第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。

1.会社の経営の基本方針

 当社グループは「暮らしと社会の明日を紡ぐトーア紡」を経営理念とし、トーア紡クオリティの追求と新しい

価値の創造、環境負荷の低減に積極的に取り組むことを通じて、モノづくりの伝統を未来へつなげることを基本

方針としております。

  そして社会に貢献し、必要な存在として認められる企業集団となり、常に自らも成長・発展し続ける「暮らし

と社会の明日を紡ぐ企業」として、事業の永続性を確かなものとする努力をしております。

2.経営環境並びに優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

(1)目標とする経営指標及び中長期的な会社の経営戦略

 当社グループを取り巻く経営環境は、コロナ禍を契機としたデジタル化の加速、SDGsによる世界的な規

模での環境や人権リスクへの意識の高まり、原燃料高などによるコスト増など、様々な要素が複雑に絡み合

い、困難かつ柔軟なかじ取りが必要になってきております。そのような環境背景に対応すべく、既存の基幹

5事業(衣料・インテリア産業資材・エレクトロニクス・ファインケミカル・不動産)については新領域へ

の展開も視野に入れた効率的かつ持続可能な仕組みの再構築を行い、一方で次世代を見据えた新事業の創出を

喫緊の課題と捉え、令和4年度を初年度とする中期経営計画(令和4年12月期~令和6年12月期)を策定し、

実行しております。

 当社グループでは、中期経営計画の達成に向け下記の5点を重点施策とし取り組んでおります。

1.強み、成長分野を見据えたポートフォリオの再構築

ウィズコロナ、アフターコロナを見据えた環境変化に対応するため、衣料事業・インテリア産業資材事

業・エレクトロニクス事業・ファインケミカル事業・不動産事業の基幹5事業については、新領域への展開

も含めたセグメント内での選択と集中を行い、収益基盤を確実なものにしてまいります。

2.持続的な成長に資する重点的な設備投資

この3か年を持続的な成長へ向けた準備期間と位置づけ、新規事業創出と育成に注力するとともに、環境

負荷低減を実現する投資を積極的に行います。

3.環境に配慮したバリューチェーンの構築などサステナビリティへの取り組み

原材料から製品までのサプライチェーン全体で快適な製品の供給と環境負荷低減の両立を実現させる仕組

み「TOABO GREEN VALUE CHAIN」の構築を足掛かりに、サステナビリティへの取り

組みを加速させます。

4.SDGs、機能性を切り口にした新領域への展開

持続可能な環境に配慮した事業活動と快適性を追求した機能素材開発を通じて、新たな価値を生み出し、

新領域への展開を目指します。

5.DXによる業務改善、改革の継続的推進

モノづくりを始め、あらゆるシーンでITの活用を推進し、ビジネスモデルや組織を変革、企業の優位性

を高めます。

 これらの施策により、安定的な事業基盤の確立を目指してまいります。

 なお、中期経営計画の詳細につきましては、令和4年2月15日に発表いたしました「中期経営計画の策定に

関するお知らせ」をご覧ください。

 当社グループの目標値を次のように設定しております。

(単位:百万円)

 

令和6年12月期

売上高

17,000

営業利益

630

経常利益

550

親会社株主に帰属する

当期純利益

330

 

(2)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

米中対立やロシアによるウクライナ侵攻等の地政学的リスク、また、インフレの高止まり懸念等により、不

透明な経営環境が続くものと予想されますが、このような状況下、中期経営計画の最終年度(令和6年12月期)

の目標達成に向け各事業分野において以下の取り組みを進めてまいります。

 

・衣料事業

混沌とした国際情勢を背景に不透明感を増す一方の経済環境の中、中期経営計画最終年度に当たる今期は、

次のフェーズに繋がる盤石な事業体制の構築へ向けて、以下の施策を進めていきます。

1.安定的かつ効率的な生産体制の構築

 メーカーとしての基盤を盤石にすべく、設備投資、人の配置等の最適化、外注工場との協力関係の深化等を推し進め、強固な生産体制作りに注力します。

2.DXの推進

 DXによる各工程、業務フローの見直し、見える化による迅速な情報の共有化等、業務変革を徹底的に推

進していきます。

3.海外拠点の活用

 強みである既存の中国、東南アジアの拠点について、製造拠点としてのみならず、商品開発、それに伴っ

た市場創造の側面から有効活用し、新たな事業モデルを模索していきます。

4.コスト高騰への対応

 上記1.2.3に加えて環境配慮型商品、高付加価値商品の開発、価格転嫁等の施策を推進することで原燃料等

の高騰に対応していきます。

 

