第2 【事業の状況】

 

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 経営方針

当社は、経営理念(Mission、Vision、Value)を以下の通り制定しております。

MISSION:社会的使命

大切な想いの、すぐそばに

大切な人を想う。東京ソワールは、そんな大切な想いのすぐそばで、本質にこだわった価値を提供し、一人ひとりの想いが調和した社会を実現します。

VISION:目指す姿

人を想う気持ちに寄り添い、“生きる”をもっと、美しく。

人生の節目と日々の暮らしにおける「人を想う気持ち」に寄り添うことで、誰もが周囲との調和を大切にしながら、自分らしく凛と美しく生きられる世の中へ。それが、東京ソワールが考えるウェルビーイングです。

私たちは、これまでもこれからも「人を想う気持ち」を大切にしながら、生活者、従業員、取引先、株主、そして社会や地球環境のウェルビーイングの実現に貢献し続けます。

VALUE:大切にする価値観

本質へのこだわり/文化を創り上げた誇り/すべてに真摯な姿勢/ともに創るチーム力/新しいことへの挑戦

そして、当社は経営方針として、以下の3点を定めております。

① 効率的な財務体質の構築 (収益構造の見直し)

② 新たな収益構成の構築   (基礎収益力の回復)

③ 社会環境変化への対応   (デジタル対応・サステナブル経営)

 

(2) 経営環境

当社を取り巻く事業環境は、従来から続く人口減少と高齢化の加速、流通チャネルや消費行動などの変化に加え、資源価格の高騰や物価上昇による消費マインドの冷え込みなどから、先行き不透明な状況が続くことが想定されます。

 

(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

当社の課題は事業継続のための効率的な財務体質の構築と持続的な成長を実現するための新たな収益構成の構築、加えてデジタルシフトや地球環境問題への配慮をはじめとする社会環境変化への対応であると認識し、取り組んでおります。

 

① 効率的な財務体質の構築
・棚卸資産回転率の改善

生産・仕入では、原材料及び縫製工賃の高騰に対し、販売価格の適正化を行い、供給制約の高まりに対しては、需要予測と連動した計画的な生産によるサプライチェーンの安定化を図ります。また、店頭在庫については、「市場シェア獲得のための商品展開・売場運用」から「効率を重視した商品展開・売場運用」に切り替えて、人事評価制度と連動させることで商品効率を改善いたします。

・売上総利益率の向上

低採算系列・店舗での取引条件改定、値引き販売の回数削減や負担率の見直し、販路・系列を越えた商品のコントロールによる販売を強化することで在庫処分のスピードを上げ、評価損を削減し、利益率の向上を図ります。

・販管費比率の改善

業務の削減及び業務プロセスの見直し、組織・機能の再編、ハイブリッドワークの促進により生産性を高めるとともに、不採算店舗からの撤退により、経費効率を改善いたします。

 

② 新たな収益構成の構築
・コア事業であるレディスフォーマル事業の進化

売場のモノポリー化(※1)や自社主導のショップ運営(※2)への切り替え、直営店「フォルムフォルマ」の出店を推進し、オンライン(Eコマース)と連携したシームレスな購買体験の実現を図るとともに、ルールとマナーに則した商品に加え、顧客ニーズの変化に対応した商品などを適時・適量展開することにより、既存顧客の購買率向上と新たな顧客の獲得に取り組みます

※1「モノポリー」とは、当社1社による売場運営の形態を指します。

※2「ショップ運営」とは、契約形態やチャネルを限定せず、当社が主導してMD編集・展開及びVMDを行う「tokyo soir ショップ」を指します。

あわせて、マーケティングの強化として、コーポレートサイトなどによる企業価値の発信やSNSの活用を通じて、オンライン・リアル店舗と直結した販売促進、顧客情報の収集・セグメント化などを活用した顧客との関係性構築によりLTV(顧客生涯価値)の最大化に取り組みます。

・事業領域の拡大
レンタルビジネスでは、ネットとリアル店舗との連携、多様化するお客様ニーズに対応した商品の拡充により売上の拡大を図ります。
ライフスタイル提案型業態の開発においては、「“黒に魅せられて”黒の持つ無限の可能性とエネルギーを自分らしく生きるすべての方へ届けたい」をコンセプトに、キッチン&ダイニング、フード&ドリンク、リビング、ファッション雑貨を提案するライフスタイル提案型ブランド「kuros’」(クロス)を、新規事業として育てて参ります。

