本書提出日現在における経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものです。
(1)経営方針
① パーパス
<Our Purpose>
テクノロジーと人の力で産業のサステナブルな発展に貢献します
<What We Do>
IT 産業の次世代を創出する
私たちは製品の進化及び人の進化により、各産業が持続可能な形で発展する未来の姿を描き、それを実現する仕組みを構築することにより、持続可能な社会の実現に貢献します。
私たちはDX(デジタルトランスフォーメーション)により顧客の業務プロセスとバリューチェーンを改革し、売上高の拡大や利益率の向上を実現する過程で、資産効率性や、エネルギー効率性等の向上による環境負荷低減や、労働生産性向上による人手不足の解消、ベテランのノウハウ継承などの課題を解決し、産業のサステナブルな発展に貢献します。
私たちは中小企業を中心とした広範なビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」を活用することにより、日本のシステムインテグレーション業界における多重請負構造の弊害(中間マージンによる非経済性)や、IT人材の地域間所得格差の縮小に貢献します。
<Our Values>
Think Big, Act Together.
Think Big
常識や固定観念を取り去って、自由に発想をぶつけよう。
意志を持って進めていけば、世界が求める新しい価値に気づくことができるはず。
Act Together
私たちは、お客様にも社員にもそして多くの関係者にも支えられている。
その理解を日々の行動に結びつけるため、Act Together の精神を貫く。
② 行動指針
当社グループは行動指針として、以下の「CCT WAY」を定めて行動しております。
a. オーナーシップ(あらゆることに当事者意識を持つ)
b. カスタマーズ・ルール(自社の都合ではなく顧客への提供価値を判断基準とする)
c. ロジック×パッション(ロジックと情熱・感情のバランスをとって行動する)
③ 中期経営戦略
当社グループは、主に製造業・建設業向けにDX構想から仕組みの構築、内製化までを一気通貫で支援するDX支援と、大手SIer・コンサルティングファーム・事業会社向けに顧客が必要とする技術を持ったIT人材の調達支援を行っています。
当社グループのDX支援は、DX後の目指す姿(=ToBe)を実現する具体的方法論である「CCT-DX Method」と、AIを活用したToBe実現のためのDX開発基盤である「Orizuru」を活用し、DXコンサルタントとAIエンジニアが顧客企業に伴走して、アジャイル方式(スピーディーかつ段階的に仕組みを構築する方式)でプロジェクトを進めます。
これまで当社グループは、製造業・建設業を中心にDX支援を展開してきましたが、あらゆる産業のさまざまな企業からDX実現のパートナーとして当社グループが選ばれることを目指し、「CCT-DX Method」「Orizuru」の熟成及び機能拡充により、産業領域の拡大を図ります。
また、当社グループの広範なビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」を活用することでシステム開発案件とエンジニアのマッチングを即時かつ効率的に行うことができることは当社グループの強みです。各産業の事業会社、コンサルティングファーム、SIer等、あらゆる業種でシステム開発案件の増加によりITエンジニアの需要が増大している一方、供給は頭打ちで需給ギャップが拡大していること、多重請負構造のためマッチング業務が非効率になっていることから、各社ITエンジニアの調達に時間がかかっています。このような状況下で、「Ohgi」を活用した当社グループのDX支援、IT人材調達支援は共に時代に即したサービスで、競争優位性を生み出しています。今後は、現在東京都が中心となっているパートナーを東京都以外へも広げ、ネットワークの更なる拡大を図ります。
当社グループはこれまでも安定的かつ継続的な事業成長をしてまいりましたが、今後も「Orizuru」の機能拡充等によるDX支援領域の拡大による顧客・案件の増加と、その開発を担うIT人材を「Ohgi」に引き込み、案件と人材の両方を継続的に拡大させることで、顧客企業のDXを通じた産業の競争力強化に貢献します。
(2)経営環境
当社グループがサービスを提供しているDXの国内市場規模(投資金額)は今後急速に拡大し、2022年の3.4兆円から2030年には8.0兆円になると予測されています(富士キメラ総研「2024デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」)。また、IT産業における外部委託(BPO)市場規模は、2022年時点で2.7兆円程度であり、2027年には3.2兆円程度に拡大することが予測されています(矢野経済研究所「BPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)市場の実態と展望」)。
このように、DX投資の急速な増加、IT人材需給ギャップの拡大が予測されている中、広範なビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」を活用したIT人材調達力をベースに顧客企業のDX支援を手掛ける当社グループにとって、事業環境は良好だと考えております。
当社グループが得意とする製造業・建設業向けDX支援においては国内外大手SIer等と競合しておりますが、ものづくりの現場に関する知見、コンサルティング力、AI・IoT等のIT技術力等を活かし、顧客企業のノウハウを継承する形で企画から設計開発、生産・施工・出荷まで一貫したデジタルデータ(図面、3Dモデル)でDXを実現する当社グループのポジショニングや、技術移管を含めた顧客企業によるDX内製化や内製化後のIT人材調達までを支援する当社グループの方針により差別化が図れるものと考えております。また、大手SIer等は当社グループのIT人材調達支援における顧客(当社グループは大手SIerから2次請として受注)でもあるため、競合ではなく協業を目指し、協力しながら顧客企業のDXを推進していきたいと考えております。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
当社グループは、顧客企業に付加価値の高いサービスを提供し続けることにより、事業の継続的な拡大と企業価値の向上を図ることが重要だと認識しており、事業の成長性を表す売上高成長率と、収益力を表す売上高営業利益率を重要な経営指標と考えております。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
① 成長戦略の実行
