第一部【企業情報】

第1【企業の概況】

1【主要な経営指標等の推移】

(1)連結経営指標等

回次

第4期

第5期

第6期

第7期

第8期

決算年月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

売上高

(百万円)

21,548

23,045

24,749

26,258

28,893

経常利益

(百万円)

1,360

1,569

1,611

1,357

1,301

親会社株主に帰属する当期純利益

(百万円)

900

1,051

966

824

677

包括利益

(百万円)

900

1,051

966

824

677

純資産額

(百万円)

1,941

6,758

7,386

7,823

8,116

総資産額

(百万円)

10,092

14,532

13,133

12,549

14,622

1株当たり純資産額

(円)

236.80

696.97

761.68

806.72

834.66

1株当たり当期純利益

(円)

110.32

127.54

99.70

85.05

69.85

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

123.65

97.18

83.15

68.59

自己資本比率

(%)

19.2

46.5

56.2

62.3

55.5

自己資本利益率

(%)

56.6

24.2

13.7

10.8

8.5

株価収益率

(倍)

19.2

29.5

18.0

16.7

営業活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

1,295

1,082

1,276

304

771

投資活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

716

274

690

1,208

827

財務活動によるキャッシュ・フロー

(百万円)

68

3,256

2,358

1,204

815

現金及び現金同等物の期末残高

(百万円)

4,058

8,123

6,350

4,240

5,000

従業員数

(人)

2,543

2,826

2,923

3,021

3,217

(外、平均臨時雇用者数)

(2,427)

(2,581)

(2,524)

(2,467)

(2,483)

 (注)1.第4期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であったため、期中平均株価が把握できませんので、記載しておりません。

2.第4期の株価収益率については、当社株式は非上場であったため、記載しておりません。

3.2019年12月3日付で普通株式1株につき40,000株の割合で株式分割を行っております。第4期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

4.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

5.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第7期の期首から適用しており、第7期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

(2)提出会社の経営指標等

回次

第4期

第5期

第6期

第7期

第8期

決算年月

2019年12月

2020年12月

2021年12月

2022年12月

2023年12月

営業収益

(百万円)

1,454

1,715

2,015

2,086

2,109

経常利益

(百万円)

440

469

669

728

594

当期純利益

(百万円)

300

361

548

627

555

資本金

(百万円)

90

2,095

2,095

2,095

2,095

発行済株式総数

(株)

8,680,000

10,177,300

10,177,300

10,177,300

10,177,300

純資産額

(百万円)

1,414

5,540

5,749

5,989

6,160

総資産額

(百万円)

6,284

10,149

8,179

7,604

8,977

1株当たり純資産額

(円)

172.48

571.37

592.91

617.66

633.51

1株当たり配当額

(円)

30

35

40

40

40

(うち1株当たり中間配当額)

(-)

(-)

(-)

(-)

(-)

1株当たり当期純利益

(円)

36.81

43.79

56.54

64.75

57.23

潜在株式調整後1株当たり当期純利益

(円)

42.45

55.11

63.31

56.20

自己資本比率

(%)

22.5

54.6

70.3

78.8

68.6

自己資本利益率

(%)

22.0

10.4

9.7

10.7

9.1

株価収益率

(倍)

56.0

52.1

23.7

20.4

配当性向

(%)

81.5

79.9

70.7

61.8

69.9

従業員数

(人)

36

40

45

44

48

(外、平均臨時雇用者数)

(14)

(11)

(10)

(15)

(16)

株主総利回り

(%)

121.7

65.8

52.4

(比較指標:配当込みTOPIX)

(%)

(-)

(-)

(112.7)

(97.5)

(128.3)

最高株価

(円)

2,773

4,960

2,948

2,150

最低株価

(円)

2,401

2,750

1,482

1,032

 (注)1.第4期の潜在株式調整後1株当たり当期純利益については、潜在株式は存在するものの、当社株式は非上場であったため、期中平均株価が把握できませんので、記載しておりません。

2.第4期の株価収益率については、当社株式は非上場であったため、記載しておりません。

3.2019年12月3日付で普通株式1株につき40,000株の割合で株式分割を行っております。第4期の期首に当該株式分割が行われたと仮定して1株当たり純資産額及び1株当たり当期純利益を算定しております。

4.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

5.第4期から第5期までの株主総利回り及び比較指標については、2020年12月21日付をもって東京証券取引所に上場したため、記載しておりません。第6期から第8期までの株主総利回り及び比較指標は、第5期末を基準として算定しております。

6.最高株価及び最低株価は、2020年12月21日より2022年4月3日までは東京証券取引所(市場第一部)、2022年4月4日より2023年10月19日までは東京証券取引所(プライム市場)、2023年10月20日以降は東京証券取引所(スタンダード市場)におけるものであります。

なお、2020年12月21日付をもって同取引所に株式を上場いたしましたので、それ以前の株価については記載しておりません。

 

7.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を第7期の期首から適用しており、第7期以降に係る主要な経営指標等については、当該会計基準等を適用した後の指標等となっております。

 

2【沿革】

年 月

1987年3月

概 要

 ジャフィサービス株式会社設立

10月

 ポピンズ初の事業所内保育所「セコムセンター内託児サービス」開設

1990年4月

 

1993年4月

 EXPO’90「国際花と緑の博覧会」会場にて国際博初のイベント託児ルームを企画、運営

 芦屋支社 開設

「法人向け在宅保育サービス」を開始し、警視庁、郵政省(現日本郵政株式会社)、大蔵省(現財務省)と法人契約締結

1994年2月

 ポピンズ初の病院内保育所「聖路加国際病院 院内保育所」開設

3月

 ポピンズ初の病棟内保育所「慶應義塾大学病院 小児科病棟」開設

4月

 英国・ノーランドカレッジ・インターナショナル・ディプロマ開始

9月

 ポピンズ初の公共施設内託児所「関西国際空港内ポピンズキッズルーム」開設

1996年9月

 「株式会社ポピンズコーポレーション」に商号変更

 

