第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

  当社の本有価証券報告書の提出日現在における「経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」は以下のとおりであります。また、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。
 

(1)当社グループのミッション

 当社グループのミッションは、「私たちは、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」です。当社グループの基幹技術「モチベーションエンジニアリング」をビジネスモデルに適用し、組織や個人が「夢」や「生きがい」によって、たくさんの意味をくみ取っている社会を実現してまいります。

 

(2)経営の基本方針

 当社グループは、創業当初より「社員のモチベーションこそが会社の成長エンジン」であると考えております。この基本的な考え方を前提に、企業理念の実現に向けた会社の経営においては、以下の3点を重要視しております。

1.人的資本を最重要視し、人的資本及びその他の資本の最大化を図ること

 当社グループのビジネスはソフトビジネスであり、人的資本が様々な資本の価値創造の源泉であると考えております。人的資本がビジネスを通して財務資本を、技術開発を通して知的資本を、顧客開発を通して社会関係資本を創造し、増大させております。だからこそ、人的資本を最重要視して投資を行うことで、持続的にその他の様々な資本を増強し続けております。

2.「モチベーションエンジニアリング」をビジネスモデルに徹底活用すること

 「モチベーションエンジニアリング」は、経営学・社会システム論・行動経済学・心理学などの学術成果をもとに創られた当社グループの競争優位性となる基幹技術です。「診断技術」と「変革技術」から構成され、この技術を全ての事業、商品サービスに組み込むことで、顧客価値を最大化しております。

3.事業戦略と組織戦略を常に繋げて捉え、顧客価値と人的資本価値の最大化を同時実現すること

 当社グループは、顧客価値の最大化を実現するための事業戦略と人的資本価値の最大化を実現するための組織戦略を常に繋げて考えております。そして、そのバランス度合いを示す生産性(人的資本ROI)をモニタリングすることで、環境変化に応じて適切な経営判断を行っております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

ⅰ経営環境

 近年、労働力人口の減少やビジネスのソフト化、ワークモチベーションの多様化が進む中で、企業が従業員や応募者から選ばれ続ける重要性と難易度は加速度的に高まっております。さらにAIの技術的発展が進む中で、優秀な人材の獲得競争がより一層激化していくことが想定されております。こうした環境下において企業は、人材の維持と獲得のための従業員エンゲージメントの向上や、既存社員がパフォーマンスを発揮するための人材力の向上に取り組む必要があることから、このような環境変化は当社にとって非常に重要な機会であると認識しております。

 

ⅱ事業戦略及び目標とする経営指標、対処すべき課題

 人材を資本として捉え、その価値を最大限に引き出すことで中長期的な企業価値向上につなげる「人的資本経営」の機運が高まっている中、当面の間は、成長可能性の高い組織開発Divisionのコンサル・クラウド事業に注力する方針です。

 

目標とする経営指標

 事業の収益性・生産性を重視した経営を行うべく「売上収益営業利益率」を重要な経営指標として位置づけるとともに、規模の拡大にも注力するため、「売上収益」「営業利益」「親会社の所有者に帰属する当期利益」も併せて重要な経営指標として位置づけております。そして、組織戦略とのバランス度合いを示す生産性(人的資本ROI)及び従業員1人当たりの売上総利益も重要指標としております。

 

事業戦略及び対処すべき課題

<組織開発Division>

① モチベーションクラウドシリーズの売上拡大

 人的資本経営やその情報開示の機運が高まる中、すでに企業の営業利益率や労働生産性との相関も明らかになっている従業員エンゲージメントへの注目はますます高まっております。このようなニーズの高まりを追い風に、未だ開拓余地の大きい大手企業へのモチベーションクラウドシリーズの導入を推進し、2024年末時点の月会費売上5.3億円を見込んでおります。さらに、日系グローバル企業の海外現地法人への導入も進めてまいります。また、2022年7月にリリースしたストレッチクラウドについても、市場規模が5,000億円を超える人材育成市場において拡大を進める計画です。引き続き、モチベーションクラウドシリーズの顧客開拓を通して、コンサル・クラウド事業の大幅成長を実現してまいります。

 

② コンサルティングの顧客単価の向上

 モチベーションクラウドにて従業員エンゲージメントを診断した上で、その診断結果に応じて、採用・育成・制度・風土といった組織人事に関わる変革ソリューションをワンストップで提供できる点が当社グループのコンサル・クラウド事業の大きな競争優位性となっております。また、2023年3月期から有価証券報告書において人的資本開示が義務化されましたが、今後は開示内容の改善ニーズが増加していくことが見込まれます。クラウドからコンサルティングへの接続をさらに強化することで、コンサル・クラウド事業の顧客単価を向上させてまいります。

 

<個人開発Division>

オンライン講座の売上拡大

 キャリアスクール事業では、コロナ禍における学びのニーズの変化に合わせ、IT・資格・英会話のオンライン講座を提供し、オンラインにおいても「挫折させない」支援を継続しております。2022年の9月末からは、校舎数を移転・撤退してオンラインへと移行する構造改革を推進し、全国に81校あった校舎は、2023年12月末には53校となり、事業効率の改善を実現しました。引き続き、オンラインでのサービス提供を拡大することで、売上収益を維持しながらさらなる事業効率の改善を実現してまいります。

 

<マッチングDivision>

① ALT配置事業の安定的な成長

 当社で最も売上収益の大きいALT配置事業については、引き続き安定的な成長を目指します。事業環境としては、2022年10月より、週20時間以上働くALTを社会保険の加入対象とする法令が、従業員数101名以上の企業から順次適用されることとなり、民間企業として最もシェアを持つ当社は競合他社に比して先行して適用されたことで一時的に厳しい状況となりました。一方で、2024年には適用範囲が拡大されることから、競争環境は改善すると見込んでおります。引き続き、強みであるALTの質の向上に加えて、トップシェア企業としてオンライン化やICT活用といった多様化する顧客ニーズへの対応も進めることで、シェアのさらなる拡大を目指してまいります。

 

② 人材紹介事業における「OpenWorkリクルーティング」の売上拡大

 人材紹介事業においては、「OpenWorkリクルーティング」のさらなる成長に注力してまいります。「OpenWorkリクルーティング」とは、国内最大級の社員クチコミ数を有する情報プラットフォーム「OpenWork」を活用したダイレクトリクルーティングサービスで、転職市場の活況を背景に、現在急成長しております。今後は、求職者と求人企業の両軸増加に加えて、さらなるマッチングの活性化を目指します。また、既存ユーザーへの履歴書登録促進やマッチングサイトとしての認知向上に向けたプロモーションも強化し、転職意欲の高いユーザーの集客を推進することで、継続的な成長を見込みます。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、以下のとおりであります。

