当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
当社は「先進技術で、社会の未来を創造する」ことをミッションとし、通信技術とAI技術をコアとして、ゲーム産業で培った先進技術をあらゆる産業に展開し、サービス開発することを通じて、企業価値の最大化を図ります。
当社グループのXR技術は特定の産業に依存せず、既存の事業・サービスに限らず、まだXR技術の活用が始まっていない新たな産業分野においても適用可能であると考えております。今後もXR技術の優位性を最大限に活用し、既存事業・サービスで培った知見を取り入れ、国内外へ展開してまいります。
(2)経営戦略
当社グループでは4つの成長戦略を掲げ、中長期的な経営計画を実現していきます。
成長戦略1:機能の拡充
当社プラットフォームである「XR CLOUD」の基本機能やアバター、会場などのプリセットの追加開発を行い、顧客ごとに異なる様々なニーズに個別対応していきます。具体的には、仮想空間内での課金機能やアバター、会場などの拡充等に加え、バーチャルヒューマン機能(注1)、WebGL対応(注2)、Meta Quest 2対応(注3)、AR対応(注4)、ハイクオリティレンダリング対応(注5)などの機能拡充を行ってまいりました。それらの個別対応した顧客機能の汎用化を進め、多様なイベントに対応出来るようパッケージ化を推進し、顧客基盤の拡大を目指します。
また、特定業界にフォーカスした、専門のメタバースを開発し、業界固有のニーズに深くフィットするサービスを展開していきます。事例として、医療業界特化メタバース「メディカルバース」をリリースしました。今後も様々な業界に特化した固有のメタバースを開発し、サービスを拡充してまいります。
成長戦略2:サービスの拡充
当社は、これまでの「XR CLOUD」での実績をベースに、AIと組み合わせた産業用メタバースも含め、AR・MR・VRのXR全般でクライアント企業の課題を解決するXRのソリューション提供や、様々なメタバースプラットフォームを駆使し、クライアント企業のニーズに沿ったプランを提案・販売・制作を行うなど、今後は「XR CLOUD」を前提にしたメタバースサービスにこだわらず、AR・MR・VRのXR全般でのサービスを提供と共に、マルチプラットフォーム戦略を実行してまいります。
成長戦略3:マーケティング
新規顧客のリード獲得においては、営業機能を有するそれぞれの事業部ごとに営業活動を行っておりますが、メタバース開発需要のある当社ターゲット企業へ効率的にリーチできる体制を構築するため、2022年6月にオウンドメディア「メタバース相談室」を開設しております。さらに、2023年11月には韓国でメタバースに特化したマーケティングソリューションを展開する株式会社MetaBuzzと、メタバースマーケティング分野における協力促進に関する協業パートナーシップを締結しました。
これらの取り組みにより商談へ至った案件に対しては、展示会や懇親会イベント等用途別に用意した幅広いラインナップから適切な提案を効率的に進めることで獲得の間口を広げ、獲得スピードおよび獲得数の最大化に努めます。また、既存顧客に対しては単発契約で終わらず、その後も継続的な支援を行っていきます。具体的には、追加開発の提案や、新たなイベント企画を顧客フェーズに併せて提案しております。引き続き、戦略的なアライアンスやマーケティングを推進してまいります。
成長戦略4:R&D
当社グループでは、国内外のクライアント企業の様々なニーズに対し最適なソリューションを提供するため、研究開発を進めております。具体的には、企業のDXを推進する産業用メタバース、リアルとバーチャルを融合する空間重畳システム等のサージス拡充、他社メタバースプラットフォームへの対応や複数プラットフォームを横断したイベント開催の実現等のマルチメタバース対応、最先端デバイスへのマルチデバイス対応、AI活用によるイベントの自動化等各ソリューションとの連携・業務効率化、海外展開などを行ってまいります。
(3)経営環境
当社グループを取り巻くメタバース環境は現在黎明期にあたり、メタバースを支える技術の成熟化やライフスタイルの変化によりバーチャル空間でのサービス提供需要は急速に高まり、メタバース市場の拡大は今後もさらに加速するものと見込まれております。また、顧客の動向は引き続きメタバースの可能性の模索が大部分を占めている中、様々な潜在的ニーズが存在する状況となっており、当社グループでは、顧客のミッション達成に向け、「XR CLOUD」を軸としたソリューション提供を進める一方で、顧客ニーズに合わせて最適なXR技術や他社メタバースプラットフォームを駆使したソリューション提供も進めてまいります。
(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、安定的な成長を図るため、成長性、収益性及び効率性を重視した経営が必要と認識しております。このため、当社グループでは、売上高、営業利益及び売上高営業利益率、イベント実施数を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としております。
(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① 開発体制の強化及び優秀な人材の確保
XR技術の開発は競争力の源泉の一つであり、優れたエンジニアを確保し開発体制を継続的に強化していくことが極めて重要であるものと認識しております。今後も、国籍を問わずに卓越した能力を持つエンジニアの採用及び育成に努め、また、エンジニアが働きやすい就業環境を整備し、より長期のコミットメントを引き出すために重点的に投資してまいります。
② 更なる新規事業の創出
当社グループのビジネスモデルは、特定の産業に依存せず、既存の事業・サービスに限らず、まだXRの活用が始まっていない新たな産業分野においても適用可能であると考えております。当社グループはXR技術の優位性を最大限に活用し、既存事業・サービスで培った知見を取り入れた更なる新規事業を発掘し、早期の事業化により、技術活用の場を広げてまいります。一例を挙げると、メタバース領域においてAI技術の活用が進むことが予想されております。当社グループでいち早くこれらの市場に対応すべく開発を進めております。具体的には、メタバース領域における品質保証のAI技術活用、また、仮想空間内でのAIサポート業務(チャットbot対応等)を想定しております。更にサービスを提供する過程で、当該サービスの周辺業務を含むより広範な事業単位へと価値提供を拡張することが可能と判断した場合には、当社のみならず他社との協業含め、新規事業として展開していきます。
