第2 【事業の状況】

1 【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) 会社の経営の基本方針

当社グループは高い企業価値を実現するために、「全従業員の物心両面の幸福を追求するとともに、社会の公器として地域に貢献すること」を経営理念として掲げ、健全で持続的な成長により、顧客、株主、取引先等、あらゆるステークホルダーに対し社会的信頼に応えていくことを企業経営の基本的使命と位置づけております。

 

(2) 経営環境

当社グループの主たる事業である住宅業界を取り巻く環境におきましては、住宅取得や住宅改修のための各種補助金制度の継続など、政府による需要喚起のための後押しはあるものの、中長期的な新築住宅着工棟数の減少傾向に加え、住宅ローン金利の先高観、土地価格や建築コストの上昇等による住宅取得や大規模改修に対するマインドの低下、設計職・施工監理職等の専門職技術者の人材不足など、依然として厳しい状況が続くものと思われます。

 

(3) 中長期的な会社の経営戦略

当社グループは、持続可能な社会の実現に向けて当社グループが提供できる価値として「安らぐ『暮らし』を創造し、心豊かな社会を実現する」ことを掲げ、新たな長期ビジョン「Vision 2030」及び第2次中期経営計画を策定いたしました。当社グループが地域の皆さまから必要とされる存在になるため、社会における存在価値を向上させることで持続的成長の源泉となる利益を安定的に確保し、すべてのステークホルダーへ貢献してまいりたいと考えております。

2024年を初年度とする3ヵ年の第2次中期経営計画は、長期ビジョン「Vision 2030」における第2次計画として、以下の3つの基本方針を掲げ、当社グループ全体の収益構造を強化するとともに、持続的な成長と中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。

(中期経営計画の基本方針)

①成長戦略

②質の追求と高効率戦略

③人的資本経営

(数値目標)

 

 

2023年12月期

(参考実績)

2024年12月期

(計画)

2025年12月期

(計画)

2026年12月期

(計画)

グループ社数

(社)

売上高

(百万円)

7,399

7,730

8,970

10,215

営業利益

(百万円)

336

340

410

500

営業利益率

(%)

4.5

4.4

4.6

4.9

営業利益成長率

(%)

48.4

1.1

20.8

21.9

従業員増加率

(%)

△0.8

6.7

12.1

13.5

 

 

(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

上記経営戦略を実行していく上で、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題は以下の通りであります。

事業ポートフォリオの最適化と安定成長

景気動向に左右されない安定した収益を確保するためには、既存の3つの事業セグメントの分析や見直しを継続的に行い、事業ポートフォリオの最適化を図っていく必要があると認識しております。売上高の80%以上を占める住宅リフォーム事業のさらなる伸長を図りつつ、住宅リフォーム事業での認知度とブランド力を活かして新築住宅事業や不動産流通事業を展開してまいります。また、住宅リフォームのノウハウを活かしてオフィスなど非住宅建物のリフォーム事業を展開するなど、成長分野へのリソース集中と新規事業の創出を進め、住宅関連総合企業として利益の最大化を図ってまいります。

 

② 成長の加速

2030年に向けた長期ビジョン「Vision 2030」で掲げた目標を達成するためには、成長スピードをさらに加速させることが必要であると認識しております。具体的には、M&Aやアライアンス等を活用して全国の中堅・中小工務店と連合し、より大きな企業集団となることで、DXやIT技術への積極的な投資や、共同仕入れによる購買力向上によって収益力を高めるなど、グループ化によるシナジーを発揮してまいります。また、当社グループの得意とする集客ノウハウや顧客関係構築ノウハウをグループ会社で共有することによって、顧客との強いつながりを築き、それぞれの地域にとって当社グループが無くてはならない存在となることを目指してまいります。
 

③ 顧客満足の追求

BtoCビジネスの展開においては、顧客満足を常に追求する必要があると認識しております。顧客が求める利便性をさらに高めて顧客対応の最速化を進めるとともに、創業半世紀という長い歴史の中で築き上げてきた工事品質の維持・向上に努め、顧客の期待を超えるサービスや付加価値を提供してまいります。また、「住まいのかかりつけ医」として顧客が気軽に相談できる関係づくりを重視し、顧客や地域にとって当社が無くてはならない存在となることを目指してまいります。

 

④ DXの推進

労働集約性の高いビジネスである住宅事業において、技術職の減少や総労働量の減少といった課題に対応するためには、業務の自動化や省力化を推進し、限られた人材リソースを成長分野に集中する必要があります。

この課題を克服するために、バックオフィスにおいてはオンライントレーニングや動画研修ツールの活用、社内コミュニケーションツールの活用、デジタル化に合わせた業務フローの見直しを進めてまいります。また、営業、工事の現場においては、顧客向けアプリの提供による顧客との「つながり」を強化するとともに、現場管理アプリの導入による現場情報のリアルタイムな共有、見積り・発注・原価管理のシステム一元管理など、多方面でDXを積極的に推進して業務フローを革新し、社員一人当たりの生産性をさらに高めてまいります。

 