 文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

(サステナビリティに関する考え方)

 当社グループのミッションは、「モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」というものです。持続可能な社会創りへの貢献は、当社グループがミッション実現を目指していく上でも必須のテーマであり、真摯に向き合い責任をもって取り組んでいくべき課題であると考えております。当社グループにとってのサステナビリティとは、持続可能な社会を目指すなかで生じる様々な社会課題を事業によって解決することであり、同時に、その事業の発展が私共の持続的な成長にも寄与するといった関係を構築することにあります。

 

 サステナビリティの実践に際しては、LMGとして変わらない経営の考え方である「LMGの経営方針3カ条」を全社員と共有するとともに、刻々と変化する社会の流れを見極めつつ、対応すべき課題に対峙しております。

 

 LMGの経営方針3カ条

第1条 「一点の曇りもない経営」

第2条 「ひとりひとりが主役の経営」

第3条 「運動神経の良い経営」

 

 第1条は「一点の曇りもない経営」です。LMGでは、顧客、取引先、従業員、株主など当社グループを取り巻く全てのステークホルダーに対して、法令違反や不誠実が一切存在しない経営を目指しております。良好なガバナンスを実現し、社会的責任を果たす上で最も大切な考え方として社内に深く浸透しております。企業にとって人材が最大・最強の資本であるという考えのもと、第2条には「ひとりひとりが主役の経営」を掲げております。経済のソフト化、サービス化に伴い、人材資源に備わるアイデア、モチベーション、ホスピタリティなどのソフト力が企業の命運を握る中、共通のゴールを目指して多様な人材のひとりひとりがモチベーション高く活躍できる組織であることが大事だと考えております。そして、第3条は「運動神経の良い経営」です。企業を取り巻く環境変化のスピードが速まる中、継続的に社会課題に貢献していくためには、企業としての環境適応力はとても重要になってきております。マーケットや法令の変化に応じて迅速な経営判断を行い、変化を自ら創り出していく姿勢こそが企業の持続的な成長には不可欠だと考えております。

 

(サステナビリティに係るマネジメント体制)

(1)ガバナンス

 当社は、「モチベーションエンジニアリング」によって社会の活性化に貢献する、という創業以来の経営理念を追求する経営哲学のもと、公正で透明性の高い経営に取り組むことを基本的な考えとしております。その実現のため、株主の皆様やお客様をはじめ、取引先、地域社会、従業員等各ステークホルダーと良好な関係を築き、長期的視野の中でグループ企業価値の向上を目指すべく経営活動を推進しております。

 

 取締役会を経営の基本方針や重要課題並びに法令で定められた重要事項を決定するための最高意思決定機関と位置づけ、原則月1回開催するとともに、事業経営にスピーディーな意思決定と柔軟な組織対応を可能にするため、取締役及び事業責任者等が出席する経営会議を原則月2回開催しております。加えて、業務執行に関する監視、コンプライアンスや社内規程の遵守状況、業務活動の適正性かつ有効性を監査するため、監査役が取締役会に出席することで議事内容や手続き等につき逐次確認いたしております。また、内部監査人を置き、内部監査を実施し、内部監査の結果は、経営会議、監査役に報告しております。

 

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(2)リスク管理

 当社は、グループ経営に関するさまざまなリスクを審議するため、主要なリスクの状況について定期的にモニタリング、評価・分析し、グループ各社に必要な指示、監督を行うとともに、その内容を定期的に取締役会に報告する体制を整えております。

 

(サステナビリティに係る個別テーマと取組状況)

(1)気候変動に関する取組み

 当社グループの事業特性上、気候変動に関するリスクや機会の影響は相対的に受けにくいため、非財務情報の開示要請に対して、ガバナンスや人的資本を優先しております。但し、取締役会や経営会議においては、中長期の経営戦略の議論において気候変動に関するリスクや機会を含めて議論しております。また、気候変動が自社の事業活動や収益等に与える影響程度に関わらず、社会の一員として、環境負荷軽減に取り組んでおります。具体的には、紙資源の削減やオフィスの空調管理の徹底、服装のカジュアル化等を継続的に行っております。

 

 なお、2023年12月期のGHG排出量は以下のとおりです。

 

2023年12月期 GHG排出量 (単位:tCO2)

 

2023年12月期

Scope1

0

Scope2(ロケーション基準)

1,311

Scope2(マーケット基準)

1,284

 

 2023年12月期は、キャリアスクール事業において、校舎の移転・撤退を行いました。その結果、GHG排出量は減少しております。2024年12月期は、環境負荷軽減に引き続き取り組み、GHG排出量の削減を目指してまいります。

 

(2)人的資本に関する取組み

<人的資本経営方針と基本戦略>

 当社グループのビジネスはソフトビジネスであり、人的資本が様々な資本の価値創造の源泉であると考えております。そこで、顧客価値を最大化する事業戦略と人的資本を最大化する組織戦略を対等に捉え、双方をリンクさせながら経営をしております。組織戦略においては、採用・育成・制度・風土に投資をして、人材力とエンゲージメントを高め、人的資本投資のリターンを示す生産性を最大化させることに注力しております。

 

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<人的資本経営に関する指標・目標>

生産性

 人的資本投資のリターンを示す生産性として、人的資本ROI(※)と従業員一人当たりの売上総利益をモニタリングしております。

 

※人的資本ROI

人的資本ROI=調整後営業利益÷人的資本投資額

調整後営業利益は、営業利益から、のれん、使用権資産、固定資産の減損等の一時的要因を排除した事業の業績を測る利益指標。人的資本投資額は、従業員の給与や賞与、法定内外福利費、通勤交通費、その他役員報酬等を含んだ費用の合計で算出。

 

▶2023年結果

 人的資本投資額は横ばいのまま、売上総利益は前年比110.2%、営業利益は前年比127.4%と大幅に伸長し、生産性は想定通りに向上しました。

 

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 引き続き、人材力とエンゲージメントについて目安を設定し、採用・育成・制度・風土に投資することで、生産性のさらなる向上を目指してまいります。

 

人材力

 組織の求める能力と個人の保有する能力の合致度を示す「人材力」を重視しております。人材力においては、各階層に求められる階層別の役割の遂行状況について、周囲の期待と満足の一致度合いをもとに算出したスコアに応じて11段階でランクづけした「役割サーベイスコア」を、注力指標としてモニタリングしております。

 

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▶2023年結果

 Aランク以上の割合は全体で55%超、管理職においては70%超となり、一定の人材力を維持しました。

 

0102010_005.png

 

▶2024年目安

 Aランク以上の割合 管理職 77% / 全体 57%

 