③ 内部管理体制の強化
当社グループは、一層の事業拡大を見込む成長段階にあり、事業の拡大・成長に応じた内部管理体制の強化が重要な課題であるものと認識しております。これに対応するため、各分野に専門性を有した人員を配置し、経営の公正性・透明性確保のためのコーポレート・ガバナンスの強化を図っており、今後においても引き続き内部管理体制を充実させ、適切な内部統制システムの構築を図ってまいります。
(注)1.バーチャルヒューマン機能
当社グループ「XR CLOUD」イベント来場者に対して、質疑応答や案内だけでなく、雑談もこなすことが出来る、高機能なAIキャラクター。当社子会社であるモリカトロン株式会社が開発した、自然な受け答えが出来るAI対話エンジンを採用。
2.WebGL対応
WebGLに対応した「XR CLOUD」クライアント。クラウドレンダリングに比べて、追加のサーバコストをかけずに、ブラウザ対応のイベントを実施することが出来る。
3.Meta Quest 2対応
VRヘッドセット「Meta Quest 2」でメタバースイベントに参加可能になる。ハンドトラッキングなどにも対応予定。
4.AR対応
スマートフォンのカメラ映像上に「XR CLOUD」上のキャラクターやオブジェクトを表示し、現実世界に「XR CLOUD」のキャラクターやオブジェクトを表示出来るモード。これにより、リアルとバーチャルが融合したイベントを開催する事が可能となる。
上記に加え、キャラクターがAR表示されるだけでなく、ARモードを使っている参加者自身もアバターとして仮想空間に登場し、仮想空間内のキャラクターとボイスチャットなどを行うことが可能となる。
5.ハイクオリティレンダリング対応
最先端のレンダリング技術に対応し、実写のようなハイクオリティな映像表現が利用可能となる。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社グループは、経営理念およびサステナビリティに関する基本方針やそれを踏まえた経営方針などを効果的に実現し、中長期的な企業の価値向上を目指した経営を推進する基盤として、コーポレート・ガバナンス体制の構築とさらなる高度化に取り組んでおります。
また、サステナビリティを巡る課題への対応は、リスクの減少のみならず収益機会にもつながる重要な経営課題であると認識しており、取締役会においてこれらの課題に積極的・能動的に取り組み、より迅速で有効な意思決定及び業務執行の実現並びにリスク及び機会を監視し、適切な組織運営に努めております。
(2)戦略
当社グループの人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は以下のとおりであります。
当社グループは、持続的な成長や企業価値の向上を実現していくうえで、「人材」は最も重要な経営資源であると考えており、より高い事業成長を続けていくための競争力の源泉と考えております。
社員の採用においては、多様なスキルとバックグラウンドを持った人材を、年齢、性別等を問わず採用し、中途採用者を含め優秀な人材は積極的に管理職に登用することとしております。
また、社員の継続的なモチベーション向上とエンゲージメントの強化を図るために、成果に見合った公平・公正な評価制度、成長支援を促す教育研修制度の整備を実施するとともに、多様化する価値観に合わせて、生産性高く働ける環境づくりに努めてまいります。
(3)リスク管理
当社グループでは、サステナビリティ対応におけるリスク等については、経営や事業に重大な影響を及ぼす可能性があるリスク等と同義あるいは密接な関係にあると捉えており、分析や把握については、全社的なリスク管理の一環として実施しており、取締役会への報告及び分析を行うことにより、グループ全体のリスクマネジメントに努めております。また、「リスク管理規定」を定め、同規定に従ったリスク管理体制を構築することで、リスクの防止及び会社の損失の最小化を図り、企業価値を高めることに寄与しておるものと考えております。
サステナビリティに関するリスクを含め、主な重要リスクは「
(4)指標及び目標
当社グループでは、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針に基づき事業運営を進めてまいりますが、本報告書提出日現在においては、当該指標についての目標を設定しておりません。
今後、当社グループの規模や事業内容等に即した指標及び目標の在り方に関して、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標を設定し、その進捗に合わせて開示項目を検討してまいります。
なお、女性管理職比率、男性育休取得比率、男女間賃金格差については、「
当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。
また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項であっても、投資者の判断において有用であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。
なお、本項の記載内容は当社株式への投資に関する全てのリスクを網羅しているものではございません。
当社グループは、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避並びに発生した場合の迅速な対応に努める方針でありますが、当社株式に関する投資判断は、本項以外の記載内容も併せて慎重に検討した上で行われる必要があると考えられます。
本項記載の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
<主要な事業等のリスク一覧> ※当社見解に基づく/当社作成
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リスク |
