当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)経営方針
当社は、「北海道から日本のクラウドビジネスを支える。」という設立からの想いがあります。お客様には最新のビジネス環境を、また、プロジェクトに携わるエンジニアには豊かなライフスタイルを提供し、この取組を継続することによって地方創生へとつなげ、北海道の発展に貢献できると考えております。
ビジネスが変化するスピードは常に上がり続けております。企業が成長を目指すためにはITを利用した業務改革の断行が必要不可欠であります。当社は以下の企業理念・ミッション・コアバリューを掲げ、変化に対応しやすいSalesforceの専門家として、お客様の業務改革へのチャレンジを共に歩んでいき、共に成長していきたいと考えております。
企業理念
① クラウドを活用したお客様の成功を真摯に考え、実践して参ります
② プロジェクトに携わるエンジニアのライフスタイルが豊かになるよう、支援して参ります
③ 北海道でクラウドを活用することによって、地方創生に貢献して参ります
④ 当社は、私たちのミッション・コアバリューをもとに行動します
ミッション
「Challenge together.」
① ビジネスを改革していく取組みを、お客様と共に行う
② 拡大するDXの世界を、仲間(社員)と共に切り拓いていく
コアバリュー
① 成功はお客様と共に生み出す成果
② ~したいはWant toではなくWill
③ 決断は利己的ではなく論理的に
(2)経営戦略
Salesforce製品開発の委託元企業と協業して新規顧客層の拡大に従事するとともに、既存顧客に対してもきめ細やかなサポートを行うことで継続的な取引を行い、売上の向上を目指してまいります。また、クラウドソリューション事業における成長の源泉は人材であることから、Salesforce市場の成長にあわせ積極的に事業拡大を図るため、引き続きITエンジニアの採用を行うとともに、企業のDX推進を担うことができるビジネスデザイナーへの育成を行ってまいります。
(3)経営環境
当社が提供しているSalesforceを含むクラウドサービス市場は大きく成長しております。2022年9月15日にIT専門調査会社IDC Japan株式会社が発表した「国内パブリッククラウドサービス市場予測」によりますと、2022年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比29.8%増の2兆1,594億円になり、2021年から2026年の年間平均成長率は20.8%で推移し、2026年の市場規模は2021年比2.6倍の4兆2,795億円になると予測しております。
当社はこの拡大するクラウドサービス市場の中でも、顧客関係管理(CRM)と呼ばれる分野で主に利用されるSalesforceの導入支援・開発を行っております。2022年6月15日にIDC Japan株式会社より発表された「国内CRMアプリケーション市場予測」によりますと、2021年の国内CRMアプリケーション市場は、前年比成長率13.0%、市場規模(売上額ベース)1,812億1,800万円となりました。同市場は、2021年から2026年の年間平均成長率10.0%で推移し、2026年には2,917億9,000万円になると予測されております。営業部門だけではなく、デジタルマーケティングやカスタマーサポート部門においても顧客情報の活用は必須となっており、今後も堅調に市場が拡大していくことが見込まれております。
また、経済産業省により2018年9月7日に発表された「DXレポート」では、既存システムが複雑化・ブラックボックス化し、経営者がDXを望んでも経営改革がなされないことが課題としてあげられております。この課題を克服できない場合、DXが実現できないのみならず、2025年以降、年間最大12兆円の経済損失が生じる可能性も記載されており、日本におけるDXに対する機運は高まっているといえます。
この「DXレポート」の中で、ベンダー企業がリードすべき技術分野は、「AI等を活用したクラウドベースのアジャイル開発によるアプリケーションの提供や、ユーザー企業が行うアジャイル開発に対するコンサルティング、最先端技術の提供等」と述べられております。当社が利用しているSalesforceは、アジャイル開発に適しているだけでなく、プログラムを書かない「ノーコード開発」によりシステムを素早く構築することが可能であり、「DXレポート」に記載された価値を提供するプラットフォームとして最適であると考えております。
その後同じく経済産業省から2020年12月28日に「DXレポート2(中間取りまとめ)」が発表されましたが、その中で自己診断を提出した企業の中でも約95%の企業はDXにまったく取組んでいないレベルにあるか、DXの散発的な実施に留まっているに過ぎない段階であり、全社的な危機感共有や意識改革の推進といったレベルには至っていないことが記載されております。今後少子高齢化に伴う労働人口減少等に伴い、DXを実現して企業の生産性を高めることは極めて重要な要素となりますが、特に全企業の約99.7%を占める中小企業のうち、独力でこれを達成することができる企業は多くないのが現状です。新型コロナウイルス感染症流行によりリモートワークが普及し、利用の敷居が下がったWeb会議システムを活用することにより、当社は北海道の地から全国の中小企業に対して、Salesforce導入支援を積極的に進めていくことで、DXの実現と生産性向上に貢献してまいります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
① クラウドサービス市場の急拡大に合わせた優秀な人材の確保と育成
クラウドサービス市場の急拡大に伴いIT人材の需要は高まっており、労働人口の減少や雇用情勢の改善によりIT人材不足の傾向は今後も続くものと考えております。当社の特徴はITエンジニアが顧客のDX実現を幅広くサポートしている点にあるため、成長の礎として人材の確保と育成が最重要課題であると認識しております。
したがって、採用手法の多様化への対応や教育制度を拡充するとともに、従業員定着率の向上のため、ワークライフバランスを考慮した働きやすい環境づくり等、積極的に取組んでまいります。特に、当社は人材育成に力を入れており、ビジネススキルと技術力の両面から公平・明瞭な評価を行う人事考課制度、従業員の意思に基づく学習を支援する自己啓発支援制度を整備しております。
② 新規顧客の獲得及び既存顧客との関係の維持
当社は当社の成長及び取引先が減少する等不測の事態が起きるリスクを回避する観点からも新規顧客の獲得は重要
であると考えております。新規顧客を獲得することで、当社の成長力強化とリスクマネジメントにも繋がることか
ら、持続可能な企業へと発展していく上でも非常に重要であります。
また、当社は、過去のシステム導入の経験と実績が、新たな案件の受注獲得へと繋がると考えております。そのた
めにも既存顧客との関係の維持は非常に重要であります。当社は小規模ながらも顧客の視点に立ち、顧客のビジネス
を理解し、顧客と直接コミュニケーションを取る機会が増えることでビジネスの理解が進み、継続的に案件の受注を
いただいております。この関係がまた多くの新規案件の受注と新規顧客の紹介に繋がっております。
当社は設立の地である北海道を中心に顧客の成長を支援するとともに、全国の多くの顧客にクラウドのメリットを享受していただくことで地方創生へも貢献してまいります。