・インテリア産業資材事業

インテリア産業資材事業は以下の3つの戦略を推し進めていきます。

1. 生産の効率化

 国内、中国子会社とも新規商材の立ち上げ、および効率化を図るため既存設備の改修、改造、新規設備の導入を図り生産の効率化を進めていきます。

2. 品質へのプライド・ものづくりへのこだわり

 すべての分野で新規商材の受注獲得のための新たな開発を進めていきます。

ポリプロファイバーでは、高機能綿の開発・販売、カーペット不織布では、高付加価値機能商材の開発・販売を目指します。

3. 環境に配慮したものづくり

 環境に配慮した排水処理設備の効率の良い運用を実現するとともに、工場で使用する電力、燃料の低炭素排出へのシフトを実現し、環境負荷低減を推し進めます。また、リサイクル事業では、産官学共同研究による「リサイクル炭素繊維の連続繊維化および製布化」を継続しリサイクルカーボンファイバーの高付加価値製品化を目指します。

 

・エレクトロニクス事業

昨年度は、新型コロナが収束したことによる反動で電動工具向けコントローラーの受注が激減したことと、

産業機器関連向けパワー半導体の年間を通した客先での在庫調整が重なり、非常に厳しい結果となりました。

今年度の半導体市況は、第3四半期以降に回復基調となる見通しですが、まだまだ予断できない状況です。

主要分野において以下の重要施策を推進していきます。

1.ACコントローラー分野

 現行機種については、生産効率を向上させるとともに在庫削減を徹底します。

 新機種の獲得率を上げるために、営業活動を強化します。

2.電子デバイス分野

 産業機器用パワー半導体に加えて、今後電子部品の逼迫が予想される、車載用の電子部品の販売を新たに開始します。

3.成長分野

 減速機は、ロボット需要の回復に対応できるように多機種の生産体制の確立と販売を目指します。個人向けビールサーバーは、昨年から好調な販売を維持していますので、増産する予定です。

4.新規開拓

 新たに、眼鏡用の偏光レンズフイルムの販売を開始します。既に試作は完了しており4月から販売開始予定です。大きな需要があり、将来の柱になる分野として期待しています。その他、車両用のブザー組立を大阪工場で行うなどの工場の有効活用を行います。

 

・ファインケミカル事業

 中国市場の景気減速や緊張が高まる中東情勢など、世界中を覆う様々なリスクが高まる不透明な事業環境ではありますが、持続的な成長をより確かなものとすべく、今年度も中期経営計画に沿った以下の重要戦略を推進していきます。

 

1. 電子材料分野は、長引く調整局面もようやく出口の兆しが見え始めております。今後電気自動車、情報機

器、半導体、FA等、多種多様な市場拡大が見込まれると捉え、生産能力の増強と品質力向上等、当部門の強みを伸ばし収益力をさらに高めます。

また、新しい電子材料の需要の発掘に向けて、保有する得意技術を駆使し、開発活動にも傾注していきま

す。

2. ヘルスケア分野は、オーソライズド・ジェネリック品と競合する厳しい事業環境に耐えうるコスト低減策

を講じて競争力の維持向上に取り組み、収益性確保を最優先に「営業・生産・技術」が一体となった地道な事業活動に注力します。

3. DXのさらなる推進で業務効率化・生産性向上をより確かなものとし収益力を高めます。また、昨年末の

COP28で合意がみられたように、社会のカーボン・ニュートラルに対する要求はさらに高まるものと考えます。省エネ・サーキュラーエコノミー推進やプロセス改善に永続的に取り組み、もって人類共通の課題解決に貢献し、ケミカルテクノロジーでその使命を果たしていきます。

 

・不動産事業

資産の有効活用と安定収益確保のため、以下の4つの重点施策を進めていきます。

1.事務所賃貸については、設備のリニューアルを継続的に行うことで、オフィス環境の満足度を高め、魅力

あるオフィスビルとして稼働率と収益性の向上に努めます。

2. 商業施設については、稼働率と収益性を高めるため、計画的に設備更新を行い付加価値の維持向上を図り

ます。

3. 老朽化した施設については、新規テナント誘致のため、建て替えなど新たなスキームを検討していきま

す。

4. 保有森林の維持管理などSDGsを意識した資産の活用を促進し、環境負荷低減への貢献を図ります。

 

当社グループは、創業者の訓示である「顧客満足」「重点主義」「公平性」を脈々と受け継ぎ、人々そして

暮らしの「アメニティ=快適・ここちよさ」を追求する「暮らしと社会の明日を紡ぐ」企業グループであり続けるという理念のもと、以上のような取り組みを通じて持続的な成長と企業価値の向上に尽力していきます。

また、法令順守や危機管理を一層徹底するため、「トーア紡グループ企業行動憲章」のさらなる定着と実践を推進し、より実効性のある内部統制の整備、運用に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次のとおりであります。