No |
リスクマップNo |
内容 |
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(1)事業環境に関する事項 |
(1)1. |
① |
顧客のソフトウエア投資の動向について |
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(1)2. |
② |
競合他社による影響について |
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(1)3. |
③ |
技術革新による影響について |
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(1)4. |
④ |
自然災害及び感染症等について |
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(2)組織体制に関する事項 |
(2)1. |
⑤ |
人材の確保及び育成について |
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(2)2. |
⑥ |
内部管理体制について |
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(2)3. |
⑦ |
代表取締役社長 本城嘉太郎への依存について |
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(3)当社の事業内容及びサービスに関する事項 |
(3)1. |
⑧ |
情報管理体制について |
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(3)2. |
⑨ |
システムのトラブルについて |
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(3)3. |
⑩ |
重大な不具合について |
|
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(3)4. |
⑪ |
システム開発開始時期の遅延について |
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(4)法的規制に関する事項 |
(4)1. |
⑫ |
法的規制等について |
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(4)2. |
⑬ |
訴訟に関するリスクについて |
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(4)3. |
⑭ |
知的財産に関するリスクについて |
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(4)4. |
⑮ |
レピュテーションリスクについて |
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(5)その他の事項 |
(5)1. |
⑯ |
特定顧客への依存度の高さ |
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(5)2. |
⑰ |
新株予約権の行使による株式価値の希薄化について |
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(5)3. |
⑱ |
繰越欠損金について |
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(5)4. |
⑲ |
配当政策について |
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(5)5. |
⑳ |
調達資金の使途について |
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(5)6. |
㉑ |
資金調達について |
<主要な事業等のリスクマップ> ※当社見解に基づく/当社作成
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影響度 |
大 |
⑧
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①②⑤⑯ |
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中 |
⑥⑦⑮㉑ |
③⑪ |
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小 |
④⑫⑬⑭⑰⑳ |
⑨⑩⑲ |
⑱ |
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低 |
中 |
高 |
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発生可能性 |
||||
(1) 事業環境に関する事項
1.顧客のソフトウエア投資の動向について
当社グループは、当社グループが提供するサービスを特定業界に縛られることなく幅広い業界へ提供しております。メタバース開発のニーズは高まっており、継続的に投資ニーズは存在し、また、今後顧客開拓も期待できるものと考えております。上述の想定のもと、当社グループとしても営業体制の強化を行うこと等によって顧客拡大に努めております。しかしながら、当社グループが「XR CLOUD」をリリースした時期は最近であり、まだ実績としては短期間であることから、国内外の景気動向の悪化等により、当該顧客のソフトウエア投資が大幅に抑制された場合や、今後、顧客ニーズの変化等により、XRやメタバースへの需要が変化した場合は、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.競合他社による影響について