 

③ 社会環境変化への対応
・リサイクル・エコ素材を使用した商品の開発

持続可能な循環型社会の実現に向けて服作りで貢献するため、繊維メーカー・商社と連携し、サステナブルな素材開発や植物由来の原料を使用した商品開発に取り組みます。

・商品等の回収・再利用の推進

株式会社JEPLANが行うリサイクルプロジェクト「BRING」などを通じ着用しなくなった衣料品の再資源化を推進いたします。また、製造時に発生する端切れを使用して、コサージュなどを作成するワークショップを、CSR活動の一環として引き続き実施いたします。

・商品廃棄の縮減

商品生産のコントロールと消化促進、レンタルサービスの提供により、商品廃棄の縮減や適切なリユース・リサイクルに取り組みます。更に、デジタル技術 (取り置き・取り寄せサービスなど)を活用した欠品防止対策に取り組むことで、供給量の増加を抑制いたします。

 

(4) 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標は売上高、売上高営業利益率、ROEであります。売上高営業利益率とROEを重視することで経営の効率性を高め、財務体質の健全性を堅持しながら安定的な成長を確保し、資本効率を高め「企業価値」の向上を図ることを、株主重視の経営と認識しております。

2022年2月に開示いたしました「2022~2024年度 中期経営計画」において、最終年度の2024年度は売上高155億円、営業利益2億5千万円、売上高営業利益率1.6%以上の達成を数値目標として掲げております。さらに、効率的な財務体質の構築のため、棚卸資産回転率3.75回転、売上総利益率51.4%、販管費比率49.8%を数値目標として掲げております。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社は、創業以来、人生の節目と日々の暮らしにおける「人を想う気持ち」に寄り添うことで、誰もが周囲との調和を大切にしながら、自分らしく凛と美しく生きられる世の中の実現に真摯な姿勢で取り組み続け、「大切な想いの、すぐそばに」というミッションのもと、本質にこだわった商品・サービスを通した価値を提供し、一人ひとりの想いが調和した社会を実現することを目指しています。

いま世界は、地球温暖化による気候変動、廃棄物による環境汚染、貧困や人権侵害など、多くの社会的課題に直面しています。このような環境の中、当社は企業としての社会的責任を自覚し、「人を想う気持ちに寄り添い、“生きる”をもっと、美しく。」というビジョンから、人を想う気持ちを大切にしながら企業価値の向上を追求し、生活者、従業員、取引先、株主の信頼に応え、そして持続可能な社会の発展に貢献することをサステナビリティの基本方針としています。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) ガバナンス

当社では、代表取締役社長を委員長とする「サステナブル経営推進委員会」を設置し、サステナビリティに関連する重要課題、取組事項を整理・確認し、その内容の重要性により適宜、取締役会へ報告を行っております。

また、「サステナブル経営推進委員会」の下には7つの中核主題に基づく小委員会を設け、部門長をリーダーとして、取組事項に連動する具体的なアクションを策定のうえ、推進する体制としております。全社横断的に部門長が携わっていることで、各現場におけるリスクや機会の把握あるいは共有が円滑に行えるため、浮上する課題を適宜検討し、サステナビリティに関するガバナンスの強化に努めてまいります。

 

(2) 戦略

当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、以下のと
おりであります。

 

① 人材の多様性の確保

当社では、定期的に新卒の社員採用を実施しておりますが、持続的な成長を確保するためには、多様な視点や価値観を持つ人材を採り入れることも重要であると考え、性別・国籍や採用ルートによらず人材の採用を行っており、管理職への登用についても、性別・国籍等に関わらず能力や適性などを総合的に判断した上で実施しています。

また、女性の活躍推進については、創業者が女性であったこともあり、以前から処遇等を含むあらゆる面において男女平等の制度及び風土・社風が根付いており、女性管理職比率も年を追うごとに上昇傾向にあります。いずれ近い将来には、当社で育ち活躍・貢献してきた女性社員の中から役員が誕生する時期が来ると想定しております。

