第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営方針、経営戦略等

 当社グループは、「お客様に対して常に新しい価値を提供し続ける」を使命に、安定かつ持続的な成長を目指してまいります。社名と同様にIT業界の「ベース」つまり基礎となるべく「モノづくり」・「運用保守」領域をメインターゲットと定め、「モノづくり」・「運用保守」領域での競争力を高めるために、以下の3点に取り組んでまいります。

① 業界の最先端を行く技術力の強化

② お客様の要望に素早く応えられる機動力・動員力の強化

③ 安心を実感して頂ける品質・サービスレベルの強化

 この3点に加え、④安定性の強化と⑤売上の拡大を重点戦略として策定しております。

<重点戦略>

① 業界の最先端を行く技術力の強化

 IoT、クラウド、RPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務の自動化)、FinTech等、最新の技術に対する研究・習得を推進してまいります。また、技術力の高い中国人技術者が多く在籍するという優位性を最大限に活かし、既存技術に関してもより高いレベルを目指し、生産性向上に繋げてまいります。

② お客様の要望に素早く応えられる機動力・動員力の強化

 会社に対する帰属性向上の取り組みと、株式上場によって得られた社会的信頼度向上やファイナンス手法を活用し、規模の拡大を目指します。並行して、組織をフラット化し、現場にいる幹部社員の裁量で迅速な意思決定を可能にすることで、お客様にスピードを感じて頂ける企業を目指します。

③ 安心を実感して頂ける品質・サービスレベルの強化

 意識教育の徹底と、プロジェクトの管理手法、マネジメント手法に関する教育を強化し、品質管理の方法や、問題が発生した際のリカバリ手法を実践することで、品質向上に繋げてまいります。

④ 安定性の強化

 運用保守案件や社員支援サービス等の継続的な受注が見込めるストックビジネスを増やしていくことで、外部環境に比較的影響を受けにくい安定した事業基盤の構築を目指します。

⑤ 売上の拡大

 売上の拡大余地の大きい大手システムインテグレータとの取引比率を上げることで、成長可能な基盤を整え、新規領域の案件に参画することで売上拡大に繋げてまいります。

 

(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標

 当社グループは、持続的な成長を図っていく方針であり、企業の成長と社員及び株主への還元のためには、利益成長が最重要と捉えております。そのため、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としては、営業利益を用いております。

 

(3)経営環境

 当社グループが属する情報サービス業は、新型コロナウイルス感染症の規制が大幅に緩和されたことによる経済の正常化やITを含む設備投資が増加傾向にあるなかで、企業価値や競争力向上を目的とした「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」の流れがさらに加速し、IoT、クラウド、RPA(Robotic Process Automation、ロボットによる業務の自動化)等の先端技術を活用したIT投資の需要は堅調に推移すると見込まれます。

 社会的にITへのニーズ・期待が高まっているため、経営環境としては領域拡大のチャンスがあると分析しております。IoT、クラウド、RPA、FinTech等をキーワードに、技術力を高め、それを武器に社会的なニーズに対応していく考えであります。

 一方で、技術者不足が業界の深刻な課題となっております。当社グループは日本、中国の双方の人材が活躍できるという強みを活かし、人材確保を行ってまいります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題としては以下の事項を認識しております。

① 既存顧客の深耕及び主要顧客の拡大

 安定した持続的な成長を続けるためには、顧客基盤の拡大が必要だと考えています。現在の主要顧客に対しては、これまでの長年の取引によって蓄積したノウハウと信頼関係をもとに、新たな領域の受注等、更なる深耕を図ってまいります。加えて、大手システムインテグレータをターゲットに要員の集中投入などを図り、新たな柱となる主要顧客の拡大も目指してまいります。

 

② 人材の確保

 当社グループ事業を継続的に拡大していくためには、専門性を有する優秀な人材を安定的、かつ機動的に確保することが必要不可欠と考えています。そこで当社では、外国籍社員が多いという強みを活かしたダイバーシティを推進し、日本新卒採用、中国新卒採用、日本中途採用、中国中途採用それぞれに対してターゲット別に最適な採用戦略を講じてまいります。また、新型コロナウイルス感染症等によるパンデミックの発生により海外との往来について一定の制限が行われる可能性があり、状況に応じて日本国内での採用及びビジネスパートナーとの連携を強化することにより、人材を確保してまいります。

 

③ 品質・サービスレベルの向上

 継続して受注を得るには、常に安定した品質とサービスを提供し、お客様に安心して頂くことが重要になります。品質・サービスレベルの向上に向けて、意識教育の徹底や品質管理方法の教育を強化してまいります。加えて、受注前の見積り審査や受注後のプロジェクト進捗確認等をアシュアランス室が行うことで、現場のみではなく、第三者によるチェックを通じて、品質・サービスレベルの向上を図ってまいります。

 

