当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営方針
① 企業理念「キッツ宣言」
当社は、ゆたかな地球環境と持続可能な未来を創造することが、社会に対して果たすべき使命であると考えています。そのために、創業以来培ってきた流体制御技術と材料開発をさらに磨き上げ、社会インフラを支え続けてまいります。
② 長期経営ビジョン『Beyond New Heights 2030 「流れ」を変える』
2030年にありたい姿
テクノロジー/ソリューション
・「流す」「止める」「絞る」のあらゆるニーズに、オンリーワンの技術とユーザーの
期待を超える提案力で挑戦し続ける
コアビジネス/成長ビジネス
・情報化社会、サステナブル社会に向けて、コアビジネスの基盤を強化し、同時に
成長ビジネスへの参入を、リスクを恐れず加速させる
事業を通じた環境保全
・環境にやさしい商品・材料の開発や製造プロセスを追求し、持続可能な未来に
貢献することにより、社会から信頼される
多様な人財の活躍
・性別、年齢、国籍、文化等を超えて、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして、
最高のパフォーマンスでいきいきと働いている
③ 行動指針「Do it KITZ Way」
Do it True (誠実・真実)
Do it Now (スピード・タイムリー)
Do it New (創造力・チャレンジ)
(2)経営戦略等
①長期経営ビジョン『Beyond New Heights 2030「流れ」を変える』
1)目指す経営構造と定量目標
2030年に向けて、定量目標としては、平均売上高成長率4%以上・ROE10%以上を目標に、2030年度には連結売上高2,000億円規模、親会社株主に帰属する当期純利益100億円規模を達成する会社を目指します。
その定量目標を達成するために、コア事業を基盤とした成長領域へビジネス領域を拡張させるとともに、成長と投資収益性を重視した両利き経営の経営構造を目指します。
2)ビジネス領域
コア事業と成長分野で収益をあげられる両利きの経営を目指す
○デジタル化・脱炭素化を背景とした成長分野・地域への積極的リソースの投入
○投下資本収益性(ROIC)を重視した事業展開
3)サステナビリティ経営への取り組み
長期経営ビジョンでは、サステナビリティ経営を経営戦略の中核に据えています。2021年12月には、取締役会で決議のうえ、全社サステナビリティ推進委員会(現 サステナビリティ委員会)を設立しました。サステナビリティ経営重点テーマやKPI(重要業績評価指標)をグループ全体で共有し、目標達成に向けた進捗管理を行い、グループ全社員が一丸となって事業を通じた社会課題の解決に取り組むとともに、企業として非財務情報のパフォーマンス向上及び積極的な情報開示に努めてまいります。詳細については、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組」をご参照ください。
4)DXに向けて(Business Transformation by Digitalization)
業務革新活動との連携によるビジネス変革(BX)
□経営ビジョン実現に向け、既存事業の徹底した効率化と経営リソースの可視化・流動化を図り、顧客志向の機動的な組織へと転換することを目指す。
② 第1期中期経営計画2024(2022年度~2024年度)
1)経営基本方針
コア事業と成長分野で収益をあげられる両利きの経営を目指す
○デジタル化・脱炭素化を背景とした成長分野・地域への積極的リソース投入
○投下資本収益性(ROIC)を重視した事業展開
2)定量目標(財務・非財務KPI)
|
|
|
|
(単位:億円) |
|
財務KPI |
2021年度実績 (参考) |
2024年度目標 (2022年2月公表) |
2024年度目標 (見直し後)※ |
|
売上高 |
1,357 |
1,500 |
1,700 |
|
営業利益 |
89 |
120 |
130 |
|
ROE |
6.4% |
8%以上 |
10%以上 |
|
連結配当性向 |
36.2% |
35%前後 |
35%前後 |
※2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(財務)」について2023年2月及び2024年2月に一部見直しを実施しております。
|
非財務KPI※1 |
2021年度実績 (参考) |
2024年度目標 (2022年2月公表) |
2024年度目標 (2024年2月公表) ※3 |
|
|
CO2削減率 (2013年比、国内グループ) |
△28.1% |
△80% |
△90% |
|
|
社員エンゲージメントスコア |
働きがい |
48pt |
56pt |
56pt |
|
働きやすさ |
43pt |
55pt |
55pt |
|
|
女性社員全体比率 |
21.7% |
23% |
23% |
|
|
女性管理職※2比率 |
3.4% |
10% |
10% |
|
|
男性育児休業取得率 |
29.0% |
50% |
80% |
|
※1 CO2削減率を除きキッツ単体
※2 管理職:職能グレードによる経営専門職の社員(2021年度実績は部門長職に就いている社員)
※3 2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(非財務KPI)」について、一部2023年度に前倒しで達成したため、2024年2月に当該目標の引き上げを実施しております。
3)事業別中期経営計画
■事業別中期計画
①バルブ事業
バルブは、配管内の流体(水・空気・石油・ガスなど)を流したり、止めたり、流量をコントロールする機能を持つ「流体制御機器」の総称です。バルブ事業は、水やエネルギーなどの安定供給を支え、安心して暮らせる環境を創造します。当社グループは、あらゆるフィールドに多彩な商品を提供する総合バルブメーカーとして、青銅・黄銅やステンレス鋼、鋳鉄、鋳鋼などの様々な材質や形状のラインナップを有し、私たちの生活空間から産業分野まで、グローバルに製品を提供してまいります。
バルブ事業の中長期ターゲット市場を8つの市場区分に整理し、現行コア事業を基盤に成長分野・新規分野への資源移動を進め、収益構成を変えていきます。
●市場別戦略
<コア市場>
1.建築設備
|
基本方針 事業環境 |
国内の住宅着工戸数は減少傾向も、ASEAN中心に海外市場の成長は継続 先進国では簡易施工のニーズが増加。世界的にはデータセンター需要が急拡大 |
|
主要施策 |
■データセンター市場の需要取り込み ・短納期ニーズへの対応:製品の在庫化など ■簡易施工に対応した接続方式の製品開発 ■配管方法・材質の変化と自動化・スマート化に対応した製品の開発 |
2.石油化学
|
基本方針 事業環境 |
COVID19からの回復に伴い、世界の石油需要は新興国で増加見通し 先進国ではクリーンエネルギーへシフトしつつも、石油化学需要は堅調 |
|
主要施策 |
■クリーンエネルギー化や環境対策などのユーザー動向に追従した製品開発 ■日系を中心としたキーアカウントユーザーに対するサービスとMRO受注率の向上 ■キッツ予兆診断システムの導入率向上 ■グローバル規格や顧客認証への対応 |
3.水処理
|
基本方針 事業環境 |
世界の水インフラ需要は増加も、価格帯と認証制度が参入障壁 半導体需要の高まりにより、純水/超純水プラントへの投資は拡大 |
|
主要施策 |
■純水プラントメーカーや純水装置メーカーに密着したマーケティング活動 ■金属イオンの溶出厳禁対応や樹脂系製品の開発 ■水インフラ分野へのソリューション提供 ・造水装置(ピュアキレイザー、アクアレスキューなど) |
4.機械装置
|
基本方針 事業環境 |
RoHS・REACH対応やグリーン冷媒対応など、高度化する機械装置分野の環境対応ニーズを的確に捉え、新たな顧客価値を提供する |
|
主要施策 |
■機械装置営業部の新設 ■機械装置の小型軽量化と自動化に対応した製品の開発と市場への導入 ■RoHS・REACHなど環境規制への対応製品拡充 ■次世代(グリーン)冷媒への切替え需要の取り込み |
<成長分野・新規分野>
5.半導体装置
|
基本方針 事業環境 |
堅調な半導体市場拡大を背景に、半導体装置向けクリーンバルブの生産能力を拡大するとともに、研究開発体制の整備をすすめる |
|
主要施策 |
■生産能力増強:キッツエスシーティー新田SC工場新棟建設 ■生産DX(自動化・省力化)投資 ■研究開発体制の強化 |
6.半導体材料(フィルター)
|
基本方針 事業環境 |
旺盛な半導体需要を背景に、半導体フォトレジスト用フィルター(ポリフィックス)も堅調な成長を見込む。需要拡大に対応するため、生産能力を拡大する |
|
主要施策 |
■ポリフィックス等工業フィルターの生産能力拡大 ■半導体sub-nano対応次世代膜の開発 ■精密フィルターの他分野(レジスト用以外)への用途開発 |
7.機能性化学
|
基本方針 事業環境 |
主要顧客である化学各社は高付加価値な機能性化学分野に注力 高度化するプロセス要求に対応する製品ラインナップを拡充し、収益拡大を図る |
|
主要施策 |
■高クリーン性・易メンテナンス性の要求に応える製品ラインナップの拡充(ダイヤフラムバルブなど) ■ファインケミカル専属の営業・技術横断組織の組成(キッツエスシーティーとのシナジー追求) ■ファインケミカル/装置・機械メーカー等とのプロセス技術・生産技術ネットワークの構築・強化 |
8.水素・低炭素
|
基本方針 事業環境 |
脱炭素社会に向け、水素エネルギー関連の市場ポテンシャルは急拡大 社会実装が進む水素サプライチェーンへの参入を図り、事業拡大を目指す |
|
主要施策 |
■パッケージユニットによる水素ステーション市場攻略及び小規模な地産地消型グリーン水素エネルギーチェーン事業参入 ■液化水素大型実証プラント(出荷・受入基地、運搬船)、水素航空機市場参入に向けた研究開発(NEDO事業)の遂行 ■水素発電、水素パイプライン等、新たな水素エネルギー需要の攻略 ■海外向けLNG用超低温バルブのラインナップ拡充/販売強化 |
●グループ戦略の骨子
●エリアビジネス戦略
1.北米市場
|
重点ターゲット市場 |
建築設備、石油化学、機能性化学 水処理、半導体装置、水素・低炭素 |
||
|
事業機会 |
産油国アメリカにおける石油・石油化学・ガス市場の拡大 環境規制強化の動き(脱炭素・鉛フリー化など) |
||
|
主要 施策 |
市場 戦略 |
■米国拠点をオイル&ガス向け市場戦略のコントロールタワーへ位置付ける ■化学市場への参入:廉価ボールバルブの開発・上市を狙う |
|
|
|
工業弁 |
■3ピース型トラニオンボール弁やハイパフォーマンスバタフライ弁の拡販 |
|
|
|
汎用弁 |
■コマーシャル弁市場の売上拡大 ・汎用弁市場に対応した代理店網構築 ・鉛フリー弁:地域で要求されている規格を満足した製品を提供 |
|
2.中国市場
|
重点ターゲット市場 |
建築設備、石油化学、半導体装置、機能性化学 水処理、機械装置 |
||
|
事業機会 |
「新基建(新型インフラ)」政策を背景としたデータセンター市場等の拡大 石油産業の政策誘導(化学シフト)に伴うエチレン等生産能力の拡大 政策的な半導体国産化による市場の拡大 |
||
|
主要 施策 |
建築設備 石油化学 機能性化学 |
汎用弁 |
■設計・生産・販売の一貫体制を積極活用:市場要求スピードへの対応力を強化 |
|
工業弁 |
■中国生産工場を活用し市場規模の大きい工業系の販売を拡大 |
||
|
自動弁 |
■中国生産拠点での組立検査体制を構築 |
||
|
半導体装置 |
■現地生産能力の増強と販売の拡大 |
||
3.アセアン・インド市場
|
重点ターゲット市場 |
建築設備、石油化学、水処理 機械装置、機能性化学、水素・低炭素 |
|
|
事業機会 |
都市インフラをはじめとした新興国中間層マーケットの成長に伴うMiddle-Zone経済の拡大 日系ユーザーの進出に伴うキーアカウントマーケティング機会の拡大 |
|
|
主要 施策 |
アセアン |
■日系ユーザーを中心としたキーアカウント網の構築 ■地域密着マーケティングによる売れ筋商品の見極めと現地一貫(開発・生産・販売)供給体制の整備 ■地域ブランドとUnimech社との協業による収益最大化 |
|
インド |
■内国生産政策に対応したリージョン完結の地域戦略確立 |
|
②伸銅品事業
黄銅棒は、各種機械、建築資材などに幅広く使用されています。当社グループは、黄銅棒及び黄銅加工品(切削品及び鍛造品)の製造・販売を行う伸銅品事業を展開しています。伸銅品事業の戦略的取り組みは、以下の通りです。
|
基本方針 |
既存領域は縮小傾向も、成長分野(自動車、半導体等)の開拓、サプライチェーン見直しに伴う加工品の需要取込み及び継続的コストダウンで収益力を高める |
|
事業環境 |
(機会) リサイクル性を求めたメタル回帰による需要増 サプライチェーン見直しによる二次・三次加工の国内回帰 (リスク) 住宅関連市場の縮小 銅価格高騰による材料代替リスク |
|
主要施策 |
■成長分野への参入・拡販 ・自動車、建機/重機、半導体分野等 ■二次加工・三次加工への取り組み ・鍛造、切削、ロウ付け ■製造コストダウン・リサイクル推進 ■DX等による業務効率化 |
③その他
その他としては、ホテル事業及び不動産賃貸等があります。
|
基本方針 |
Withコロナ下での収益確保に向け、個人客&近県商圏をターゲットに営業政策を転換。環境変化を契機にサービス生産性の抜本的改革と定着化を図る |
|
事業環境 |
県内などの近隣地域内での観光(いわゆるマイクロツーリズム)の割合が増加 旅行種別では個人旅行の割合がさらに増加 |
|
主要施策 |
■個人客重視によるサービス付加価値向上 ・上層階和室を和モダン客室へリニューアル ・夕食付プラン比率の向上 ■多能工(マルチスキルワーカー)の育成 ・外注役務の内製化による労働生産性の向上 ・スキル管理/マイスター制度/閑散期の短期異動 ■館内施設(客室・浴場等)のバリアフリー対応強化 |
■デジタル・トランスフォーメーション(DX)
①業務革新活動との連携によるビジネス変革(BX)
②DX中期計画コンセプト
「オペレーション比率低減」×「付加価値業務へのシフト」
1.設計・開発
・ナレッジマネジメントによる技術伝承
・技術コンテンツ拡充・サービス提供
・設計業務標準化・自動化(RPA)
2.生産・品証
・工場ITインフラの構築
・標準化とデータづくり
・MES(製造実行システム)の確立(トレーサビリティ/効率化)
3.マーケ・販売・CS
・顧客ニーズの収集と活用(CRM)
・顧客タッチポイントの強化
-Web×リアルチャネル連携
-セールス&サービスエンジニア育成
4.バックオフィス
・データ・ファクト重視の経営管理基盤構築
-連結計画・予測システムの機能強化
-事業別採算性の可視化と施策への展開
・グループ人財DBの構築
・LMS(Learning Management System)の導入
・DX人財の育成
■財務戦略・資本政策
財務戦略及び資本政策は、最適資本構成の視点をベースに積極的な戦略投資と株主還元の両立を図ってまいります。