当社グループは、SDGsへの取組みの中で「脱炭素社会の実現」、「環境負荷低減・循環型社会の実現」、

「ダイバーシティ&インクルージョン」、「アメニティの追求」の5つを重要課題として特定し、環境や社会への

配慮を意識した事業活動を通じて、それに対応した仕組みや商品を生み出すことで経済に貢献し、企業価値の向上

と持続可能な社会の実現を目指します。

   なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(1)ガバナンス

 当社グループは、創業者岩井勝次郎翁の訓示である「顧客満足」「重点主義」「公平性」を脈々と受け継ぎ、

人々そして暮らしの「アメニティ=快適」を追求する企業グループを目指し、「暮らしと社会の明日を紡ぐ」とい

うグループ理念を掲げております。また、グループのすべての役員及び社員が遵守すべき事項を「トーア紡グルー

プ企業行動憲章」として定めております。これらの指針の下、毎月開催される取締役会並びに経営会議において、

サステナビリティに関する課題について継続的に議論を行っております。

 また、社内の各担当部門は、取締役会からの諮問に対する答申の他、サステナビリティに関する個別の課題につ

いての討議を行い、その内容を定期的に経営会議に報告、その後、取締役会にて承認を得る体制を取っておりま

す。

   <トーア紡グループ企業行動憲章>

 トーア紡グループの構成員である我々は、次に掲げる倫理規範を共有し、企業活動におけるあらゆる局面において、高い倫理観と社会的良識をもって行動することにより、社会からの信頼を得るとともに、トーア紡グループの持続的発展を期す。

 

1.消費者・顧客のニーズを把握し、社会的に有用な製品・サービスを安全性や個人情報・顧客情報の保護に十分配慮して開発、提供し、消費者・顧客の満足と信頼を獲得する。

2.公正、透明、自由な競争ならびに適正な取引を行なう。また、政治、行政との健全かつ正常な関係を保つ。

3.株主はもとより、広く社会とのコミュニケーションを行い、企業情報を積極的かつ公正に開示する。

4.従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全で働きやすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現する。

5.環境問題への取組みは人類共通の課題であり、企業の存在と活動に必須の要件であることを認識し、自主的、積極的に行動する。

6.「良き企業市民」として、積極的に社会貢献活動に取り組む。

7.市民社会の秩序や安全に脅威を与える反社会的勢力および団体とは断固として対決する。

8.国際的な事業活動においては、国際ルールや現地の法律の遵守はもとより、現地の文化や慣習を尊重し、相互信頼を基盤とした事業活動を行なう。

9.経営トップは、本憲章の精神の実現が自らの役割であることを認識し、率先垂範の上、社内に徹底するとともに、トーア紡グループ企業や取引先に周知させる。

10.万一緊急事態が発生した場合には、経営トップ自らの指揮の下、速やかに事実調査、原因究明を行い、企業としての責任ある適切な対応方針・施策を打ち出す。

 

(2)リスク管理

  「第4 提出会社の状況4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載しているリスク管理体制に基づき、サ

ステナビリティに関するリスク管理を行っております。

 

 

(3)戦略と指標及び目標

①人的資本

  <採用及び人材の育成指針>

 当社グループは、グループ企業行動憲章4.「従業員の多様性、人格、個性を尊重するとともに、安全で働き

やすい環境を確保し、ゆとりと豊かさを実現する。」という理念の下、以下の取組みを進めていきます。

1.安定的な新卒定期採用の継続による人員の最適化と次世代への技術継承

2.高度専門技能を有する人材の積極採用

3.積極的な女性社員の採用と社内からの登用による女性の基幹職※比率、管理職比率の向上

 ※基幹職:管理職と総合職を指す

4.次世代を担う優秀な若手人材の育成

  5.基幹職及び管理職として活躍する多様な人材の育成

 

<基幹職・管理職における女性比率の目標>

当社グループは2030年度末までに女性社員の活躍推進のため、女性の総合職比率、管理職比率の向上に

    取り組んでまいります。なお、対象となる会社は、提出会社および当社グループの主要な事業を運営する東

亜紡織株式会社、トーア紡マテリアル株式会社、大阪新薬株式会社の4社です。

  1.基幹職に占める女性の割合

     2023年12月末  10.8%(13名/120名)

      2030年12月末  25.0%(35名/140名)

      2.管理職に占める女性の割合

2023年12月末  5.1%( 4名/ 78名)

      2030年12月末  15.0%(12名/ 80名)

 