④ 最新技術の習得

 当社グループ事業を取り巻く環境は急速に変化しており、お客様に対して、常に新しい価値を提供するためには、最新の技術を含めた専門性を有する優秀な人材が必要と認識しています。技術動向などを常に注視し、生成AI技術(Chat GPTなど)、クラウド技術(Amazonが提供するAWS及びMicrosoftが提供するAzureなど)、SAP、RPAなどの技術習得及び「DX」と親和性の高いアジャイル開発手法や証券業務など高付加価値に繋がる業務知識に的を絞って教育を行うとともに、関連資格取得者数の増加も図ってまいります。

 また、当社ではオープン系技術者にERP等のソリューション系技術を習得してもらい、技術領域の幅を広げるマルチタレント化を推進しております。

 

⑤ リーダー層の育成

 売上拡大に伴い、案件数や大型案件も増加し、ビジネスパートナーの活用も大幅に増加しています。そのため、マネジメントスキルを持ったリーダー層の育成が急務となっています。これまでの教育研修制度にプラスし、リーダーを目指す社員に特化した研修及び現場でのマネジメント経験をさせる取り組み等を通して、リーダー層を充実させてまいります。

 

⑥ 経営管理・内部管理体制の強化

 経営に対する公平性及び透明性の担保、また、会社経営を脅かす問題・違反を防止し、法令・企業理念が遵守できる組織にするために、経営管理体制・内部管理体制の強化が重要と認識しております。外部講師による教育等も含めて、引き続き公平性と透明性、効率性、並びに、健全性を保つことができる組織を維持するために、コーポレート・ガバナンスの体制強化に取り組んでまいります。

 

⑦ 働き方改革の推進

 働きやすい環境を整え、社員のワーク・ライフ・バランスやモチベーションの向上を図ることは、結果として社員の生産性や帰属性を高め、優秀な人材の確保に繋がると考えているため、働き方改革の推進は重要課題と認識しております。これまで、「社員を大事に」のスローガンのもと1on1実施等の取り組みを行っており、引き続き従業員主体のキャリア構築の仕組みづくりや有給休暇取得率の向上、長時間労働の抑制等に注力してまいります。

 

⑧ ESG・サステナビリティの推進

 当社は企業指針の一つに「ITを生業とする企業活動を通じて、社会が抱える様々な問題解決に貢献」することを掲げているとおり、現在世界規模で深刻化している環境問題や経済・社会問題などの解決に貢献するべく、ESGの課題に対して真摯に取り組んでいく必要があると考えております。

 また、ESGの課題に取り組むにあたり、対応方針や実施状況に関して積極的な情報開示を行うことにより、企業の持続可能性(サステナビリティ)や中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度において当社グループが判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ共通

① ガバナンス

 当社グループは、サステナビリティ基本方針を以下のように定め、企業の持続可能性(サステナビリティ)や中長期的な企業価値の向上を実現してまいります。

<サステナビリティ基本方針>

 当社は企業指針の一つに「ITを生業とする企業活動を通じて、社会が抱える様々な問題解決に貢献」することを掲げているとおり、世界規模で深刻化している環境問題や経済・社会問題等の解決に貢献するべく、ESGの課題に対して真摯に取り組んでまいります。また、ESGの課題に取り組むにあたり、対応方針や実施状況等に関して積極的な情報開示を行うことにより、企業の持続可能性(サステナビリティ)や中長期的な企業価値の向上を実現することといたします。

 

 サステナビリティ関連のガバナンス体制については、総合企画部を所管部門として、サステナブル経営を推進するための具体的な施策の取りまとめや実施状況の確認、役員のみが参加する経営会議において議論・評議等を行っております。取締役会は、経営会議で議論・評議された事項の報告を受け、当社グループの環境問題への対応方針及び実行計画等についての議論・決議、ならびに監督を行っております。

 

 マテリアリティ(ESG重要課題)の特定、およびリスク管理プロセスは以下のとおりです。

 <マテリアリティの特定プロセス>

Step1:課題の洗い出し

総合企画部において、各種サステナビリティ指標等を参考にして課題を抽出します。

Step2:優先順位付け

「社会における重要性」と「当社グループの事業における重要性」の観点から優先順位付けを行います。

Step3:妥当性の確認とマテリアリティの特定

経営会議での議論・評議の結果を受け、取締役会においてマテリアリティを特定します。

 

 <リスク管理プロセス>

 ■ リスクの評価・識別

   ・総合企画部において、「影響度」と「発生確率」の観点によりリスクを4段階で評価します。

   ・取締役会において評価結果の議論、決議を行います。

 ■ リスク管理

   ・総合企画部において、特定したリスクごとの対策を実施します。

   ・取締役会において、実施状況の報告を適宜行います。

 

 なお、サステナビリティ関連のガバナンスを包含するコーポレート・ガバナンスの状況については、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

