第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社グループは、2022年8月に発表した中期経営計画(2023/12~2025/12)において、「デジタル社会に、リアルな絆を」というビジョンを掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、日本国内及び海外においてSMS市場のリーディングカンパニーとしてメッセージングサービス事業を中心に事業展開しており、中長期的には「安心」、「安全」、「信頼」につながる「リアルな絆」を創出し、セキュリティ×コミュニケーション×行動変容を軸に、社会課題解決への取り組みを推進していく事を表明しております。

加えて、中長期的には「日本のアクリートからアジアのアクリートに」を掲げ、今後、市場拡大が想定されているアジア市場のセキュリティ、コミュニケーション分野において、日本での本人認証や業務連絡によるSMS配信サービス事業で培った知見や経験を活かし、事業展開していくことを当社グループの成長・企業価値創出のキーとするという考えのもと、アジアという広大なマーケットでの事業拡大を推進していく方針を打ち出しております。

 

(2) 経営環境及び経営戦略

当社グループの事業は、国内市場にて事業活動を行う当社及び国内子会社、海外市場にて事業活動を行う海外子会社がそれぞれ各市場に適した経営戦略を立案し、事業活動を展開しております。

そのため、当社グループの報告セグメントは、各社の所在地を基礎とした地域別から構成された、「国内メッセージングサービス事業」及び「海外メッセージングサービス事業」の2区分となっております。

 

①国内メッセージングサービス事業

国内メッセージングサービス事業は、SMS配信サービスとメール配信サービスに区分されますので、それぞれのサービスに分けて説明いたします。

a.SMS配信サービス

当社グループの主たる事業である国内メッセージングサービス事業のうちSMS配信サービスの市場環境は、2028年のA2P-SMS市場において配信数は95億680万通と予想され(「ミックITリポート2024年1月号」(デロイトトーマツミック経済研究所))、2023年度から2028年度までの年平均成長率は26.4%増で、引き続き成長を続けると予想されておりますが、競合他社参入による価格競争のため配信単価の下落傾向が続いており、売上高及び営業利益については苦しい状況となっており、速やかに価格競争に巻き込まれない対策を講じることが当社グループの課題であると認識しております。また、海外アグリゲーター向けについても、当連結会計年度より、キャリア系大手企業など競合他社の市場への参入の影響が顕著となっており、市場環境は変わらず厳しい状況が続いており、当連結会計年度においては営業面でその影響を大きく受ける結果となりました。

そのようなSMS配信サービス市場の拡大が予測される中、当社グループは、SMSマーケットのパイオニアとして永年の経験に裏打ちされたSMSに関するノウハウと、高い技術力を持つ自社エンジニアの開発したSMS配信プラットフォーム「SMSコネクト」を主力サービスとして、国内企業向けの直接販売及び販社・代理店販売とグローバルIT企業等海外企業向けの海外SMSアグリゲーター経由での配信に大別し、安定したSMS配信サービスを提供することで、事業を拡大してまいりました。

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しなどにより、自治体等による連絡手段としての利用がひと段落したことで、前連結会計年度に比べて減少しましたが、引き続き国内SMS市場の配信数は増加傾向が続いており、今後も「連絡・通知」の利用用途での広がりが予想されております。一方で、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信サービスへキャリア系大手企業などの競合他社参入などによる配信数の減少、価格競争のため販売単価の下落が続いております。

そのような事業環境の中、利用用途を「認証」と「連絡・通知」に分け、「認証」については当社のSMS認証技術とPindrop Security,Inc.の声紋認証技術のようなSMS以外の認証手段を組み合わせることにより、これまでにないセキュリティレベルの多要素認証サービスを提供すること、また、「連絡・通知」については、引き続き配信数が拡大を続ける市場に対して、ナッジAIと組み合わせたコンタクトの受け手に行動を促すように最適化されたメッセージングサービスの提供により価格競争に巻き込まれない当社独自の差別化を進めることでSMS市場のリーディングカンパニーとして引き続き事業拡大および収益性の向上に取り組んでまいりました。

また、新たな事業展開として、SMSに関連、派生する事業への展開や、SMSを応用、活用したサービス機器の開発などといった、新たな事業アライアンスの構築に取り組んでまいりました。

 

b.メール配信サービス

当社は子会社である株式会社テクノミックスにより、安心メールシステムとして、引き続き、学校・PTA・保護者間の連絡をスムーズに行うための手段として「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システム「自治体安心メール」等を展開しております。当連結会計年度においては、安全安心な地域づくり、教育エコシステムへの貢献などを目的とした「SDGs安心メールくまもと」を配信開始するなどのCSR活動を通じて、また、国内各地の展示会等に出展・協賛することにより新規顧客開拓、サービスの浸透に積極的に取り組んでまいりました。

②海外メッセージングサービス事業

海外メッセージングサービス事業は、海外にて事業活動を行う海外子会社(VietGuys J.S.C.(以下、VGS社))にて構成されております。VGS社が事業を展開しているベトナムでは、新型コロナウイルス感染症流行の影響からの経済活動が正常化しておりますが、当連結会計年度においては、世界的なインフレや需要減速による輸出減により経済成長率は鈍化したものの、渡航制限の解除などによる観光関連産業をはじめとしたサービス業や製造業を中心に回復の兆しが見え始めております。