③ 経営管理体制の強化
当社は、市場動向、競合企業、顧客ニーズ等の変化に対して速やかに、なおかつ柔軟に対応できる組織を運営するため、経営管理体制の更なる強化に努めてまいります。また、企業価値を継続的に向上させるため、内部統制の更なる強化、法令遵守の徹底に努めてまいります。
④ 財務基盤の強化
当社は、収益基盤の維持・拡大を図るためには、手許資金の流動性確保や金融機関との良好な取引関係が重要であると考えております。一定の内部留保の確保や費用対効果の検討による各種コストの見直しを継続的に行うことで、さらなる財務基盤の強化を図ってまいります。
(5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、中長期的に売上高及び営業利益を拡大させ、会社を成長させることが重要であると考えております。「Challenge together.」というミッションのもと、顧客からの信頼を獲得するためにもITエンジニアの採用・育成は当社の要であり、ITエンジニアの人員数の増加が売上高及び営業利益の拡大に寄与するものと考えております。そのため、現時点において、会社の成長性を判断する「売上高」及び収益性を図る「営業利益・営業利益率」を経営の重要な指標として位置付けております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社では、持続可能性の観点から企業価値向上のためにサステナビリティへの取組を重視しております。サステナビリティ全般に関するリスクは、事業上のリスクの一部としてリスク管理を行っており、取締役会がサステナビリティ全般に関するリスク及び機会の監督に対する責任と権限を有しています。取締役会は、リスク管理委員会でリスク管理規程に基づき検討されたリスク管理対応方針及び実行計画についての意思決定をしております。またリスク管理の実施状況については、内部監査室が内部監査の一環として検証を行っております。
(2)戦略
当社は、中長期にわたり経営方針・経営戦略に影響を与える可能性があるサステナビリティ関連の課題の中で、人的資本に関する課題が最も重要と考えております。
人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針、戦略
当社従業員の平均年齢は2023年12月末現在で33.8歳と若く、特に従業員数全体の約9割を占めるITエンジニアについては、プログラミングの実装だけでなくシステム開発の全工程を数多く経験することにより、より高いレベルの業務を担当する能力を早期に身につけ、顧客価値の提供を行っております。当社は人員を増やして売上を向上させながら、高い売上総利益率を維持し、将来的な事業成長性を担保して行くためには、従業員の成長の支援とエンゲージメントを向上させるための社内環境の整備が重要であると考えております。当社が現在行っている人材育成及び社内環境整備に関する主な取組は次のとおりです。
①入社時研修
当社では新卒、第二新卒を問わず入社時において開発スキルを持たない方のエンジニア採用いわゆる「ポテンシャル人材の採用」を積極的に行っております。ポテンシャル採用人材に対しては入社時における基礎的なトレーニングが必須となります。
入社時研修については、当社では4か月の時間をかけ座学研修を行っております。最初の3か月半で一般的なITや、設計、プログラム、テスト等に関する基礎知識を学び、グループ演習を通じてチーム開発を経験した後、最後の半月でSalesforce開発についての基本メソッドを習得します。その後Salesforce学習の進捗度合いを見ながら、OJTとしてプロジェクトチームに加わり簡単なタスクから仕事を始めるという育成プロセスを採用しております。
入社時において開発スキルが無い人材であっても、こうしたプロセスを経ることで、ITを活用してビジネスの企画・立案・推進等を担えるいわゆるITエンジニアへの一歩を踏み出して行けるものと考えております。
②「資格取得支援制度」と「もっとアライブ」(時間外学習残業代補助制度)
当社は従業員にSalesforce認定資格の取得を推奨しており、資格取得のための受験費用を会社が負担しております。負担上限回数に制限はなく、適切な学習を経た上であれば何度でも挑戦することが可能です。また当社は自己研鑽のために必要となる時間についても支援を行っており、「もっとアライブ」(時間外学習残業代補助制度)により、従業員自らの意思で就業時間中に資格取得の学習を行うことが可能です。また先行して資格取得をした従業員が学習方法のアドバイスをする勉強会についても合わせて開催しております。
「もっとアライブ」は、36協定の範囲内であれば年度ごと1人あたり最大60時間までの自習時間を残業時間とすることを許可しております。従業員がITエンジニアとしてさらに成長するためには、自身が不足する知識を補ったり、最新の技術体系の導入にチャレンジしたりといった自己研鑽の意識と実践が欠かせないものであるとの考えに基づき、「もっとアライブ」の対象をSalesforce認定資格取得以外であっても、本人が業務に役立つと判断した分野であれば、学習対象として広く認める方針で運用しております。
その結果2024年3月現在、エンジニアが所属するクラウドソリューション部において、従業員数47名で合計163個のSalesforce認定資格を保有しており、従業員1名あたり3.5個の資格保有となっております。
従業員のスキル向上への投資は競合他社にとっての参入障壁になり、その競争優位は中長期的な企業価値向上へ繋がるものと考えており、今後も従業員に対する成長支援制度を拡大してまいります。
③エンジニアに対する俗人化しない人事評価制度
エンジニアのスキルは定量化が難しいこともあり、評価結果が上長により変化することで不公平感が生まれ、モチベーションの低下や離職を助長する可能性があります。当社は創業以来積み重ねてきた人事評価の運用を2021年1月に人事考課規程として制定し、評価基準を明確化することで従業員の不満を極力減らしながら育成を行っております。人事考課規程に基づき次に挙げるV2MOM、コンピテンシー、スキルマップ評価シートという3つの柱による人事評価を行っております。
a.V2MOM
V2MOMはSalesforce, Inc.が提唱した概念で、「ビジョン(Vision):達成したいことは何か?」、「価値(Values):達成するうえで大切な信念は何か?」、「方法(Methods):達成するためにどうするか?」、「障害(Obstacles):達成の妨げになるものは何か?」、「基準(Measures):成果をどう測定するか?」の頭文字を合わせたものを言います。V2MOMは毎年全従業員が作成しますが、まず代表取締役社長が作成して全社としてのV2MOMを定め、その後、各部門の部門長から下の役職へと、上位職のV2MOMを参照しつつ上長と相談しながら順番に作成していきます。これにより全社としての方向性と、従業員1人1人との方向性を一致させ、それに対する目標設定を行うことが可能となります。また「基準(Measures)」は、期限や数値化等必ず測定可能なものであることを条件としているため、自身で定めた目標設定に対して評価が曖昧になることはありません。
b.コンピテンシー評価制度