●新中期経営計画においては、経営の基軸を「中長期的な投下資本収益性の向上」に置き、対外にはROE、社内ではROICを主要KPIとして目標管理を実施
●一方、将来の成長・ROE向上に向けた戦略投資の実行、及び必要な資金調達を実施
●有事対応の厚い手元流動性は平時モードに戻し、連結現預金は1ヵ月程度(連結月商比)に縮減
③2024年度経営計画
1)2024年度経営方針
|
”ROIC × ESG”経営 |
|
■ROIC ・成長分野・高収益領域に積極的に投資し、スピードをもって効果を刈り取る ・需給コントロールを強化し、棚卸資産回転日数の最小化を目指す ・ROICツリー展開を進め、社員が会社への貢献を実感できることを目指す |
|
■ESG(サステナビリティ経営) ・「トリプルゼロ」※推進による環境保全と水素・水ビジネスで環境に貢献する ・人を資本と考え、働きがいと働きやすさ向上のための投資としくみづくりを行う ・経営リスクについて議論を深め、優先順位をつけて適切に低減を図る ・指名委員会等設置会社としての経営体制構築により、高い透明性と迅速な意思決定の実現を目指す |
※トリプルゼロとは「CO2ゼロ、環境負荷ゼロ、リスクゼロ」の取り組みを指します。
2)定量目標
①連結業績
|
(単位:百万円) |
|
|
2024年度計画 (2024年2月公表) |
|
売上高 |
170,000 |
|
営業利益 |
14,500 |
|
経常利益 |
14,800 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
10,600 |
|
ROE |
10%以上 |
|
連結配当性向 |
35%前後 |
②セグメント別業績
|
(単位:百万円) |
|
|
外部売上高 |
営業利益 |
|
バルブ事業 |
141,000 |
18,300 |
|
伸銅品事業 |
26,500 |
550 |
|
その他 |
2,500 |
100 |
|
調整額 |
- |
△4,450 |
|
合計 |
170,000 |
14,500 |
3)事業別計画
バルブ事業
a.市場別
バルブ事業では、ターゲット市場を8つに区分し、当社グループが得意としている建築設備、石油化学、水処理及び機械装置市場をコア市場と位置づけ、その基盤をさらに強化して確固たる土台を築く一方、成長分野・新規分野である半導体装置、半導体材料(フィルター)、機能性化学及び水素・脱炭素市場をグロース市場と位置づけて積極的にリソースを投下し、収益構造を変化させてまいります。
<コア市場>
|
市 場 |
施 策 |
|
建築設備 |
データセンター向け販売の強化 配管工法・材質の変化・自動化に対応した製品の開発 |
|
石油化学 |
北米・欧州での規格認証製品のラインナップ拡大及び一般化学市場への参入 |
|
水処理 |
水処理システムの販売拡大・メンテナンス強化及び海外水処理関連認証取得 |
|
機械装置 |
環境規制対応製品の拡充、新規顧客開拓及び市場の要求に合わせた小型自動弁の品種拡大 |
<グロース市場>
|
市 場 |
施 策 |
|
半導体装置 |
国内外での生産能力拡大及び地産地消による販売拡大 |
|
半導体材料 (フィルター) |
ユーザー認証の取得促進による販売拡大並びに海外での浄水器市場開拓及び販売拡大 |
|
機能性化学 |
医薬・製薬市場の拡大に対応した新製品の開発・市場投入 |
|
水素・脱炭素 |
液化水素大型実証プラントへの参画、脱炭素に向けたクリーンエネルギー市場の取り込み |
b.地域別
|
地 域 |
施 策 |
|
欧米 |
各種認証品の市場投入、データセンター及び一般化学市場への販売拡大 |
|
中国 |
中国向け製品の開発、生産及び販売拡大による地産地消戦略推進 |
|
アセアン・インド |
セカンドブランド品によるミドルゾーンの攻略及びキーユーザーとの関係強化 |
伸銅品事業
材料費低減のための設備投及び高付加価値製品の成長市場への拡販を進め、収益性の向上を図ります。
4)財務戦略・資本政策
“ROIC×ESG”経営の推進、成長戦略の加速及びIR戦略の強化を進めることなどにより、さらなる利益の創出、成長期待の醸成及び資本コストの低減を実現し、企業価値の向上を目指すとともに、将来の成長・ROE向上に向けた戦略投資の実行及び必要な資金調達を実施いたします。
5)サステナビリティ経営
|
|
重点テーマ |
2024年度重点取り組み |
|
|
「カーボンニュートラル/資源循環」と「イノベーション」 |
|
|
E |
「トリプルゼロ」の推進 (CO2,水資源排出,廃棄物) |
■サステナブルなバルブ製造の推進 ■CO2ゼロモデル工場の推進 ■再生可能エネルギー利用拡大 ■環境負荷ミニマム生産の推進 |
|
環境関連事業の拡大 |
■水素サプライチェーンにおける事業領域の拡大 ■水インフラの課題解決に向けたソリューション提供 |
|
|
|
「人的資本経営の推進・開示強化」と「持続可能なサプライチェーンの構築」 |
|
|
S |
人的資本経営の推進による 多様な人財の活躍 |
■社員の働きがいと働きやすさを高める環境・しくみづくり ■D&IからDE&Iへのシフトチェンジ ■人財戦略の社外への発信と社内への浸透 |
|
社内情報開示強化による 企業風土向上 |
■対話や社内ポータルによるビジョン・戦略・状況の共有 ■社員から上がった要望へのフィードバックと対策 |
|
|
持続可能な サプライチェーンの構築 |
■サプライヤー・ガイドライン及びグリーン調達基準の浸透 ■グループ内におけるグローバルサプライチェーンの可視化 |
|
|
|
「コーポレート・ガバナンス強化」と「リスクマネジメント推進」 |
|
|
G |
「指名委員会等設置会社」への移行によるガバナンス強化 |
■監督と執行の分離による経営の監督機能の強化 ■権限委譲の拡大による意思決定の迅速化 |
|
地政学リスク・サプライチェーンリスク対応 |
■グローバルな最適地生産体制の確立 ■地産地消型生産の推進 |
|
(3)経営環境
当社グループを取り巻く事業環境は、かつてない速さで変化してきております。新型コロナウイルス感染症拡大によりライフスタイルや働き方は大きく変化し、また地球温暖化を背景とする脱炭素化などの持続可能な社会の実現への取り組みが求められております。
世界経済に目を向けると、インフレの進行による金利上昇により欧米・中国を中心とした景気後退が懸念されます。またロシア・ウクライナ問題等地政学リスクの発生により、エネルギー価格や原材料価格の高騰及びサプライチェーン環境の変化による物流コストの増加等が継続すると予想されます。
そのような中、当社グループは、2022年2月に企業理念である「キッツ宣言」を改定、長期経営ビジョン『Beyond New Heights 2030「流れ」を変える』及び第1期中期経営計画2024を策定し、この実現に向け全社一丸となって取り組んでおります。また経営の基軸を「中長期的な投下資本収益性の向上」に置き、対外的には「ROE(自己資本利益率)」、社内では「ROIC(投下資本利益率)」を主要KPI(重要業績評価指標)として目標管理を実施してまいります。また「ESG(環境・社会・ガバナンス)」についても、社会の要請に応えていくべく積極的に取り組みを進めてまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
バルブ事業においては、中長期ターゲット市場を8つの市場に区分し、重要な社会課題である「脱炭素化」と「デジタル化」を成長領域として捉え、現状のコア市場から成長分野・新規分野へのリソースのシフトを進め、収益構造の変化を図ってまいります。グループ戦略としては、グローバル製品戦略、エリアビジネス戦略、グループシナジーの創出、ユーザーとの接点強化の4つを柱に事業展開を図ります。
伸銅品事業においては、既存分野の他、自動車や半導体などの成長分野への参入・拡販を進めるとともに、サプライチェーンの見直しによる加工品の拡販強化及び継続的なコストダウンで収益力を高めてまいります。
事業戦略の土台となる経営資本については、組織・人的資本の面では、業務革新・DX(デジタルトランスフォーメーション)プロジェクトにおいて「オペレーション比率低減と付加価値業務へのシフト」をテーマに、グループ内の価値連鎖(開発・生産・販売と間接機能)をデジタルの力で強化し、顧客と従業員双方の体験価値を高めるビジネス・トランスフォーメーションを目指します。また社員エンゲージメントを継続的に測定し、個々の組織人事施策が社員エンゲージメントに及ぼす効果を検証する一方、サステナビリティ経営の面では、ESG視点の取組強化を掲げ、一層の経営基盤強化を目指します。さらには、資本コストを意識した経営や積極的な成長投資を織り込んだ財務戦略・資本政策にも取り組んでまいります。
なお、詳細につきましては、「(2)経営戦略等 ②第1期中期経営計画2024(2022年度~2024年度)及び③2024年度経営計画」に記載の通りであります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
①第1期中期経営計画2024(2022年度~2024年度)
|
|
|
|
|
(単位:億円) |
|
財務KPI |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
2024年度目標 (2022年2月公表) |
2024年度目標※ (見直し後) |
|
売上高 |
1,599 |
1,669 |
1,500 |
1,700 |
|
営業利益 |
110 |
136 |
120 |
130 |
|
ROE |
10.0% |
11.1% |
8%以上 |
10%以上 |
|
連結配当性向 |
34.6% |
34.7% |
35%前後 |
35%前後 |
※2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(財務)」について2023年2月及び2024年2月に一部見直しを実施しております。
|
非財務KPI※1 |
2022年度実績 |
2023年度実績 |
2024年度目標 (2022年2月公表) |
2024年度目標 (2024年2月公表) ※4 |
|
|
CO2削減率 (2013年比、国内グループ) |
△67.2% |
△86%※3 |
△80% |
△90% |
|
|
社員エンゲージメントスコア |
働きがい |
48pt |
48pt |
56pt |
56pt |
|
働きやすさ |
44pt |
46pt |
55pt |
55pt |
|
|
女性社員全体比率 |
22.0% |
22.2% |
23% |
23% |
|
|
女性管理職※2比率 |
3.4% |
6.0% |
10% |
10% |
|
|
男性育児休業取得率 |
35.3% |
61.0% |
50% |
80% |
|
※1 CO2削減率を除きキッツ単体
※2 管理職:職能グレードによる経営専門職の社員(2022年度実績は部門長職に就いている社員)
※3 2024年3月28日時点の暫定値であります。
※4 2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(非財務KPI)」について、一部2023年度に前倒しで達成したため、2024年2月に当該目標の引き上げを実施しております。
②2024年度計画(2024年2月公表)
|
財務指標 |
(単位:百万円) |
|
|
2024年度計画 |
|
売上高 |
170,000 |
|
営業利益 |
14,500 |
|
経常利益 |
14,800 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
10,600 |
|
ROE |
10%以上 |
|
連結配当性向 |
35%前後 |
|
セグメント別売上高及び営業利益 |
(単位:百万円) |
|
|
|
外部売上高 |
営業利益 |
|
バルブ事業 |
141,000 |
18,300 |
|
伸銅品事業 |
26,500 |
550 |
|
その他 |
2,500 |
100 |
|
調整額 |
- |
△4,450 |
|
合計 |
170,000 |
14,500 |
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ共通
当社グループでは、長期経営ビジョンにおいて、サステナビリティ経営を経営戦略の中核に据えています。サステナビリティ経営重点テーマやKPI(重要業績評価指標)をグループ全体で共有し、目標達成に向けた進捗管理を行い、グループ全社員が一丸となって事業を通じた社会課題の解決に取り組むとともに、企業として非財務情報のパフォーマンス向上及び積極的な情報開示に努めてまいります。
■サステナビリティ基本方針とサステナビリティスローガン
サステナビリティ基本方針は、サステナビリティ経営の拠り所であり、サステナビリティスローガンは、変化の激しい世の中において変わること、守ることの重要性を意識し実践していくための社員の道しるべとなっています。
●サステナビリティ基本方針
キッツグループは、企業理念である「キッツ宣言」の実現に向けて
1.事業を通じた社会課題の解決に取り組み、企業価値と社会価値の向上を図る
2.効率的で、公正かつ透明性の高い企業経営を実現し、社会から信頼される企業となる
3.あらゆるステークホルダーとの対話により、強固な信頼関係を構築する
●サステナビリティスローガン
つくる未来 のこす未来 Create the Future / Preserve the Future
つくる未来
キッツグループは、「誠実」に行動し、そして「変革」を恐れずチャレンジし、地球と人にやさしい循環型社会の実現を目指して、新しい未来を創造します。
のこす未来
キッツグループは、限りある地球資源と人の暮らしを守り続け、私たちが次の世代にのこすことのできる社会の実現に努めます。
①ガバナンス
当社グループでは、グループが一体となりサステナビリティ経営を進めるため、全社サステナビリティ推進委員会を設置しています。全社サステナビリティ推進委員会は、委員長を経営企画本部長(取締役常務執行役員)、メンバーを執行役員及び国内グループ会社社長として構成され、サステナビリティ経営重点テーマやKPIを共有し、各社・各部門の課題とその施策をグループに展開し、目標達成に向けた進捗管理を行うほか、サステナビリティ経営全般の方針を決議する機関として運営しております。事務局はサステナビリティ推進室が担当し、原則として年に2回開催します。また、取締役会は全社サステナビリティ推進委員会での経過及び結果の報告を受け、適宜、改善に向けた審議を行っています。なお、2024年度より、「全社サステナビリティ推進委員会」から「サステナビリティ委員会」へと改組し、代表執行役社長を委員長として、報告・共有・審議の場としてだけではなく、サステナビリティ経営全般の方針を決議する機関として運営してまいります。
また、特に専門性・重要性の高い環境・安全衛生分野については、独立して、全社環境安全衛生委員会(現 環境安全衛生委員会)を設置しています。全社環境安全衛生委員会は、当社の執行役員及びグループ会社の社長を委員とし、環境安全衛生担当役員を委員長として構成され、環境・安全衛生に関わる施策及び目標の設定並びに実績評価及び法令遵守の状況等について確認を行うとともに、課題解決に向けた対応策について審議しています。環境長期ビジョンの実施状況や進捗管理、環境設備投資については、環境安全衛生担当役員が取締役会に報告を行っています。