ベトナムを含めた東南アジアにおいてSMS市場は既に成熟した段階と当社は分析しており、メッセージ手段の多様化に伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であります。そのような状況の下、VGS社はCDP(カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform)の略称で、利用企業が保有する顧客データを収集・統合するための顧客データ基盤)サービスを通して顧客のマーケティング活動を支援することで、メッセージングサービスのオムニチャネル化を推進し、より収益性の高いサービスへのシフトを通じて売上拡大と収益率向上に取り組んでまいりました。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社グループは、以下の事項について今後の事業展開における重要な課題として認識し、取り組んでおります。

① 国内SMS配信サービスの利用用途拡大

当社はこれまで社会変化とともに現れる前例のない情報社会の課題や変革に対して、常に解決案を提示し、サービス利用者を増やすことによって業績を伸ばしてきました。今後においても、日本国内においてもDX化や、それに伴う個人情報の取扱いなど、激変していくであろうデジタル社会において、起こり得る前例のない情報社会の課題や変革に対して解決策を提供していくことが当社の成長ドライバーになり得ると認識しており、中長期的には「安心」、「安全」、「信頼」につながる「リアルな絆」を創出し、セキュリティ×コミュニケーション×行動変容を軸に、SMSをはじめとしたメッセージ手段を用いた社会課題解決への取り組みを推進していく事で利用用途の拡大を推進してまいります。

② 販社・代理店との連携強化

SMS配信サービスの活用により、顧客満足度を向上させることができる商圏を有する業界特化型の販社・代理店との連携を一層強化することにより、SMS配信サービスの営業体制を強化し、市場拡大とシェア拡大を図ることが重要な成長戦略であると認識しております。

③ 新サービス開発や新事業領域への進出

当社のコア・バリューである「本人認証(セキュリティ)・連絡伝達(コミュニケーション)」を中心とし、各業界の課題に合わせたソリューションサービスを展開することが成長ドライバーとなり得ることを認識しており、当社グループとして、当社が現在提供している国内網を利用したSMS配信サービス、子会社である株式会社Xoxzoが提供している国際網を主としたSMS配信サービス、同じく子会社である株式会社テクノミックスが提供しているメール配信サービスなどのメッセージングサービスのラインナップを増やしてまいりました。

SMS市場においては競合他社の参入が続いていることで、価格競争による販売単価の下落が進んでおり、価格競争に巻き込まれない対策を講じることが課題であると認識しております。具体的には、SMS配信サービス以外の事業分野との連携が重要であると考えており、当社のSMS認証技術と声紋認証技術のようなSMS以外の認証手段を組み合わせることにより多要素認証サービスを提供することや、ナッジ理論に基づいたAI関連技術と組み合わせることでコンタクトの受け手に行動を促すように最適化されたメッセージングサービスの提供により差別化を進めることなど、セキュリティ×コミュニケーション×行動変容の軸で、新たな基盤づくりを目指してまいります。

また、SMSを応用、活用したサービス機器の開発などといった新たな事業機会を創出していくことも重要な成長戦略であると認識しております。

 

 

④ 海外市場への展開

当社グループでは、日本市場で蓄積した事業ノウハウを活用して海外市場での展開を図り、また、逆に日本より発展したマーケットからノウハウを吸収することで、当社グループの事業の一層の発展に貢献するものと考えております。

当社子会社であり、ベトナムにおいて主にSMS配信サービスを展開しているVietGuys J.S.C. を拠点として、アジア圏を中心にさらなる展開を検討しておりますが、東南アジアにおいてSMS市場は既に成熟した段階と当社は分析しており、メッセージ手段の多様化に伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であるため、今後は日本で構築したソリューションを活かし、各国のニーズにあったサービス開発や事業提携により市場の拡大を目指してまいります。

⑤ 人員体制の強化

セールス部門については、新規顧客獲得や新サービスの開発・推進などセールスマーケティング体制の強化や、既存顧客や新規顧客予備軍に対するサポート体制の構築・強化、システム部門では、新サービスの開発や新事業領域への進出のための技術開発力の強化、事業開発部門では、事業拡大のためのM&Aや事業提携、新事業領域へ進出するための研究開発、経営管理部門では、企業規模の拡大の基礎となる経営管理体制とコーポレート・ガバナンスの強化など、各部門での課題を解決・対応するための人材の確保や育成が必要だと認識しております。

また、当社グループは、子会社4社を抱えており、グループシナジーの創出や子会社管理体制の強化など、子会社経営を任せられる人材の確保や育成についても今後の当社グループの持続的な成長において重要な課題であると認識しております。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

成長性と収益性及び企業価値の向上が経営上の重点課題と認識しており、成長性につきましては売上高対前年比率、収益性につきましては売上高経常利益率等の経営指標を重視しております。

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2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

当社グループは、中長期的な企業価値の向上のため、サステナビリティを巡る課題への対応は経営の重要課題と認識しておりますが、現状、基本方針を定めておらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続き等の体制をその他のコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。

当社のコーポレート・ガバナンスの状況の詳細は、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等(1)コーポレート・ガバナンスの概要」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略