   <教育・研修体系>

 当社グループは、社員を人的資本である「人財」と位置づけ、社員一人ひとりの能力やスキル向上を育む研修

制度と安全で働きやすい職場環境を確保するための職場教育を行なってまいります。

区分

内定

入社

入社2~

5年程度

中堅社員

管理職

OJT

-

OJT

-

OFF-JT

階層別

研修

e-learning

新入社員

研修

若手社員

研修

中堅社員

研修

管理職研修

その他

研修

-

コンプライアンス研修

確定拠出型年金投資教育

-

海外研修

-

職場別

研修

安全・衛生、品質管理、技術継承等

 

②気候変動

    当社グループは、グループ企業行動憲章5.「環境問題への取組みは人類共通の課題であり、企業の存在と

活動に必須の要件であることを認識し、自主的、積極的に行動する。」という理念の下、二酸化炭素の排出量

削減を目的とし、以下の取組みを進めていきます。

  1.燃料転換

2.自家消費型太陽光発電の導入

3.サステナブルな商品の開発、技術開発

 4.省エネルギー活動の推進

 

なお、2024年度中を目途に二酸化炭素排出量の削減目標設定を行なう予定です。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成

績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおり

であります。また、当社グループは、これらのリスクを認識した上で、事態発生の回避及び発生した場合の迅速な対

応に努めてまいります。

なお、記載内容のうち、将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであ

ります。

  1.有利子負債への依存度

    当社グループの有利子負債残高の純資産に対する比率は以下のとおりであります。

 

 純資産(百万円)

有利子負債残高(百万円)

対純資産比率(%)

令和元年12月末

11,164

11,273

101.0

令和2年12月末

10,814

12,381

114.5

令和3年12月末

11,360

11,778

103.7

令和4年12月末

11,738

12,250

104.4

令和5年12月末

12,530

12,902

103.0

 (注)「対純資産比率」は、連結貸借対照表の「純資産合計」から「非支配株主持分」を控除した数値を分母として算出しております。

    今後、有利子負債の圧縮を進めてまいりますが、現在の金利水準が大きく変動した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

  2.カントリーリスク

  当社グループは、海外の企業と輸出入取引を行っております。また、中国、ベトナムに生産拠点を有しており、当社グループが事業展開している国や地域において、不利な影響を及ぼす法令・規制等の変更や政治・経済・社会情勢等に起因した予期せぬ事態が発生した場合、債権回収や事業継続が困難になるリスクを負っております。このようなリスクが顕在化した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

  3.為替変動リスク

  当社グループは、国内外において外貨建て取引を行っております。外貨建て取引に対しては、為替変動のリスクを軽減するために為替予約によるヘッジを行っております。しかしながら、為替レートが大幅に変動した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。また、海外の連結子会社や持分法適用会社の経営成績は、連結財務諸表作成において円換算されるため、換算時の為替レートにより円換算後の価値が大幅に変動し、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   4.購入原料の変動リスク

  当社グループの主力事業である衣料事業及びインテリア産業資材事業の原料は、国際商品市況(原油相場・羊毛相場)の影響を受けやすく、それら原料の供給量や価格が大幅に変動した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   5.市場環境に関するリスク

  当社グループの製品の多くは他社製品と競合しております。したがって、競合他社との競争が激化し市場環境が悪化した場合には、販売数量の減少や販売価格の下落を通じて当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   6.与信リスク

    当社グループは、当社の信用管理制度のもとに、取引先別に限度額を設定するなど与信リスクを最小限にするための対応策をとっております。また、過去の貸倒実績率等に基づき、貸倒引当金を計上して、売上債権の不良化による損失に備えております。しかしながら、政治的混乱や深刻な景気後退・金融不安等により重要な取引先が破綻した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

  7.製品の欠陥等(訴訟リスク)

     当社グループは、所定の品質管理基準に従って、衣料品・カーペット・自動車内装材・化成品・半導体商品等の

  各種製品を国内外で生産しており、製造物責任賠償保険に加入しております。しかしながら、重大な製品の欠陥等が発生し、その賠償額が保険でカバーできない場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   8.不動産の下落リスク

  当社グループは、事業の構造改善に伴う工場跡地や建物等、不動産を相当量保有しております。その多くは「土地の再評価に関する法律」に基づき事業用の土地の再評価を行い(平成12年12月31日)、評価差額に係る税金相当額を「繰延税金負債」として負債の部に計上しておりますが、地価がさらに大幅に下落した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   9.自然災害や事故等のリスク

  当社グループは、国内外の各地で生産活動を主とした企業活動を行っております。地震などの自然災害あるいは火災などの事故によって、当社グループの製造拠点等の設備や商品に壊滅的な被害を被った場合には、経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

   10.コンプライアンスリスク

  当社グループは、「コンプライアンス委員会」を設置し、法令順守のみならず、役員・従業員が共有すべき倫理観、順守すべき倫理規範等を「トーア紡グループ企業行動憲章」として制定し、当社グループにおける行動指針の順守並びに法令違反等の予防に努めております。しかしながら、役職員個人による法令違反を含むコンプライアンス上の問題が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   11.情報システム管理に関するリスク