 

② 人材育成方針

企業は「人」によって成り立っていることから、人材の成長度合いが企業の発展を大きく左右すると捉えており、本年度より新たに「バリュー行動の促進」「適所適材・役割の明確化」「成長支援」を目標とした透明性・納得性の高い人事制度を導入し、従業員のエンゲージメントをさらに向上させるよう、積極的に取り組みます。

特に「バリュー行動の促進」については、当社がバリューとして策定しています5つの行動指針を評価項目に組み入れるとともに、評価だけでなく上司からのアドバイスやフィードバックによる支援を通じ、企業理念に共感し目指すビジョンに一緒に向かい、自発的に考え行動することのできる人材を育成していきたいと考えております。

その他にも、人材の能力開発やスキル向上を促進するために、社内における業務指導、専門知識や技術・技能の継承はもちろんのこと、外部教育機関による研修会・セミナーへの参加を推奨したり、自主的に成長しようという意欲のある人材を応援するため、自己啓発に係る費用の一部を補助する制度を設けております。

 

 

③ 社内環境整備方針

当社では、従業員が仕事と育児を両立させることができ、その能力を十分に発揮できるよう、次世代育成支援対策推進法に基づく行動計画を策定しており、また、同法に基づく厚生労働大臣認定「くるみんマーク」を取得しています。

また、非管理職従業員の部門代表者で組織する社員懇談会との定期的な対話を通じて、労働条件や福利厚生制度の維持・改善に取り組んでおり、これまでに有給休暇の取得促進や長時間労働防止、時差勤務制度及びテレワークの導入などワークライフバランスの支援を促進し、柔軟な働き方を広げております。一方で、健康管理や健康増進も重要な責務の一つと認識しており、健康保険組合のデータヘルス計画及び疾病予防事業との連携、ストレスチェック及び組織診断の有効活用により、従業員の心身の健康維持に努めています。

この他にも、職場においてはフリーアドレス型のオフィス環境へと移行し、部門の壁を超えた社内コミュニケーションの促進を図っており、従業員が働きがいを感じられるとともに、安全で安心して働くことのできる社内環境の実現を目指してまいります。

 

(3) リスク管理

当社では、サステナビリティに関するリスクを含む全社的なリスクについて、コンプライアンス・リスク管理委員会において、潜在するリスクの検討を行い、予防計画を立案のうえ進捗管理を進めることでリスクの軽減に努めており、定期的に取締役会へ報告する体制としております。

リスクの発見・発生が確認された場合は、リスクの内容やレベルに応じた警戒段階フェーズに基づいて選定しているメンバーを招集する体制となっており、経営上の影響が重大なリスクが発生した場合には、代表取締役社長を本部長とした対策本部を設置し、迅速に全社挙げての対応を行うこととしています。

 

(4) 指標及び目標

当社では、上記「(2) 戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。当該指標に関する目標及び実績は、次のとおりであります。

指標

目標

現状

 管理職の女性比率

2025年に40%以上

35.4%

 役員(執行役員含む)の女性比率

2030年に20%以上

 7.7%

 

 

 

3 【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において、当社が判断したものであります。

 

(1) 景気変動に伴う取引先動向による影響

当社の売上高の多くは、百貨店及び量販店への売上によるものであります。また、当社はフォーマルウェアの専業メーカーとして、アクセサリー等の服飾雑貨品を含めた製造卸売りを主に、事業を展開しております。

近年は百貨店及び量販店の売上高が減少傾向となり、不採算店舗の閉店を加速させていましたが、これは、当社商品の売場の減少につながり、売上高に影響を与えることとなります。

また、大型小売店の経営統合の増加など取引先の交渉力強化に伴う、納入掛率等、取引条件の悪化、取引先物流機能の再編に伴う当社の物流コスト負担、また当社との取引継続を一方的に解除された場合などは、当社の業績等に悪影響を与える可能性があります。

また、売上高の計上時期変更(消化取引への変更)は、一時的ではありますが、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、直営店「フォルムフォルマ」の個店売上の拡大及び出店やEC事業の強化等の小売事業の売上構成比の向上に取り組んでおります。さらに、当社がMD主導可能な新業態「tokyo soir ショップ」の展開を行い、収益拡大を図ります。