⑤ 人的資本経営

労働集約性の非常に高いビジネスである住宅事業を展開拡大していく上では、専門的知識や豊富な経験を有する人材を多く必要としております。しかしながら、建設業界における専門技術者の有効求人倍率高止まり等から十分な人材の確保ができず、機会損失が生じるおそれがあると認識しております。顧客へのサービス向上と持続的な成長発展のためには、①優秀な人材を継続的に確保すること、②人材や組織に知識や経験を内包し、将来の経営・幹部層を育成すること、③従業員のエンゲージメントを高め、企業の持続的な成長につなげることが重要であると認識しております。

そのため、当社グループの理念に共感する人材を安定的に確保する新規学卒者の採用と、建築士等の有資格者などの即戦力のキャリア採用をバランス良く、かつ積極的に実施するとともに、将来、経営層・幹部層として活躍できる人材を育てるため、入社1年目から経営トップによる研修を実施するなど、階層別の研修を実施して社員の資質向上を図ってまいります。加えて、従業員のエンゲージメントを高めるため、公平な分配制度の構築を進めるとともに、福利厚生や社内行事の企画・運営を社員自らが行うこと等による自主性の醸成を通じて、安心して働くことのできる仕組みづくりや働きがいのある環境づくりに取組み、強固で持続的な企業価値の向上に繋げてまいります。

 

 

2 【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。

 

(1) サステナビリティ全般に関するガバナンス及びリスク管理

当社グループの主業である住宅リフォーム事業は、新築建替に比して既存住宅を活かすことで解体時の廃棄物やCO2排出量の削減できることや、省エネ仕様の推進により既存住宅の性能を向上させ環境負荷を低減できることから、事業そのものがサステナビリティへの取組みに繋がるものと考えております。

当社グループは、サステナビリティ関連課題への対応が経営の重要課題の一つであると認識しており、これらを当社グループの事業に取り入れていくことで、持続可能な社会の実現に貢献するとともに、当社グループの持続的な成長に寄与するものと考えております。

当社グループでは、取締役会がサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しております。取締役会は、サステナビリティ全般に関するリスク対応方針及び実行計画等に関する経営上の重要事項を審議・監視しており、全体的な評価と定期的な見直し、及び方針の立案等を年2回行っております。当社グループのガバナンス体制、リスク管理体制については、「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等 (1) コーポレート・ガバナンスの概要」に記載の体制と同様であります。

 

(2) 重要なサステナビリティ項目

上記、ガバナンス及びリスク管理を通して識別された当社グループにおける重要なサステナビリティ項目は以下の通りであります。

  ・環境への配慮

  ・人的資本経営

それぞれの項目に係る当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次の通りであります。

① 環境への配慮

当社グループは、中長期的な企業価値の向上に向け、ESGに対する取組みを重要な経営課題と認識し、その一環として、SDGs(持続可能な開発目標)についての取組みを行っております。特に、自然素材を用いた住まいづくりを促進して、そこに暮らす人々の健康的な生活を確保するとともに、石油製品の使用を減らして環境負荷を低減し、住み続けられるまちづくりの促進につなげています。また、エネルギーを効率的に利用するZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)を促進して、各家庭における再生可能エネルギーの創出と、持続可能な近代的エネルギーへのアクセス確保に努めるとともに、高い断熱性や充実した省エネ設備によりエネルギーを効率的に利用し、気候変動の原因の一つであるCO2の発生を低減して、安心して住み続けられる持続可能な社会の実現を目指しております。SDGsの取組み内容は当社ホームページ等で公表しております。

https://www.yasue.co.jp/sdgs/

 

② 人的資本経営

(人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針)

当社グループは、住まいに関することの中でも生涯を通して実施機会が多い住宅リフォームを主業として、当社グループのミッションである「すべてのお客様に安らぐ『住まい』を提供し一生涯のおつきあいをする」ことの実現を目指しております。当社グループが人々の暮らしを支える「住まいのかかりつけ医」のような存在になるためには、お客様との信頼関係の構築が重要であり、従業員一人ひとりがお客様の立場で考え、行動することが必要となるため、継続的な人材の確保と育成が必要不可欠であると考えております。当社グループの人的資本経営を実現するため、ライフステージに合わせて柔軟な働き方ができる環境や、最大限の能力を発揮できる環境を整備するなど、すべての従業員にとって働きがいのある会社となることを目指してまいります。

 

 

(戦略)

当社グループは、「人材」が最も重要な資本と捉えており、多様性の確保を含む人材育成及び社内環境整備について優先的に取組むべき3項目の重要課題を特定し、以下の戦略を重点的に取組むことで人的資本の一層の充実を図り、強固で持続的な企業価値の向上に繋げてまいります。