  当社グループは、情報伝達や基幹業務支援など事業全般においてコンピュータシステム及びITネットワークを活用しております。「情報システム管理規程」等を定め、情報セキュリティの強化、バックアップ体制の構築、機器の高性能化等、システムトラブル対策を講じておりますが、外部からの予期せぬ不正アクセスやコンピューターウイルス侵入等による情報資産の漏洩、また、事故や自然災害等によりシステムが機能不全となる可能性を完全に排除することはできません。かかる事態が発生した場合には、経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性があります。

   12.感染症によるリスク

  当社グループは、国内外の各地で生産活動を主とした企業活動を行っております。生産拠点である工場において新型コロナウイルスのような大規模な感染症などが発生し、操業等に支障が出た場合には、経営成績及び財政状態に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度末における当社グループ(当社、連結子会社および持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキ

ャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

a.財政状態

当連結会計年度末の総資産の残高は、34,455百万円(前連結会計年度末は、32,911百万円)となり、1,543百万円

の増加となりました。その主な要因は、棚卸資産および投資有価証券の増加等によるものであります。

当連結会計年度末の負債の残高は、21,915百万円(前連結会計年度末は、21,164百万円)となり、750百万円の

増加となりました。その主な要因は、短期借入金および長期借入金の増加等によるものであります。

当連結会計年度末の純資産の残高は、12,540百万円(前連結会計年度末は、11,746百万円)となり、793百万円の

増加となりました。その主な要因は、利益剰余金およびその他有価証券評価差額金の増加等によるものであります。

b.経営成績

当連結会計年度におけるわが国経済は、令和5年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが2類から5類へ変更され、社会経済活動が正常化に向けて動き出したことで、国内景気は緩やかな回復傾向が続きました。一方で、世界的なインフレ圧力下での主要各国の金融引締め政策の影響や物価高騰による消費者の節約志向の高まりなどもあり、景気の後退が懸念されました。

このような状況のもと、当社グループは市場ニーズを先取りする高付加価値・高品質商品を提供する「暮らしと社会の明日を紡ぐ企業」として、競争力の強化と収益性の向上に取り組んでまいりました。

この結果、当連結会計年度の売上高は19,042百万円(前年同期比12.0%増)、営業利益は742百万円(前年同期比43.8%増)、経常利益は811百万円(前年同期比53.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は573百万円(前年同期比113.0%増)となりました。

セグメント別の経営成績は次のとおりであります。

 

[衣料事業]

衣料事業は、各種繊維を原料とする衣料用素材の製造・販売および制服の縫製加工、ニット製品の製造・販売を行っております。

コロナ禍からの経済活動の正常化が定着、全般的には概ね順調に推移しましたが一部の部門で受注状況に若干の陰りが見えてきております。

毛糸部門は、後半は残暑の影響で追加受注の動きが失速しましたが、通年では増収となりました。

ユニフォーム部門のスクール制服向け素材は、継続的な受注増により増収となりましたが、後半は加工賃等のコスト高騰により収益率悪化の傾向となりました。

官公庁制服向けは調達量増加により増収、一般企業向け制服素材は別注案件の獲得もあり、微増収となりました。

テキスタイル部門は、需要回復の影響を受け、受注が堅調に推移し増収となりました。

毛糸製造販売を主体とする中国現地法人は、日本市場向けの受注回復により増収となりました。

この結果、売上高7,141百万円(前年同期比19.1%増)、営業利益391百万円(前年同期比86.8%増)となりました。

 

[インテリア産業資材事業]

インテリア産業資材事業は、自動車用内装材、住宅建材・排水処理資材・土木資材・緑化資材などさまざまな用途の産業用資材、インテリア関連製品、オレフィン系短繊維の製造および販売を行っております。

国内においては、新型コロナウイルスの影響が収まり、自動車産業は昨年後半より半導体不足も緩和され増産体制に入りました。

ポリプロファイバー部門は、自動車内装材用原綿も自動車販売数に合わせて増産、カーペット用原綿は展示会、イベント需要が増え増収となりましたが、電力、燃料等光熱費負担が増えました。