当社グループの持続的な成長や企業価値向上のためには、人材は最も重要な経営資源であり、高度な専門的知識、技能及び経験を有する、多様な人材の確保及び育成が不可欠と考えております。そのため、多様な価値観を受け入れ、新たな価値を生み出す風土を醸成するため、他業種からの中途採用を行い幅広い人材を対象とした採用活動に取り組んでおり、また、各部門に沿った人事制度の構築や社内でのeラーニング等を用いた情報セキュリティや個人情報保護等を中心に従業員教育を展開しており、中長期的な人材育成に努めております。

 

(3)リスク管理

当社グループでは、サステナビリティ関連のリスクも含め会社の経営に重要な影響を及ぼす可能性のあるリスクについては、これらに対して適切な対策を講じ、リスクを減らすべく、取締役会で審議・決定致します。

また、必要に応じて弁護士、公認会計士、税理士、社会保険労務士等の外部専門家の助言を受けられる体制を構築するとともに監査等委員会監査及び内部監査を通じて、潜在的なリスクの早期発見及び未然防止によるリスク軽減に努めております。

なお、当社グループが認識する事業等のリスクに関する詳細は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

当社グループは、人材の育成及び社内環境整備に関する方針に関し、現在のところ具体的な指標及び目標は設定しておりませんが、性別や年齢、国籍に関わらず、能力や適性に応じて、管理職への登用も含め適材適所で配置しており、優れた人材を確保し、定着させるために、積立有給休暇制度や団体長期障害所得補償保険、企業型確定拠出年金制度の導入、在宅勤務制度や遠隔地勤務制度による柔軟な働き方を実現するなど、一定の環境整備を行っております。今後も最も重要な経営資源である人材の育成及び社内環境の整備を推進してまいります。

また、当社グループのサステナビリティに関する指標及び目標は現時点では設定しておりません。今後、企業価値向上に向けたサステナビリティに関する指標及び目標については、社内で議論を深めてまいります。

なお、管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率、労働者の男女の賃金の差異については、「第1 企業の概況 5 従業員の状況」で記載のとおりであります。


 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1) 事業環境に関するリスクについて

① SMS配信サービス市場の拡大について

SMS配信サービス市場は、グローバル市場においては多くの大手SMSアグリゲーターが存在する巨大な市場が存在しておりますが、日本国内においては、一般にSMSが利用されてこなかった背景から、その市場規模はいまだに諸外国に比べて小さなものとなっております。SMS配信サービス市場は、新型コロナ陽性患者対応連絡手段として2022年までに大きく利用拡大してきましたが、2023年になって同じ目的としての利用はほぼ終息しています。一方でコロナ特需とは別に、SMS利用用途の拡大により、利用企業数、配信通数ともにその後も継続的に成長しておりますが、今後、新たな法的規制の導入、SMS配信が不要となる技術革新、携帯電話事業者の方針変更等により、当社の想定どおりSMS配信サービス市場が発展しない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 競合企業について

携帯電話事業者が認める正規配信ルートによりSMS配信サービスを提供するためには、すべての携帯電話事業者と直接接続契約を締結する必要があるため、現状、国内におけるSMS配信サービス市場は当社を含む4社により市場の大半を占めております。しかしながら、今後、市場規模が拡大することで、新規参入企業が増加する可能性は否定できず、競合企業の増加により競争が激化した場合には当社グループの事業の成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ SMS配信サービスの利用用途及び健全性と一般ユーザーの動向について

当社では、配信コンテンツの利用用途及び健全性について事前審査を行うとともに、「迷惑メール対策推進協議会」構成員及び「フィッシング対策協議会」正会員として、企業と一般ユーザーとの双方にメリットのあるSMS配信を促進することで健全な市場育成を目指しております。しかしながら、競合他社及び正規ルート以外でのSMS配信業者等により、一般ユーザーに受け入れられない迷惑SMSの配信が横行し、SMS配信そのものの信頼性が損なわれるような状況となった場合には、市場の発展が阻害され、当社グループの事業の成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2) 事業内容に関するリスクについて

① 携帯電話事業者との契約関係について

当社は、SMS配信サービスを提供するために、現在、主要な携帯電話事業者4社と直接接続契約を締結しており、当社では事業者から依頼された配信コンテンツを当社システムから携帯電話事業者のSMS配信ルートを利用して、一般ユーザーに配信しております。

従いまして、当社では携帯電話事業者との契約は当社の事業活動の前提となる契約であると考えており、現在、携帯電話事業者と当社の間の契約の継続に支障を来す要因は発生しておりませんが、携帯電話事業者の新規参入があり、当該携帯電話事業者との契約が想定どおり進捗しなかった場合、携帯電話事業者によりSMSの送信単価の引き上げが実施された場合、その他何らかの事情により当社といずれかの携帯電話事業者との契約の変更があった場合もしくは継続ができなくなった場合には、当社グループの事業運営及び業績に重大な影響を与える可能性があります。

 

② 海外SMSアグリゲーターの動向について

当社は海外SMSアグリゲーター向けに、SMPP国際ゲートウェイサービスを提供しており、グローバル企業が海外SMSアグリゲーターに委託したSMS配信のうち国内ユーザー向けの配信の受託を行っており、2023年12月期において、当社の売上高の40.0%を占めております。

