第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1) 会社の経営方針

 当社グループは、「三方よしの精神」“売り手よし 買い手よし 世間よし”を基本理念とし、「レンティアグループは 顧客を創造し 社業発展 進歩を図り 社会に貢献する」ことを企業理念としております。その上で「レンタル事業を核として 顧客のニーズにこたえ 環境負荷低減に努め 未来との共生を図る」という環境ポリシーのもと、FF&Eの総合レンタルサービスを軸に、社会から必要とされる企業グループとして循環型社会や持続可能な社会の推進に取り組んでまいりたいと考えております。2026年度を最終年度とする新中期経営計画においては、グループビジョンとして「人的資本の充実を通じて、自律した事業を確立し、企業価値向上を図ると共に、事業の進化によって社会・環境の持続的な発展に寄与する」ことを掲げ、ESG経営を深化する新規事業の創出と経営基盤の強化に取り組むと共に、将来に向けた人的資本の充実を着実に推進してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

 当社グループは、2023年12月期を最終年度とする中期経営計画では、成長力向上を図るため売上高営業利益率とEBITDAを目標指標として採用し、「売上高営業利益率7.8%」、「EBITDA29億5千万円」の達成を目標値としておりました。また、株主資本を効果的に運用するために自己資本当期純利益率(ROE)も目標指標として採用し、「ROE12%以上の確保」を目標値として設定しておりました。2024年度から始まる新中期経営計画では目標指標を「売上高営業利益率」と「自己資本当期純利益率」の2つに定め、目標値を「売上高営業利益率9.1%」、「ROE12%以上の確保」に変更いたします。

 

(3) 経営環境

 当事業年度においては、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限が緩和され、景気の回復が期待される一方、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻の長期化、資源価格の高騰による物価上昇、台湾の地政学的リスクの高まりなど、先行き不透明な状況が続いております。

 当社グループでは、このような状況の中、建設現場向けDX関連商品・サービスの創出と一般オフィス市場の新規需要開拓を中心に、事業領域を拡大させてまいります。主力であるレンタル関連事業に関しましては、建設現場向け市場においては、過年度受注分の大型案件の工事進捗が進んでおり、それに伴い旺盛な需要が続いております。また地政学リスクに基づく設備投資の国内回帰、政府による経済安保政策を受け、各地での大型計画が発表されており、都市圏は大型再開発案件、地方は設備投資案件の需要があり、当面は安定した市場環境が続くと見込んでおります。イベント市場におきましては、イベントの開催数は未だ回復途上ではありますが、2023年12月にはコロナ前を凌ぐ開催数を記録しており、イベント開催への需要が高まっていることを示唆しているものと考えられます。また、企業のPRイベントはコロナ禍の5類移行に伴い復調傾向にあります。今後は、音楽フェスやスポーツイベントに代表される参加者の五感を刺激するような体験型・リアル開催のイベントが求められて、リアルの開催数が増えていくものと予想しております。オフィス市場におきましては、企業イベントはコロナを契機にリアル開催からオンライン開催に変更するなど開催方法が変化しており、今後は状況を見ながら柔軟に対応していく必要があります。BPO案件におきましては、短期的にはコロナ関連案件の反動減を受ける可能性がありますが、市場的には堅調に推移していくものと予想されております(㈱矢野経済研究所 国内BPO市場調査公表資料より)。また、一般オフィス市場においては、環境意識の高まりから、今後もレンタルでの需要が伸びてくるものと考えております。競合他社も規模は小さいものの売上を伸ばしており、当社グループの競争優位性を確立する必要があります。

 スペースデザイン事業に関しましては、首都圏分譲マンション市場における2024年の供給戸数は前年比10.7%増加の3.1万戸(㈱不動産経済研究所 公表資料より)と予測されております。東京23区においては、2023年比3.2%増の1.3万戸と予測されており、城東エリアなどでも駅近大型物件が脚光を浴び、底堅く推移すると予想されます。また、埼玉県なども反転増加する見込みであります。