コンピテンシーはITエンジニアとしてだけではなくビジネスパーソンとして、また、社会人として信頼できる人間になるために必要な思考と行動をとりまとめた評価基準となり、新人から部長までそれぞれ基準として達成すべき項目を定義しております。当社は顧客と積極的にコミュニケーションをとり、ビジネスを理解した上でシステムを構築するという業務の進め方を行っているため、技術力だけが優れていても顧客の期待に応えることはできません。コンピテンシーに記載してある内容を身につけることでプロジェクトで広く活躍し、顧客からリピートニーズをいただくことができます。
c.スキルマップ評価制度
技術力についてもスキルマップ評価シートにその内容を定義し、ビジネススキルと技術力の2軸からエンジニアを定量的に評価することを徹底しております。
④エンゲージメント向上のための社内環境整備
従業員が安心して働くことができるように、新型コロナウイルス感染症拡大防止対策の一環として2020年から2023年5月までの期間、全社的に在宅勤務を導入しておりました。なお、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が5類に変更されてからは、従業員が私生活等の事情に合わせて自由に出社勤務と在宅勤務を選択できるハイブリッドワークを主体としており、私生活と仕事のバランスを取りやすくすることで、従業員の生産性やモチベーション向上に努めております。また、在宅勤務の金銭的負担軽減を目的として、2020年9月から1か月あたり1万5千円の在宅勤務手当の支給を継続しており、通信・光熱費やデスク・椅子等の就業環境の整備にかかる費用の一部を補助しております。
(3)リスク管理
サステナビリティ全般に関するリスクは、事業上のリスクの一部としてリスク管理を行っております。サステナビリティ関連のリスク及び機会については、代表取締役社長を委員長としたリスク管理委員会がその識別・評価を行っております。リスク管理委員長はそれらのリスクの評価及びモニタリング状況を定期的に取締役会に報告しております。
(4)指標及び目標
当社では、上記「(2)戦略」において記載した、人材の多様性の確保を含む人材の育成方針及び社内環境整備に関する方針について、次の指標を用いております。また、現時点において具体的な目標を定めておりませんが、その具体的な目標設定や状況の開示につきましては今後の課題として検討してまいります。当該指標に関する実績は次の通りです。
|
No |
指標 |
実績値 (当事業年度) |
|
1 |
もっとアライブの合計時間 |
810.5時間 |
|
2 |
Salesforce認定資格保有者数(注1) |
累計163名 |
|
3 |
総従業員におけるエンジニア比率 |
87.0% |
|
4 |
男性労働者の育児休業取得率(注2) |
100.0% |
|
5 |
離職率 |
6.3% |
|
6 |
新卒・第二新卒社員の3年以内離職率 |
5.9% |
|
7 |
従業員総数における女性比率 |
25.9% |
|
8 |
管理職に占める女性労働者の割合(注3) |
12.5% |
|
9 |
労働者の男女の賃金の差異(男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合) 全労働者(注3)(注4) |
84.2% |
|
10 |
労働者の男女の賃金の差異(男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合)正規雇用労働者(注3) |
85.8% |
|
11 |
労働者の男女の賃金の差異(男性の平均賃金に対する女性の平均賃金の割合)パート・有期労働者(注3)(注4) |
53.4% |
(注)1. 2024年3月1日現在のSalesforce認定資格の名称ごとの資格保有者数は以下の通りです。
下記資格保有者数は全て当社の従業員で認定格を複数保有している従業員がいるため、認定資格を保有する当社の在籍数と資格保有者数は一致しておりません。
出所:Salesforce 認定資格保有者数 企業別一覧
(https://tandc.salesforce.com/certificate-holder)
(単位:人数)
|
名称 |
資格保有者数 |
|
Salesforce 認定 アプリケーションアーキテクト |
5 |
|
Salesforce 認定 システムアーキテクト |
3 |
|
Salesforce 認定 Development Lifecycle and Deployment アーキテクト |
3 |
|
Salesforce 認定 Identity and Access Management アーキテクト |
3 |
|
Salesforce 認定 Integration アーキテクト |
3 |
|
Salesforce 認定 Data アーキテクト |
8 |
|
Salesforce 認定 Sharing and Visibility アーキテクト |
5 |
|
Salesforce 認定 JavaScript デベロッパー |
5 |
|
Salesforce 認定 上級 Platform デベロッパー |
7 |
|
Salesforce 認定 Platform デベロッパー |
26 |
|
Salesforce 認定 Platform アプリケーションビルダー |
33 |
|
Salesforce 認定 Sales Cloud コンサルタント |
7 |
|
Salesforce 認定 Service Cloud コンサルタント |
2 |
|
Salesforce 認定 Field Service コンサルタント |
1 |
|
Salesforce 認定 Experience Cloud コンサルタント |
2 |
|
Salesforce 認定 上級アドミニストレーター |
10 |
|
Salesforce 認定 アドミニストレーター |
39 |
|
Salesforce 認定 Marketing Cloud Account Engagement スペシャリスト |
1 |
2. 「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」(平成3年法律第76号)の規定に基づき、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(平成3年労働省令第25号)第71条の4第2号における育児休業等の取得割合を算出したものです。
3. 「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」(平成27年法律第64号)の規定に基づき算出したものであります。
4. パート・有期労働者は契約社員・パートタイム労働者を含み、派遣社員を除いており、人員数については労働時間を基に換算して平均賃金を算出しております。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。
なお、本書記載の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1) クラウド市場の動向について
(顕在可能性:低 / 影響度:高 / 発生時期:特定時期なし)
当社が事業を展開しているクラウド市場は、DX実現や業務の効率化に対する企業の期待、クラウドに対する注目度の高まりに伴って急速に成長しております。当社は今後もこの成長傾向は持続すると予測しており、クラウドソリューション事業を積極的に展開していく計画であります。
