文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)経営の基本方針
当社グループでは、社員一人ひとりが大切にする企業理念として「Pigeon DNA・Pigeon Way」を設定しております。「Pigeon DNA」は経営理念と社是で構成され、当社グループの核であり、この先も貫いていくもの、「Pigeon Way」は、存在意義、基本となる価値観、行動原則で構成されており、社員個々の“心”と“行動”の拠り所であり、すべての活動の基本となる考え方として定義しております。
当社グループは、この考えに基づき、Pigeon Wayの軸である存在意義(赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします)の実現に向けて事業展開しており、その達成に向けた5つの重要課題(マテリアリティ)を設定しております。また、事業活動を行うすべての国・地域において、環境負荷を減らし、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題の解決をすること、さらに新しいビジネスにも挑戦することで、社会になくてはならない存在として持続的な成長と企業価値の向上を目指しております。
(2)経営環境
当連結会計年度では、新型コロナウイルスの影響による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進み、訪日外国人観光客数の増加や個人消費の持ち直しの動きなど、緩やかな回復がみられております。世界経済においても、持ち直しの傾向が続くと期待される一方、世界的な金融引締め等による影響や物価上昇に加え、中東地域をめぐる情勢や金融資本市場の変動等の影響など、その先行きについては依然として不透明な状況にありましたが、当社グループは「総合育児用品ブランド」としての強みと高いブランド力を活かし、事業の拡大と経営品質の向上を目指しております。
① 日本事業
新型コロナウイルスの影響による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進み、訪日外国人観光客数の増加や個人消費の持ち直しの動きなど、緩やかな回復が見られました。また、継続的な円安基調、原材料価格の高騰の中で、当社は2月と9月に哺乳器・乳首を含むベビー関連用品の一部価格改定を実施しましたが、価格改定後も哺乳器をはじめとした主力商品の国内市場シェア(当社調べ)は引き続き高い状態を維持しております。
② 中国事業
中国本土では継続的な出生数減少に加え、7月以降、景況感の悪化や節約志向の高まりがみられております。またALPS処理水の海洋放出による日本製品買い控え傾向等が、個人の消費行動や当社の事業活動に影響を与えており、経営環境は依然として不透明な状況が続いております。そのような中、当社は出生数減少対策の一環として、主力のベビー向け製品に加え、6月より販売を開始した高月齢の赤ちゃん向け哺乳器「自然離乳シリーズ」や、22年末に発売した「キッズ向けスキンケア商品」の販売拡大など、エイジアップ商品の強化を行い、新規市場の開拓にも積極的に取り組んでおります。
③ シンガポール事業
当事業が管轄するASEAN地域及びインドでは、主要市場において前年発生したコロナ禍からの急回復に伴う需要増の反動や、一部の国では景気回復の減速や個人消費の低下が見られました。また、原材料価格高騰の影響等により生産拠点等の利益は圧迫されており、未だ安定的な経営環境とは言えない状況が続いております。一方、出生数の状況や今後の経済成長への期待から魅力的な市場も多く、当社は上位中間層以上のお客様をターゲットとし、各市場のニーズにマッチした商品の開発・投入を推進しております。
④ ランシノ事業
当事業の主力市場である北米では、コロナ禍後の海上輸送に関する物流混乱は解消に向かいましたが、米国内での陸上輸送コストの高騰等は引き続き継続しております。米国内では、前年に発生した粉ミルク供給不足問題に起因した当社商品への特需が一巡したことなどもあり、主力製品である乳首ケアクリームやさく乳器、母乳保存バッグ等の販売は低下しました。その一方、新規カテゴリである産前・産後ケア商品の販売は堅調に推移しております。また、ドイツやイギリスなどの欧州でも主力商品を中心に販売が伸長しております。欧米各国では主に消耗品類での市場競争が激化しておりますが、当社は消耗品以外での新商品投入及び新規カテゴリ商品の拡充等を推進しております。
(3)経営戦略等
当社グループは、「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」において、以下の3つのテーマを掲げ、既存事業領域での持続的な成長に加え、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力する事で、事業構造の再構築を積極的に行いながら、グループの事業拡大と経営品質向上を目指してまいります。
① ブランド戦略:存在意義を企業活動の軸とし、商品を通じたブランド力向上に注力する。
② 商品戦略:ものづくりを強化し、自社の優位性を活かせる哺乳器・乳首、ベビースキンケアへの集中と新規領域の探索を行う。
③ 地域戦略:各事業での自己完結体制を強化し、市場特性に合わせた生産・販売体制の革新による効率化や収益性改善、サプライチェーンの安定化、新規市場への拡大準備を積極的に行う。
なお、各事業戦略の概要は、下記のとおりであります。
「日本事業」
売上高目標 38,500百万円(2025年12月期)
・価格改定や商品ポートフォリオ見直しによる収益力改善
・新規カテゴリ創出(エイジアップや女性ケアなど)
・自社ECサイトの強化
「中国事業」
売上高目標 44,300百万円(2025年12月期)
・哺乳器・乳首、ベビースキンケアの更なる強化
・新規カテゴリ創出(エイジアップや女性ケアなど)
・サプライチェーンの見直しなどによる事業再編(韓国での自社直販体制への移行など)
「シンガポール事業」
売上高目標 17,800百万円(2025年12月期)
・哺乳器・乳首、スキンケアを核とした事業成長の加速
・上位中間層~プレミアム層向けのものづくり強化
・サプライチェーンの見直しなどによる事業再編
「ランシノ事業」
売上高目標 20,400百万円(2025年12月期)
・さく乳器、産前・産後ケアカテゴリの強化及び育成
・バイオデザインを活用した新商品、新カテゴリの開発
・販売体制の見直しなども含めた欧州事業の効率化
(目標とする経営指標)
当社グループは、2023年12月期を初年度とする第8次中期経営計画に沿った取組みを着実に実行していくことで、最終年度である2025年12月期の到達目標水準を、売上高1,138億円、営業利益160億円、親会社株主に帰属する当期純利益104億円としております。また収益性、資本効率の一層の改善を図るために、ROE、ROICやPVA(Pigeon Value Added)などを経営指標として重視し、更なる向上を目指してまいります。
(4)対処すべき課題
当社グループを取り巻く事業環境は、主力市場である日本・中国をはじめ世界的に出生数が減少する中、原材料及びエネルギー価格等の高騰による物価高や、コロナ禍を経たお客様の価値観・消費行動の変化等の影響を受けております。また、世界経済の先行きに対する不透明感の増加や地政学的リスクの高まり等もある中、各種環境の変化は目まぐるしく、将来の予測が非常に困難な状況にあります。
一方、中国では少子化が進行しているものの、経済力や出生数からも依然として巨大市場であることに加え、アジア各国やその他新興国等においても出生数の大きな市場が複数存在し、中長期的にはEコマースの浸透・発達や経済成長に伴う消費の拡大等が見込まれております。加えて、世界的には当社グループが未参入の市場も多く、これら既存及び新規市場における事業活動の強化・深耕によって、今後の成長が十分期待できるものと考えております。
このような環境の中、当社グループは、経営理念を「愛」とし、「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を存在意義として事業を展開しております。
そして、この存在意義を実現し、当社グループが社会になくてはならない存在として中長期的に成長するために取り組むべき重要課題(マテリアリティ)として、以下5つの要素を設定しております。
1. 事業競争力向上とビジネス強靭化
2. 環境負荷軽減
3. 社会課題への貢献
4. 存在意義実現のための人材・組織風土
5. 強固な経営基盤の構築
「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」においては、これら重要課題(マテリアリティ)を念頭に、グローバルで急速に変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、サステナブルな成長を確かなものとするため、次に示す3つの基本戦略を着実に実行してまいります。また既存事業領域での持続的な成長はもとより、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力することで、事業構造の再構築を積極的に行ってまいります。
1. ブランド戦略:
存在意義を企業活動の軸とし、商品を通じたブランド力向上に注力する。
2. 商品戦略:
ものづくりを強化し、自社の優位性を活かせる哺乳器・乳首、ベビースキンケアへの集中と新規領域の探索を行う。
3. 地域戦略:
各事業での自己完結体制を強化し、市場特性に合わせた生産・販売体制の革新による効率化や収益性改善、サプライチェーンの安定化、新規市場への拡大準備を積極的に行う。
既存事業領域においては、自社の優位性・競争力を活かせる基幹商品として、特に哺乳器・乳首、ベビースキンケアカテゴリをさらに強化するべく、ライフスタイル提案、新素材の検討、環境やローカルニーズへの対応など、ポストコロナの社会変化に沿った製品・サービスの充実を図ります。合わせて、各事業における各種商品・販売戦略の抜本的な見直しやサプライチェーン改善等の構造改革の実行によって、持続的な成長を目指してまいります。
一方、当社グループが未参入、かつ自社優位性の応用が期待できる領域として、顧客ターゲットの拡張につながるキッズ向け商品(エイジアップ)や、顧客親和性の高い女性ケア商品などをはじめとする新規商品カテゴリの創出・育成や、アフリカ地域をはじめとした新規市場への参入なども積極的に検討及び実施することで、次世代の成長を担う新規領域の探索・育成にも注力してまいります。