複数の海外SMSアグリゲーターとの取引で1社への依存度を下げること、各社との良好な関係を保つことにより各社の動向をタイムリーに把握するような営業体制を構築することでリスクが最小限にするよう対策をしておりますが、大手グローバル企業が委託する海外SMSアグリゲーターを変更することで、当社が国内ユーザー向けの配信の受託ができなくなる、もしくは当該理由により国内ユーザー向けの配信が著しく減少した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

また、現在のところ海外SMSアグリゲーターは、システムの安定性並びに日本特有のSMS配信ビジネスに関連する法令(電気通信事業法、迷惑メール防止法)の遵守等の理由で当社サービスの利用を継続的に行っておりますが、当社のゲートウェイサービスを利用してSMS配信を行っている海外SMSアグリゲーターが独自で国内SMS配信サービス市場に参入した場合もしくは他の配信ルートを利用することとした場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

③ 販社・代理店の営業活動について

当社はSMS配信サービスの事業拡大のため、直接販売だけではなく、コールセンター、システム開発会社等と協業して、国内での市場開発及び営業活動を連携して行っております。しかしながら、これらの販社・代理店が当社の想定する営業活動を推進しなかった場合、また、何らかの事情により営業活動が制限され新規取引先の獲得ができなかった場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 新規事業について

当社グループは、引き続き積極的に新サービス、新規事業開発に取り組んでまいりますが、これにより人材の採用やプロモーション費用、研究開発への先行投資等に追加的な支出が発生し、利益率が低下する可能性(内的要因)があります。

また、他にも消費者ニーズの変化やトレンドの変化、新たな規制の導入、予期せぬ競合の出現といった競争状態の変化、販売ライセンスの取得、為替変動といった外的要因の影響によって事業推進遅延が起こる場合もございます。新サービスや新規事業の拡大・成長が当初の予測どおりに進まない場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ カントリーリスクについて

当社グループはベトナムに在外連結子会社を有していることから海外各国の独自のビジネス環境を前提として事業を展開しております。海外でのビジネスには、各国の政治、経済の諸条件の変更、各種法制度の見直し等、ビジネスに大きな変動が生じる恐れがあります。当社グループは、こうした事業遂行上の環境変化に対して各国の行政窓口、取引先、各種専門家等から常に最新の情報を収集するよう努めておりますが、予期できない政治、経済の変化や自然災害、紛争の勃発などが生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ システムの安定性について

当社が提供するサービスは、当社が開発したSMS配信システムにより提供されております。当社では、システムトラブルが発生しないよう24時間体制での監視を行うとともに、大量配信による負荷、セキュリティ対策、自然災害等を想定したシステム運用を行うことで、システムダウンや重大なシステム障害等を防止する体制を維持・改善することを重大な経営上の課題と認識しておりますが、何らかのトラブルによりシステムダウンやシステム障害等が発生した場合には、当社の社会的信用やブランドイメージが低下し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ 情報セキュリティーリスクについて

当社グループでは、サービス提供において、業務上、顧客企業が保有する個人情報や顧客企業の機密情報を知り得る場合があります。このため、当社グループでは情報セキュリティ体制の強化に努めるとともに、2014年10月にISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメント)、2020年1月にISO/IEC 27017(クラウドサービスセキュリティ)の規格に適合する証明を取得しております。しかしながら、コンピュータウイルス、不正アクセス、人為的過失、あるいは顧客システムの運用障害、その他の理由により、これらの機密情報の漏洩が発生した場合、顧客企業等からの損害賠償請求や当社の信用失墜の事態を招き、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 知的財産権の侵害について

当社グループは、第三者の知的財産権に関して、外部の弁護士、弁理士を通じて調査を行い、権利侵害がないよう留意することでリスクの回避を行っておりますが、当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性や今後第三者により知的財産権が成立する可能性があります。

万一、当社グループが第三者の知的財産権を侵害した場合には、当該第三者により損害賠償請求、使用差し止め請求、ロイヤリティの支払請求等が発生する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

また、当社グループが事業活動において使用している一部の技術に関し、第三者の知的財産権が成立しているものが存在していることを確認しておりますが、当社グループでは当該知的財産権が成立する以前から当該技術を使用しており当社グループは先使用権を有していると認識しており、当該知的財産権に関する侵害はないものと考えております。

 

⑨ 為替相場の変動について

当社の海外SMSアグリゲーター向けのSMPP国際ゲートウェイサービスは外貨建てとなっている取引もあるため、円建ての取引に変更してもらうなど為替相場の影響を受けないよう対策をしておりますが、急激な円高等為替相場の状況により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

なお、2023年12月期における外貨建て売上高は、708,079千円となっております。

また、当社グループはベトナムに在外連結子会社を有しております。為替相場の変動は、連結決算における海外連結子会社財務諸表の円貨換算額に影響を与えるため、為替相場に著しい変動が生じた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑩ 資産の減損損失について

当社グループが保有する固定資産において将来キャッシュ・フローにより資産の帳簿価額を回収できないと判断される場合は、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上する必要があります。当社グループが保有する固定資産において減損損失を計上する必要が生じた場合は、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑪ M&Aについて

子会社である株式会社テクノミックス、株式会社Xoxzo及びVietGuys J.S.C.は、当社グループの業績に貢献するものと見込んでおります。しかしながら、事業環境の変化等により当初の想定を下回る場合、当社グループの財政状態及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑫ 訴訟等について