しかしながら、今後、国内外の経済情勢や景気動向等の理由により顧客企業の取組が減退するような場合やクラウド市場の環境整備や新たな法的規制の導入後、何らかの要因によってクラウド市場の発展が阻害され、クラウド市場の成長が鈍化する場合には、当初計画していたような売上成長は見込めず当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(2) 競合について
(顕在可能性:中 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社のクラウドソリューション事業の競合は、「Salesforce業界内の競合」と「Salesforce業界外の競合」が存在いたします。
①Salesforce業界内の競合
当社が導入支援・製品開発支援を行っているSalesforce業界内では、大手・中小を問わず競合企業が存在しております。今後の業界規模拡大に伴い、新規参入が相次ぐ可能性があります。
当社の強みはITコンサルティング・要件定義・設計・開発・システムテスト・運用保守といったシステム開発の全工程をITエンジニアがワンストップに提供することで、プロジェクトのスタート段階からアフターフォローまで一貫した支援を行うことにありますが、競合他社の資本力、販売力、技術力やサービスの向上等により、当社が提案している営業案件の失注や、契約数の減少が発生し、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
②Salesforce業界外の競合
当社が事業を展開しているSalesforceに類似した営業支援(SFA)・顧客関係管理(CRM)サービスは国内外に多数存在いたします。国内におけるSalesforce類似サービスの躍進や新たなサービスの登場、海外の類似サービスの日本国内への市場参入が予測されます。当社よりも大きな資本力、技術力、販売力を持つ競合他社や、サービスの向上を図る競合他社の動向が市場に大きな影響を与える可能性があり、新規参入の拡大等により競争が激化し、類似サービスの出現により当社が競合他社との差別化を有効に図ることができない場合等には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(3) Salesforceへの依存について
(顕在可能性:低 / 影響度:高 / 発生時期:特定時期なし)
当社のクラウドソリューション事業の大部分は、Salesforceに特化したシステム開発・導入支援であります。従いまして、当社の成長はSalesforce市場の拡大に対し、大きく依存しております。当社は今後もSalesforceを主軸として事業展開を進めていく方針でありますが、Salesforce市場が縮小する場合やSalesforce, Inc.の経営戦略に変更がある場合には、当初計画していたような売上成長が見込めず、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(4) 市場及び顧客ニーズの把握について
(顕在可能性:低 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社の属するIT業界における技術革新はめざましく、市場及び顧客ニーズも急激に変化するとともに多様化しております。また、クラウド基盤の特性としてサービスの仕様変更、新サービスの追加等頻繁にアップデートを実施しており、ITエンジニアの育成プロセスは長期化かつ高難度化しております。当社は、このような変化に対し迅速に対応すべく、最新の技術動向等を注視し、技術情報の収集とノウハウの習得に積極的に取組んでおりますが、技術革新、またはそれに伴い変化する顧客ニーズを捉えた新サービスの開発、導入及び品質確保等にかかる対応が遅れた場合には、競争力が低下する等、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(5) 不採算プロジェクトの発生について
(顕在可能性:中 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社は、各プロジェクトについて想定される難易度及び工数に基づき見積りを作成し、適正な利益率を確保した上で、プロジェクトを受注しております。顧客企業の要求する仕様や想定される工数に乖離が生じないよう、要員管理・進捗管理・予算管理を行っておりますが、見積りの誤りにより、開発工数が大幅に増加し、不採算プロジェクトが発生するような場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(6) 売上計上時期の期ずれについて
(顕在可能性:低 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社のクラウドソリューション事業の一部においては、仕様変更やプロジェクト遅延による大幅な増加や見積り作成時に想定されなかった不測の事態等により、納品及び検収が遅延することで売上の計上が翌四半期あるいは翌事業年度に期ずれする場合があります。期ずれした金額の大きさによっては各四半期あるいは事業年度における当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社はクラウドソリューション事業の一部においては、履行義務を充足するにつれて顧客が便益を享受する場合には、進捗度に応じて行った期間にわたり収益を認識しております。具体的には、見積総原価に対する発生原価の割合をもって売上高を計上しております。当社は、案件ごとに進捗状況に応じて見積総原価や予定案件期間の見直しを継続的に実施する等適切な原価管理に取組んでおりますが、その見積総原価や案件の進捗率は見通しに基づき計上しているため、修正される可能性があり、それらの見直しが必要になった場合は、売上計上時期の変更等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(7) 人材の採用及び育成について
(顕在可能性:高 / 影響度:高 / 発生時期:特定時期なし)
当社のクラウドソリューション事業は、ITエンジニアの技術力に拠るところが大きく、持続的な成長を遂げるためには、人材の確保及び育成が重要であると考えております。現在、継続的な人材の採用、教育制度の拡充や従業員定着率の向上、ワークライフバランスを考慮した働きやすい環境づくり等、積極的に取組んでおりますが、人件費の高騰や求人採用市場の動向等により適切な人材の確保が計画通り進まない場合や従業員への教育が計画どおり進まない場合、優秀な人材の流出が進む場合には、サービスの円滑な提供及び積極的な受注活動が阻害され、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(8) システム開発における不具合・契約不適合について
(顕在可能性:低 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社は、システム開発過程において、開発手順の標準化と標準化プロセスを遵守すること等により不具合・契約不適合の発生防止に努めております。しかしながら、納品・検収完了後において重大な不具合・契約不適合等が発見された場合には、当社に対する信頼性を著しく毀損する可能性があり、取引先からの信用を失うとともに、不具合・契約不適合等に対する対応費用の発生、損害賠償責任の発生等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(9) システム障害・サービスの提供中断の可能性について