加えて、当社グループ全体を統括するグローバルヘッドオフィス(GHO)の機能は引き続き強化するとともに、事業の運営と成長を担う4つの事業部門(日本事業、中国事業、シンガポール事業及びランシノ事業)の役割と責任を明確にし、相互に連携することで、事業の永続的な成長及びコーポレートガバナンス等の経営基盤の強化を図ってまいります。
なお、当社グループにおける事業継続計画につきましては、既に構築されておりますグローバルリスクマネジメント体制をより一層充実させてまいります。また、重要課題(マテリアリティ)への取り組みを着実に行い、環境(E)、社会(S)及びガバナンス(G)の観点から持続可能なオペレーションを追求することによって、事業活動を行うすべての国・地域において、環境負荷を減らし、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題を解決することに加え、新しいビジネスにも挑戦することで、当社グループは社会になくてはならない存在として持続的な成長と企業価値の向上、そして存在意義の実現を目指してまいります。
当社グループでは、「社会価値」と「経済価値」の向上、その総和である「企業価値」の向上を図り、『社会の中でなくてはならない存在として存続し続けること』、これが当社のサステナビリティに関する基本的な考え方です。そして、当社はPigeon Sustainable Actionを掲げ、環境負荷を減らし、社会課題の解決を通じて、企業として持続的な成長を目指し取り組みを進めております。
Pigeon Sustainable Action
私たちは、赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にするために存在します。私たちは、赤ちゃんにやさしい未来をつくるため、事業活動を行うすべての国・地域において環境負荷を減らし、赤ちゃんとお母さんを取り巻く社会課題の解決をすること、新しいビジネスにも挑戦することで社会になくてはならない存在として持続的な成長を目指します。
当社グループでは、中長期的に取り組むべき課題として、5つの重要課題(マテリアリティ)を設定しております。重要課題のうち、気候変動への対応をはじめとする環境負荷軽減については、長期的に取り組む必要があることから、Pigeon Green Action Planとして中長期の定量目標を定め、第8次中期経営計画に組み込んでおります。
以下、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ
①ガバナンス
当社グループでは代表取締役社長の下に、グローバルヘッドオフィス(GHO)責任者である取締役専務執行役員を委員長とし、各事業セグメント(日本事業、中国事業、シンガポール事業、ランシノ事業)の本部長、経営戦略本部長で構成するサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、事業活動を通して持続可能な社会の発展に貢献し、企業価値の向上を実現するために当社グループが解決しなければならない重要課題(マテリアリティ)を特定し、重要課題(マテリアリティ)に基づく個別課題の設定、中長期の全社環境目標の設定、取り組み進捗のレビューを行っております。
サステナビリティ関連リスクのうち、気候変動により頻発化と激甚化が予想される水害のように短期~中期的に顕在化する可能性が高く、かつ事業継続に直結する可能性のあるリスクに対しては、当社グループのリスクマネジメント対応を体系的に定めるリスクマネジメント規程に基づき、代表取締役社長の下に設置した、グローバルヘッドオフィス(GHO)責任者を委員長とするGHOリスクマネジメント委員会が所管しております。GHOリスクマネジメント委員会は、当社グループ各社のリスクの特定・評価(全社リスクアセスメント)を通して当社グループの短期~中期的なリスク情報を網羅的に収集、分析・評価し、対応策を検討・実施・モニタリングしております。
サステナビリティ委員会(年2回以上開催)及びGHOリスクマネジメント委員会(年2回以上開催)における審議の結果と当社グループ全体の取り組み進捗状況を毎年取締役会に報告しており、取締役会はサステナビリティ委員会及びGHOリスクマネジメント委員会からの報告に基づき、当社グループのサステナビリティに関するリスク・機会を監督しております。
②戦略
当社グループは、赤ちゃんにやさしい未来をつくるため、事業活動を行うすべての国・地域において、環境負荷を減らし、赤ちゃんとご家族を取り巻く社会課題を解決するとともに、事業競争力の弛まぬ強化に努めることで、社会になくてはならない存在として持続的な成長を目指しております。
(a)Pigeon ESG/SDGs基本方針
当社グループは、「Pigeon DNA・Pigeon Way」を体現し、持続可能な社会の発展に貢献する方針として「Pigeon ESG/SDGs基本方針」を設定しております。当社グループが解決しなければならない重要課題(マテリアリティ)や環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)の観点から持続可能なオペレーションを追求するとともに、商品やサービスの提供による新たな価値の創造により、SDGsに代表される社会課題の解決に貢献すべく事業活動を展開します。事業活動を通してステークホルダーとの信頼関係の構築に努め、総じて企業価値を向上させることで、持続可能な社会の発展に貢献していくことを企図しております。
「Pigeon ESG/SDGs基本方針」に基づく持続可能な社会の実現ストーリー
https://www.pigeon.co.jp/sustainability/policy/
(b)事業環境と当社グループの重要課題(マテリアリティ)
ピジョングループにおいて大きな売上を占める日本や中国では、出生数の減少が続いており、特に新型コロナウイルス感染症の流行により、そのスピードが加速しました。その一方で、出生数の増加傾向がみられるアフリカ地域をはじめ、当社グループが進出していない市場は依然として多く、事業成長の余地があります。
また、地球温暖化が進行する中で、各国政府が脱炭素社会の実現に向けてカーボンニュートラルを表明し、企業も脱炭素に向けた取り組みを進めることが要求されております。プラスチックの使用に関しても、各国で使い捨てに対する規制が強化され、サーキュラーエコノミーへの移行に向けた動きが加速しております。
こうした地球環境課題への対応に加え、企業が持続的成長を果たしていくうえでは、人的資本に対する取り組みも不可欠な要素となっております。さらに、リスクマネジメントの観点からも、自社の社員のみならず、サプライチェーン全体に関わるすべての人々の人権に配慮した取り組みが期待されております。
このような事業環境の中で、持続可能な社会の発展に貢献し、企業価値の向上を実現するために、当社が解決しなければならない重要課題として、「事業競争力とビジネス強靭化」、「環境負荷軽減」、「社会課題への貢献」、「存在意義実現のための人材・組織風土」、「強固な経営基盤の構築」を特定しております。そして、これら重要課題ごとに目指すべき姿を明確にするとともに、その姿を実現するための課題を個別課題として具体化しております。そして、各事業ユニット及びグローバルヘッドオフィス(GHO)の各部門は、個別課題への取り組み計画を第8次中期経営計画(2023年~2025年)に組み込み、実行しております。
(c)環境負荷軽減に向けた長期目標「Pigeon Green Action Plan」
温室効果ガスの累積、森林減少、土壌劣化、生物多様性の損失、水害・渇水、プラスチック汚染、地球の復元・浄化能力の劣化等、地球環境の悪化は進行しております。地球環境の悪化は社会と経済の不安定さを増大させるリスクがあります。当社グループは、明日生まれる赤ちゃんの未来にも豊かな地球を残すために長期的に環境問題に取り組むべく、「Pigeon Green Action Plan」を2022年に策定しました。
環境問題は多々ありますが、当社グループの事業活動に相対的に関連性が高い気候変動問題、プラスチック問題、生物多様性毀損にフォーカスし、「脱炭素社会」「循環型社会」そして「自然共生社会」の実現を目指した中長期の環境目標を設定しております。
(d)気候変動関連のリスク及び機会
昨今、気候変動の影響が世界中で顕在化し、様々な自然災害によって人的被害や物理的損害をもたらしており、今後も自然災害の頻発化や激甚化が継続すると予想されております。こうした気候問題に対処するため、将来において、世界各国で政策変更や新規規制の導入、市場シフト・消費者の意識変化などの社会的変化が生じることが予想されます。このような変化の中でもピジョングループが「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」という存在意義を実現し、社会になくてはならない存在として将来にわたって存続するためには、気候変動に関する問題を経営戦略や財務計画に影響を与える可能性があるリスクや機会として捉え、対応していくことが必要であると認識しております。このため、ピジョングループの主力商品である哺乳器・乳首、スキンケアビジネスを対象として気候関連リスク及び機会の財務影響分析を行いました。
Ⅰ 気候シナリオ分析
当社グループは、様々な商品・サービスを世界90か国以上のお客様にお届けしております。気候シナリオを用いたリスク及び機会の分析を行うにあたり、まずは、中核ビジネスである日本事業及び中国事業における哺乳器・乳首、スキンケアの製造・販売ビジネスを分析対象としました。
分析に用いたシナリオは、世界平均気温の上昇を工業化前と比べて1.5℃に抑えるため脱炭素化へ向けて進む世界(1.5℃シナリオ)と、炭素排出量が多く世界平均気温が工業化前よりも4℃上昇する世界(4℃シナリオ)の2つとし、2030年時点(物理的影響は2050年)の世界を以下のように想定しました。
Ⅱ 哺乳器・乳首、スキンケアビジネスにとってのリスク及び機会
[消費者市場の変化]
当社の基幹商品である哺乳器・乳首は、これらを必要とする赤ちゃんにとっては気候状況や政策に関わらず必須の育児用品ですが、4℃シナリオでは、気候環境の大きな変化(自然災害の頻発化と激甚化等)が予測されるため、赤ちゃんの未来に対する不安感などが出生数の減少要因の一つとなり、哺乳器・乳首の売上に影響する可能性があると考えております。