② 戦略

 特定したマテリアリティに対してサステナビリティ基本方針に則り、取り組みを実施しております。

 

マテリアリティ

E(環境)

 

気候変動への対応

S(社会)

 

IT人材の確保・育成

 

従業員の健康と安全

 

ダイバーシティ&インクルージョン

G(ガバナンス)

 

リスク管理

 

 

③ リスク管理

 「(1) サステナビリティ共通 ①ガバナンス」に記載する「リスク管理プロセス」のとおりです。

 

④ 指標と目標

 後述する「(2) 気候変動 ④指標と目標」「(3) 人的資本 ④指標と目標」のとおりです。

 

(2)気候変動

① ガバナンス

 「(1) サステナビリティ共通 ①ガバナンス」に記載のとおりです。

 

② 戦略

 上述「(1) サステナビリティ共通 ②戦略」に加え、以下のような取り組みを行っています。

<気候変動への対応>

 [ 認識 ]

 持続可能な社会を目指すうえで、地球環境保全に向けた気候変動問題の解決は国際的な重要課題です。

 「世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える」「世界の温室効果ガス(GHG)排出量をピークアウトさせ、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と吸収量のバランスをとる」の2つを世界共通の長期目標とした2015年のパリ協定を批准した日本政府も「2030年 GHG排出量 2013年比46%削減」「2050年 カーボンニュートラル実現」を宣言しました。

 脱炭素社会への移行は、「ITを生業とする企業活動を通じて、社会が抱える様々な問題解決に貢献」することを企業指針の一つとしている当社にとっても責任をもって取り組むべき重要な課題と認識しております。

 [ 対応 ]

 当社は、2022年4月4日に東京証券取引所の新市場区分「プライム市場」へ移行いたしました。

 2021年6月に改定されたコーポレートガバナンス・コードにおいて、プライム市場の上場企業はTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)又はそれと同等の国際的枠組みに基づく気候変動開示の質と量の充実が求められており、当社グループはこれに則り対応を行っています。また、2022年よりCDP質問書への回答を開始しております。

 

A. 電気使用量の削減

 ・ 再生可能エネルギーの利用

 当社では、2023年4月よりオフィスの電力の一部を再生可能エネルギーへの段階的に切り替えを開始いたしました。

 ・ クールビス、ウォームビズの実施

 適切な温度での空調使用と各自の判断による快適で働きやすい服装に取り組むことにより、省エネに寄与するとともにCO2排出量削減に貢献します。

 

B. 紙使用量の削減

 ・ Web会議推進に伴う資料の電子化

 新型コロナウイルス感染症拡大防止策としてWeb会議の推進を行い、それに伴い、会議資料の電子化を推進します。

 ・ 保管資料の電子化

 主にバックオフィス部門にて紙資料の棚卸を実施し、不要なもの、データ化ができるものを識別し、可能な限りペーパーレス化を図っています。

 

C. 廃棄物の削減

 ・ 紙資源のリサイクル化

 機密書類等を抹消処理するにあたり、リサイクル処理を実施しています。株式会社日本パープルの提供する機密抹消サービス「保護(まもる)くん」を利用し、2023年の二酸化炭素排出抑制量は232.2Kg、森林伐採抑制量 8.1本に相当します。

※ 廃棄物の焼却処理に伴う二酸化炭素排出量から株式会社日本パープルの事業活動に伴う二酸化炭素排出量を控除して算出

 

D. テナントとしてのビル管理会社とのエンゲージメント

 当社では、テナントとして入居するオフィスの電力利用状況についても電力使用量及び温室効果ガス排出に関する意識を有することが重要であると考え、テナント契約相手の秋葉原UDXに対して、温室効果ガス排出量の削減目標および施策などをヒアリングし、以下のような回答を得ています。

削減目標など

期間:2020年度から2024年度

平均削減義務率:27%(目標)

施策

[ ビル全体(主に共用部において)の取り組み ]

・ 建築環境総合性能評価システムにおけるCASBEE-不動産のSラン

  ク評価を取得(2023年9月29日)

・ 空調設定温度を省エネモード(室内推奨温度目標/夏季:28℃、

  冬季:20℃)

・ 通期でエレベータの夜間、休日の運転台数調整

・ 通期でエスカレータの運転台数、運転時間調整

・ トイレの温水洗浄の温度調整(夏季)

・ 便座ヒーターOFF、洗面台手洗い給湯器の電源OFF(夏季)

・ 通期で共用部の照明間引き、共用部の部分的なLED

[ 入居者(専用室内において)の取り組み ]

・ 照明の間引き、昼休み時間の照明消灯

・ ブラインドの有効活用

・ 各個人で使用するIT機器の省エネモード設定

 

 今後、共用部及び専用部のLED化を進めることで、さらなる削減に努める。

 

再生エネルギーの使用

 2022年4月より、共用部において再生可能エネルギーの利用を開始している。

(2023年12月31日現在)

