第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは、創業以来、糖化業界及びフェノール樹脂業界において豊かな創造力により独自の技術を築いてまいりました。
 企業理念として「化学の知識とアイデアでソリューションを提供し、より豊かな未来社会創りに貢献する」を掲げ、経営基盤の充実に力を注ぎ、顧客を中心としたステークホルダーとともに繁栄することを目指してまいります。

 

(2) 目標とする経営指標

当社グループは、経営環境に応じた経営効率の向上を図り、株主資本の効率的活用と収益性の観点から自己資本利益率(ROE)の向上と売上高営業利益率8%を目指すことを経営指標としております。
 なお、当連結会計年度においては、ROE3.4%、売上高営業利益率7.2%でありました。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社は、注力事業分野である電子材料関連素材の技術開発と製造設備を始めとする経営資源について戦略的な投資を続け、直近5年間で電子材料関連製品の売上増加は30%を超えることができました。

電子材料関連や派生する先端材料素材、また3Dプリンタ関連素材や新たに事業買収した摩擦材用特殊フェノール樹脂(ミレックス)などの成長事業分野に対しては、引き続き積極的な経営資源の投入を行い、グループ全体での拡販活動を推進してまいります。

しかしながら足元においては、激甚化する気象災害の繰り返しや世界的な新型感染症の蔓延など、当社グループを取り巻く事業環境は全般的に不透明さを増す状況にあります。

このような状況のもと、製造メーカーとしての基本に立ち返り、業務の合理化、生産効率の改善や製造技術の見直しに積極的に取り組み、強固な経営基盤を構築してまいります。

併せて、中長期的に研究開発活動を強化し、当社の基盤である化学と食品技術を融合した「グリーンケミストリー」の実現により、環境問題などの社会的課題へのソリューション提供を目指してまいります。

 

(4) 会社の対処すべき課題

当社グループでは、「化学の知識とアイデアでソリューションを提供し、より豊かな未来社会創りに貢献する」という経営理念のもと、下記重要課題の実現に向けて取り組んでまいります。

 

① 食品事業の構造改革

国内の甘味料業界は、甘味離れによる需要減少や市場の成熟化により、中長期的には大きな成長は見込めない事業環境にあり、異性化糖・水あめなど糖化製品が大半を占める現在の当社の食品事業の収益性も、近年その影響を大きく受けております。

そのような状況の中、食品事業の立て直しに向け、従来の糖化製品については引き続き事業の見直しを図ると共に、糖化技術を活用した機能性食品分野への開発強化を図り、新たな価値の創造に取り組んでまいります。

また、化学合成技術を活用した、「糖の構造」を基盤とする新たな製品開発を推進し、地球温暖化など環境問題への対応に取り組んでまいります。

 

 

② 産業構造変化への対応と新たなソリューションの提供

飛躍的に進展する社会のデジタル化は、5G導入による生産現場のIoT化やAIを活用したマテリアルズ・インフォマティクスによる材料開発など、産業構造そのものを大きく変貌させ、また、それを支える電子材料は今後も大きく需要を伸ばすことが予想されます。

引き続き、電子材料向け素材を注力事業分野とし、戦略的な経営資源の増強を継続すると共に、高集積化や低メタル化などの最先端ニーズに対応するための技術開発を強化し、大学や外部研究機関との共同研究への取り組みも拡大してまいります。

人口減少や高齢化などによる産業構造の変化に対しては、作業現場における「省力化・自動化」、「工程時間短縮」、「作業環境改善」など、また、食生活における「安心安全」、「健康増進」、「食品ロス削減」など根源的な顧客ニーズへのソリューション提供を持続的な事業機会と捉え、化学品における3Dプリンタ関連素材や環境対応樹脂製品、また、食品における非遺伝子組み換え素材や冷凍耐性強化素材などの製品開発を強化してまいります。

 

③ SDGsと共に歩む経営の追求

当社はGCIグループCSR方針を定め、持続的な環境配慮と地域貢献を基軸として、グループ全体での活動を推進してまいりました。GCI単体の2019年度実績としては、エネルギーを起源とするCO₂ 排出量を2012年対比で20%削減するなど、継続的な省エネ活動に努めております。