1.5℃シナリオでは、消費者の倫理的選択嗜好が高くなることから、バリューチェーン全体で環境に配慮された商品、消費者への訴求といった商品戦略が重要になると考えております。
1.5℃シナリオ及び4℃シナリオのいずれにおいても、気候が変化し、自然災害が現状よりも多発化することが予想されます。このため、高温化、多湿化、乾燥化に対応するための商品や、渇水時や水害による断水時に、従来商品よりも節水型であるもしくは水を使用せずに使用できる商品の需要が高まることが予想されます。
当社グループは、第8次中期経営計画(2023年~2025年)の下、未進出地域の開拓並びに既進出市場における高収益商品の哺乳器(広口哺乳器)・乳首の販売拡大等の戦略を実行することにより、哺乳器・乳首の売上高・利益の伸長を目指していきます。スキンケア商品に関しては、第8次中期経営計画においてスキンケアカテゴリーの更なる成長に注力し、様々な商品機能に対する消費者のニーズを取り込んでいきます。そして、商品の環境配慮については、Pigeon Green Action Planの実行を通じて、ピジョングループの拠点とサプライチェーンを含むバリューチェーン全体での低炭素化、商品パッケージにおける植物由来素材や再生素材の使用率向上に取り組んでおります。これらの取り組みにより、消費者の環境配慮意識の高まりに応えていきます。
[政策・規制の変化]
1.5℃シナリオでは脱炭素化へ向けた強い政策・規制が導入され、当社にとっては温室効果ガス排出量に炭素税が課されるもしくは排出量取引制度が適用されることにより、炭素税の支払いもしくは排出枠の購入コストが発生するリスクがあります。
また、脱炭素政策の世界的強化が、購入電力、輸送運賃、パーム由来成分含有原材料、化石燃料由来プラスチック原料のそれぞれの価格の上昇、化石燃料由来プラスチックの使用を制限する規制をもたらすことが予想されます。これらは製造コストや開発コスト・設備投資の増加要因となる可能性があります。
Pigeon Green Action Planに沿って温室効果ガス排出量を削減することは、カーボンプライシング制度が導入された場合の炭素税の支払額もしくは排出枠の購入費用の軽減につながります。プラスチックの使用に関連するリスクについては、Pigeon Green Action Planの中で掲げている「2030年までにパッケージ材の50%(重量比)を植物由来又は再生素材にする」という目標及び「2030年までにすべてのパッケージをリユース、リサイクルまたはコンポスト可能な設計にする」という目標へ向けた取り組みを進めることによって、化石燃料由来バージンプラスチックへの課税や使用の禁止、プラスチック製パッケージの回収・リサイクル義務による財務影響を軽減していきます。
他方、移行リスクがもたらす潜在的な財務影響のすべてをPigeon Green Action Planの達成によって回避・軽減できるわけではないため、気候関連に起因した事業コストの増加に備える必要があると認識しております。他のコスト削減や高収益商品の比率拡大によって、増加したコストを事業全体で吸収することが第一であると考えておりますが、一部のコストは商品価格への転嫁によって消費者にも負担していただく可能性もあると考えております。そのためには、消費者とのコミュニケーションの中で、脱炭素の取り組みの意義と価値を消費者に伝え、脱炭素のためのコストを消費者が受容しやすくなる土壌づくりを能動的に行っていくことが必要だと考えております。
[自然災害の多発化]
1.5℃シナリオ及び4℃シナリオのいずれにおいても、世界平均気温が現在よりもさらに上昇することから、異常気象の発生頻度が高まり、水害、渇水、感染症拡大によるサプライチェーンや物流網の混乱と操業中断が予想されます。また、タイのバンコク近郊にある生産拠点は土地の海抜が低いため、将来的に海面上昇により慢性的に浸水する可能性があります。
生産を安定的に行えるよう、原材料と生産品の在庫確保のほか、ピジョングループ内での生産拠点の一時的切り替えや主要原材料の2社購買などの対策をとっております。
③リスク管理
サプライチェーンの寸断・混乱や水害による操業中断など、短期~中期的な時間軸での対応を必要とする事業上のサステナビリティリスクに関しては、リスクマネジメント活動の中でリスクの特定・分析評価(全社リスクアセスメント)を行い、重点リスクに対するアクションプランの検討と実施を行っております。各事業セグメント(日本事業、中国事業、シンガポール事業、ランシノ事業)は、リスクアセスメントとして、各事業セグメントにおいて発生する可能性があるリスク事象(事業リスク、財務リスク、ハザードリスク、コンプライアンスリスク)を洗い出し、各リスク事象の発生頻度と発生した場合に想定される損害の大きさに基づいてリスクの大きさを評価しております。事業セグメントの責任者及び各拠点の責任者は評価したリスクへの対応の要否と具体的な対応策、その実行計画を策定し、実行しております。ピジョングループ全体にとって重大なリスクであり、グループ全体として対応する必要があるサステナビリティリスクは、GHOリスクマネジメント委員会を中心としたマネジメントを行っております。
当社グループのリスク管理体制については、
一方、気候関連のリスクや機会は長期的に発現することから、長期的な時間軸及び事業セグメントを横断した視点からの検討も必要となります。このため、当社では、リスクマネジメント活動とは別に、気候関連の長期的なリスク・機会の特定とシナリオ分析を行うプロセスを設け、社外のコンサルタントを交えて、関係部署と連携しながら、当社ビジネスに関わる長期的な気候関連のリスクと機会の特定及び財務影響の分析を行いました。分析に基づいて特定されたリスク及び機会のうち、短期・中期的にはリスクが顕在化する可能性が低いものの、長期的には顕在化する可能性が高く、かつ、ピジョングループの業績にネガティブな影響を与えうると判断した気候関連リスクについては、サステナビリティ委員会にて対応方針(軽減、移転、受容、コントロール)を審議しております。各事業セグメントは対応方針に基づいた具体的対応策を検討し、実行しております。
④指標及び目標
(a)温室効果ガスの削減目標
当社グループは、重要課題「環境負荷軽減」のうち脱炭素社会の実現に係るパフォーマンス指標として温室効果ガス排出量を設定し、排出量総量(絶対値)を削減する目標を掲げております。
*SBT認定基準に準拠した削減率を目標として設定する予定です。
(b)温室効果ガス排出量の実績
当社グループの温室効果ガス排出量は次のとおりです。再生可能エネルギーの使用によるScope2 CO2排出量削減やサプライヤーとの協働によるScope3 GHG排出量の削減などに今後も取り組んでまいります。
実績値の千t- CO2e未満は切り捨てとし、記載しております。
温室効果ガス削減以外の個別課題に対する取り組みの進捗は下記ウェブサイトをご覧ください。
https://www.pigeon.co.jp/sustainability/policy/
Scope3温室効果ガス排出量のカテゴリー別排出量及び算定方法は下記ウェブサイトをご覧ください。2023年度実績値も同ウェブサイトで開示します。
https://www.pigeon.co.jp/sustainability/environment_top/co2/
(2)人的資本
①人材ガバナンス
当社グループは、Pigeon DNA、Pigeon Way・存在意義、そしてその先にある赤ちゃんにとってやさしい未来像の実現に向け、各ビジネスユニットが各市場特性に合わせた事業戦略を描き、それを実現するために、各社(各国)の人事担当部門が主体となってそれぞれの人事の課題を把握しそれに対する取り組みを立案、実行することが重要であると考えております。
また、グループ全体の人材ガバナンスを機能させるために、人権方針、コンプライアンスポリシーに則り、エンゲージメントの向上、DE&Iの推進、多様な人材が自分らしくいられる環境整備を中心に各社で取り組んでおります。そして、各ビジネスユニットが事業戦略を実現する上での人事面の課題や取り組み等の整備状況は、2024年より人事部をグローバルヘッドオフィスに設置することで、グループ各社の情報を集約し、適宜、取締役会に報告することで、取締役会からの指示や要請を各ビジネスユニットに応じた指導を行う体制づくりに着手しております。
②戦略
当社グループは、Pigeon DNA、Pigeon Way・存在意義、そしてその先にある赤ちゃんにとってやさしい未来像の実現に向け、中長期で取り組む5つの重要課題を設定し、第8次中期経営計画で掲げたテーマと基本戦略に沿ってグループ全社が一丸となって取り組んでおります。社会環境が大きく変化するなかで、新たに求められる商品やサービスとは何かを考え、どうすれば社会課題の解決につながるソリューションを提供できるのか、それらを自律的に考え、生み出す力を持った人材の獲得と育成、そしてそのような社員が活き活きと働くことのできる環境を継続的に整備することで「社員一人ひとりが自分らしく輝く会社にする」ことを目指しております。そしてこれらの実現を支えるのが人材戦略であり、当社らしい社員の輝きと活躍の先に、サステナブルな事業成長と理念・存在意義の実現があるものと確信しております。なお、前述の通り人事部をグローバルヘッドオフィスに設置したことにより、今後ピジョングループ全体での人材活用における課題を把握、精査した上で、現在よりも一歩先に進んだ形でグループ全社共通で解決すべき内容の特定と対応を進めます。
(a)人材長期ビジョン
当社グループでは、「この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所」にするために、自律性を備えた個を尊重し、成長と活躍を促すとともにその実現に必要となる環境の整備に取り組み続けております。
この長期ビジョンのもと、社会環境が大きく変化する中でも、サステナブルに成長し続ける事業戦略を実行する上で必要不可欠となる人材戦略を今まで以上に重要視しております。国籍、人種、性別、年齢、障がいの有無、性自認や性的指向などを問わず、意欲と能力のある人材を仲間として迎えるとともに、育児や介護、疾病など様々な事情を抱えても十分に能力が発揮できるような職場環境を確保します。また、世界各国の事業の成長に資する人材戦略は、前述の通り、各国の文化や労働慣行等を考慮し、当社グループ共通の人材長期ビジョンの基、ビジネスユニット単位或いは各国単位の人材戦略を立案・実行することで、ピジョングループとしての一体感を持ちながらも、各ビジネスユニット単位で最大限の人材価値が発揮できる形が理想と考えております。