(顕在可能性:低 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社がシステム開発の基盤としているクラウドサービスは、地震等の自然災害、電力不足、停電、通信障害、テロ等、予見し難い事由により、停止あるいは遅延等のシステム障害が発生する可能性があります。また、コンピュータクラッキング、コンピュータウイルス、サイバー攻撃、人的過失及び顧客企業等の偶発的あるいは故意による行為等に起因するサービスの中断も当社のサービス提供を妨げる可能性があります。Salesforce, Inc.等のクラウドサービス提供企業は、安定的なサービス提供のため設備の強化等を行っております。当社においても、サービス提供状況を常に把握し、何らかのトラブルが発生した場合には迅速に顧客に情報提供を行う体制を整備しておりますが、当社内外のシステム障害やサービスの提供中断により当社の信用失墜または事業機会の逸失が生じた場合には、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(10)知的財産権について
(顕在可能性:低 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当事業年度末現在、当社は第三者より知的財産権の侵害に関する損害賠償や使用差し止めの請求を受けた事実はありません。今後においても、侵害を回避すべく監視及び管理を行っていく方針でありますが、当社の事業分野で当社の認識していない知的財産権が既に成立している可能性または新たに第三者の知的財産権が成立する可能性もあり、当該侵害のリスクを完全に排除することは極めて困難であります。
万が一、当社が第三者の知的財産権を侵害した場合には、損害賠償請求、差止請求や知的財産権の使用に関する対価の支払い等の負担が生じる可能性があります。このようなライセンス料等の多額の負担や損害賠償が生じた場合、当社の事業運営、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(11)パートナー企業との関係
(顕在可能性:低 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社はシステム開発案件の一部においてSalesforce製品開発支援の委託元企業等のパートナー企業からの紹介や情報提供を受けており、また、共同でシステム開発を行なっております。2023年12月期において、パートナー企業経由での売上高は当社売上高全体に占める割合の5割程度となっており、これらのパートナー企業の営業戦略や販売動向により当社業績は影響を受けております。今後も当社は、パートナー企業に対して、営業や技術支援の強化を行い、各パートナー企業との長期的、安定的な取引関係の構築に努めてまいります。
現時点では良好な関係を築いておりますが、パートナー企業との取引継続が困難となった場合、または各パートナー企業の事業戦略に変化が生じた場合においては、当初計画していたような売上成長が見込めず、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(12)小規模組織であること
(顕在可能性:中 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社は、当事業年度末現在、従業員数54名と小規模な組織であり、内部管理体制については規模に応じた適切な体制となっております。今後の事業拡大に合わせて内部管理に係る人員の確保、体制の強化を図っていく方針でありますが、これらの施策が順調に進まなかった場合、社内の業務推進に支障が出ることにより、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(13)代表者への依存について
(顕在可能性:中 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社代表取締役社長である嘉屋雄大は、当社の創業者であり、創業以来の最高経営責任者であります。また、当社の事業展開において事業戦略の策定や、業界における人脈の活用等、重要な役割を果たしております。
当社では、経営管理体制の強化、経営幹部の育成等を図ることにより、同氏への過度な依存の脱却に努めておりますが、現時点においては、未だ同氏に対する依存度は高く、今後、何らかの理由により同氏による当社業務の遂行が困難になるような場合には、当社の事業展開等に影響を及ぼす可能性があります。
(14)株式会社テラスカイとの関係について
(顕在可能性:低 / 影響度:高 / 発生時期:特定時期なし)
当社のその他の関係会社かつ筆頭株主である株式会社テラスカイは、当事業年度末現在、当社の発行済株式総数の49.48%を保有しており、当社の意思決定に対して同社が影響を与える可能性があります。また、同社は将来において保有する株式を売却する可能性があり、当社と株式会社テラスカイグループ各社との取引関係に影響を与える可能性があります。
① 役員の兼任について
当社の取締役総数は5名であります。その内、塚田耕一郎氏は株式会社テラスカイ及びその主要な子会社の取締役を兼任しております。これは、塚田氏の株式会社テラスカイ最高財務責任者としての豊富な知識と経験から、経営戦略に対する有益な助言を得るために招聘したものであり、当社独自の経営判断を妨げるものではないと認識しております。
② 株式会社テラスカイからの独立性の確保について
当社の役員には、上場取引所の定めに基づく独立役員として指定する独立社外取締役1名が就任しており、取締役会における審議に当たっては、より多様な意見が反映され得る状況にあります。
また、株式会社テラスカイは当社のその他の関係会社であるため同社に対して業績に関する事後報告はあるものの事前承認を必要とする事項はなく、事業運営の独立性が確保されていると認識しております。
③ 株式会社テラスカイとの競合について
当社の主要な事業はSalesforceの導入・支援・開発ですが、株式会社テラスカイのソリューション事業のクラウドインテグレーションサービスにおいてもSalesforceの導入支援及びクラウドシステム構築を行っており、同社とはコンペ等において競合となる可能性があります。ただし、Salesforce業界において同社とは得意分野が異なり、同社は大規模案件、当社は小規模案件を扱うことから大きな競合とはならないと認識しております。
④ テラスカイグループとの取引について
テラスカイグループとの2023年12月期における主な取引及び2023年12月期末の資本金は以下のとおりであります。
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種類 |
会社等の名称 |
所在地 |
資本金 (千円) |
事業の内容 |
取引の内容 |
取引金額 (千円) |
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その他の関係会社 |
株式会社テラスカイ |
東京都 中央区 |
1,252,993 |
クラウドに特化したソリューション事業及び製品事業 |
クラウドシステム開発の受託 Salesforceライセンスの仕入購入 役員の兼務 |