また、糖由来の原料を利用した住宅断熱材用のバインダーや、和菓子の賞味期限を延長させる甘味素材などの開発に取り組み、グループネットワークを通じ海外でも市場展開を進めてまいりました。

引き続きSDGsへの取り組みを深め、企業としての社会的責任を果たすと共に、海洋廃プラ問題や食品ロス問題など様々な社会的課題を事業機会と捉え、当社グループの目指すグリーンケミストリーによるソリューションの提供を実現し、社会と共に持続的成長を歩む経営を追求してまいります。

 

(5) 新型コロナウイルス感染症への対応

当社グループを取り巻く事業環境は世界的な新型コロナウイルス感染症の拡大など、全般的に不透明さを増す状況であります。このような状況下で、当社グループでは事業継続のための感染対策として、マスクの着用及び手洗いやアルコール消毒の奨励、不要不急の出張の禁止、一部在宅勤務等を実施しております。

 

 

2 【事業等のリスク】

当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性のあるリスクには、重要項目ごとに以下のようなものが挙げられます。ただしすべてのリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない、又は重要とはみなされないリスクの影響を将来的に受ける可能性があります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

リスクの分類

想定される当社事業への影響

主な取り組み

資金繰りに関するリスク

自然災害、感染症拡大などによる急激な景気後退に伴う金融危機による資金調達への制約

・財務体質の強化と内部留保の適正維持

・取引先金融機関との当座貸越枠の設定

・在外子会社へのサポート体制強化と財務モニタリング実施

与信に関するリスク

急激な景気変動に伴い取引先の経営状況悪化や経営破綻が発生した際に、債権回収が滞る可能性

・取引先与信管理の徹底と、平時からの債権保全策の検討

為替に関するリスク

外国通貨建ての原材料調達コストや製品売上高への影響、ならびに連結決算における在外子会社の円貨換算額への影響

・為替変動が調達原料に及ぼす影響のモニタリングと定期報告

・為替予約や円建て取引の実施

・グループ間決済における為替マリーの実施

・在外子会社関連通貨の変動が円建連結決算に与える影響のモニタリングと、経営陣への定期報告

金融市場に関するリスク

余剰資金運用の一環として行う有価証券の、市況悪化に伴う評価損の発生が及ぼす影響

・金利、株価及び債券価格変動のモニタリング実施と、使用資金の評価損益の適時確認

農業政策に関するリスク

農林水産省の糖業政策の変更や方針の大幅な変更が、法令制度の制約の中で事業を行わざるを得ない当社糖化事業へ及ぼす影響

・業界団体(全日本糖化工業会)を通じた定期的な行政側との交渉と情報交換

コンプライアンスに関するリスク

事業を行う上での、品質や安全確保、環境保全、会計基準、税務、労務など法規制への対応とその管理、また不正やハラスメントの未然防止が損なわれた場合、グループ全体の信用低下につながる可能性

・コンプライアンス教育の実施

・コンプライアンス委員会によるモニタリング強化

・グループガバナンス体制の強化とモニタリングの実施

製品の品質と安全の確保に関するリスク

不適合品の発生による製造コストの増加や、品質クレームによる訴訟発生の懸念

また、それらに伴う賠償責任と費用の発生、ならびにグループ全体の信用低下につながる可能性

・品質管理及び品質保証体制の強化

・生産物賠償責任保険(PL保険)の適切な付保

・高度な品質管理を求められる製品の原料について、供給元への積極的な品質向上のサポート

原材料調達に関するリスク

石油関連原料や穀物関連原料の、景気変動・需給バランス・為替変動・地政学的バランス・異常気象等の影響に伴う市況の高騰や供給不足、ならびに人権侵害の懸念のある供給元からの調達による信用低下の可能性