 

E. エコバッグの配布

 全社員にとどまらず、協力会社社員にもエコバッグを配布し、意識醸成に努めています。

 

③ リスク管理

 当社では、気候変動リスクについて、以下の手順で分析、評価、管理を行っています。

- リスクの洗い出し

 総合企画部において、気候変動対策をしなかった場合に想定されるリスクを洗い出します。

- リスクの発生確率と影響度の定義(見直し)

 リスクの発生確率と影響度をそれぞれ4段階に分類して定義します。

発生確率: 極めて低い(20%未満)、低~中(20~50%未満)、中~高(50~80%未満)、

      ほぼ確実(80%以上)

影響度 : 売上高の0.1%未満、売上高の0.1~1%未満、売上高の1~10%未満、

      売上高の10%以上

- リスクマトリックスへのリスクプロット

 総合企画部において、洗い出したリスクをリスクマトリックスにプロットします。

- リスクの優先順位付け

 総合企画部において、プロットした位置よりリスクの優先順位付けを行います。

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<想定される主なリスク>

a. 投資対象から除外される

・ 投資対象から除外され株価が10%下落すると仮定した場合、時価総額の減少額は売上高の30%以上

b. パートナー選定されない

・ 主要顧客の半数からパートナー選定されなかったと仮定した場合、売上高の約30~35%が減少

c. 空調コスト増

・ 2022年の空調10万KWHを基準とし、1KWH当たりの電気料単価が200%引き上げられたと仮定した場合、電気料金の増加は売上高の0.1%未満

d. 炭素税のコスト負担

・ 炭素税が1t-CO2当たり1万円に引き上げられたと仮定すると、2023年のCO2排出量における炭素税額は売上高の0.1%未満(Scope3は除く)

e. 風水害により交通機関が麻痺し出勤できない

・ 基本はリモートで対応可能なため、ほとんど影響なし

 

④ 指標と目標

 当社グループは、パリ協定が求める水準と整合させるため、Scope1+2におけるCO2削減量を1.5℃水準(毎年4.2%削減)とし、10年後の2031年には2021年CO2排出量の42%を削減することを目標に定めました。

 

(連結ベース)

Scope1+2

基準

実績

目標

2021年

2022年

2031年

CO2排出量

83.6t-CO2

80.7t-CO2

3.4%減

46.2t-CO2

42.0%減

 

 

(3)人的資本

① 戦略

 当社グループは毎年20%以上の持続的成長を目指しておりますが、その成長を生み出す資本は人材です。その知的活動によって生み出されたアイデアや創作物等の知的財産が企業価値を更に高めていくこととなるため、その価値をいかに高めていくかが経営戦略上も非常に重要だと考えます。そこで当社では人材の質と量の両立を高次元で実現すべく、採用と教育に注力しております。

 当社では、ベースグループが継続的成長を目指していく上で必要不可欠なグループ全体の求心力となる経営理念、および、その理念に基づき実際に行動に移すための行動規範等を「BASE WAY」と称して全社員への周知を図っています。

 これにより、当社の価値観や行動様式が共有され、将来に亘って当社の文化や企業マインドがしっかりと受け継がれていくことを期待しています。

 

A. IT人材の確保

・ ブランドマネージャーの任命

 一流企業を目指すためには企業ブランドの構築が不可欠と考える当社では、社員のブランド意識醸成に向け、「会社が社員を大事にする」ことをより具体的に行動に移すため、新たにブランドマネージャーを任命しました。ブランドマネージャーは仕事の指揮命令系統とは別の会社とのパイプ役となっており、各社員に対し情報の連携、伝達を行うほか、仕事関係及び個人的な相談にも乗ります。社員にとって会社がより身近な存在になることが、最終的に自社のブランド確立に繋がると考えています。

・ 教育・育成制度

 強制力を持たせつつ自主性を育み、社員の成長の場とすることを目的とし、社内教育制度「ベースアカデミー」を開講しました。講座内容は、マネジメントスキル、IT技術スキルの他、自社理解、ヒューマンスキル、ビジネススキル等、多岐にわたります。また、受講を希望するすべての社員に対して社外教育講座「Udemy」の受講資格を付与し、社員のスキルアップを積極的に推進しています。

 

B. 従業員の健康と安全

・ ストレスチェックの実施

 ストレスチェック制度の2015年12月施行に合わせて社内でのストレスチェックを開始しました。厚生労働省の制度に則り、社員の希望に応じて産業医面接を行い、適切な措置を行っています。

・ 36協定遵守の徹底

 システム開発業務は、製造工程のピーク時や検収前、本番稼働前等に稼働が増える傾向がありますが、当社の場合は、案件責任者による要員の作業時間管理を徹底しており、36協定に定める時間の範囲内で業務を行っています。

・ 労働基準法など基法等の就労関連法令に準拠した社内規定の整備、運用

 「社員を大事に」というスローガンを掲げ、就労関連法令に準拠した社内規定の整備、運用を行っています。

 