当社グループでは、社外有識者等との定期的な対話を実施し、頂いたご意見やアドバイス等については、適宜、経営にも繋げていく方針としております。
②戦略
●サステナビリティ経営重点テーマ(マテリアリティ)
当社グループは、2022年2月、長期経営ビジョン公表とともに、5つのサステナビリティ経営重点テーマと2030年度までの定量目標を設定しました。毎年、全社サステナビリティ推進委員会で進捗を確認しています。
|
|
サステナビリティ経営重点テーマ |
社会課題 |
具体的取り組み |
2030年度定量目標 |
SDGsとの 関わり |
|
環境 (E) |
カーボンニュートラル 資源循環 |
・脱炭素社会への移行 ・資源の枯渇 ・廃棄物の増加 |
環境長期ビジョン「トリプルゼロ」実現に向けた取り組み ①CO2ゼロ ②環境負荷ゼロ ・ウォーターニュートラル(節水、循環、涵養の推進) ・ゼロエミッション(3Rの推進、鋳物砂再生利用の推進他) ③リスクゼロ ・環境事故ゼロ(環境汚染) ・労働災害ゼロ(重大事故、休業度数率) ・火災事故ゼロ(火災、爆発事故) |
CO2削減率 △90% 廃棄物埋立処分率1.0%未満 水資源排出量 △100% ※1 (2013年度比) ※1 バルブ等の製造に係る工程水を対象とする。 |
|
|
イノベーション |
・イノベーションによる経済成長 ・脱炭素社会への移行 ・水資源の枯渇 |
脱炭素/水素社会を支える流体制御技術の開発 環境負荷低減に貢献する材料や製品の開発 限りある水や流体に関する社会課題を解決する取り組み |
|||
|
社会 (S) |
社員エンゲージメントの持続的向上 |
・生産年齢人口の減少 ・人権尊重 ・多様な人財の活躍 ・働きやすい制度、環境 ・働きがいのある風土 |
企業理念・長期経営ビジョンの浸透化 DE&Iの推進とコラボレーション文化の醸成 グローバル経営を支える人財育成と制度改革 社員がいきいきと働く職場環境の実現 |
社員エンゲージメントスコア※1 「働きがい」56pt 「働きやすさ」55pt 女性管理職比率 20%※2 総実労働時間 1,870時間 男性育児休業取得率 100% ※1 2024年度目標 ※2 職能グレードによる経営専門職の社員 |
|
|
持続可能なサプライチェーンの構築 |
・自社を取り巻くサプライチェーンにおける責任 |
CSR調達の重視 安定的な原材料や部品調達システムの構築 |
|||
|
ガバナンス (G) |
コーポレート・ガバナンス リスクマネジメント コンプライアンス |
・持続可能な企業経営 ・企業の不正、不祥事 |
経営意思決定の更なる透明性向上 リスク低減と機会創出双方に着目したリスクマネジメント サステナビリティ経営に資するグローバル・コンプライアンス |
|
|
●サステナビリティ経営重点テーマ(マテリアリティ)の特定プロセス
マテリアリティの特定は、次のStep1~Step3のプロセスで実施しました。まず、Step1では、GRIスタンダード等のサステナビリティに関する国際的なガイドラインを参考に関連する社会課題を網羅的に洗い出しました。Step2では、社内外関係者との協議を踏まえ重要度を評価し、優先順位の高い社会課題を、サステナビリティ経営重点テーマ(当社におけるマテリアリティ)として整理しました。Step3では、長期経営計画の中でマテリアリティ項目別に具体的取り組みと2030年の定量・定性目標を策定したうえで、取締役会にて決議しました。
イ.環境(E)
気候変動が持続的な社会に影響を及ぼすことを認識し、サステナビリティ経営重点テーマの一つとしてカーボンニュートラル/資源循環を掲げています。その対策として、自社のCO2排出量削減と資源・エネルギーの効率的な利用が重要であると考えています。環境長期ビジョン「3ZERO(トリプルゼロ)」の取り組みをさらに強化するとともに、TCFD提言に基づいた情報開示を進めています。また、長年培ってきた流体制御技術や材料開発を基盤に、脱炭素や水資源をキーワードにしたイノベーションの創出を強化しています。
■カーボンニュートラル/資源循環
a.環境長期ビジョン「3ZERO(トリプルゼロ)」の推進
当社は、創業以来、お客様にバルブを中心とする高品質な商品を迅速かつ継続的に提供するため、素材からの一貫生産体制を基本としています。中でも鋳造は高度な生産技術と大規模な設備を要する重要工程である一方、エネルギー及び廃棄物あるいは社員の安全にかかわる様々なリスクを内包しています。そのため、環境や安全に配慮したモノづくりが必要不可欠であることから、2021年12月に策定、公表した環境長期ビジョンでは「3ZERO(トリプルゼロ)」を掲げ、取り組んでいます。
ⅰ.CO2ゼロ
CO2排出量について、日本はパリ協定を受け、基準年である2013年から2030年までに46%削減、2050年までに実質ゼロにすることを表明しました。当社は2024年度までに国内グループ会社で使用する電力を再生可能エネルギー化することにより、中期環境目標として2030年までに2013年比で90%以上の削減、長期環境目標として2050年までにはカーボンニュートラルとなることを目指しています。
なお、CO2削減を資金調達面から推進するために、2022年9月にCO2排出量削減率をSPT(サステナビリティ・パフォーマンス・ターゲット)に設定したサステナビリティ・リンク・ボンド100億円を発行いたしました。
ⅱ.環境負荷ゼロ
従来の大量消費型のモノづくりから持続可能な循環型社会に貢献するモノづくりに転換すべく、2022年度より資源循環推進タスクフォースを設置し、水資源、廃棄物、プラスチック、有害物質等を対象に取り組みをスタートしています。特に水資源については、2030年にウォーターニュートラルをKPIとして掲げ、節水、循環、涵養を推進してまいります。
また、廃棄物に関しては、埋立処分率をKPIとして掲げ、ゼロエミッションを進めます。
ⅲ.リスクゼロ
公害防止、労災防止及び火災防止活動を通じて、安心・安全なモノづくり、安定した操業の維持に取り組んでいます。
b.気候変動への対応については「(2)気候変動」をご参照ください。
■イノベーション
a.機構改革の実施
2023年1月より役員直轄として水素事業部及び環境ソリューション事業部を新設し、環境関連事業の強化を進めています。水素事業部では、企画段階から顧客のための提案を積極的に実施し、水素ステーションを始めとする水素関連技術の開発や製品の販売体制の強化を図り、また環境ソリューション事業部では、今までグループ各社で個別に展開していた水処理関連技術や人財を集約してシナジーの最大化を図ってまいります。
b.技術ロードマップの策定・取り組み
企業理念、長期経営ビジョン及び第1期中期経営計画2024に基づき、「2030年に市場やお客様に提供する価値」や、その価値を実現する「技術のありたい姿」を明らかにしたうえで、製品・生産技術・技術サービスの道しるべとなる「技術ロードマップ」を策定し、関係部門のアクションに落とし込んでまいります。環境負荷を低減する材料や製品の開発などに、グループ各社が連携してイノベーションを生み出すことにより、社会課題の解決に持続的に貢献してまいります。
ロ.社会(S)
長期経営ビジョンにおいては、性別・年齢・国籍・文化等を超えて、社員一人ひとりがプロフェッショナルとして、最高のパフォーマンスでいきいきと働くことを目指しています。そのため、人的資本の領域では「社員エンゲージメントの持続的向上」をサステナビリティ経営重点テーマの一つに掲げ、取り組みを進めています。また、自社のみならず、サプライチェーンにおいても、人権・環境・労働等に配慮した持続可能な体制の構築に向け取り組んでいます。
■人的資本・多様性
人的資本・多様性に関する取り組みについては、「(3)人的資本・多様性」をご参照ください。
■持続可能なサプライチェーンの構築
当社調達方針に基づき、サプライヤーに遵守していただきたい事項をまとめたサプライヤー・ガイドライン及び地球環境に配慮した調達活動の考え方を集約したグリーン調達基準を策定しています。また、サプライヤー・ガイドライン及びグリーン調達基準に基づいたサプライヤーデューデリジェンスを実施しております。
a.調達方針
当社グループは、より良い商品・技術・サービスを世界の人々に提供することを通して、人間の生活をゆたかにすることに貢献します。その実現のため、以下の方針のもと、調達活動を行います。
1.お取引先様との関係は、共存共栄を基本とし、ビジネスパートナーとして、公平公正な取引を通じて相互の信頼関係を築くとともに、一体となって成長・発展することを目指します。
2.高い倫理観と社会的良識のもと、各国の法令及び社会規範を遵守し、人権尊重、労働安全衛生確保、環境保全、情報管理・保護などの社会的責任を果たします。
3.適正かつ安定的な品質・価格・納期のみならず、常に環境負荷を考慮し、その低減を意識した調達活動を展開します。
b.サプライヤー・ガイドライン及びグリーン調達基準
当社グループでは、上記方針に沿った調達活動を通じて、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと考えています。サプライチェーン一体となって取り組んでいくため、人権の尊重を含めお取引先様に遵守いただきたい要請事項を「サプライヤー・ガイドライン」として定めています。また、「グリーン調達基準」に基づいて環境負荷の少ない原材料等を積極的に採用・調達してまいります。
c.サプライヤーデューデリジェンス
サプライヤー・ガイドライン及びグリーン調達基準に準じた継続的な取引を推進するため、その重要性をご理解いただき認識を高めていくための働きかけとして、主要なサプライヤーを対象に当該ガイドライン及び調達基準に基づいた自己評価を実施していただいております。2023年度は一部のグループ会社にも展開しています。当社とサプライヤーが一体となり、サプライチェーン全体で持続可能な社会の実現に取り組んでおります。
ハ.ガバナンス(G)
■コーポレート・ガバナンス/リスクマネジメント/コンプライアンス
コーポレート・ガバナンスについては、透明・公正かつ迅速果断な経営の意思決定を可能とする経営体制の構築を追求するとともに、非財務情報等あらゆるステークホルダーにとって有用性の高い情報の開示に取り組んでまいります。リスクマネジメントについては、リスクを「将来の不確実性」と捉え、「脅威」の回避・低減のほか、発生し得る「機会」にも着目した取り組みを進めてまいります。また、コンプライアンスについては、人権・腐敗防止等の社会課題にも注目し、グループ一丸となってグローバル水準の体制構築を推進してまいります。詳細につきましては、「③ リスク管理」、「
③リスク管理
当社は、企業経営に重大な影響を及ぼす可能性がある様々なリスクをコントロールするため、当社及びグループ各社においてサステナビリティ関連リスクも含めたリスクマネジメントに取り組んでいます。
当社グループでは、当社のC&C管理委員会が策定したリスク評価に関する基本方針及び評価基準に基づき、グループ各社において事業活動に係る想定リスクについて「リスクの発生頻度」と「経営に与える影響度」の2軸からリスクの重要性を定量的に判定し、主要リスク及び重要リスクの特定を行っています。
当社グループでは、各社・各組織単位で実施するリスク評価の結果を踏まえ、経営会議において「主要リスク」及び主要リスクの中でも特に経営に重大な影響を与える可能性が高い「重要リスク」を特定し、各リスクの重要度から回避、移転、低減または保有のいずれかの対応方針を選択し、当社の各役員及びグループ会社社長を責任者として、必要な対策を立案し実施しています。
特定された主要リスク及び重要リスク並びに立案された対策については、内部監査室長に共有され、内部監査室が業務監査等において対策の進捗及び結果を確認するなど、独立した立場から、その構築・運用状況の評価を行っています。
また、取締役会は、経営会議において特定された重要リスク及び立案された対策並びに内部監査室における評価結果などの報告を踏まえ、必要な審議を行うとともに対策実施の最終的結果を確認するなど、グループにおけるリスクマネジメントについての最終的な決定及び監督を行っています。
特定された主要リスク・重要リスク、及びリスクマネジメントの詳細については、「
④指標と目標
第1期中期経営計画2024(2022年度~2024年度)においては、2024年度の目指す姿を実現するための非財務KPI(重要業績評価指標)と2024年度数値目標を設定しており、企業価値の向上を目指していきます。
|
非財務KPI※1 (重要業績評価指標) |
2021年度実績 (参考) |
2022年度実績 (参考) |
2023年度実績 |
2024年度目標 (2022年2月公表) |
2024年度目標 (2024年2月公表) ※6 |
|
|
CO2削減率※2 (2013年比、国内グループ) |
△28.1% |
△67.2% |
△86%※5 |
△80% |
△90% |
|
|
社員エンゲージメントスコア |
働きがい |
48pt |
48pt |
48pt |
56pt |
56pt |
|
働きやすさ |
43pt |
44pt |
46pt |
55pt |
55pt |
|
|
女性社員全体比率※3 |
21.7% |
22.0% |
22.2% |
23% |
23% |
|
|
女性管理職※4比率※3 |
3.4% |
3.4% |
6.0% |
10% |
10% |
|
|
男性育児休業取得率※3 |
29.0% |
35.3% |
61.0% |
50% |
80% |
|
※1 CO2削減率を除きキッツ単体
※2 詳細は「(2)気候変動 ④指標と目標」をご参照ください。
※3 詳細は「(3)人的資本・多様性 ④指標と目標」をご参照ください。
※4 管理職:職能グレードによる経営専門職の社員(2021年実績及び2022年実績は部門長職に就いている社員)
※5 2024年3月28日時点の暫定値であります。
※6 2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(非財務KPI)」について、一部2023年度に前倒しで達成したため、2024年2月に当該目標の引き上げを実施しております。
(2)気候変動
①ガバナンス
「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。
②戦略
IPCC※第6次評価報告書(AR6)の社会経済シナリオ(SSP)のうち以下の2つのシナリオに基づいて、主要なリスク・機会等の特定と財務的影響分析、これらを踏まえた戦略の柱を整理しました。この戦略に沿って取り組みを推進してまいります。
※ IPCC:気候変動に関する政府間パネル
●採用したシナリオ/採用理由
一般的に、IPCCの社会経済シナリオ(SSP)において、SSP1では移行リスクが最も大きくなり、SSP3では物理的リスクが最も大きくなります。当社グループでは、移行リスク、物理的リスクとも、最もリスクが多くなる厳しいシナリオを選定しました。機会は両方のシナリオで重要ですが、当社グループでは機会がより多いSSP1を選定しました。
|