(b)人的資本 当社取組方針
日本国内においては出生数の減少が続いており、特に新型コロナウイルス感染症が流行する中でそのスピードはさらに加速しました。労働市場の雇用の流動化も加速する中、優秀な人材を確保することや、その人材価値をさらに高める為に育成すること、そして能力を十分に発揮できる環境の整備が必要です。また、今後もさらに少子高齢化や労働人口の減少が進むことを見据え、当社は未来に向けて「社員一人ひとりが自分らしく輝く会社にする」ことを目指し、「エンゲージメント向上」「DE&Iの推進」「多様な人材が自分らしく挑戦し活躍できる環境整備」の3つを人材戦略の軸と設定し展開しております。
③リスク管理
当社グループの成長は、自律性を備えた社員一人ひとりの成長や活躍により実現できると考えております。今後、当社グループにとって影響力の強い、日本並びに中国を中心に、優秀な人材の獲得がさらに厳しさを増し、人材獲得競争の激化や既存社員の流出、それにともなう将来の経営人材の不足等が顕在化した場合、事業の発展や継続性に影響を及ぼすリスクがあると考えております。当社グループは、多様性を重視しキャリア採用、新卒採用のバランス、男女のバランス、専門性の高さと広さ等を考慮して人材を確保し、それらの人材が垣根なく活躍できる仕組みと市場競争力のある報酬体系を連動することで、働き甲斐のある環境と仕組みの整備を進めております。そして、社員一人ひとりが自分らしく輝くことのできる組織風土を創り、すべての社員が自ら手を挙げてチャレンジできる風土をベースとした、将来の企業価値の源泉となる人材に対して、その価値の最大化とそれを実現するための育成と環境整備そして仕組みの構築を重視しております。
④指標及び目標
当社は、重要課題の1つである「存在意義の実現のための人材・組織風土」に向けて、以下の項目をKPIとして掲げ、各指標の維持・向上を目指し適宜モニタリングと戦略的な取組を実行してまいります。人材戦略は後述の3つの柱と8つの切り口を元に実行することで人的資本価値向上を実現いたします。なお、目標値について「維持」と標記している項目については、現時点で当社として妥当な水準として認識している項目であり、これを維持するための取り組みを継続実施してまいります。
*エンゲージメントの調査対象拠点は「ピジョン株式会社、ピジョン上海、ピジョンシンガポール」
*上記記載の目標値は、エンゲージメントスコアを除き、全てピジョン株式会社
*男性の育休取得率は、厚生労働省が公表する「①育児休業等の取得割合」の算出方法により算出
*男性育休平均取得日数は、期中に子が1歳6か月を迎える男性社員の平均育児休業取得日数
(a)人材戦略の3つの柱
Ⅰ エンゲージメント向上
当社グループでは、会社が掲げるPigeon Wayへの高い共感と、社員一人ひとりの仕事が会社の存在意義と繋がっていると実感出来ていることが最も重要と考え、会社と社員を繋ぐ重要な要素としてエンゲージメントスコアをKPIとして位置づけております。
エンゲージメントスコアは、Gallup社が提供するサーベイに当社の独自設問を追加したもので2023年に実施※1いたしました。サーベイの結果を分析したところ、全体のエンゲージメントスコアとの相関性が極めて強い結果であった3つの追加の設問項目※2の回答平均スコアをKPIとして位置付け、このスコア向上に向けた施策を実施してまいります。2023年においては、8ヵ国16拠点、総勢278名の管理職に対して「Pigeon DNA/Pigeon Wayと赤ちゃんにやさしい未来像の体験型説明会」を実施しております。
※1 エンゲージメントサーベイはビジネスユニット(ランシノ事業本部除く)の核となるピジョン株式会社、PIGEON(SHANGHAI)CO.,LTD.、PIGEON SINGAPORE PTE.LTD.の3社の正社員を対象に実施(ランシノ事業本部除く)
※2 3つの追加の設問項目
・私は会社が掲げているPigeon Wayに共感している
・私のチームの仕事は、Pigeonの存在意義実現につながっていると感じる
・私は、職場で自分らしくいられる
Ⅱ DE&Iの推進
当社グループは、企業倫理指針のひとつに「いかなるときも社員の多様性・個性を尊重し、健康と安全に配慮した働きやすい職場環境を提供します。また、自己実現できる、働き甲斐のある職場を実現します。」を掲げております。国籍、人種、性別、年齢、障がいの有無、性自認や性的指向などを問わず、意欲と能力のある人材を従業員として迎えるとともに、育児や介護、疾病など様々な事情を抱えても十分に能力が発揮できるような職場環境を確保します。また、社員のさまざまなバックグラウンドを基とした違いを尊重して受け容れ、積極的に活かすことにより、変化し続けるビジネス環境や多様化する顧客ニーズに対応しております。表現の自由や結社の自由、さらには信教の自由などの市民的及び政治的権利についても社員との対話を図り、その権利を尊重しております。労働面では、Pigeon DNA・Pigeon Wayのもと、常に高い倫理観をもち、コンプライアンス重視の経営を推進し、国内外における労働者の権利・人権を尊重しております。
当社は、常にPigeon Wayに寄り添い多様性に対して敬意をもって受容することはもちろん、公平な機会提供と社員一人ひとりが自分らしさを最大限に発揮できる環境をつくることでダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンを推進し、働きがいを実感しつづけられる組織風土を実現します。そして個々の豊かな発想を結び付けて新しい価値を創造することでお客様や社会に対して貢献してまいります。また、「多様性の理解と受容」「知識の習得と活用」「自分らしく働くことができる環境と仕組み」をキーワードに、女性の活躍推進はもとより、Accelerate My Careerプログラム(前述)によるイントラパーソナルダイバーシティ※の推進を含め、様々な角度から取り組みを行ってまいります。
※一人ひとりの中に多様な視点や役割を持つこと
Ⅲ 多様な人材が自分らしく挑戦し活躍できる環境整備
当社は多様な人材が自分らしく挑戦し、活躍できる環境を実現することを社内環境整備方針として掲げ、継続的にあらゆる側面から施策を講じております。
当社の目指す赤ちゃんにやさしい未来像の実現には、我々、社員一人ひとりが自分らしく輝いている事こそが、必要不可欠な要素と考えております。その為には、多様な人材が心身共に健康でありそれぞれの個性と専門性を発揮し、なりたい自分に向かって挑戦すること、そしてその過程で発生する失敗を迎合し、その失敗から多くのことを学ぶことが許容される風土が必要と考えております。また、社員の人生で起こる様々なライフイベントに対して、柔軟に対応することのできる制度面での整備を行い、それを血の通った活きたものにするための運用管理と、社員への発信をし続けることにより、社員の理解促進も重要なポイントと考えております。
(b)8つの切り口
Ⅰ 人材育成
当社グループは、バリューチェーンの随所に知識と経験を有する高度な専門性を持った社員が存在し、その社員が社会の変化に目を凝らし、未来を考え、自らが能動的にアップデイトし続ける多様な専門家集団を目指すことを人材育成方針として掲げております。「社員一人ひとりが自分らしく輝く会社にする」ために、当社が主催するビジネススキル向上に資する研修はすべて任意参加とし、社員の自主性に加えて個性と専門性を重視した人材育成に取り組んでおります。
<成長機会>
・次世代経営選抜研修
当社が2004年から6年ごとに実施している「次世代経営人材育成選抜研修」では、ピジョングループの永続的発展に向け、将来の経営層を担う「Pigeon Wayの価値観のもと、人間力を磨き、企業価値を高め続けられる人材」の育成を継続的に行っております。本研修は発掘、育成、活用、登用のプログラムから構成され、各々のプログラム過程で受講生を育成選抜するカリキュラムとなり過去の受講生の多くは、次期経営層プール人材として位置づけられ、中核人材や経営人材として活躍しております。
・選抜!リーダー塾
2023年より開始した本研修は、将来の管理職候補として、自律・変革型リーダーの早期発掘と育成を目的として、3年に1度、40歳以下を中心とした若手、中堅社員を対象に、上司からの推薦と自薦により応募があった社員の中から16名を選抜して実施しております。今後のピジョンの未来を背負う人材候補として、ビジネストレンドテーマと掛け合わせたプロジェクト活動を通じて、検討~アウトプット(成果物)を作る経験を付与しております。
Ⅱ 仕組み
・役割をベースとした『人事制度』
中長期的に「熾烈な競争環境において海外企業と渡り合っていくためにはどのような人材が求められるか」を検討し、実力のある人材を年齢や勤続年数にかかわらず登用することを可能とする現制度への刷新をいたしました。
「一人ひとりが個性を活かしながらPigeon Wayを体現し、卓越した手腕を発揮するプロフェッショナル集団」を人事制度の理念として掲げ、社会環境の変化や不確実性が高まる未来にも対応すべく、「専門性の広さと深さ」に重点をおき、さらにそれをアップデイトすることも評価軸に含めて設計しております。また、優秀な人材の確保、獲得を実現する為に役割に応じた賃金制度を構築、運用し、年齢や勤続年数ではなく、社員が実際に担う役割と行動に連動した報酬体系とすることで市場競争力を担保しております。
Ⅲ キャリア
・AMC(Accelerate My Career)プログラム
社員の自発的なキャリア開発を社内と社外で支援することを目的に、2020年からAccelerate My Careerプログラムの運用を開始しております。社内のキャリア開発の機会としては、社内公募、社内プロボノ、社内インターンがあり、手上げ式で応募し社内選考を経て部署異動となるものから、単発的な他部署の業務支援、他部署の業務を短期間経験できるといった制度があります。また、社外におけるキャリア開発の機会としては、社外留職、ボランティア・プロボノ休暇があり、2023年からは社外副業(制度としては導入済みでしたが、AMCプログラムとして明文化)を加えております。これら6つの制度を通して、日頃の業務遂行だけでは得ることのできない知識や体験を付与し、社員一人ひとりが自発的にキャリアを考え推進していくことを支援しております。
AMC制度利用状況