C. ダイバーシティ&インクルージョン

・ 再雇用制度

 定年を60歳と規定していますが、その後本人が希望し、かつ、健康状態等業務を継続できると判断した場合は65歳まで嘱託社員として雇用を継続できる制度を導入しています(契約は1年単位)。

・ 男性社員の育休推進

 男女平等に育休の取得を推進しています。2023年における男性の育児休暇取得率は57%でしたが、今後も継続して育休取得を推進してまいります。

・ ダイバーシティの推進

 外国籍の社員は全体の46.2%を占めており、その国籍は中国、韓国、アメリカ、インドネシア、ポルトガル等多岐にわたっており、国籍にとらわれず、IT技術者として有能な人材を積極的に採用しています。

・ 障碍者雇用の推進

 障碍者雇用促進法に従い、法定雇用率2.3%を意識して積極的に雇用を促進しています。

 

② 指標と目標

 社員1人当たりの平均残業時間、及び、従業員採用者数に占める中途採用者の割合を下表に示します。また、社員に占める女性の割合、男女の勤続年数の差異、男女別の育児休暇取得率については、「第1 企業の概況 5.従業員の状況」に記載のとおりです。

 

指標

2023年実績(注)3.

1

従業員1人当たりの平均残業時間 (注)1.

15.1時間

2

採用者数に占める中途採用者の割合 (注)2.

46.8%

 

(注)1. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)」及び「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく特定事業主行動計画の策定等に係る内閣府令」(平成27年内閣府令第61号)の規定に基づき算出したものです。

(注)2. 「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(昭和41年法律第132号)及び「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律施行規則」(昭和41年労働省令第23号)の規定に基づき算出したものです。

(注)3. 在外子会社については、「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)」及び、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律」(昭和41年法律第132号)の規定による公表義務の対象ではないため、当該実績に含めておりません。

 

3【事業等のリスク】

 本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経済・市場環境変化による顧客のIT投資への影響について

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 当社グループは、一般企業のシステム受託開発を主要事業としておりますが、一般企業のIT投資の姿勢については経済情勢や市場環境の状況に影響を受ける傾向にあります。IT投資は、企業価値や競争力向上のために不可欠なものであり、コロナ禍で大幅な経済活動の制約によって一時的にIT投資を含めた設備投資を控える動きがみられたものの、DX等のIT投資は堅調に推移しております。ただし、今後、経済情勢や市場環境の悪化等により一般企業のIT投資が減少した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは、業種によってIT投資意欲に濃淡があることを踏まえ、証券、銀行、保険、製造、流通、公共等、幅広い業種の案件を受注することにより、当該リスクの低減を図っております。

 

(2)競合他社による影響について

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 当社グループが属する情報サービス産業界には、多数の事業者が存在しており、市場において当該事業者との競合が生じております。そのため、需要の減少や新規参入の増加等により競争が激化し、当社グループの競争力が相対的に低下した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは技術やマネジメント等の研修を充実させ、技術力、サービス、品質、生産性の向上に努めることにより、当該リスクの低減を図っております。

 

(3)特定顧客との関係について

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 当社グループの主要顧客である富士通グループ、みずほ証券、野村総合研究所グループ、NTTデータグループの上位4グループに対する当社グループの売上高は、2023年12月期において約7割を占めておりますが、当該顧客の事業方針の大幅な見直し、業績及び財務状況の悪化等によっては、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 当社グループでは、顧客へ高い技術力を提供することにより相互の信頼関係を構築しており、これが当社グループの強みになっております。今後もこの緊密な関係を維持継続させるとともに、新規顧客の拡大を図るべく、SE連携による営業活動を推進し新たな主要顧客に繋げていくよう拡充に努めてまいります。

 これらを講じることにより、当該リスクの低減を図ってまいります。

 

(4)不採算プロジェクトの発生について

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 プロジェクトを計画通りに仕上げることは、当社グループの業績向上にとって非常に重要ですが、技術の高度化・複雑化に加え短納期化等の理由により、想定を超える工数増加や納期遅延等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループが行うシステム開発においては、工程別見積り等による見積り精度の向上策の実施とともに、プロジェクトごとの採算管理を徹底しております。また、個々のプロジェクトが円滑に遂行されるように支援する専門部署を設置することにより、当該リスクの低減を図っております。

 

(5)人材の確保について

① 人材採用

<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 当社グループでは、優秀な人材を安定的に確保することが極めて重要と考えており、積極的な採用活動及び育成を行っておりますが、日本は少子高齢化による労働人口の減少に伴い、業界全体において優秀な人材を安定的に確保することが困難な状況になりつつあるため、人材の確保や育成が計画どおりに実施できない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは、日本だけでなく中国においても優秀な人材を安定的に採用できる仕組みづくりに注力しており、過去からの実績に基づく関係を維持して中国の主要な大学から技術者として即戦力になり得る優秀な新卒を定期的に採用しております。また、日本企業の業務に従事したことのある経験者を中国で中途採用を行うことにより、即戦力となる優秀な人材を確保しています。加えて、社内研修を充実させて人材の育成にも注力することにより、当該リスクの低減を図っております。