・原価低減や製品価格への転嫁

・原料調達先の複数化、分散化

・適正在庫(原材料、製品)の把握と管理

・定期的な供給元の調査と、グリーン調達への取り組み                        

情報セキュリティに関するリスク

サイバー攻撃を含む意図的な行為や過失により、機密情報や個人情報が外部に漏洩する事態の発生が、当社グループ事業へ及ぼす影響

・個人情報取扱規程の制定

・セキュリティ対策方針と管理規程の定期的見直し

・ウィルス対策ソフトの導入と更新

・不正アクセス防止のためのモニタリング強化

・情報機器、オペレーションソフトの定期的更新

人材確保に関するリスク

少子高齢化に伴う人口減少や、社会のデジタル化やグローバル化に伴う高度な専門性を持つ人材確保の困難化、ならびに獲得コストの上昇が、当社グループ事業へ及ぼす影響

・人材教育プログラムの充実による人材育成強化

・製造工程の効率改善と省人化、自動化の推進

・RPA導入や、アウトソーシング活用の検討

・働き方改革の推進による魅力的な職場環境の構築推進

・グローバル人材活用の検討

 

 

リスクの分類

想定される当社事業への影響

主な取り組み

海外事業展開に関するリスク

海外事業展開の拡大に伴い、各国の法規制、特許制度、安全性基準、貿易管理や、また各国の政情や社会情勢の急変などが、当社グループ事業へ及ぼす影響

・省庁や団体、グローバル企業等を通じた情報収集の強化

・進出地域情報に秀でた弁護士との顧問契約や情報交換

・語学等教育プログラムの充実による人材育成強化

大地震・自然災害の発生に関するリスク

大地震や自然災害の発生に伴う工場の被災やユーティリティの供給停止により、化学物質の漏洩や爆発事故が発生する可能性、また原材料の納入停止や製品出荷不能事態などの発生が当社グループ事業へ及ぼす影響

・未然防止対策(設備点検、安全装置・消火設備等)

・BCP、BCM計画の策定と適時見直し

・自家発電設備等の整備

・適正在庫(原材料、製品)の把握と管理

・国内外工場間での補完計画の策定

感染症の蔓延に関するリスク

従業員の罹患に伴う操業停止、原材料の納入や製品デリバリー遅延事態などの発生が、当社グループ事業へ及ぼす影響

・BCP、BCM計画の策定と適時見直し

・適正在庫(原材料、製品)の把握と管理

・国内外工場間での補完計画の策定

・未然防止対策(IT化による働き方改革の推進)

・製造工程の効率改善と省人化、自動化の推進

社会的課題への対応に関するリスク

社会における気候変動や環境汚染への対応意識が高まる状況において、環境税など新たな規制の導入に伴い、当社グループの対応が遅れた場合の、コスト上昇や企業価値低下の可能性が当社グループ事業へ及ぼす影響

・製造効率改善や省エネ化の推進強化

・環境負荷の少ない製品開発の推進

・CSR活動の推進とSDGsへの取組強化

 

※なお、新型コロナウイルス感染症感染拡大に関しましては、「感染症の蔓延に関するリスク」に含まれるものであります。

 

 

3 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 

(1) 経営成績

当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用及び所得環境の改善により回復基調で推移しておりましたが、米中貿易摩擦の長期化や英国のEU離脱問題等による不安定な海外経済に加え、年度終盤に発生した世界的な新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、先行きは極めて不透明な状況となっております。
 このような経済環境のもと、当社グループは、事業環境の変化に対応し、製品の高付加価値化に取り組み、新規顧客の獲得やきめ細かい技術サポートを行うなど、更なる事業基盤の強化を図ってまいりました。その結果、化学品事業で減収、食品事業で増収となり、当社グループの売上高は前年同期比2.4%減少26,983百万円となりました。
 利益面では、高付加価値製品の拡販等により、営業利益は前年同期比19.9%増加1,936百万円、経常利益は前年同期比16.6%増加2,141百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前年同期比16.4%増加1,370百万円となりました。なお、食品事業製造設備の減損損失125百万円を特別損失に計上しております。

 新型コロナウイルス感染症の当連結会計年度における当社グループの業績への影響は限定的であると判断しております。

 

 セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。

[化学品事業]