Ⅳ 健康
当社は、優良な健康経営を実践している企業として、経済産業省と日本健康会議が共同で実施する健康経営優良法人認定制度において、「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)」の内定通知を受けております。正式に認定されれば3年連続となります。
当社では、「健康でいきいきと働くことができる会社」を目指し、社員の健康維持・増進をサポートし、活力に満ちた職場環境の実現に努めてきました。社長直下の健康経営推進体制を整え、産業医や健康保険組合とも連携の上、禁煙、健診受診管理の整備、メンタルヘルス対策などに積極的に取り組んでいるほか、年2回のウォーキング大会や産業医による社内講演会の開催など、社員の運動習慣定着・健康リテラシー向上の取り組みも進めております。また、認定法人として当社実践内容についてのお取引先企業への情報提供や、健康推進に向けた施策の共同実施等にも積極的に取り組んでまいります。
・健康経営宣言
当社は社員が健康でいきいきと働くことができる会社を目指します。
社員一人ひとりが心身共に健康で、公私ともに充実した生活を送ることができるよう社員の健康維持・増進をサポートし、活力に満ちた職場環境の実現に努めます。
・健康経営推進体制
代表取締役社長の監督の下、経営戦略本部副本部長を健康推進担当責任者とし、人事労務グループ内に健康推進担当者、衛生管理者、休職管理者を任命し、産業医や健康保険組合とも連携します。
外部には、専門機関のアドバイザーを設け、相談・助言ができる体制を整えた上で、健康経営を推進しております。
Ⅴ 風土・環境
・Pigeon Frontier Awards
当社が2021年から始動しているPigeon Frontier Awards(PFA)は、「働いていて楽しい時間を増やし、社員が未来にむけて、失敗を恐れず挑戦していくことを応援・表彰する」をコンセプトとし、社員が自ら提案する取り組みを応援し、将来には事業化まで発展させることを想定した取り組みです。
累計19件が社長直下のプロジェクトとして活動し、既に社員から出たアイデアがこの数年の間に形になっております。また、失敗を恐れず、挑戦する風土を醸成するだけでなく、このプロジェクトの経験を通して、プロジェクトメンバーは普段の仕事では決して体験する事の出来ない、他部門との連携や開発の現場を見ること、リーダーシップを発揮してメンバーを統率すること等、社員にとって貴重な成長機会にもなっております。
参考:PFAから生まれたアイデア
初乳採取サポートデバイス『Precious Drop』
https://www.pigeon.co.jp/news/files/pdf/20220712.pdf
書籍『ピジョンの子育て』
https://www.pigeon.co.jp/news/files/pdf/20221129.pdf
Ⅵ 安全・衛生
当社の職場における安全衛生の目的は、社員を守るために、労働災害を防止し、従業員の心身の安全と健康を維持することだと言えます。当社は、「健康の保持増進のための措置」として健康経営による施策を中心に取り組み、「快適な職場環境の形成のための措置」として安全で快適な職場環境を実現する為に、安全衛生委員会及び中央安全衛生委員会での議論を通じて施策を決定・実行し、社員(職場)の安全・衛生の確保に努めてまいります。
Ⅶ 働き方
・Smart & Smile!Work
当社は、働き方改革スローガンとして「Smart & Smile!Work ~決まった時間の中でSmartに働き、プライベートをSmileでいっぱいにする~」を掲げ、社員の人生は仕事がすべてではなく、仕事もプライベートも重要と考え、仕事を効率的に進めて自分自身の時間を十分に取ることができる環境整備を進めております。
a.17時15分以降の会議・打合せは行わない
b.19時~翌7時30分の間・休日にメールは送らない
c.フレックスタイム制度の積極活用 等
これらの活動を通して、業務の効率化と共に社員の心のリフレッシュも推進しております。
・有給取得率
仕事の効率を上げるための施策として有給取得率の向上も推進しております。全社員に対して、有給取得計画を事前に提出してもらい、計画的かつ自主的に有給休暇を取得することの啓蒙活動を数年間に亘って実施してまいりました。直近では、取得率が安定的に80%超の取得実績があり、休暇が取りやすい風土が醸成されております。
Ⅷ 両立支援
当社は、性別を問わず社員が仕事をしながら本人が望めば妊娠・出産・育児をすることが当たり前の職場環境の実現を目指しております。男性の育児参加はもとより、様々な取り組みを実施しております。
a.不妊治療や里親等のための休暇、休職制度(ライフデザイン休暇・休職制度)
我が国では不妊治療と仕事との両立ができず16%(女性の場合は23%)の方が離職(厚生労働省:不妊治療と仕事との両立ハンドブック)。ライフ・デザイン休職の取得単位は、1ヶ月単位で取得するものとし、1人の社員につき在籍中に通算24ヶ月を限度として利用可能。
b.出産予定の社員に対して行う育児関連制度の説明と制度利用のコンサルティング
c.男女共に育児休業取得率100%(男性の場合は配偶者が出産した場合)
2016年以降、社員(男性の場合は配偶者)が出産した際の育児休業取得率100%、取得日数:男性社員30日超を継続中。
d.育児レポート
出産(男性の場合は配偶者)後、1年6ヵ月以内に対象者は全員必ず作成。「育児をすること」は、対象者の評価制度における目標にも組み込まれ、その成果物として育児レポートを作成。人事担当役員が評価し、賃金制度に結びつける。
e.復職前の人事面談・制度説明と復職先部門長面談
復職後の働き方のイメージの共有と利用可能な制度を復職先の部門長と一緒に聞く事でよりリアリティのある復職後の想定を共有。
f.復職ママ会の実施
子の月齢が近い社員同士のつながりを創ると共に、先輩ママ社員からのアドバイスを共有することで産後の復職に対する育児と仕事の両立に対する心理的不安を取り除く。
上記の取り組みのみならず、社員のライフイベントに応じて、様々な取り組みを継続して実施し続けることで、社員の妊娠、出産、育児を含めたプライベートと仕事の両立に対する負のバイアスを排除し、社員にとってライフイベントがキャリアロスではなくキャリアアップの機会として、少しでもポジティブに生きることのできる環境となるよう、今後も継続して整備してまいります。そして、自社の育児と仕事を両立させることのできる労働環境を整備することこそが、我が国の少子化に歯止めをかける重要な1つのポイントでもあると考え、当社独自の両立支援制度を我が国全体に広げるべく社会に対して発信し続けております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)出生数の減少
当社グループの主力事業である育児用品の製造及び販売事業は、国内及び海外での出生数の減少により総需要量(数)が変動し、売上高の減少を生じる可能性が考えられます。
(2)経済動向・社会・制度等の変化に関するリスク
現在、当社グループは日本をはじめ、タイ、中国、トルコ、インドネシア、インドで商品を製造し、さらに日本、アジア、オセアニア、中近東、北米、ヨーロッパを中心に国内外で事業を展開しております。日本事業・中国事業・シンガポール事業・ランシノ事業が持つリスクとしては以下のものが考えられます。当社グループも各事業におけるリスクに対しては可能な限りのリスクヘッジを講じてはおりますが、予期できない様々な要因によって当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
・当社グループにとって影響を及ぼす法律の改正、規制の強化
・テロ・戦争の勃発、既知及び未知の感染症・伝染病の流行による社会的・経済的混乱
・地震等の自然災害の発生
・予測を超える為替の変動
(3)天候・自然災害
当社グループの主力商品である育児及び女性向け用品、介護用品は天候からの影響は比較的軽微と考えられますが、突発的に発生する災害や天災、不慮の事故の影響で、製造、物流設備等が損害を被り、資産の喪失、商品の滞留等による損失計上により、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
とりわけ、気候変動は世界共通の取り組むべき課題と認識し、2021年12月に気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)提言への賛同を表明し、「ピジョングループTCFD Report 2023」及び当社のコーポレートサイトにおいてTCFD提言の枠組みに則った情報開示をしております。
TCFDレポート:https://www.pigeon.co.jp/sustainability/environment_top/warming/
(4)原材料価格の変動
当社グループの使用する主要な原材料には、原油価格やパルプ価格等の市場状況により変動するものがあります。それら主要原材料の価格が高騰することにより、製造コストが高騰し、また、市場の状況によって販売価格に転嫁することができない場合があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(5)製造委託先での事故
当社グループの主力商品である育児及び女性向け用品、介護用品の一部は外部に製造委託を行っております。品質には万全を期しておりますが、事前の予想を超えた品質事故が起った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(6)子育て支援に関するリスク
当社グループは、働きながら子育てをするご両親のため、保育、託児、幼児教育事業を展開し、多くの乳児、幼児をお預かりしております。そのため、安全には万全の配慮をしておりますが、乳児、幼児は予期しないケガをする可能性を秘めております。これまで当社グループの事業運営に影響を与えるような事故や補償問題は発生しておりませんが、将来にわたってそのような事態が発生しないとは言い切れず、そのような事態に陥った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(7)製造物責任に関するリスク
生活者向け商品のメーカーとして、商品の品質や安全性、商品の原料に関する評価は非常に重要であります。当社グループは商品の設計段階から量産に至るまで、品質、安全性の確保に万全を期しておりますが、商品に欠陥が発生した場合、もしくは予期せぬ事故が発生した場合には、商品回収等に伴う損失の計上や、顧客の流出による売上の減少など、当社グループの業績に悪影響を及ぼす可能性があります。