 

② 中国人社員の就労

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 当社グループでは、中国人社員と日本人社員の混成チームを編成することで、互いの長所を活かしたシナジー効果を発揮し、より質の高いサービスを提供することを強みとしております。中国人社員を含む外国人社員の雇用にあたっては就労可能な在留資格の取得が必要になります。現在までのところ、当社グループからの申請で在留資格が認められず、事業に影響を与える事象は発生しておりませんが、日本政府及び中国政府の方針の変化や、日中関係に大きな変化が生じ、中国人社員の在留資格の認定・更新が認められなくなった場合等には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 また、新型コロナウイルス感染症を含めて、パンデミックや社会情勢の変化により渡航制限がなされ、中国現地での採用活動の継続や内定後の来日が難しくなった場合等には採用計画に影響し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは、渡航制限が行われた場合でもリモートでの採用活動や、現地子会社を活用した採用活動を継続するとともに、状況を踏まえて日本国内における採用体制を拡充し事業の継続に支障がない体制を整備することにより、当該リスクの低減を図っております。

 

(6)長時間労働の発生について

<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 当社グループでは、法令に則り適切な労務管理を行っておりますが、プロジェクトにおいて想定外の事態が発生した場合には、品質や納期を遵守するために一時的な長時間労働が発生することがあります。その場合、従業員の健康問題や労務問題の発生、労働生産性の低下や品質の低下等を引き起こし、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループではこのような事態を発生させないようプロジェクト管理を徹底し、問題の早期発見及び解決に努めることにより、当該リスクの低減を図っております。

 

(7)協力会社の確保について

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 当社グループでは、ノウハウの蓄積と品質確保を目的に当社及びグループ会社による開発を基本としておりますが、専門性の高いスキルを必要とするプロジェクトや大規模なプロジェクト及び多くのプロジェクトを並行して受注する際には、当社グループのリソースだけで体制を整えることが難しい場合があります。当社の要求基準に合致する協力会社を十分に確保出来なければ外注単価が上昇してコストが増加し、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは外部協力会社の取引社数を増やすとともに、外部協力会社にも当社の技術研修等に参加していただきスキルアップを支援する等、当該リスクの低減を図っております。

 

(8)情報漏洩等の情報セキュリティリスクについて

<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 当社グループでは、業務を遂行する上で顧客の機密情報を取り扱うことがありますが、何らかの理由により機密情報の漏洩が生じた場合には、顧客からの損害賠償請求や信用の失墜等により、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは、プライバシーマークの認定資格を取得するとともに情報セキュリティ関連の規定を整備し、周知と遵守の徹底を行っております。加えて、社員及びビジネスパートナーに対して定期的に教育・理解度テストを実施する等、情報セキュリティに対する意識の定着を図っております。また、当社の社内環境や開発環境が外部からのサイバー攻撃に晒されるというリスクについては、平時より防止、検知、対応、復旧に関する各種対策を行うことにより、当該リスクの低減を図っております。

 

(9)M&A・業務提携について

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大>

 当社グループは、事業基盤の強化・拡大のため、M&Aや他企業との業務提携を行う可能性がありますが、当初想定した効果や収益が得られない場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは、M&A等を行う際には事前にデューデリジェンス等を実施することにより、当該リスクの低減を図ります。

 

(10)自然災害・パンデミック等による影響について

<発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 地震等の自然災害やそれに伴う二次災害、又はパンデミック等が発生することにより、事業の全部又は一部が停止し継続が困難となり、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは事業継続計画を策定しております。

 自然災害等に対して、当社が保有する情報資産・情報システムは、当社オフィス内のサーバルームで管理しており、システムごとに独立したサーバを用意し、電源やディスクの冗長化を行い、マスタファイルを含む機密データの保全、システムの可用性を担保しております。

 また、新型コロナウイルス感染症等に対しては、テレワーク環境で業務継続できる体制を整えることにより、当該リスクの低減を図っております。

 

(11)法的規制等について

① 法的規制

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 当社グループでは、事業パートナーとなる協力会社との間で業務委託契約を締結し業務を委任する場合があり、相手先によっては「下請代金支払遅延等防止法」(下請法)が適用される場合があります。また、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)に基づき、派遣契約を締結し労働者派遣を行う場合があります。更に、外国人社員の雇用にあたっては、「出入国管理及び難民認定法」(入管法)に基づき、在留資格の取得等を行う必要があります。

