第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

当社は、1999年の創業以来、『情報通信技術で社会に貢献及びお客様の繁栄に寄与し、最も信頼されるパートナー』であることを目指して事業に取り組んでおります。

また、「すべてのステークホルダーから信頼され支持される企業」になるために、熱意を持って不断の努力を続けてまいります。当社は、永続的な成長の礎を築くための計画として、2022年12月期を初年度とし、2026年12月期を最終年度とする「中期経営計画」を策定し、更なる成長戦略の推進及び企業価値の最大化を図ってまいります。

当社グループは、持続的成長を果たしていくため、以下の戦略を実行することにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

① 私たちは、ITを通じた様々なサービスの提供により、お客様、社員とその家族、株主様など全てのステークホルダーからの評価をいただける企業価値の向上を目指します。

② 優れた技術力と高品質により、「信頼性」と「安全性」を備えた製品・サービスの提供を目指してまいります。

③ 私たちは、企業と社員が共にチャレンジ精神をもって活力ある企業カルチャーを醸成し成長を続けてまいります。

④ 私たちは、お客様に「最適のサービス」を提供し、事業活動を通じて社会の発展に貢献してまいります。

 

(2)経営環境及び経営戦略

当社グループは、急速に技術革新の進むビジネス環境の中、既存ビジネスの高度化に取り組むと共に、以下の戦略を実行することにより、最適なサービス及び高付加価値サービスの創出等、顧客との長期安定的な関係を通じたビジネス拡大の実現に向けて取り組んでまいります。

 

① 新技術への果敢な取り組み

証券システム開発の先進技術力、業務系ソフトウエア開発で培ったシステムインテグレーションサービス、共同開発等で培ったプロダクト提供力を軸とする当社の強みに加え、下記の新分野にも積極的に取り組んでまいります。さらに、これら当社の強みをベースに様々な業種・業態のお客様との経験・ノウハウを活かし、デジタル化による業務効率化や生産性向上にとどまらず、ビジネスモデル自体を変革する「DX」を推進し、ビジネスの拡大に取り組んでまいります。

 

(AI)

最先端の「AI」を活用し、経営的観点、ビジネス的観点、技術的観点からAIをインテグレーション、お客様に最適なサービスを提供してまいります。

 

(ロボット)

AIとロボティクス技術を結集した医療系事業者向け、クラウドファンディング運営会社等の非金融事業者向けシステムの開発及びサービスの提供をしてまいります。

 

(セキュリティ)

新たなテクノロジーの発展に伴う様々な脅威への対応を行うトータルセキュリティの提供で、お客様の安心と利益に貢献してまいります。

 

(クラウド)

新デジタル時代におけるEコマースの多様化、仮想空間の一般実用化、AIや高度通信技術の発展による様々な変革に寄与すべく、「次世代のデジタルコマースを創生する」ことをミッションとし、金融システム開発で培ったコア技術をベースとしたプラットフォーム/ソリューションを金融以外の分野のお客様へ最適なクラウドサービスを幅広く提供してまいります。

 

② 付加価値の高いシステムインテグレーションの推進

付加価値の高いシステムインテグレーションの推進として、当社の既存コア技術・資産の継続的な成長を図り、当基盤をベースに次世代金融、新デジタル時代を見据えたテクノロジーファースト型の企業成長の取り組みに更なる強化を図ってまいります。

 

③ 人材強化と受託開発事業の確実な成長

開発体制強化のための積極的な人材投資により、さらなる成長と付加価値向上を実現すべく、人材採用と早期育成に注力し、有力成長分野でのビジネス拡大を推進すると共に新たな高付加価値ビジネスを担う先端技術分野のスキルを持つ人材創出に取り組んでまいります。

 

(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社は1999年の創業以来、「情報通信技術で社会に貢献及およびお客様の繁栄に寄与し、最も信頼されるパートナー」であることを目指して品質向上と技術革新に努めてまいりました。

その上で、環境や需要の変化を捉えながら、高品質で高付加価値な製品・サービスをお客様に提供することが経営の基本方針を具現化するための施策のひとつであるとともに大切な理念でもあります。

当社は、これからの激しい環境の変化にも臆せず新しい取り組みにチャレンジし、今後更なる発展を遂げるために、2022年12月期から2026年12月期までの中期経営計画に取り組んでまいります。

当社は、この中期経営計画の達成に向けて全社一丸となって邁進するとともに、お客様の目線に立った製品開発と品質の更なる改善を行い、証券システム開発ベンダーとしての地位確立に努めてまいります。

 

① 技術革新への対応

当社を取り巻く情報サービス業界において、最新技術に対応することは常に重要な課題となります。スマートフォンやタブレットの普及はインターネットの利用をより身近なものとしましたが、同時にシステムの利用環境を多様化させました。当社といたしましても、それらスマートデバイスに最適な技術を追求し、顧客ニーズを満たす製品を提供してまいります。また、システム提供形態も、SaaSに代表されるクラウドを活用した「サービス提供型」に変化しつつありますので、クラウド化に対応したITテクノロジーの研究開発にも取り組んでまいります。