重要課題

戦略

具体的な取組

多種多様で優秀な人材の確保

新規学卒者の採用

・当社グループの理念に共感する人材を安定的に確保するため、将来を担う新規学卒者を積極的に採用

キャリア採用

・強固かつ対応力のある集団となるため、他社で様々な経験を積んだ即戦力を採用するキャリア採用を新規学卒者の採用とのバランスを考慮し実施

ダイバーシティ採用

・多様な価値観を持つ顧客のニーズに対応するため、様々なポテンシャルを持つ方や性別など、属性の違いを超えた多様な人材を採用

充実した人材育成教育

スキル向上

・知識、教養、考え方を研鑽するため、社員で構成する社内横断型の委員会活動によって研修内容を決定し、階層別の研修を実施

・従業員の自発的な学びを支援するため、書籍購入補助制度等を導入

・スキルアップの機会を応援するため、建築士など各種資格手当や合格祝い金を支給

能力開発

・幅広い知識や対応力を養うため、適時的確なジョブローテーションにより各部署での経験を積みやすい環境を整備

次世代リーダー育成

・将来の経営層・幹部層として活躍できる人材を育てるため、経営トップによるCEO研修の実施

従業員エンゲージメントの向上

社員満足度向上

・個々の能力や経験、実績や貢献度をバランスよく評価するため、全社員を対象に半年に1度「評価シート」で可視化し、上長による個別フィードバック面談を実施

・組織状況を把握し、モチベーションアップを図るため、全従業員を対象に毎年1回「モラールサーベイ」を実施

職場環境向上

・働く従業員が個々の状況に応じて選択できる環境を構築するため、テレワーク勤務、短時間勤務、時差出勤などの制度を導入

・福利厚生制度の拡充を図るため、社員で構成する社内横断型の委員会活動によって、社員自らが福利厚生を発案

 

 

(指標及び目標)

当社グループでは、上記(戦略)において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する指標及び目標については定めておりませんが、性別や国籍等に関係なく優秀な人材を管理職に登用する方針であり、人材育成や環境整備に努めております。当社グループ全体の従業員構成比では男性43%、女性57%の割合となっており、すべての従業員が活躍しやすい環境を整備すること等を通じて、自然に女性管理職比率や男性育休取得率等が向上するように取組んでまいります。

 

 

3 【事業等のリスク】

当社グループの事業内容、経営成績、財政状態に関する事項のうち、事業展開上のリスク要因や、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性がある主な事項には、次のものが挙げられます。

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は本書提出日現在において判断したものであります。また、以下の記載事項は、当社グループの事業等に関するリスクをすべて網羅したものではありません。

 

(1) 市場及び事業環境に関するリスク

① 顧客の購買意欲について

当社グループが事業展開している住宅業界においては、景気、金利、地価、税制及び政策等によって顧客の購買意欲が大きく影響を受けます。今後の景況感の悪化、所得の低下、金利の上昇、地価の上昇、政策の変更(住宅ローン減税の廃止・縮小など)があった場合には、顧客の購買意欲が低下し、中長期的な需要の低迷が予想されます。これにより、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、外部環境の変化に対する影響を軽減し、安定的かつ持続的な成長を可能とするため、住宅リフォーム事業をOB顧客からのリピート注文を確保するストック型ビジネスと捉えております。景況感の悪化など一時的に消費マインドが低下する際は、OB顧客へ販促キャンペーンを行うなど、購買意欲を喚起する広告宣伝及び営業活動を行ってまいります。

 

② 営業地域の限定について

当社グループは、各社事業エリアを中心に営業活動を展開しております。そのため、当該地域の経済状況、金利動向、地価の動向、住宅需給の動向、雇用情勢、人口の動向、世帯数の動向等が、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、各社事業エリアにおいて精緻なマーケティングを実施し、引き合い数の最大化を図るとともに、引き合い数に応じた適正人員数を配置し、各地域の需給の変化に対応しております。また、中長期的には新店舗の開設やM&Aにより、営業エリアの拡大に努めてまいります。

 

③ 業績の季節変動について

当社グループの住宅リフォーム事業及び新築住宅事業においては、顧客への建物完成引渡しが、年末に向けて増加し、業績が下期に偏重する傾向があります。

当社グループでは、新築住宅事業において、特定の時期に建築工事が集中しないよう建物完成引渡し時期の調整を行っております。また、住宅リフォーム事業においても、集客イベント実施時期を分散させるなどして、建築工事及び建物完成引渡し時期の平準化を図っております。

なお、当連結会計年度の各四半期会計期間の売上高は、次の通りであります。

セグメントの名称

第49期連結会計年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)

第1四半期

第2四半期

第3四半期

第4四半期

通期計

住宅リフォーム
事業

金額(千円)

1,349,628

1,400,082

1,625,814

1,671,279

6,046,805

構成比(%)

22.3

23.2

26.9

27.6

100.0

新築住宅
事業

金額(千円)

47,838

95,114

151,236

170,565

464,755

構成比(%)

10.3

20.5

32.5

36.7

100.0

不動産流通
事業

金額(千円)

158,312

137,232

357,854

234,720

888,119

構成比(%)

17.8

15.5

40.3

26.4

100.0

合計

金額(千円)

1,555,779

1,632,429

2,134,905

2,076,565

7,399,680

構成比(%)

21.0

22.1

28.9

28.1

100.0

 

 

 

④ 外注先の確保ならびに活用について

当社グループは、受注した新築・リフォーム工事等を協力会社に外注しております。今後、営業地域の拡大や受注件数の増加により、協力会社を適時に確保できなかった場合や、協力会社の倒産等により代替業者との調整による工事遅延等が発生した場合には、当社グループの業務の停滞につながり、業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、協力会社のコントロールに最善を期しており、その選定にあたっては、その経営状態、技術力、評判及び反社会的勢力との関係の有無などを調査しております。また、協力業者会の定期開催等により、当社グループの理念の共有及び安全・品質管理の徹底等に十分に留意しております。

 