 法令変更に対応できなかった等の理由により法令に抵触した場合には、当社グループの事業活動が制限されるとともに、社会的な信用の失墜により当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは、コンプライアンス委員会を設置し、法令に則した社内規定の整備や定期的なコンプライアンス教育の実施・遵守に努めることにより、当該リスクの低減を図っております。

 

② 知的財産権の侵害

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 当社グループが行うソフトウェア開発においては、特許権や著作権等の知的財産権の確保が業務遂行上重要ですが、第三者より損害賠償及び使用差止め等の請求、並びに特許に関する対価(ロイヤリティ)の支払等が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは、当社独自の技術・ノウハウ等の保護・保全とともに、第三者の知的財産権を侵害しないよう十分な注意を払うことにより、当該リスクの低減を図っております。

 

(12)中国事業について

<発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中>

 当社グループは、中国に子会社を有し事業活動を行っておりますが、当該事業を行うにあたり、①法令の予期せぬ変更、②国交の悪化、③為替の急激な変動、④戦争や紛争、テロ、伝染病等によるリスクが内在しており、想定外の事態が発生した場合には、当社グループの業績及び財務状況に影響を与える可能性があります。

 このようなことを鑑み、当社グループでは中国の政治や経済の動向に注視するとともに、連結売上高における中国事業の比率を僅少に抑えることにより、当該リスクの低減を図っております。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

① 財政状態及び経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が2類から5類へ移行したことにより、経済社会活動の正常化が進んでおります。しかしながら、国際的な情勢不安の長期化や物価上昇、供給面の制約による影響等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。日銀が公表した短観によると、大企業製造業の業況判断を示す指数は+12ポイントとなり、3期連続で改善しました。また、非製造業の指数も7期連続で改善し、1991年11月以来の高い水準となりました。

 当社グループが属する情報サービス業は、企業の旺盛なデジタル変革「DX(デジタル・トランスフォーメーション)」のニーズや、SAP・ERPの保守サポート期限終了による駆け込み需要等を背景として好調に推移しました。特定サービス産業動態統計(経済産業省/2023年11月分)によると、情報サービス業の前年同月比の売上高は2022年3月を除き11月まで30ヶ月増加傾向で推移しております。また、法人企業景気予測調査結果(内閣府・財務省/令和5年10‐12月期調査)によると、2023年度のソフトウェア投資額を含む設備投資額は11.1%増の見込みとなっております。企業のIT投資に対する意欲は、DX機運やコロナ禍によるビジネス環境の変化により堅調に推移していますが、システムエンジニア(SE)不足は常態化しており、IT人材の育成が急務となっております。

 このような経営環境の下、当社は営業利益100億円という当面の目標を掲げており、その目標を早期に達成するため、事業成長の源泉である人材確保及び営業活動に注力してまいりました。

 採用については、新型コロナウイルス感染症対策による入国制限は撤廃され、国内及び中国の2系統の採用ルートがあるという強みを最大限活かし、グローバルで優秀な人材の採用を継続しております。

 育成については、全社員を対象に等級・役職に応じたスキルの底上げを目的とした社内教育「ベースアカデミー」を運営しております。さらに自主的にスキルアップを希望するすべての社員に対しては、社外のオンライン学習「Udemy」を自由に受講できる環境を整備し、社員の能力・技術力向上を支援しております。

 また、当期よりオープン系SEにSAPスキルを習得させるマルチタレント育成計画を開始し、社員の技術領域の拡大を目指しております。

 なお、人材確保という観点ではビジネスパートナーの調達も重要な施策となっており、ダイバーシティ経営を推進する当社と親和性の高い優秀な外国籍SEを保有する国内パートナー企業を積極的に活用してまいりました。

 営業活動については、これまで役員が中心となって顧客とのリレーション構築や提案活動等を行っていましたが、今後将来にわたって成長を続けるためには活動主体を役員から部長クラスへシフトすることが必要であると判断し、年初より部長主体で営業活動を行っております。

 このような取り組みにより、案件を確実に遂行する体制を確保し、かつ、生産性を向上させた結果、主要顧客をはじめとする大手SIerとの取引は概ね堅調に推移し、増収増益となりました。

 中国子会社においては、中国経済が停滞する中、現地企業及び日系企業等からの商談を確実に受注に繋げ、中国子会社の事業は堅調を維持しました。

 これらの結果、当連結会計年度の業績は、売上高18,708百万円(前期比9.8%増)、営業利益4,702百万円(同20.2%増)、経常利益4,692百万円(同19.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,433百万円(同25.9%増)となりました。

 なお、当社グループは、ソフトウェア受託開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

 

(資産)

 当連結会計年度末における総資産は、16,323百万円となり、前連結会計年度末より1,763百万円増加しました。

 流動資産は、前連結会計年度末より1,682百万円増加し、14,645百万円となりました。これは主に売上高の増加により現金及び預金が361百万円、売掛金及び契約資産が177百万円、信託型ストックオプションにかかる所得税等の求償権を計上したことにより、従業員に対する短期貸付金が1,165百万円増加したことによるものです。