当社グループでは、これまでに訴訟は発生しておりません。しかしながら、将来において予期せぬトラブルや訴訟等が発生する可能性は否定できません。かかる訴訟が発生した場合には、その内容や賠償金額によって、当社グループの業績及び事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3) 組織体制について

① 小規模組織体制及び人材の確保・育成について

当社グループは、本書提出日現在、従業員114名と子会社4社を含めてもいまだに小規模組織であり、現状、内部管理体制もこの規模に応じたものとなっております。現在、市場の成長に伴い、当社グループも大きく成長段階にあり、事業拡大に応じた採用活動を行っていくとともに従業員の育成を行い、人員増強を引き続き進める方針でありますが、優秀な人材を獲得することがタイムリーにできなかった場合、当社グループの事業の成長及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 内部管理体制の強化について

当社グループでは、企業価値の継続的な増大を図るためにはコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムの適切な運用、法令遵守を徹底してまいりますが、人材の確保の遅れ等により、十分な内部管理体制の構築ができない状況となった場合、適切な業務運営が困難となる可能性があります。

 

(4) 法的規制について

当社グループは、会社法、金融商品取引法、労働基準法、個人情報保護法、法人税法等の一般的な法令に加え、電気通信事業法、特定電子メールの送信の適正化等に関する法律(俗称:迷惑メール防止法)の規制を受けております。また、将来的に同法の改正や事業に関する分野を規制する法令等の制定、あるいは自主的な業界ルールの制定等が行われた場合、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

① 電気通信事業法

当社及び各連結子会社は、電気通信事業者として総務省に届出を行い登録されています。従って、電気通信事業法及び関連する省令等を遵守する必要があります。

同法においては、電気通信事業者の取扱い中にかかる通信の秘密を侵す行為及び電気通信事業に従事する者またはかつて従事した者が、電気通信事業者の取扱い中にかかる通信に関して知り得た他人の秘密を漏らす行為が規制されております。当社は、同法で規定される通信の秘密等の原則を徹底し、法令違反が発生しない体制での事業運営を行っており、現在まで同法に抵触した事実はございません。しかしながら、万一法令違反が発生した場合、業務改善命令もしくは罰則を受け、当社グループの事業運営に影響を与える可能性があります。

 

② 特定電子メールの送信の適正化等に関する法律

特定電子メールの送信の適正化等に関する法律は、一時に多数の者に対してなされる特定電子メールの送信等による電子メールの送受信上の支障を防止する必要性が生じていることを鑑み、電子メールの利用についての良好な環境の整備を図り、高度情報通信社会の健全な発展に寄与することを目的としており、当社が配信している事業者から個人向けのSMS配信も対象となっております。

当社では、同法で規定されるあらかじめ同意したユーザーのみへの広告宣伝SMS配信を行うオプトイン方式、同意を証する記録の保存、表示義務を遵守していることを当社の顧客である配信元事業者等に確認を行うことで、SMS配信審査の中で法令違反が発生しない体制での事業運営を行っておりますが、万一当社の顧客が法令違反をし、業務改善命令もしくは罰則を受けた場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

 

(5) 大株主について

当社の大株主であるBANA1号有限責任事業組合は、当社の分割法人であるインディゴ株式会社の取締役4名が組合員であり、当社株式保有を目的として設立された有限責任事業組合であります。当社とインディゴ株式会社及びBANA1号有限責任事業組合との間には、取引関係はなく、2023年12月期においては、組合員2名が当社の執行役員を兼務しておりました。

BANA1号有限責任事業組合は、長期的に株式を保有する方針である旨を伺っているため、当社といたしましては安定株主であると認識しております。

2023年12月31日現在、BANA1号有限責任事業組合は、当社発行済株式総数(自己株式を除く。)の24.2%を保有しておりますが、何らかの事情により、長期的な株式保有の方針が変わる可能性があります。それに伴い、当社株式が売却された場合、当社株式の市場価格や流通状況に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6) その他のリスクについて

① 配当政策について

当社は、株主の皆様への利益還元を経営上の重要課題と認識し、配当性向30%を目標として、業績に応じた配当の支払いを安定的、継続的に実施することを基本方針としております。

しかしながら、重要な事業投資を優先する場合やキャッシュ・フローの状況によっては、配当を実施しない、あるいは予定していた配当を減ずる可能性があります。

 

② 新株予約権について

当社は、当社取締役、監査等委員、従業員に対するインセンティブを目的とし、新株予約権を付与しております。これらの新株予約権が権利行使された場合には、既存株主の保有株式の価値が希薄化される可能性があります。

2023年12月31日現在、新株予約権による潜在株式数は37,000株であり、発行済株式総数5,973,500株の0.6%に相当しております。なお、新株予約権の詳細は、後記「第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2) 新株予約権等の状況」をご参照ください。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

資産、負債、純資産別の財政状態は以下のとおりです。

(資産)

当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末と比べて710,338千円減少し、4,211,359千円となりました。これは主に、現金及び預金364,667千円、受取手形、売掛金及び契約資産141,531千円、顧客関連資産285,919千円の減少によるものであります。

(負債)