当社グループは、これまで安定的かつ継続的な事業成長をしてきましたが、パーパス実現のためには、顧客企業がDXを実現・内製化するために「再現性のあるDX方法論とDX開発基盤」を提供すること、及び今後益々高まるIT人材需要に応えるために「Ohgi」ネットワークを拡大することが重要だと考えております。
DX支援においては、アウトバウンド営業を開始することで主に新規顧客の拡大を図り、また、物流業の案件の大型化に注力します。さらに、クラウドソリューションにおけるプロダクトを拡大することで、事業の新たな柱に成長させたいと考えております。製造業・建設業向けのDX開発基盤である「Orizuru」については、物流・倉庫等、その他BtoB企業へと産業分野を拡張するための機能追加と業務領域を拡張するための機能追加を行い、DX支援領域の拡大を図ってまいります。
IT人材調達支援においては、IT人材調達ニーズのある顧客企業の新規開拓、及び首都圏に加え地方のビジネスパートナー企業数を拡大するためのアウトバウンド開拓を行ってまいります。こうした成長戦略を着実に実行することにより、DX案件とそれを担うIT人材の両方を拡大する好循環を形成し、安定的な高成長を持続していく方針です。
また、事業拡大のためのリソース確保、業界知見・顧客の獲得、及び「Orizuru」機能拡張の時間短縮を目的として、地方の中小IT企業・ベンチャー企業やDX支援産業領域の拡大と合致する領域に強みを持つIT企業とのM&A及び提携を積極的に進めてまいります。
② IT人材の確保と育成
当社グループは、あるべき姿の策定から技術検証、システム構築、保守・運用から内製化支援まで、顧客企業のDX実現を一気通貫で伴走支援しておりますが、一連のプロセスの実行において、コンサルタント、AIエンジニア、アーキテクト、プログラマー、プロジェクトマネージャー等の様々なIT人材が必要となります。
当社グループは「Ohgi」によるIT人材調達力を活用し、必要な時に必要なスペックのIT人材を調達しプロジェクトを推進することが可能ですが、経営ビジョンを実現し、継続的に事業を拡大していくためには、中核的な技術やノウハウを社内に蓄積していく必要があり、コア人材となる社員の積極的な採用・定着・育成が重要だと考えております。
当社グループは魅力的な案件の獲得、比較的自由な開発体制や勤務体系、給与水準の向上や福利厚生の充実、公平・透明な人事評価制度、社内勉強会の開催・セミナー参加によるスキルアップ支援等により、優秀なIT人材の採用・定着・育成に注力しておりますが、今後も採用マーケットにおける他社との競合状況を勘案し、改善していく方針です。
③ 開発体制・プロジェクト採算管理の強化
当社グループは業容拡大に伴い、大規模案件の受注も増えてきているため、不採算・赤字案件が極力発生しないように、開発体制及び受注後のプロジェクト採算管理の強化が課題だと認識しております。当社グループは大規模案件にも対応できる体制構築のために、新卒・経験者いずれについても積極的な採用活動を行っており、今後も継続していく予定です。また、当社グループの特徴である広範なビジネスパートナーネットワークによるIT人材調達力を活用し、必要な時に必要なスペックのIT人材を調達し開発体制を組むことが可能です。今後もネットワークの拡充を図ってまいります。
プロジェクト採算管理について、当社グループはリスク低減のために案件を細分化し、準委任契約にて受注するように努めております。また工数の予実乖離が生じないように、顧客とのコミュニケーション、緻密な要員管理、進捗管理、予実管理、品質管理を行っており、内部監査においても監査項目として確認しております。今後につきましても、プロジェクト採算管理を徹底していくとともに、プロジェクトマネージャーの育成、当社グループが得意とするアジャイル開発のノウハウを集約し全社共有することによる効率的かつ高品質な開発を実施していくことにより、収益力を高めていく方針です。
④ 販路の多様化・拡大
当社グループは既存顧客からのリピート受注が比較的安定している一方、事業の継続的な拡大と企業価値向上のためには、新規顧客の開拓力が課題だと認識しております。広報活動による当社グループの認知度・ブランド力の向上、Webマーケティングやウェビナー開催によるリード拡大に注力するとともに、SalesforceやSAP等の他社製品・サービスとの相互補完やカスタマイズ案件等のリレーションシップセールス活動の拡大を図っていくことにより、販路の多様化・拡大を図っていく方針です。
⑤ 経営管理体制の強化
当社グループは成長段階にありここ数年で組織が急速に拡大しておりますが、事業の継続的な成長には業務運営の効率化やリスク管理のための十分な内部管理体制の整備、マネジメント人材の拡充が重要だと考えております。このため、業務効率化のための社内基幹システムのリプレイスやバックオフィス業務の整備などを行ってまいります。また、組織の拡大ペースに合わせる形でマネジメント人材の採用や育成、教育研修等を実施していく方針です。
⑥ コーポレート・ガバナンス体制の強化
当社グループは、持続的な成長及び中長期的な企業価値の向上を目指し、併せて社会に貢献するサービスを提供することで、あらゆるステークホルダーから信頼を得ることが重要であると認識しております。かかる認識に基づき、当社グループではコンプライアンスの徹底を図るとともに、経営の公正性及び透明性を確保するための内部監査の強化、監査等委員会、指名・報酬委員会を設置し、コーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでまいります。
⑦ 持続可能な社会の実現への取り組み
当社グループは、事業活動を通じて、顧客の売上高の拡大や利益率の向上を実現するとともに、労働生産性向上による人手不足の解消、ベテランのノウハウ仕組化など、多くの社会課題の解決に貢献し、持続可能な社会の実現へ取り組んでいます。代表取締役社長CEOを委員長とする「サステナビリティ委員会」を設置し、より一層サステナビリティに関する取り組みを推進することで、持続可能な社会作りへ貢献してまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取り組みは、次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末時点において当社グループが判断したものです。
(1)サステナビリティ共通
① ガバナンス
当社グループは、サステナビリティに関する取り組みを推進し、事業活動を通じて持続可能な社会作りへ貢献することを目的に、代表取締役社長CEOを委員長とするサステナビリティ委員会を設置しております。サステナビリティ委員会は、取締役会からの委任を受けて、サステナビリティに関する取り組みについて検討・実施し、その内容を取締役会に報告しております。
② 戦略
当社グループは、2023年7月に、持続可能な社会の実現と企業価値の向上に向け、サステナビリティ基本方針を策定するとともに、マテリアリティ(重要課題)を特定いたしました。当社グループでは、事業活動そのものが産業のサステナブルな発展に貢献すると考えており、パーパスである「テクノロジーと人の力で産業のサステナブルな発展に貢献します」をサステナビリティ基本方針としています。策定したサステナビリティ基本方針を実現すべく、以下のマテリアリティに対して取り組みを推進してまいります。