 化学品事業においては、電子材料向け樹脂は、液晶向け製品及び有機EL向け製品が堅調に推移したほか、先端材料向け製品の付加価値向上に注力した結果、半導体向け製品が好調に推移しました。一方、建築関連向け樹脂は、非住宅用断熱材向け製品は堅調に推移しましたが、消費税増税による住宅着工件数の減少の影響を受け住宅用断熱材向け製品は低調となりました。また、自動車関連向け樹脂は、ブレーキ用摩擦材向け製品は、海外での新規拡販に注力し増加しましたが、国内の鋳物用樹脂が低調に推移しました。更に建設機械向け樹脂についても、消費税増税の影響や台風等の自然災害により後半は低調に推移しました。以上の結果、売上高は前年同期比3.7%減少21,981百万円となりました。利益面では、電子材料向け樹脂を中心とした高付加価値製品の拡販等により、セグメント利益(営業利益)は前年同期比9.9%増加1,992百万円となりました。

[食品事業]

 食品事業においては、夏場の天候不順の影響はあったものの清涼飲料向けが堅調に推移し、酒類向け製品も増加したこと及び異性化糖、水あめ製品の販売価格の是正を行った結果、売上高は前年同期比4.2%増加4,755百万円、セグメント損失(営業損失)は212百万円(前年同期353百万円のセグメント損失(営業損失))となりました。

[不動産活用業]

 不動産活用業においては、ほぼ前年並みで推移した結果、売上高は前年同期比0.3%増加246百万円、セグメント利益(営業利益)は前年同期比1.8%増加156百万円となりました。

 

 

  生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
 ① 生産実績

当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

セグメントの名称

生産高(百万円)

前年同期比(%)

化学品事業

21,717

+0.2

食品事業

4,170

+6.1

不動産活用業

合計

25,888

+1.1

 

(注) 1 金額は、販売価格によっております。

2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

 ② 受注実績

当社グループは受注見込みによる生産方式をとっております。

 

 ③ 販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

 

 

セグメントの名称

販売高(百万円)

前年同期比(%)

 

化学品事業

21,981

△3.7

 

食品事業

4,755

+4.2

 

不動産活用業

246

+0.3

 

合計

26,983

△2.4

 

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

 

(2) 財政状態

当連結会計年度における資産合計は前連結会計年度末と比べ422百万円減少し、50,626百万円となりました。これは、主に前連結会計年度末が金融機関の休日であったことから、未決済分の売上債権が当年度に決済されたことにより減少したことによるものです。
 負債合計は前連結会計年度末と比べ696百万円減少し、8,605百万円となりました。これは、主に前連結会計年度末が金融機関の休日であったことから、未決済分の仕入債務が当年度に決済されたことにより減少したこと及び返済により借入金が減少したことによるものです。
 純資産合計は前連結会計年度末と比べ274百万円増加し、42,020百万円となりました。これは、主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が増加したこと及び為替レートの変動により為替換算調整勘定が増加したことによるものです。

 

 

(3) キャッシュ・フロー

当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、4,336百万円の収入と前連結会計年度に比べ2,108百万円の収入の増加となりました(前連結会計年度2,227百万円の収入)。これは、主に売上債権の増減額の減少、法人税等の支払額の減少及び税金等調整前当期純利益の増加によるものです。
 投資活動によるキャッシュ・フローは、748百万円の支出と前連結会計年度に比べ494百万円の支出の増加となりました(前連結会計年度254百万円の支出)。これは、主に有価証券の償還による収入の増加及び有形固定資産の取得による支出の減少があったものの、3ヶ月を超える定期預金の払戻による収入の減少によるものです。 

財務活動によるキャッシュ・フローは、1,735百万円の支出と前連結会計年度に比べ577百万円の支出の増加となりました(前連結会計年度1,157百万円の支出)。これは、主に自己株式の取得による支出の増加及び前年同期には非支配株主からの払込みによる収入があったことによるものです。
 この結果、現金及び現金同等物の当連結会計年度末残高は、前年同期比1,924百万円(34.6%)増加7,485百万円となりました。

 

当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資によるものであります。
 当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
 短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資につきましても、自己資本を基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの長期借入で調達する方針であります。

なお、新型コロナウイルス感染症による影響につきましては、次期の業績が見通せない不透明な状況ではありますが、現時点では十分な手元資金を保有しており、さらに、感染拡大等の影響による緊急の資金需要に備え、金融機関と当座貸越契約を締結し、資金流動性を確保しております。