これらの技術力を基礎とした新たなソリューションを開発・提案することで当社の競争力を高め、新たな収益源の獲得に取り組んでまいります。

 

② 新たな柱となる事業の創出と育成

金融ソリューション事業と共に当社事業の両輪を担い、当社の更なる成長の原動力となる新たな柱となる事業創出に注力し、事業機会を探索してまいります。さらに新規事業を育成し、より飛躍させるための仕組みづくりに努めてまいります。

 

③ 環境変化に対応するための強い人材と組織づくり

技術革新がもたらす様々な環境変化の潮流は、当社を取り巻く情報サービス業界においても顕著であります。これらの環境変化に対応するためには、「各個人が自ら学び考え、これまでの考えに捉われない視点を持って取り組む、そして新しい課題にも積極的にチャレンジしお客様の視点に立って、常にお客様に満足していただけるサービスを提供していくために、既存技術の強化と並行して、新技術にも積極的にチャレンジしていく」という創新の考えのもと行動し、迅速に対応することが重要となります。

 

④ コーポレート・ガバナンスの強化

当社はコンプライアンスを遵守し、外部報告の信頼性を確保する内部統制システムを構築・運用することが、ステークホルダーに対する社会的責任を果たしていくことだと考えております。また、当社の企業価値を向上していくためには、経営の効率性を追求し、事業活動より生じるリスクをコントロールすることが必要であると考えております。当社はこれらの考えを実現させるために必要不可欠なコーポレート・ガバナンスの強化を今後も図ってまいります。

 

(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、安定的な事業拡大を通じて企業価値を向上させていくことを重要な経営目標と位置付けております。このため、売上規模の拡大は勿論、事業の収益力を占める営業利益、営業利益率を中長期的な経営の重要指標としており、その実現のために、安定と成長のバランスを重視し、経営の基本方針に則り、高収益体質を目指してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 (1)サステナビリティに関する考え方

当社グループは「エンドユーザーの視点にたって、高い信頼性と安全性を備えたシステム構築を目指し、金融資本市場の発展と豊かな社会の実現に貢献する」を経営の基本理念とし、IT業界のリーディングカンパニーを目指しております。

当社グループは、情報・通信技術の進化をお客様のニーズに合わせたソリューションの形で提供し、また、お客様の事業活動とその持続的な成長を支援することで、国際社会が目指すSDGsの達成に貢献してまいります。

当社グループは、従業員をはじめとしたステークホルダーの「彩りある未来」の実現を目指し、社会的存在意義をサステナブル推進方針と位置付けることで、サステナビリティへの取組みをより一層強化するとともに、経営の中核にサステナビリティ視点を導入し、事業成長と社会のサステナビリティへの貢献の両立を実現してまいります。

 

 (2)ガバナンスとコンプライアンス

  ①ガバナンス

 当社グループの経営理念を実現するためのコーポレート・ガバナンスの強化としており、複数名の社外取締役及び社外監査役による取締役会の監督機能の強化及び独立した組織である内部監査室による、業務執行の有効性及び違法性のチェック・管理を通して、経営の効率化、組織の健全化に取り組むとともに、管理本部経営企画部が経営の透明性を高めるために、株主や投資家に対して決算や経営政策の迅速かつ正確な公表や開示に取り組んでおります。なお、当社コーポレート・ガバナンスの詳細につきましては、「第4 提出会社の状況 4コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載の通りであります。

 

  ②コンプライアンス

 当社グループは、代表取締役社長を委員長として「コンプライアンス委員会」を設置し、企業の社会的責任について、社員が守るべき事項と行動指針をコンプライアンス規程において明確にしており、全役職員(派遣及びパート含)を対象とした年1回のコンプライアンス研修を実施しております。

 

 (3)戦略

①人材育成方針

  当社グループでは、年齢や性別、学歴や国籍等、様々なバックグランドを持ち、学ぶ意欲のある人材や潜在的に高い能力を持つ多様な人材が多く、それら多様な人材に当社独自の専門性に応じた様々なトレーニングプログラムによる教育の機会を提供するなど、人材育成に取り組んでおります。また、人材の育成は、教育に加え、人事制度の役割が重要であるとの観点から、賃金を含む人事制度の見直しを進め、人事制度を通じて会社が目指す方向と人材像を明確にし、社員のエンゲージメント向上に役立ててまいります。

 

②人権と多様性の尊重

  当社グループは「サステナビリティ方針」に基づき、人権の尊重及び自己啓発の推進を全社員に周知しておりますが、今後は社員と当社と関係のあるステークホルダーの皆様の人権と個性を大切にするために、LGBTQ+や障がいのある方々等への合理的配慮、男女共同参画の推進等、すべての社員にとって働きやすい環境づくりを確立し、ダイバーシティ社会への実現に向けて取り組んでまいります。