エンゲージメント

 組織のありたい姿と個人のモチベーションの合致度を示す「エンゲージメント」を重視しております。エンゲージメントにおいては、従業員の会社・上司・職場への期待と満足の一致度合いをもとに算出したエンゲージメントスコアに応じて11段階でランクづけしたエンゲージメント・レーティングを注力指標としてモニタリングしております。

 

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▶2023年結果

 グループ会社8社のうちAAAが6社、AAが2社となり、引き続き高いエンゲージメントを維持しました。

 

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▶2024年(2025年2月)目安

 8社/8社がAAランク以上の高い水準を維持。

 

<人的資本の増加に関する取組み>

 人材力とエンゲージメントの定期的な課題の特定(診断)及び課題の解決(変革)に際して、採用・育成・制度・風土に投資しております。なお、自社ソリューションを徹底活用しております。

 

モチベーションクラウド

 「モチベーションクラウド」は、延べ11,360社・403万人以上という国内最大級のデータベースをもとに全社・部署ごとの組織の状態を診断し、エンゲージメント向上を支援するクラウドサービスです。当社グループでは、半年に1回サーベイを実施し、エンゲージメントの向上に努めております。なお、モチベーションクラウドの機能のひとつであるサーベイによって、エンゲージメントスコア、エンゲージメント・レーティングが算出されます。

 

▶「モチベーションクラウド」の詳細 https://www.motivation-cloud.com/?_bdld=3a3rko.o5rqDTe

 

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ストレッチクラウド

 「ストレッチクラウド」は、多面評価サーベイを用いて人材の課題を診断し、豊富なデータやノウハウを元に人材力向上を支援するクラウドサービスです。単発の研修での「知識提供・意識変革」にとどまらず、日々の「行動変容」を促す成長支援を実現しております。当社グループでは、年1回サーベイを実施(※)し、人材力の向上に努めております。なお、ストレッチクラウドの機能のひとつであるサーベイによって、役割サーベイスコアが算出されます。

 

▶ストレッチクラウドの詳細 https://stretch-cloud.lmi.ne.jp/

 

※新卒1~3年目の社員は年2回

 

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その他、採用・育成・制度・風土に関する施策

 人材力とエンゲージメントの向上に際して、採用・育成・制度・風土に関する施策を実施し、各種スコアをモニタリングしております。

 

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(参考)人的資本に関する指標

項目

小項目

単位

2021年

2022年

2023年

補足

1.倫理とコンプライアンス

提起された苦情の種類と件数

合計

3

11

13

従業員に対して公開しているホットライン窓口に相談があった件数。

総従業員(役員、社員、アルバイト、ALT)を集計対象として算出。

ハラスメント

0

6

7

職場環境

1

2

2

その他

2

3

4

懲戒処分の種類と件数

合計

5

6

3

総従業員(役員、社員、アルバイト、ALT)を集計対象として算出。

譴責・減給

5

6

1

出勤停止・停職・降格

0

0

2

諭旨解雇・懲戒解雇

0

0

0

倫理とコンプラ研修を受けた従業員の割合

コンプライアンス研修受講率

100.0

100.0

100.0

社員に実施している研修内容を集計。

情報管理研修受講率

100.0

100.0

100.0

ハラスメント研修受講率

98.5

100.0

外部監査で指摘された事項のうち未解決の件数

0

0

0

労働基準監督署等、外部の監査で指摘を受けた事項のうち、未解決の件数。

 

 

項目

小項目

単位

2021年

2022年

2023年

補足

2.コスト

総労働力コスト

百万円

21,349

21,445

21,424

会社が従業員に対して直接支払った費用の総額。直接雇用している従業員に限らず、外部労働力も集計の対象とする。

外部労働力コスト

百万円

12,125

11,793

11,790

会社が直接雇用していない、外注先や派遣社員等に対して支払う費用の総額。

総給与に対する役員報酬の割合

4.9

5.2

5.0

役員報酬を全従業員の報酬額合計で割って算出。

総雇用コスト

百万円

9,724

10,373

10,337

従業員を雇用する上でかかる費用の総額。従業員が間接的に恩恵を受けているものも集計の対象とする(育成費や福利厚生費等)。

1人当たり採用コスト

新卒

千円

当該年の採用コストを採用人数で割って算出。新卒採用は、当該年に投資した金額だけが採用人数に直結しているわけではないため、算出していない。

中途

千円

4,287

2,535

2,401

採用コスト

新卒

千円

355,000

336,989

341,092

当該年で計上した採用にかかる費用を集計。

中途

千円

180,085

159,704

163,287

 

 

項目

小項目

単位

2021年

2022年

2023年

補足

3.ダイバーシティ

労働力のダイバーシティ(年齢)

71~

0.1

0.1

 

61~70

2.4

2.5

 

51~60

8.9

9.6

 

41~50

25.2

25.2

 

31~40

25.2

25.4

 

21~30

38.2

37.2

 

0~20

0.0

0.0

 

労働力のダイバーシティ(性別)

男性

56.0

56.0

未回答を除く。

女性

44.0

44.0

労働力のダイバーシティ(障がい者)

1.5

1.4

1.5

毎年、厚生労働省に報告する「障害者雇用状況報告書」の内容に準じて集計。上記の報告内容に合わせ、6月1日時点の結果を記載。

労働力のダイバーシティ(その他)

日本

95.0

94.7

 

北米

2.0

1.9

 

欧州

1.0

0.9

 

その他

2.0

2.5

 

4.リーダーシップ

リーダーシップに対する信頼

リーダーに対して求められる「影響力の5つの源泉」

専門性

4.5

4.4

管理職に対する役割サーベイ(リンカーンサーベイ)にて測定される「総合満足度」の数値結果。各項目について、対象管理職の部下や上司が1~5の5段階(「1:全く満足していない」~「5:非常に満足している」)で評価しており、上記は全ての管理職の平均値である。

魅了性

4.5

4.4

返報性

4.5

4.4

一貫性

4.4

4.3

厳格性

4.3

4.1

管理職1人当たり部下数

取締役・執行役員

55.7

61.2

各社によって階層の名称が異なるため、一定の基準のもと階層にあてはめて算出。各階層の人数には、社外取締役、アルバイト、ALTは含んでいません。

カンパニー長

35.7

27.8

ユニットマネジャー・

グループマネジャー

16.0

15.1

リーダーシップ開発

新任管理職研修

(管理職に求められる役割理解)

100.0

100.0

100.0

 

管理職対象階層別研修

(現状把握・課題設定・目標設定)

91.0

87.9

97.6

 

マネジャー総会

(管理職としての視界向上)

100.0

94.1

95.5

 

 

 