 高齢者在宅ケア事業に参入し、「VIPケアサービス」を開始

1998年4月

 ポピンズ初の横浜保育室事業「ポピンズナーサリー横浜」開設

1999年1月

 厚生省(現厚生労働省)より「ホームヘルパー2級養成研修指定機関」として認定

5月

 ISO9001認証取得(育児・介護サービス)

11月

 厚生省(現厚生労働省)の駅型保育試行助成事業として「ポピンズナーサリー甲東園」開設

2000年4月

 東京都より「訪問介護事業者」として認定

2001年11月

 ポピンズ初の東京都認証保育所「ポピンズナーサリー一之江」開設

2002年4月

 名古屋支社 開設

6月

 「ポピンズナーサリー小机」がポピンズ初の認可保育所に移行

2003年9月

 資生堂による複数社連携(コンソーシアム型)事業所内託児施設「カンガルーム汐留」開設

2004年5月

 恵比寿ガーデンプレイス内「ポピンズインターナショナルプリスクール」開設

2005年7月

 ポピンズ初の大学内保育所「ナーサリー早稲田」運営受託

2006年4月

 全国初のPFI事業による認可保育所「ポピンズナーサリー新浦安」開設

11月

 米国・スタンフォード大学への海外乳幼児教育研修開始

2007年4月

 ポピンズ国際乳幼児教育研究所(PIICS)開設

6月

 米国・ハーバード大学への海外乳幼児教育研修開始

2008年10月

 米国ハワイ州公認キッズルーム「ハワイ・ポピンズ・キッズルーム」開設

2010年4月

 ポピンズ初の児童館「富士見わんぱくひろば」、初の学童保育「富士見わんぱくひろば学童クラブ」他、あわせて12ヶ所の保育・教育施設を開設

7月

 東京ミッドタウン内に子どもたちの主体的な学び(Active Learning)を支援するスクール「ポピンズアクティブラーニングスクール」開設

2011年4月

 阪神間でポピンズ初の認可保育所「ポピンズナーサリースクール伊丹」開設

9月

 本社を広尾プラザ(渋谷区・広尾)に移転し、「株式会社ポピンズ」に商号変更

2012年4月

 長野県・蓼科に「ポピンズ蓼科研修センター」開設

2013年3月

 保育スタッフの教科書として『ポピンズアプローチ』出版

2014年4月

 恵比寿ガーデンプレイス内に「ポピンズ アクティブラーニング インターナショナルスクール(PALIS)」開設

10月

 邸宅型デイサービス施設「ポピンズ芦屋サロン」を開設

2015年3月

 ポピンズアプローチ第2版『0歳からのエデュケア:どの子も伸びる保育への誘い』出版

4月

 北海道でポピンズ初の認可保育所「ポピンズナーサリースクール札幌白石」開設

12月

 大阪支社 開設

2016年4月

 大阪市でポピンズ初の認可保育所「ポピンズナーサリースクール天王寺」開設

6月

 ポピンズナニーサービスが第1回日本サービス大賞 厚生労働大臣賞を受賞

10月

 「株式会社ポピンズホールディングス」設立

2017年2月

 ベビーシッターマッチングサイトを運営する「スマートシッター株式会社」を子会社化

4月

 名古屋市でポピンズ初の認可保育所「ポピンズナーサリースクール名東」開設

2018年10月

 保育士の人材紹介会社「株式会社保育士GO」設立

2019年3月

 保育所や学童施設運営を行う「株式会社ウィッシュ」を子会社化

2020年10月

 「スマートシッター株式会社」を「株式会社ポピンズシッター」に商号変更

12月

 東京証券取引所市場第一部に株式を上場

 

 

2021年6月

 不妊予防事業を開始、不妊予防ポータルサイト「Poppins i-ce(ポピンズアイス)」を開設

7月

 「株式会社ポピンズファミリーケア」、「株式会社ポピンズプロフェッショナル」設立

2022年1月

 株式会社ウィッシュが株式会社保育士GOを吸収合併

4月

 「株式会社ポピンズホールディングス」を「株式会社ポピンズ」に商号変更するとともに、子会社の「株式会社ポピンズ」を「株式会社ポピンズエデュケア」に商号変更

 株式会社ポピンズエデュケアが、株式会社ウィッシュからの吸収分割により、保育・学童施設運営事業を承継

 東京証券取引所の市場区分の見直しにより、東京証券取引所市場第一部からプライム市場に移行

9月

 「ペットケアサービス」を開始

2023年10月

 東京証券取引所プライム市場からスタンダード市場に移行

 

3【事業の内容】

 当社グループ(当社及び当社の関係会社、以下同じ)は、当社、連結子会社(株式会社ポピンズエデュケア、株式会社ポピンズファミリーケア、株式会社ポピンズプロフェッショナル、株式会社ポピンズシッター、株式会社ウィッシュ)、非連結子会社Poppins U.S.A., Incorporatedの計7社(2023年12月31日現在)により構成されており、「ファミリーケア事業(ナニー及びベビーシッター、介護、家事支援)」、「エデュケア事業(保育・学童施設の運営)」、「プロフェッショナル事業(教育研修・調査研究)」、「その他サービス事業(人材派遣・紹介、高齢者向けデイサービス施設等の運営、不妊予防、ペットケア等)」を行っております。

 ウォルト・ディズニー社のミュージカル映画「メリー・ポピンズ」の主役のように、楽しく不思議な体験に巻き込みながら、本当に大切なものは何かを教えられたらという思いを込めて、当社グループの社名をポピンズとしております。

 当社グループは、『働く女性の支援』という創業時の強い想いを全役員・従業員で共有しており、「働く女性を 最高水準(注1)のエデュケア(注2)と介護サービスで支援します。」というミッションの下、祖業であるナニーサービスを起点に、認可・認証・事業所内保育所や学童保育、インターナショナルスクール等の運営や、高齢者在宅ケアを行うシルバーケアサービス、共働きや高齢者、単身世帯など様々なライフスタイルを支える家事支援サービス、そして保育士や介護士等の研修サービス等を展開し、フルラインでの働く女性を支援するサービス(注3)を提供しております。

