第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

 当社は『新生』をテーマとして、トレンドを見据えた業態開発を進めながら、既存店の売上向上に全社一丸となって取り組み、お客様満足度の向上を念頭に置いた商品の提供と接客を心がけ、収益の確保ができる体制の構築に取り組んでまいります。

 当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)会社の経営の基本方針

 当社は、経営理念である「お客様の笑顔・お取引先の笑顔・皆が喜ぶ私の仕事・地域社会も豊かにします」を基に、食の喜びと心からのおもてなしを提供する飲食店舗のチェーン展開を行っていくことを経営の基本方針とし、お客様満足度の高い食事を提供することにより、新たな食文化を世に広めることに努めております。

 

(2)目標とする経営指標

 当社は、好立地の出店候補物件を迅速かつ慎重に確保し、安定的な事業の拡大を図ることを基本方針とし、着実な成長を重点課題として経営しております。したがって、当社にとって売上高及び利益の増加率は極めて重要な経営指標であると位置づけております。

 

(3)中長期的な会社の経営戦略

 中長期的な成長及び発展を目指し、「既存事業」「海外」「新業態」において、下記を取り組んでまいります。

①既存事業

収益の安定化を図り、DX・プロモーション投資を積極的に推し進めてまいります。

②海外

アジア等を中心とした海外展開に向けた準備を行い、海外における将来的な店舗網拡大を目指してまいります。

③新業態

多様化する食の志向や来店ニーズに合わせた新業態の企画・検討を行い、新たな成長の「柱」となる業態の構築を目指してまいります。

 

(4)人材の育成

 社員採用基準、FC契約基準及び委託店基準を厳しく運用し教育訓練を徹底して優秀な人材の育成に努めるとともに、コンプライアンス遵守の観点から、不正・犯罪の発生しない職場環境づくりと社員の連帯意識の醸成に努めます。

 

(5)マーケティングの強化

 当社は、新規のお客様獲得とリピート率向上を目標に、広報・宣伝・商品販促活動に努め、高品質・高付加価値の厚切りステーキをリーズナブルに提供し、お客様に日常的にステーキを召し上がっていただく、ステーキ専門店として認知されてまいりました。当社が掲げた『ステーキを日本の食文化へ』のスローガンは着実に進展させてまいります。

 いきなり!ステーキ事業におきましては2023年10月6日に行ったメニュー改定により、原材料価格の高騰に対応し、原価率の安定を図っております。

 また、デリバリー(Uber Eats、出前館、menu、Wolt、ファインダイン等)は引き続きエリアを拡大すると同時に、今後はデリバリー商品を拡大いたします。

 SNS(X、Instagram、TikTok、YouTube)を積極的に活用し、ブランドイメージの向上とフォロワー数の増加を通じて、お客様への情報拡散力を高め、さらにお客様とのタッチポイントを増やし、来店頻度の向上を目指してまいります。

 さらに、いきなり!ステーキアプリを登録した際のお得な特典の情報を積極的に発信し、新規会員数を増やす事で実店舗への集客を促進いたします。

 

(6)安全管理、食材調達ルートの多元化

 お客様に安全な食品を提供するために食の安全管理を徹底し、安全で安定した商品供給のために食材の産地と調達先を厳選するとともに多元化を推進してまいります。当社は委託先の物流センター、食材調達先の工場等の取引開始前はもちろんのこと、取引開始後もISOの認定資格者等が定期的に訪問し、衛生管理、品質管理の状況を確認いたします。また、食材の産地と調達先の選定に当たっては念入りな情報収集を行い、さらなる食の安全管理を推し進めてまいります。

 

(7)牛肉価格の高騰について

 日米貿易協定が締結された事により、2020年1月1日通関分より牛肉関税が段階的に引き下げられておりますが、アメリカ国内の干ばつ等により飼料価格が上昇し、牛の生体価格も上昇傾向にあります。当社としては、目新しい部位の取扱いなども含め、原価低減に向けて様々な対策を講じております。

 