⑤ 外注費、資材価格の高騰について

当社グループは、多額の出費となりがちな住宅リフォームや新築住宅を魅力ある価格帯で提供するため、外注先・資材の仕入れ先を複数確保し、価格の抑制に努めております。しかしながら、住宅業界における職人不足の顕在化等による外注費の高騰、資材の需要増加等による価格の高騰が生じた場合は、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、協力会社や資材調達先との取引関係を強化し、常に市場の最新情報を入手することで、価格高騰などによる影響を最小限に抑えるよう努めております。

 

⑥ 競合について

住宅業界は、事業を行うための許認可の取得など新規参入に係る一定の障壁はあるものの、大手ハウスメーカーをはじめ個人事業者に至るまで大小さまざまな競合他社が多数存在しております。また、近年では家電量販店やインターネット通信販売会社の住宅リフォーム事業への参入等、競合は一段と激化する傾向にあります。これら競合他社の動向によっては、今後の事業運営に影響が生じ、事業計画の達成や当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、経験豊富な設計職により、デザイン性の高い新築住宅・住宅リフォームの提案を行うことを特長としておりますので、社内教育や外部デザインコンテストを通じてデザインレベルを向上させ、他社に対する優位性を発揮してまいります。また、安価で高品質なオリジナル自然素材の開発を継続的に行い、商品力における差別化戦略も講じてまいります。

 

⑦ 自然災害について

住宅業界は、火災・地震・台風等大規模な自然災害の影響を受けやすい事業といえます。災害の状況によっては、建物の点検や応急措置等の初動活動や被災した建築現場の修復に加え、支援活動等により多額の臨時費用の発生や建築現場の資材・部材等の確保が困難になることにより、当社グループの事業等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、万一に備えて各種保険への加入や耐震性能の高い住宅仕様の研究・開発に努めるとともに、BCP(事業継続計画)を策定し、災害からの早期事業復旧体制を整備しております。

 

 

(2) 当社グループの経営に関するリスク

① 人材の確保及び育成について

当社グループが行う住宅リフォーム事業、新築住宅事業及び不動産流通事業には、広範囲の専門的知識や資格を有した人材が不可欠であります。したがって事業拡大を図るうえで、優秀な人材を適切な時期に確保するとともに、その人材の育成に努める必要があります。人材の確保や育成が計画通りに進捗しない場合には、当社グループの業務が停滞するなど、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは人材確保のため、新規学卒者や建築士等の有資格者の積極的な採用を行っていく方針であります。また、研修制度の充実を図り、従業員の教育・育成にも注力しております。

 

② 店舗展開に係る固定資産の減損について

当社グループは、ドミナント戦略に基づいて店舗展開を行っております。事業環境の急変などにより、予期せぬ状況変化や初期の事業計画から大幅な乖離が生じた場合、固定資産の減損損失が生じ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、店舗開設に係る設備投資の実施にあたっては、事前に収益性や投資回収について様々な観点から検討を踏まえて事業計画を策定しており、投資の回収可能性を慎重に検討しております。

 

③ 企業買収に関するリスク

当社グループは、M&Aによる成長拡大戦略を行っており、M&A実施後に、事業環境の急変などにより、予期せぬ状況変化や買収時の事業計画から大幅な乖離が生じた場合には、のれんの減損、資金回収の遅延など、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、M&Aの実施にあたっては、市場動向や相手先企業の経営成績、財政状態、市場競争力等を十分に考慮した上で事業計画を策定し、収益性や投資の回収可能性を慎重に検討して投資の意思決定をしております。

 

④ 取得する販売用不動産の欠陥について

当社グループの不動産流通事業においては、販売目的の不動産を取得しており、取得した不動産について事後的に欠陥等が発見される場合があります。したがって、取得する販売用不動産に欠陥があり、取引態様によって契約の相手方に契約不適合責任を追及できない場合には、当該不動産の修復等に必要な費用が生じ、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、販売用不動産の取得に際しては、不動産の権利関係・近隣相場・建物構造・周辺環境等を事前に調査するなど、慎重に検討を重ねて取得しております。

 

⑤ 販売用不動産の仕入について

当社グループの不動産流通事業においては、主に名古屋市近郊及び大阪府東部で販売目的の不動産を取得しております。持続的な成長のためには、安定的な不動産取得は不可欠であり、同地域で競業他社との物件取得競争が激化し、優良な物件を計画通りに取得できなかった場合、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、大手不動産仲介会社や地場の不動産会社を通じた仕入れを行っておりますが、一層の関係強化と仕入ルートの多元化を図ってまいります。

 

⑥ 販売用不動産の保有リスクについて

当社グループは、2023年12月時点で1,215百万円の販売用不動産を保有しております。不動産市況の変化による時価の下落や長期保有物件の価格見直し等により、粗利率の低下や販売用不動産評価損の計上等によって、当社グループの業績等に影響を与える可能性があります。

当社グループでは、販売用不動産の保有期間に目安を定め、長期保有によるリスクの低減に努めております。また、不動産の市況を注視し、在庫水準を調整しております。

 

⑦ 資金調達に係るリスク

当社グループは、M&A実施のための資金の確保を、主に金融機関からの借入れに依拠しております。金融市場の混乱や景気低迷、金融機関の融資姿勢の変化により資金調達環境が悪化した場合や、市場金利の急速な上昇等により支払利息が急激に増加した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、金融機関と良好な関係性を維持するとともに、当座貸越枠の確保により急な資金調達需要に備えております。また、中長期資金の調達にあたっては、金融情勢を踏まえながら一定程度金利を固定化することで、金利変動による影響を軽減する取り組みを行っております。