 なお、当社グループの各セグメントの事業内容は以下のとおりであり、以下に示す事業区分は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に掲げるセグメントの区分と同一であります。

 

(注)1 “最高水準”とは、当社グループでは、常識を超えたサービスによって相手を感動させられる水準のことをいいます。

   2 “エデュケア”とは、当社グループが創出した“エデュケーション”(教育)と“ケア”(保育)を組み合わせた教育理念であります。当社グループは、乳幼児教育において0歳児の脳の目覚ましい発達の研究も踏まえ、教育と保育の両方が必要という考えから創業時からポピンズの基本方針の核となっております。

   3 “フルラインでの働く女性を支援するサービス”とは、祖業であるナニーサービスから始まり、ベビーシッターサービス、介護、家事支援、保育・学童施設運営、教育研修へと切れ目なく働く女性のライフステージをサポートする当社サービス群の特長であります。

 

1.ファミリーケア事業

 ファミリーケア事業では、ナニー(教育ベビーシッター)及びベビーシッターを中心とした在宅保育サービスの提供、高齢者向け在宅ケアサービス、および家事支援サービスを提供しております。

 政府は、2020年12月21日に待機児童の解消を目指し、女性の就業率の上昇を踏まえた保育の受け皿整備、幼稚園やベビーシッターを含めた地域の子育て資源の活用を進めるため、「新子育て安心プラン」を取りまとめて公表し、その中でベビーシッターの活用が、あらためて国の最重要政策のひとつとして位置づけられました。

 また、2021年4月より、公益社団法人全国保育サービス協会が発行する内閣府ベビーシッター割引券(現在のこども家庭庁ベビーシッター割引券)(注1)の利用限度額が、1日当たり2,200円から4,400円に増加したこともあり、当社グループにおける2023年12月期の年間利用枚数が前期比1.3倍に増加しており、ナニーサービス及びベビーシッターサービスともに利用拡大の後押しとなっております。

 その結果、チャイルドケアサービスを年間1回以上利用した家庭数は、2023年12月期には2万1千世帯以上となりました。

 

0101010_001.png

※ナニーサービス、ベビーシッターサービスを年間1回以上利用した家庭数の総計(サービス間の重複あり)

 

 内閣府ベビーシッター割引券(現在のこども家庭庁ベビーシッター割引券)などの国の助成に対応するナニーやベビーシッターは、保育士または看護師の資格保有、または厚生労働省による指定研修の修了が必須ですが、2021年8月には、当社グループの自社研修制度の充実が認められ、民間事業者として初めて自社のベビーシッター育成研修が当該指定研修と認定されました。さらに、2022年9月には、東京都ベビーシッター利用支援事業の指定研修としても追加認定されたことにより、当社グループの自社研修がナニー・ベビーシッター関連の二大助成金事業の指定研修として国及び東京都に認められることとなりました。

 これにより、当社グループのナニーやベビーシッターは、自社研修を受講することで、認定ナニー/ベビーシッターとして働くことができ、より需要が拡大すると見込まれる認定ベビーシッターの安定的な供給が可能となっております。

 

(1)チャイルドケアサービス(ナニーサービス) (株式会社ポピンズファミリーケア)

 「ポピンズ ナニーサービス」は、ナニーを派遣する事業であり、『働く女性の支援』という想いを掲げて立ち上げた当社グループの創業以来の事業であります。ナニーとは、英国では国家資格となっており、おむつ交換や授乳などの基本的な身の回りのお世話はもちろん、送迎や教育、しつけなどを親に代わって行う子育てのプロフェッショナルです。中でも1892年に創立された乳幼児ケア(保育)と教育の専門職養成のための高等職業教育機関である世界的な名門校ノーランドカレッジ(英国サマーセット州のバース)出身のナニーはノーランダーと呼ばれ、その一部は、英国王室のロイヤルファミリーへのサービス提供にも選ばれております。当社グループでは、ノーランドカレッジと提携して、毎年海外研修を実施しております(新型コロナウイルス感染症の影響で実施できなかった2020年度から2022年度を除く)。また、ノーランドの講師を招いて、その専門性を高めており、知識・教養・技能・人格など、すべてにおいて最高水準のナニーを育成することを目指しております。ポピンズナニーサービスはお客様のニーズに応える24時間365日、当日オーダーに100%対応できるよう取り組んでおります。また、企業の福利厚生サービスとして契約企業が認める範囲でその従業員にご利用いただけるナニーサービス法人契約も500社以上と締結しております。

 

 具体的なサービス内容としては、個人会員及び法人契約を締結している顧客企業の役職員に対し、ナニーサービスを時間単位で提供しております。また、オプションサービスとして、お子様の食事作りや家庭教師、アスリートレッスン、受験指導、カウンセリング等お客様のニーズに合わせたサービスも提供しております。さらに、ホテル・デパート・コンサート・パーティなどのイベント向けにもスポットでナニーサービスを提供しております。

 また、2023年12月現在、東京都23区のうち、8区において居宅訪問型保育事業(ナニー・ベビーシッター人材を活用した認可事業)を導入、東京都も保育所に入所できない待機児童の保護者向けに、利用料の一部を助成するベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型)を2018年より開始し、その後、日常生活上の突発的な事情や社会参加などにより、一時的に保育を必要とする方向け(保育認定の有無は問わない)に支援範囲を拡大しました。当社グループのナニーサービスはこれらサービスの認定事業者となっており、自治体とも連携してサービスを提供しております。

 

(2)チャイルドケアサービス(ベビーシッターサービス)(株式会社ポピンズシッター)

 ポピンズシッターは、スマートフォンやPCからベビーシッターを検索、プロフィールや写真・動画、評価・口コミなどを参考に、利用者に合ったベビーシッターを選んで必要な時間単位での予約が可能となっております。登録ベビーシッターは、保育士・幼稚園教諭・助産師・看護師などの有資格者と保育・子育て経験者等から構成されており、厳しい選考を経て研修を受講しております。