気温上昇推定値 |
採用シナリオ |
想定した環境 |
|
1.5℃~2℃ |
SSP1 |
持続可能な発展が過度に早いペースで進む。不平等は減少。技術進歩は早く、かつ低炭素エネルギー源や土地生産性向上などの環境配慮の方向を向く。 |
|
4℃ |
SSP3 |
穏やかな経済発展、急増する人口、遅いエネルギー部門の技術進歩に起因して、温室効果ガス排出量は大きく、結果的に緩和が困難な状況になる。人的資本への投資は低く、不平等は大きく、地域化された世界で貿易フローは減少、制度面の発展は望ましくない方向に向かう。結果的に、多くの人々が気候変化へ脆弱性の高いまま、また世界の多くの地域が適応能力の低いまま、取り残される。 |
●主要なリスク・機会
|
項目 |
リスクと機会の内容 |
財務的影響の程度 |
|
|
移行リスク |
技術 |
脱炭素を実現する流体制御技術・材料への置換・移行のコスト増加 |
「小」 |
|
市場 |
石油化学等化石燃料関連分野のバルブ顧客の減少によるバルブ需要の減少 |
「小」 |
|
|
物理的リスク |
急性 |
気象災害の増加による生産拠点、サプライヤー、顧客影響などサプライチェーンの停滞 |
「小~中」 |
|
慢性 |
平均気温の上昇による空調・冷却設備の稼働によるコスト増加 |
「小」 |
|
|
機会 |
製品およびサービス |
水素、NH3等のサプライチェーンで利用可能なバルブの開発・展開 |
「大」 |
|
LNGプラント用バルブのビジネス展開 |
「大」 |
||
※ 想定される財務的影響度を「大」「中」「小」でカテゴリ分け
(注)シナリオ分析結果の詳細は以下のURLよりご参照ください。
https://www.kitz.co.jp/sustainability/environment/env_warming/
●戦略の柱
イ.自社のCO2排出量削減と資源・エネルギーの効率的な利用により、気候変動の緩和に貢献する
a.原単位管理による自社工場の省エネの推進
b.再生可能エネルギーの利用推進
c.環境負担低減による間接的なCO2の削減
ロ.自社の製品を通じたCO2排出削減の推進により、気候変動の緩和に貢献する
a.流体制御技術と材料開発による、脱炭素化に向けた水素サプライチェーンの構築支援
b.すべてのセクターにおける「脱炭素への移行」支援
c.脱炭素に貢献する製品・システムの開発
ハ.地域社会と連携した気候変動緩和策に取り組み、持続可能な未来の創造に貢献する
a.コミュニティレベル(マイクロスケール)の水素利用システムの開発と実証実験の実施
(注)戦略の詳細は以下のURLよりご参照ください。
https://www.kitz.co.jp/sustainability/environment/env_warming/
③リスク管理
●気候変動に関するリスク評価・管理体制
当社グループでは、気候変動に関するリスクを継続的に低減させていくために、グループリスクマネジメントの基本的な考え方に則り対応を進めています。具体的には、全社サステナビリティ推進委員会の下、担当部門であるサステナビリティ推進室が中心となり、気候変動に関する重要リスクを特定及び評価し、取り組むべき戦略の柱とそのKPI(重要業績評価指標)の進捗管理を行っています。詳細は、「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」をご参照ください。
●気候変動に関するリスク評価・管理するプロセス
法務・知財・リスクマネジメント統括センターが中心となり、気候変動に関するものを含む様々な事業活動に係る想定リスクの中から重要リスクの特定を進め、共通の進捗管理ツールを用いてリスク評価・管理を行っています。
④指標と目標
当社では、前述の戦略の柱イ.「自社のCO2排出量削減と資源・エネルギーの効率的な利用により、気候変動の緩和に貢献する」に対して、2030年までに自社のCO2排出量を2013年比で90%以上削減、2050年までにカーボンニュートラルとする目標(環境長期ビジョン「3ZERO(トリプルゼロ)」の推進)を掲げ、その達成に向けた取り組みを行っています。当該目標は、連結子会社を含む国内全事業所が対象であり、算定範囲はスコープ1及び2(電気/灯油/LPG/LNGなど)です。
●CO2排出量及び削減率の実績※1
|
|
基準年 |
実績 |
||||
|
年度 |
2013 |
2020 |
2021 |
2022 |
2023※2 |
|
|
CO2排出量(t-CO2) |
スコープ1 |
12,214 |
9,569 |
9,561 |
9,903 |
2,913 |
|
スコープ2 |
53,719 |
40,006 |
39,019 |
11,658 |
6,340 |
|
|
合計 |
65,933 |
49,575 |
48,580 |
21,561 |
9,253 |
|
|
CO2削減率(%) |
- |
△26.9% |
△28.1% |
△67.2% |
△86% |
|
※1 エネルギーの合理的な使用に関する法令及び地球温暖化対策推進法に基づいて算出しております。
※2 2024年3月28日時点の暫定値であります。
●CO2排出量及び削減率の目標
|
|
基準年 |
KPI目標値 |
|||
|
年度 |
2013 |
2024 (2022年2月公表) |
2024 (2024年2月公表)※ |
2030 |
|
|
スコープ1・2 |
CO2排出量(t-CO2) |
65,933 |
13,187 |
6,593 |
6,593 |
|
CO2削減率(%) |
- |
△80% |
△90% |
△90.0% |
|
※ 2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「CO2削減率」について、2023年度に前倒しで達成したため、2024年2月に当該目標の引き上げを実施しております。
●スコープ3の推移
今後、サプライチェーン全体の排出量の把握をするべく、Scope3の排出量算定の実施を検討してまいります。
その他の戦略の柱ロ.及びハ.については、今後の取り組み状況を踏まえ、指標と目標を設定していく予定です。
(3)人的資本・多様性
長期経営ビジョン達成に向けて、「多様な人財の活躍」を実現するために、2024年度より当社グループ全体を見据えた人財ポートフォリオを策定し、国内外グループ会社間の人財採用・育成・配置を柔軟に行える仕組みづくりを進めます。また、人的資本を強固なものにするために、「強い組織づくり」「良い組織づくり」そして、「企業文化の醸成」の3本柱を軸に展開していきます。2030年に向かって、人的資本価値を最大化し、選ばれ続ける会社を目指しています。
①ガバナンス
「(1)サステナビリティ共通 ①ガバナンス」をご参照ください。
②戦略
個々の施策を実践するための基準となる方針として、人財育成方針および社内環境整備方針を定め、これらに沿って社員エンゲージメント向上、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)、ワーク・ライフ・バランスの推進・健康経営等について、次の取り組みを行っています。
■多様な人財確保のための人財育成方針と環境整備方針
●人財育成方針
長期経営ビジョン達成に向けて、多様な社員全員が「個」の力を最大限に発揮することが重要です。そのために、環境変化に適応できる変革人財、自律型社員を育てる基盤づくりを進めます。具体的には、スキルや技術の習得・伝承・評価するための仕組みとして2024年度より「Takumi(高度専門職)」制度を設け、8名を認定しました。高い専門性を有する会社であり続けることを目指し、当社の事業成長に不可欠な高い専門性を発揮し、事業に貢献できる人財を評価、処遇することとしました。
●社内環境整備方針
長期経営ビジョン達成に向けて、多様な社員全員が「個」の力を最大限に発揮することが重要です。そのために、社員一人ひとりが肉体的、精神的、社会的に満たされる状態、Well-Beingの実現が必要であり、それに向けた環境の整備を進めます。
a.社員エンゲージメントの向上
社員エンゲージメントの持続的向上をサステナビリティ経営重点テーマの一つとして掲げており、当社の他、国内・海外グループ会社(一部海外グループ会社除く)を対象として、組織風土の現状把握を目的にエンゲージメント調査を実施しています。また、調査結果については、経営陣への報告、各職場へのフィードバックを実施し、組織風土の現状を確認・分析するとともに、具体的な行動計画と目標値を設定したエンゲージメント向上に向けた各職場での活動につなげています。
b.DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進
当社では、2024年1月にDE&I方針を策定し、代表取締役社長によるDE&I宣言とともに公表しています。
|
●DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)方針 |
|
キッツグループは、経営上重要な戦略の一つとして、DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)を推進します。 |
|
社員の仕事へのやりがいや多様な価値観・意見により、「個」の創造性を高め、「組織力の最大化」を図ります。そして、持続可能な社会へ貢献します。 |
|
※ DE&Iとは、Diversity(ダイバーシティ、多様性)、Equity(エクイティ、公平性)、Inclusion(インクルージョン、包摂性/受容)の頭文字からなる略称です。 |
|
Diversity(ダイバーシティ、多様性) |
|
外面や内面の様々な属性を持つ社員の「個」を尊重することです。 |
|
外面や内面の属性とは、人種、宗教、思想信条、国籍、言語、出生地、民族的起源、障がいの有無、年齢、市民権、婚姻、パートナーの有無、性別、性的指向、性自認、性表現、健康、家族、社会的地位、学歴、職歴、価値観、考え方、捉え方、経験、働き方などあらゆる違いのことです。 |
|
|
|
Equity(エクイティ、公平性) |
|
すべての人に対して、能力を最大限に発揮するための機会を公平に提供していくことです。 |
|
|
|
Inclusion(インクルージョン、包摂性/受容) |
|
「個」をお互い認め合い、組織力を最大化することです。 |
ⅰ.女性社員の活躍
「女性社員が性別を意識することなく、会社や組織の意思決定の場に女性が当たり前に参画していること」をありたい姿に設定し、女性管理職への登用を進めています。管理職をはじめとする意思決定を行う地位への登用において男女差があります。当社はこれを課題と認識しており、女性社員やその上司を対象とした教育研修の充実や、ジョブローテーション等具体的な取り組みを進めています。新卒採用においては2023年度採用より女性社員採用比率を意識した採用活動を行っています。直近の採用活動においては、文系で営業職を希望する女子学生を意識したイベントへの参加や女子大学への訪問、説明会の実施により、当社の認知度向上に努めています。
また、女性がライフイベントに左右されずに長期に渡って企業で活躍するためには、男性の育児・家事参加が重要だと考えています。当社においては、男性育児休業取得率2027年100%を目指し指標として掲げています。男性が積極的に育休を取得できる環境づくりに取り組んでいます。
ⅱ.LGBTQへの理解促進
「性的指向、性自認、性表現などの多様性を尊重し、一人ひとりが自分らしく、個々の能力を十分に発揮できること」をありたい姿に設定し、社員の理解促進に努めています。2023年度は職場におけるセクシャルマイノリティに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標2023」に応募し、初めてBronzeを取得しました。2024年度Gold取得に向けて、人事制度や社内ルールの見直しを進めてまいります。
ⅲ.障がい者雇用促進
当社は、障がい者が職業を通じ、誇りをもって自立した生活を送ることができるようにするために、積極的な雇用機会の創出、雇用拡大を図り、障がい者社員が働きがいを感じながら持てる力を発揮し、健常者の社員とともに働けるような環境づくりを図ってまいります。
c.ワーク・ライフ・バランスの推進・健康経営
社員が安心して働き続けられるよう、ワーク・ライフ・バランスの充実、育児・介護を行う社員への両立支援及び健康経営について目標値を設定し、仕事と私生活の調和を実現できる環境づくりを進めています。
また、当社は、持続的に成長する企業であるためには社員の健康管理・増進がますます重要であるとの認識のもと、社員の心身の健康づくりを戦略的に推進し、活力ある組織をつくるため、2021年にキッツグループ健康経営宣言及び5つの方針(ワーク・ライフ・バランスの実現、安全・健康増進を軸とした職場環境の整備、予防を重視した生活習慣病対策、メンタルヘルス対策・職場のストレス対策、ヘルスリテラシー向上のための社員教育)を制定し、推進しています。なお、当社は、優良な健康経営を実施する企業として、2022年に続き、2023年も経済産業省より「健康経営優良法人」に認定されています。
なお、a,b,cの詳細な情報については、統合報告書及び当社ウェブサイトにおいて開示しています。
社員との対話URL:https://www.kitz.co.jp/sustainability/stakeholders/employees/
多様な人財の活躍URL:https://www.kitz.co.jp/sustainability/social/initiatives/
健康経営と労働安全衛生の確保URL:https://www.kitz.co.jp/sustainability/social/safety-health/
③リスク管理
「(1)サステナビリティ共通 ③リスク管理」をご参照ください。
④指標と目標
a.社員のエンゲージメントスコア
社員エンゲージメントのスコア(「働きがいスコア」と「働きやすさスコア」)を「多様な人財の活躍」における重要なKPIとして位置付け、毎年定期的に調査を実施し、社員の声を経営や職場環境の改善に活かすための仕組みとして活用しています。
社員エンゲージメントのスコアの実績及び目標は、「(1)サステナビリティ共通 ④指標と目標」をご参照ください。
b.DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)の推進
2030年度までに当社が達成を目指す主要目標と2023年度の実績は次の通りです。
|
課題 |
主要KPI |
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2023年度 実績 |
2024年度 目標 (2022年2月公表) |
2024年度 目標 (2024年2月公表)※3 |
2027年度 目標 |
2030年度 目標 |
|
女性社員の活躍 |
女性社員比率 |
21.7% |
22.0% |
22.2% |
23% |
23% |
24% |
25% |
|
女性管理職※1比率 |
3.4% |
3.4% |
6.0% |
10% |
10% |
16% |
20% |
|
|
男性育児休業取得率 |
29.0% |
35.3% |
61.0% |
50% |
80% |
100% |