(8)訴訟に関するリスク
当社グループは、会社設立以来、多額の補償金問題など大きなクレーム又は訴訟等を提起されたことはございません。しかし、国内海外を問わず事業を遂行していくうえでは、訴訟提起されるリスクは常に内包しております。
万一当社グループが提訴された場合、また、その結果によっては、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(9)情報システムのリスク
当社グループは、販売促進キャンペーンや赤ちゃん誕生記念育樹キャンペーン等多数のお客様の個人情報をはじめ、研究活動の成果や商品開発上の機密事項など、様々な重要情報を保有しております。当社グループは、これらの重要な情報の紛失、誤用、改ざん等を防止するため、システムを含めて情報管理に対して適切なセキュリティ対策を実施しております。しかしながら、停電、災害、ソフトウエアや機器の欠陥、コンピュータウイルスの感染、不正アクセス等予測の範囲を超えた出来事により、情報システムの崩壊、停止又は一時的な混乱、顧客情報を含めた内部情報の消失、漏洩、改ざん等のリスクがあります。このような事態が発生した場合、営業活動に支障をきたし、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
(10)個人情報漏洩のリスク
当社グループは、生活者向け商品とサービスの提供を行っており、多くの個人情報を保有しております。日頃より全社員には個人情報保護の重要性の認識を徹底させ、社内教育受講の義務付け、顧客情報の管理の強化に努めておりますが、何らかの原因にて個人情報が外部に漏洩する可能性があります。個人情報が外部に漏洩するような事態に陥った場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)信用リスク
当社グループは、国内外の取引先と商取引を展開しており、取引先の経営破綻又は信用状況の悪化により当社グループが保有する債権が回収不能になるリスクがあります。このような事態が生じた場合、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルスの影響による行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進み、訪日外国人観光客数の増加や個人消費の持ち直しの動きなど、緩やかな回復がみられております。世界経済においても、持ち直しの傾向が続くと期待される一方、世界的な金融引締め等による影響や物価上昇に加え、中東地域をめぐる情勢や金融資本市場の変動等の影響など、その先行きについては依然として不透明な状況にあります。
このような状況の中、当社グループは、2023年2月に「第8次中期経営計画(2023年12月期~2025年12月期)」を発表しました。グローバルで急速に変化し続ける事業環境に柔軟に対応し、サステナブルな成長を確かなものとするため、3つの基本戦略(ブランド戦略、基幹商品戦略、地域戦略)の着実な実行による既存事業領域での持続的な成長に加え、自社の知見が活用できる新たな成長領域の探索・育成にも注力することで、事業構造の再構築を積極的に行ってまいります。当連結会計年度はその初年度として、事業の成長はもとより、私たちの存在意義である「赤ちゃんをいつも真に見つめ続け、この世界をもっと赤ちゃんにやさしい場所にします」を実現させるため、各施策の実行に取り組んでまいりました。
①財政状態及び経営成績の状況
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ12億93百万円減少し、1,004億40百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ24億28百万円減少し、193億52百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ11億34百万円増加し、810億87百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度においては、売上高は日本事業及びランシノ事業が牽引したものの、中国事業、シンガポール事業で前期を下回り、944億61百万円(前期比0.5%減)となりました。利益面においては、積極的な販売促進費使用により営業利益は107億26百万円(同12.1%減)となりました。経常利益は115億22百万円(同14.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は74億23百万円(同13.5%減)となりました。
なお、当連結会計年度の海外連結子会社等の財務諸表項目(収益及び費用)の主な為替換算レートは次のとおりです。
・米ドル:140.58円(131.55円)
・中国元:19.83円(19.50円)
注:( )内は前年同期の為替換算レート
当社グループの報告セグメントは「日本事業」、「中国事業」、「シンガポール事業」及び「ランシノ事業」の計4セグメントとなっております。各セグメントにおける概況は以下のとおりです。
<日本事業>
当事業は、「ベビーケア」、「子育て支援」、「ヘルスケア・介護」等で構成されております。当事業全体の売上高は368億65百万円(前期比1.5%増)、セグメント利益は20億6百万円(同34.5%増)となりました。
ベビーケア(育児及び女性向け用品)の売上高は、2月と9月に実施した哺乳器・乳首を含むベビー関連用品の一部価格改定による効果の他、基幹商品である哺乳器・乳首、ベビースキンケアに加え、おしりふきなどの消耗品に対する販売強化策も奏功し、売上高は前年同期を上回りました。また新商品として、鼻の奥に溜まりがちな鼻水を素早く吸引する「電動鼻吸い器SHUPOT(シュポット)」や、思い出の詰まった哺乳びんを日常使いできるようにするための「母乳実感パーツ」シリーズなどの販売を8月から開始し、ご好評いただいております。さらに、公式オンラインショップにおいてはECモールとの連携強化による利便性向上や限定商品の充実等を行い、一層の販売強化に取り組んでおります。加えて、ダイレクト・コミュニケーションの一環であるイベントとして、出産前の方を対象とした「おっぱいカレッジ」、“母子に寄り添う子育て中の母乳育児”をテーマとした医療従事者向けのピジョンセミナーなどをオンラインで開催し、合計で約2,000名以上の方にご参加いただいております。妊娠・出産・育児シーンの女性を応援するサイト「ピジョンインフォ」においても、商品情報の更新はもちろん、今後も更なるお客様の利便性向上を目指して改善を進めてまいります。また、一般の方々に向け、「専門的なケアを必要とする赤ちゃんとご家族」に関する展示会をオンライン・オフラインの両方で開催し、その認知拡大を図りました。
なお、当社のグループ会社であり、スキンケア製品等の生産を担うピジョンホームプロダクツ株式会社はこれまでの第1工場、第2工場を集約した新工場を静岡県富士市に竣工し、9月より本格稼働を開始しました。新たなスキンケア製品等で顧客価値の創造を目指し、開発体制の強化や生産能力向上に加え、環境対策にも注力していきます。
ヘルスケア・介護用品については、一部商品において2月及び9月に価格改定を実施した他、介護用品ブランド「ハビナース」で販売している、炭酸飲料にも使用可能なとろみ調整食品「液体とろみ かけるだけ」などの新商品を中心に、引き続きブランドの活性化を図りました。今後も更なる小売店及び介護施設等への営業活動強化、介護サービスの品質向上など施策実行を徹底していきます。
子育て支援については、事業所内保育施設等61箇所にてサービスを展開しており、今後もサービス内容の質的向上を図りながら事業を展開していきます。
<中国事業>
当事業の売上高は330億45百万円(前期比5.0%減)、セグメント利益は88億58百万円(同14.9%減)となりました。
中国本土においては、特に下期において景況感の悪化や節約志向の高まり、ALPS処理水の海洋放出による日本製品買い控え傾向の影響等を受けたこともあり、現地通貨の売上高は前年同期を下回りました。一方、主力のベビー向け製品に加え、出生数減少への対応・顧客層拡大策の一環として取り組んでいるエイジアップ商品の強化につきましては、6月より販売を開始した高月齢の赤ちゃん向け哺乳器「自然離乳シリーズ」や、2022年末に発売した「キッズ向けスキンケア商品」の販売拡大などの販売が順調に推移しており、すでに一定の効果が見られております。消費者コミュニケーションでは、動画プラットフォームTikTokの中国本土版「Douyin(抖音)」での販売強化や、SNSやライブ配信等のデジタルマーケティングを活用する事に加え、実店舗での店頭販売促進や病産院活動等の強化も引き続き実施し、安定的な事業拡大に向けた取り組みを進めております。
また、当事業が管轄する韓国においては、当期より国内の流通体制を見直し、現地販売子会社を起点とした新規顧客の獲得及び既存顧客の更なる深耕による販売力・マーケティング力強化に取り組んでいるほか、北米市場でのピジョンブランドの育児用品の販売においても、引き続き取り組みを強化しております。
<シンガポール事業>
当事業の売上高は130億85百万円(前期比7.5%減)、セグメント利益は12億35百万円(同42.3%減)となりました。
当事業が管轄するASEAN地域及びインドでは、主要市場において前年発生したコロナ禍からの急回復に伴う需要増の反動や出荷調整の継続等もあり、売上高は前年同期を下回りました。当事業が注力している基幹商品カテゴリにおいては、中国・日本市場で先行販売している新型哺乳器の投入及び販売エリア拡大に加え、ガラスのような透明感を実現した新素材のプラスチック 「T-Ester(ティーエスター)※」を使用した哺乳器や、自然由来で赤ちゃんの肌にやさしく、地球環境にもやさしいスキンケアシリーズ「ナチュラル・ボタニカル・ベビー」などを中心とし、更なる商品ラインアップの拡充や販売・配荷強化に取り組みました。また、手動及び電動さく乳器のリニューアル実施や市場特性に合わせた商品の上市など、引き続き、上位中間層以上のお客様をターゲットとし、各市場のニーズにマッチした商品の開発・投入を推進しております。当社ブランドの市場浸透・強化策としては、店頭での訴求力改善やソーシャルメディア対応の強化、病産院とのコミュニケーション拡充などを実施し、積極的な営業・マーケティング活動を展開していきます。
