第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)経営方針

 当社グループは「データによる意思決定」はシンプルでとても効率の良いものであると考えております。この仕組みを確立して世の中に広めたいという想いから当社を創業致しました。

・お客様が抱える課題を解決するためのデータ活用の専門家でありたい

・データをシンプルかつ正しい方法で価値に変換していきたい

・データに関わった人達に楽しさや幸せを感じてもらいたい

 当社グループは、上記の3つの価値観を軸に、世の中の様々な領域において、データを使った効率化を行うことが当社グループの使命であると考えております。

 

(2)経営戦略等

 当社グループは「データを用いて人々の意思決定を簡単にする」というコンセプトの下、以下の経営戦略により事業の拡大を図る方針です。

①IM-DMPを用いたオンラインマーケティングソリューションの拡販

 よりスピーディーにデータを活用したマーケティング施策を広めるため、広告代理店と連携した拡販を強化する方針です。また3rd Party Cookieの規制により収益獲得に課題が発生するメディアパートナーやアドテクベンダー、広告代理店等との連携を進めることで、Ad Tech分野におけるIMポストCookieアドネットワークを利用できる範囲や機会を増やし、拡販を加速させる方針です。

②X-Tech

 Ad Tech領域で培ったデータや基盤技術をもとに、セールスやコマース、金融領域等にデータ活用領域を広げており、各領域の事業者と協業することで、サービス開発速度を加速し、事業領域の拡大を図る方針です。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは継続的な事業拡大と企業価値向上のため、売上高及び営業利益を重要指標としております。

 

(4)経営環境

 当社グループのIM-DMPのデータ活用先は、主にデジタルマーケティング領域です。インターネット広告市場の市場規模は、2022年は3兆912億円に達しています(株式会社電通「2022年日本の広告費」)。インターネット広告市場の内、当社が実際にサービスを提供している市場規模は成果報酬型広告で965億円、運用型動画広告他で4,971億円、運用型ディスプレイ広告で6,452億円の合計1兆2,388億円であります(株式会社電通「2022年 日本の広告費 インターネット広告媒体費 詳細分析」)。

 デジタルマーケティング領域は、取得可能なデータの種類、データ量が増大しており、これに伴うマーケティング全般へのデータ活用ニーズが高まっており、当社グループのデータ活用分野は順調に拡大しているものと認識しております。また当社グループはIM-DMPのデータを活用することで、インターネット広告の配信効率の最適化を実現したいと考えております。

 一方で、近年のプライバシー保護への意識の高まりや、2024年後半に予定されているGoogle ChromeにおけるCookieの廃止により、Cookie保有比率は今後も低下し続けると予想され、3rd Party Cookieを活用できるブラウザの比率は低下し続けることが予想されることから、メディアの収益性及びターゲティング効率の悪化が課題となっておりますが、当社の提供するIMポストCookieアドネットワークを利用することで、Cookieの有無を問わずリターゲティング広告を配信できることが優位に働くと考えております。

 

(5)優先的に対処すべき事業上及び財務上の対処すべき課題

 当社グループは以下のような経営課題に取り組むことで、サービス領域の拡大及び経営基盤の強化を行っていく方針であります。

①新サービス等の開発体制

 インターネット市場における技術革新のスピードは非常に早く、競合優位性の確保及び事業の拡充を図るため、

新サービスの開発、投資を行っております。当該開発に際しては、システム開発の必要性や優秀な人材の拡充が必要となるため、迅速な開発が行える体制整備や優秀な開発人材の確保を行ってまいります。

 

②優秀な人材の確保と教育制度の充実

 当社グループは、今後の成長のために、多様で優秀な人材の確保が不可欠であると認識しております。ソーシャルメディアの活用等、採用方法の多様化を図り、当社グループの求める専門性や資質を兼ね備えた人材の登用を進めるとともに、研修制度の充実等、教育体制の整備を進め、人材の定着と能力の底上げを行っていく方針であります。