 

⑧ システムリスクについて

当社グループは、業務全般を管理するコンピュータシステム及び顧客情報・工事案件情報のデータベースを活用しており、当該システムの障害、大規模広域災害、もしくはコンピュータウイルス等によるデータベースへの影響、またはシステムの中断等により業務の一部または全般の処理に遅延が発生した場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、システムデータの定期的なバックアップや外部からの不正手段による侵入等に対するセキュリティ機能の充実に努めております。

 

(3) 法務に関するリスク

① 法的規制について

当社グループが取り扱う業務は、「建設業法」、「建築士法」、「宅地建物取引業法」及び関連する各種法令による規制を受けております。

当社グループでは、これらの法令等に基づき許認可及び登録を受けており、本書提出日現在における当社グループの主な許認可取得状況は、以下の通りであります。

(㈱安江工務店)

許認可の名称

特定建設業許可

一級建築士事務所登録

宅地建物取引業者免許

所管官庁

国土交通省

愛知県

愛知県

登録番号等

国土交通大臣許可

(特-4) 第28723号

愛知県知事登録

(い-3) 第12455号

愛知県知事登録

(4) 第20474号

取得日

2022年12月7日

2022年3月7日

2021年4月4日

有効期限

2027年12月6日

2027年3月6日

2026年4月3日

主な許認可

取消事由

・欠格事由等に該当するとき

・不正の手段により許可を受けたとき

・建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼした場合または法令違反等があった場合等において情状が特に重いとき

・営業停止処分に違反したとき等

・免許許取消の申請

・死亡等の届出

・虚偽または不正の事実に基づいて免許を受けたことが判明したとき

・建築士法もしくは建築物の建築に関する他の法律またはこれらに基づく命令もしくは条例の規定に違反したとき

・業務に関して不誠実な行為をしたとき等

・欠格事由等に該当するとき

・不正の手段により免許を受けたとき

・業務に関し取引の関係者に損害を与えまたは公正を害する行為をした場合において情状が特に重いとき

・業務停止処分に違反したとき等

 

 

(㈱トーヤハウス)

許認可の名称

一般建設業許可

二級建築士事務所登録

宅地建物取引業者免許

所管官庁

熊本県

熊本県

熊本県

登録番号等

熊本県知事許可

(般-2) 第12732号

熊本県知事登録

第5294号

熊本県知事登録

(8) 第3518号

取得日

2020年7月20日

2022年3月17日

2023年9月25日

有効期限

2025年7月19日

2027年3月16日

2028年9月24日

主な許認可

取消事由

・欠格事由等に該当するとき

・不正の手段により許可を受けたとき

・建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼした場合または法令違反等があった場合等において情状が特に重いとき

・営業停止処分に違反したとき等

・免許取消の申請

・死亡等の届出

・虚偽または不正の事実に基づいて免許を受けたことが判明したとき

・建築士法もしくは建築物の建築に関する他の法律またはこれらに基づく命令もしくは条例の規定に違反したとき

・業務に関して不誠実な行為をしたとき等

・欠格事由等に該当するとき

・不正の手段により免許を受けたとき

・業務に関し取引の関係者に損害を与えまたは公正を害する行為をした場合において情状が特に重いとき

・業務停止処分に違反したとき等

 

 

(アプリコット㈱)

許認可の名称

一般建設業許可

所管官庁

兵庫県

登録番号等

兵庫県知事許可

(般-1) 第462302号

取得日

2020年3月30日

有効期限

2025年3月29日

主な許認可

取消事由

・欠格事由等に該当するとき

・不正の手段により許可を受けたとき

・建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼした場合または法令違反等があった場合等において情状が特に重いとき

・営業停止処分に違反したとき等

 

(㈱MIMA)

許認可の名称

一般建設業許可

二級建築士事務所登録

宅地建物取引業者免許

所管官庁

大阪府

大阪府

大阪府

登録番号等

大阪府知事許可

(般-1) 第122752号

大阪府知事登録

(ろ) 第9217号

大阪府知事登録

(3) 第55307号

取得日

2019年7月2日

2022年9月1日

2020年6月25日

有効期限

2024年7月1日

2027年8月31日

2025年6月24日

主な許認可

取消事由

・欠格事由等に該当するとき

・不正の手段により許可を受けたとき

・建設工事を適切に施工しなかったために公衆に危害を及ぼした場合または法令違反等があった場合等において情状が特に重いとき

・営業停止処分に違反したとき等

・免許取消の申請

・死亡等の届出

・虚偽または不正の事実に基づいて免許を受けたことが判明したとき

・建築士法もしくは建築物の建築に関する他の法律またはこれらに基づく命令もしくは条例の規定に違反したとき

・業務に関して不誠実な行為をしたとき等

・欠格事由等に該当するとき

・不正の手段により免許を受けたとき

・業務に関し取引の関係者に損害を与えまたは公正を害する行為をした場合において情状が特に重いとき

・業務停止処分に違反したとき等

 