 物販市場に関しましては、民間企業向けのオフィス移転に伴う買い替え需要や2024年に予定されている新紙幣の発行に伴う機器の需要もあり、売上の増加が期待されます。

 ICT事業に関しましては、2025年にWindows10サポート終了を控え、パソコンの買い替え需要やそれに伴うICTに関するサービスやデータ消去等のニーズが高まり、ICT分野の需要が上昇すると見込んでおります。一方、コスト面では、マイクロソフト製品が2024年4月から、法人向けソフトウェアとクラウドサービスの値上げを予定しており、原価面で影響を与える可能性があります。また、パソコンの調達に関しましては、半導体不足は収まりましたが、円安が影響し、全体的に値上げ傾向が続いております。

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

 当社グループは地球環境や社会課題への対応など、持続可能な社会に貢献することが、企業の持続可能性の向上や企業価値の向上につながるものと認識しています。

 この考えのもと、2023年にはサステナビリティ委員会を設置すると共に、2024年からの中期経営計画においてESG経営の深化を方針に掲げ、以下の項目を対処すべき課題として取り組んでまいります。

 

①新商品サービス、新市場の創出

 当社グループは豊富な商品ラインナップと多数の商品を保有し、顧客から一定の評価を得ております。しかしながら、昨今はデジタル技術を活用した業務プロセスの改善ニーズが高まっており、DX関連商品やサービスの提供が課題となっております。

 この考えのもと、当社グループでは、アライアンスパートナーの活用により、新しい商品やサービスの創出に力を入れると共に、既存の商品、サービスと組み合わせ新たな市場の創出を図ってまいります。

 

②経営基盤の強化

 当社グループは、100万点以上の商品を保有しており、これらの稼働率は損益に影響を与えます。そのためこの商品管理に係る業務プロセスと物流施設は、事業を支える重要な経営基盤であると考えております。

 この考えのもと、当社グループでは、ISO9001認証企業として品質管理システムを適切に運用し、業務プロセスの維持及び改善を行うと共に、物流のDX推進を念頭に物流設備の改修を図ってまいります。

 また、ガバナンスの強化という面においては、法律などに違反した行動を起こさせないように仕組みや規則を作り、管理体制を整備することが課題となっています。

 この考えのもと、当社グループでは、リスクの把握と未然防止を適切に推進できるよう、リスクマネジメント規程を定め、グループ全社に浸透させ継続的に取り組んでいくことを目的にリスク・コンプライアンス委員会を設置しております。同委員会では、現場が直面しているリスクを把握し、重点管理リスクの決定を行い、リスクアセスメントを有効に実施し、リスク管理体制を拡充していくことにより、経営の健全性及び企業価値の向上に努めてまいります。

 

③人的資本の充実

 当社グループは、継続的な事業の成長と企業価値の向上にとって人的資本の充実が不可欠であると考えております。そのため、自律的人材の確保、定着、育成、活用等の人事サイクルにおいて、実効性のある施策を立案し、継続的に運用することが課題となっております。

 この考えのもと、当社グループでは、人材開発部を設置し経営幹部研修をはじめとする社内研修の充実に取り組んでおります。今後とも引き続き、人事制度再構築、教育体系の整備・実施内容の充実、誰もが働きやすい環境・風土の醸成への施策を進めてまいります。

 

④物流の2024年問題への対応

 当社グループは、レンタル商品の配送にトラックを活用しており、2024年4月1日以降、トラック運転手の年間時間外労働時間の上限が960時間となるいわゆる「物流の2024年問題」を大きな課題と考えております。

 2023年に関係省庁から出されたガイドラインでは、実施が必要な事項として、物流業務の効率化・合理化、運送契約の適正化、輸送・荷役作業等の安全確保が明記されました。これらの中には、荷待ち・荷役作業等時間2時間以内ルールや、適正価格の支払いなど具体的な内容が含まれております。