100% |
|
|
LGBTQへの理解促進 |
PRIDE指標※2の取得 |
教育施策の実施準備 |
管理職向けeラーニングの実施 |
PRIDE指標 Bronze取得 |
PRIDE指標 Gold取得 |
PRIDE指標 Gold取得 |
- |
- |
|
障がい者 雇用促進 |
障がい者雇用率 |
2.4% |
2.4% |
2.2% |
2.5% |
2.5% |
2.7% |
3.0% |
※1 管理職:職能グレードによる経営専門職の社員(2021年度実績及び2022年度実績は部門長職に就いている社員)
※2 PRIDE指標はLGBTQに関する取り組みを評価する外部指標であります。
※3 2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「男性育児休業取得率」について、2023年度に前倒しで達成したため、2024年2月に当該目標の引き上げを実施しております。
c.ワーク・ライフ・バランスの推進・健康経営
ワーク・ライフ・バランスの充実、仕事と育児・介護を行う社員への両立支援及び健康経営について次の目標を設定しています。
|
課題 |
主要KPI |
2021年度 実績 |
2022年度 実績 |
2023年度 実績 |
2024年度 目標 |
2027年度 目標 |
2030年度 目標 |
|
ワーク・ライフ・ バランスの充実 |
総実労働時間の短縮 |
2,012時間 |
1,944時間 |
1,960時間 |
1,990時間 |
1,930時間 |
1,870時間 |
|
健康経営 |
健康経営優良法人認定 |
2022年 認定済 |
2023年 認定済 |
- |
- |
ホワイト500認定 |
- |
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりです。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものです。
(1)リスクマネジメントの基本的な考え方
当社は、企業経営に重大な影響を及ぼす可能性がある様々なリスクをコントロールするため、当社及びグループ各社においてリスクマネジメントに取り組んでいます。
また、グループ共通の「リスクマネジメント基本方針」を策定し、リスクマネジメントの目的及びその実現のための行動指針を明確にすると共に、その内容を当社ホームページで公開しています。
https://www.kitz.co.jp/cms/wp-content/themes/kitz/images/sustainability/governance/risk-management/risk_management.pdf
(2)リスクマネジメント体制
当社は、2024年3月28日をもって、監査役会設置会社から指名委員会等設置会社に移行し、経営の監督機能と執行機能を明確に分離し、リスクマネジメントの監督を取締役会の担うべき重要な役割と位置付けています。そのうえで、監督側では、取締役会によるリスクマネジメントの監督を補助し、経営戦略と一体のものとして、その高度化に資するため、委員長及びその委員の過半数を社外取締役とする任意の機関である「リスク委員会」を設置しました。
また、執行側では、取締役会の監督のもと、リスクマネジメント基本方針に基づき、代表執行役社長を委員長とする「C&C管理委員会」(コンプライアンス・危機管理・リスクマネジメントを主管する専門委員会)の指揮下で、同委員会の委員を兼務するリスクマネジメント担当役員が、当社及びグループ各社のリスクマネジメントを推進しています。
その他、当社グループの業務執行における重要事項の意思決定の適正性を確保するため、代表執行役社長の指揮下にサステナビリティ推進、内部統制、投融資審査その他各種機能別専門委員会を設置し、リスク管理・評価及び提言などを行っています。
(3)リスクの分析評価
当社グループでは、当社のC&C管理委員会が策定したリスク評価に関する基本方針及び評価基準に基づき、グループ各社において事業活動に係る想定リスク(全128項目)について「リスクの発生頻度」と「経営に与える影響度」の2軸からリスクの重要性を定量的に判定し、主要リスク及び重要リスクの特定を行っています。具体的には、リスクの「発生頻度の判定基準」及び「影響度の判定基準」(人的損害、物的損害、賠償責任、利益損害、信用失墜及び環境被害の項目で構成)の評価項目ごとに点数評価し、4象限のリスクマップにおいて、「高損害・高頻度」、「低損害・高頻度」、「高損害・低頻度」及び「低損害・低頻度」のいずれかのゾーンの判定を行います。
(4)リスクマネジメントの実施フロー
当社グループでは、各社・各組織単位で実施するリスク評価の結果を踏まえ、経営会議において「主要リスク」及び主要リスクの中でも特に経営に重大な影響を与える可能性が高い「重要リスク」を特定し、各リスクの重要度から回避、移転、低減または保有のいずれかの対応方針を選択し、当社の各役員及びグループ会社社長を責任者として、必要な対策を立案し実施しています。
特定された主要リスク及び重要リスク並びに立案された対策については、内部監査室長に共有され、内部監査室が業務監査等において対策の進捗及び結果を確認するなど、独立した立場から、その構築・運用状況の評価を行っています。
また、取締役会は、経営会議において特定された重要リスク及び立案された対策並びに内部監査室における評価結果などの報告を踏まえ、必要な審議を行うとともに対策実施の最終的結果を確認するなど、グループにおけるリスクマネジメントについての最終的な決定及び監督を行っています。
(5)当社グループにおける事業リスク
①重要リスク(4項目)
イ.自然災害・戦争テロ・感染症拡大等に係るリスク
日本国または他国において、大規模地震、大雨、洪水、落雷及び強風等の自然災害あるいは火災の発生、新型コロナウイルス等の感染症の蔓延・拡大、または戦争、テロ、暴動などにより、当社グループの事業所(生産現場・事務所など)や製品・部品供給元企業の事業所閉鎖、あるいは物流に関連したインフラストラクチャー(道路、鉄道、港、空港など)や生産・情報システム設備が甚大な被害を受けた場合、長期間にわたり生産停止やサプライチェーンの停滞あるいは交通網遮断による物流機能マヒなどの事態が生じ、経営成績及び財政状態に著しい影響を与える可能性があります。
自然災害については、当社グループの国内における主要な製造拠点が山梨県北西部から隣接する長野県中・南部の地域に集中しており、今後40年以内にマグニチュード8から9クラスの規模で発生する確率が90%程度とされている「南海トラフ巨大地震」が発生した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、こうしたリスクに対応するため、従来から事業継続計画(BCP)の体制構築をはじめ、防災マニュアルの整備、社員安否確認システムの整備、耐震対策及び防災訓練などの対策を進めています。また、当該リスクの移転対策として、地震保険の付保内容を強化しています。
戦争・テロ・暴動については、グローバルに事業活動を展開している当社グループにおいては不可避に内在しているリスクであり、これらのリスクが現実化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループは、こうしたリスクに対応するため、従来から事業継続計画の体制構築を進めています。また、当連結会計年度も、一部の地域及び国家間における戦争、紛争及び緊張状態などの「地政学リスク」が増大または顕在化していることによるエネルギー資源や原材料価格の高騰、輸出入規制の厳格化など状況に鑑みて、グローバルな視点での材料・部品等の調達に係るサプライチェーンリスクへの対策強化に向けた取り組みを推し進めました。
新型コロナウイルス等の感染症拡大については、当社グループが感染症拡大の対象国に生産拠点を有する場合、従業員等関係者の感染または当局の政策等により、工場の全部または一部の稼働停止、材料・部品等の調達の困難、あるいは物流の停滞などが考えられ、その場合、製品供給が正常に機能しない状況となる可能性があります。
また、当社グループが感染症拡大の対象国に販売拠点を有する場合、同様の理由により、事業所の全部または一部の使用停止、物流の停滞、あるいは代理店等の顧客が同様の状況に陥ることなどが考えられ、その場合、販売金額及び数量が低下する可能性があります。
その他、感染拡大に起因した経済活動の減退による市況悪化、企業による設備投資の抑制などが考えられ、その場合、販売金額及び数量が低下する可能性があります。
当社グループは、こうしたリスクに対応するため、全社的にIoTを活用した新しい働き方を推し進めるなど、DX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。
なお、経営成績等に与える影響については「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営環境」に記載しておりますが、当該リスクの発生により、2024年度の経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
ロ.情報セキュリティ・個人情報保護に係るリスク
当社グループの事業活動は、情報システムに依拠して行われています。しかし、高度情報化への対応の遅れや予期せぬ自然災害のほか、悪意者によるウイルス感染等のサイバー攻撃などにより情報システムや通信回線システムの停止、重要な経営情報の破損、消去、改ざん、窃取及び漏洩等の重大な障害が発生した場合には、業務効率及び社会的信用の著しい低下が避けられず、システム・データの復旧に時間と費用を要する可能性があります。
また、内部者や業務従事者の不正により、顧客情報及び個人情報等を含む社内情報が漏洩し、社会的信用の低下に至る可能性があります。
このようなリスクが顕在化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
そのため、当社グループは、サイバー攻撃及び内部者等による情報漏洩や操業停止等の事業継続に支障をきたすリスク並びに顧客・取引先への影響を最小化すべく、情報セキュリティガバナンスを重要な経営課題の一つに位置付け、情報活用による価値創造とリスクマネジメントの両面から対策に取り組んでいます。
キッツグループ情報セキュリティ・個人情報保護ポリシーを定め、社長が任命した執行理事を委員長とする委員会を設置し、情報セキュリティと個人情報保護に関する方針決定や各種施策への取り組みを推進しています。
具体的な施策としては、情報システムの管理体制強化及び社員に対する情報リテラシー向上を図る教育を実施するなど、ハード・ソフトの両面からの適切なセキュリティ対策を講じています。
重要セキュリティ診断を実施し、その結果に基づき、機器の定期更新及び保守サポート体制構築、OA/FAネットワーク網制御、データセンター(クラウド)化によるデータ保全、データバックアップの実施、リモート通信環境の構築、外部Webセキュリティ診断の実施、情報セキュリティ規程の整備・更新などに取り組んでいます。
また、ITリテラシー教育として、毎年実施するeラーニングによる情報管理教育、入社時及び管理職への昇格時の階層別教育、実践的なサイバー攻撃対応訓練などの教育を行っています。
ハ.製品の品質(欠陥、瑕疵等)に関するリスク
当社グループは、社内外の厳格な品質基準のもとに多様な製品を製造しています。
しかし、製品の設計・調達・製造に係る欠陥・不具合が発生し、顧客の使用時点でその不具合が発見される可能性があります。また、万一、製品の欠陥、瑕疵等の品質問題が発生し、リコールや製造物責任が問われた場合、回収費用が発生するだけでなく、顧客の信頼を著しく損ない、場合によっては損害賠償請求を受ける可能性があります。
このため、当社グループは、過去に発生した問題やクレームなどの実事例をベースにして、製品の設計・調達・製造のプロセスにおける問題点を洗い出し、新製品の開発工程やその工程変更、業務標準及び量産品の取扱説明書やカタログ等の記載事項等について、今後の被害を最小限に留めるための改善を行う取り組みを行っています。また、当該リスクが発現した場合の損失を補填するため、適切な内容の保険見直しを継続的に行っています。
ニ.データ・表示類の正確性に係るリスク
官公庁への提出書類、検査員認証・資格の表示、実験・検査データ及び各種文書・記録に改ざんまたは虚偽の記載が発覚した場合、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下による経営成績及び財政状態に影響を及ぼすとともに、投資家の投資判断に著しい影響を与える可能性があります。
このため、当社グループでは、実験・検査データ、書類作成プロセス、各種ルールの管理方法の見直しなどの取り組みを継続的に行っています。
②主要なリスク(14項目)
当社は、上記の4項目に加えて、以下の14項目を当社グループにおける主要なリスクと考えます。
イ.経営環境に関するリスク
a.経済状況の変動
当社グループの製品・サービスに対する需要は、それらの販売を行っている国内及び海外の各地域の経済状況の影響を受けるため、景気変動等により影響を受ける可能性があります。
主要製品であるバルブは、建築設備、機械、工場、プラントなどの向け先に幅広く販売されており、その需要は国内外の建設動向、石油、石油化学関連等の製造業の設備投資動向に影響を受ける傾向にあります。
また、半導体製造装置向けの製品については、半導体市況の影響が大きく、短期間のうちに市場環境が大きく変動する場合があるため、売上・利益に対する不安定要因となります。
伸銅品事業については、主要製品である黄銅棒は、水栓金具、ガス機器、家電製品、自動車部品等の素材として幅広く使用され、主に国内市場で販売されており、国内の住宅関連投資動向に影響を受ける可能性があります。また、販売価格は原材料である銅相場に連動するため、市況の影響を大きく受けます。
その他では、ホテル事業については、新型コロナウイルス等の感染症の拡大に伴う行動制限や入国制限措置が行われた場合、近隣での大規模な催事が中止された場合など、団体旅行による宿泊客及び宴会並びに海外からの団体旅行による観光客の減少による影響を受ける可能性があります。
なお、当社グループの報告セグメントにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照願います。
b.為替相場の変動
当社グループは、日本、アジア、欧州及び南米にて生産活動を行うとともに、世界市場における販売活動を行っています。このため、生産拠点と販売拠点の取引通貨が異なり、常に為替レート変動の影響を受けています。
当社グループでは、国内にて生産し輸出する金額と海外子会社で生産し国内販売向けに輸出する金額は概ね均衡しており、為替の急激な変動に耐え得る経営構造になっておりますが、米ドルに対して円高が進むと、営業利益には若干の有利なインパクトとなります。
また、輸出入のバランスの変化や、大きなプロジェクト案件等で売上代金の回収に時間を要する場合など一部の外貨建の取引については、為替リスクを回避するため、必要に応じて為替予約を行っています。グループ会社間の借入については、基本的に決算上の機能通貨と同じ通貨で行っていますが、機能通貨と異なる通貨の場合には為替予約によりヘッジを行っています。