項目

小項目

単位

2021年

2022年

2023年

補足

5.組織風土

エンゲージメント

㈱リンクアンドモチベーション

AAA(388)

AAA(437)

AAA(458)

()内数値は、対象者数。

詳細は「(サステナビリティに係る個別テーマと取組状況)(2)人的資本に関する取組み <人的資本経営に関する指標・目標> エンゲージメント」を参照。

㈱リンクイベントプロデュース

AAA (20)

AAA (27)

AAA (24)

㈱リンクコーポレイトコミュニケーションズ

AAA (79)

AAA (78)

AAA (76)

㈱リンクアカデミー

AAA(511)

AAA(456)

AAA(426)

㈱モチベーションアカデミア

AAA (31)

AAA (50)

AAA (53)

㈱リンク・インタラック

AA (172)

AAA(159)

AA (155)

オープンワーク㈱

BBB (74)

AA  (71)

AA  (88)

㈱リンク・アイ

AAA (20)

AAA (20)

AAA (31)

6.健康・安全・幸福

労災により失われた時間

(100万時間当たりの総喪失時間)

時間

3.8

82.8

24.7

総従業員(役員、社員、アルバイト、ALT)を集計対象として算出。

労災の件数

(100万時間当たりの発生件数)

4.1

3.2

4.1

労災による死亡者数

0

0

0

傷病休職発生率

2.8

2.3

1.9

 

健康・安全研修の受講割合

92.4

88.2

91.6

毎年、社員に対して実施しているストレスチェックの受講結果を算出。

7.生産性

従業員1人

当たりの業績

売上

千円

18,675

19,067

20,328

フルタイム(週40時間)に換算した時の従業員数で算出。

売上総利益

千円

8,775

9,347

10,595

当期利益

千円

583

1,225

1,877

人的資本ROI

33.0

41.1

48.4

人的資本ROI=調整後営業利益÷人的資本投資額

調整後営業利益は、営業利益から、のれん、使用権資産、固定資産の減損等の一時的要因を排除した事業の業績を測る利益指標。人的資本投資額は、従業員の給与や賞与、法定内外福利費、通勤交通費、その他役員報酬等を含んだ費用の合計で算出。

 

 

 

項目

小項目

単位

2021年

2022年

2023年

補足

8.採用・異動・退職

採用社員の質

新卒

10.1

10.0

10.1

入社後6カ月間を試用期間と設定し、試用期間終了後に、10を「期待どおり」として2~18の幅で評価。

中途

9.9

9.8

10.0

採用にかかる

平均日数

新卒

日数

56.1

55.2

72.4

当該年に入社した人員の採用にかかった日数を集計。応募日から内定承諾日までの期間の日数で算出。中途採用は通年で採用を行う法人もあるため算出していない。

中途

日数

重要ポストが埋まるまでの平均日数

0

0

0

重要ポストを「子会社も含めた当社グループの取締役・執行役員(社外は除く)」と定義。ポストに空きが生じる場合、同時に代わりの人材の登用、もしくは対象ポストの消滅のいずれかを行っているため、空席ポストが発生しません。

内部登用率

73.1

78.3

76.2

空席ポストに対する内部登用者数÷空席ポストに対する(内部登用者数+外部登用者数)として算出。

重要ポストの内部登用率

100.0

100.0

100.0

1年間に発生した重要ポストに対する登用における内部比率。重要ポストの登用に関しては、すべて内部の人材が登用されている。

重要ポストの割合

1.6

1.7

1.6

重要ポスト数を総ポスト数で割って算出。

全空席ポスト中の重要ポストの空席率

0.0

0.0

0.0

 

内部異動数

同領域在籍期間平均

4.1

3.6

4.0

当社グループの事業を一定の領域で区分し、個人の各領域における在籍期間を算出。

内部異動率

69.7

68.8

58.6

上記の領域や職種をまたぐ異動、及び昇降格による役割変更を内部異動と定義し、1年間の内部異動率を算出。

経営人材

育成施策

TOPGUNSELECTION参加者数

執行役員(執行役員としてのレベルアップ)

5

0

 

カンパニー長・管理職(将来の役員候補の育成)

10

14

10

 

メンバー(次期マネジャー候補の育成)

6

6

4

 

 

 

項目

小項目

単位

2021年

2022年

2023年

補足

経営人材準備数

役員候補者

22

27

 

役員現就任者

27

24

 

役員準備度

81.5

112.5

 

退職率

合計

10.0

13.3

13.2

月間退職率(月間退職者数÷月間平均従業員数)の年間(12カ月分)の総和で算出。

自発的退職率

9.8

13.0

12.4

対象人材の月間退職率(月間退職者数÷月間平均従業員数)の年間(12カ月分)の総和で算出。

自発的退職率(管理職)

0.3

0.7

0.6

自発的退職率

(ITエンジニア)

0.3

0.4

0.5

9.スキルと能力

人材開発・

研修の総費用

実際の費用

千円

94,793

190,536

190,587

 

顧客への提供金額に換算

千円

385,674

325,239

467,657

 

研修への参加率

テクニカルスキル

(TOP GUN講座)

100.0

 

ポータブルスキル

(ネゴシエーション研修)

97.6

 

ポータブルスキル

(ロジカルシンキング研修)

99.7

 

ポータブルスキル

(セルフモチベーションコントロール研修)

98.7

 

ポータブルスキル

(リーダーシップ研修)

96.6

 

ポータブルスキル

(キャリアデザイン研修)

98.0

 

スタンス(新任カンパニー長研修)

100.0

100.0

 

スタンス

(新任管理職研修)

100.0

100.0

 

スタンス(新入社員スタンス研修)

100.0

100.0

 

サーベイ研修(上級管理職向けサーベイ研修)

91.1

95.9

 

サーベイ研修(管理職向けサーベイ研修)

87.9

97.6

 

サーベイ研修(シニア向けサーベイ研修)

85.7

93.3

 

サーベイ研修(リーダー向けサーベイ研修)

84.9

98.5

 

サーベイ研修(中堅向けサーベイ研修)

88.8

97.5

 

サーベイ研修(若手向けサーベイ研修)

95.9

96.4

 

 

 

項目

小項目

単位

2021年

2022年

2023年

補足

DX研修受講者数

1,367

1,499

1,381

 

DXスコア

合計

98.9

123.3

124.3

 

デジタルナレッジ

53.8

57.9

56.3

 

Excelスキル

45.1

65.4

67.9

 

10.後継者計画

内部継承率

100.0

100.0

100.0

年末時点の重要ポストに対する登用における内部比率。

後継者候補

準備率

カンパニー長候補者

106

104

 

カンパニー長現就任者

41

51

 

カンパニー長準備度

259.0

203.9

 