 

③健康経営

  当社グループは、従業員の健康・安全確保が、企業の持続的な発展にとって重要な課題であると認識し、安全で働きやすい職場環境の確保、従業員の心身の健康維持・増進等に努めるとともに、過重労働の防止といった労働安全衛生に関して適用される法令やルールを順守することで、従業員が安全に働くことができる職場環境づくりに取り組んでおります。また安心して働ける環境を整備するために、以下の取組みを行っております。

 

 ・年1回の定期健康診断

 ・産業医によるストレスチェック

 ・特定保健指導やインフルエンザワクチン接種補助

 ・セコム安否確認サービス(地震・その他災害)

 ・男女別休養室の設置

 

  当社グループは、従業員の健康を重要な経営方針の一つであると捉え、ワークライフ・バランス推進等により、従業員の健康保持・増進と生産性向上を推進しております。ワークライフ・バランスの推進の施策といたしましては、コロナ禍により導入されたリモートワークはその有効性を評価しつつ、当社グループは在宅勤務制度を設け、働き方改革の一つとして運営いたしております。また、子育て支援や介護支援のための時短勤務等、社員及び家族の健康課題に即した取り組みに努めております。

 

④セキュリティ

  当社グループは、情報産業に属する企業の責務として、自社及びお客様についても、個人情報ならびに企業情報漏洩についてのリスクと対応の重要性を認識しております。当社グループ内で発生したセキュリティインシデントについて、軽重に関わらず報告と評価を行い、情報リスク委員会においてリスクの洗い出しと対策に努めております。

 なお、当社が取得済みの認証は次の通りであります。

・プライバシーマーク

・ISO/IEC 27001(情報セキュリティマネジメントシステム)

 

⑤気候変動対策

  2020年10月に、政府は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルを目指すことを宣言し、2030年度の温室効果ガスの削減目標を表明しました。当社グループはソフトウエア受託会社という事業の特性上、当社グループにおける事業が直接気候変動へ与える影響は現時点においては軽微であると判断し、現時点では温室効果ガス排出量の把握を行っておりません。その一方で、当社グループにおける事業である情報産業界のお客様向けソフトウエア開発におきましては、お客様製品の省エネ・省資源、お客様の製造現場の省エネ・省資源に関する開発を数多く手がけており、お客様事業を通じて温室効果ガスの削減に努め、気候変動対策の一翼を担わせていただいております。今後は自社が排出する温室効果ガスの計測も視野にいれた排出量削減に向けた対策に取り組んでまいります。

 

 (4)リスク管理

 当社グループは、サステナビリティに関する事項を含むリスク管理が経営の重要課題であることを認識し、「リスク管理規程」及び「システムリスク管理基本規程」を定め、本規程の下、リスク・コンプライアンス委員会を設置し、当社グループ事業に係るリスクについて、適宜評価を行い、社会、経済環境等、当社グループ事業の変化に合わせ随時見直しを行っております。また重要なリスクについては、取締役会で報告され、今後の対策に向けた取り組みの強化に努めております。

 

 (5)指標及び目標

 当社グループとして、サステナビリティ関連のリスクに関する実績を長期的に評価、管理及び監視するために用いられる重要な指標や目標は現時点では特に定めておりません。当社グループの事業環境の変化や年次で行っているリスク項目の見直しにおいて必要と認められた場合には、適時必要な指標及び目標等を定めるものとしております。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは以下のとおりであります。また、必ずしも事業上のリスクに該当しない事項につきましても、投資家の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から記述しております。

記載したリスクはいずれも事業及び業績に影響を与えうる「重要なリスク」ですが、中でも中長期的な会社の経営戦略と関連性の高いリスクを「特に重要なリスク」として定義しております。当該リスクが顕在化する可能性の程度、時期につきましては、合理的に予見することが困難であるため具体的には記載しておりません。

なお、文中における将来に関する事項は、別段の記載のない限り当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであり、当社株式への投資に関連するリスク及び将来において発生する可能性のあるリスク等、すべてのリスクを網羅するものではありません。

 

(特に重要なリスク)

(1)戦略投資に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、従来の「開発・フロー型」から「利用型・ストック型」へとビジネスモデルの転換を推進していくにあたって、データセンター増強などの積極的な戦略的投資を継続して実施しております。早期のモデル転換と高収益体制の構築に取り組んでいるものの、利用者を十分に獲得できないために期待した収益が見込めない可能性や、標準化が進展しないために想定以上のコストを費やす可能性があるため、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

利用者の獲得にあたっては、営業活動においてはお客様のニーズを汲み取り、多様化する顧客ニーズに対応できるシステム利用サービスに取り組んでおります。また、利用型・ストック型のビジネスモデルに向けた業務の標準化をさらに推し進めてまいります。