137,897 |
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その他の関係会社の子会社 |
株式会社スカイ 365 |
札幌市 北区 |
105,237 |
クラウドに特化したMSP事業 |
クラウドシステム開発 札幌本社通信費等 |
7,666 |
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その他の関係会社の子会社 |
株式会社テラスカイ ・テクノロジーズ |
東京都 中央区 |
214,351 |
クラウドエンジニアの人材派遣及び人材紹介 コンピュータソフトの開発及び教育 |
クラウドシステム開発の受託 |
2,540 |
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その他の関係会社の子会社 |
株式会社BeeX |
東京都 中央区 |
321,089 |
SAPソフトウェア基盤のクラウドに特化した事業 |
AWS使用料 |
727 |
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その他の関係会社の子会社 |
株式会社Cuon |
東京都 中央区 |
10,000 |
Webシステム開発に特化した事業 |
クラウドソリューション事業案件委託 |
- |
(注)取引を継続する場合、新たに取引を行う場合には、その他の関係会社から独立した立場の社外取締役も参加する取締役会において、事業上の必要性及び他社との取引条件等を比較し、その取引の合理性及び条件の妥当性の検証を行なった上で決議することとしています。
(15)配当政策について
(顕在可能性:高 / 影響度:低 / 発生時期:特定時期なし)
当社は株主に対する利益還元が重要な経営課題であると認識しておりますが、当社の最重要課題であります人材の採用と育成、また更なる成長に向けた組織体制の構築を優先しており、設立以来、配当を実施した実績はありません。将来的には、財政状態及び経営成績を勘案しながら配当を実施していく方針でありますが、現時点において配当実施の可能性及びその実施時期等については未定であります。
(16)新株予約権の行使による株式価値希薄化について
(顕在可能性:高 / 影響度:低 / 発生時期:権利行使期間内)
当社は、役員及び従業員の業績向上に対する意欲や士気を一層高めることを目的とし、ストック・オプションとしての新株予約権を付与しております。当事業年度末現在、新株予約権による潜在株式は249,000株であり、発行済株式総数の19.9%に相当しております。
これらの新株予約権が行使された場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
(17)資金使途について
(顕在可能性:中 / 影響度:低 / 発生時期:特定時期なし)
当社は2022年9月28日に証券会員制法人札幌証券取引所アンビシャスに新規上場いたしました。公募増資の資金使途につきましては、マーケティング活動を伴う積極的な採用活動及びコミュニケーションとコラボレーションを促進する場として本社拡張に充当する計画であり、本社拡張に対する充当は完了しております。マーケティング活動を伴う積極的な採用活動についての資金の一部は2024年12月期に充当予定でありますが、急速な経営環境の変化により調達資金を計画どおり充当できない可能性があります。また計画どおり充当した場合でも、想定していた投資効果を得られず、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(18)のれんの減損について
(顕在可能性:低 / 影響度:低 / 発生時期:特定時期なし)
当社では、2016年10月に株式会社ウイン・コンサルからセールスフォース・ドットコム事業の事業譲渡を受け営業を開始した際に発生した相当額ののれんを貸借対照表に計上し、のれんの効果の発現する期間にわたって償却をしておりますが、当社の事業戦略の変更や経営環境の変化、Salesforce業界の縮小により将来キャッシュ・フローを生み出せない場合には減損損失を認識する必要が生じ、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(19)秘密情報漏洩について
(顕在可能性:低 / 影響度:高 / 発生時期:特定時期なし)
当社は、事業活動において顧客等の内部情報や信用に関する情報、個人情報を受け取ることがあります。これらの情報の秘密保持に十分注意を払い、情報の漏洩が生じないよう最大限の管理に努めておりますが、サイバー攻撃をはじめとした第三者によるセキュリティ侵害や、従業員の不正または過失等不測の事態により情報が外部に流出した場合には、損害賠償等の多額な費用負担の発生、取引先の急減や企業イメージの悪化による社会的信用の低下等の影響が及ぶ可能性、当社の重要機密が第三者に不正流用される恐れもあります。当社は情報セキュリティに関する体制を整備し、運用した結果、これまでに秘密情報が漏洩した事実はありませんが、今後、秘密情報が漏洩した場合に適切に対応できず信用失墜または損害賠償による損失が生じた場合には、当社の事業、財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(20)訴訟等について
(顕在可能性:低 / 影響度:中 / 発生時期:特定時期なし)
当社は設立以来、当事業年度末現在において、第三者との間で重要な訴訟問題が発生した事実はありません。しかしながら、当社に対して訴訟を提起される可能性があります。訴訟が提起され、訴訟結果によっては当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があるため、このようなリスクを踏まえ、当社では、内部統制の充実やコンプライアンスの強化に努めております。
(21)当社株式の株価形成等について
(顕在可能性:低 / 影響度:高 / 発生時期:特定時期なし)
当社のその他の関係会社かつ筆頭株主である株式会社テラスカイは、当社の発行済株式総数の49.48%(当事業年度末現在)を保有しております。同社は当社の筆頭株主であり、相当数の当社株式を保有していますが、その保有、処分方針によっては当社株式の株価形成等に影響を及ぼす可能性があります。
(22)一般的な債権回収リスク
(顕在可能性:低 / 影響度:低 / 発生時期:特定時期なし)
当社は、設立以来回収不能債権は発生しておりませんが、取引先の業績不振等により信用状況が悪化し、特に取引額が大きい場合には当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は781,307千円となり、前事業年度末に比べ106,939千円増加いたしました。これは主に現金及び預金が201,725千円増加した一方、売掛金及び契約資産が75,987千円減少したことによるものであります。固定資産は62,531千円となり、前事業年度末に比べ7,416千円増加いたしました。これは主に有形固定資産が17,756千円増加した一方で、無形固定資産が6,676千円減少したことによるものであります。