 

③内部管理体制の強化

 当社グループは成長段階にあり、業務運営の効率化やリスク管理のための内部管理体制の強化が重要な課題であると考えております。このため、バックオフィス業務の整備を推進し、経営の公正性・透明性を確保するための内部管理体制強化に取り組んでまいります。具体的には、業務運営上のリスクを把握してリスク管理を適切に行うこと、定期的な内部監査の実施によるコンプライアンス体制の強化、監査役監査の実施によるコーポレート・ガバナンス機能の充実などを図っていく方針であります。

 

④認知度の向上

 当社グループは、これまで広告宣伝活動に頼らず、提供サービスの機能優位性に拠る形での営業活動に専念してまいりました。その結果として、現在、幅広い業種、企業に当社グループ製品を導入頂き、継続的な取引による確固たる顧客基盤の構築を実現することが出来ていると考えております。一方で、更なる成長を続けていく上では、当社グループ及び当社サービスの認知度を向上させ、新規案件を獲得していくことが重要であると考えております。今後は広告宣伝活動による積極的な販売促進活動に取り組み、認知度の向上に努める方針であります。

 

⑤改正個人情報保護法や3rd Party Cookie廃止を含めた環境変化

 「個人情報保護法」の改正や各ブラウザ提供会社の仕様変更により、3rd Party Cookieに対する規制が強化されつつあるように、プライバシー保護の観点からデータの利活用を取り巻く環境は随時変化し、当社グループの事業に影響を及ぼす可能性があります。

 当社グループでは、3rd Party Cookieに依存せずプライバシーに配慮した形でデータの利活用ができるポストcookieソリューション「IMポストCookieアドネットワーク」を開発し、提供しておりますが、今後もデータの利活用に関する新たな規制が発生する可能性があるため、社会情勢を速やかに察知し、環境変化に対応したサービスの開発が迅速に行える体制整備を行ってまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 文中の将来に関する事項は、当社グループが有価証券報告書提出日現在において合理的であると判断する一定の前提に基づいており、実績の結果とは様々な原因により大きく異なる可能性があります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループでは、取締役会がサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しており、当社グループのサステナビリティのリスク及び機会への対応方針及び実行計画等についての審議・監督を行っております。

 

(2)戦略

 当社グループは、事業を成長させていくためには、優秀な人材を採用し、継続的な勤務を維持するために、リモートワークを取り入れた柔軟な勤務制度を採用しております。

 また人材を育成し、高い生産性を発揮させることが最重要であるとの認識のもと、次世代能力開発への投資や、生産性を向上させるツールへの投資等を行っております。

 

(3)リスク管理

 当社グループの経営に関する様々なリスクを審議するために、主要なリスクの状況については、取締役会においてモニタリング・評価・分析を行い、各組織体に対して必要な指示、監督等を行うとともに、その結果に対する報告も取締役会において審議される体制を整えております。

 

(4)指標及び目標

 当社グループでは、上記(2)戦略において記載した柔軟な勤務制度、次世代能力開発への投資、生産性を向上させるツールへの投資の指標として、それぞれリモートワーク比率、生成AI 補助制度利用率、SaaS ツール利用個数を測定しております。

 

指標

2023年9月期

目標

リモートワーク比率

85%

85%

生成AI補助制度利用率

100%

100%

SaaSツール利用個数

72個

80個

 

 

3【事業等のリスク】

 当社グループの事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項を以下に記載しております。

 また、必ずしもそのようなリスクに該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考える事項については、積極的な情報開示の観点から記載しております。当社グループは、これらのリスクに対し発生の可能性を十分に認識した上で、発生の回避及び発生した場合の迅速な対応に努める方針であります。

 なお、本項記載の将来に関する事項は本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性のある全てのリスクを網羅するものではありません。

 