当社グループの属するXR市場におけるサービス開発のスピードは速く、多くの企業が事業を展開しており、市場の競争環境は厳しさを増しております。当社グループとしては、顧客ニーズ等を把握しつつ、仮想空間共有技術プラットフォーム「XR CLOUD」の開発を進めておりますが、今後、競合他社がより魅力的・画期的な特徴を持つ新規サービスを開発した場合や、価格競争等がさらに激化した場合には、当社グループ事業にも影響が生じ、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.技術革新による影響について
当社グループの属するXR業界は、新技術の開発及びそれに基づく新しいサービスの導入が頻繁に行われており、顧客ニーズも常に変化している変動が激しい業界となっております。そのため、当社グループとしても常に新しい技術、新しい発想でのサービス開発が求められ、情報収集、顧客ニーズ等の分析、新技術及び新サービスへの対応を行うことで技術革新に対応できる体制をとっております。しかしながら、技術革新等により予期せぬ業界の急激な変化が発生し、顧客ニーズの変化等が行われ、当社グループの対応が遅れた場合には、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.自然災害及び感染症等について
当社グループでは自然災害及び感染症等の発生可能性を認識した上で、事業を継続するために必要な安全対策を事前に講じておりますが、地震及び台風等の自然災害、事故、火災、テロ等の発生、また、治療方法が確立されていない感染症が流行した場合等において、事業遂行が不能となる可能性があります。当社グループではリモートワークの推進やクラウドサービスの活用を行っており、事業の推進に与える影響は限定的であると考えておりますが、企業側の当社グループサービス導入に際する意思決定に時間を要する等により、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。
(2) 組織体制に関する事項
1.人材の確保及び育成について
当社グループが継続して事業を発展していくためには、優秀な人材の獲得及び育成を継続することが重要であると認識しております。少子高齢化や労働人口の減少が急速に進んでおり、特にエンジニア人材のニーズの高まりにより人材マーケットが枯渇していることなどから、外部への人材の流動化が進み、優秀な人材の確保だけではなく、既存の人材の育成と維持のための環境は厳しい状況にあります。そのため、外部の人材紹介会社や採用媒体等の活用、内部の社員紹介等の採用チャネルの多角化、スキル習得及び資格補助を目的としたキャリアアップの支援制度等により、人材の確保及び育成に努めております。しかしながら、人材の確保及び育成が計画通りに進まなかった場合は、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.内部管理体制について
当社グループは、企業価値の拡大を図るうえでコーポレート・ガバナンスが有効に機能することが不可欠であると認識しております。業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保のための内部統制システムを適切に運用し、法令遵守を徹底するために充分な体制を構築していると考えておりますが、未だ成長途中にあり、今後の事業運営及び事業拡大に対応するために、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。しかしながら、事業の急速な拡大により、十分な内部管理体制の構築が追いつかない状況が生じた場合には、適切な業務運営が困難となり、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.代表取締役社長 本城嘉太郎への依存について
代表取締役社長である本城嘉太郎は、当社の創業者でありゲーム業界で得た豊富な経験と知識を活かし、当社の代表として指揮をとっております。その知見や環境変化への対応ノウハウ等は経営幹部層に移植されてきており、運営実態に合わせた権限の見直し等、職務権限の最適化にも取り組んでおりますが、何らかの理由により当社において業務を継続することが困難となった場合、当社グループの経営成績及び今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。
(3) 当社の事業内容及びサービスに関する事項
1.情報管理体制について
当社グループでは、業務に関連して個人情報を取り扱っております。当社グループといたしましては、プライバシーポリシー及び個人情報保護方針を制定し、またプライバシーマークの認証を取得し、社内で運用する他、役員及び従業員に対して情報セキュリティに関する教育研修を実施する等、委託先を含めた情報管理体制の強化に努めております。しかしながら万が一にも、当社グループより情報の漏洩が発生した場合は、顧客からの損害賠償請求や当社グループの信用失墜等により、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
2.システムのトラブルについて
当社グループの事業は、通信ネットワークやサーバ、コンピュータシステム等に依存しているため、システム等のトラブルが発生する可能性があります。当社グループとしては、事業の安定的な運用のために災害対策、システム強化、セキュリティ対策等を講じ、トラブル等が発生しないように厳格な運用に努めております。しかしながら、地震や火災等の発生、人的ミス、外部からの不正アクセス、通信事業者に起因するサービスの長期にわたる中断や停止等のシステムトラブルが発生した場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
3.重大な不具合について
当社グループが提供するメタバースサービス、XRイベントサービス及びXR周辺サービスは、開発段階から納品に至るまで厳しい品質チェックを行っております。しかしながら、顧客への納品後に重大な不具合が生じた際などに、改修等の追加コストが発生した場合や損害賠償請求がなされた場合、当社グループの財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
4.システム開発開始時期の遅延について
当社グループが、システム開発を請け負う場合、大幅な仕様変更や予期せぬトラブルの発生等に伴う納入時期の変更や検収遅延により、売上の計上時期が当初の予定から翌四半期あるいは翌連結会計年度にずれる場合があります。