この結果、総資産は、843,838千円となり、前事業年度末に比べ114,356千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は130,933千円となり、前事業年度末に比べ32,645千円減少いたしました。これは主に未払費用が14,642千円、未払法人税等が16,037千円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は、130,933千円となり、前事業年度末に比べ32,645千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は712,905千円となり、前事業年度末に比べ147,002千円増加いたしました。これは当期純利益の計上により利益剰余金が147,002千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は84.5%(前事業年度末は77.6%)となりました。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動制限が無くなり、社会経済活動が正常化されたことにより国内景気の回復の動きが見られるものの、ウクライナ情勢を含む各地での地政学リスクの上昇に伴う資源エネルギー価格の高騰や、各国での金融引き締めによる景気の下振れにより、今後の国内景気の見通しは不透明になっております。
そのような中でも企業によるDXの取組は加速しており、クラウド化への機運の高まりや生成AI(注)の実証実験等もあり、DXに対する企業の関心は依然として強い状況が続くものと考えております。
2022年9月15日にIT専門調査会社IDC Japan株式会社が発表した「国内パブリッククラウドサービス市場予測」によりますと、2022年の国内パブリッククラウドサービス市場規模は、前年比29.8%増の2兆1,594億円になり、2021年から2026年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は20.8%で推移し、2026年の市場規模は2021年比2.6倍の4兆2,795億円になると予測しております。
このように、引き続き国内クラウド市場が成長している環境のもと、当社は札幌を拠点に、Salesforce(注4)導入支援及びSalesforce製品開発支援を展開しており、ITコンサルティング・要件定義・設計・開発・システムテスト・運用保守といったシステム開発の全工程をITエンジニア自身が一気通貫に提供できることが当社事業の特徴であります。当社のITエンジニアはシステム開発における一工程を担当するのではなく、「顧客と共にあらたな世界を切り拓こう」という思いでお客様のビジネスを理解して継続的なシステムの拡張を支援し、また新たな技術トレンドの情報提供等、お客様の多くの相談事項にも対応しております。その結果、北海道内はもちろん、北海道外からも案件の引き合いが増加しており、当事業年度末までに合計18都道府県の顧客との取引実績があります。
これらの結果、当事業年度の経営成績は、売上高816,472千円(前年比15.6%増)、営業利益197,146千円(同7.5%増)、経常利益202,458千円(同14.0%増)、当期純利益は147,002千円(同15.2%増)となりました。
なお、当社の事業はクラウドソリューション事業の単一セグメントのため、セグメントごとの記載を省略しております。
(注)生成AI
生成AI(Artificial Intelligence)は人工知能の一分野で、人間のように知識を獲得し、タスクを実行する能力を持つプログラムやシステムを指します。生成AIは、テキスト生成、画像生成、音声合成などの分野で幅広く利用され始めており、大規模なデータから学習して新しい情報やコンテンツを生成できることが特徴です。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ201,725千円増加し、674,187千円となりまし
た。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動の結果得られた資金は226,807千円(前年比166.1%増)となりました。これは税引前当期純利益200,826千円、売掛債権の減少額75,987千円、その他の資産の減少額15,500千円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動の結果使用した資金は25,082千円(前年比80.8%増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出23,333千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度は財務活動を行っておりません。前事業年度の財務活動の結果得られた資金は53,484千円でした。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
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当事業年度 (自2023年1月1日 至2023年12月31日) |
|||
|
受注高 (千円) |
前年同期比 (%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比 (%) |
|
817,549 |
105.1 |
145,171 |
100.7 |
当事業年度の受注実績を示すと、上記のとおりであります。なお、当社はクラウドソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載は省略しております。
c.販売実績
当社はクラウドソリューション事業の単一セグメントとしておりますが、当事業年度の販売実績をサービス区分ごとに示すと次のとおりであります。
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サービスの名称 |
当事業年度 (自2023年1月1日 至2023年12月31日) |
|
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
クラウドソリューション |
808,053 |
115.4 |
|
ライセンス販売 |
8,418 |
132.0 |
|
合計 |
816,472 |
115.6 |
(注)1.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
|
相手先 |
前事業年度 (自2022年1月1日 至2022年12月31日) |
当事業年度 (自2023年1月1日 至2023年12月31日) |
||
|
金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
株式会社シナプスイノベーション |
120,868 |
17.1 |
149,761 |
18.3 |
|
労働金庫連合会 |
129,764 |
18.4 |
125,970 |
15.4 |
|
株式会社テラスカイ |
71,382 |
10.1 |
101,845 |
12.5 |
|
NECソリューションイノベータ株式会社 |
123,202 |
17.4 |
93,473 |
11.4 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態の状況」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の分析