・「顧客のDXを通じたサステナビリティの実現」
・「未来を創るIT人材の創出」
・「地球環境保全への率先行動」
・「一人一人が活躍できる組織」
・「レジリエントな事業基盤」
③ リスク管理
当社グループでは、リスクの把握と適切な対応により損失の最小化を図るために、「リスク管理規程」を定め、代表取締役社長CEOをリスク管理最高責任者とし、常勤役員及び各部門の責任者からなるリスク管理委員会を四半期ごとに開催し、内部統制の体制整備・運営の推進を図っております。リスク管理委員会は、下記の気候変動や人的資本・多様性等のサステナビリティに関するリスクを含めたリスク全般について把握し対応策を検討する場と位置付けており、想定されるリスクの特定、評価を行い、リスク低減のための体制整備・対策実行を推進しております。
(2)気候変動
① ガバナンス
当社グループは、気候変動への対応を経営における重要課題の一つと位置づけており、サステナビリティ委員会が主体となり、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が推奨する取り組みを推進しております。サステナビリティ委員会は気候変動を含むサステナビリティ課題に関する方針立案と進捗管理を行い、重要な事項については取締役会に報告され、審議を行っております。
② 戦略
当社グループは、気候変動によるリスク及び機会を認識し、現在の対策を検証することで、将来の事業戦略へと活かすことを目的に、シナリオ分析を実施しました。分析の初年度となる2022年は、TCFDのフレームワークに沿い、気候変動に伴う移行リスクと物理的リスクを定性的に分析し、それぞれの影響度を大・中・小の3段階で評価しました。分析においては、IEAやIPCCなどの情報を参考にし+1.5~2℃及び+4℃のシナリオを採用しました。気温上昇が4℃程度となるシナリオでは、現状の政策が延長されることで規制などの移行リスクの影響は小さいものの、自然災害の悪化が進行し、異常気象などの物理的リスクが高まると推測しています。気温上昇が1.5~2℃となる世界では、GHG排出規制など気候関連の政策が強化されることで移行リスクの影響が大きくなるものの、その効果として+4℃と比較して物理的リスクは限定的になると推測しています。
当社グループは、異なる気象条件・社会環境における事業活動を検討することで、さまざまな環境下においても持続的な経営を可能にすることを目指しています。
③ 指標及び目標
当社グループは、Scope1、2の温室効果ガス排出量を把握し、削減に取り組んでおり、2024年における、Scope1、2の排出量削減目標の設定を予定しています。また、当社グループの事業活動ではScope3の温室効果ガスの割合が非常に大きいと想定しており、排出量の把握に取り組んでおります。
(3)人的資本・多様性
① ガバナンス
当社グループは、人的資本に関する対応を経営における重要課題の一つと位置づけており、代表取締役社長CEOが主体となり、取り組みを実施しております。サステナビリティ委員会は人的資本に関する方針立案と進捗管理を行い、重要な事項については取締役会に報告され、審議を行っております。
② 戦略
当社グループでは、持続的な成長のためには、当社の理念に共感し高い意欲を持った優秀な人材の採用及び確保、並びにその育成は非常に重要であると認識しています。そのため、働きやすく、かつ多様な働き方を可能とするような制度の整備や、福利厚生の充実を行っております。また、自己成長と当社グループへの貢献が相互にリンクすることを実感することで、高いモチベーションを持って自律的に働くことができるよう、社内教育制度の充実を推進しております。
a 人材の採用と教育・評価の方針
2024年1月より、人事部を新設し採用活動の強化を目指しています。
新卒採用者については、入社後4月から6月までの3ヵ月間、新人社員研修を実施しております。独自カリキュラムを通じて、実践的な基礎力を身に付けることで、研修終了時には未経験者でもエンジニアとしてのスタートラインに立てることを目標としています。
若手・中堅社員については、行動指針「CCT WAY」の研修を実施しております。半期に一度、ビジネス論理思考やライティング&プレゼンテーションなど、テーマが異なる全5回の研修を開催しています。本研修を通じて、「CCT WAY」を体現するためのベーススキルを磨くとともに、社会人としての視座の向上も目指しています。
技術力の自発的な学びの場として、部門単位でのワーキンググループの取り組みを実施しています。
人事制度は、「プロフェッショナル意識の醸成」、「成果による評価」、「賃金体系の透明性」、「評価制度の随時見直し(公平性担保の努力)」の4項目で構成しています。成果に対して適切な評価を反映できるよう、年に2回の評価及び給与改定を行っています。
b 社内環境整備の方針
時間・場所にとらわれない働き方によるワークライフバランスの実現を目指しています。
心身の健康の維持・増進と生産性向上のための健康経営への取り組みや、エンゲージメント・サーベイの導入を進めています。
<女性活躍推進>
女性の職業生活における活躍の推進に関する法律に基づく一般事業主行動計画を策定し、女性の積極採用を進めています。また、次世代育成支援対策推進法に基づく子育てサポート企業認定(愛称:くるみん)の取得を目指しています。
<外国籍・障がい者雇用の促進>
在留資格の取得、変更、更新の支援、英語でコミュニケーション可能なプロジェクトへの配属、来日直後の居住先の紹介など、日本で安心して就業できるよう支援を行っています。また、積極的に障がい者採用を行っており、採用時は、希望勤務地、職種、スキル、配慮事項を確認し、適切な部門へ配属します。入社後は、定期的に本人と配属部門にヒアリングしケアをすることで、安心して就業できるよう努めています。
<人権>
当社グループは、持続的な成長を実現していくため、ステークホルダーの基本的人権を尊重し、性別・年齢・国籍・人種・宗教・障がい・その他の差異に基づく差別及びハラスメント行為を許しません。また、児童労働、強制労働及び不当な低賃金労働を容認しません。外部の弁護士と連携し、人権尊重の取り組みを推進します。
③ 指標及び目標
当社グループでは、上記「② 戦略」において記載した、人材の採用と教育・評価の方針及び社内環境整備の方針について、当社においては、関連する指標のデータ管理とともに具体的な取り組みは行われているものの、当社グループに属する全ての会社では行われていないため、当社グループにおける記載が困難です。次の指標に関する目標及び実績は、当社グループにおける主要な事業を営む提出会社のものを記載しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。