そのため、開発の遅延が発生した場合には、各四半期あるいは連結会計年度における当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 法的規制に関する事項
1.法的規制等について
当社グループの属するXR市場は黎明期であり、法令の改正により法的規制等が及ぶ可能性や今後新たな法令等が制定される可能性があります。当社グループとしては、顧問弁護士等との連携体制を構築し、適宜法令等の把握に努めております。現在当社グループに影響を与えうる法令等に関しては、遵守を徹底しておりますが、今後の法律改正又は規制の動向によっては、当社グループの事業活動に支障をきたすとともに、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社グループが提供するサービスを規制する主な法令として、「電気通信事業法」、「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」、及び「個人情報保護法」等がありますが、これらの法的規制の遵守を徹底したサービス運営を行うため、顧問弁護士等とも連携のうえ、最新の法規則に関する情報の取得や社内のコンプライアンス研修等を通じて、法令遵守体制の強化に努めております。
2.訴訟に関するリスクについて
当社グループは当連結会計年度末現在において、重大な訴訟を提起されている事実はありません。しかしながら事業活動を行うなかで、サービスの不備、個人情報の漏洩等により訴訟を受けた場合、当社グループの社会的信用が毀損され、事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。なお、当社グループでは、コンプライアンスの徹底と社会的信用の向上を図ることを目的に、コンプライアンス規程や個人情報保護管理規程を整備し研修等を行うことで、役員及び従業員への周知を徹底し、法令違反などの発生リスクの低減に努めております。
3.知的財産に関するリスクについて
当社グループは、他社製品と差別化できる技術とノウハウを蓄積してまいりましたが、当社グループ独自の技術とノウハウの一部は、特定の地域では法的な制約のために知的財産としての十分な保護が受けられない場合があります。そのため、第三者が当社グループの知的財産を使って類似製品等を製造、販売するのを効果的に防止できない可能性があります。また、他社が類似、もしくはより優れた技術を開発した場合、当社グループの知的財産の価値が低下する可能性があります。また、他社の知的財産権を侵害することのないよう、他社知的財産権の調査等を行っておりますが、当社グループのサービスまたは技術について、他社の知的財産権を侵害しているとされ、使用料支払い等が発生した場合は、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループは従来、従業員の発明に対して職務発明補償を行い、今後も法令等に基づいた職務発明補償を実施いたしますが、補償・報奨評価に対して発明者から訴訟を提起される可能性があります。
4.レピュテーションリスクについて
当社グループでは、公序良俗違反や著作権侵害につながるような顧客との取引は未然に防ぐように社内教育を徹底しております。しかしながら、当社グループが開発した製品において、顧客の対応が不十分であった場合など、何らかのレピュテーション上の問題が発生した場合、当社グループの事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) その他の事項
1.特定顧客への依存度の高さ
当社グループの売上高は、特定顧客への依存度が高くなっており、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④ 生産、受注及び販売の実績 c 販売実績」に記載のとおり、当連結会計年度において販売高上位1社の売上高が21.72%を占めております。また、前連結会計年度においては販売高上位2社の売上高が49.91%を占めております。
当社グループとしては、重要な取引先との関係を維持しつつ、新規取引先の獲得等で依存度を下げる取組みを行っておりますが、特定顧客におけるIT投資行動の変化や経営環境の変化、制度変更等によって、当社グループの経営成績や営業活動に影響を与える可能性があります。
2.新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、取締役や従業員をはじめとした会社の成長に貢献する方々に対して、ストック・オプションとして新株予約権を付与しております。また、今後においても優秀な人材確保やその維持のためにストック・オプション制度を活用していくことを検討しており、これらの新株予約権が権利行使された場合等には、当社株式が新たに発行または交付されることにより、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。
なお、当連結会計年度末現在でこれらの新株予約権の目的である潜在株式数は387,180株であり、発行済株式総数及び潜在株式数の合計10,746,340株の3.60%に相当します。
3.繰越欠損金について
当社グループには当連結会計年度において税務上の繰越欠損金が存在するため、法人税等が軽減されております。しかしながら、繰越欠損金の繰越期間の満了で繰越欠損金が消滅した場合、法人税等の税金負担が増加するため、当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローに影響を及ぼす可能性があります。
4.配当政策について
当社は設立以来、配当を実施しておりません。当社は、株主に対する利益還元を重要な経営課題の一つとして認識しており、将来の事業展開と経営体質の強化のために必要な内部留保を確保しつつ、事業成長と戦略的投資のバランスを見極めながら、業績に応じた配当を継続的に実施していくことを基本方針としております。しかしながら、当社グループの業績が計画どおりに進展しない場合には、配当を実施できない可能性があります。
5.調達資金の使途について