当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末と比べて679,464千円減少し、2,064,496千円となりました。これは主に、これは主に買掛金121,891千円の増加、未払法人税等336,964千円及び長期借入金421,284千円の減少によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べて30,874千円減少し、2,146,863千円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加33,426千円、新株予約権の行使に伴う資本金10,629千円及び資本剰余金10,629千円の増加に対して、配当金の支払いによる利益剰余金の減少56,772千円、非支配株主持分41,337千円の減少によるものであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限が解除され、社会経済の活動が正常化しております。一方で、円安の進行やウクライナ情勢等に起因した物価の高騰もあり、景気の先行きは依然として不透明な状況が継続しております。

当社グループの主たる事業である国内メッセージングサービス事業のうちSMS配信サービスの市場環境は、2028年のA2P-SMS市場において配信数は95億680万通と予想され(「ミックITリポート2024年1月号」(デロイトトーマツミック経済研究所))、2023年度から2028年度までの年平均成長率は26.4%増で、引き続き成長を続けると予想されておりますが、競合他社参入による価格競争のため配信単価の下落傾向が続いており、売上高及び営業利益については苦しい状況となっており、速やかに価格競争に巻き込まれない対策を講じることが当社グループの課題であると認識しております。また、海外アグリゲーター向けについても、当連結会計年度より、キャリア系大手企業など競合他社の市場への参入の影響が顕著となっており、市場環境は変わらず厳しい状況が続いており、当連結会計年度においては営業面でその影響を大きく受ける結果となりました。また、海外メッセージングサービス事業においては、アジア地域の法人向けSMS配信市場規模は2020年度から2024年度までの年平均成長率は2.8%ベースで拡大し、2024年には1.41兆通に成長すると予測されており(出典:Mobile Squad社「GLOBAL A2P SMS DATABOOK REPORT, 2019-2024」)、前連結会計年度に子会社化した、VietGuysJ.S.C. (以下、「VGS社」という。)が事業展開するベトナムのSMS配信市場は、2024年には354億通と予想され、当社としては日本でのノウハウや経験をVGS社に提供することでベトナム市場での一定のシェア獲得を推進してまいりました。

以上の結果、当社グループの当連結会計年度における売上高は5,433,558千円(前年同期比12.2%減)、営業利益は310,467千円(前年同期比73.5%減)、経常利益は305,922千円(前年同期比74.0%減)となりました。また、投資有価証券評価損及び株式会社Xoxzoにかかる顧客関連資産等の減損損失などの特別損失317,575千円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は33,426千円(前年同期比96.1%減)となりました。

 

セグメント毎の業績は以下となります。

(国内メッセージングサービス事業)

国内メッセージングサービス事業は日本国内にて事業活動を行う当社及び国内子会社にて構成されております。当セグメントの売上高は3,854,008千円(前年同期比20.1%減)、セグメント利益は335,799千円(前年同期比71.6%減)となりました。

当セグメントにおける、各サービスの概況は以下のとおりであります。

・SMS配信サービス

当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しなどにより、自治体等による連絡手段としての利用がひと段落したことで、前連結会計年度に比べて減少しましたが、引き続き国内SMS市場の配信数は増加傾向が続いており、今後も「連絡・通知」の利用用途での広がりが予想されております。一方で、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信サービスへキャリア系大手企業などの競合他社参入などによる配信数の減少、価格競争のため販売単価の下落が続いております。

そのような事業環境の中、利用用途を「認証」と「連絡・通知」に分け、「認証」については当社のSMS認証技術とPindrop Security,Inc.の声紋認証技術のようなSMS以外の認証手段を組み合わせることにより、これまでにないセキュリティレベルの多要素認証サービスを提供すること、また、「連絡・通知」については、引き続き配信数が拡大を続ける市場に対して、ナッジAIと組み合わせたコンタクトの受け手に行動を促すように最適化されたメッセージングサービスの提供により価格競争に巻き込まれない当社独自の差別化を進めることでSMS市場のリーディングカンパニーとして引き続き事業拡大および収益性の向上に取り組んでまいりました。

また、新たな事業展開として、SMSに関連、派生する事業への展開や、SMSを応用、活用したサービス機器の開発などといった、新たな事業アライアンスの構築に取り組んでまいりました。

・メール配信サービス

当社は子会社である株式会社テクノミックスにより、安心メールシステムとして、引き続き、学校・PTA・保護者間の連絡をスムーズに行うための手段として「学校安心メール」、住民と自治体間の防犯・防災危機管理緊急連絡システム「自治体安心メール」等を展開しております。当連結会計年度においては、安全安心な地域づくり、教育エコシステムへの貢献などを目的とした「SDGs安心メールくまもと」を配信開始するなどのCSR活動を通じて、また、国内各地の展示会等に出展・協賛することにより新規顧客開拓、サービスの浸透に積極的に取り組んでまいりました。

 

(海外メッセージングサービス事業)

海外メッセージングサービス事業は海外にて事業活動を行う海外子会社にて構成されております。当セグメントの売上高は1,579,549千円(前年同期比15.7%増)、セグメント損失は25,332千円(前年同期は8,029千円のセグメント損失)となりました。