※「T-Ester」は、三菱瓦斯化学株式会社の日本及びその他の国における商標または登録商標です。
<ランシノ事業>
当事業の売上高は184億80百万円(前期比9.2%増)、セグメント利益は14億53百万円(同25.9%増)となりました。
主力市場である北米及び欧州においては、継続していた海上物流の混乱状態には一定の落ち着きが見られましたが、特に北米での陸上輸送関連の物流費の高止まり等の影響が残りました。また北米では母乳パッドなど消耗品の市場競争激化や、2022年より断続的に発生した米国内での粉ミルク供給不足問題に起因した当社商品への特需が一巡したことなどもあり、現地通貨の売上高は前年同期を下回りました。一方、ドイツ、イギリスを含む欧州地域では主力商品である乳首クリームなどを中心に販売が好調に推移しており、事業全体としての売上高は前年同期を上回りました。また、新規カテゴリである「産前・産後ケア商品」の売上高は、積極的な販促活動や費用投入等の効果もあり、北米及び欧州において売上高は好調に推移しております。当事業では引き続き、主力商品である母乳育児関連商品並びに新規カテゴリ商品の拡充、Eコマース強化やブランド強化等の取り組みを進め、一層の事業拡大を図っていきます。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ74百万円増加し、343億57百万円となりました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は、145億23百万円(前年同期は132億10百万円の獲得)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益111億54百万円、減価償却費48億81百万円、棚卸資産の減少額25億44百万円等の増加要因に対し、法人税等の支払額43億64百万円、仕入債務の減少額20億73百万円等の減少要因によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、54億67百万円(前年同期は56億59百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出54億84百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果支出した資金は、102億56百万円(前年同期は96億66百万円の支出)となりました。これは主に配当金の支払額91億9百万円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(生産実績)
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本事業(百万円) |
10,320 |
107.8 |
|
中国事業(百万円) |
10,125 |
87.8 |
|
シンガポール事業(百万円) |
6,540 |
91.9 |
|
ランシノ事業(百万円) |
1,969 |
86.8 |
|
合計(百万円) |
28,954 |
95.0 |
(注)金額は製造原価によっております。
(受注実績)
当社グループは、主として見込みにより生産及び商品仕入を行っており、一部受注による商品仕入れを行っておりますが、受注残高は僅少であります。
(販売実績)
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
日本事業(百万円) |
36,865 |
101.5 |
|
中国事業(百万円) |
33,045 |
95.0 |
|
シンガポール事業(百万円) |
13,085 |
92.5 |
|
ランシノ事業(百万円) |
18,480 |
109.2 |
|
内部売上高消去(百万円) |
△7,016 |
96.8 |
|
合計(百万円) |
94,461 |
99.5 |
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前連結会計年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
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金額(百万円) |
割合(%) |
金額(百万円) |
割合(%) |
|
|
ピップ株式会社 |
16,160 |
17.0 |
16,448 |
17.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容等
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は下記のとおりであり、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における資産の残高は、前連結会計年度末と比べ12億93百万円減少し、1,004億40百万円となりました。流動資産は23億43百万円減少し648億円、固定資産は10億49百万円増加し356億39百万円となりました。
流動資産の減少の主な要因は、未収入金が8億4百万円増加したものの、受取手形及び売掛金が15億62百万円、商品及び製品が9億53百万円それぞれ減少したことによるものです。
固定資産の増加の主な要因は、有形固定資産の建設仮勘定が34億53百万円減少したものの、有形固定資産の建物及び構築物が36億37百万円、機械装置及び運搬具が13億85百万円それぞれ増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債の残高は、前連結会計年度末と比べ24億28百万円減少し、193億52百万円となりました。流動負債は20億30百万円減少し135億32百万円、固定負債は3億97百万円減少し58億20百万円となりました。
流動負債の減少の主な要因は、支払手形及び買掛金が14億23百万円、未払法人税等が4億93百万円それぞれ減少したことによるものです。
固定負債の減少の主な要因は、リース債務が2億32百万円、その他が1億56百万円それぞれ減少したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、前連結会計年度末と比べ11億34百万円増加し、810億87百万円となりました。
純資産の増加の主な要因は、利益剰余金が17億28百万円減少したものの、為替換算調整勘定が27億6百万円増加したことによるものです。
2)経営成績
(売上高及び売上原価)
当連結会計年度における売上高は、944億61百万円となりました。
セグメント毎に分析しますと、当社グループの主力セグメントである日本事業は、2月と9月に実施したベビー関連用品の一部価格改定などの影響もあり368億65百万円、中国事業は、特に下期にかけて中国本土における景況感の悪化や節約志向の高まり、またALPS処理水の海洋放出による日本製品買い控え傾向の影響等を受けたこともあり330億45百万円となりました。
当連結会計年度における売上原価は、490億8百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、347億26百万円となりました。
各国でのリオープン(経済活動の再開)が一層進んだことや、マーケティング活動の強化に伴う費用の積極的な使用等により、売上高比率は2.4ポイント増加し、営業利益は107億26百万円となりました。
(営業外損益、特別損益、経常利益及び税金等調整前当期純利益)
当連結会計年度の営業外損益は、受取利息を2億56百万円、助成金収入を6億71百万円計上したことにより、7億96百万円の利益となりました。
特別損益は、減損損失2億13百万円計上したことにより3億68百万円の損失となりました。
これらの結果、経常利益は115億22百万円、税金等調整前当期純利益は111億54百万円となりました。
(法人税等、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等は35億92百万円、非支配株主に帰属する当期純利益は1億37百万円となり、これらの結果、親会社株主に帰属する当期純利益は74億23百万円となりました。
各セグメント毎の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
1)財政状態
(日本事業)
セグメント資産は、建設仮勘定が3,271百万円減少したものの、建物及び構築物の増加3,910百万円、機械装置及び運搬具の増加1,666百万円等により、前連結会計年度末に比べ2,388百万円増加の27,548百万円となりました。
(中国事業)
セグメント資産は、受取手形及び売掛金の減少1,506百万円、建物及び構築物の減少449百万円、原材料及び貯蔵品の減少422百万円等により、前連結会計年度末に比べ2,443百万円減少の16,653百万円となりました。
(シンガポール事業)
セグメント資産は、受取手形及び売掛金の減少279百万円、商品及び製品の減少238百万円、原材料及び貯蔵品の減少155百万円等により、前連結会計年度末に比べ751百万円減少の9,599百万円となりました。
(ランシノ事業)
セグメント資産は、流動資産のその他が246百万円、原材料及び貯蔵品が216百万円それぞれ増加したものの、商品及び製品の減少1,044百万円等により、前連結会計年度末に比べ372百万円減少の11,264百万円となりました。
2)経営成績
当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 b. 経営成績」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資本の流動性に係る情報
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては「(1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
1)資金需要
当社グループの資金需要は、主に運転資金需要と設備資金需要の2つがあります。
運転資金需要のうち主なものは、当社グループ製品製造のための原材料の仕入のほか、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用に係るものであります。また、設備資金需要としましては、主に生産設備の取得に伴う建物や機械装置等固定資産購入に係るものであります。