また、必ずしもリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に開示しております。
なお、文中の将来に関する事項は提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生の可能性があるすべてのリスクを網羅するものではありません。
国内IT市場は2000年以降、着実に成長を遂げており、今後も各産業においてデジタル化の流れが加速している中で継続的な成長が見込まれておりますが、国内外の経済情勢や景気動向が変化し、企業がIT投資額を大幅に縮小した場合、あるいは予期せぬ事態等により市場成長率の鈍化又は市場規模が縮小する事態となった場合には、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
一方、企業が競争力を維持・強化するためのDXはあらゆる産業において喫緊の課題となっており、仮にIT投資額全体が減少する場合においても、当社グループがターゲットとするDX市場が大幅に縮小する可能性は低いと考えております。また、当社グループは大手SIerからの2次請け受注についても積極的に対応し、複数の産業領域の案件を受注することでリスク分散を図っていること、外注の積極活用により財務レジリエンスを保持していることから、外部環境の変化に柔軟に対応できる体制を構築していると考えております。
② 競合について
当社グループはこれまで製造業・建設業のDX支援を中心に事業展開をしてきており、大手SIer等と競合しております。当社グループの競争力が低下した場合には、受注が減少し、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
一方、上流のDX構想から、技術検証、システム開発、運用保守までを一気通貫で提供できることや、当社グループのDX支援の特徴である「内製化支援」および「内製化後のIT人材調達支援」は競合との差別化要因であり、また製造業・建設業のDXについては「ものづくりに関する知見」において優位性があると考えており、資金力・ブランド力に勝る競合事業者と比較しても、短期的に当社グループの競争力が急低下する可能性は低いと考えております。
今後につきましても、これまでの経験・実績・ノウハウ・人材等を強みとして、DX開発基盤である「Orizuru」の機能強化・拡張を図り、製造業・建設業はもちろん、物流業をはじめとしたその他の産業についても競争力を高めていきたいと考えております。
③ 法的規制について
当社グループが準委任契約に基づく受任者として当該契約先の企業から業務を受託し、その業務を外部協力企業に再委託する場合には、「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)」、「下請代金支払遅延等防止法」、その他の関係法令に従っております。また、派遣契約の場合には、労働者派遣法に基づき、厚生労働大臣の許可を受けております。
準委任契約の場合に偽装請負と見做されるリスクや派遣の許可が取り消されるリスクを負っているため、当社グループでは、リスク管理委員会の設置、コンプライアンス研修の実施、ITエンジニアとの定期的な面談、取引先との適切な契約締結、取引先との密接なコミュニケーション、内部監査や監査等委員監査によるチェック等の体制強化を図り法令違反を未然に防ぐよう努めておりますが、法令等違反行為が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 技術革新等について
IT業界では、技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に速く、それに伴い、常に新しい技術やサービスが生み出されております。当社グループのDX支援事業においては技術力が競争力の源泉であるため、技術革新への対応が遅れることは当社グループにとって重大なリスクになると考えております。従いまして、技術革新に迅速に対応できるよう、先端のAI技術と当社グループ技術を組み合わせることや、常に市場動向を注視し技術革新への対応を講じることにより、今後も競争力のあるサービスを提供できるように取り組んでおります。また優秀なITエンジニアの確保や社内勉強会の開催等による社員のスキルアップにも注力しております。
しかしながら、予想以上の急速な技術革新や代替技術・汎用的な競合商品の出現等により、当社グループのサービスが十分な競争力や付加価値を確保できない場合には、新規受注の減少や既存顧客の離反を招来し、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 不採算プロジェクトについて
システムの受託開発においては、各プロジェクトにおいて想定される難易度及び工数に基づき見積もりを作成し、適正な利益率を確保したうえでプロジェクトを受注しております。当社グループは、リスク低減のために案件を細分化して受注(契約期間1カ月~3カ月が大半)するよう努めており、また工数の予実乖離が生じないよう、顧客との密接なコミュニケーション、緻密な要員管理、進捗管理、予実管理、品質管理等を行っておりますが、請負契約の案件で予期せぬ不具合の発生等により工数が大幅に増加した場合や、顧客による検収時に契約不適合に該当し大幅な改修依頼が生じる場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 売上計上時期の期ずれについて
システムの受託開発において、受注後の仕様変更等により納入時期が変更となり、売上・利益の計上時期がずれる場合があります。また、当社グループは、一定の要件を満たすシステムの受託開発においてインプット法による収益認識を適用しており、見積総原価に対する発生原価の割合をもって売上高を計上しております。開発の進捗状況は月次でモニタリングしておりますが、計画どおりに進捗せず、見積総原価の見直しが必要になった場合には、売上・利益の計上時期にずれが生じます。期ずれの金額の大きさによっては、短期的には四半期又は通期の業績に影響を及ぼす可能性がありますが、中期的には影響がないものと考えております。
⑦ 取引先の信用リスクについて
当社グループは、新規取引を開始する際の与信管理の徹底及び取引期間中のモニタリング実施により、債権回収リスクを低減するよう努めておりますが、顧客の収益及び財政状態の急激な悪化等により、売上債権の回収が遅延または回収不能になる可能性があり、金額が大きい場合には当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。産業分野や事業領域のポートフォリオ分散に注力していくことにより、信用リスクの分散を図っていきたいと考えております。
⑧ 新規事業、アライアンス、M&A、海外進出について