 

(2)システム及びサービスの不具合等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの事業においては、サービス提供にあたりシステム基盤が重要な役割を果たしております。事業拡大による取り扱いデータ量の増大に対処し、安定的なシステム基盤の運用管理に対処していくため、当社グループでは、十分な安全対策が施されたクラウド基盤の活用を推進しており、機動的な拡張や運用管理の効率化に取り組むとともに、重要な情報システムやネットワーク設備については、これらの機器設備を二重化するなど障害対策に取り組んでおります。また、ファイヤーウォールによる外部からの不正アクセスの防止等によるセキュリティ対策に努めておりますが、このような取り組みにもかかわらず、アクセスの急激な増加やインターネット回線のトラブル、未知のコンピュータウイルスの発生、停電、自然災害等の予測困難な様々な要因によって、当社グループの提供したシステム及びサービスに不具合が発生した場合、顧客に機会損失又は利益の逸失を生じさせる可能性があります。さらに、それらが当社グループの責による重大な過失の場合、高額な損害賠償請求や著しい信用力の低下等を引き起こす可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループはシステム開発やサービスの提供にあたっては、システムリスク管理委員会において品質管理基準を設定するとともに、それを遵守することによって、製品及びサービスの信頼性及び安全性を確保・維持することに努めております。

 

(3)証券業界の動向と法的規制に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは証券業界を中心とした事業展開を行っておりますが、証券業界は景気や株式市況の影響を大きく受ける業界であります。そのため、景気減退や急激な市況変動などの事態が発生し、証券会社の業績が著しく悪化した場合には、IT設備投資方針が大きく減退する可能性があります。その場合には、受注の減少など、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。また、証券業界を取り巻く諸法令や規制の改正、慣行及び法令解釈等の変更があった場合、将来的に金融機関のシステムを制限する法令や規制が実施された場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

証券業界の動向を注視しながら受注予測を行い、また、その対策を検討しております。また、当社グループのシステム及びサービスを提供する範囲を証券業界以外にも広げることによって、証券会社の業績悪化に備えることにも努めております。

 

(4)技術革新への対応におけるリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、業界の高い専門的な知識とシステム構築ノウハウにより、安定した事業基盤を築いておりますが、当社グループが属する情報サービス業界においては、技術革新が非常に激しく、また、それに伴う顧客のニーズも常に変化をしております。今後、当社グループの想定外の急激な技術革新が起こり、その対応に遅れが生じた場合、当社グループの有する技術・サービスの陳腐化、業界における他社との競争力の低下などにつながり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは、技術革新の変化に迅速に対応すべく、積極的に最新の技術に対応したシステム及びサービスの開発を進めております。

 

(5)開発遅延によるリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの提供する製品やサービスは、顧客から他社差別化や社内業務都合などの理由で独自仕様を求められる事があり、その要求は詳細化・複雑化する傾向にあります。また、システム開発過程においても諸要件の増加・変更が発生する場合があります。新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けたことで、開発プロジェクトのスピードが鈍化するという形で、当該リスクが一部顕在化したものもあります。その結果、当初の見積り以上の想定外の作業工数の増加が発生した場合、プロジェクトの採算が悪化し、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。また、何らかの当社グループ都合の理由による納期遅延が発生した場合には、多額の損害賠償請求等を受ける可能性もあり、当社グループの信頼性が損なわれ、業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

プロジェクト管理の徹底を図ることによって柔軟に人員を配置するとともに、大型プロジェクトにも対応できるエンジニアを増加させるために人材育成にも注力してまいります。

 

(6)四半期毎の業績の変動について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの売上は、システムの開発と、保守・運用・クラウドサービス利用料で構成されております。保守・運用・クラウドサービス利用料におきましては、契約に基づいて月次で売上高を計上しているため、四半期毎の業績に大きな変動はありませんが、開発案件におきましては、開発規模の大きな製品の納入及び多くの製品の納入が同時期となる場合があります。一方で、開発規模の小さな製品しか納入されない時期もあり、四半期毎の売上高は平準化されないことがあります。そのため、四半期決算の業績はその影響を受け著しく変動することがあり、場合によっては営業損失を計上する可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは、ストック型ビジネスモデルへの転換を推進し、クラウドサービス等のストック型収入の拡大により売上の平準化に努めてまいります。

 

なお、当社グループの最近3事業年度の四半期別売上高は下記のとおりであります。

2021年12月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高(千円)

474,141

604,457

576,657

898,430

2,553,687

構成比(%)

18.6

23.6

22.6

35.2

100.0

 

2022年12月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高(千円)

1,009,784

797,112

753,365

710,648

3,270,911

構成比(%)

30.9

24.4

23.0

21.7

100.0

 

2023年12月期

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期

売上高(千円)

998,068

608,778

968,409

1,178,586

3,753,841

構成比(%)