 

(2) ブランドのサブライセンス契約

有力ブランドとのサブライセンス契約において、契約期間の満了に伴い契約の継続を一方的に打ち切られた場合は、当社の業績に大きな影響を与える可能性があります。

 

(3) 海外生産に関するリスク

現在、当社は製品の一部を自社または商社を通してベトナム及び中国などで生産しておりますが、為替相場の変動、予期せぬ法律や規制の変更、縫製工賃や原材料価格の上昇、不測の疾病等による技術指導や輸入への影響などのリスクが発生する可能性があります。

対応策として、ASEAN諸国での生産国の分散や一定量を国内で生産する等の取り組みを行っております。

 

(4) 商品の品質に関するリスク

当社は、様々な検査を受け、厳しい基準に合格した高い品質の商品をお届けしております。QTEC[一般財団法人 日本繊維製品品質技術センター]からは検品技術者の認定を受け、またSIFマーク使用の認定も受け、技術力に裏付けされた品質維持には特に配慮しております。しかしながら製造物責任に関する事故が発生した場合には、企業イメージのダウンなどで、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、原材料・商品仕入に関しても各基準に合格したものを使用し、店頭に陳列する段階で当社販売員による商品確認を行っております。

 

(5) 新規事業開発に関するリスク

当社は、今後の新たな収益構成の構築が重要な課題と認識して、新規事業の開発に取り組んでおります。新分野への出店等にあたっては、市場調査等を行ってはおりますが、市況の変化などによっては当初計画が達成できず、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、事業計画の立案と遂行及び定期的な進捗モニタリングを行っております。

 

(6) 天候不順の影響

当社の業績は、従来、季節の天候不順による影響は寡少でありましたが、最近の大規模な気候変動による天候不順や予測不能な気象状況によって、売上機会を逸するおそれがあり、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(7) 地震など自然災害の影響

当社の物流拠点である商品センターは神奈川県川崎市にあり、大規模な自然災害により当施設が損傷した場合、事業活動が中断するなど、経営に大きな影響を及ぼす可能性があります。また、直接の影響がない場合でも、流通網の混乱の状況によっては重大な悪影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、一部商品の物流機能を外部倉庫に委託するなど物流拠点の分散を行っております。

 

(8) 情報セキュリティ

当社は、個人情報の取扱いについて情報管理責任者を選任し、社内規程に基づく運用管理をしておりますが、不測の事故による情報流出が発生した場合は、当社の社会的信用の低下や損害賠償など費用負担を招くおそれがあるため、業績に影響を及ぼす可能性があります。

対応策として、ファイアウォールの構築やウイルス対策ソフトの導入を行うとともに、社員向けにセキュリティリテラシー向上のための注意喚起を随時行っております。

 

(9) 財務制限条項に関するリスク

当社は、取引銀行4行との間で、賃貸マンションの建設費用として8億円のタームローン契約を結んでおります。これらには純資産の減少や経常損失の計上等に関する財務制限条項が付されております。これに抵触することとなり借入金の返済を求められた場合には、当社の財政状態に影響を及ぼす可能性があります。

 

(10) 感染症の影響

新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、当社の業績に重大な影響を及ぼしました。同感染症は5類感染症へ移行しましたが、新種の感染症が再び猛威を振るうような事態が発生し、市場の停滞等が起きた場合は、当社の業績に影響を及ぼすこととなります。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当事業年度における当社の財務状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

① 財政状態及び経営成績の状況

当事業年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、経済活動の正常化が本格的に進みましたが、海外経済の減速への懸念や資源価格の高止まりなどもあり、先行き不透明な状況が続いております。

当アパレル業界におきましては、行動制限の緩和により社会活動の正常化が進み、個人消費の回復傾向が見られました。一方、物価上昇や原材料及びエネルギー価格の上昇で、衣料品に対する消費マインドの冷え込みが想定されるなど、今後の事業環境への影響が依然として懸念されます。