当社グループは、高い成長性を維持するために、将来的に新しいサービスの展開やアライアンス、M&A、海外展開を図る可能性があります。これらを実行するにあたっては、緻密な市場調査、競合分析、マーケティング、リスク分析、投資対効果等を慎重かつ多角的に検討した上で意思決定を行いますが、基本的前提条件が大幅に変動する場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
(2) 事業体制に関するリスク
当社の代表取締役社長CEOである金子武史は、当社グループの経営方針や事業戦略の立案・決定及びその遂行において重要な役割を果たしております。当社グループでは、経営者に過度に依存しない経営体制の構築を進めておりますが、何らかの理由により金子が当社グループの業務を継続することが困難となった場合、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② IT人材の確保と育成について
当社グループは、あるべき姿の策定から技術検証、システム構築、保守・運用から内製化支援まで、顧客企業のDX実現を一気通貫で伴走支援しておりますが、一連のプロセスの実行において、コンサルタント、AIエンジニア、アーキテクト、プログラマー、プロジェクトマネージャー等の様々なIT人材が必要となります。
当社グループは広範なビジネスパートナーネットワークによるIT人材調達力を活用し、必要な時に必要なスペックのIT人材を調達しプロジェクトを推進することが可能ですが、「お客様の真なるデジタル化(DX)を支援/推進し、来るAI時代の企業競争力を実現するために、価値ある役割を果たしていきます(Right AI, Right DX.)」という経営ビジョンを実現し、継続的に事業を拡大していくためには、中核的な技術やノウハウを社内に蓄積していく必要があり、コア人材となる社員の積極的な採用・定着・育成が重要だと考えております。
当社グループは魅力的な案件の獲得、比較的自由な開発体制や勤務体系、給与水準の向上や福利厚生の充実、公平・透明な人事評価制度、社内勉強会の開催・セミナー参加によるスキルアップ支援等により、優秀なIT人材の採用・定着・育成に注力しておりますが、今後も採用マーケットにおける他社との競合状況を勘案し、改善していく方針です。しかしながら、これらの施策が奏功しない場合、または市場における慢性的なITエンジニア不足により当社グループの想定どおりにIT人材を確保できない場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
③ 外注依存度について
当社グループは「Ohgi」を積極的に活用して、ビジネスパートナーと協働体制で開発に当たっています。そのため、売上高に占める外注費の比率は約6割と比較的高水準となっておりますが、これは事業拡大のためのレバレッジの観点、レジリエンス(不況時に外注分を社員に置き換えることができる)の観点、特殊なスキルの活用の観点から、外注を有効活用しているためです。「Ohgi」は中小IT会社とそこに所属する約13万人(2023年12月時点)にも及ぶITエンジニアのネットワークであり、特定の外注先に大きく依存している状況はございません。
現在「Ohgi」は東京都内が大半ですが、今後は首都圏、大阪、福岡等へとビジネスパートナーネットワークを拡大していく方針であり、またパートナーに対し当社グループが顧客から受注した良質な案件をご紹介することにより、当社グループとの取引関係・信頼関係を強化していく方針です。
しかしながら、当社グループの想定どおりにビジネスパートナーを確保できない場合、また外注単価が上昇した場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
④ 内部管理体制について
当社グループの継続的な成長のためには、コーポレート・ガバナンスが適切に機能することが必要不可欠であると認識しており、業務の適正性及び財務報告の信頼性の確保、法令・規程の遵守を徹底しております。具体的には、業務効率化のための社内基幹システムのリプレイスやバックオフィス業務の整備、経営の公正性及び透明性を確保するための内部監査の強化、監査等委員監査や任意の指名・報酬委員会の設置によるコーポレート・ガバナンスの充実等を実施しております。また、組織の拡大ペースに合わせる形でマネジメント人材の採用や育成、教育研修等を実施していく方針です。
しかしながら、今後の事業の急速な拡大等により、十分な内部管理体制の整備に遅れが生じた場合には、適切な業務運営を行うことができず、当社グループの業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 個人情報の保護について
当社グループでは、メールアドレスをはじめとし、利用者本人を識別することができる個人情報を保有しており、「個人情報の保護に関する法律」の適用を受けております。これらの個人情報については、個人情報保護方針に基づき適切に管理するとともに、個人情報取扱規程を定めており、社内教育の徹底と管理体制の構築を行っております。また、社内管理体制をより強固にすることを目的にプライバシーマークを取得しております。
しかしながら、何らかの理由でこれらの個人情報が外部に漏洩する事態が発生した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ 機密情報の管理について
当社グループでは、顧客企業のシステム開発を手掛けているため、顧客側で保有している機密情報に触れる場合があります。情報の取り扱いについては、情報セキュリティ管理規程、個人情報取扱規程等を整備し、定期的に社内研修を実施することにより周知徹底を図り、適切な運用を義務づけております。
しかしながら、このような対策にも関わらず当社グループの人的オペレーションのミス、その他予期せぬ要因等により情報漏洩が発生した場合には、当社グループが損害賠償責任等を負う可能性や顧客からの信用を失うことにより取引関係が悪化する可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 知的財産権の管理について
当社グループは、事業競争力の優位性を確保するため、必要に応じて差別化技術あるいはノウハウ等の知的財産権の保護に努めております。また当社グループは、第三者の知的財産権の侵害を防ぐ体制として、特許情報提供会社と契約を締結し、知的財産権検索システムを活用するとともに、必要に応じて特許事務所に調査を依頼するなど、当社グループサービスが他社の知的財産を侵害しないよう対応しております。
しかしながら、当社グループの事業領域に関する第三者の知的財産権の完全な把握は困難であり、当社グループが認識せずに他社の特許を侵害してしまう可能性は否定できません。この場合、ロイヤリティの支払や使用差止請求、損害賠償請求等により、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また当社グループが保有する知的財産権について、第三者により侵害される可能性があります。こうした場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ 固定資産の減損等について