現時点において、当該許認可等の取消しとなる事由に抵触する事象は発生しておりませんが、将来、何らかの理由により、当該許認可等が取り消され、またはそれらの更新が認められない場合、もしくは、これらの法律等の改廃または新たな法的規制が今後制定された場合には、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これらの法令等を遵守し、許認可等の更新に支障が出ないよう、従業員に対するコンプライアンスに関する教育指導を継続的に実施しております。また、法令等の改正情報を早期に入手し、対策を立てることにより法令遵守の徹底を図っております。

 

② 品質の保証及び重大事故や契約不適合によるリスク

当社グループが扱う住宅リフォーム事業及び新築住宅事業においては、顧客との工事請負契約に基づく契約不適合責任に加え、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」により増改築住宅及び新築住宅の構造上の主要な部分及び雨水の浸水を防止する部分については10年の契約不適合責任を負うことが義務付けられています。施工段階における重大事故が生じた場合、施工した工事に重大な契約不適合が認められた場合には、補償工事、損害賠償の発生に加え、社会信用力の低下など、当社グループの業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、設計、施工、監理の充実を図り、品質、安全衛生管理について万全を期しております。また、2007年3月より、株式会社日本住宅保証検査機構の住宅瑕疵担保責任保険「JIOわが家の保険」に加入しております。当該保険の加入にあたっては、同機構が定める技術的基準に適合していることが要件であり、同社が指定する第三者機関による現場検査を受け、適合証明(性能評価)を受けております。

 

③ 個人情報の保護に関するリスク

当社グループは、住宅見学会来場者リストや工事発注顧客等の個人情報を保有しております。人為的なミスや何らかの不正な方法等により当社グループが保有する個人情報が漏洩した場合には、当社グループの社会的信用力の低下や損害賠償の請求等によって業績等に影響を及ぼす可能性があります。

これらの情報管理については、「個人情報の保護に関する法律」に基づき社内規程の整備、管理体制の構築、外部からの侵入防止対策の実施等を講じるとともに、従業員等に対し個人情報に係る啓蒙活動を実施し、その漏洩や不正使用の未然防止に努めております。

 

④ その他法的規制に係るリスク

当社グループは、受注した新築・リフォーム工事等の施工を協力会社に委託しており、当該委託に関する取引は「建設業法」の下請工事に関する規定または、「下請代金支払遅延等防止法」(以下、「下請法」といいます。)の適用対象となります。当該法的規制に抵触する事実はないものと認識しておりますが、今後何らかの理由によりこれらの法令に違反し、公正取引委員会による勧告を受けた場合には、当社グループの社会的信用力の低下によって業績等に影響を及ぼす可能性があります。

当社グループでは、これらの法令の趣旨に則り、協力会社への代金は遅延なく支払うこと等、業務上の責任分担を適切に行うことはもとより、弁護士等からリーガルチェックを受けた契約書の雛形を利用するなど法令遵守に努めるとともに、建設業法ならびに下請法について従業員に対して適時研修を実施しております。

 

(4) その他

新株予約権の行使による株式価値の希薄化について

当社グループは、当社グループの役員及び従業員に対するインセンティブを目的とした新株予約権(ストック・オプション)を付与しております。また、M&A資金の調達を目的としてマッコーリー・バンク・リミテッドに対して新株予約権を付しております。2023年12月31日現在、これらの新株予約権による潜在株式数は467,000株であり、発行済株式総数の1,351,560株の34.6%に相当しております。これらの新株予約権が権利行使された場合、当社の株式が新たに発行され、既存の株主が保有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

今後も、ストック・オプション制度の活用や資金調達目的の新株予約権の発行を検討しており、1株当たりの株式価値に希薄化が生じる可能性はありますが、ストック・オプション制度により株価変動に関する利害を株主の皆様と共有することによる貢献意欲の向上や、調達資金を効率的に事業へ投下することなどを通じ、結果として、企業価値向上へ貢献するものと考えております。

 

4 【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1) 経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。

 

① 経営成績の状況

当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行により、経済活動の正常化が進むとともに、雇用情勢にも改善の動きが見られるなど、景気は緩やかな回復基調となりました。一方、円安の進行やロシア・ウクライナ情勢の長期化、中東情勢の緊迫化に伴う地政学リスクに起因した資源・エネルギー価格の高止まりなど、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。

住宅業界におきましては、こどもエコすまい支援事業等の政府による後押しがあるものの、資源価格の高騰を受けた木材・住宅設備機器等の値上げによる消費マインドの低下、設計職・施工監理職など専門職技術者の人材不足など、依然として厳しい状況となっております。

このような環境下で、当社グループは「すべてのお客様に安らぐ『住まい』を提供し、一生涯のおつきあいをする」ことをミッションに掲げ、お客様にとって価値あるサービスが提供できるよう、住宅に関するニーズにワンストップで応え、あらゆる相談に対応できる利便性の高い体制の構築に努めてまいりました。

また、2021年2月に策定した中期経営計画の3つの基本方針「競争力強化」「成長拡大戦略」「環境変化への対応力強化」に基づき、2030年に売上高300億円達成を目標とする長期ビジョン「Vision 2030 forward 300」の実現に向けて、グループブランド「r-cove*(アール・コーブ)」の強化・浸透を図り、グループ内のシナジーを最大限に発揮してグループ全体で収益拡大に取り組んでまいりました。