当社グループはアジア市場における事業拡大を目指しており、海外メッセージングサービス事業は、海外にて事業活動を行う海外子会社(VGS社)にて構成されております。VGS社が事業を展開しているベトナムでは、新型コロナウイルス感染症流行の影響からの経済活動が正常化しておりますが、当連結会計年度においては、世界的なインフレや需要減速による輸出減により経済成長率は鈍化したものの、渡航制限の解除などによる観光関連産業をはじめとしたサービス業や製造業を中心に回復の兆しが見え始めております。

ベトナムを含めた東南アジアにおいてSMS市場は既に成熟した段階と当社は分析しており、メッセージ手段の多様化に伴い、メッセージングサービスのオムニチャネル化が日本よりも進んでいる状況であります。そのような状況の下、VGS社はCDP(カスタマーデータプラットフォーム(Customer Data Platform)の略称で、利用企業が保有する顧客データを収集・統合するための顧客データ基盤)サービスを通して顧客のマーケティング活動を支援することで、メッセージングサービスのオムニチャネル化を推進し、より収益性の高いサービスへのシフトを通じて売上拡大と収益率向上に取り組んでまいりました。

 

② キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、1,824,994千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、191,139千円の収入(前年同期は976,311千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、非資金項目の減価償却費130,147千円、減損損失236,666千円の調整、売上債権の減少155,807千円、仕入債務の増加119,585千円であり、支出の主な内訳は、税金等調整前当期純損失11,652千円及び法人税等の支払529,920千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、95,151千円の支出(前年同期は471,033千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出35,249千円、投資事業組合への出資による支出30,000千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、461,793千円の支出(前年同期は161,139千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入100,000千円、株式の発行による収入16,092千円、支出の主な内訳は、短期借入金の返済による支出100,000千円、長期借入金の返済による支出421,284千円、配当金の支払56,601千円であります。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。

b.受注実績

当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

前連結会計年度比(%)

国内メッセージングサービス事業

3,854,008

△20.1

海外メッセージングサービス事業

1,579,549

15.7

合計

5,433,558

△12.2

(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Telesign Corporation

1,532,730

24.76

707,858

13.03

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態

当連結会計年度末の財政状態につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 a.財政状態」に記載のとおりであります。

 

b.経営成績

当連結会計年度の経営成績は、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b.経営成績」にも記載しておりますが、売上高は5,433,558千円(前年同期比12.2%減)となりました。これは主に、当社においては、前連結会計年度において、新型コロナウイルス感染症の拡大により、PCR検査結果の連絡や自宅療養中の方への健康状態確認の手段が、これまでの電話による連絡からSMSでの連絡に変わるなど、自治体等行政サービスでの利用が増加したことなどにより配信数が増加いたしましたが、当連結会計年度においては、新型コロナウイルス感染者の全数把握の見直しなどにより、自治体等による連絡手段としての利用がひと段落したことで、前連結会計年度に比べて減少しましたが、引き続き国内SMS市場の配信数は増加傾向が続いており、今後も「連絡・通知」の利用用途での広がりが予想されております。一方で、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信サービスへキャリア系大手企業などの競合他社参入などによる配信数の減少、価格競争のため販売単価の下落が続いております。あわせて、前連結会計年度に子会社化したVietGuysJ.S.C.が通期で業績貢献したことが要因となっております。

売上原価は、3,845,111千円(前年同期比1.2%減)となりました。これは主に、当社において、国内SMS配信数増加に伴う携帯電話事業者からの仕入高増加によるもの、VietGuysJ.S.C.が連結対象になったことが増加要因となっております。

販売費及び一般管理費は、1,277,980千円(前年同期比13.5%増)となりました。これは主に、事業拡大に伴う人員増による人件費の増加、広告及び販促費用の増加及び新事業領域へ進出するための研究開発費用及びM&Aなど事業開発に係る支払手数料によるもの、VietGuysJ.S.C.が通期で連結対象になったことが増加要因となっております。

結果、営業利益は310,467千円(前年同期比73.5%減)となりました。

営業外損益は、貸付による受取利息1,080千円、為替差益1,692千円及び借入による支払利息7,812千円により、経常利益は305,922千円(前年同期比74.0%減)となり、投資有価証券評価損及び株式会社Xoxzoにかかる顧客関連資産等の減損損失などの特別損失317,575千円を計上した結果、税金等調整前当期純損失は11,652千円(前年同期は1,203,883千円の利益)、親会社株主に帰属する当期純利益は33,426千円(前年同期比96.1%減)となりました。

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フロー

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、191,139千円の収入(前年同期は976,311千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、非資金項目の減価償却費130,147千円、減損損失236,666千円の調整、売上債権の減少155,807千円、仕入債務の増加119,585千円であり、支出の主な内訳は、税金等調整前当期純損失11,652千円及び法人税等の支払529,920千円であります。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、95,151千円の支出(前年同期は471,033千円の支出)となりました。支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出35,249千円、投資事業組合への出資による支出30,000千円であります。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、461,793千円の支出(前年同期は161,139千円の収入)となりました。収入の主な内訳は、短期借入れによる収入100,000千円、株式の発行による収入16,092千円、支出の主な内訳は、短期借入金の返済による支出100,000千円、長期借入金の返済による支出421,284千円、配当金の支払56,601千円であります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、ソフトウエアの開発による無形固定資産取得のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、事業開発に伴うM&Aによる株式取得費用や、新事業領域への進出を見据えた研究開発費用等であります。