当社グループは、建物附属設備、備品等を有形固定資産に計上しており、また、自社サービスの開発費用のうち、将来の収益獲得又は費用削減が確実であると認められた開発費用をソフトウエア(ソフトウエア仮勘定含む)として無形固定資産に計上しております。これらの固定資産については、固定資産の減損に係る会計基準に基づき減損可否について判断しておりますが、特に無形固定資産について市場や競合状況の急激な変化などにより、今後利用が見込めなくなった場合や、収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、除却あるいは減損の対象となる可能性があり、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) その他
① 配当政策について
当社グループは、株主還元を適切に行っていくことが重要であると認識しており、剰余金の配当については、内部留保とのバランスを考慮して適切に実施していくことを基本方針としております。しかしながら、現時点では事業が成長段階にあることから、内部留保の充実を図り、将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資等に充当し、なお一層の事業拡大を目指すことが、株主に対する最大の利益還元につながると考えており、配当を行っておりません。将来的には、各期の経営成績及び財政状態を勘案しながら株主に対して利益還元を実施していく方針ではありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定です。
② 新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
当社グループは、当社グループ役職員に対し、長期的な企業価値向上に対するインセンティブを目的とし、ストック・オプション及びストック・オプションに準ずる時価発行型新株予約権を発行しております。これらの新株予約権が権利行使された場合には、保有株式の価値が希薄化する可能性があります。
③ システム障害について
当社グループは、事業及び社内管理の基盤をインターネット通信網に依存しており、過剰アクセスによるサーバーダウンや通信ネットワーク機器の故障及び自然災害や火災・事故等によるシステム障害を回避すべく、サーバーの負荷分散や稼働状況の監視等の未然防止・回避策を実施しております。しかしながら、各サーバーやシステムにおいて災害、コンピューターウィルスやハッキングなどの外的攻撃やソフトウエアの不具合、その他予測できない重大な事象が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④ 自然災害・事故等のリスクについて
当社グループは、大地震、台風等の自然災害及び事故、火災等が発生した場合を想定してBCPを策定しており、適切かつ速やかに危機対策、復旧対応を行うよう努めております。また、当社グループは基本的に、事業拠点ではなくクラウド上にサーバーを設置し定期的なバックアップを行っていること、役職員、外注先である開発支援パートナー企業やフリーランスのエンジニアがフルリモートで勤務可能な体制を構築していることから、大規模災害時でも業務が停止する可能性は低いと考えております。
しかしながら、首都圏全体においてインターネットが遮断されるレベルの大規模災害が発生した場合には、当社グループの事業及び業績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
⑤ パンデミックのリスクについて
パンデミックの発生によって、国内外の経済情勢や景気動向が大幅に悪化し、企業がIT投資額を大幅に縮小した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。一方でパンデミックにより人々の行動様式が変化する際にはIT化が急速に進むという当社グループの業績にプラスの影響を与える可能性もあります。
また、当社グループでは事業拠点ではなくクラウド上にサーバーを設置し定期的なバックアップを行っていること、役職員、外注先であるビジネスパートナー企業のエンジニアがフルリモートで勤務可能な体制を構築していることから、パンデミックが発生した場合に業務が停止する可能性は低いと考えております。
⑥ 訴訟のリスクについて
当社グループは、本書提出日現在において、損害賠償を請求されている事実や訴訟を提起されている事実はありません。また、当社グループは取引の契約締結に際して、プロジェクト内容についてのすり合わせを十分に行った上で法務担当による事前の契約条文の審査を行い、トラブルの未然防止に取り組んでおります。
しかしながら、当社グループが開発したシステムの不備や顧客の機密情報の漏洩等の予期せぬトラブルが発生した場合、取引先や従業員と当社グループとの間で何かしらの紛争等が発生した場合、第三者の知的財産権を侵害した場合等には、これらに起因して損害賠償の請求や訴訟を提起される可能性があります。その場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦ 風評や評判について
当社グループの風評や評判は、取引先、投資家、従業員及びその家族、監督官庁等のステークホルダーとの信頼関係を良好に築くために非常に重要です。当社グループは顧客企業及び外注先であるビジネスパートナー企業に丁寧に対応し信頼関係の構築に努めており、従業員が働きやすい環境の整備を行っております。また今後は、当社グループに対する理解を深めていただくように、適時適切な開示を行っていく方針です。
しかしながら、予期せぬ事態が発生した際に適切な対処が行えなかった場合はステークホルダーからの信頼を損なうことになり、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧ ウクライナ情勢について
当社グループはロシア・ウクライナに拠点を有しておらず、また同地域向けの事業も手掛けておりません。当社グループの主要顧客においても同地域関連事業が大きな比重を占めている状況にはないものと認識しております。従いまして、現時点でウクライナ情勢が当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性は低いと考えております。
当社グループは、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しておりますが、参考として、当連結会計年度の連結経営成績と前事業年度の個別経営成績の比較及び当連結会計年度末の連結財政状態と前事業年度末の個別財政状態の比較情報を記載しております。
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりです。