後継者の継承準備度(即時)

1年以内

5

5

 

後継者の継承準備度(1-3年/4-5年)

1~3年

29

27

 

4~5年

72

72

 

11.労働力

総従業員数

役員

30

32

30

社外取締役を含め、取締役と執行役員の合計。

社員

1,493

1,505

1,470

 

アルバイト

403

381

385

 

ALT

3,304

2,857

2,875

ALT配置事業で雇用するAssistant Language Teacherの略。

合計

5,230

4,775

4,760

 

フルタイム

/パートタイム

フルタイム

1,518

1,567

1,530

雇用形態によらず、契約上の就業時間が週40時間以上を「フルタイム」、週40時間未満を「パートタイム」と定義する。(ALTは除く)

パートタイム

408

351

355

フルタイム当量

FTE

1,748

1,719

1,671

フルタイム(週40時間)に換算した時の従業員数。全従業員の1週間当たりの総勤務時間を40時間で割って算出。(ALTは除く)

欠勤率

0.9

0.9

0.5

 

 

 

3【事業等のリスク】

 以下において、当社グループの経営成績及び財政状態等に影響を及ぼす可能性のある特に重要なリスクを記載しております。但し、全ての重要なリスクを網羅したものではなく、現時点では予見できない又は重要とみなされていないリスクの影響を将来的に受ける可能性がございます。なお、本文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において入手可能な情報に基づき、当社グループが合理的であると判断したものであります。

 

(1)経済状況等の変動等、マクロ環境に関するリスク(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

(リスクの内容)

 当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う社会経済活動の正常化が進む中で、緩やかな景気回復が見られているものの、国内の物価上昇に加え、世界各国の長期金利上昇による世界経済の停滞リスクは存在しており、その先行きは依然として不透明な状況です。このような経済状況等の停滞・悪化により、サービスに対する需要が低迷する場合には、当社グループの経営成績等も影響を受ける可能性があります。

 具体的には、組織開発Divisionの特に中小ベンチャー企業へのコンサルティングにおける、事業環境の悪化に伴うプロジェクトの休止等の影響や、マッチングDivisionの人材紹介事業における、企業の雇用環境の変化の影響が想定されます。

 

(主な対応策)

 当社グループでは、企業を取り巻く環境変化のスピードが速まる中、その変化に柔軟に、素早く対応し、影響を最小化できるよう、「LMGの経営方針3カ条」において「運動神経の良い経営」を掲げております。この方針に基づき、経済状況等についても適宜経営会議にて議論することで即時の意思決定を行っております。

 同時に、経済状況等の影響を受けにくいALT配置事業やキャリアスクール事業を2010年代に開始し、景気変動に耐えうる事業ポートフォリオの構築をしております。また、特に当社グループの売上総利益の約50%を占める組織開発Divisionにおいて、モチベーションクラウドシリーズの展開によりストック売上の比率を高め、ビジネスの安定化を図っております。

 

(2)知的財産権に関するリスク(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

(リスクの内容)

 当社グループは、モチベーションエンジニアリングを基軸とした事業展開によってブランドを確立しておりますが、本技術を模倣した企業の出現によって、競合事業者に対する当社グループの優位性を顧客に対して十分に訴求できなくなった場合に、売上の減少等、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 また、事業規模の拡大やテレワークの導入に伴って、コンサルティングノウハウや顧客事例等、知的財産の流出・漏洩が発生しやすい環境となっており、ブランド棄損や風評リスクも高まっております。

 

(主な対応策)

 モチベーションエンジニアリングの模倣可能性の低減に向けては、R&D部門が主導となり本技術を常に進化させるとともに、法務部門を中心に商標権や特許権、著作権等複数の知的財産権を組み合わせて知的財産を多面的に保護しております。

 また、知的財産の流出・漏洩に対しては、法令から要請される合理的な情報管理措置及びデータガバナンスの構築のみに留まらず、流出・漏洩を検知する仕組みの構築や社員向けの啓発を強化し、営業秘密をはじめとした情報資産保護の実効性を向上させてまいります。

 

(3)データセキュリティ・データプライバシーに関連するリスク(発生可能性:中、発生時期:特定時期なし、影響度:大)

(リスクの内容)

 当社グループでは、事業運営に関し、顧客企業の組織人事情報(組織開発Division)、氏名・生年月日等の顧客情報(個人開発Division)、求職者・求人情報・その他企業情報(マッチングDivision)等の個人情報及び機密情報を大量に保有しております。

 サイバー攻撃等の外部の不正や、内部の不慮が原因で個人情報が漏洩し、情報主体ないしは顧客企業等に被害が生じた場合、損害賠償請求や社会的信用の失墜等により、当社グループの業績及び財務状況が影響を受ける可能性があります。

 

(主な対応策)

 当社グループでは、プライバシーマークに準じた情報管理規定及び管理手法を策定し、組織面・技術面ともにその遵守に努めております。具体的には、管理規程に則り各就業規則を策定し、全役職員及び全従業員に個人情報保護管理に関する定期的な教育を徹底しております。

 また、機密性・完全性・可用性を考慮したセキュリティ要件を策定し、環境構築・運用時の遵守を徹底するとともに、ランサムウェア、不正アクセス等の外部脅威の防御や内部の不慮の防止のための技術的対策を講じております。加えて、日々高度化する外部からの脅威に備えて必要な対策を取るべく、外部機関からの情報収集及び中長期的な視点での情報セキュリティの向上にも継続的に取り組んでおります。

 

(4)人材確保に関するリスク(発生可能性:高、発生時期:特定時期なし、影響度:低)

(リスクの内容)

 当社グループは、人的資本を最重要視し、人的資本をもとに顧客価値を創出し続けております。そのため、持続的な成長を遂げるためには、優秀な人材の確保が肝要です。大幅な成長を見込んでいる組織開発Divisionにおいては、プロジェクトマネジャーやエンジニアの確保及び育成が重要となっておりますが、かかる人材の確保ができない場合や優秀な人材を確保するための従業員の報酬・賃金水準が著しく上昇する場合には、当社グループの経営成績等に影響を与える可能性があります。

 

(主な対応策)

 当社グループは創業以来、「優秀な人材をエンゲージメント高く採用するために投資を惜しまない」という考えを前提とし、自社の採用コンサルティングナレッジを用いながら、優秀な人材の確保を重ねております。また、優秀な人材の獲得に向けて、応募者から「選ばれる企業」であるべく、従業員エンゲージメントの向上やブランディングに取り組み続けております。同時に、組織・人事に関するコンサルティングサービスの一部クラウド化を推進することで、テクノロジーを活用して必要人員の最小化を図っております。

 