(売上高)
当事業年度における売上高は、前事業年度に比べ110,124千円増加し、816,472千円(前期比15.6%増)となりました。
クラウドソリューション売上につきましては、案件数が前年に比べ74件(前期比23.5%増)増加いたしました。その結果、808,053千円(前期比15.4%増)となりました。ライセンス販売売上については、新規顧客の増加、既存顧客による契約が継続したことにより、8,418千円(前期比32.0%増)となりました。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度における売上原価は、前事業年度に比べ56,511千円増加し、415,171千円(前期比15.8%増)となりました。
クラウドソリューション部門の人員増加により労務費が16,582千円増加いたしました。
以上の結果、売上総利益は401,300千円(前期比15.4%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当事業年度における販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ39,902千円増加し、204,153千円(前期比24.3%増)となりました。
これは主に、人員増加により人件費が24,842千円増加、採用費用として従業員募集費が953千円増加、従業員数増加に伴い、自社利用のクラウドサービス月額使用料等の増加により、業務委託費が6,561千円増加したこと等によるものであります。
以上の結果、営業利益は前事業年度に比べ13,710千円増加し、197,146千円(前期比7.5%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
当事業年度における営業外収益は5,311千円(前事業年度5,478千円)となりました。これは主に、人材開発支援助成金である助成金収入5,058千円(前事業年度5,384千円)を計上したことによるものであります。また、当事業年度における営業外費用の発生はありません。前事業年度は営業外費用として上場関連費用を11,375千円計上しております。
以上の結果、経常利益は前事業年度に比べ24,919千円増加し、202,458千円(前期比14.0%増)となりました。
(特別損益、当期純利益)
当事業年度における特別損失は1,631千円となりました。これは固定資産売却損821千円及び固定資産除却損810千円を計上したことによるものであります。当事業年度における特別利益及び前事業年度における特別損益の発生はありません。
当事業年度における法人税等合計は、前事業年度に比べ3,873千円増加し、53,824千円(前期比7.8%増)となりました。
以上の結果、当期純利益は前事業年度に比べ19,414千円増加し、147,002千円(前期比15.2%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロ
ーの状況」に記載のとおりであります。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成に当たっては、資産・負債及び収益・費用の報告数値及び開示に影響を与える会計上の見積り及び仮定の設定を行っております。当該見積りにつきましては、過去の実績や現状等を勘案して合理的に判断を行っておりますが、実際の結果は見積り自体に不確実性があるため、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しておりますが、特に下記の会計方針が財務諸表作成における重要な見積りの判断等に影響を及ぼすと考えております。
a.一定の期間にわたり充足される履行義務による収益
当社はクラウドソリューション事業の一部においては、履行義務を充足するにつれて顧客が便益を享受する場合には、進捗度に応じて行った期間にわたり収益を認識しております。具体的には、見積総原価に対する発生原価の割合をもって売上高を計上しております。当社は、案件ごとに進捗状況に応じて見積総原価や予定案件期間の見直しを継続的に実施する等適切な原価管理に取組んでおりますが、その見積総原価や案件の進捗率は見通しに基づき計上しているため、修正される可能性があり、それらの見直しが必要になった場合は、売上計上時期の変更等により、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
b.のれんの減損
のれんの償却方法については、投資効果の及ぶ期間にわたり、定額法により償却しております。なお、のれんの対象事業の収益性が低下し、減損の必要性を認識した場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。
c.繰延税金資産
当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると慎重に判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。
⑥ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の主な資金需要は、ITエンジニアに係る人件費のほか、営業費用にかかる投資であります。特に優秀な人材確保のための積極的な採用活動及び本社改装工事の実施に充当する計画であり、これらの資金需要につきましては、主に自己資金により賄えるものと判断しておりますが、必要に応じ銀行借入等により対応してまいります。
⑦ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、会社の成長性を判断する「売上高」及び収益性を図る「営業利益・営業利益率」を経営の重要な指標として位置付けております。
⑧ 経営者の問題認識と今後の方針について
当社がサービスを提供しているSalesforceを含むクラウドサービス市場は今後も大きく成長していくと予想され、DXの加速化により、顧客のビジネス変化が速く、かつ、要求も変化し続けております。このような変化は、当社にとって追い風である一方で、顧客の要求の変化等に対応し、積極的に提案することのできる人材の育成は当社の重要な課題であります。ITエンジニアはシステム開発における一工程のみ担当するだけでは、顧客のビジネス変化に対応できないと考えております。ITコンサルティング・要件定義・設計・開発・システムテスト・運用保守といったシステム開発の全工程を、ITエンジニアがワンストップに提供することで、顧客と直接コミュニケーションを取る機会が増え、顧客のビジネスを理解し、顧客の信頼を獲得し持続的にサービスを提供することで、顧客のビジネスの成功に貢献し、当社のビジネスも成長すると考えております。
また、「北海道から日本のクラウドビジネスを支える。」を目指し、クラウドビジネスを通じて北海道の発展に貢献することにも努めております。
当社がクラウド環境における新しい変化を捉え、その市場のリーダーとなり、北海道の発展に貢献するために、経営者は、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載している課題に対して、弛まぬ努力をもって対処していかなければならないことを認識しております。
該当事項はありません。
該当事項はありません。