(1)事業環境に関するリスク

①経済状況等の変動

 当社グループの提供するIM-DMPはデジタル及びオフラインのマーケティングに活用されるため、日本国内外の経済状況、各業界の動向、各企業の経営成績やマーケティング予算、広告代理店の広告取扱高の変動等による影響を受ける可能性があります。また、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による世界的な資源価格の高騰やインフレ、金利上昇による経済活動への影響により、個人消費の減速や企業活動の停滞が発生する可能性があります。

 当社グループの顧客の商品・サービスの市場規模や活動が縮小し又は停滞する場合には、当社グループのサービスに対する需要が減速する等、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②インターネット市場の動向について

 当社グループはインターネット関連のデータ保有を強みとするデータマネジメントプラットフォーム「IM-DMP」を事業基盤としており、当社グループ事業の継続的な拡大・発展のためには、更なるインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が必要と考えております。

 しかしながら、インターネットの普及に伴う弊害の発生やその利用に関する新たな規制の導入、その他予期せぬ要因等により、今後のインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が阻害された場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、昨今、海外の「GDPR(EU一般データ保護規則)」や「CCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)」などの影響により、日本でもCookieの取り扱いに関する規制強化が議論されるなど、Cookie規制の影響により、3rd Party Cookieを活用できるブラウザの比率が低下し続けることが予想されることから、インターネット市場全体への影響が発生する可能性があります。当社グループとしては、ポストCookie対応はしているものの、これらの影響によるインターネット市場全体の落ち込みや今後ポストCookie対応による共通IDソリューションへの規制、インターネット関連のデータ保有自体への利用規制などが発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③顧客ニーズの変化について

 インターネット広告市場は拡大傾向にあり、インターネット広告はテレビに次ぐ広告媒体へと成長しており、今後も当該市場は拡大していくものと想定されます。また、インターネット広告市場においては、顧客ニーズが急速に変化することから、頻繁に新しい商品やサービスが導入されており、当社グループにおいてもこれらの変化に迅速に対応していく必要があります。

 当社グループにおいても顧客ニーズの変化に対応するため、新たな広告商品へのデータ連携を行っておりますが、予期しない顧客ニーズの変化があった場合には、その対応に係る追加のシステム開発等が必要になります。適切な対応に支障が生じた場合には、競争力の低下及びクライアント企業の流出等を招き、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④技術革新について

 当社グループは、インターネット広告分野において事業を展開しておりますが、当該分野においては技術の進歩及び変化が著しく、新技術及び新サービスが頻繁に導入されております。また、スマートフォンやタブレット端末等、パソコン以外の多様なデバイスも急速に普及しております。このため、当社グループは、エンジニアの採用・育成やインターネット広告に関する技術、知見、ノウハウの取得に注力しております。

 しかしながら、今後の技術革新への対応が遅れた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤競合他社の動向について

 当社グループの競合となる、パブリックDMPを中心としたDMP事業を行っている事業者は、国内において数社存在しております。当社グループの提供するIM-DMPは、当社グループの方針及びパブリックDMPというサービスの性質上、プライベートDMPとも積極的に連携を行っており、プライベートDMP事業者の多くと協力関係を構築することで、より顧客ニーズに対応できる優位性を確保しております。また、海外においても、機能面では当社グループのIM-DMPと競合する、パブリックDMPのサービスを提供するDMP事業者が存在しておりますが、海外の事業者が日本国内のマーケットに参入するためには、日本国内のデータプロバイダーとのアライアンスが障壁になるものと考えております。

 当社グループは国内の新規参入企業の増加に対して、上記の通り、協力事業者との連携やデータプロバイダーとのアライアンス強化の対策を講じておりますが、今後何らかの事業環境の変化により、国内又は海外の新規参入企業が増加し、競争の激化やその対策のためのコスト負担等が増加した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥DMPの接続先について

 当社グループの提供するIM-DMPは、データの入力元、出力先の両面において、インターネットリサーチ会社、提携するWebメディア、外部事業者の運営するプライベートDMPやDSP、アクセス解析ツール、オンラインリサーチツールなど様々なデジタルマーケティングツールと接続しております。当社グループでは、多種多様なデータ活用先を競争力の源泉の一つと考え、顧客ニーズの高いデータ活用先の新規開拓や、当社グループの保有するデータのDSPへの連携率の向上といった既存のデータ活用先との連携機能の強化など、データ活用先の維持拡大を施策として進めております。

 しかしながら、これらのデータ活用先の方針や仕様の変更によりデータ活用先が減少した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)組織体制に関するリスク

①特定の人物への依存について

 当社の代表取締役である簗島亮次は、DMPを含め様々なWebマーケティングに関するノウハウや新規事業の立案、業界での情報収集等に関して豊富な知識と経験を有しており、当社グループの事業運営において重要な役割を果たしております。当社グループでは、同氏に過度に依存しないよう、経営体制の整備、権限委譲及び次代を担う人材の育成強化を進めております。

 しかしながら、何らかの理由により同氏が当社グループの業務を継続することが困難になった場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②内部管理体制について

 当社グループは今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制について一層の充実を図る必要があると認識しております。今後、事業規模の拡大に合わせ、内部管理体制も充実・強化させていく方針であります。

 しかしながら、事業規模に適した内部管理体制の構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③少人数での組織編成及び優秀な人材の確保について

 当社グループは、業務執行上必要最低限の人数での組織編成を行っており、継続的な事業拡大のためには、優秀な人材の確保、育成及び定着が最も重要であると認識しております。

 そのため、当社グループは優秀な人材の確保及び育成のために採用活動及び人事制度の強化に努めておりますが、当社グループが求める優秀な人材が必要な時期に十分に確保・育成できなかった場合や人材流出が進んだ場合には、経常的な業務運営に支障が生じ、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)法的規制に関するリスク

①訴訟等について

 当社グループは、法令及び契約等の遵守に努めており、本書提出日現在において訴訟を提起されている事実はありません。

 しかしながら、当社グループが事業活動を行う中で、顧客等から当社グループが提供するサービスの不備等により訴訟を提起された場合には、当社グループの社会的信用が毀損され、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②インターネット広告の配信に関連する法的規制について

 当社グループはIM-DMPを最大限に活用するためのワンストップサービスを提供しており、様々な広告配信ツールを利用してクライアント企業の求める方法でデジタル広告の配信を行うデータ活用広告配信サービスを展開しております。現在のところ当社グループの事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、「不当景品類及び不当表示防止法」、「特定商取引に関する法律」、「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等の法的規制が存在しております。

 個人情報の取扱いについては「個人情報保護法」等が存在しております。「個人情報保護法」第2条第1項では、個人情報を「生存する個人に関する情報であって」、「当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文面、図面若しくは電磁的記録に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号を除く。)をいう。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と容易に照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)」又は「個人識別符号が含まれるもの」と定義しておりますが、当社グループがDMP事業において収集する様々な属性情報には、それ自体で、又は他の情報と容易に照合することにより特定の個人を識別することが可能な情報は含まれておりません。したがって、当社グループがDMP事業において収集する様々な属性情報には個人情報が含まれておらず、これらの情報について、個人情報保護法上の対応は行っておりません。しかしながら、インターネット上のプライバシー保護の観点から、2022年4月1日施行の改正個人情報保護法により、Cookie(ウェブサイトの閲覧情報等を一時的に保存しておくためのウェブブラウザ上の記憶領域やそこに保存される情報)等の端末識別子を通じて収集された個人のウェブサイトの閲覧履歴等が、新たに「個人関連情報」と定義され、個人情報保護法の規律対象となりました。これにより、個人関連情報を第三者に提供する場合、提供先において個人データとして取得することが想定されるときは、当該個人関連情報に係る本人の同意が得られていることの確認が義務付けられましたが、当社グループにおける確認義務の発生する個人関連情報の提供は限定的であり、かつ、該当のケースにおいては、改正個人情報保護法に従い適切に同意状況を確認した上で、個人関連情報の第三者提供を行っております。