当連結会計年度におけるわが国の経済は、コロナ禍明け後の経済活動の正常化による需要回復や、雇用情勢の改善、賃上げが進み、景気は緩やかに回復しています。一方でロシア・ウクライナ情勢の長期化による資源・エネルギーの供給抑制に伴う急速な物価の上昇や、世界的な金融引き締めを背景とした景気後退懸念等、景気の先行きについては依然として不透明な状況が継続しております。
このような経済環境の中、当社グループが属する情報サービス業界においては、中長期的にシステムインテグレーション(SI)市場規模に緩やかな拡大が見込まれ、その中でも当社グループがサービスを提供しているデジタルトランスフォーメーション(DX)市場が占める割合は拡大が見込まれます。当社グループが注力する製造業・建設業・物流業では人手不足への対策、ベテランノウハウの継承、脱炭素への取組みが重要な経営課題となっており、これまでの一部の業務のデジタル化に留まらず、大企業を中心に全社横断的なDX投資が加速し、市場の拡大をけん引しています。
また、DXの市場規模拡大に伴い、IT産業における外部委託(BPO)市場規模も拡大しています。他方で、DXを推進するためのITエンジニアは不足しており、人材の需給は逼迫している状況です。
このような市場環境に対して、当社グループでは広範なビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」を有しており、顧客のIT人材の需要に対して迅速に適切な人材を見つけられる体制を築いております。中小IT企業とそこに所属する従業員のデータベースである「Ohgi」は、顧客の人材ニーズに応えられるよう現在もネットワークを拡大中です。また、「Ohgi」を活用してプロジェクト体制を組むことで従業員数以上のDX案件受注が可能になり、この点も当社グループの強みとなっています。
このような状況のもと、当社グループの経営状況は、DX支援については、支援実績の増加等により製造業・建設業を中心としたDXを手掛ける会社としての評価は徐々に高まり、新規案件の引き合いは増加傾向にあります。既存顧客のフォロー及び新規顧客の獲得に注力した結果、売上高は7,606,451千円(前年同期比28.1%増)となりました。
IT人材調達支援については、既存大手SIerとの着実な取引拡大と新規顧客開拓に引き続き注力しております。営業人員を増員し継続的に体制強化を図っていることで受注は順調に増加しており、ビジネスパートナーネットワーク「Ohgi」の拡大により供給力も増加傾向にあります。なお、当連結会計年度において新たに株式会社ピージーシステム及び株式会社電創を完全子会社化し連結しております。その結果、売上高は8,314,848千円(前年同期比34.7%増)となりました。
当連結会計年度の経営成績は、売上高15,921,300千円(前年同期比31.4%増)、営業利益1,744,420千円(前年同期比55.6%増)、経常利益1,765,217千円(前年同期比54.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益1,303,214千円(前年同期比55.7%増)となりました。
なお、当社グループはDX関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載はしておりません。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前事業年度と比べ3,808,097千円増加し、15,921,300千円(前年同期比31.4%増)となりました。DX支援においては、製造業・建設業への支援実績の増加等によりDXにおける当社の認知度も高まり、新規顧客への拡販や、既存顧客との継続的な取引拡大により売上高は7,606,451千円(前年同期比28.1%増)となりました。IT人材調達支援においては、引続き大手SIerとの継続的な取引拡大と新規顧客開拓に注力し、営業人員の増員や外注先パートナーの拡大を図ったことにより売上高は8,314,848千円(前年同期比34.7%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、前事業年度と比べ2,222,628千円増加し、11,605,941千円(同23.7%増)となりました。これは主に売上増加に伴う外注費の増加によるもので、DX支援においては509,130千円(同12.2%増)、IT人材調達支援においては1,713,498千円(同32.9%増)増加しました。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は、DX支援においては2,924,428千円(同65.5%増)、IT人材調達支援においては1,390,930千円(同44.4%増)となり、前事業年度と比べ1,585,469千円増加し、4,315,359千円(同58.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度と比べ962,021千円増加し、2,570,938千円(同59.8%増)となりました。これは主に、新卒・経験者採用による人件費、決算賞与に係る賞与引当金繰入額の増加によるものです。
この結果、当連結会計年度における営業利益は、前事業年度と比べ623,448千円増加し、1,744,420千円(同55.6%増)となり、売上高営業利益率は11.0%(前事業年度末は9.3%)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、主に持分法による投資利益の増加により、前事業年度と比べ16,748千円増加し、49,161千円(同51.7%増)となりました。営業外費用は主に自己株式の取得に伴う費用の発生により、前事業年度と比べ14,455千円増加し、28,364千円(同103.9%増)となりました。
この結果、当連結会計年度における経常利益は、前事業年度と比べ625,740千円増加し、1,765,217千円(同54.9%増)となりました。
(特別損益、法人税等、当期純利益)