26.6

16.2

25.8

31.4

100.0

(注)2022年12月期より連結財務諸表を作成しているため、2021年12月期については提出会社の売上高を記載しております。

 

  (7)収益認識に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループは、受託開発にかかる売上について、契約に応じて、主に検収により成果物の支配が顧客に移転した時点で履行義務が充足されたと判断し、収益を認識しておりますが、契約の複雑性等から、収益認識時点について謬が発生する恐れがあり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは内部統制の充実に努めるとともに、内部監査部門や財務経理部部門によるチェックを実施しております。

 

(重要なリスク)

(1)特定の販売先の依存について

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの主要取引先への売上が50%以上を占める場合があり、主要取引先の経営方針等の変更により取引が打ち切りになった場合や取引金額が引き下げられた場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社グループは、新規顧客開拓に注力し取引先の分散化を図り、売上の平準化を図ってまいります。

 

(2)人材の確保・育成に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループの事業はシステム開発を行う技術者の人員数や能力に大きく依存するため、優秀な人材の確保、育成が想定どおりに進まない場合や、十分かつ適切な人員が確保されない場合に、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

継続的に事業を展開し成長していくために、今後も積極的な採用活動を行うとともに、人材の育成を推進してまいります。また、プロジェクトマネジメント力の更なる強化や金融知識や技術教育の充実・強化を通じて、顧客のニーズに応えるための提案力や技術力を育成することで自社開発力を高めてまいります。

 

(3)外注先に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループのシステム開発は、基本的には当社グループ従業員にて対応しており、常に自社の人材の確保・育成に注力しておりますが、大規模案件や複数案件などの発生により開発の規模が当社グループの想定を上回った場合や当社グループの従業員で対応するより原価の低減を期待できる場合には、外注先からの技術者による対応を行っております。しかしながら、当社グループの必要に応じた技術者が確保できなかった場合や技術者の技術レベルが当社グループの要求を維持できなかった場合、若しくは、何らかの理由で外注先が当社グループとの取引を継続できなかった場合など、受注が想定どおり遂行できなかったときには、当社グループの信頼は失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、業界全体で技術者不足などの理由により外注単価が高騰し、外注費用が当社グループの想定を大幅に上回った場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

外注先との安定的な取引関係を保ち、新規外注先の開拓に努め、技術者の不足に対応してまいります。また、積極的な採用活動や教育研修を通じ、優秀な人材の確保・育成に努め、外注先に依存しない体制を整備してまいります。

 

(4)知的財産権の侵害等に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループが開発・設計するソフトウエアやプログラムについて、当社グループの認識していない範囲で知的財産権が成立していた場合、当社グループは第三者の知的財産権を侵害する可能性があります。また、これが訴訟等に発展した場合には、損害賠償、使用差し止め請求、ロイヤリティの支払い要求等により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

第三者の知的財産権を侵害しないよう当社グループが運営する事業の製品の機能、デザイン、呼称に関する知的財産権の獲得に努めるとともに、第三者の知的財産権の侵害の可能性については、顧問弁護士及び特許事務所との連携により可能な範囲で対応は行っております。なお、当連結会計年度末現在において、過去に第三者から知的財産権の侵害に関して訴訟を提起されたことはありません。

 

(5)個人情報及び機密情報等の管理に関するリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社グループでは、業務執行上、個人情報及び機密情報等を保持しています。万が一、外部からの悪意による不正アクセス行為、従業員の故意又は過失による不正利用、製品の重大な不具合等による重要情報の漏洩、紛失、消失、改ざんなど、想定外の事象が発生した場合、当社グループの信用は著しく失墜し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社では、個人情報保護規程及び情報セキュリティ管理基本規程を定め、全従業員に対し周知・教育を行うなど、これら重要情報の厳格な管理を行っております。また、当社は2013年にプライバシーマークを取得しており、有価証券報告書提出日現在まで継続しております。

 

(6)自然災害、電力供給及び感染症等によるリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社の本社事業所及びデータセンターは、東京都内に拠点を有しております。また、当社の顧客も主に首都圏を中心に営業拠点を構えており、万が一、地震・津波等の大規模な自然災害やそれに起因する大規模停電、電力不足等予期せぬ事態が発生した場合、当社の業績や事業活動に大きな影響を及ぼす恐れがあります。さらに、新型コロナウイルスをはじめとした感染症の拡大を受けて、開発プロジェクトのスピード鈍化や新規案件獲得のための提案活動の遅れなどが生じる可能性があります。

[リスクへの対応策]

当社は、新型インフルエンザ感染症や新型コロナウイルス感染症に関しては、その感染拡大へ対応するため、全社危機管理対策として管理本部人事総務部においてマスク・消毒液等の衛生用品の確保、従業員へのマスク着用などの衛生管理の教育・啓蒙の徹底及び在宅勤務の推進等、従業員への罹患リスク逓減に取り組んでおります。