 個人情報保護法については、個人情報保護委員会において、社会・経済情勢の変化を踏まえ、いわゆる3年ごと見直しを進めており、インターネット利用の普及に伴う法的規制の在り方については引き続き検討が行われている状況にあります。

 また、インターネットを通じた電気通信サービスを提供する際は、webサイトに設置されたタグ等を送信したり、アプリケーションを起動する等の電気通信を行うことにより、利用者の意思によらずに、その利用者の端末設備に記録された利用者に関する情報(webページの閲覧履歴、入力履歴、システム仕様、システムログ等)を外部の第三者等に送信する状況が生じます。この状況に対して、安心して利用できる通信サービス・ネットワークの確保を目的として、2023年7月に電気通信事業法が改正施行され「外部送信規律」が導入されました。当該規律においては、多くの電気通信事業を営む者に対して、当該事業者が提供するサービス利用者のCookie等の端末識別子を通じて、当該利用者に関する情報を外部送信しようとするときは、利用者に対し、通知・公表を行い、もしくは利用者の同意を取得あるいはオプトアウト措置を提供することにより、利用者に対して確認の機会を与えることが確保できるようにすることが求められます。本書提出日現在、当社グループは当該規律の規制対象となる事業を営んでおりませんが、今後新たなサービスを提供する際には、当社グループにおいても対応が必要となる可能性があります。

 なお、EU一般データ保護規則(GDPR)等の外国法令等には、Cookie等に対し、個人情報や個人データと同等又は類似の規制を行っているものがありますが、当社グループとしては、これらの外国法令等の適用のある国又は地域からはCookieを用いたデータ収集を行っていないこと等から、これらの外国法令等の適用を受けないものと考えております。

 このように、今後、個人インターネット広告の配信に関連する分野において新たな国内外の法令等の制定や、EU一般データ保護規則(GDPR)を含む国内外の既存法令等の改正等による規制強化がなされた場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。とりわけ、個人情報保護法の改正により、当社グループがDMP事業において収集する様々な属性情報が同法の定義する個人情報に該当することとされた場合には、ウェブサイトのユーザーからの同意取得が必要となることによるIM-DMPの総データ数の減少及びこれに伴うサービス品質の低下、Cookieを利用した一部のサービスの提供が困難になること、並びにCookieを利用しない代替的な技術の実用化に伴う費用の増加等が想定され、その結果、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③知的財産権について

 当社グループが運営するサービスにおいて使用する商標、ソフトウェア、システム等については、現時点において、第三者の知的財産権を侵害するものではないと認識しております。今後も、侵害を回避するための著作権等の管理、監視等を当社顧問弁護士と協力して行っていく方針でありますが、当社グループの事業分野で当社グループの認識していない知的財産権が既に成立している可能性、又は新たに当社グループの事業分野で第三者により知的財産権が成立する可能性も考えられます。そのような場合には、第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償請求や使用差し止め、権利に関する使用料等の支払請求がなされることが想定されます。そのような事態が発生する場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)システムに関するリスク

①システム基盤について

 当社グループでは、様々なクラウドプラットフォームやクラウドサービスを活用することで、信頼性・安定性が高く、開発効率・コスト効率の良いシステムを実現しております。特定の事業者・サービスに依存しない構成を目指しております。

 しかしながら、利用中のサービスの契約内容の変更、急激な価格変動、システム障害等によるサービスの一時的な中断、サービス内容の見直しによる機能提供の停止が発生した場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

②情報セキュリティについて

 当社グループは、厳重な情報セキュリティ管理体制において自社内の機密情報を管理するとともに、事業の一環として取引先から預託された機密情報の管理・運用を行っております。情報管理には万全な方策を講じておりますが、万が一当社グループの従業員や取引先等が情報を漏洩又は誤用した場合、またシステム上の不具合やコンピューターウィルス、不正アクセス等に起因する情報の漏洩が発生した場合には、当社グループが社会的信頼を失い、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)その他のリスク