 このガイドラインに対して当社グループでは、物流業務の効率化を推進するため、配車支援システムトやトラックバースの管理システムの導入を進めると共に、運賃や荷役作業を考慮した運賃改定を図ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは持続可能な社会の実現に貢献し、持続的に成長することを目的として、2023年4月13日開催の取締役会において、「サステナビリティ規程」を制定すると共に、サステナビリティ経営の推進及び統括のため、代表取締役社長が任命した当社取締役が委員長を務める「サステナビリティ委員会」を設置しました。同委員会は、サステナビリティに関する基本方針や重要課題(マテリアリティ)の作成と見直し、重要課題(マテリアリティ)に対する進捗管理やその評価、検証、個別施策の審議、監督、取締役会への定期的な報告、提言等を行うことで、全社的なサステナビリティへの取組を推進してまいります。

 

(2)リスク管理

 サステナビリティに関するリスクは、サステナビリティ委員会において各種リスクを識別・評価し、その対応策について検討を行ってまいります。

 サステナビリティ委員会は、当社グループにおける各種リスクの特定を行い、リスクを識別し、識別されたリスクについては、取締役会に報告してまいります。

 取締役会は、サステナビリティ委員会から定期的な報告を受け、各種リスクに関し管理・監督を行ってまいります。

 

(3)戦略

 当社グループは、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上に向けて、サステナビリティ基本方針を策定し、取り組むべき重要課題(マテリアリティ)を特定しております。また、サステナビリティ委員会において現状のマテリアリティを含むサステナビリティに関する取組を推進してまいります。

①サステナビリティ基本方針

 当社グループは、ESG経営を通じて地球環境や社会課題への対応など、持続可能な社会に貢献することが、企業の持続可能性の向上や企業価値の向上につながるものと認識しております。グループ全体でサステナビリティ(持続可能な発展)への取組を推進し、企業の持続的成長を実現することを目的として事業活動を推進してまいります。

②重要課題(マテリアリティ)

 当社グループは、サステナビリティ基本方針に基づき、マテリアリティを次のとおり特定しております。

・限られた資源を有効活用する循環型事業の拡大

・事業活動により排出されるCO削減で脱炭素社会に貢献

・働き続けたい!を実現する社員エンゲージメントの向上

・クリエイティブ(レンタル)カンパニーを実現する。

・様々な協力会社との共創でお客様に価値ある商品・サービスの提供を実現するサステナブル調達

・ステークホルダーへの公共性維持を実現するリスクマネジメント

・社会から信頼される企業を実現するコンプライアンスの推進

 また、人材の育成及び社内環境整備に関する方針は次のとおりであります。

 当社グループは、「人的資本の充実を通じて、自律した事業を確立し、企業価値向上を図ると共に、事業の進化によって社会・環境の持続的な発展に寄与する。」ことをグループビジョンに掲げており、人的資本の充実を主眼として、継続的な事業の成長と企業価値向上の実現を目指しております。

 人的資本の充実に関しては、「人事制度再構築、教育体系整備、誰もが働きやすい環境・風土の醸成を中心とし、専門性や事業に係る視座の高い自律した人材の育成やエンゲージメント向上につながる人的資本投資を実施し、生産性の向上を図る。」ことを基本方針に、その具現化に向け着実に推進していきます。

 人的資本の充実に向けての具体的な取組は以下のとおりです。

・より公平で納得度の高い人事制度の再構築

 資格等級制度、評価制度、処遇制度等の基幹制度をはじめとする人事諸制度について、今後の事業展開を見据え、グループ各社の事業特性、社員の職位、職務内容等に基づく、より公平で納得度の高い人事制度の再構築を進めてまいります。