 ポピンズシッターは、公益社団法人全国保育サービス協会に加盟する唯一のオンライン型ベビーシッターサービス(注2)であり、ナニーサービスと並び、こども家庭庁ベビーシッター割引券の利用が認められているほか、東京都ベビーシッター利用支援事業(ベビーシッター事業者連携型、一時預かり利用支援)の助成の対象としても認定事業者となっております。また、企業の福利厚生サービスとして契約企業が認める範囲でその従業員にご利用いただけるベビーシッターサービス法人契約も100社以上と締結しております。

 その結果、2023年12月期の年間売上高が、前期比1.7倍に増加しており、利用拡大が急速に進んでおります。

 

(注)1 “こども家庭庁ベビーシッター割引券”とは、内閣府が育児と仕事の両立支援のために2016年から導入した「企業主導型ベビーシッター利用者支援事業」に基づく、割引券(正式名称:ベビーシッター派遣事業割引券)です。なお同事業の運営は、現在は、全国保育サービス協会が、こども家庭庁より受託しております。

   2 “オンライン型ベビーシッターサービス”とは、お客様がオンライン上で自らベビーシッターを選ぶことができるサービスです。なお、ポピンズシッターは、2018年5月から、事業者がお客様とベビーシッターの双方と直接契約する形態に切り替えており、厚生労働省が作成した「子どもの預かりサービスのマッチングサイトに係るガイドライン」の対象となるマッチングサイトではありません。マッチングサイトでは、ベビーシッターが個々に自治体に認可外保育施設設置届を届出しますが、ポピンズシッターではベビーシッターと事業者が契約、事業者が認可外保育施設として東京都に届出をし、定期的に運営状況を東京都に報告しております。また、全国保育サービス協会が求める安全基準、事件・事故対応への体制整備の要件を満たし、加盟を認めている企業・団体の中で、ポピンズシッターが唯一のオンライン型ベビーシッターサービス事業者です。

 

(3)シルバーケアサービス (株式会社ポピンズファミリーケア)

 1996年にスタートした高齢者在宅ケア事業(シルバーケアサービス)は、介護保険サービス及び介護保険適用外のVIPケアサービスを提供しております。主に会員制のVIPケアサービスに力を入れており、介護保険適用外の在宅ケアサービスを希望される顧客に、介護や看護の有資格者のみでなく、高齢者心理、ホスピタリティ、料理、秘書サポートなど様々なスキルセットを持つ人材を、当社にて登録・研修し、お客様のニーズに応えるサービスを提供しております。また、法人向けの介護コンサルティングサービスも行っております。

 当社グループの高齢者在宅ケア事業は、当社の長年にわたるナニーサービスでの在宅ケアのノウハウを活用して、ケアスタッフ(当社のVIPケアサービスを直接提供するスタッフのこと)の募集・採用段階から独自の判断基準を持ち、徹底した教育研修の実施、さらにお客様との相性や各ご家庭の事情にあった人物を選ぶコーディネート力の向上、万一のクレームの是正・予防措置の徹底など、ISO9001の取り組みに基づくサービス品質の向上に取り組んでおります。また、事業スタート以来、積極的な広告宣伝活動はしておりませんが、ナニーサービスをきっかけに利用を検討されるご利用者やそのご紹介者の利用が増えております。

 

①VIPケアサービス(生活支援/身体介護)

 VIPケアサービスは、高齢者が日常生活を、楽しく、快適に過ごす事ができるように、ご本人とご家族のご要望を最大限尊重した高齢者向け在宅ケアサービスとして、生活支援サービス及び身体介護サービスを提供しております。

 具体的には介護保険適用外である家事サービス、外出同行サービス、身体介護サービス、ご相談サービス、エマージェンシーサービス等様々なサービスを取り揃えており、ナニーサービスやベビーシッターサービスと同様、時間単位の利用料金で運営しております。当社グループではこれらのサービスを、大切な方を大切にお世話をするという意味で「VIPケア」と呼び、サポートの対象を高齢者ご本人様に限定せず、支えるご家族の幅広い困りごとまで対応が可能な完全オーダーメイドのサービスを提供しており、介護保険では対応できないご要望まで、自由に組み合わせてご利用になれます。

 

 

②介護コンサルティング

 当社グループが35年以上に渡り、育児・介護の分野で働く女性を支援し、2023年12月現在、法人向け在宅保育サービスなどで700社以上の企業と法人契約を結んでいる経験・ノウハウを活かし、法人向けに介護コンサルティングサービスを提供しております。特徴は以下のとおりであります。

ⅰ) 介護全般の相談に対応

ⅱ) 国家資格を持った相談員が対応

ⅲ) 豊富な相談経験に基づくアドバイス

 

③ナースケア

 主治医の指示による経管栄養、点滴交換、痰の吸引等の医療上のお世話、病状の観察、医療機器の管理、外出サポート、ターミナルケアまで医療ケアを必要とするお客様が医療保険・介護保険のルールから制限を受けることなく、住み慣れたご自宅でご自身らしく生活していただけるよう、看護師資格を有するポピンズナースが主治医やホームドクターと連携しながら、お客様にオーダーメイドの看護サービスを提供しております。

 

(4)家事支援サービス (株式会社ポピンズファミリーケア)

 女性活躍推進には、子育て支援や介護支援だけでは充分ではないとの考えから、当社グループでは、家事支援サービスも提供し、働く女性の充実した支援のラインナップに加えております。

 具体的には、ご家庭の様々な家事のご要望に対して、徹底した教育研修を経た経験・スキル豊富な人材が、家事支援サービスをお届けしております。

 

2.エデュケア事業(保育・学童施設の運営)

 当社グループのエデュケア事業は、「認可保育事業」と「認可外保育事業」の2つに分かれており、様々なニーズに応えた施設サービスを展開しております。

 当社のエデュケア事業の特徴は、三大都市圏(東京・大阪・名古屋)以外の地方主要都市(札幌、仙台、福岡等)も含め、以下のように、保育施設から学童施設まであらゆる形態の施設をフルラインで運営しており、保護者の多様なニーズに応えられる点にあります。