 

(4)重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結材諸表の作成に当たっては、連結財務諸表に重要な影響を与える見積りを必要としております。見積りにつきましては、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき行っておりますが、この見積りは不確実性があるため実際の結果と異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表において採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

なお、新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 追加情報」に記載しております。

 

4 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

 

5 【研究開発活動】

当社グループは、主力製品であるフェノール樹脂及び澱粉糖製品分野でのコア技術の深耕及び蓄積を継続するとともに、素材開発で培った強みを材料開発へと展開し材料設計技術の獲得及び応用展開を図り、環境低負荷材料、高機能材料及び機能性食品関連材料の新製品開発に注力しております。

GCIグループ内の連携、開発・営業・製造各部門間の連携とともに、開発本部内の連携を一層強化した体制をとり、市場ニーズの取り込み及び技術シーズの開発を推進しております。当期売上高に対する新製品売上高比率は24%(当連結会計年度末現在、上市後5年以内の製品)でした。

当連結会計年度におけるグループ全体の研究開発費は1,388百万円であり、セグメントごとの研究開発活動を示すと次のとおりであります。

 

[化学品事業]

電子材料、鋳物材料、機能性材料及び環境対応材料等の材料開発に鋭意取り組んでおり、材料設計技術としての高分子構造設計、アロイ、ブレンド、成形加工及び実用性評価技術に注力し、半導体、電気・電子、自動車及び工業材料分野への新製品上市を進めております。

当連結会計年度では、電子材料分野においてはFPD及び半導体分野に使用される感光性材料用途に、国際競争力のある高純度高機能樹脂製品の開発に注力してまいりました。今後さらなる伸長が期待される同市場向けの材料開発に対して、高性能化、高品質化を加速し、次世代材料開発を鋭意強化しております。
 また、ネットワーク分野における5G化に伴い、電子機器に求められる特性として、電気信号の高速化、高密度大容量化、低遅延高信頼性が挙げられます。これらを実現するため材料には低誘電、高耐熱、低弾性等の性能向上が求められ、これらの要求特性に応える高機能樹脂の開発、顧客提案にも注力しております。

一方で、当社の基盤である化学と糖に関する技術を融合したグリーンケミストリーの実現により、環境問題などの社会的課題へのソリューション提供を目指し、環境配慮型製品の開発、顧客提案を工業材料各用途で推進しております。前年度断熱材用バインダの実用化を果たしましたが、さらに同技術の他用途展開を図り、製品開発、顧客提案を進めております。

摩擦材(ブレーキ用途)用樹脂では特殊フェノール樹脂「ミレックス」を軸に、環境対応型樹脂の開発や顧客提案を進めております。

鋳物材料としては産官学国家プロジェクトにおける砂型積層用3Dプリンタ材料のバインダ及び砂材料開発に成功し、2019年、「超高速砂型積層造形装置」で第48回日本産業技術大賞「審査委員会特別賞」を受賞いたしました。構築した技術を背景に、材料の量産化を開始、さらなる性能向上と事業拡大を推進中です。

高機能フェノール樹脂繊維「カイノール」については、製造技術、炭化技術及び賦活技術の向上、さらには機能性材料開発を推進しております。

当連結会計年度に係る化学品事業の研究開発費は1,196百万円であります。

[食品事業]

当連結会計年度では、穀物液化糖化技術を活用し、機能性食品分野に対して新たな価値の創造に取り組み、酵素応用技術、糖化パイロットプラント及び高度な分析技術等を駆使して技術集約型の新製品開発を進めてまいりました。
 一方で、マルトトリオースを主成分とする保水性糖質素材(商品名「ピュアトース」)について、機能性の追求、レシピ提案を進め、用途開発に引き続き注力しております。

今後はこれらの機能性食品開発に加え、前述のグリーンケミストリー「糖ケミカル」製品拡充、高付加価値化に向け、従来の基盤技術の領域をオーバーラップさせた新たな技術の獲得にも注力してまいります。

当連結会計年度に係る食品事業の研究開発費は192百万円であります。