(5)資産の減損等に関するリスク(発生可能性:低、発生時期:特定時期なし、影響度:中)

(リスクの内容)

 当社グループは、M&A等による新たな領域への積極展開や新たな商品サービスラインナップの拡充を進めることで、事業の拡大スピードを速めてまいりました。結果として、連結財務諸表にM&A等による株式取得に伴うのれんを相当額計上しております。今後、取得済みの株式に係る事業について、経営環境や事業状況の変化等により事業収益性が著しく低下した場合等には、減損会計の適用に伴う損失処理が発生し、債務超過に陥る可能性があります。

 

(主な対応策)

 減損損失額を最小限にするべく、M&A後のシナジー実現に向けたフォローアップや経営成績の定期的なモニタリングを強化しております。また、M&A後にコンサルティングナレッジを当該事業に適用し、人材力とエンゲージメントを徹底的に向上させることで、人的資本をもとにした収益力の向上を図っております。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

経営成績等の状況の概要

1.業績

 当社グループは、子会社である株式会社リンクエージェント(旧 株式会社リンクスタッフィング)が運営する国内人材派遣事業に関して、2022年1月1日をもって株式会社iDAに譲渡したため、これらの事業を非継続事業に分類しております。このため、売上収益、売上総利益、営業利益については継続事業の金額を表示し、親会社の所有者に帰属する当期利益については、継続事業及び非継続事業の合算を表示しております。

 

 当社グループは、「私たちは、モチベーションエンジニアリングによって、組織と個人に変革の機会を提供し、意味のあふれる社会を実現する」というミッションのもと、経営学・社会システム論・行動経済学・心理学等の学術的成果を取り入れた、当社グループの基幹技術「モチベーションエンジニアリング」を用いて多くの組織と個人の変革をサポートしております。当連結会計年度の日本経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴う社会経済活動の正常化が進む中で、緩やかな景気回復が見られました。一方、国内の物価上昇に加え、世界各国の長期金利上昇による世界経済の停滞リスクは存在しており、その先行きは依然として不透明な状況です。このような経済状況下、企業が変化に適応するための人的資本経営推進のニーズ、具体的には、従業員エンゲージメント(会社と従業員の相互理解・相思相愛度合い)の向上や人材確保・育成のニーズはますます高まっていると認識しております。

 このような経営環境下、当社グループの売上収益は33,969百万円(前年比103.6%)、売上総利益は17,704百万円(同110.2%)、営業利益は4,623百万円(同127.4%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,842百万円(同138.1%)となりました。

 2023年12月期の業績予想は、売上収益35,300百万円(前年比107.7%)、売上総利益17,700百万円(前年比110.2%)、営業利益4,670百万円(同128.7%)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,630百万円(同135.4%)を見込んでおりました。売上収益は予想値に届かなかったものの、前年比で増加しました。一方、売上総利益は全社の売上総利益率が向上したことで予想値に到達し、前年比で大幅増加となりました。また、営業利益は予想値には僅かに届かなかったものの、2018年12月期の3,825百万円を超えて、過去最高益を大幅に更新しました。また、親会社の所有者に帰属する当期利益は予想値を超え、前年比で大幅増加となりました。

 なお、当社グループは、IAS第12号「法人所得税」(2021年5月改訂)を当連結会計年度から適用しております。本改訂は遡及適用され、親会社の所有者に帰属する当期利益は、前連結会計年度において117百万円増加し、当連結会計年度において37百万円減少しております。

 

 当社グループのセグメント区分と事業区分は次のとおりであり、当連結会計年度におけるセグメント・事業別の概況は以下のとおりであります。

 

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《組織開発Division》

 組織開発Divisionでは、個人から選ばれる組織(モチベーションカンパニー)創りを支援しております。具体的には、当社グループの基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」を適用し、従業員・応募者・顧客・株主等の企業を取り巻くステークホルダーとのエンゲージメント向上を支援するサービスを提供しております。

 当該セグメントでは、当連結会計年度における売上収益は12,891百万円(同106.6%)、セグメント利益は9,035百万円(同109.5%)となりました。当連結会計年度における事業別の概況は以下のとおりであります。

 

(コンサル・クラウド事業)

 当該事業は、企業の「従業員エンゲージメント向上」のため、独自の診断フレームに基づいたエンゲージメント状態の診断、及び組織人事に関わる採用・育成・制度・風土といった変革ソリューションをワンストップで提供しております。また、企業が従業員エンゲージメントをマネジメントできるクラウドサービス「モチベーションクラウドシリーズ」を展開しております。

 当該事業における当連結会計年度の売上収益は10,867百万円(同106.2%)、売上総利益は8,181百万円(同111.8%)となりました。

 当連結会計年度においては、第2四半期連結会計期間において一時的に成長が鈍化したものの、第3四半期連結会計期間以降は想定を上回る回復を実現したことにより、売上収益は前年比で増加しました。また、売上総利益は利益率の高いモチベーションクラウドシリーズが大幅に成長したことで、前年比で大幅増加となりました。人的資本経営の推進ニーズは、大手企業を中心に引き続き高まっております。現在、当該事業における支援企業数は約1,500社となっており、国内の従業員数50名以上の企業数が約100,000社であることを鑑みると、今後の拡大余地は非常に大きいと認識しております。今後は組織課題を特定する「診断」、課題の「変革」、変革の取り組みや結果の「公表」を通じて企業の「人的資本経営」を総合的に支援できる優位性を活かし、支援を拡大してまいります。

 また、当社グループは、2000年の創業以来、企業と従業員のエンゲージメント状態を「診断」するだけでなく、「変革」まで支援してまいりました。「モチベーションクラウドシリーズ」は、従業員エンゲージメント向上を実現するHRTech(人材×テクノロジー)領域のクラウドサービスです。創業以来提供してきた組織診断サービスをクラウド化し、2016年7月よりサービス提供を開始いたしました。モチベーションクラウドは現在、株式会社アイ・ティ・アールが発行する市場調査レポート「ITR Market View:人材管理市場2023」において、従業員エンゲージメント市場のベンダー別売上金額シェアで6年連続1位(2017~2022年度予測)を獲得しております。

 2023年12月末における「モチベーションクラウドシリーズ」の月会費売上は427,345千円(同130.1%)となりました。期初の予想値である430,000千円(同130.9%)には僅かに届かなかったものの、大手企業を中心とした新規導入が進んだことにより、前年比130.1%と大幅な成長を実現しました。モチベーションクラウドについては、今後は、引き続き開拓余地の大きい大手企業への導入を推進するとともに、グローバル展開も見据え、日系グローバル企業の海外現地法人への導入も推進します。また、人材育成クラウドサービスであるストレッチクラウドについても、市場規模が5,000億円を超える人材育成市場において拡大を進める計画です。これらの成長戦略を実行することで、さらなる成長を実現してまいります。