なお、当社グループの海外事業への投資については、現地通貨安が進行すると為替換算調整勘定を通じて自己資本が減少するリスクがあります。
c.資金調達環境
当社グループは、金融機関等からの借入、社債発行による資金調達を行っていますが、金融市場の環境に変化があった場合、当社グループの資金調達に影響を及ぼす可能性があります。また、当社グループの業績悪化等により資金調達コストが上昇した場合、当社グループの資金調達に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、借入金利については、原則固定化しており、借入期間中の金利変動リスクは僅少です。
資金調達環境の影響を受けないよう直接金融と間接金融のバランスをとり資金調達を実行するほか、総額135億円のコミットメントライン契約を当社グループの取引銀行と締結し、有事の際の短期資金需要の発生に備えていますが、営業利益、経常利益及び純資産に関する財務制限条項があります。
ロ.事業活動に関するリスク
a.市場構造の変化及び競合他社との競争
当社グループは、広範多岐にわたる製品・サービスの開発、生産及び販売を行っており、国内外の大企業から小規模で専門性に優れた企業まで、様々な企業と競合しています。当社グループは、今後も競争力の維持・強化に向けた様々な取り組みを進める方針ですが、競合他社が当社グループよりも優れた技術力、財務力その他の推進力を有している可能性があり、将来にわたって優位に事業を展開できなくなる可能性があります。
バルブ事業について、バルブの原材料は、大きく金属と非金属(樹脂等)に分かれ、市場、用途別にすみ分けられています。現在、非金属製バルブは使用される市場、分野が限定されていますが、技術の変化、顧客ニーズの変化等により、非金属への置き換えが進み、金属製バルブ市場規模が縮小する可能性があります。
また、バルブは建築設備市場における空調関連設備に最も多く使用されていますが、空調方式は大きくセントラル空調方式と個別空調方式に分かれ、バルブはセントラル空調方式において多数使用されます。空調方式は、主に建築設備の規模(延床面積)により決定されていますが、技術的進歩や顧客ニーズの変化により個別空調方式への置き換えが急速に進んだ場合、バルブの需要が大きく減少する可能性があります。
伸銅品事業について、主力製品である黄銅棒は多種多様の用途に用いられていますが、予期し得ない代替製品の出現により、需要が大きく減少する可能性があります。
ホテル事業について、子会社である「ホテル紅や」のブランドで一般消費者向けの事業を展開していますが、食中毒や火災等のブランドイメージを毀損する事案が発生した場合には、風評被害によりレピュテーションが低下する可能性があります。
b.販売代理店等
当社グループのバルブ事業の製品販売は、一部製品についてエンジニアリング会社等のユーザー顧客との直接取引を行うことがありますが、主として販売代理店等を通じて行っており、長年にわたる販売代理店等との協力関係により、当社グループは国内外において強固な販売・サービス網を構築しています。
当社グループは、今後も販売代理店等と友好的な関係を維持できるものと認識していますが、販売代理店等との関係悪化や取引方針の変更あるいは販売代理店等の信用力の低下等により経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループの債権回収については、営業部門の責任のもとに確実な回収を徹底するとともに、経理部門において販売代理店等に対する売掛金の回収状況の把握、信用情報の収集などを行っています。また、販売代理店等ごとの与信管理を徹底し、国内取引では商社を経由した販売を行うほか、グループ一体となった取引信用保険の付保を行うなど、債権保全を行っています。
また、海外輸出・仲介取引では、前金、LC決済によりリスク軽減を図っています。
c.製品価格の下落
当社グループは、国内外の市場において激しい競争に晒されております。こうした状況に対応するため、高付加価値製品の開発、コストダウン活動等に鋭意取り組んでいますが、これらの企業努力を上回る価格下落圧力が生じた場合、当社グループの利益の維持・確保に深刻な影響を与える可能性があり、その影響は特に製品の需要が低迷した状況において顕著となります。
なお、国内バルブ市場においては、当社グループのシェアが高く、比較的価格は安定していますが、海外バルブ市場においては、多数の競合他社が存在しており、特に近年アジアのバルブメーカーの競争力向上により、価格競争が激化しています。
伸銅品事業については、黄銅棒の売価及び原材料の購入単価は、銅相場に連動して決定されますが、仕入から販売までのリードタイムが数か月であるため、相場が下降する局面においては損益が悪化する可能性があります。
d.海外事業活動・カントリーリスク
当社グループのバルブ事業の海外生産比率は約47%であり、主要な拠点は、タイ、台湾及び中国です。また、バルブ事業の海外売上高比率は約41%であり、主要な販売地域はアジア(アセアン、中国、韓国)、米州(北中南米)です。これらの地域の経済、政治、法・税制の変更、自然災害あるいは新型コロナウイルスなどの疫病の蔓延または国家間の外交、安全保障貿易等の情勢により、製品・部品供給等の事業活動及び経営成績が大きな影響を受ける可能性があります。
また、グループ会社間の国際的な取引価格については、当社グループの移転価格方針に基づき適用される日本国及び相手国の移転価格税制を遵守していますが、税務当局から取引価格が不適切であるとの指摘を受ける可能性や協議が不調となった場合に二重課税あるいは追徴課税を受ける可能性があります。
e.固定資産の減損
当社グループは、事業用の資産や企業買収の際に生じるのれんなど様々な有形・無形の固定資産を計上しています。それらについて、減損会計基準を適用し、定期的に減損テストを実施していますが、事業環境の変化に伴い、将来キャッシュ・フローの低下が見込まれた場合には、減損損失を認識する可能性があり、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
なお、当連結会計年度末におけるのれんの未償却残高は僅少です。
また、不採算事業からの撤退や関係会社の整理等の事業再編を行った場合、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
f.購買調達
当社グループの製品の主要な原材料は、銅、ステンレス、アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属材料であり、こうした原材料及び部品等を安定的かつタイムリーに調達することが当社グループの生産活動にとって不可欠です。なお、金属材料は、市況によって価格が急激に変動する可能性があり、特に銅市況の変動は経営成績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、バルブ事業、伸銅品事業ともに原材料価格上昇分をすべて販売価格に転嫁できる保証はありません。
当社グループは、複数のサプライヤーの中から信頼のおけるパートナーを選定し、原材料、部品等を調達する方針をとっていますが、調達品目によっては、仕入先の代替が難しいものがあり、それらのサプライヤーに不測の事態が生じ供給が中断した場合、当社グループの生産体制に大きな影響を及ぼす可能性があります。
また、特定のサプライヤーが人権、労働、環境、腐敗行為等の観点で、社会から容認されないような対応を行っていたことが判明した場合、当該サプライヤーとの取引停止により部品等の調達が困難となる可能性があるほか、当社グループの社会的信用やブランドイメージの低下により投資家の投資判断に著しい影響を与える可能性があります。
このため、当社グループでは「サプライヤー・ガイドライン」を策定し、サプライヤーに対し、品質管理のほか、人権、労働、環境、腐敗行為を含む事項についての遵守・尊重を求めています。また「グリーン調達基準」を定め、サプライヤーに対して環境負荷を考慮した生産活動を求めるなど、グリーン調達を推進しています。さらには、主要サプライヤーに対し、人権、労働、環境、腐敗行為を含む事項に関するデューデリジェンスを実施し、その遵守状況を確認しています。
g.知的財産
当社グループは、有効な特許権、その他の知的財産権を取得して強固な知的財産ポートフォリオを構築する方針のもとに、製品開発の過程で発明あるいはノウハウに係る多くの知的財産権の取得に努めています。また、これを強力に推進するため、経営戦略、研究開発戦略及び営業戦略にリンクした知的財産権創出、新規性や競合他社の技術を意識した権利範囲の取得及び出願の複合化による権利の強化、あるいはライセンスの積極的許諾活動など経営資源としての知的財産権の活用などに重点を置いた知的財産戦略を推進しています。
しかし、当社グループが保有する知的財産権に対して異議申立や無効審判などが申し立てられ、あるいは商標権の不使用取消審判などが申し立てられ、その結果、商標権を含む当該知的財産権が無効とされる可能性があります。
また、第三者との間で合併または企業買収などが行われた結果、それまで当社グループがライセンスしていない第三者がライセンスを保有するなど、当社グループの知的財産権の優位性が失われる可能性があるほか、今までになかった新たな制約が課せられる可能性があります。
さらに、第三者による当社グループの知的財産権の侵害による紛争・訴訟に至った場合、期待する賠償金を得られない上に、解決するために多額な費用を支出する可能性があります。
当社グループの事前の入念な他社の権利調査にもかかわらず当社グループの製品が他社の知的財産権を侵害し紛争・訴訟に至り、当社グループが敗訴した場合、多額の賠償金を負担するとともに、解決するために多額な費用を支出する可能性があります。
また、海外の製造会社において、当社の知的財産を当社の許諾を得ることなく使用して類似品・模倣品を製造・販売することを防止できない可能性があります。
図らずも、これらの可能性が現実化した場合、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
h.退職給付年金債務
当社グループの従業員退職金制度は、会社が年金運用リスクを負わない確定拠出年金制度、前払退職金及び会社が外部に年金資金を積み立てその運用リスクを負って退職金の額を保証する確定給付年金制度で構成しています。
なお、このうち、確定給付年金制度の割合は小さいものの、定期的にモニタリングを行い、継続的な安定性ある運用となっているか否かを検証しています。また、年金資産構成割合及びその変更は、年金資産運用検討委員会において慎重に検討し決定しています。さらに、年金資産運用に係る方法等については運用委託先の判断に委ねており、利益相反の防止を図っています。
確定給付年金の資産残高は、年金債務に見合う水準にあり、年金資産は最低運用利率の保証された一般勘定を中心にリスクを抑えた運用を行っています。
確定給付年金債務及び確定給付年金費用は、長期期待運用収益率、割引率等の数理計算上の前提条件を基に見積ります。確定給付年金債務は、年金資産の価値の減少、割引率の低下、その他年金数理計算の前提となる比率の変動による予測給付債務の増加に伴う退職給付年金債務の増加をもたらし経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの採用している退職給付年金制度につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (退職給付関係)」をご参照ください。
ハ.法的規制・訴訟・コンプライアンスに関するリスク
a.訴訟・法的処分
当社グループは、グローバルに事業活動を展開しており、その過程において第三者との間で訴訟が発生し、あるいは規制当局による法的処分を受ける可能性があります。その場合、結果によっては多額の損害賠償金や罰金その他諸費用を負担する可能性があります。
また、事案によっては、当社グループの信用力やブランド力の低下などのレピュテーションリスクが生じる可能性があります。
一方、当社グループが第三者に対して訴訟を提起した場合、結果によっては多額の訴訟費用を費やしながら敗訴し、または勝訴しても当該訴訟費用以上の回収が見込めないこととなる可能性があります。
b.環境規制
当社グループは、事業活動を行っているすべての国の様々な環境関連規制の遵守のために必要な経営資源を投入していますが、特に下記のリスク項目について、現在及び過去の生産活動に関わる環境責任に伴う費用負担や賠償責任が発生した場合、社会的信用が著しく失墜する可能性があります。また、環境関連規制が将来さらに厳格化した場合には、追加的義務及び費用が発生し、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
なお、当社グループは、こうしたリスクに対応するため、環境安全担当役員を委員長とする環境安全衛生委員会を設置し、環境データの収集から目標・実績管理、改善施策の立案・実行、効果の把握までPDCAサイクルを運用する環境マネジメント体制を構築し、推進しています。
また、気候変動が事業活動に与える財務上の影響についての情報開示を段階的に進化させていくため、2021年12月に「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」提言への賛同を表明しました。これにより、今後、データに基づいた分析を段階的に進め、気候変動に関するリスクと機会の把握を行うとともに、TCFD提言に沿った情報開示の質と量の充実を図ります。なお、その具体的な取組みにつきましては、「2 サステナビリティに関する考え方及び取組 (2)気候変動」をご参照ください。
ⅰ.原材料となる金属や化学物質に係るリスク
当社グループの製品の原材料である金属や化学物質が、RoHS指令(電子・電気機器における特定有害物質の使用制限についてのEUによる指令)やREACH規則(EUにおける化学品の登録、評価、認可、制限に関する内容について定められた規則)等の環境規制に適合できなくなった場合には、製品を市場に供給することができず、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
ⅱ.地球温暖化に伴う温室効果ガスの排出量に係るリスク
気候変動抑制のため、世界的規模でのエネルギー使用の合理化や温室効果ガスの排出量などに関する法令等の規制が強まっています。
当社グループは、バルブの製造過程で電力や燃料といったエネルギーを大量に消費しているため、エネルギー消費量の現状把握を行い、生産工程や発生源の改善活動を進めています。また、生産性の向上や不良率の低減はもちろんのこと、太陽光パネル等の省エネ機器の導入やCO2フリー電力の採用、また社員への啓発活動を通じて温室効果ガス排出量の削減を進めています。
当社グループは、温室効果ガスの排出量削減に係る効率的な環境経営を推進するため、グループ環境管理体制を構築しています。具体的には、環境安全衛生委員会において温室効果ガスの排出量削減についての基本方針を策定し、経営会議において計画目標を達成する施策について議論しています。また、取締役会は、活動状況及びその効果についての報告を受け、環境リスクへの対応や環境投資の意思決定を行っています。