また、南海トラフ巨大地震や首都圏直下地震などの大規模な地震をはじめとする災害が発生した場合、当事務所では電力停止及び電力不足に対する自家発電設備の導入が施されており、災害などに備え、必要とされる安全対策や事業継続・早期復旧のための対策を進めております。

 

(7)小規模組織によるリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

2023年12月末現在、当社(提出会社)の従業員数は128名(臨時雇用者を除く)と小規模で事業展開しており、業務遂行体制や内部管理体制も現在の組織に応じたものになっております。役職員の業務遂行上支障が生じた場合、あるいは役職員が社外流出した場合には、当社の業務に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。また、採用を通じて業容の拡大に伴い、社内で適切な情報が生成されない場合や適時に伝達されない場合には、事業活動が円滑に遂行されない結果として業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

今後も事業規模に応じて業務遂行体制及び内部管理体制の一層の充実に努める方針であります。また、金融知識や技術を有する人材の採用と教育に継続して努めていくことで、業務遂行に影響が及ぶリスクの低減に努めております。さらに、内部統制の適切な整備と運用及び適時の更新によって、業務を属人化させず仕組み化することに努めてまいります。

 

(8)特定人物への依存によるリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社代表取締役社長である浅見勝弘は、証券システム開発業務及びそれに付随する特有の管理業務に関する豊富な経験と知識を有しており、当社の経営方針及び経営戦略の決定において重要な役割を果たしております。しかしながら、予期せぬ事情により、当該代表取締役社長が経営に携わることが困難になった場合には、当社の業務に支障をきたし、業績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

組織体制の整備を図り、特定の経営者に過度に依存しない体制の構築に努めております。

 

(9)関係会社株式及びのれんの減損によるリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社の保有する関係会社株式の実質価額が取得原価よりも著しく下落し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合、減損損失が計上され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

また、企業買収に伴って取得した子会社の将来の超過収益力として連結財務諸表にのれんを計上し、その効果の及ぶ期間にわたり償却を行っております。のれんの回収可能性については、子会社の業績や将来の事業計画を基に判断を行っておりますが、市場環境の悪化等により当初想定していた超過収益力が見込めなくなった場合には、のれんの減損損失が計上され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

関係会社の業績や財政状態をモニタリングし、減損の兆候の早期把握に努めております。

 

(10)投資有価証券の減損によるリスク

[リスクの内容と顕在化した際の影響]

当社は事業上の関係構築や取引関係の維持強化等を目的とした投資有価証券を保有しております。市場価格の変動や発行会社の財政状態の悪化により、投資有価証券の時価又は実質価額が取得原価よりも著しく下落し、かつ、回復する見込みがないと判断した場合、減損損失が計上され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

[リスクへの対応策]

定期的に時価や発行会社の財政状態を把握し、減損の兆候の早期把握に努めております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

①経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、円安による原材料高や人手不足に対応するための賃金上昇が企業業績の圧迫要因となる一方で、コロナ禍による経済社会活動への制約がほぼ解消されたことにより、個人消費やインバウンド需要の回復による内需を中心とした緩やかな景気回復が続いております。企業による前向きな設備投資が国内の景気を押し上げる中、国内のICTサービス市場は、既存システムの刷新やクラウドサービスへの移行、DX(デジタル・トランスフォーメーション)推進に関する需要が拡大し、底堅い成長を続けております。

 当社グループの属する情報サービスにおいては、競争力強化を狙いとした事業基盤の拡充、また、DXが進む中、全ての企業において生産性向上のためのデジタル化関連投資のほか、AI技術を活用した次世代テクノロジーへの対応等、IT投資需要は堅調に推移しています。

 このような状況下において、当社グループは中期経営計画の基本方針「情報通信技術で社会に貢献及びお客様の繁栄に寄与し、最も信頼されるパートナー」のもと、お客様に技術を提供するパートナーから企業変革をともに推進するパートナーへの領域を拡大し、事業の成長と変革を加速するとともに、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいます。当社はソフトウエアベンダーとして、自社内の情報資産やリスクを適切に管理することが責務であることから、情報資産の「気密性」「安全性」「可用性」を維持し、利害関係者に対する強固な信頼関係を構築するためにもISMSの認証取得が不可欠と捉え、2023年3月27日に認証を受けております。また、システム統括本部において新たにIT統制室を設け、情報セキュリティの強化及びシステムリスク管理体制の強化を図るために人員体制の強化も同時に進めて参りました。当社グループの業容の拡大による人員増加に伴うオフィス拡張と業務の効率化及びコスト削減を目的として本社移転をいたしました。

 以上の結果、当連結会計年度における業績は、売上高3,753,841千円(前年同期比14.8%増)、営業利益31,281千円(同90.2%減)、経常利益41,250千円(同87.4%減)、親会社株主に帰属する当期純損失53,301千円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純利益200,297千円)となりました。