・教育体系の整備と実施内容の充実

 人材育成はOJTとOFF-JTを両輪として、これに自己啓発を加え、知識・技能と経験の融合を図っていくことが必須と考えております。人材育成の基軸となる教育体系の整備を進めると共に、階層別教育の充実、課題対応教育の実施、キャリア開発支援制度や自己啓発支援制度の導入等、適時適切に実施してまいります。

・誰もが働きやすい環境・風土の醸成

 年齢、性別、雇用形態、障がい等の有無に関係なく、多様な人材が成長し活躍できる職場環境・社内風土づくり(ダイバーシティ&インクルージョン)を目指しております。また、リモートワークの導入、長時間労働の削減、社員の健康保持・増進、育児休業取得率の向上と介護離職率の低減、障がい者雇用率の向上等の施策を着実に展開してまいります。

 

(4)指標及び目標

 当社では、上記「(3)戦略」において記載した、人材の育成及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、当社においては、関連する指標のデータ管理と共に、具体的な取組みが行われているものの、連結グループに属するすべての会社では行われてはいないため、連結グループにおける記載が困難であります。このため、次の指標に関する目標及び実績は、提出会社単体のものを記載しております。

 

指標

目標

実績

採用に占める女性労働者の割合

50.0%

57.9%

管理職に占める女性労働者の割合

・初級管理職(係長クラス)

・中級管理職(課長クラス)

20.0%

5.0%

13.7%

0.0%

男女別の育児休業取得率

・男性

・女性

50.0%

100.0%

14.3%

100.0%

男女の賃金の差異

65.0%

58.7%

年次有給休暇取得率

65.0%

53.1%

エンゲージメントスコアの向上

毎年改善

(注)エンゲージメントスコアに関しては、本年度より調査を実施予定。

 

 

3【事業等のリスク】

 

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、当社グループの業績及び財政状況等(株価等を含む)に影響を及ぼす可能性がある主要なリスクには以下のものがあります。ただし、すべてのリスクを網羅したものではなく、想定していないリスクや重要性が低いと考えられる他のリスクの影響を将来的に受ける可能性もあります。

 当社グループは、リスクマネジメント規程を定め、推進体制として当社代表取締役を委員長とした「リスク・コンプライアンス委員会」を四半期毎に開催しております。当該委員会において、以下のリスクを含めた重要リスクについて、リスクアセスメントを推進、各取組みを共有し、リスクの未然防止に努めております。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.事業環境に関するリスク

①国内市場の変化による業績の変動

 当社グループは国内で事業を行っております。国内の人口が減少している中で、当社グループが展開するレンタルサービスやマンションに関わる国内市場が縮小し、競争が激化した場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

〔対策〕

当社グループでは、安定的な事業成長を行うための財務基盤の強化と、事業ポートフォリオの視点から、市場分散を図っております。また、DXに対応したサービス等の強化により、事業の効率化を図っております。

②市場動向の変化による商品管理

 当社グループは、100万点を超えるレンタル商品を保有し、商品稼働率は近年の旺盛なレンタル需要によって、高い数値を維持しております。今後もレンタル需要に応えるため、継続的に商品調達を行ってまいりますが、需要が想定を超えて増加した場合には、商品不足による機会損失が発生する可能性があります。また、需要が想定を超えて減少した場合には、在庫保管のための施設不足が発生する可能性があります。

〔対策〕

当社グループでは、商品や納品現場、配送に関する情報をシステムにより一元管理し、効率的な商品運用を行っております。さらに、2024年からスタートする新中期経営計画において、ロジスティクス機能を強化するため、物流DXを促進し経営基盤の拡充を行う計画であります。

③災害等による影響

当社グループでは、伝染病・感染症の世界的流行(パンデミック)、地震、火災、台風、洪水等の発生時、当該災害が想定を超えた規模であった場合、事業を適切に遂行出来ず、当社グループの事業展開、業績及び財政状況に影響を及ぼす可能性があります。

〔対策〕

 当社グループでは、当該リスクの対応において、事業の継続性を確保するために、事業継続計画(BCP)を整備し影響の回避に努めております。

 