 

 0101010_002.jpg

 

(1)認可保育事業 (株式会社ポピンズエデュケア)

認可保育所

 児童福祉法に基づく児童福祉施設で、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)を満たして都道府県知事に認可された施設であります。保育料は利用者から区市町村が徴収し、当社グループは国・自治体から施設型給付を補助金として受領し運営します。

 

 0101010_003.png

(2)認可外保育事業

①認証保育所 (株式会社ポピンズエデュケア)

 認可保育所だけでは応えきれない大都市のニーズに対応するため、東京都独自の基準(認証基準)に基づいて設置された保育所で、企業の経営感覚の発揮による多様化したサービス提供が特徴であります。保育料は利用者から認証保育所(当社グループ)が徴収し、当社グループは自治体からも運営に要する経費の一部を補助金として受領し運営します。なお、料金は認証保育所で自由に設定が可能となっております。(ただし上限があります。)

 

 0101010_004.png

 

②認定こども園 (株式会社ポピンズエデュケア)

 教育・保育を一体的に行う施設で、以下の機能を備え、認定基準を満たす施設は、都道府県等から認定を受けることが出来ます。

ⅰ) 就学前の子どもに幼児教育・保育を提供する機能

ⅱ) 地域における子育て支援を行う機能

 当社グループは、東京都において保育所型認定こども園を運営しております。

 

③事業所内保育所(企業・大学内・病院内保育所) (株式会社ポピンズエデュケア)

 企業や大学、病院等の各機関が運営する事業所内に各機関の従業員向けの保育所を設置し、運営しております。認可外保育所であり、児童福祉施設には該当しませんが、都道府県知事に対して設置届を提出する義務があり、認可外保育施設指導監督基準に則った運営を行っております。

 企業、大学、病院等の各機関が人材確保のための経営戦略として施設内に保育所を設置する役割が大きくなっております。複数企業によるコンソーシアム型の保育所設置の提案や、自治体との連携など新たなビジネスモデルを作り、費用対効果を意識した子育て支援策の提案を行っております。保育料は各機関が給与天引き等で徴収し、当社グループは各機関との契約に基づいて業務委託を受け運営しております。

 

 0101010_005.png

 

④企業主導型保育所 (株式会社ポピンズエデュケア)

 内閣府が2016年に開始した、主に企業向けの助成制度に基づき設置された事業所内保育所の一形態であります。企業や大学、病院等の各機関の従業員の子どもを対象とした従業員枠と地域住民向けの地域枠があり、地域枠を弾力的に設定できるなど柔軟な運営が可能となっております。

 事業所内保育所と同様、当社グループは各機関との契約に基づいて委託料を受領し運営しますが、各機関は利用者からの保育料に加えて、国から整備費・運営費について、認可保育所並みの助成金を受けることができます。

 

 0101010_006.png

 

⑤学童保育 (株式会社ポピンズエデュケア)

 主に日中保護者が家庭にいない小学生児童(=学童)に対して、授業の終了後に適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る保育事業をいいます。

 小学校入学後、子どもを夜間まで預けることが困難になり、保護者が働き方の変更を強いられる問題を指す『小1の壁』打破のため、「新・放課後子ども総合プラン」(2018年9月14日策定)に基づき、放課後児童クラブについて、2021年度末までに約25万人分を整備し、待機児童の解消を目指し、その後、女性就業率のさらなる上昇に対応できるよう整備を行い、2019年度から2023年度までの5年間で約30万人分の整備を図ることとされました。厚生労働省が2023年12月25日に公表した、2023年度の放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)実施状況によれば、登録児童数は前年比6万5,226人増の145万7,384人、放課後児童クラブの支援の単位数(※)は前年比825支援の単位増の3万7,034支援の単位、待機児童数は前年比1,096人増の1万6,276人と前年に引き続き増加となりました。学年別で見ると、小学校低学年(小学1年生から小学3年生)では491人増加、小学校高学年(小学4年生から小学6年生)でも605人増加となっており、学童保育の不足が社会課題として引き続き重要性を増しております。

 

 当社グループの特徴的な取組みとして、名古屋大学内学童保育所「ポピンズアフタースクール」があり、名古屋大学で教鞭をとる第一線の教授の授業を提供するなど、学習要素を兼ね備えたサービスを実施しております。また、名古屋大学で学ぶ留学生が主体となり、その国の遊び・文化・食事を教えるプログラムもあり、子ども達は多国籍文化に触れることができます。これはポピンズの「エデュケア」にも合致する手法であり、今後このようなサービスを拡大していく予定であります。

 当社グループは自治体など契約先からの委託料により運営しております。

 

※ 「放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準」により、児童の集団の規模を示す基準として平成27年度(2015年度)から導入されたものであり、児童の放課後児童クラブで行われる活動の基本単位

 

 0101010_007.png

 

⑥児童館 (株式会社ポピンズエデュケア)

 子どもに健全な遊びを提供して、その心身の健康を増進し情操を豊かにすることを目的とする屋内型の児童厚生施設であります。学童保育と違い、児童館は事前登録なく自由に来館することができ、学童保育の子どもだけでなく、たくさんの子どもたちが、放課後いったん帰宅してから遊び場として利用します。学童と同じ施設内に設置されているところもありますが、施設内での運営場所や内容は学童とは分けられております。当社グループは自治体からの委託料により運営しております。

 

⑦商業施設内・ホテル内保育所 (株式会社ポピンズエデュケア)

 施設の付加価値を高める目的で、大型商業施設や有名ホテル内で認可外保育所を運営しております。

 

⑧アクティブラーニングスクール(ALS) (株式会社ポピンズエデュケア)