 なお、当社グループはシステム開発事業及びこれらの付帯業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しておりますが、各事業区分別の状況は以下のとおりであります。

 

(金融ソリューション事業)

 金融ソリューション事業におきましては、新NISA(少額投資非課税制度)及び米国株ネット取引システム等のサービス提供により、売上高は2,805,297千円(前年同期比2.6%減)となりました。

 

(FXシステム事業)

 FXシステム事業におきましては、当事業の主力商品であります「TRAdING STUDIO」のスマートフォンアプリのリリースの遅れにより売上は減少したものの、引き続きCFD(差金決算)システムサービスの提供は順調に推移した結果、売上高は184,054千円(前年同期比15.4%増)となりました。

 

(セキュリティ診断事業)

 セキュリティ診断事業におきましては、自社開発製品であります「SecuAlive」の新しい機能追加の取組みの遅れにより、一部顧客の契約が遅延となった結果、売上高は25,371千円(前年同期比39.1%減)となりました。

 

(デジタルコマース事業)

 デジタルコマース事業におきましては、新しいサービスの取組みを図るために、人員の増強及び広告等を含めたインフラ設備の強化を継続して進めており、①クラウドECプラットフォーム「Emerald Blue」機能追加、②メタバースを次世代のデジタル経済圏と捉え、リアル経済圏とメタバース経済圏の確立等の取組み強化に努めてまいりました。その結果、売上高は130,520千円(前年同期比123.1%増)となりました。

 

(ソフトウエア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業)

 ソフトウエア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業におきましては、製造・生産管理システム、販売管理システム、営業支援システム等のコア事業に加え、引き続き金融ソリューション事業との協業による金融システム領域への取組みによる売上は堅調に推移しております。また、新たな取り組みとしたSalesforceによる開発業務の既存及び新規顧客開拓は順調に推移した結果、売上高は228,781千円(前年同期比74.6%増)となりました。

 

(基幹サーバー・ネットワーク設計及び構築、システム運用のコンサルティング事業)

 ICTソリューションサービスを運用する上で不可欠なサーバー・ネットワーク設計及び構築等を電力・ガス・通信等様々な事業にシステムサービス(SES)の提供及び運用のコンサルティング事業とし、当第3四半期より連結子会社(ペガサス・システム株式会社)を中心とした事業構成となっております。継続的なSES契約についても順調に推移した結果、売上高は379,815千円となりました。

 

事業区分別売上高

 

事業区分

第 25 期

(2022年12月期)

(前連結会計年度)

第 26 期

(2023年12月期)

(当連結会計年度)

前連結会計年度比増減

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

構成比

(%)

金額

(千円)

増減率

(%)

金融ソリューション事業

2,880,315

88.0

2,805,297

74.7

△75,018

△2.6

FXシステム事業

159,430

4.9

184,054

4.9

24,624

15.4

セキュリティ診断事業

41,644

1.3

25,371

0.7

△16,272

△39.1

デジタルコマース事業

58,506

1.8

130,520

3.5

72,013

123.1

ソフトウエア受託開発及びITコンシェルジュサービス事業

131,013

4.0

228,781

6.1

97,767

74.6

基幹サーバー・ネットワーク設計及び構築、システム運用のコンサルティング事業

379,815

10.1

379,815

合計

3,270,911

100.0

3,753,841

100.0

482,930

14.8

 

 

 

②財政状態の状況

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は前連結会計年度末と比べ469,952千円増加し、1,824,086千円となりました。これは主に売掛金が増加したことによるものです。固定資産は前連結会計年度末と比べ394,760千円増加し、1,219,252千円となりました。これは主に本社移転に伴い有形固定資産が増加し、また、子会社株式の取得によりのれんが増加したことによるものです。この結果、総資産は前連結会計年度末と比べ864,712千円増加し、3,043,338千円となりました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は前連結会計年度末と比べ508,395千円増加し、1,047,655千円となりました。これは主に本社移転に伴う未払金が増加し、また、1年内返済予定の長期借入金が増加したことによるものです。固定負債は前連結会計年度末と比べ434,287千円増加し、610,484千円となりました。これは主に長期借入金が増加したことによるものです。この結果、総負債は前連結会計年度末と比べ942,683千円増加し、1,658,140千円となりました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は前連結会計年度末と比べ77,971千円減少し、1,385,198千円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことによるものです。この結果、自己資本比率は45.5%となりました。

 

③キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は前連結会計年度末と比べ97,246千円減少し、591,045千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果使用した資金は207,108千円(前年同期は399,769千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失58,908千円の計上、売上債権の増加額491,554千円があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は404,751千円(前年同期は252,604千円の支出)となりました。これは主に、敷金及び保証金の差入による支出175,926千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出271,926千円があったことによるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果得られた資金は514,612千円(前年同期は261,419千円の支出)となりました。これは主に、長期借入れによる収入550,000千円があったことによるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