①配当政策について

 当社は、経営基盤の安定化を図るために内部留保の充実を図ることが重要であると考えておりますが、株主に対する利益還元も経営の重要な経営課題であると認識しております。そのため、事業基盤の整備状況、業績や財政状態などを総合的に勘案のうえ配当を実施してまいりたいと考えております。また、配当政策が業績に連動しているため、業績が悪化した場合、これに伴い配当が減少又は無配となる可能性があります。しかしながら、当面は事業基盤の整備を優先することが株主価値の最大化に資するとの考えから、その原資となる内部留保の充実を基本方針とさせていただく所存であります。

 

②新株予約権行使による株式価値の希薄化について

 当社では、取締役及び従業員に対するインセンティブを目的としたストック・オプション制度を採用しております。現在付与している新株予約権が行使された場合は、1株当たりの株式価値が希薄化する可能性があります。

 なお、2023年9月30日現在における新株予約権による潜在株式数は95,300株であり、発行済株式総数3,289,350株の2.90%に相当しております。

 

③季節変動について

 当社グループの売上は、広告主の広告予算をベースに構成されるため、広告主の予算の月ごとの配分の影響を受けます。特に年度末に予算が配分される広告主との取引は、多くの広告主が年度末として設定している12月及び3月に売上が集中する傾向があります。最近はその傾向が分散されつつあり影響は薄まっているものの、安定的に月次業績が推移する業種に比し売上及び利益の変動が起こりやすいほか、変動が大きく下振れ幅が顕著な場合には当社グループの財政状態及び経営成績に影響を与える可能性があります。

 

④自然災害等について

 当社グループは、自然災害や事故に備え、システムの定期的なバックアップや稼働状況の監視によりシステムトラブルの未然防止及び回避に努めております。

 しかしながら、地震等の大規模災害の発生等により本社又は外部のクラウドプラットフォームのデータセンターが被害を受けた場合、当社グループ事業の継続に支障をきたし、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

 当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態の分析

(資産)

 当連結会計年度末における資産合計は2,093,090千円となり、前連結会計年度末に比べ105,484千円の増加となりました。

 流動資産は2,018,152千円となり、前連結会計年度末に比べ107,448千円増加しました。これは主に現金及び預金が151,235千円増加したことによるものであります。固定資産は74,848千円となり、前連結会計年度末に比べ1,904千円減少しました。これは主に有形固定資産が1,701千円、無形固定資産が580千円減少したことによるものであります。

 

(負債)

 当連結会計年度末における負債合計は561,932千円となり、前連結会計年度末に比べ7,307千円の減少となりました。

 流動負債は455,632千円となり、前連結会計年度末に比べ7,307千円減少しました。これは主に買掛金が16,977千円減少したことによるものであります。固定負債は106,300千円となり、前連結会計年度末と変動はありません。

 

(純資産)

 当連結会計年度末における純資産合計は1,531,158千円となり、前連結会計年度末に比べ112,791千円の増加となりました。これは主に資本金、資本剰余金がそれぞれ4,070千円増加したこと、また親会社株主に帰属する当期純利益100,883千円の計上による利益剰余金の増加によるものであります。

 この結果、自己資本比率は72.1%(前連結会計年度末は70.4%)となりました。

 

②経営成績の状況

 当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の感染収束の傾向により、行動制限が徐々に緩和され個人消費の正常化がみられました。一方、ロシア・ウクライナ情勢の長期化による世界的な資源価格の高騰やインフレ、金利上昇による経済活動への影響により、依然として先行きは不透明な状況が続いております。

 当社の主力事業が属するインターネット広告市場におきましては、国内外の様々な影響を受けつつも、社会活動のデジタル化を背景に継続して高い増加率を保っており、2022年のインターネット広告市場は前年比14.3%増の3兆912億円(株式会社電通「2022年日本の広告費」)となりました。