 

(IR支援事業)

 当該事業は、企業の「投資家エンゲージメント向上」のため、IR領域を中心に様々なメディアやイベントを通じて、コーポレートブランディング構築をワンストップで支援しております。具体的には、株主・投資家向けの統合報告書等の紙メディア制作や、IRページ等のWEBメディア、決算説明会の動画配信等の映像メディア制作に加えて、株主総会等の場創りを行っております。

 当該事業における当連結会計年度の売上収益は2,187百万円(同105.9%)、売上総利益は959百万円(同93.5%)となりました。

 当連結会計年度においては、注力サービスである統合報告書制作が想定通りに伸長し、売上収益は前年比で増加しました。また、売上総利益は制作に係る人件費の増加に伴い、前年比で減少しました。

 有価証券報告書における人的資本開示の義務化を受け、非財務情報、特に人的資本情報の開示ニーズはさらに高まっております。また、当社が提供しているモチベーションクラウドにおける診断結果の公表社数は2023年12月末時点で116社となり、従業員エンゲージメントの開示も着実に進んでおります。引き続き、単なる情報開示ではなく、診断・変革を踏まえた人的資本経営の魅力的な開示を支援することで、コンサル・クラウド事業とのシナジーを創出してまいります。

 

《個人開発Division》

 個人開発Divisionでは、組織から選ばれる個人(アイカンパニー)創りを支援しております。具体的には、当社グループの基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」をキャリアスクール・学習塾のビジネスに適用し、小学生から社会人までを対象に、目標設定から個人の課題把握、学習プランの策定・実行に至るサービスをワンストップで提供しております。

 当該セグメントの当連結会計年度における売上収益は6,418百万円(同92.2%)、セグメント利益は2,931百万円(同106.4%)となりました。当連結会計年度における事業別の概況は以下のとおりであります。

 

(キャリアスクール事業)

 当該事業は、大学生や社会人の「キャリア向上」のため、パソコンスクールの「AVIVA」、資格スクールの「DAIEI」、外国語スクールの「ロゼッタストーン・ラーニングセンター」、「ロゼッタストーン Premium Club」及び「ハミングバード」の5つのサービスを提供しております。

 当該事業における当連結会計年度の売上収益は5,616百万円(同90.0%)、売上総利益は2,571百万円(同105.9%)となりました。

 当連結会計年度においては、コロナ禍による学びのニーズの変化に適応するべく、校舎を移転・撤退してオンラインへ移行する構造改革を実施しました。改革開始当初に81校あった校舎数は53校となり、想定よりも早く事業効率を向上することに成功しました。その結果、当連結会計年度の売上総利益率は45.8%となり、構造改革を開始した前連結会計年度の38.9%と比較して大きく向上しました。また、当連結会計年度のオンライン講座の売上収益は507百万円となり、前連結会計年度の320百万円と比較して大幅に増加しました。構造改革に伴い受講者数の減少が続いておりましたが、当連結会計年度で底を打ったと捉えております。2024年12月期はオンラインでのサービス提供を拡大することで、売上収益を維持しながらさらなる事業効率の改善を実現してまいります。

 

(学習塾事業)

 当該事業は、小・中・高校生の「学力向上」のため、中学受験を目指す小学生を対象にした個別指導学習塾「SS-1」と、中高生向けの学習塾「モチベーションアカデミア」の2つの進学塾を、通学・オンラインの形態にて展開しております。特に「モチベーションアカデミア」では、一般的な学習塾とは異なり単なる学力向上にとどまらず、社会で活躍するためのスキル獲得も支援しております。

 当該事業における当連結会計年度の売上収益は801百万円(同111.3%)、売上総利益は360百万円(同109.8%)となりました。

 当連結会計年度においては、教室の在籍生徒数が増加し、売上収益は前年比で大幅増加、売上総利益は前年比で増加となりました。引き続き、「SS-1」から「モチベーションアカデミア」への継続率の向上に加えて、オンライン授業による学びの機会を通塾可能地域にとどまらない幅広い層に提供することで、新規入会者数を伸長させてまいります。

 

《マッチングDivision》

 マッチングDivisionでは、組織と個人をつなぐ機会提供としてALT(Assistant Language Teacher)配置事業と人材紹介事業を展開しております。当社グループの基幹技術である「モチベーションエンジニアリング」を適用し、企業や自治体が求めるスキル要件にとどまらず、データをもとに個人の特性とのマッチングを可能にする「フィッティング」も行うことで、定着率の高いマッチングを実現しております。

 当該セグメントの当連結会計年度における売上収益は15,398百万円(同105.7%)、セグメント利益は6,377百万円(同110.4%)となりました。当連結会計年度における事業別の概況は以下のとおりであります。

 

(ALT配置事業)

 当該事業は、日本で働きたい外国籍人材と自治体のフィッティングとして、全国の小・中・高等学校へのALTの派遣及び英語指導の請負をサービスとして提供しております。本事業は、顧客との信頼関係や実績が重視されるため参入障壁が非常に高く、当社グループは民間企業で圧倒的No.1のシェアを確立しております。

 当該事業における当連結会計年度の売上収益は12,011百万円(同100.0%)、売上総利益は3,046百万円(同92.6%)となりました。

 当連結会計年度においては、売上収益は前年比横ばい、売上総利益は前年比で減少となりました。2022年10月より、週20時間以上働くALTを社会保険の加入対象とする法令が、従業員数101名以上の企業から順次適用されることとなり、民間企業として最もシェアを持つ当社は競合他社に比して先行して適用されることとなりました。そのため、当連結会計年度については厳しい競争環境であると認識しておりましたが、この状況下でも売上収益は前年比で横ばいを維持し、当初の想定通りに進捗しました。2024年10月以降は同法令が従業員数51名以上の企業にも適用されることになるため、競争環境のフラット化が想定されます。引き続き、質の高いALTの派遣という強みを活かし、また、オンライン化やICTの活用も進めながら、売上収益の回復、シェアの拡大を目指してまいります。

 

(人材紹介事業)

 当該事業では、求職者と企業のフィッティングとして、事業成長に必要な人材を企業に紹介する人材紹介サービスを展開しております。主に、転職を希望している社会人を企業とマッチングさせる中途紹介、そして就職を希望している学生を企業とマッチングさせる新卒動員・紹介を行っております。