当連結会計年度におきましては、新築住宅事業において、木材・住宅設備機器の価格高騰の影響を受けるなど消費マインドの低下から受注が低調となったものの、主力の住宅リフォーム事業において、外壁塗装などの住まいのメンテナンス需要やキッチン・浴室などの水回り機器の入れ替え需要が堅調に推移しました。また、不動産流通事業においても、不動産仲介時に提案するリフォーム工事の受注が好調であったことから前期に比べ増収増益となりました。

この結果、当連結会計年度における売上高は7,399百万円(前期比5.0%増)、営業利益は336百万円(前期比48.4%増)、経常利益は335百万円(前期比44.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は204百万円(前期比51.4%増)となりました。

セグメントの業績は、以下の通りであります。

 

(住宅リフォーム事業)

住宅リフォーム事業におきましては、建築士などの資格を有するデザイナーによる機能性・デザイン性の高いリフォームを提供するとともに、屋根・外壁塗装等の外装や玄関アプローチ・カーポート等のエクステリアに特化した専門部署において、専門性の高いノウハウを活かした提案を行うなど、安定的な営業活動を展開してまいりました。加えて、当社リフォーム店舗に併設している子会社のインテリア販売拠点を活用し、住宅リフォームに家具やカーテンをセットでコーディネートするなど、グループ内のシナジーを活かしてお客様満足度の向上に努めてまいりました。

また、新型コロナウイルス感染症への対策リフォームとして、オリジナル建材の「無添加厚塗りしっくい®」やお客様が在宅したまま1日で施工可能な光触媒コーティング「ナノ抗菌R*コート」など、抗ウイルス効果のある建材を使用したリフォームの提案を積極的に行い、新たな需要の取り込みにも注力してまいりました。

当連結会計年度における当事業の業績につきましては、住まいのメンテナンス需要が堅調であったことに加え、テレビCMやYouTubeなどのSNSを活用した広告宣伝戦略が効果的に機能したことから、売上高は6,046百万円(前期比8.0%増)、セグメント利益は292百万円(前期比50.9%増)となりました。

 

(新築住宅事業)

新築住宅事業におきましては、オリジナル建材である「無添加厚塗りしっくい®」や、無垢の木材、薩摩中霧島壁などの自然素材を活かし、デザイン性や機能性を高めた4つの注文住宅ラインナップを揃えており、お客様のニーズに合わせた提案を行うとともに他社との差別化に注力してまいりました。また、反響のあったお客様に対する自動メール配信や反響分析の管理ツールを導入・活用するなど、営業活動の効率化にも取り組んでまいりました。

当連結会計年度における当事業の業績につきましては、木材・住宅設備機器等の値上げに伴う消費マインドの低下が続いており、前期からの繰越受注棟数の減少により引渡棟数も減少したことから、売上高は464百万円(前期比34.5%減)、セグメント損失は37百万円(前期はセグメント利益3百万円)となりました。

 

(不動産流通事業)

不動産流通事業におきましては、地域密着型の強みを活かして良質な小規模分譲地の仕入れに注力し、自社での新築注文住宅や新築分譲住宅用地として活用するなど、事業間のシナジーを発揮してまいりました。また、買取再販物件に当社グループの強みであるリノベーション・デザインリフォームをコーディネートしてお客様に提案するなど、資産価値の創造、魅力ある住まいづくりを積極的に推進してまいりました。

当連結会計年度における当事業の業績につきましては、2023年5月に販売を開始した中規模分譲宅地や名古屋市内・近郊における良質な小規模宅地の販売が好調であったことに加え、不動産仲介時に提案するリフォーム工事の受注が堅調であったことから、売上高は888百万円(前期比20.4%増)、セグメント利益は81百万円(前期比175.3%増)となりました。

 

② 財政状態の状況

「(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ② 財政状態」に記載しております。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末と比べ5百万円減少し、1,235百万円となりました。

なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次の通りであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、営業活動の結果獲得した資金は322百万円(前連結会計年度は182百万円の資金の減少)となりました。これは主に棚卸資産の増加100百万円、仕入債務の減少57百万円、法人税等の支払い102百万円等の減少要因があったものの、税金等調整前当期純利益323百万円、未成工事受入金の増加61百万円、その他の増加66百万円、減価償却費52百万円、のれん償却額50百万円、株式報酬費用22百万円等の増加要因があったことによるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、投資活動の結果使用した資金は97百万円(前連結会計年度は100百万円の資金の減少)となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出88百万円があったこと等によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

当連結会計年度において、財務活動の結果使用した資金は230百万円(前連結会計年度は2百万円の資金の減少)となりました。これは主に長期借入れによる収入200百万円、短期借入金の増加125百万円があったものの、長期借入金の返済による支出529百万円、配当金の支払い39百万円があったこと等によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の状況

イ.生産実績

当社グループが営む事業では、生産実績を定義することが困難であるため「生産実績」は記載しておりません。

 

ロ.受注実績

当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

受注高(千円)

前期増減比(%)

受注残高(千円)

前期増減比(%)

住宅リフォーム事業

5,835,476

△0.1

977,433

△17.8

新築住宅事業

446,543

△5.8

403,015

△4.3

不動産流通事業

874,353

34.3

8,769

△61.1

合計

7,156,372

2.7

1,389,218

△14.9

 

 