2.組織体制に関するリスク

①事業拡大のための人材確保

当社グループが継続して事業拡大を進めていくには、優秀な人材の確保が必要であると考えております。減少する国内の総人口の中で、人材の獲得競争が激化する可能性があります。そうした場合、当社グループの業績及び事業運営に影響を及ぼす可能性があります。

〔対策〕

当社グループでは、より優秀な人材を確保するため、新卒採用方法の変革(オンライン化)を進め、学生募集活動の領域を広げて実施、また、採用人材の多様化(ジェンダーレス・ダイバシティ)を推進し、必要人材の確保に努めております。

②情報管理体制

当社グループのコンピュータ及びネットワークシステムは、適切なセキュリティ対策を講じて外部からの不正アクセスなどを回避するよう努めております。

 しかし、サイバー攻撃等による不正アクセスにより、情報漏洩やデータ破壊、システム障害などの不測の事態が生じる可能性があります。当該事態が発生した場合には、当社グループの業績及び各事業の運営に影響を及ぼす可能性があります。

〔対策〕

当社グループでは、情報管理についてはコンピュータ・ウイルスやハッカーの侵入リスクに対し、ファイアウォールやウイルス対策ソフトにより外部からの通信を遮断する等の対策を講じております。

 

③内部管理体制

ステークホルダーの期待と信頼に応えるため、リスクマネジメントやコンプライアンス推進等の内部管理体制の強化は、当社グループにおける重要な課題の一つであると位置付けております。しかし、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない場合、適切な事業運営が困難となり、当社グループの業績及び各事業の運営に影響を及ぼす可能性があります。

〔対策〕

当社グループでは、リスクマネジメントへの取組みとして、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、リスクの再発防止及び未然防止の仕組みを徹底すると共に、従業員に対しては、コンプライアンス研修を毎年開催し、従業員一人一人のコンプライアンスの啓発に努めております。また、万が一、不正や不法行為又は疑義ある行為を発見した場合は、従業員が速やかに通報・相談できるよう、社内及び外部(弁護士事務所)を窓口とした内部通報制度を整備しております。

 

3.法的規制に関するリスク

①法的規制に関するリスク

 当社グループは、会社法及び金融商品取引法の他、建設業法、宅地建物取引業法、古物営業法、産業廃棄物処理法、個人情報保護法など各種法的規制のもとで業務運営を行っておりますが、今後、これらの法的規制の改廃や、当社グループの業務運営上不利となるような新たな法的規制が設けられた場合には、当社グループの業績及び財政状況に影響を与える可能性があります。

〔対策〕

 当社グループでは、法改正、法的規制に関する動きがあった場合、いち早く対応できるよう、グループウェアから当該情報を配信する仕組みを整えております。また、毎月10日を「コンプライアンスの日」とし、法的規制やコンプライアンス情報について、従業員一人一人が学べるよう、定期的に情報発信を行っております。

②訴訟、不祥事及びレピュテーション等に係るリスク

 当社グループはコンプライアンス(法令遵守)を重視した事業活動を行っておりますが、クライアント企業等を相手方とする各種クレームの発生、訴訟、係争、また、これらに起因する損害賠償請求の当事者となる可能性があります。これらの法的手続によって当社グループに不利な司法判断がなされ、さらに、不測の費用等を支出した場合には、当社グループの業績及び社会的信用に悪影響を与える恐れがあります。

〔対策〕

 当社グループでは、ISOマネジメントシステムを導入しており、クレーム対応の他に安全活動を含む日常業務における継続的な改善を行っております。また、会社規程において、クレーム、セキュリティインシデント、不正、不法行為等、各事象に応じた各種委員会等を規定し、速やかに当該事象に対応できるよう、体制を整えております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況と概要

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は、以下のとおりであります。

 