カーペット部門は、ホテル、オフィス、一般資材、ダストコントロール用途等すべての需要が戻り、原材料、燃料、副資材の値上の価格転嫁も進み増収増益となりました。

特殊繊維部門は、カーボン繊維が好調で増産体制に入りましたが、金属繊維がふるわず減収増益となりました。

自動車内装材部門は、半導体不足が落ち着き受注した商品の自動車生産台数も増え、原材料およびエネルギー代高騰の価格転嫁をできたことで増収増益となりました。

不織布部門は、寝装は順調に推移しましたが、土木、緑化、防草であまり物件がなく急激な原材料、燃料、資材の値上がりの影響を受け減収減益となりました。

自動車内装材製造販売の中国現地法人は、日系自動車会社が、EV車を生産する中国ローカル企業にシェアを奪われ生産が落ち込んでいる影響で、減産しておりましたが、中国ローカル企業よりEV車向けの受注を獲得できたことにより増収となりました。しかし、中国ローカル企業からの発注は急な注文であることが多いため、原料手配などの事前準備が難しく営業損失となりました。今後は情報収集と生産体制の見直しによりコスト改善を図ります。

この結果、売上高7,418百万円(前年同期比17.6%増)、営業利益227百万円(前年同期比236.2%増)となりました。

 

[エレクトロニクス事業]

エレクトロニクス事業は、半導体・電子機器の製造および販売を行っております。

主力の電動工具向けコントローラーは、得意先での在庫調整が予想以上に長引いており、販売数量が減少しました。電子部品の販売においても、産業機器、工作機械、家電分野で得意先の在庫調整により販売数量が低迷し、減収となりました。

この結果、売上高1,572百万円(前年同期比32.7%減)、営業損失39百万円(前年同期は営業利益76百万円)となりました。

 

[ファインケミカル事業]

ファインケミカル事業は、ヘルスケア関連薬品、電子材料用および工業用薬品の製造および販売を行っております。

電子材料分野では、スマートフォンやパソコン向け機能性材料が在庫調整から抜け出せず低調でした。ジェネリック医薬品向けも競合品の台頭で受注を落とし収益低下を招きました。

この結果、売上高1,172百万円(前年同期比0.3%減)、営業利益49百万円(前年同期比47.3%減)となりました。

 

[不動産事業]

不動産事業は、主に郊外型ショッピングセンター・ロードサイド店舗・オフィスビルの賃貸などを行っております。

一部のテナント撤退の影響を受けましたが、前年並みの売上となりました。しかしながら、販売費の増加により減益となりました。

この結果、売上高907百万円(前年同期比0.7%増)、営業利益528百万円(前年同期比2.9%減)となりました。

 

[その他]

その他の事業は、自動車学校の運営、ヘルスケア商品の販売、洋菓子店の運営などを行っております。

自動車教習事業は、高校生の入校状況は堅調だったものの、年間を通し大学生の入校状況が低調に推移したことが響き減収となりました。

ヘルスケア事業は、化粧品、健康食品などを販売しております。

ONU商品の販売は中国向けが低調でした。ムサシノ製薬では、主力商品であるフタアミンクリームの販売が計画を上回りました。

なお、第2四半期連結会計期間よりムサシノ製薬の損益計算書を連結開始したことにより売上は増加しましたが、連結開始時における会計処理により売上原価が増加したこともあり営業損失となりました。

この結果、その他の事業全体の売上高は830百万円(前年同期比191.0%増)、営業損失29百万円(前年同期は営業損失49百万円)となりました。

 

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ54百万円増

加し、1,731百万円(前年同期比3.2%増)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

税金等調整前当期純利益512百万円を計上しておりますが、主な増加要因としては非資金的支出費用である減価償

却費397百万円および売上債権の減少153百万円、主な減少要因としては棚卸資産の増加757百万円等により、営業活動による資金は414百万円(前年同期比15.7%減)の収入となりました。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

定期預金の払戻による収入518百万円および定期預金の預入による支出398百万円、有形固定資産の取得による支

出558百万円等により、投資活動による資金は597百万円(前年同期比47.2%減)の使用となりました。

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

長期借入れによる収入4,048百万円および長期借入金の返済による支出4,163百万円、短期借入金の純増加額450

百万円等により、財務活動による資金は230百万円(前年同期比31.7%減)の獲得となりました。

 

③生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

 当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和5年1月1日

至 令和5年12月31日)

前年同期比(%)

衣料事業(百万円)

2,244

93.6

インテリア産業資材事業(百万円)

5,934

114.8

エレクトロニクス事業(百万円)

609

52.4

ファインケミカル事業(百万円)

951

103.9

合計(百万円)

9,740

101.0

 (注)1.金額は製造原価によっております。

    2.不動産事業及びその他は生産活動を行っていないため、上記金額には含まれておりません。

b.受注実績

 当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高 (百万円)

前年同期比(%)

受注残高 (百万円)

前年同期比(%)

衣料事業

6,980

109.6

444

73.4

インテリア産業資材事業

7,336

116.8

29

120.6

エレクトロニクス事業

1,903

145.2

729

183.3

ファインケミカル事業

961

80.0

131

38.3

合計

17,181

113.3

1,334

97.4

(注)1.受注残高には、継続的な取引先からの受注内示は含めておりません。

   2.不動産事業及びその他は受注高及び受注残高はありませんので、上記金額には含まれておりません。

c.販売実績

 当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 令和5年1月1日

至 令和5年12月31日)