しかし、このような取り組みにもかかわらず、今後、地球温暖化対策などの法令等の規制がさらに強化された場合、新たな税負担、事業活動における諸資材・燃料の変更あるいは設備の変更等の対応費用を負担することで、当社グループの経営成績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
c.コンプライアンス
当社グループは、事業活動を行う国や地域における会社法、税法、独占禁止法、贈収賄関連諸法、貿易関連諸法、環境関連諸法、各種業法など、多岐にわたる法令や規制に従う必要があります。
当社グループでは、当社及びグループ各社のC&C管理委員会がコンプライアンス課題に対する解決・改善やコンプライアンス・リスクの低減のための教育・研修の実施・監督を行っています。当社及び国内グループ会社の全従業員を対象とするコンプライアンス・アンケート結果を踏まえて特定した各グループ会社や各部門固有の課題の解決・改善に取り組んでいます。
しかし、このような施策を講じても、コンプライアンス上のリスクは完全には回避できない可能性があり、万が一、当該リスクが発現した場合に、当社グループの経営成績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。また、事案によっては、当社グループの信用力やブランド力の低下などのレピュテーションリスクが発生する可能性があります。
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率(%) |
|
売上高 |
159,914 |
166,941 |
7,027 |
4.4 |
|
営業利益 |
11,051 |
13,687 |
2,636 |
23.9 |
|
経常利益 |
12,045 |
14,452 |
2,407 |
20.0 |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
8,549 |
10,591 |
2,041 |
23.9 |
当連結会計年度における世界経済は、新型コロナウイルス感染症による行動規制や入国制限が撤廃され、経済活動の正常化が見られた一方で、ロシア・ウクライナ情勢の長期化によるエネルギー資源・原材料価格の高騰や金融引き締めによる景気の下振れ懸念など先行き不透明な状況が続きました。国内経済においても、新型コロナウイルス感染症による行動規制が撤廃され、個人消費やインバウンド市場の持ち直しが見られるなど景気は回復基調となりつつあったものの、地政学リスクの発生等によるエネルギー資源・原材料価格の高騰や円安基調の為替相場継続に伴う物価上昇など厳しい状況が継続しました。
このような状況の中、当連結会計年度は、バルブ事業において、国内市場では前期及び当期に実施した価格改定効果や半導体製造設備向けの増収があったほか、海外市場においても米州向けを中心に増収となったこと等により、売上高の総額は前年同期比4.4%増の1,669億41百万円となりました。
損益面では、営業利益は、バルブ事業において半導体製造設備向けが増収になったことや海外市場における増収による増益等により、前年同期比23.9%増の136億87百万円となりました。経常利益は、前年同期比20.0%増の144億52百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、政策保有株式の売却による投資有価証券売却益の計上等により、前年同期比23.9%増の105億91百万円となりました。
セグメントごとの経営成績は、次の通りであります。
|
(単位:百万円) |
|
|
外部売上高 |
営業損益 |
||||||
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 (%) |
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率 (%) |
|
バルブ事業 |
125,189 |
136,016 |
10,827 |
8.6 |
14,980 |
17,626 |
2,645 |
17.7 |
|
伸銅品事業 |
32,513 |
28,425 |
△4,087 |
△12.6 |
222 |
512 |
290 |
130.6 |
|
その他 |
2,212 |
2,499 |
287 |
13.0 |
68 |
105 |
36 |
53.8 |
|
調整額 |
- |
- |
- |
- |
△4,219 |
△4,556 |
△337 |
- |
|
合計 |
159,914 |
166,941 |
7,027 |
4.4 |
11,051 |
13,687 |
2,636 |
23.9 |
イ.バルブ事業
バルブ事業の外部売上高は、国内市場において前期及び当期に実施した価格改定効果や半導体製造設備向けの増収があったほか、海外市場においては米州向けが増収となったこと等から、前年同期比8.6%増の1,360億16百万円となりました。営業利益は、増収による増益等により前年同期比17.7%増の176億26百万円となりました。
ロ.伸銅品事業
伸銅品事業の外部売上高は、売価に影響を与える原材料相場は前年同期と同水準であったものの、販売量が減少したことにより、前年同期比12.6%減の284億25百万円となりました。営業利益は、販売量が減少したものの、減耗率の低減等により、前年同期比130.6%増の5億12百万円となりました。
ハ.その他
その他の外部売上高は、ホテル事業において、新型コロナウイルス感染症による行動規制が撤廃され、宿泊客が増加したことや諏訪湖祭湖上花火大会が予定通り開催されたことにより、前年同期比13.0%増の24億99百万円となりました。営業利益は、売上高の増加等により、前年同期比53.8%増の1億5百万円となりました。
(財政状態の状況)
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
増減率(%) |
|
資産 |
152,569 |
166,693 |
14,124 |
9.3 |
|
負債 |
61,526 |
64,486 |
2,959 |
4.8 |
|
純資産 |
91,042 |
102,207 |
11,164 |
12.3 |
|
自己資本比率 |
59.0% |
60.5% |
+1.5% |
- |
当連結会計年度末の資産につきましては、有形固定資産や現金及び預金、棚卸資産の増加等により、前連結会計年度末に比べ141億24百万円増加し1,666億93百万円となりました。
負債につきましては、未払法人税等や未払金の増加等による流動負債のその他の増加等により、前連結会計年度末に比べ29億59百万円増加し644億86百万円となりました。
純資産につきましては、配当金の支払いはありましたが、親会社株主に帰属する当期純利益105億91百万円の計上や為替換算調整勘定の増加等により、前連結会計年度末に比べ111億64百万円増加し1,022億7百万円となりました。
(キャッシュ・フローの状況)
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
増減額 |
|
営業活動によるキャッシュ・フロー |
8,541 |
16,007 |
7,466 |
|
投資活動によるキャッシュ・フロー |
△7,471 |
△7,407 |
64 |
|
フリー・キャッシュ・フロー(注) |
1,070 |
8,600 |
7,530 |
|
財務活動によるキャッシュ・フロー |
△5,567 |
△5,189 |
377 |
|
現金及び現金同等物に係る換算差額 |
914 |
910 |
△4 |
|
現金及び現金同等物の増減額 |
△3,582 |
4,321 |
7,903 |
|
現金及び現金同等物の期首残高 |
27,658 |
24,076 |
△3,582 |
|
現金及び現金同等物の期末残高 |
24,076 |
28,398 |
4,321 |
(注)フリー・キャッシュ・フロー=営業活動によるキャッシュ・フロー+投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ43億21百万円増の283億98百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
イ.営業活動によるキャッシュ・フロー
税金等調整前当期純利益152億82百万円、減価償却費72億69百万円等により、法人税等の支払38億46百万円、棚卸資産の増加26億97百万円等はありましたが、営業活動によるキャッシュ・フローは160億7百万円の資金の増加となりました。
ロ.投資活動によるキャッシュ・フロー
バルブ事業を中心に有形固定資産の取得による支出83億47百万円等を行った結果、投資活動によるキャッシュ・フローは74億7百万円の資金の減少となりました。
ハ.財務活動によるキャッシュ・フロー
配当金の支払32億44百万円、長期借入金の返済による支出21億41百万円等を行った結果、財務活動によるキャッシュ・フローは51億89百万円の資金の減少となりました。
ニ.財務の安定性及び返済能力に関する指標の推移
直近3連結会計年度における財務の安定性及び返済能力に関する指標の推移は、下記の通りであります。
|
|
2021年12月期 |
2022年12月期 |
2023年12月期 |
|
自己資本比率(%) |
56.0 |
59.0 |
60.5 |
|
時価ベースの自己資本比率(%) |
44.5 |
46.4 |
64.9 |
|
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%) |
479.5 |
449.4 |
237.0 |
|
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) |
31.4 |
33.7 |
60.2 |
自己資本比率 =(自己資本)÷(総資産)
時価ベースの自己資本比率 =(株式時価総額)÷(総資産)
キャッシュ・フロー対有利子負債比率 =(有利子負債)÷(キャッシュ・フロー)
インタレスト・カバレッジ・レシオ =(キャッシュ・フロー)÷(利払い)
(注)1.いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.キャッシュ・フローは営業キャッシュ・フローを利用しております。
4.有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っているすべての負債を対象としております。
(2)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
(単位:百万円) |
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
バルブ事業 |
130,746 |
109.9 |
|
伸銅品事業 |
35,327 |
86.8 |
|
その他 |
- |
- |
|
合計 |
166,074 |
104.0 |
(注)上記金額は、販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
② 商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
(単位:百万円) |
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
バルブ事業 |
8,135 |
105.3 |
|
伸銅品事業 |
652 |
88.2 |
|
その他 |
871 |
114.3 |
|
合計 |
9,660 |
104.7 |
(注)上記金額は、仕入価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
③ 受注状況
当社及び連結子会社は見込生産を主体としており、一部特殊仕様の製品について受注生産を行っていますが、その売上高に占める割合は僅少であります。
④ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
|
(単位:百万円) |
|
セグメントの名称 |
当連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
前年同期比(%) |
|
バルブ事業 |
136,016 |
108.6 |
|
伸銅品事業 |
28,425 |
87.4 |
|
その他 |
2,499 |
113.0 |
|
合計 |
166,941 |
104.4 |
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(3)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果とは異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。また個別財務諸表の作成に当たって用いた見積りや仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 2 個別財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績の分析)
当連結会計年度の実績値の結果は、以下のとおりです。
|
(単位:百万円) |
|
|
前連結会計年度 |
当連結会計年度 |
前期比 |
|
実績 |
実績 |
||
|
売上高 |
159,914 |
166,941 |
104.4% |
|
営業利益 |
11,051 |
13,687 |
123.9% |
|
経常利益 |
12,045 |
14,452 |
120.0% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
8,549 |
10,591 |
123.9% |
|
ROE(自己資本利益率) |
10.0% |
11.1% |
+1.1ポイント |
|
EPS(1株当たり当期純利益) |
95.35円 |
118.07円 |
+22.72円 |
売上高及び営業利益については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(経営成績の状況)」をご参照ください。
経常利益につきましては、営業利益の増加により、前期比120.0%となりました。親会社株主に帰属する当期純利益については、投資有価証券売却益の計上等により、前期比123.9%となりました。なお、ROE及びEPSにつきましては、親会社株主に帰属する当期純利益の増加により、前期比で+1.1ポイント、+22.72円となりました。
(財政状態の分析)
当連結会計年度の財政状態の概要につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(財政状態の状況)」に記載した通りであります。
(キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況(キャッシュ・フローの状況)」に記載した通りであります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