 また、2022年4月に施行された個人情報保護法の改正や、ブラウザ提供会社の仕様変更による3rd Party Cookieの利用制限が懸念される中、Cookieを代替するサービスである「ポストCookieソリューション」への社会の関心が高まっております。このような状況で、「ポストCookieソリューション」として当社が開発した「IMポストCookieアドネットワーク」は3rd Party Cookieに依存せずにターゲティング広告配信ができるため、引き続き高い引き合いが寄せられました。

 ソリューション毎の経営環境につきましては、マーケティング支援においては、足元の広告関連市場の景況変化の影響を受け、既存案件の減額により単価は減少しました。一方で、ポストCookieソリューションを軸にした新規アカウントの獲得や、生成系AIを活用することで、人員数に依存しない受注体制や受注効率の向上を図り、アカウント数は増加基調となりました。

 成果報酬型ディスプレイ広告運用サービス「Performance DMP」については、一部の代理店が実施していたキャンペーンが終了したことで、第2四半期にはアカウント数が一時的に減少しましたが、第3四半期以降は再度増加基調となりました。また、費用対効果の高い案件への注力や取引条件の見直しや案件の選別等の各種施策が功を奏し、収益性が向上しました。

 費用面においては、人員強化や優秀な人材確保のための新たな報酬制度の導入により、人件費が前期比増加した一方で、一部の業務の内製化により、業務委託費は前期比で減少しました。

 この結果、当連結会計年度の業績は、売上高2,982,406千円(前年同期比6.5%増)、営業利益138,868千円(同47.1%増)、経常利益139,065千円(同50.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益100,883千円(同42.9%増)となりました。

 なお、当社グループは、DMP事業の単一セグメントであるため、セグメント情報に関連付けた記載を行っておりません。

 

 

③キャッシュ・フローの状況の分析

 当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ151,235千円増加し、1,611,021千円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果得られた資金は148,724千円(前年同期は90,460千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益139,065千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果使用した資金は481千円(前年同期3,410千円の支出)となりました。これは有形固定資産の取得による支出481千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果得られた資金は2,992千円(前年同期は21,789千円の収入)となりました。これは、株式の発行による収入2,992千円によるものであります。

 

④生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当社グループの提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

b.受注実績

 当社グループの提供するサービスの性格上、受注確定から売上計上日までの期間が短期間であり、期末日現在の受注残高が年間売上高に比して僅少であるため、その記載を省略しております。

 

c.販売実績

 当連結会計年度における販売実績は次のとおりであります。なお、当社グループはDMP事業の単一セグメントであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

DMP事業

2,982,406

106.5

合計

2,982,406

106.5

 

(注)1.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2021年10月1日

至 2022年9月30日)

当連結会計年度

(自 2022年10月1日

至 2023年9月30日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

株式会社メタップスワン

364,136

13.0

458,873

15.4

株式会社ファンコミュニケーションズ

245,222

8.8

352,685

11.8

 

 

⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社グループは経営方針に則った通期業績予想について、業績動向等を踏まえ、期初に公表した各経営指標の予想値を修正し2023年5月15日に公表いたしました。

 当社グループが定める経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等に関する業績予想の達成状況は下表のとおりです。

 

業績予想(千円)

実績(千円)

予想比(%)

売上高

3,147,088

2,982,406

94.8

営業利益

143,176

138,868

97.0

経常利益

144,312

139,065

96.4

親会社株主に帰属する

当期純利益

96,271

100,883

104.8

1株当たり当期純利益(円)

29.43

30.77

104.6

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

①財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりであります。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況の分析」に記載のとおりであります。

 

b.資本の財源及び資金の流動性

 当社の運転資金需要のうち主なものは、広告媒体の仕入費用及び人件費等の営業費用であります。

 当社は、運転資金につきましては内部資金及び銀行等金融機関から借入により充当しております。

 

③重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況」に記載のとおりであります。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。