① 経営成績の状況

 当社グループは、各セグメントにおける経営基盤を確固たるものにし、コアコンピタンスの深化と進化により、グループ総和として顧客の最大化を実現することをありたい姿として掲げております。

 2023年度を最終年度とする中期経営計画(2021~2023年度)では、「人財育成」「成長領域の明確化」「事業インフラへの投資」「新規事業の創出のための仕組みづくり」「脱炭素社会に向けたビジネスモデルの強化」「企業ブランドの向上」「SDGs・ESGの推進」「企業価値創造の具現化」を重点施策として取り組んでまいりました。中でもESGの推進は経営の根幹をなすものと考え、2022年度より当社グループにおけるESGマテリアリティを設定し、課題解決に向けてグループ全体で積極的に活動を進めております。また、2023年4月13日に代表取締役社長が任命した取締役を委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置しております。事業活動においては、脱炭素に向けた取り組みの一環としてEVトラックの導入や、主要トラック配送時に排出されるCOのカーボン・オフセット、環境配慮型商品の企画・開発など、策定したマテリアリティに沿った活動を拡大し、ESG経営の具現化に取り組んでいます。

 当社グループを取り巻く事業環境は、主力のレンタル関連事業におきまして、都心再開発案件及び地方圏における大型設備投資案件が堅調な建設現場向け市場や、行動制限緩和によるイベント開催件数の回復を背景としたイベント向け市場が業績を牽引し、全体を通じて安定的に推移しました。

 当連結会計年度における売上高は30,960百万円(前期比18.2%増)、営業利益は2,443百万円(前期比0.5%増)、経常利益は2,478百万円(前期比2.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,604百万円(前期比28.4%増)となりました。これは主に、レンタル関連事業における建設現場向け市場が業績を牽引したことによるものです。スペースデザイン事業、物販事業も各市場が概ね好調で増収増益となりました。一方で、ICT事業は原価上昇の影響等により増収減益となりました。

 

 セグメント別の概要は次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、「レンタル関連事業」に含まれていた「ICT事業」を独立した報告セグメントに区分しております。これは、2023年度を最終年度とする中期経営計画の重点施策の1つである「成長領域の明確化」において、ICTサービスに経営資源を投入してきたことや、当連結会計年度より、ICTサービスを独立したセグメントとする経営管理体制を整備したことに伴うものであります。このため、「レンタル関連事業」・「ICT事業」における前連結会計年度のセグメント実績は、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。

 

(レンタル関連事業)

 レンタル関連事業におきましては、建設現場向け市場において、東京を中心とした大規模再開発案件や地方圏での大型設備投資案件が堅調に推移しました。建設資材や人件費の高騰によりコスト上昇傾向は継続しているものの、豊富な出件数と案件の大型化により、年間を通じて業績が高水準で推移しました。

 イベント向け市場においては、国家的イベントや国際スポーツ大会、大規模施設の開業式典等、大型案件が集中したほか、レギュラー案件となる音楽フェスの開催やPRイベントの復調により、コロナ前を上回る実績を残すことができました。

 オフィス市場においては、コロナ対策関連の需要が収束する一方、新たなBPO案件に対する積極的な営業活動が受注成果に繋がったほか、各企業における株主総会や社内研修、展示会等の出件数が回復してきたことで、業績は計画通りに推移しました。

 この結果、当事業セグメントの売上高は18,361百万円(前期比10.9%増)となりました。また、セグメント利益は1,777百万円(前期比2.4%減)となりました。

 

(スペースデザイン事業)

 スペースデザイン事業におきましては、首都圏分譲マンション市場における2023年の供給戸数が26,886戸と前年と比較して9.1%減少((株)不動産経済研究所調べ)したものの、マンションギャラリーの設計・施工業務において高単価のシアタールーム設置件数が伸長したことや、インテリアオプション販売を手掛けるライフデザイン業務における高付加価値商品の拡充が売上高・利益の拡大に繋がりました。また、ファニチャーレンタル業務(マンションギャラリー内のFF&E提供サービス)についても、新カタログ商品の提案強化や顧客関係性の深化が業績に寄与したほか、新規事業であるオフィスリノベーションも堅調に推移しました。