 六本木・東京ミッドタウン及び広尾・広尾プラザに設置する「ポピンズ アクティブラーニングスクール」は、生後10か月から未就学児向けに展開している先端的な教育プログラムで子どもの主体性を支援する教育施設であります。レッジョ・エミリア・アプローチ(※)によるサイエンス・音楽・芸術や語学などを各分野の専門講師が教育するのが特徴となっております。ハーバード大学教育学大学院の研究機関であるプロジェクト・ゼロとの共同研究により、株式会社ポピンズが社内で立ち上げた乳幼児教育専門の研究所であるポピンズ国際乳幼児教育研究所(PIICS)で開発した保育メソッドを採用しております。

 

※ 「レッジョ・エミリア・アプローチ」とは、イタリアのレッジョ・エミリア市発祥の『世界で最も革新的な幼児教育施設』とニューズウィーク誌でも紹介された幼児教育法の一つであります。当社グループでは、創造性を育む環境作りのために保育施設内にアトリエや広場を設けたり、子どもたち同士や保育士との会話、活動の様子をドキュメンテーションとして記録し、活動やコミュニケーションに活かすなどその手法を取り入れております。

 

⑨ポピンズ エデュスクール (株式会社ポピンズエデュケア)

 幼稚園受験・小学校受験の指導を行うスクールで、前述のALS六本木に併設されております。保育サービス事業者ならではのサービスとして、送迎ができず受験をあきらめていた共働き家庭でも利用しやすいよう、ナニー及びベビーシッターによる送迎も可能としております。

 

⑩ポピンズ アクティブラーニング インターナショナルスクール(PALIS) (株式会社ポピンズエデュケア)

 東京・恵比寿で展開している英語での教育を行う、対象年齢0~5歳のインターナショナルスクールであります。乳幼児教育の専門職養成機関として知られる英国ノーランドカレッジと提携していることから、イギリスの5歳就学前の子供たちのための教育指針であるEarly Years Foundation Stage(EYFS)に基づいた教育を採用し、英語によるアクティブラーニング(主体的な学び)を実践しており、グローバル教育の拠点となるプログラムを提供しております。Early Years Foundation Stageの意味は(乳幼児)早期基礎段階であり、就学前の学習・発達・ケアの質の基準が定められております。イギリスでは5歳から義務教育がはじまり、生まれてから5歳就学前までの幼児期の子どもたちが対象です。本場アメリカのディズニーランドの勤務経験がある先生や、レッスンに使う道具や教室に備え付けられた衣装もアメリカで購入するなど幼児期からの本物体験を重視しており、サイエンス・アート・バレエ・ダンス・空手などの専門講師による英語での授業を行なっております。大使館関係者、外資系企業日本駐在員関係者など、外国人のご利用もいただいております。

 

⑪地域交流館・ふれあい館 (株式会社ポピンズエデュケア)

 自治体から高齢者向けの地域交流館4施設、ふれあい館1施設の指定管理を受託しております。

 

⑫海外施設 (Poppins U.S.A., Incorporated)

 日本企業として、ハワイ州公認の託児施設を運営しております。2008年に日本の保育事業者として初めてハワイ州の託児施設ライセンスを取得以来、子供連れでハワイを旅行する保護者のために安全で高品質なサービスを提供してきた功績が認められ、2014年には、ハワイ州知事より10月1日が「ポピンズ・ケイキ・ハワイの日」に認定されました。シェラトン・ワイキキ・ホテル内で、ボディボード、アート、イングリッシュレッスンなどハワイならではの様々なキッズプログラムをご用意し、ご家族でのハワイ旅行をサポートしております。

 

 当社グループが運営するエデュケア事業施設数推移は以下のとおりであります。

 

2019年12月末

2020年12月末

2021年12月末

2022年12月末

2023年12月末

認可保育所

62

67

69

74

78

認証保育所

36

36

36

35

34

認定こども園

1

1

1

1

2

事業所内保育所

86

87

86

84

79

(うち企業主導型)

(46)

(47)

(46)

(43)

(40)

学童・児童館

87

89

91

95

100

その他

44

46

47

45

46

合計

316

326

330

334

339

※施設数には、同一施設内において一時保育や病児・病後児保育など複数の事業を運営している場合、それぞれを1施設数として表示しております。

※従来、その他事業に含めていた交流館を2023年12月期よりエデュケア事業に移管しております。これに伴い、2022年12月期以前の施設数についても、交流館を上記「その他」に含めてカウントしております。

 

3.プロフェッショナル事業

 当社グループがこれまで培ってきた乳幼児教育ノウハウや海外の最先端の教育施設等との親密なネットワークを活かした国内研修、海外研修、および調査・研究事業のサービスを提供しております。

(1)教育研修事業 (株式会社ポピンズプロフェッショナル)

①国内研修

 保育環境の向上を目指して、当社グループが長年培ってきたナニーサービスや乳幼児教育のノウハウを体系化し、厚生労働省・各自治体から企業・団体、個人まで、さまざまな目的や職種に応じた人材育成を行っており、教育研修・セミナー・eラーニングを提供しております。特に、当社が先行して実施を進めたハイブリッド型研修(集合研修とeラーニングの組み合わせ)を厚生労働省・各自治体へ提供しており、オンライン研修が自治体・受講者に浸透し、受講者数も増加しております。具体的な研修サービスとしては、保育士キャリアアップ研修、子育て支援員研修、潜在保育士の復職支援研修、家庭的保育者研修、区民・市民向け講座、両親学級等のプログラムを提供しております。

 また、2022年11月からは、認定ベビーシッター研修等のeラーニングサービスの外販を開始しております。

 

②海外研修

 乳幼児教育に携わる方、指導者を目指す方に向けた海外研修サービスを提供しております。米ハーバード大学や米スタンフォード大学や英ノーランドカレッジなど、当社グループ独自のグローバルネットワークによる乳幼児教育を学ぶことを可能にしております。

 

ⅰ)スタンフォード大学乳幼児教育研修:2006年より実施しているスタンフォード大学での乳幼児教育研修では、大学内で教育学部長による講義が行われるほか、心理学部の教育研究機関として40年の歴史を持つ大学付属保育施設である「Bing Nursery School」の視察及び現地保育者とのワークショップ、さらにサンフランシスコ(シリコンバレー)周辺企業の事業所内保育施設の視察などを実施しております。