a.財務政策の基本
当社グループは、経営環境激変時のリスクに備えつつ、持続的な成長を図る為に、中長期的なROE向上などの資本効率目標や株主還元を重視するとともに、経営環境の変化やリスクへの対応、戦略投資資金の確保のために、資本収益性に加えて資金調達力を加味した最適資本構成の維持を財務戦略・資本政策として掲げております。具体的には、ROE(自己資本利益率)などの資本効率の向上を図るとともに、事業リスクにも対応できるように連結自己資本比率目標を55%~60%程度とし安定した財務基盤の維持を図ってまいります。また、流動性の維持については、機動的な資金調達を実行できる様、取引銀行と良好な関係を維持する一方、公募社債による金融市場からの資金調達にも対応できる様に、格付投資情報センター等の社債格付A格確保に努めております。当社グループ内での資金管理については、グループ全体の資金を包括して管理するシステム(キャッシュ・マネジメント・システム)により資金効率を最大化すると同時にグループ会社の資金需要に対応する体制を整えています。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要は、主にバルブ事業・伸銅品事業の製品販売に関する原材料・部品の購入費用の他、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用による運転資金、国内及び海外の製造拠点を中心とした設備投資資金及び研究開発費用などであります。将来の成長に向けた戦略的な資金需要に対しては、財務の健全性の維持と資本効率性の向上を両立させる最適資本構成を考慮しつつ機動的に対応しております。
資金調達は、主として営業活動によるキャッシュ・フローや現金預金等の内部資金により充当し、必要に応じて金融機関からの借入や社債による資金調達を実施しています。これらの借入金及び社債については、営業活動によるキャッシュ・フローによって十分完済できると共に、将来の成長に必要となる資金を適切に調達することが可能であると考えております。なお、当社は主要取引銀行との間で短期借入金に関する特定融資枠(コミットメントライン)契約を締結しており、緊急時の流動性確保に備えています。この契約に基づく当連結会計年度末の借入未実行残高は135億円であります。
なお、財務制限条項の抵触リスクについては「3 事業等のリスク (5)当社グループにおける事業リスク ②主要なリスク イ.経営環境に関するリスク c.資金調達環境」にそれぞれ記載しております。
c.資金調達の内訳
当社グループの資金調達の過年度の状況は、下記の通りであります。
|
(単位:億円) |
|
区分 |
2015.3 |
2016.3 |
2017.3 |
2018.3 |
2019.3 |
2020.3 |
2020.12 |
2021.12 |
2022.12 |
2023.12 |
|
|
有 利 子 負 債 |
短 期 |
113 |
57 |
49 |
62 |
46 |
96 |
107 |
140 |
37 |
35 |
|
長 期 |
104 |
195 |
201 |
284 |
291 |
296 |
387 |
258 |
347 |
345 |
|
|
合 計 |
217 |
252 |
250 |
346 |
337 |
391 |
494 |
397 |
384 |
379 |
|
|
銀行借入(注)1 |
154 |
150 |
148 |
143 |
135 |
178 |
183 |
89 |
69 |
66 |
|
|
公募社債 |
60 |
100 |
100 |
200 |
200 |
200 |
300 |
300 |
300 |
300 |
|
|
リース債務 |
2 |
2 |
2 |
3 |
2 |
13 |
11 |
8 |
15 |
14 |
|
|
(控除)現金預金 |
140 |
146 |
182 |
234 |
137 |
187 |
337 |
279 |
244 |
290 |
|
|
ネット有利子負債 |
76 |
106 |
68 |
111 |
200 |
205 |
156 |
118 |
140 |
89 |
|
|
株主資本(注)2 |
743 |
751 |
738 |
762 |
756 |
756 |
743 |
804 |
899 |
1,009 |
|
|
資産合計 |
1,158 |
1,194 |
1,191 |
1,335 |
1,317 |
1,350 |
1,407 |
1,434 |
1,526 |
1,667 |
|
(注)1.銀行借入は、私募債を含む。
2.株主資本は、親会社の所有者に帰属する持分合計。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「3 事業等のリスク」に記載した通りであります。
(5)経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
① 第1期中期経営計画2024(2022年度~2024年度)
当社は、第1期中期経営計画2024(2022年度~2024年度)において、最終年度である2024年度における下記の経営指標を数値目標として掲げております。
イ.財務KPI(重要業績評価指標)
a.連結業績
|
(単位:百万円) |
|
|
2023年度 (実績) |
2024年度目標 (2022年2月公表) |
2024年度目標 (見直し後) (注)2 |
3期累計 |
|
|
目標 (見直し後) (注)2 |
実績 |
||||
|
売上高 |
166,941 |
150,000 |
170,000 |
- |
- |
|
営業利益 |
13,687 |
12,000 |
13,000 |
- |
- |
|
ROE(注)1 |
11.1% |
8%以上 |
10%以上 |
- |
- |
|
配当性向 |
34.7% |
35%前後 |
35%前後 |
- |
- |
|
営業活動による キャッシュ・フロー |
16,007 |
- |
- |
42,000 |
24,549 |
b.セグメント別業績
|
(単位:百万円) |
|
外部売上高 |
2023年度 (実績) |
2024年度目標 (2022年2月公表) |
2024年度目標 (見直し後) (注)2 |
2024年度 連結業績予想 (2024年2月公表) |
|
バルブ事業 |
136,016 |
118,500 |
136,600 |
141,000 |
|
伸銅品事業 |
28,425 |
29,500 |
31,000 |
26,500 |
|
その他 |
2,499 |
2,000 |
2,400 |
2,500 |
|
合計 |
166,941 |
150,000 |
170,000 |
170,000 |
|
(単位:百万円) |
|
営業利益 |
2023年度 (実績) |
2024年度目標 (2022年2月公表) |
2024年度目標 (見直し後) (注)2 |
2024年度 連結業績予想 (2024年2月公表) |
|
バルブ事業 |
17,626 |
15,100 |
17,000 |
18,300 |
|
伸銅品事業 |
512 |
1,000 |
800 |
550 |
|
その他 |
105 |
100 |
100 |
100 |
|
調整額 |
△4,556 |
△4,200 |
△4,900 |
△4,450 |
|
合計 |
13,687 |
12,000 |
13,000 |
14,500 |
(注)1.ROE:自己資本利益率
2.2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(財務)」について、2023年2月及び2024年2月に一部見直しを実施しております。
第1期中期経営計画2024の2年目である2023年度につきましては、連結売上高については当社グループとして過去最高の売上高を更新いたしました。バルブ事業においては、価格改定の効果や半導体設備装置向けの増収のほか、海外市場において米州向けを中心に増収となったこと等が売上高に寄与いたしました。
営業利益については、バルブ事業において半導体設備装置向けの増収や海外市場における増収による増益が営業利益に寄与いたしました。
ロ.非財務KPI(重要業績評価指標)
|
非財務KPI※1 (重要業績評価指標) |
2023年度実績 |
2024年度目標 (2022年2月公表) |
2024年度目標 (2024年2月公表) ※4 |
|
|
CO2削減率 (2013年比、国内グループ) |
△86%※3 |
△80% |
△90% |
|
|
社員エンゲージメントスコア |
働きがい |
48pt |
56pt |
56pt |
|
働きやすさ |
46pt |
55pt |
55pt |
|
|
女性社員全体比率 |
22,2% |
23% |
23% |
|
|
女性管理職※2比率 |
6.0% |
10% |
10% |
|
|
男性育児休業取得率 |
61.0% |
50% |
80% |
|
※1 CO2削減率を除きキッツ単体
※2 管理職:職能グレードによる経営専門職の社員
※3 2024年3月28日時点における暫定値であります。
※4 2022年2月に公表いたしました第1期中期経営計画2024において設定していた「定量目標(非財務KPI)」について、一部2023年度に前倒しで達成したため、2024年2月に当該目標の引き上げを実施しております。
非財務KPI(重要業績評価指標)は、2023年度実績については各種施策を実行し上記結果となりました。2024年度目標の達成に向けて各種施策を着実に実行してまいります。
② 2023年度
2023年度の当初業績予想と実績値は以下のとおりであります。
イ.連結業績
|
(単位:百万円) |
|
|
2023年度 当初業績予想 (2023年2月公表) |
2023年度 実績 |
対当初業績 予想比 |
|
売上高 |
167,000 |
166,941 |
99.9% |
|
営業利益 |
11,900 |
13,687 |
115.0% |
|
経常利益 |
12,300 |
14,452 |
117.5% |
|
親会社株主に帰属する当期純利益 |
8,600 |
10,591 |
123.1% |
|
ROE(注)1 |
9%以上 |
11.1% |
+2.1ポイント |
ロ.セグメント別業績
|
(単位:百万円) |
|
|
外部売上高 |
営業利益 |
||||
|
|
2023年度 当初業績予想 (2023年2月公表) |
2023年度 実績 |
対当初 業績予想比 |
2023年度 当初業績予想 (2023年2月公表) |
2023年度 実績 |
対当初 業績予想比 |
|
バルブ事業 |
134,700 |
136,016 |
101.0% |
16,400 |
17,626 |
107.5% |
|
伸銅品事業 |
30,000 |
28,425 |
94.8% |
400 |
512 |
128.2% |
|
その他 |
2,300 |
2,499 |
108.7% |
70 |
105 |
150.4% |
|
調整額 |
- |
- |
- |
△4,970 |
△4,556 |
- |
|
合計 |
167,000 |
166,941 |
99.9% |
11,900 |
13,687 |
115.0% |
(注)1.ROE:自己資本利益率
連結売上高におきまして、過去最高の売上高を更新し、ほぼ当初業績予想どおりとなりました。バルブ事業においては、価格改定の効果や半導体設備装置向けの増収のほか、米州向けを中心に増収になった等により、当初業績予想を上回りました。伸銅品事業においても売価に影響を与える原材料相場は前期と同水準であったものの、業界全体の需要低迷もあり販売量が減少したことにより、当初業績予想を下回りました。また、その他におきまして、ホテル事業において、新型コロナウイルス感染症による行動規制が撤廃され、宿泊客が増加したこと等により当初業績予想を上回りました。
連結営業利益におきましても、過去最高の営業利益を更新し、当初業績予想を上回りました。バルブ事業においては、半導体設備装置向けの増収による増益や米州向けの増収による増益等により当初業績予想を上回りました。伸銅品事業については、減耗率の低減等により当初業績予想を上回りました。また、その他におきましては、ホテル事業における増収による増益により当初業績予想を上回りました。
経営上の重要な契約
当社は、短期の運転資金需要の発生に備え、当社取引銀行との間で特定融資枠(コミットメントライン)契約を締結しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 ⑤ 連結附属明細表 借入金等明細表」に記載しております。
当社グループの開発設計部門は、バルブ事業、伸銅品事業を中心に「お客様に感銘的な創造商品を継続的に提供し、技術力の強化を一つの基軸として企業価値を持続的に向上させます」を行動指針としています。
国内、海外市場の各エリア及び重点市場別の戦略的な取り組みと連携した製品・技術開発計画を立案して積極果敢に研究開発に取り組んでいます。
当連結会計年度における各セグメント別の研究の目的、主要課題、研究成果及び研究開発費は次の通りであります。
なお、当連結会計年度の研究開発費の総額は
(1)バルブ事業
当社の開発設計部門は、主に重点市場分野における新製品と新技術の開発及び成長市場に向けた製品ラインナップの拡充を行っております。また、当連結会計年度中に開発が完了し製品化した主なものは、以下の通りです。
建築設備市場において、空調計装配管向け製品として30K電動アクチュエータ付きバタフライ弁を新たにラインナップし、全閉時のタイトシャットおよび微小流量のコントロール特性を持つ高レンジアビリティバタフライバルブ(スロットロール)の大口径をラインナップしました。
また、純水分野向けには弁体に白色コーティングを施したアクチュエータ搭載のバタフライバルブのラインナップを拡大し、水処理分野の販売拡大を図っております。
一般化学分野においては、機能性化学分野に至るまで対応したステンレス鋼製PFAライニングダイヤフラムバルブを新規にラインナップしました。
石油化学用途にはフュージティブエミッション(漏洩排出物)の削減に向けた国際規格ISO15848-1や団体規格API624に適合した認証製品をラインナップしております。
また、環境配慮した製品に関しては引き続きRoHS指令等の欧州規制に適合した製品のラインナップ拡大も図っております。
更に、水素事業分野においても液化水素用途向けのグローブバルブを新たに投入し、次世代エネルギー発展に向けた製品ラインナップ拡大を図っております。
NEDO事業にも参画し、カーボンニュートラルに関する水素関連事業の技術開発にも継続的に取り組んでおります。
なお、当該事業に係る研究開発費は
(2)伸銅品事業
子会社の株式会社キッツメタルワークスが、成長分野の材料ラインナップ拡大を図るとともに、SDGsや環境規制に対応可能な新素材及び商品開発を行っております。
またNEDO事業にも参画し、省エネルギー戦略に寄与する材料開発にも継続的に取り組んでおります。
なお、当該事業に係る研究開発費は
(3)その他
その他は、ホテル事業などであるため、組織化された研究開発活動は行っておりません。