当社グループは証券システム開発事業及びこれらの付帯業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に代えて事業の区分別に記載しております。

 

a.生産実績

当社グループは、生産実績を定義することが困難であるため、生産に関する事項は記載しておりません。

 

b.受注実績

当連結会計年度の受注実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

 当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

事業の区分

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

金融ソリューション事業

2,961,824

0.9

865,503

22.1

FXシステム事業

188,704

16.4

21,300

27.9

セキュリティ診断事業

25,371

△39.1

デジタルコマース事業

165,410

95.5

60,990

133.7

ソフトウエア受託開発及び

ITコンシェルジュサービス事業

228,781

74.6

基幹サーバー・ネットワーク設計及び構築、システム運用のコンサルティング事業

379,815

合 計

3,949,908

22.5

947,793

26.1

(注)金額は販売価格によっており、事業間の取引については相殺消去しております。

 

 

c.販売実績

当連結会計年度の販売実績を事業ごとに示すと、次のとおりであります。

事業の区分

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

 至 2023年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

金融ソリューション事業

2,805,297

△2.6

FXシステム事業

184,054

15.4

セキュリティ診断事業

25,371

△39.1

デジタルコマース事業

130,520

123.1

ソフトウエア受託開発及び

ITコンシェルジュサービス事業

228,781

74.6

基幹サーバー・ネットワーク設計及び構築、システム運用のコンサルティング事業

379,815

合 計

3,753,841

14.8

(注)1.事業間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

 至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

 至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

auカブコム証券株式会社

575,704

17.6

817,979

21.8

松井証券株式会社

413,104

12.6

417,751

11.1

岩井コスモ証券株式会社

469,312

14.3

411,434

11.0

株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイド

448,379

13.7

3.当事業年度の株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドに対する販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10未満のため記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照下さい。

 

b.経営成績の分析

(売上高)

当連結会計年度の売上高は、3,753,841千円となりました。主な要因については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

(売上原価、売上総利益)

当連結会計年度の売上原価は3,000,158千円となりました。主な内訳は、労務費1,007,251千円、外注加工費1,684,896千円であります。

以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は753,683千円となりました。

 

(販売費及び一般管理費、営業利益)

当連結会計年度の販売費及び一般管理費は722,401千円となりました。主な内訳は、役員報酬113,787千円、給料手当195,526千円、地代家賃60,817千円であります。

以上の結果、当連結会計年度の営業利益は31,281千円となりました。

 

(営業外収益、営業外費用、経常利益)

当連結会計年度の営業外収益は15,518千円となりました。主な内訳は、助成金収入7,712千円、有価証券売却益3,376千円であります。

当連結会計年度の営業外費用は5,549千円となりました。主な内訳は、保険解約損3,298千円、支払利息1,800千円であります。

以上の結果、当連結会計年度の経常利益は41,250千円となりました。

 

(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)

当連結会計年度の特別損失は100,159千円となりました。内訳は、すべて本社移転費用であります。

以上の結果、当連結会計年度の税金等調整前当期純損失(△)は58,908千円となりました。また、親会社株主に帰属する当期純損失(△)は、53,301千円となっております。

 

②経営成績に重要な影響を与える要因についての分析

当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向及び業界動向を注視しつつ、技術革新への迅速な対応を行うために、優秀な人材の確保及び適切な教育を実施するとともに、事業体制及び内部管理体制を強化し、社会ニーズに合ったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に対し適切な対応を行ってまいります。

 

③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの概要につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。

当社グループの資金需要のうち主なものは、当社グループの主たる事業であるシステム開発・保守・運用に係る人件費、外注加工費等の運転資金及びM&Aのための投資であり、これら資金は自己資金及び銀行からの借入金で充当することを基本方針としています。

当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、現金及び現金同等物に加え、取引銀行と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、営業活動上必要な流動性を確保しているものと考えております。

なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は591,045千円となっております。

④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、営業利益及び営業利益率を中長期的な経営の重要指標としております。

当連結会計年度におきましては、営業利益は31,281千円、営業利益率は0.8%となりました。中長期的な企業価値向上のため、引き続き収益力向上を目標とした経営施策の実施に取り組んでまいります。

 

⑤重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しております。連結財務諸表の作成に当たりましては、決算日における財政状態、経営成績に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績、又は現在の状況下で最も合理的と判断しておりますが、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。

当社グループの重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

当連結会計年度において、新たに締結した経営上の重要な契約等は、次のとおりであります。

 

(株式譲渡契約及び株式交換契約)

当社は、2023年6月16日開催の取締役会において、ペガサス・システム株式会社の株式を取得し、その後当社を完全親会社、対象会社を完全子会社とする株式交換を行うことを決議し、同日付で株式譲渡契約及び株式交換契約を締結いたしました。

詳細は、「第5  経理の状況  1 連結財務諸表等  (1)連結財務諸表  注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりであります。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。