ⅱ)ハーバード大学乳幼児教育研修:2007年より実施しているハーバード大学での乳幼児教育研修では、同校における脳科学や乳幼児の発達心理からレッジョ・エミリアに関する講義に加え、ハーバード大学が直接経営や運営に関与するハーバード7園のひとつへの解説付き訪問、近郊の脳発達及び乳幼児教育の最新事例に関する研究を基礎とするなど特徴ある教育方針を持つ保育施設や、先端技術(安心安全のための虹彩認証による入退館システムなど)を取り入れた保育施設などの視察を実施しております。最先端の乳幼児教育を体感でき、専門分野の質を高める研修ツアーとして、大学や専門学校の先生方、保育園、幼稚園の園長、主任の方々にもご参加いただいております。

ⅲ)ノーランドカレッジ留学:ノーランドカレッジは、ヨーロッパの王室や上流家庭の子どもたちのナニー(教育ベビーシッター)の養成校として、1892年に設立された乳幼児ケアと教育の専門職養成のための英国の大学であります。2週間の短期留学コースでは、創設者のエミリー・ワード女史が取り入れた、子どもの自主性や自尊心を発達させるなど、子供の立ち直る力やEQ(感情指数)を高めるとされる「感情コーチング」や、幼児期の脳の発達といった知識も身に付けるまったく新しい保育手法を学び、ナニー、保育士、幼稚園教諭など、乳幼児教育のプロとしてキャリアアップを目指します。

 

(2)調査研究事業 (株式会社ポピンズプロフェッショナル)

 当社グループ独自の保育理論をより深める「ポピンズ国際乳幼児教育研究所(PIICS:Poppins International Institute for Child Sciences)」を株式会社ポピンズプロフェッショナルの社内に設置し、世界的な視野でさらに深いエデュケアの研究も実施しております。

 保育所における実践内容に、ハーバード大学、スタンフォード大学、東京大学、お茶の水女子大学など国内外の教育機関・研究者との様々な共同研究内容を加え、「0歳からのエデュケア」として出版し保育者の指針とする他、「ポピンズアプローチ」(注1)や「知力8」(注2)を開発し、教育に主眼を置いた保育を実践しております。

 また、国や自治体からの委託を受け、保育士再就職支援事業(厚生労働省)や、サービス産業生産性向上調査事業(経済産業省)、子育て支援方策に関する調査研究(文部科学省)等の調査やコンサルティングも実施しております。

 加えて、2021年4月には、乳幼児教育のエキスパートを育成するとともに、保育士の社会的地位の向上を目的として、当社グループがお茶の水女子大学の大学院の中に「保育マネジメント講座」を開設し、現職保育士のキャリアアップ、リカレント教育を支援しております。

 なお、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、当社グループが長年にわたり実施を継続してきた海外研修の催行は一時的に困難となりましたが、2020年6月には、ハーバード大学教育大学院プロジェクト・ゼロとの共同研究成果を発表する場として「第12回ポピンズ国際乳幼児教育シンポジウム」を、ポピンズとして初の日米欧の4地点をリアルタイムで繋ぐウェビナー(ウェブとセミナーを合わせた造語で、インターネット回線を通じてオンラインで行うセミナー)形式で開催し、保育従事者及び乳幼児教育関係者5,000名超に、各界専門家の意見も含めた学びを広く共有いたしました。また、2020年11月には、米スタンフォード大学教育学部付属園である「Bing Nursery School」へのオンライン視察を含むウェビナー形式で「2020 ポピンズ海外乳幼児研修」を開催し、700名超が参加しました。

 これらウェビナーを活用した国際シンポジウムや海外研修は、2021年、2022年においても開催を継続しました。また、2023年7月には、ハーバード大学との共同研究に基づき、「子どものためのSDGs」をテーマとした国際シンポジウムを、2019年以来、ハーバード大学教育大学院プロジェクト・ゼロの主任研究員など海外ゲストを4年ぶりに日本に招き、日本を含む世界とオンラインで繋ぎハイブリッドで開催し、3,400人以上が参加登録、99%の満足度となりました。

 これらの大規模ウェビナーを高いクオリティで運営するためのノウハウは、国内研修を厚生労働省・各自治体などに提供する際にも活かされており、当社グループが提供する教育研修・調査事業の強みのひとつとなっていると考えております。

 

(注)1 ドキュメンテーション(お子様の様子を写真や動画で定期的に記録することによる、学びのプロセスを可視化)、発達のパスウェイ(胎児期から就学前までの発達の道筋を一覧表とし保育に活用)、マインドセット(失敗を恐れず、さらに成長を助け促す声掛けを取り入れた保育)の3つの手法を用いた当社独自の保育アプローチ

   2 子どもの知力を、言語・音楽・論理数学・空間構成・身体運動・自然科学・社会性・自己受容の8つの領域に整理し、「知力8(エイト)」と名付け、子どもの発達状況を勘案した保育の構成・実践

 

4.その他サービス事業

 当社グループのその他サービス事業は、主に以下のようなサービスで構成されます。

 

(1)人材派遣・紹介事業 (株式会社ウィッシュ)

 人材派遣事業においては、各自治体の公立保育園等に対して、保育士の有資格者を人材派遣しております。

 人材紹介事業においては、全国の保育事業者等の求人を紹介し、転職希望者のための転職サポート、保育事業者等への採用活動サポートを行っております。

 

(2)高齢者向けデイサービス施設等の運営事業

ポピンズ芦屋サロン(邸宅型デイサービス) (株式会社ポピンズファミリーケア)

 介護保険対象デイサービス施設を、兵庫県芦屋市で運営しております。

 

(3)不妊予防事業 (株式会社ポピンズファミリーケア)