当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。

今後のさらなる成長の為に、SMSを活用した付加価値の高いサービスの開発や、SMS配信サービスの営業体制強化のためのプロモーション、また、市場シェア拡大のためのM&A、新事業領域への進出を見据えた研究開発等に取り組む方針です。これらの事業活動に必要となる資金は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。

なお、当連結会計年度末における借入金を含む有利子負債の残高は923,655千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,824,994千円となっております。

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりましては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

なお、当社の財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載の通りであります。

 

④ 経営成績に重要な影響を与える要因について

経営成績に影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載しておりますが、当社の売上高の40.0%(2023年12月期)を占める海外SMSアグリゲーターの動向、競合企業の動向及び携帯電話事業者との契約関係は、当社の経営成績に重要な影響を与える要因であると認識しております。

 

⑤ 経営戦略の現状と見通し

当社グループは、「デジタル社会に、リアルな絆を」というビジョンを掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、メッセージングサービス事業において、「安心」「安全」「信頼」につながる「リアルな絆」を創出し、セキュリティ×コミュニケーション×行動変容を軸に社会課題の解決に取り組んでおります。

SMS配信サービスにおいては、競合他社との価格競争による販売単価の低下や、海外SMSアグリゲーター経由でのSMS配信サービスへの競合他社の参入など市場環境がより一層厳しくなっているものの、国内市場は引き続き拡大が見込まれており、利用用途を「認証」と「連絡・通知」に分け、「認証」については当社のSMS認証技術とPindrop Security,Inc.の声紋認証技術のようなSMS以外の認証手段を組み合わせることにより、これまでにないセキュリティレベルの多要素認証サービスを提供すること、また、「連絡・通知」については、引き続き配信数が拡大を続ける市場に対して、ナッジAIと組み合わせたコンタクトの受け手に行動を促すように最適化されたメッセージングサービスの提供により価格競争に巻き込まれない当社独自の差別化を進めることでSMS市場のリーディングカンパニーとして引き続き事業拡大および収益性の向上に取り組んでまいりました。また、国際網でサービス展開している株式会社Xoxzo、さらにベトナムでSMS配信サービスを展開するVietGuys J.S.C.により、国内外ともに市場拡大とシェア獲得を推進しております。また、株式会社テクノミックスにおいて「学校安心メール」や「自治体安心メール」といったメール配信サービスを展開しており、グループとして、より多角的なコミュニケーション・チャネルを提供することが可能となっており、メッセージングサービス事業の拡大を推進しております。

メッセージングサービス事業以外の分野においても、「セキュリティ×コミュニケーション×行動変容」を軸に、電話番号にとらわれない新事業領域の研究開発に取り組んでおり、マルチチャンネルやAIなど多様なコミュニケーション基盤の開発を進めており、実証実験を重ねて事業化に向けての具体的な検討を進めてまいります。また、新たな事業展開として、SMSに関連、派生する事業への展開や、SMSを応用、活用したサービス機器の開発などといった、新たな事業アライアンスの構築に取り組んでまいります。

⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について

当社グループは、「デジタル社会に、リアルな絆を」を会社のビジョンとして掲げ、「コミュニケートするすべての人に、セキュアで最適なプラットフォームを提供する」というミッションのもと、メッセージングサービス事業を展開しております。

2022年8月に中期経営計画(2023/12~2025/12)を発表し、中期テーマとして「日本のアクリートからアジアのアクリートに」を掲げ、セキュリティ、コミュニケーションの分野において、これまでの本人認証や業務連絡によるSMS配信サービス事業で培った知見や経験を活かし、企業や自治体等の抱える課題を解決していくことが当社グループの価値創出につながるという考えのもと、日本のみならずアジアという広大なマーケットへ事業拡大を目指してまいります。

経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)携帯通信事業者との契約

相手方の名称

契約または申込の名称

契約期間または申込日

(提供者)

株式会社NTTドコモ

(代理人)

エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社※

電気通信サービスの提供に関する契約書

当初契約期間

2023年3月1日から2025年2月28日まで

KDDI株式会社

SMS(Cメール)配信システム使用契約書

当初契約期間

2013年8月1日から2014年7月31日まで

(以後1年毎の自動更新)

ソフトバンク株式会社

データ通信網サービス接続サイト申込

利用開始申込日 2013年10月15日

楽天モバイル株式会社

楽天SMS配信サービス申込書

利用開始申込日 2019年9月19日

※ 株式会社NTTドコモと締結した前契約の期間満了に伴い、契約先及び契約期間を変更して新たに締結しました。

 

 

 

6【研究開発活動】

当社グループは、国内メッセージングサービス事業において、現在展開している電話番号を使ったSMS配信サービスから、「セキュリティ×コミュニケーション×行動変容」を軸に、電話番号にとらわれない新事業領域の研究開発に取り組んでおり、多要素認証サービスやナッジAIなど多様なコミュニケーション基盤の開発を進めております。また、新たな事業展開のため、SMSを応用、活用したサービス機器の開発などに取り組んでおります。

当連結会計年度の研究開発費の総額は19,280千円となっております。