 固定資産は、前連結会計年度末より81百万円増加し、1,678百万円となりました。これは主に期末時価の上昇により投資有価証券が32百万円増加したことによるものであります。

 

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債は、3,866百万円となり、前連結会計年度末より94百万円減少しました。

 流動負債は、前連結会計年度末より82百万円減少し、3,851百万円となりました。これは主にその他の流動負債が280百万円増加した一方、未払法人税等が320百万円減少したことによるものであります。

 固定負債は、前連結会計年度末より11百万円減少し、14百万円となりました。これは長期借入金が11百万円減少したことによるものであります。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産は、12,457百万円となり、前連結会計年度末より1,858百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が1,682百万円増加したことによるものであります。

 

② キャッシュ・フローの状況

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は10,553百万円となり、前連結会計年度末より362百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は3,281百万円(前年同期は3,667百万円の獲得)となりました。これは主に法人税等の支払額1,568百万円の資金減少があった一方、税金等調整前当期純利益の計上4,692百万円の資金増加によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は1,200百万円(前年同期は38百万円の使用)となりました。これは主に貸付けによる支出1,166百万円の資金減少によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果支出した資金は1,745百万円(前年同期は948百万円の使用)となりました。これは主に配当金の支払額1,750百万円の資金減少によるものであります。

 

 

 

③ 生産、受注及び販売の状況

a.生産実績

 当社グループはソフトウェアの受託開発を行っており、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前年同期比(%)

受注残高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェア受託開発

19,170,999

109.2

2,722,695

120.4

合計

19,170,999

109.2

2,722,695

120.4

 (注)金額は販売価格によっております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前年同期比(%)

ソフトウェア受託開発

18,708,863

109.8

合計

18,708,863

109.8

 (注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

富士通株式会社

3,598,123

21.1

3,932,241

21.0

株式会社野村総合研究所

2,395,368

14.1

2,249,208

12.0

みずほ証券株式会社

1,987,810

11.7

1,982,939

10.6

株式会社NTTデータ グローバルソリューションズ

1,734,121

10.2

1,241,024

6.6

 

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 重要な会計方針及び見積り

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。この連結財務諸表を作成するにあたっての重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.売上高、売上原価及び売上総利益

 当連結会計年度における売上高は、主要顧客をはじめとする大手SIerとの取引が堅調に推移したことにより18,708百万円となり、前連結会計年度に比べて1,663百万円、9.8%の増加となりました。

 当連結会計年度における売上原価は、売上拡大に伴う人件費の増加等により12,883百万円となり、前連結会計年度に比べて749百万円、6.2%の増加となりました。

 この結果、当連結会計年度における売上総利益は5,825百万円となり、前連結会計年度に比べて913百万円、18.6%の増加となりました。

 

b.販売費及び一般管理費、営業利益

 当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、採用関係費の増加等により1,123百万円となり、前連結会計年度に比べて121百万円、12.2%の増加となりました。

 この結果、当連結会計年度における営業利益は4,702百万円となり、前連結会計年度に比べて791百万円、20.2%の増加となりました。

 

c.営業外損益及び経常利益

 当連結会計年度における営業外収益は、為替差益の計上等により25百万円となり、前連結会計年度に比べて2百万円、9.2%の増加となりました。

 当連結会計年度における営業外費用は、信託型ストックオプションにかかる過年度所得税の不納付加算税等を計上したことにより34百万円となり、前連結会計年度に比べて33百万円の増加となりました。

 この結果、当連結会計年度における経常利益は4,692百万円となり、前連結会計年度に比べて760百万円、19.3%の増加となりました。

 

d.親会社株主に帰属する当期純利益

 当連結会計年度における税効果会計適用後の法人税等負担額は、税金等調整前当期純利益の増加に伴い1,213百万円となり、前連結会計年度に比べて43百万円、3.7%の増加となりました。また、連結子会社にかかる非支配株主に帰属する当期純利益は46百万円となり、前連結会計年度に比べて9百万円の増加となりました。

 この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は3,433百万円となり、前連結会計年度に比べて707百万円、25.9%の増加となりました。

 

 なお、財政状態の分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」、キャッシュ・フローの分析については「(1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。

 

③ 経営成績に重要な影響を与える要因について

 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析

 当社は、運転資金については、当座貸越を利用することにより、手許資金で賄うこととしております。なお、当座貸越枠につきましては、取引銀行4行と契約を締結しており、その限度額は総額2,500百万円であります。

 

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載のとおり、経営指標として営業利益を重視しております。当連結会計年度における営業利益の前年同期比は以下のとおりであり、引き続き対処すべき経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。

 

2022年12月期

2023年12月期

前年同期比

営業利益

3,910百万円

4,702百万円

120.2%

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。