返済による支出283,668千円等がありましたが、自己株式の処分による収入902,209千円、株式の発行による収入306,180千円等により、626,850千円の収入となりました。
当社グループが行う事業では、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。
当社グループが行う事業では、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載は省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る販売実績については、当該会計基準等を適用した後の数値となっております。これにより、前年同期比は記載しておりません。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や取引状況を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積りを行っている部分があり、これらの見積りについては不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末の総資産は5,595,724千円となり、前連結会計年度末に比べ515,621千円増加しました。これは、主に現金及び預金が552,113千円、売掛金及び契約資産が228,611千円増加したことによるものであります。
(負債の部)
負債は2,346,316千円となり、前連結会計年度末に比べ657,018千円減少しました。これは、主に前受金(契約負債)が486,208千円、長期借入金が283,668千円減少したことによるものであります。
(純資産の部)
純資産は3,249,408千円となり、前連結会計年度末に比べ1,172,639千円増加しました。これは、主に利益剰余金が232,584千円、資本金が153,090千円、資本剰余金が471,216千円増加し、自己株式が284,164千円減少したことによるものであります。自己資本比率は、57.5%となっております。
③ 経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は9,637,207千円となり、前連結会計年度に比べ2,262,002千円増加いたしました。これは、主にプロフェッショナルサービス事業において既存顧客を中心に受注が堅調に推移したこと、プラットフォーム事業において会員数が増加し、マッチング実績の増加に伴い成約手数料が増加したことによるものであります。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上高は804,186千円増加しております。
(営業利益)
当連結会計年度の売上原価は6,423,152千円となり、前連結会計年度に比べ1,675,048千円増加いたしました。これは、主にプロフェッショナルサービス事業において、コンサルタント及びエンジニアの採用により人件費が増加したこと及び適切な要員を確保するため外注加工費等のコストが増加したことによるものであります。なお、収益認識会計基準等の適用により、当連結会計年度の売上原価は804,186千円増加しております。
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,712,628千円となり、前連結会計年度に比べ685,726千円増加いたしました。これは、主に従業員の増加に伴い人件費及び採用費が増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は501,426千円となり、前連結会計年度に比べ98,772千円減少いたしました。
(経常利益)
当連結会計年度の営業外費用は15,375千円となり、前連結会計年度に比べ10,967千円減少いたしました。これは、主に、持分法による投資損失が減少したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の経常利益は489,557千円となり、前連結会計年度に比べ90,173千円減少いたしました。
(税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の特別損失は143,601千円となりました。これは、当社において、プラットフォーム事業における新規サービス関連のソフトウエアの収益性が低下したことにより、当初想定していた収益の達成は困難であると判断したことから、ソフトウエアの減損処理を行ったことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は345,955千円となり、前連結会計年度に比べ209,971千円減少いたしました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等合計は108,638千円となり、前連結会計年度に比べ61,470千円減少いたしました。これは、主に法人税、住民税及び事業税の減少に伴うものであります。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は232,584千円となり、前連結会計年度に比べ155,824千円減少いたしました。
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
当社グループは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の経営方針に従い、優秀な人財を獲得・育成し、収益性を維持・向上しながら事業規模の拡大を目指しております。
当社グループでは、事業の成長性を計る売上高成長率及び事業の収益性を計る売上高営業利益率を主要な指標として経営を行っており、当連結会計年度における売上高成長率は30.7%、売上高営業利益率は5.2%となりました。売上高及び営業利益は5期連続で期初目標値を上回り、順調に事業成長しております。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性について
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、人件費や外注加工費等の運転資金、オフィス賃料や人材確保のための採用費等の営業費用であります。これらの資金需要に対し、営業活動によるキャッシュ・フローや金融機関からの借入金等により必要となる資金を調達しており、資金の流動性は十分に確保されております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。