当社の公募増資による調達資金の使途については、人件費、採用費及び研究開発費に充当する計画でありますが、当社グループが属するXR業界は事業環境の変化が激しく、その変化に柔軟に対応するため、計画以外の使途に充当する可能性もあります。その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。また、当社の計画に沿って調達資金を使用した場合でも、想定した投資効果が得られない可能性があります。このような場合、当社の事業及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
6.資金調達について
当社は、2020年12月期は債務超過であり、2021年12月期に資金調達により債務超過を解消しており、資金面において不安定な状況が続いておりました。現在は、金融機関からの借入により事業活動に必要な資金を調達しております。現在の金融機関からの借入に財務制限条項などの特約はございませんが、今後、金利水準の上昇や金融機関の当社に対する信用の低下等により調達コストが上昇した場合、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用関連会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,140,646千円となり、前連結会計年度末と比較して490,261千円の減少となりました。主な減少要因は、現金及び預金の減少475,372千円によるものであります。
固定資産は346,524千円となり、前連結会計年度末と比較して246,675千円の増加となりました。主な増加要因は、のれんが191,713千円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は、1,487,170千円となり、243,586千円の減少となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は266,701千円となり、前連結会計年度末と比較して37,560千円の減少となりました。主な減少要因は、未払消費税等が27,062千円減少したことによるものであります。
固定負債は74,904千円となり、前連結会計年度末と比較して90,901千円の減少となりました。主な減少要因としては長期借入金が81,592千円減少したことによるものであります
この結果、負債合計は341,606千円となり、前連結会計年度末に比べ128,461千円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は1,145,564千円となり、前連結会計年度末と比較して115,125千円の減少となりました。主な減少要因は、利益剰余金が203,095千円減少したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当連結会計年度における世界経済は、旺盛な需要が継続する一方、ウクライナ情勢の長期化や中国における経済活動の抑制などによるサプライチェーンの混乱が長引いたことで物価が大幅に上昇し、欧米における金融引締めが急進しました。また、わが国の経済においては、行動制限の緩和により経済活動の正常化が進むなか、食糧・原油高や円安による輸入物価の上昇、海外景気の下振れ懸念などにより、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いている一方で、多くの企業は多様な働き方と新たな価値の創造を両立することが求められております。
このような経済環境の中、当社グループの仮想空間共有技術プラットフォーム「XR CLOUD」を使用したメタバースサービスとして、大規模音楽ライブ「JM梅田」や同人誌即売会「NEOKET」、XRイベントサービスでは各会社様の社内イベントをはじめ数多くのイベントを実施してまいりました。実施したイベント数は100件であり、対前年増加率61.3%と堅調に事業成長できております。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高1,244,469千円(前年同期比14.3%減)、営業損失174,346千円(前連結会計年度は営業利益70,810千円)、経常損失167,462千円(前連結会計年度は経常利益56,173千円)、親会社株主に帰属する当期純損失203,095千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益71,587千円)となりました。
なお、当社グループは、XR事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ、475,372千円減少し、911,892千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果支出した資金は、184,299千円(前連結会計年度は159,587千円の支出)となりました。
これは税金等調整前当期純損失169,027千円を計上したこと等を主な理由とするものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、288,595千円(前連結会計年度は80,614千円の支出)となりました。
これは、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出200,000千円、無形固定資産の取得による支出54,155千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は、2,477千円(前連結会計年度は840,094千円の収入)となりました。
これは、主に長期借入金の返済による支出90,414千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入88,309千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループはXR事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
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サービスの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