当連結会計年度の法人税等は、前事業年度と比べ159,352千円増加し、462,002千円(同52.7%増)となりました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前事業年度と比べ466,388千円増加し、1,303,214千円(同55.7%増)となりました。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は6,111,420千円となり、前事業年度末と比べ997,025千円増加いたしました。これは主に、売上の増加に伴い売掛金及び契約資産が744,663千円、企業結合によるのれんが204,641千円、顧客関連資産が94,206千円、基幹システムのリプレイス費用によるソフトウェア仮勘定が120,312千円増加した一方、関係会社株式の取得等により現金及び預金が379,287千円減少したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は2,902,923千円となり、前事業年度末と比べ634,561千円増加いたしました。これは主に、外注費の増加に伴い買掛金が113,220千円、所得の増加に伴い未払法人税等が191,411千円、定期及び決算賞与に係る賞与引当金が218,950千円増加したことによるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,208,497千円となり、前事業年度末と比べ362,464千円増加いたしました。これは主に、ストック・オプションの行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ28,636千円、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,303,214千円増加した一方、自己株式の取得を999,786千円実施したことによるものです。この結果、自己資本比率は52.5%(前事業年度末は55.6%)となりました。
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べ379,287千円減少し、1,819,899千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、業績が順調に拡大した結果、1,162,674千円(前年同期は883,678千円の収入)となりました。
収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,765,217千円、引当金の増加額212,022千円、仕入債務の増加額92,471千円、支出の主な内訳は、売上債権の増加額666,788千円、契約負債の減少額68,309千円、法人税等の支払額353,951千円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、429,123千円(前年同期は118,549千円の支出)となりました。
支出の主な内訳は、主にPCの購入に伴う有形固定資産の取得による支出68,851千円、オフィスのレイアウト変更に伴う有形固定資産の取得による支出49,889千円、基幹システムのリプレイスに伴う無形固定資産の取得による支出115,390千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出156,068千円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、1,112,838千円(前年同期は92,377千円の増加)となりました。
主な内訳は、ストック・オプション行使に伴う株式発行による収入57,272千円、各金融機関への長期借入金の返済による支出143,087千円、約定に伴う社債の定期償還による支出26,000千円、自己株式の取得による支出999,786千円です。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績は、次のとおりです。
(注) 1.当社グループの事業セグメントは、DX関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載はしておりません。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、当連結会計年度における割合が100分の10以上の相手先がないため、当該記載を省略しております。
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者により会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(インプット法による収益認識)
当社グループは受注制作のソフトウエアに係る収益の計上基準は、一定の金額を超える案件について、将来の発生原価を合理的に見積ってプロジェクト採算管理を実施しており、発生原価と見積総原価との比率で進捗度を見積り、それを契約金額に乗ずることで売上金額を算定しております。ただし、工期がごく短い案件については、顧客の検収を受けた一時点で収益を認識しております。
進捗度の見積りの基礎となる見積総原価は、ソフトウエア開発人員の人件費や外注費等を見積ることによって算定され、見積りの不確実性を伴います。
見積総原価に関して、開発の進捗状況は月次でモニタリングしておりますが、計画どおりに進捗せず、プロジェクトの期間が延長されたり、想定より工数が増加することにより、期中において原価の著しい増加が見込まれる場合には、見積総原価の見直しを行います。また、連結会計年度末では、インプット法により収益を認識している全てのプロジェクトについて、見積総原価の見直しを行います。
見積総原価を見直した場合には、財政状態及び経営成績に重要な影響を及ぼす可能性があります。
「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」及び「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりです。
なお、主な経営指標として売上高成長率及び営業利益率を重視しており、各指標の推移は以下のとおりです。
売上高成長率について、前事業年度は株式上場などによる認知度の向上、大企業における積極的なDX投資により受注が好調であった一方、当連結会計年度は既存顧客との取引を継続的に拡大し、巡航速度での水準となりました。
営業利益率について、外注費率の適正化により売上総利益率が改善し、それに伴い営業利益率は向上しております。
「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループは、事業活動に必要な資金を安定的に確保するため、主として内部資金を活用し、不足分は金融機関からの借入により資金調達を行います。M&A等により多額の資金が必要になる場合には、エクイティファイナンスも検討する方針です。
当社グループの資金需要のうち主なものは、人件費及び外注費、M&Aです。この資金需要に対する主な財源は、営業活動で得られる自己資金と、銀行との当座貸越契約による短期借入金です。
また、当連結会計年度末における手元資金1,819,899千円に加え、取引銀行8行と当座貸越契約を締結して資金調達手段を確保することにより、資金の流動性をコントロールしております。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針について
「第2 事業の状況1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
(2) 業務提携契約
該当事項はありません。