2)財務政策
当社グループは、堅固なバランスシートの維持、事業活動のための適切な流動性資産の維持を財務方針とし、主たる資金需要である運転資金及び設備資金につきましては、主として営業活動から得られるキャッシュ・フローを源泉とする内部資金によっておりますが、日本におけるグループ会社の資金不足は当社からの貸付けで、海外グループ会社の資金需要につきましても主に当社からの外貨建て貸付けにて対応しております。また、当社における手元資金は事業投資の待機資金であることを前提に流動性・安全性の確保を最優先に運用しております。
当社グループは、健全な財務体質、営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も海外事業を中心とする成長性を確保するために現在の手元流動性を超える投資資金需要が発生した場合でも、必要資金を調達することが可能であると考えております。
なお、2024年12月期の設備投資資金等の長期資金需要につきましては、内部資金をもって充当する予定であります。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。なお、連結財務諸表作成に際しては経営者の判断に基づく会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告に影響を与える見積りが必要ですが、この判断及び見積りは、過去の実績を勘案するなど、可能な限り合理的な根拠を有した仮定や基準を設定した上で実施しております。しかしながら、事前に予測不能な事象の発生等により実際の結果が現時点の見積りと異なる場合も考えられます。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しておりますが、特に重要なものは以下のとおりであります。
・固定資産の減損
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準(「固定資産の減損に係る会計基準の設定に関する意見書」(企業会計審議会 平成14年8月9日))及び「固定資産の減損に係る会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第6号 平成15年10月31日)を適用しております。減損損失の認識にあたり使用する回収可能価額の算定にあたっては、将来キャッシュ・フローを適正な割引率で割り引いた使用価値等様々な仮定を用いております。なお、当連結会計年度においては減損損失を213百万円計上しております。
なお、当社グループの経営に影響を与える大きな要因として、当社グループの主力事業の1つである国内育児用品の販売事業は、出生数の減少により総需要量(数)が変動し、売上高の減少を生じる可能性が考えられます。このような市場環境の下、これまで60年以上にわたる育児研究から生まれた競争優位性を発揮できる新商品の開発及び発売、カテゴリ拡大による事業の安定的な成長に努めてまいります。
また海外市場におきましては、海外各国における経済、社会情勢の変化、為替変動、新興国の経済成長に伴う原材料需給状況の変化等により売上高、利益額の減少が生じる可能性が考えられます。当社グループの事業成長継続のため、各市場に合わせた商品の開発と供給体制の整備・充実、及び、ブランド力強化と販売活動の一層の拡大が重要と考えております。
また、当社グループは、保育、託児、幼児教育事業などを展開し、多くの乳幼児等をお預かりしておりますが、このような事業は予期せぬ事故が発生する可能性があります。これまでには、震災などの自然災害によるものを含め、業績に影響を与えるような事故等は発生しておりませんが、将来にわたってそのような事態が発生しないとは言い切れず、そのような事態に陥った場合、当社グループの経営成績に与える可能性があります。
(経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等)
第67期(2023年12月期)を初年度とし、第69期(2025年12月期)を最終年度とする第8次中期経営計画にて目標に掲げた主な指標は次のとおりであります。
|
|
第67期目標 (2023年12月期) |
第68期目標 (2024年12月期) |
中期経営計画目標 (2025年12月期) |
|
売上高(百万円) |
100,000 |
106,500 |
113,800 |
|
営業利益(百万円) |
12,400 |
14,000 |
16,000 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益(百万円) |
8,100 |
9,100 |
10,400 |
|
PVA(百万円) (Pigeon Value Added) |
4,816 |
6,070 |
7,437 |
|
EPS(円) |
67.70 |
76.05 |
86.92 |
|
ROE(%) |
11.0 |
12.8 |
14.5 |
|
ROIC(%) |
11.8 |
13.3 |
15.1 |
(注) ROICの算定に使用する法人税率は30%としております。
なお、当連結会計年度の売上高は944億61百万円、営業利益は107億26百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は74億23百万円、PVAは3,480百万円、EPSは62.06円、ROE9.6%、ROICは9.3%となっております。
該当事項はありません。
当社グループの研究開発の基本姿勢は、妊娠、出産から子育て、そして高齢者、介護などの生活シーンにおいて生活者の研究を核に新たなニーズを掘り起こし、技術シーズの裏付けを持った新しい商品及びサービスを生み出すことにあります。
中央研究所を拠点とする開発本部では、グループの各開発部門と連携しながら、効率的かつ迅速な商品開発の実現を図ることでグローバル市場での競争優位性の実現を目指しております。特に、当社の商品開発の核となる赤ちゃんの哺乳・授乳に関する基礎研究については専任の開発組織を設置しており、そこで得たナレッジをグローバルに展開することで、永続的に開発可能な体制の強化を図っております。
また、当社では開発本部とともにSCM(サプライチェーンマネジメント)本部において、新商品開発時における商品評価及び量産化後の品質管理を担っております。研究開発から量産化に至る一貫した商品開発体制を備えることにより、各拠点の現地開発体制も含めたグループ全体の商品開発機能の中枢を担っております。
なお、2019年1月より、事業部門を地域別に4つに分割し、日本事業、中国事業、シンガポール事業及びランシノ事業として、その役割と責任を明確にしております。そのうえで、商品企画だけでなく、商品開発、品質管理も現地で完遂する仕組みを構築し、更なるスピードアップを目指しております。
今後も、グローバルに安心・安全な商品の提供を目指し、グループ全体の研究開発体制をさらに強化していきます。
なお、研究開発に携わる人員の総数はグループ全体で237名となっており、当連結会計年度における研究開発費の総額は
(日本事業)
日本市場では、基幹商品カテゴリである哺乳器・乳首カテゴリより、150通りのカスタマイズが楽しめる哺乳びん「My母乳実感」や、思い出の詰まった哺乳びんを日常使いできるようにするための「母乳実感パーツ」シリーズなどの新発売に向けた活動を行いました。また、ベビーヘルスケアカテゴリでは、吸引圧に加えて吸引流量にも着目した当社独自のオリジナルポンプを採用し、鼻の奥に溜まりがちな鼻水を素早く吸引する「電動鼻吸い器SHUPOT(シュポット)」の販売に向けた活動を行いました。他にも、妊娠中・産後にデリケートゾーンのお悩みを抱える女性向けに開発した新シリーズ「ME. by Pigeon(ミーバイピジョン)」の販売に向けた活動を行うなど、心身ともに大きな変化を経験する妊娠中から産後の時期において、女性が1人で悩みを抱えることなく、より快適に過ごして頂けるような商品の開発を行いました。また、介護用品ブランド「ハビナース」より、介護用品では新しい、トイレットペーパーに吹きかけるだけで流せるおしりふきに変えることができるスプレー「ラクラクおしりキレイミスト」の販売に向けた活動など、引き続き消費者・介護者のニーズに寄り添った新商品開発及び商品ラインアップの拡充に向けた活動を行いました。
この結果、当連結会計年度の研究開発費は
(中国事業)
中国市場では、哺乳器からストロー飲みへのスムーズな移行をサポートするため、新開発の吸い口を搭載した高月齢の赤ちゃん向け哺乳器「自然離乳シリーズ」の販売に向けた活動を行いました。また2022年下期より発売を開始している3歳以上のお子様を対象とした「キッズ向けスキンケア商品」のラインアップ拡充に向けた活動など、従来のターゲット層に向けた商品開発に加え、新規ターゲット層へのアプローチとして、エイジアップ商品の強化等に注力をしました。
この結果、当連結会計年度の研究開発費は
(シンガポール事業)
東南アジアやインド等の市場に対しては、哺乳器カテゴリとして「SofTouch」(日本における商品名:母乳実感®)シリーズのリニューアル発売や、その他商品ラインアップ拡充等に向けた活動を行いました。また、スキンケアカテゴリにおいては、自然由来で赤ちゃんの肌にやさしく、地球環境にもやさしいスキンケアシリーズ「ナチュラル・ボタニカル・ベビー」シリーズよりベビーパウダーやボディソープなどの新商品発売に向けた活動を行いました。この他にも、赤ちゃんの口腔ケア商品や哺乳びん除菌・乾燥器の新発売などをはじめ、各市場に向けて積極的な研究開発を実施しました。
この結果、当連結会計年度の研究開発費は
(ランシノ事業)
ランシノ事業では、前期に発売を開始した新規商品カテゴリである産前・産後ケア商品において、産前におけるデリケートゾーンのお手入れに使用するオーガニックオイルや、帝王切開後の傷跡を保護するジェルパッドなどを新たに発売する等、更なる商品ラインアップ拡充に向けた活動を行いました。また、さく乳器においては、下着の内側に装着し、ハンズフリーで快適にさく乳をすることができる新商品「Wearable Breast Pump」の販売に向けた活動を行うなど、更なる新規商品カテゴリ探索に向けた活動や、多様なニーズのある市場に向けて積極的な活動を行いました。
この結果、当連結会計年度の研究開発費は