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メタバースサービス(千円) |
652,167 |
62.6 |
|
XRイベントサービス(千円) |
281,180 |
129.1 |
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XR周辺サービス(千円) |
311,120 |
162.2 |
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合計(千円) |
1,244,469 |
85.7 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前連結会計年度 (自2022年1月1日 至2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自2023年1月1日 至2023年12月31日) |
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
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パルス株式会社 |
418,557 |
28.84 |
270,277 |
21.72 |
|
阪急阪神マーケティングソリューションズ株式会社 |
305,730 |
21.07 |
58,484 |
4.70 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、1,244,469千円(前年同期比14.3%減)となりました。
売上高の分析・検討内容につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、813,043千円(前年同期比2.8%増)となりました。
主な要因は、当期製品製造原価の増加によります。この結果、売上総利益は431,425千円(前年同期比34.7%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、605,772千円(前年同期比2.7%増)となりました。
主な要因は、支払手数料の増加によります。この結果、営業損失は174,346千円(前連結会計年度は営業利益70,810千円)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度において、営業外収益は11,116千円、営業外費用は4,231千円となりました。
主な要因は、補助金収入8,706千円、支払利息3,477千円を計上したことによるものです。この結果、経常損失は、167,462千円(前連結会計年度は経常利益56,173千円)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度において、資産除去債務戻入益による特別利益が4,770千円、減損損失による特別損失が6,700千円発生しました。法人税、住民税及び事業税並びに法人税等調整額を34,067千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純損失は203,095千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益71,587千円)となりました。
なお、財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に、キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要として主なものは、事業の拡大に伴う人件費、プロダクトの開発費、顧客獲得や認知度向上のための広告宣伝費等であります。財政状態等や資金使途を勘案しながら、必要な資金は自己資金、金融機関からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等は、資金需要の額や用途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。
④経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の進捗について
当社グループは安定的な成長を表す指標として、売上高、営業利益及び売上高営業利益率を経営上の目標の達成状況を判断するための重要な指標として位置付けております。売上高は計画比27,317千円減(2.1%減)となりました。営業利益は計画比19,835千円減(12.8%減)となり、売上高営業利益率は△14.0%となりました。
また、売上高の拡大には、イベント実施数の拡大が必要であると考えております。当連結会計年度におけるイベント実施数は100件と前連結会計年度の62件対比で61.3%増加しており、順調に推移しているものと認識しております。
当社は、主にスマホデバイスのソフトウェア制作を中心に、サーバーやAPIの制作サポート等までを行うロボアプリケーションズ株式会社の発行済株式の100%を取得することを2023年9月26日開催の取締役会において決議し、同日付けで株式譲渡契約を締結しました。なお、株式取得は2023年9月29日に実施しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (企業結合等関係)」に記載のとおりであります。
当社グループは、「先進技術で、社会の未来を創造する」ことをミッションとし、通信技術とAI技術をコアとしてゲーム産業で培った最新技術をあらゆる産業に展開するため、研究開発活動を行っております。
研究開発の主体は、XR事業本部、技術開発室、および子会社となります。主たる研究開発活動には、既存アプリケーションソフトウエアのバージョンアップと新たな技術・サービスを提供するための研究開発活動があります。具体的には、サーバ品質向上に関する研究開発や、マルチデバイス対応を行ってまいりました。当連結会計年度における研究開発費の総額は、
なお、当社グループはXR事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。