前年同期比(%)

 衣料事業(百万円)

7,141

119.1

 インテリア産業資材事業(百万円)

7,418

117.6

 エレクトロニクス事業(百万円)

1,572

67.3

 ファインケミカル事業(百万円)

1,172

99.7

 不動産事業(百万円)

907

100.7

  報告セグメント計(百万円)

18,212

109.0

 その他(百万円)

830

291.0

合計(百万円)

19,042

112.0

 (注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下のとおりであります。

なお、前連結会計年度については、当該割合が10%未満のため、記載を省略しております。

相手先

前連結会計年度

当連結会計年度

金額(百万円)

割合(%)

金額(百万円)

割合(%)

林テレンプ㈱

2,141

11.2

※ 上記金額には、当該顧客と同一の企業集団に属する顧客への販売高を集約して記載しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりでありま

す。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

 ①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づき作成

されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載されているとおりであります。また、この連結財務諸表の作成にあたりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しておりますが、実際の結果はこれらの見積りとは異なる場合があります。

連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについて

は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

 

 ②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

a.財政状態の分析

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産の残高は、11,102百万円(前連結会計年度末は、10,231百万円)となり、870百万円の増加となりました。その主な要因は、棚卸資産および受取手形及び売掛金が増加した一方で、電子記録債権が減少したことによるものであります。

(固定資産)

  当連結会計年度末の固定資産の残高は、23,352百万円(前連結会計年度末は、22,679百万円)となり、672百万円の増加となりました。その主な要因は、投資有価証券および有形固定資産の増加等によるものであります。

(流動負債)

  当連結会計年度末の流動負債の残高は、9,126百万円(前連結会計年度末は、8,533百万円)となり、592百万円の増加となりました。その主な要因は、短期借入金および支払手形及び買掛金の増加によるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債の残高は、12,789百万円(前連結会計年度末は、12,631百万円)となり、157百万円の増加となりました。その主な要因は、長期借入金の増加によるものであります。

(純資産)

当連結会計年度末の純資産の残高は、12,540百万円(前連結会計年度末は、11,746百万円)となり、793百万円の増加となりました。その主な要因は、利益剰余金、その他有価証券評価差額金、為替換算調整勘定の増加によるものであります。

b.経営成績の分析

(売上高)

  当連結会計年度の売上高は、19,042百万円(前連結会計年度は17,000百万円)となり、2,041百万円の増加となりました。その主な要因は、衣料事業がコロナ禍からの需要回復により好調に推移したことや、インテリア産業資材事業において自動車産業が増産傾向にあり、また展示会・イベント需要の回復を背景に好調に推移したことによるものであります。

 各セグメント別の状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。

(売上原価)

  当連結会計年度の売上原価は、15,426百万円(前連結会計年度は13,821百万円)となり、1,605百万円の増加となりました。その主な要因は、売上の増加によるものであります。

(販売費及び一般管理費)

  当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、2,872百万円(前連結会計年度は2,663百万円)となり、209百万円の増加となりました。その主な要因は、売上の増加に伴い運送費が増加したことや、人件費が増加したことによるものであります。

(営業外損益)

  当連結会計年度の営業外収益は、200百万円(前連結会計年度は164百万円)となり、36百万円の増加となりました。その主な要因は、受取保険金の増加によるものであります。

 また、当連結会計年度の営業外費用は、132百万円(前連結会計年度は152百万円)となり、20百万円の減少となりました。その主な要因は、従業員休業補償費の減少によるものであります。

 

(特別損益)

  当連結会計年度の特別利益は、6百万円(前連結会計年度は38百万円)となり、32百万円の減少となりました。その主な要因は、国庫補助金および出資金売却益の減少によるものであります。

 また、当連結会計年度の特別損失は、304百万円(前連結会計年度は98百万円)となり205百万円の増加となりました。その主な要因は、減損損失127百万円や解体撤去引当金繰入額101百万円を計上したことによるものであります。

(親会社株主に帰属する当期純利益)

  当連結会計年度の法人税、住民税及び事業税は、276百万円(前連結会計年度は、198百万円)、法人税等調整額は、△337百万円(前連結会計年度は、0百万円)となりました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、573百万円(前連結会計年度は、269百万円)となりました。

c.キャッシュ・フローの分析

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の

状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

(キャッシュ・フロー指標のトレンド)

       回     次

    第20期

    第21期

    第22期

       決 算 年 月

   令和3年12月

   令和4年12月

   令和5年12月

自己資本比率(%)

36.1

35.7

36.4

時価ベースの自己資本比率(%)