このような経営環境の中、当社は2022年度を初年度とする中期経営計画に基づき、事業継続のための「効率的な財務体質の構築」と持続的な成長を実現するための「新たな収益構成の構築」、デジタルシフトや地球環境問題への配慮をはじめとする「社会環境変化への対応」に取り組んでおります。

卸売事業におきましては、継続して取引条件の改善や不採算店舗からの撤退を進めるとともに、「tokyo soir ショップ」では、従来とは異なるカテゴリーの商品展開や、魅力的な売場づくりにより、新たなお客様の開拓に向けて取り組んでおります。

小売事業におきましては、直営店「フォルムフォルマ」は、卒入学式をはじめとする行事や式典の正常化による来店客数の増加に加え、オリジナル商品の提案やデジタル活用によるプロモーションを積極的に行い、唯一無二のショップへの進化に取り組んでおります。Eコマース販売では、自社ECサイトにおけるマーケティングツールの活用やポイント制の導入、ECサイト限定商品の提案を強化することで、売上を伸ばしております。

新規事業におきましては、レンタル事業は、リアル店舗と自社ECサイトの連携や多様化するお客様ニーズに対応した商品の拡充、リアル店舗の試着スペース拡張による予約枠の増加などから堅調に売上を伸ばしております。ライフスタイルブランド「kuros’」は、リアル店舗とECサイトの両軸で、各種プロモーションによる認知度向上を図り、事業拡大に向けて取り組んでおります。

この結果、当事業年度末の財政状態及び経営成績は次のとおりとなりました。

 

イ. 財政状態

当事業年度末の資産合計は、前事業年度末に比べ6億41百万円増加し、147億14百万円となりました

事業年度末の負債合計は、前事業年度末に比べ2億35百万円減少し、53億50百万円となりました

事業年度末の純資産合計は、前事業年度末に比べ8億76百万円増加し、93億64百万円となりました。

 

ロ. 経営成績

事業年度の経営成績は、売上高は150億26百万円(前事業年度は142億41百万円)、売上総利益は78億30百万円(前事業年度は72億18百万円)、営業利益は5億20百万円(前事業年度は3億39百万円)、経常利益は6億17百万円(前事業年度は4億49百万円)、当期純利益は7億98百万円(前事業年度は5億19百万円)となりました

 

② キャッシュ・フローの状況

事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動による資金減93百万円、投資活動による資金増7億67百万円、財務活動による資金減2億64百万円により、前事業年度末に比べ4億9百万円増加し、27億60百万円となりました

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

業活動の結果使用した資金は、93百万円となりました。これは主に税引前当期純利益9億23百万円や、売上債権の増加2億88百万円がありましたが、棚卸資産の増加10億73百万円や、未払又は未収消費税等の減少2億10百万円によるものであります

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

資活動の結果得られた資金は、7億67百万円となりました。これは主に敷金及び保証金の差入による支出24百万円がありましたが、投資有価証券の売却による収入6億51百万円や、有形固定資産の売却による収入1億73百万円によるものであります

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

務活動の結果使用した資金は、2億64百万円となりました。これは主にリース債務の返済による支出1億54百万円や、配当金の支払69百万円によるものであります

 

イ. 生産実績

当事業年度における生産実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 

品目

 生産高(千円)

前年同期比(%)

ブラックフォーマル

2,393,183

+48.0

カラーフォーマル

538,295

+56.0

合計

2,931,479

+49.4

 

(注) 金額は製造原価であります。

 

ロ. 外注実績

当社の製品生産にあたっての縫製加工は外注に依存しております。外注加工費は次のとおりであります。

 

品目

 外注高(千円)

前年同期比(%)

ブラックフォーマル

981,756

+66.6

カラーフォーマル

144,339

+83.8

合計

1,126,096

+68.6

 

 

ハ. 商品仕入実績

当事業年度における商品仕入実績は、次のとおりであります。

 

品目

 仕入高(千円)

前年同期比(%)

アクセサリー類

1,110,867

+4.2

合計

1,110,867

+4.2

 

(注) 金額は仕入価額であります。

 

ニ. 製品仕入実績

当事業年度における製品仕入実績は、次のとおりであります。

 

品目

 仕入高(千円)

前年同期比(%)

製品

3,993,546

+20.7

合計

3,993,546

+20.7

 