 2021年6月に、不妊予防に関するポータルサイトと企業研修サービスを開始しております。

 これまで当社グループは、出産後の女性のライフステージに寄り添ってまいりました。しかし日本では、不妊治療とキャリアを両立できず悩んでいる女性が数多くいるという現実があります。この現実を踏まえ、出産前の女性が抱える「不妊」という問題に向き合い、働く女性が切れ目なく活躍できるように、支援の領域を広げ、当社グループ独自の不妊予防ポータルサイトの機能拡充や、企業研修の提供等を通じて、不妊予防におけるプラットフォームサービスを提供してまいります。また、実用化されると簡単な質問項目に答えるだけで、月経異常症や卵巣機能不全のリスクを知ることができる『不妊予防のための早期診断セルフチェックシート』の開発に向けて順天堂大学との間で臨床研究を推進中であり、福利厚生として導入していただけるよう、行政・企業への働きかけを進めてまいります。

 

(4)ペットケア事業 (株式会社ポピンズシッター)

 2022年9月に、新規事業としてペットケアサービスを開始しております。

 当社グループが展開するファミリーケア領域(ナニー及びベビーシッター、家事代行、介護)において、安心のポピンズブランドで「家族の一員」であるペットの健康と幸せをサポートするペットシッターを派遣し、ペットもご家族の一員としたワンストップのサービス提供を目指しております。ペットケアサービスの立ち上げにより、さらに切れ目のないサポートで働く女性やご家族を支援してまいります。

 

以上で述べた事項を事業系統図によって示すと次のとおりであります。

 

[事業系統図]

0101010_008.png

 なお、当社は特定上場会社等に該当し、インサイダー取引規制の重要事実の軽微基準及び重要基準のうち、上場会社の規模との対比で定められる数値基準については連結ベースの計数に基づいて判断することとなります。

4【関係会社の状況】

名称

住所

資本金

(百万円)

主要な事業の内容

議決権の所有割合又は被所有割合

(%)

関係内容

(連結子会社)

 

 

 

 

 

株式会社ポピンズファミリーケア

(注)3、4

東京都渋谷区

90

ファミリーケア事業

その他

100

経営指導

役員の兼任3名

設備の賃貸借

業務の委託

株式会社ポピンズシッター

東京都渋谷区

97

ファミリーケア事業

その他

100

経営指導

役員の兼任3名

資金の貸付

設備の賃貸借

業務の委託

株式会社ポピンズエデュケア

(注)3、4

東京都渋谷区

96

エデュケア事業

100

経営指導

役員の兼任3名

資金の貸付

設備の賃貸借

業務の委託

株式会社ポピンズプロフェッショナル

東京都渋谷区

90

プロフェッショナル事業

100

経営指導

役員の兼任3名

資金の貸付

設備の賃貸借

業務の委託

株式会社ウィッシュ

東京都渋谷区

45

その他

100

経営指導

役員の兼任3名

資金の貸付

業務の委託

 (注)1.「主要な事業の内容」欄には、セグメント情報の名称を記載しております。

2.有価証券届出書又は有価証券報告書を提出している会社はありません。

3.特定子会社に該当しております。

4.株式会社ポピンズファミリーケア及び株式会社ポピンズエデュケアについては、売上高(連結会社相互間の内部売上高を除く。)の連結売上高に占める割合が10%を超えております。

主要な損益情報等

 

株式会社ポピンズ

ファミリーケア

株式会社ポピンズ

エデュケア

(1)売上高

3,219百万円

22,333百万円

(2)経常利益

654

121

(3)当期純利益又は当期純損失(△)

425

△81

(4)純資産額

740

2,490

(5)総資産額

1,160

10,886

 

 

5【従業員の状況】

(1)連結会社の状況

 

2023年12月31日現在

セグメントの名称

従業員数(人)

ファミリーケア事業

91

(80)

エデュケア事業

3,035

(2,196)

プロフェッショナル事業

16

(18)

報告セグメント計

3,142

(2,294)

その他

16

(170)

全社(共通)

59

(19)

合計

3,217

(2,483)

 (注)1.従業員数は就業人員(当社グループからグループ外への出向者を除き、グループ外から当社グループへの出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.全社(共通)として記載されている従業員数は、特定のセグメントに区分できない管理部門所属のものであります。

 

(2)提出会社の状況

 

 

 

 

2023年12月31日現在

従業員数(人)

平均年齢(歳)

平均勤続年数(年)

平均年間給与(千円)

48

(16)

46.1

4.0

7,624

 (注)1.従業員数は就業人員(当社から社外への出向者を除き、社外から当社への出向者を含む。)であり、臨時雇用者数(パートタイマー、人材会社からの派遣社員を含む。)は、年間の平均人員を( )外数で記載しております。

2.平均年間給与は、賞与及び基準外賃金を含んでおります。

3.平均勤続年数は、2016年10月の当社設立以前における当社グループの勤続期間は含めておりません。

4.当社は持株会社であるため、セグメント別の記載を省略しております。

 

(3)労働組合の状況

当社グループにおいて労働組合は結成されておりませんが、労使関係は良好であり特記すべき事項はありません。

 

(4)管理職に占める女性労働者の割合、男性労働者の育児休業取得率及び労働者の男女の賃金の差異

① 提出会社

当事業年度

管理職に占める女性労働者の割合(%)

(注)1

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)2

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)1

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

33.3

45.1

42.1

50.7

(注)1.「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。

2.「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(1991年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(1991年労働省令第25号)第71条の4第1号における育児休業等の取得割合を算出したものであります。

 

② 連結子会社

当事業年度

名称

管理職に

占める

女性労働者の割合(%)

(注)

男性労働者の育児休業取得率(%)

(注)

労働者の男女の賃金の差異(%)

(注)

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

全労働者

正規雇用

労働者

パート・

有期労働者

㈱ポピンズエデュケア

57.7

27.3

27.3

14.9

10.9

24.1

㈱ポピンズファミリーケア

72.7

43.1

39.4

52.7

㈱ポピンズプロフェッショナル

75.0

52.3

37.2

(注)「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(2015年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。