 この結果、当事業セグメントの売上高は4,983百万円(前期比14.9%増)となりました。また、セグメント利益は179百万円(前期比27.3%増)となりました。

(物販事業)

 物販事業におきましては、郵政関連市場での事業機器の更改需要の取り込みに加え、官公庁市場における省庁再編及び庁舎移転等を契機としたオフィス什器・備品の販売やサーキュラ―エコノミーサービス(不用品の廃棄を削減し、環境負荷を低減する移転サポート)が売上・利益拡大に寄与したほか、民間企業向けのオフィス移転サービスが受注に結びつき、増収増益となりました。

 この結果、当事業セグメントの売上高は3,702百万円(前期比64.3%増)となりました。また、セグメント利益は72百万円(前年同期は9百万円のセグメント損失)となりました。

 

(ICT事業)

 ICT事業におきましては、2022年4月に連結子会社のコーユーイノテックス株式会社が株式会社ジービーエス(以下、ジービーエス)、株式会社ジービーエスシステムズ(以下、ジービーエスシステムズ)及び株式会社カインドビジネス(以下、カインドビジネス)の全株式を取得し、ジービーエスグループの顧客基盤を活かして、ICT関連ワンストップサービス(ICT機器レンタル・ネットワーク工事・保守サービス等)をグループ内外に向け拡大してまいりました。中でも、国家的イベントや国際スポーツ大会におけるICT機器の工事関連業務や、外部企業との戦略的アライアンスを通じたソリューションサービスが売上拡大に寄与しました。一方、ICT人材の確保・育成やグループ外売上の拡大、新規市場である中小企業向けのICT機器販売強化が利益獲得を図る上での重点課題となっております。

 この結果、当事業セグメントの売上高は3,912百万円(前期比29.0%増)となりました。また、セグメント利益は413百万円(前期比13.1%減)となりました。

(注)1. 「ICT事業」における前連結会計年度の内、1月~3月のセグメント実績には、2022年4月に連結子会社のコーユーイノテックス株式会社が全株式を取得し子会社化したジービーエス、ジービーエスシステムズ、カインドビジネスの実績を含んでおりません。

2. 当社は、当社連結子会社(孫会社)のジービーエス、ジービーエスシステムズ及びカインドビジネスとの間で、2023年10月1日を効力発生日とする吸収分割を実施いたしました(以下「本会社分割」という)。本会社分割は、ジービーエスとジービーエスシステムズを吸収分割会社、カインドビジネスを吸収分割承継会社とするものであります。なお、2023年10月1日付で、カインドビジネスは「イノテックスビジネスソリューションズ株式会社」に商号変更しております。

 

② 財政状態の状況

(資産の部)

 当連結会計年度末における当社グループの総資産は、前連結会計年度末に比べ2,061百万円増加の19,263百万円となりました。

(流動資産)

 流動資産は前連結会計年度末に比べ1,724百万円増加の9,257百万円となりました。主な内訳は、受取手形及び売掛金が808百万円、現金及び預金が552百万円、電子記録債権が181百万円増加したこと等によるものであります。

(固定資産)

 固定資産は前連結会計年度末に比べ336百万円増加の10,006百万円となりました。主な内訳は、賃貸用備品が628百万円増加した一方、投資有価証券が216百万円減少したこと等によるものであります。

 

(負債の部)

 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ530百万円増加の9,487百万円となりました。

(流動負債)

 流動負債は前連結会計年度末に比べ1,204百万円増加の8,711百万円となりました。主な内訳は、電子記録債務が693百万円、支払手形及び買掛金が405百万円増加したこと等によるものであります。

(固定負債)