 当該事業における当連結会計年度の売上収益は3,411百万円(同132.7%)、売上総利益は3,354百万円(同134.2%)となりました。

 当連結会計年度においては、特に成長率の高いオープンワーク株式会社にて、登録ユーザー数、社員クチコミ・評価スコア数を着実に積み上げております。中でもダイレクトリクルーティングサービス「OpenWorkリクルーティング」は、継続的なマーケティングへの投資等により新規Web履歴書登録数が増加し、累計Web履歴書登録数(社会人・学生)が約101万件まで増加しました。また、既存顧客の採用活動の活性化に向けた取り組みの結果、求人企業・登録エージェント企業の採用活動が活性化し、当サービスの売上収益は1,867百万円(同203.3%)となりました。

 今後も引き続き、組織開発Divisionとのシナジーを拡大しながら、個人のスキルだけでなく、求職者の性格等のタイプも考慮することで、フィッティング支援を加速してまいります。

 

《ベンチャー・インキュベーション》

 当社グループでは、各Divisionの他に、ベンチャー・インキュベーションを展開しております。ベンチャー・インキュベーションでは、出資に加え、当社グループの組織人事コンサルティングのノウハウ等を提供し、上場を目指す成長ベンチャー企業を組織面からも支援しております。出資先の主な選定基準は、「“モチベーションカンパニー”創りへの共感」「株式上場を目指していること」の2点です。なお、ベンチャー・インキュベーションにて発生した売却益等は、連結財政状態計算書の利益剰余金、又は連結損益計算書のその他の収益・その他の費用に計上いたします。

 

生産、受注及び販売の実績

1.生産実績

 当社グループは、コンサルティング業等を主体としており、生産実績の記載はしておりません。

 

2.受注実績

 当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

受注高

(百万円)

前年同期比

(%)

受注残高

(百万円)

前年同期比

(%)

組織開発Division

13,485

107.2

7,317

115.0

個人開発Division

5,966

90.1

1,065

77.6

マッチングDivision

14,875

104.4

7,418

96.4

その他

6

189.3

合計

34,333

102.7

15,801

102.4

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

3.販売実績

 当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

販売高

(百万円)

前年同期比

(%)

組織開発Division

12,533

106.9

個人開発Division

6,273

92.0

マッチングDivision

15,155

106.5

その他

6

189.3

合計

33,969

103.6

(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。

 

経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

1.財政状態の分析

 当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ1,934百万円増加し、30,843百万円となりました。これは主として、現金及び現金同等物が1,277百万円、その他の流動資産が420百万円増加したこと等によるものです。

 当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ237百万円増加し、17,902百万円となりました。これは主として、契約負債が216百万円減少した一方で、未払法人所得税が323百万円増加したこと等によるものです。

 当連結会計年度末の資本合計は、前連結会計年度末に比べ1,697百万円増加し、12,940百万円となりました。これは主として、剰余金の配当を実施した一方で、親会社の所有者に帰属する当期利益を計上したこと等に伴い、利益剰余金が2,011百万円増加したこと等によるものです。

 

2.経営成績の分析

(1)売上収益

 当連結会計年度の売上収益は、前年比3.6%増の33,969百万円となりました。セグメント別には、組織開発Divisionで前年比6.6%増の12,891百万円、個人開発Divisionで前年比7.8%減の6,418百万円、マッチングDivisionで前年比5.7%増の15,398百万円となりました。

 

(2)売上原価

 当連結会計年度の売上原価は、前年比2.7%減の16,264百万円となり、原価率は47.9%となりました。

 

(3)販売費及び一般管理費

 当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前年比2.7%増の13,129百万円となりました。

 

(4)営業利益

 当連結会計年度の営業利益は、前年比27.4%増の4,623百万円となりました。

 

(5)親会社の所有者に帰属する当期利益

 当連結会計年度の親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年比38.1%増の2,842百万円となりました。

 

3.キャッシュ・フローの分析

 当連結会計年度において、現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,277百万円増加し、当連結会計年度末の残高は7,389百万円となりました。

 当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、営業活動により獲得した資金は前年より791百万円増加し、4,342百万円となりました。これは主として、営業債権及びその他の債権の増減が前年に比べ891百万円増加、法人所得税の支払額が前年に比べ708百万円増加したことにより資金が減少した一方で、税引前当期利益が前年に比べ1,065百万円増加、その他が前年に比べ1,275百万円増加したことにより資金が増加したこと等によるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、投資活動により獲得した資金は286百万円となりました(前年は269百万円の使用)。これは主として、前年に発生した事業譲渡による収入が無かったこと、敷金及び保証金の返還による収入が827百万円減少したことにより資金が減少した一方で、無形資産の取得による支出が365百万円減少、投資有価証券の売却による収入が987百万円増加、資産除去債務の履行による支出が377百万円減少したことにより資金が増加したこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 当連結会計年度において、財務活動により使用した資金は前年より1,268百万円増加し、3,353百万円となりました。これは主として、借入金の純増減額が前年に比べ1,507百万円増加したことにより資金が増加した一方で、非支配持分からの払込による収入が996百万円減少、自己株式の取得による支出が1,328百万円増加したことにより資金が減少したこと等によるものです。

 

(資本の財源及び資金の流動性)

 当社グループは、事業に必要な資金を安定的に確保することを基本方針としております。

 当社グループの資金需要は、人件費等の運転資金のほか、ソフトウエア開発費用、M&A費用等の事業投資資金があります。これらの資金需要に対して、自己資本又は金融機関からの借入による資金調達にて対応していくこととしております。

 

財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

 

1.財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

 当社グループの財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「経営成績等の状況の概要 1.業績」、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 1.財政状態の分析」、及び「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 2.経営成績の分析」に記載しております。

 

2.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容

 当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析・検討内容については、「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 3.キャッシュ・フローの分析」に記載しております。

 

3.資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 当社グループの運転資金需要のうち主なものは、売上原価の主な構成要素であります人件費、ソフトウエア開発費等の外注費、及び有利子負債の返済及び利息の支払い等があります。また、株主還元については、財務の健全性等に留意しつつ、配当政策に基づき実施してまいります。

 当連結会計年度末における借入金及びリース負債を含む有利子負債の残高は11,098百万円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は7,389百万円となっております。なお、安定的な運転資金の調達方法として、金融機関との間で当座貸越契約を締結しており、当連結会計年度末における当該契約の借入未実行残高は4,300百万円となっております。

 今後の動きについては引き続き注視しつつ、財政状態へ重大な影響を与える可能性のある事象が生じた場合等においては、適時に対応の検討を行ってまいります。

 また、当社グループは、健全な財務体質、継続的な営業活動によるキャッシュ・フロー創出能力により、今後も事業成長を確保する目的で手元流動性を高める資金調達や、個別投資案件への資金調達は可能であると考えております。

 

4.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 当社グループにおける重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断方針」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

 該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

 該当事項はありません。