ハ.販売実績

当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。

セグメントの名称

販売高(千円)

前期増減比(%)

住宅リフォーム事業

6,046,805

8.0

新築住宅事業

464,755

△34.5

不動産流通事業

888,119

20.4

合計

7,399,680

5.0

 

 

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

① 経営成績

(売上高)

売上高におきましては、新築住宅事業において、木材・住宅設備機器等の設資材の値上げに伴う住宅価格の上昇により、消費マインドが低下し、受注が低調となったものの、住宅リフォーム事業において、外壁塗装などの住まいのメンテナンス需要やキッチン・浴室などの水回り機器の入れ替え需要が堅調に推移いたしました。また、不動産流通事業においても、不動産仲介時に提案するリフォーム工事の受注が好調であったことから、前期比5.0%増の7,399百万円となりました。

 

(販売費及び一般管理費)

販売費及び一般管理費におきましては、店舗増加に伴う拠点維持費用の増加に加え、ベースアップや計画達成による決算賞与の実施による人件費の増加等により、前期比4.3%増の2,131百万円となりました。

 

(営業利益・経常利益・親会社株主に帰属する当期純利益)

利益におきましては、販売費及び一般管理費の増加に対し、利益率の高い住宅リフォーム事業の割合が高まり、全体の利益率が上昇したことにより、営業利益は前期比48.4%増の336百万円、経常利益は前期比44.4%増の335百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比51.4%増の204百万円となりました。

 

 

② 財政状態

(資産)

当連結会計年度末における流動資産は3,023百万円となり、前連結会計年度末に比べ165百万円増加いたしました。これは主に現金預金が5百万円減少したものの、売上債権が14百万円、未成工事支出金等が116百万円、販売用不動産が46百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は1,332百万円となり、前連結会計年度末に比べ51百万円減少いたしました。これは主にのれんが50百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、総資産は4,356百万円となり、前連結会計年度末に比べ113百万円増加いたしました。

 

(負債)

当連結会計年度末における流動負債は1,925百万円となり、前連結会計年度末に比べ205百万円増加いたしました。これは主に仕入債務が57百万円、1年内返済予定の長期借入金が26百万円減少したものの、短期借入金が125百万円、未払法人税等が34百万円、未成工事受入金が61百万円、未払金が32百万円、その他の流動負債が30百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は600百万円となり、前連結会計年度末に比べ294百万円減少いたしました。これは主に長期借入金が302百万円減少したこと等によるものであります。

この結果、負債合計は2,526百万円となり、前連結会計年度末に比べ89百万円減少いたしました。

 

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は1,830百万円となり、前連結会計年度末に比べ202百万円増加いたしました。これは主に配当金の支払い39百万円があったものの、親会社株主に帰属する当期純利益204百万円の計上、新株予約権の行使による資本金及び資本剰余金の増加12百万円、新株予約権の増加22百万円等があったことによるものであります。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載の通りであります。

当社グループの資金需要の主なものは、M&A、設備投資及び販売用不動産の購入等によるものであります。資本の財源及び資金の流動性につきましては、必要資金の安定的な調達及び十分な流動性の確保を基本方針としており、複数の金融機関との間で当座貸越契約を締結しております。

運転資金につきましては、自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資やM&Aに係る資金の調達につきましては、自己資金及び金融機関からの長期借入を基本としております。

 

④ 経営方針・経営戦略等または経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社グループは、2021年度から2023年度までを計画期間とする中期経営計画の目標達成に向けて取組みを進めてまいりました。この中期経営計画の最終年度となる当連結会計年度におきましては、売上高は、エリア拡大・深耕を進める一方で、急激な市況の変化に対応するため「質」を重視して戦略的に収益力の強化へシフトしたことから、計画比74.3%となりました。営業利益におきましては、急激な環境変化におけるコスト増があったものの、新たな広告宣戦略やDXによる現場管理体制の効率化などにより、計画比103.9%となりました。

なお、3ヵ年の達成状況は以下の通りであります。

 

2021年12期

2022年12期

2023年12期

実績(百万円)

達成率(%)

実績(百万円)

達成率(%)

実績(百万円)

達成率(%)

売上高

6,913

100.4

7,046

85.0

7,399

74.3

売上内訳

リフォーム

5,143

98.3

5,599

95.6

6,046

92.5

新築

1,008

111.1

709

64.9

464

37.7

不動産

762

102.2

737

87.9

888

83.9

新規M&A

営業利益

208

131.7

226

108.5

336

103.9

 

 

当社グループでは、2024年度から2026年度までの新たに開始する第2次中期経営計画の中で、持続的な成長と中長期的な企業価値向上に向けた成長基準KPIを以下の通り定めております。

・営業利益率 4.0%以上

・営業利益成長率 6.3%以上

・ROE 9.0%以上

・DEレシオ 1.5倍以下

・PBR 1.1倍以上

第2次中期経営計画では、この成長基準KPIを基礎とし、数値目標としてグループ社数、売上高、営業利益、営業利益率、営業利益成長率に加え、それらを実現するために必要不可欠な従業員の増加率を設定しております。なお、具体的な数値目標に関しては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3) 中長期的な会社の経営戦略」に記載の通りであります。

 

⑤ 重要な会計方針及び見積り

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

なお、連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものにつきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5 【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6 【研究開発活動】

該当事項はありません。