(注) 金額は仕入価額であります。

 

 

ホ. 受注実績

当社は原則として受注生産ではなく見込み生産を行っております。

 

ヘ. 販売実績

当事業年度における販売実績を品目別に示すと、次のとおりであります。

 

品目

 販売高(千円)

前年同期比(%)

ブラックフォーマル

9,917,191

+7.3

カラーフォーマル

2,617,234

△1.1

アクセサリー類

2,492,552

+6.1

合計

15,026,978

+5.5

 

(注) 1. 輸出については、該当事項はありません。

2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合

相手先

前事業年度

当事業年度

販売高(千円)

割合(%)

販売高(千円)

割合(%)

イオンリテール㈱

2,251,199

15.7

2,474,154

16.5

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

イ. 財政状態
(資産の部)

動資産は、売上債権の減少2億88百万円がありましたが、棚卸資産の増加10億73百万円や、現金及び預金の増加4億9百万円により、前事業年度末に比べ12億25百万円増加しました

固定資産は、土地の減少3億3百万円や、リース資産の減少1億36百万円、建物の減少1億8百万円により、前事業年度末に比べ5億83百万円減少しました

(負債の部)

動負債は、仕入債務の増加1億93百万円がありましたが、契約負債の減少1億86百万円や、未払金の減少1億24百万円により、前事業年度末に比べ40百万円減少しました

定負債は、リース債務の減少1億57百万円や、長期借入金の減少40百万円により、前事業年度末に比べ1億94百万円減少しました

(純資産の部)

資産は、当期純利益7億98百万円や、その他有価証券評価差額金の増加1億29百万円により、前事業年度末に比べ8億76百万円増加しました

 

ロ. 経営成績

(売上高)

上高は、取引条件の改善が進んだことや、行事や式典の正常化による来店客数が増加したことにより、150億26百万円(前事業年度は142億41百万円)となりました

品面では、ブラックフォーマルが99億17百万円(同92億45百万円)、カラーフォーマルが26億17百万円(同26億45百万円)、アクセサリー類が24億92百万円(同23億50百万円)となりました

 

(売上原価、販売費及び一般管理費)

上原価は、71億96百万円(前事業年度は70億22百万円)となりました。

売費及び一般管理費は、退職給付費用の減少はありましたが、販売促進費や従業員給料の増加により、73億10百万円(同68億79百万円)となりました

(営業外損益、特別損益)

業外収益は、助成金収入の減少により、1億56百万円(前事業年度は1億76百万円)となりました。営業外費用は、支払利息の減少により、59百万円(同66百万円)となりました

特別利益は、投資有価証券売却益の増加により、4億66百万円(同82百万円)となりました。特別損失は、減損損失の増加により、1億60百万円(同41百万円)となりました

(当期純利益)

期純利益は、法人税等調整額の増加はありましたが、税引前当期純利益の増加により、7億98百万円(前事業年度は5億19百万円)となりました

 

② キャッシュ・フローの状況の分析・検証内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

キャッシュ・フローの状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載しております

資本の財源及び資金の流動性については、主として営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金より充当し、必要に応じて金融機関から借入れを実施することにより、必要な資金を調達しております。なお、当事業年度末における有利子負債の残高は9億33百万円となり、現金及び現金同等物の残高は27億60百万円となっております

 

③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。

財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況  1 財務諸表等  (1) 財務諸表  注記事項  (重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

2022年2月に開示いたしました「2022~2024年度 中期経営計画」において、最終年度の2024年度は売上高155億円、営業利益2億5千万円、売上高営業利益率1.6%以上の達成を数値目標として掲げております。さらに、効率的な財務体質の構築のため、棚卸資産回転率3.75回転、売上総利益率51.4%、販管費比率49.8%を数値目標として掲げております。

当事業年度は、小売事業を中心に店舗の集客が回復したこともあり、売上高150億26百万円となりました。売上原価において一部に製造コストの上昇はありましたものの、販売費及び一般管理費は人件費を削減したこともあり、営業利益5億20百万円となりました。賃貸料収益や投資有価証券売却益により、当期純利益7億98百万円となりました。その結果、ROE8.9%となりました。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

特記すべき事項はありません。