 固定負債は前連結会計年度末に比べ674百万円減少の776百万円となりました。主な内訳は、長期借入金が534百万円、リース債務が173百万円減少したこと等によるものであります。

 

(純資産の部)

 純資産は前連結会計年度末に比べ1,531百万円増加の9,776百万円となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,361百万円増加したこと等によるものであります。また、自己資本比率は50.3%、自己資本当期純利益率(ROE)は17.9%となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ552百万円増加の2,930百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果、獲得した資金は3,878百万円(前連結会計年度は3,044百万円の獲得)となりました。主な内訳は、税金等調整前当期純利益2,534百万円、減価償却費1,783百万円、仕入債務の増加1,099百万円等の資金の増加と、法人税等の支払額606百万円等による資金の減少があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果、使用した資金は1,956百万円(前連結会計年度は2,810百万円の使用)となりました。主な内訳は、有形及び無形固定資産の取得による支出2,312百万円、投資有価証券の売却による収入350百万円等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果、使用した資金は1,369百万円(前連結会計年度は32百万円の獲得)となりました。主な内訳は、短期借入金の純増減額の減少300百万円、長期借入金の返済による支出534百万円、リース債務の返済による支出353百万円等による資金の減少があったことによるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a. 生産実績

生産に該当する事項がありませんので、生産実績に関する記載はしておりません。

 

b. 受注実績

受注生産を行っておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。

 

c. 販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

レンタル関連事業

18,361,820

110.9

スペースデザイン事業

4,983,986

114.9

物販事業

3,702,288

164.3

ICT事業

3,912,676

129.0

合計

30,960,771

118.2

(注)1.セグメント間取引については、相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がないため、記載を省略しております。

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に当たり、連結決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 なお、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.経営成績の分析

 経営成績の分析については、「(1)経営成績等の状況と概要」をご参照ください。

 

b.財政状態の分析

 財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況と概要」をご参照ください。

 

c.キャッシュ・フローの分析

 キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況と概要」をご参照ください。

 

③ 目標とする経営指標の達成状況等

 当社グループは、当連結会計年度は「売上高営業利益率7.8%」、「EBITDA29億5千万円」、「ROE12%以上の確保」を目標値として設定しておりました。当連結会計年度における売上高営業利益率は7.9%、EBITDAは42億8千万円、ROEは17.9%となりました。引き続き企業価値を高め、持続的な成長を図ります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社グループでは、資金の流動性確保の目的から貸出コミットメントライン契約を締結しております。当連結会計年度末における貸出コミットメントラインの総額は2,800百万円、その内1,900百万円は借入未実行残高であります。これを含め資金の流動性として、現金及び現金同等物の残高2,930百万円と合わせて4,830百万円を確保しております。

 当社グループは、経常的にレンタル資産の調達や売上原価、販売費及び一般管理費等の営業費用に係る資金需要があり、引き続き効率的な資金運用と、安定的な資金調達手段の確保に努めてまいります。

 

⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。また、今後の経営成績に影響を与える課題につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社は常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制の強化や、人材の確保と育成等に力を入れ、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切な対応に努めてまいります。

 

⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について

 当社が今後の事業を拡大し、継続的な成長を実現するため、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております課題について適切に対処していく必要があると認識しております。それらの課題に対応するための経営者の方針として、外部企業とのアライアンスを積極的に推進し、スピーディーなリソース確保及び事業補完を目指して取り組んでまいります。また必要な人材を安定的に確保するため企業のブランド力の強化を図ると共に、管理職への女性登用や海外人材の受け入れなどのダイバーシティ経営の促進等、次世代を担う経営幹部の育成のために人材基盤の強化を推進してまいります。

 一方、レンタル業の事業特性として、購入した商品は原価費用が一定期間発生するために購入資金を回収するまでに一定期間を要します。安定的な企業活動を行うため、適切な運転資金の確保と過度に有利子負債に依存しない健全な財務体質にすべくバランスシートをマネジメントしてまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。