12.0

9.5

11.1

債務償還年数(年)

17.7

24.9

31.1

インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

8.0

6.1

4.5

 (注)1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値を用いて、以下の計算式により計算しております。

・自己資本比率(%)

:自己資本/総資産

・時価ベースの自己資本比率(%)

:株式時価総額/総資産

・債務償還年数(年)

:有利子負債/営業キャッシュ・フロー

・インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)

:営業キャッシュ・フロー/利払い

2.株式時価総額は、期末株価終値×自己株式控除後の期末発行済株式数により算出しております。

3.営業キャッシュ・フロー及び利払いは、連結キャッシュ・フロー計算書に計上されている「営業活動による

キャッシュ・フロー」及び「利息の支払額」を用いております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されて

いる負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。

d.資本の財源及び資金の流動性

資本の財源については、収益力及び資産効率の向上により確保することを基本としております。

当社グループの運転資金需要のうち主なものは、製品製造のための材料費や製造費用、販売費及び一般管理費、

設備の新設、拡充、改修等に要する設備資金などであります。

当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性を確保することを基本方針としております。

短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につき

ましては、金融機関からの長期借入を基本としております。

e.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当連結会計年度の計画の達成状況は次のとおりであります。

(単位:百万円)

指標

計画

令和5年12月期

実績

令和5年12月期

計画対比

売上高

16,500

19,042

+2,542

営業利益

550

742

+192

経常利益

480

811

+331

親会社株主に帰属する当期純利益

280

573

+293

衣料事業およびインテリア産業資材事業の業績が好調に推移し、令和5年12月期の計画を達成いたしました。

  なお、当社グループの今後の業績見通し等を踏まえ、将来における繰延税金資産の回収可能性について慎重に検

討した結果、一部のグループ会社について企業分類を見直したので、繰延税金資産を計上することとなり、法人税

等調整額△337百万円を計上したため親会社株主に帰属する当期純利益は、計画を大きく上回りました。

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 当社グループは、研究開発部門の基礎研究や外部研究機関との共同研究をベースに、新商品開発・新機能開発に重

点を置き、更に品質向上・地球環境保護のための工程改善等の研究を積極的に行っております。当連結会計年度にお

けるグループ全体の研究開発費は117百万円であり、主な研究開発活動は次のとおりであります。

(1)衣料事業

衣料事業関係では、「安心」「安全」「健康」「快適」「環境」の観点から原料、織物、製品にいたる様々な素材開発に取り組んでおります。

機能加工分野では、現代のライフスタイルに求められるトータルイージーケア素材及び、快適性訴求として衣服内の調温調湿機能素材、盛夏快適素材、ヘルスケア・ウエルネス向けとして血流促進機能素材、また、衛生意識の高まりを受けて抗菌・抗ウイルス加工の開発も進めております。

紡績・製織分野では、2WAYストレッチ織物、防シワ性織物、高強力・高耐久性織物、抗ピリング性ニット糸の各種機能素材、環境配慮型として天然繊維であるウールと生分解性ポリエステルとの混紡素材、同じく燃焼時CO2低排出ポリエステルとの混紡素材の開発を進めております。

サステナブル分野では、「リデュース・リユース・リサイクル」の3Rを推進し資源の有効活用及び、省エネルギー化を推進し環境への配慮や社会的責任を果たしてまいります。

当事業に係る研究開発費は、14百万円であります。

(2) インテリア産業資材事業

産業資材関係では、土木資材、防草シートなどの高機能、複合化を進めております。

機能素材として、抗菌、消臭、抗ウィルス、抗アレルゲンのカーペット、不織布、短繊維の開発に取り組んでおります。

自動車内装関係では、自動車室内空間の静音性の向上のため、内装外装両面からの視点で複合吸音素材の開発や軽、小型車両向けフェルト一体型カーペットの開発を行っております。

その他、産官学の共同研究開発事業としてのリサイクルカーボンの紡糸製布化事業を行っております。

また工場の環境対策として、排水システムの変更、燃料転換を行い二酸化炭素排出量削減、産業廃棄物の削減を

実施できるように取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は、49百万円であります。

(3) エレクトロニクス事業

持続的な成長が見込めるロボット用機構部品と省力化機器の研究開発に取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は、52百万円であります。

(4) ファインケミカル事業

中期経営計画の重点事業に位置づける電子材料分野において、半導体向け感光性材料のプロセス開発や新規化合

物の合成研究、また、環境負荷低減を目的として既存製品のプロセス改良に取り組んでおります。

当事業に係る研究開発費は、1百万円であります。

(5) その他事業

  京都大学・大阪市立大学(現 大阪公立大学)の研究から生まれた機能性アミノ酸誘導体の研究開発を進めております。

 当事業に係る研究開発費は、0百万円であります。