(8)出店候補物件の確保について

 当社の業態に適した店舗物件の確保は、今後の事業拡大のための重要な課題であります。当社としては、外部協力者から店舗物件情報の提供を受けるなど、店舗物件情報の入手ルートを広げ、多くの優良な店舗物件の確保に努めてまいります。

 

(9)FC加盟者開発について

 当社は、FC事業を中心とした事業展開を行っており、継続的に事業を拡大していくためには、FC加盟契約者の開発は重要な課題であり、積極的なFC加盟契約者開発に取り組んでまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 サステナビリティに関する考え方及び取り組みは次のとおりであります。

(1)ガバナンス

 当社では、サステナビリティの取り組みを一層強化し、企業価値の向上と社会的責任を果たすための組織としてサステナビリティ委員会を2023年10月に新たに設立しました。

 サステナビリティ委員会は代表取締役社長を委員長、全社内取締役及び社外取締役1名を構成メンバーとし、気候関連を含むサステナビリティ関連課題に対する基本方針、マテリアリティの策定及び取り組みの推進、監督を行っています。また、同委員会の事務局である総務部は、各事業部門から抽出された気候関連事項の検討や具体的な取り組みの推進などを担当し、その進捗を委員会に報告しています。

 サステナビリティ委員会は原則として年に1回以上開催し、委員会で審議・決定される内容は、適宜取締役会に報告され、取締役会でも審議・決議されます。また、その内容は、事務局である総務部を通じて各事業部門に共有され、事業活動に活かしております。今後も飲食業界での食品ロス問題の解決や省エネ活動の推進などの気候変動への対策に積極的に取り組んでいくことを目指しています。

 

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(2)戦略

 将来世界において、気候変動に起因する事象が自社事業活動にどのような影響をもたらすのかを検討するため、下記のようにシナリオ分析を行っています。

 

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 また、シナリオ分析実施時には環境省が発行する「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ(2023年3月発行)」を参考に、下記手順に沿って定性・定量の両面から考察を行っています。

 

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① 想定されたリスク・機会一覧

 上記2つのシナリオに基づいて、当社の事業に影響を及ぼす気候関連リスク・機会を抽出し、評価を行いました。

 結果、4℃の「温暖化進行シナリオ」においては、異常気象の激甚化による当社店舗の被災やサプライチェーンの寸断、または気象パターンの変化などに伴う牛肉・米の主要な原材料仕入れコストの高騰が主なリスクとして想定されています。

 1.5℃の「脱炭素シナリオ」においては、将来的なカーボンプライシング制度の導入や電力価格の高騰が当社の経営に大きな影響を及ぼす可能性があると想定されています。一方、機会としては、当社のグラム単位の量り売りの販売方式による食品ロスの抑制や、平均気温の上昇に伴う米の生産量の増加による仕入れコストの削減も期待できます。

 

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「時間軸」短期:0~3年 中期:4~10年 長期:11年~

「評 価」赤文字:大:億円台の影響 中:千万円台の影響 小:~百万円台の影響

黒文字:大:定性的に大 中:定性的に中 小:定性的に小

※「―」影響は想定されないもしくは軽微

 

リスク・機会項目の財務的インパクト試算

 特定されたリスク・機会のうち、当社事業に重大な影響を及ぼす可能性のあるリスク・機会項目について、外部パラメータと当社実績値を元に2030年及び2050年時点の4℃シナリオまたは1.5℃シナリオにおける財務的インパクトの試算を行いました。

 

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 試算の結果を踏まえ、4℃の「温暖化進行シナリオ」では、気温上昇などの気象パターンの変化で当社の主要な原材料である、牛肉と米の収穫量や品質が低下することによる仕入れコストの増加が想定され、当社の業績へ巨大な影響があると予測され、安定調達への移行が今後自社経営上の重点課題であることを改めて認識しました。

 1.5℃の「脱炭素シナリオ」において、最も大きな影響がある項目は、炭素税の導入であると想定され、自社の事業活動において発生する排出量の削減取り組みへの対応がより一層必要であると再認識しました。一方、畜産業に対する政策の施行や気温の上昇に伴う一部の産地の米生産量の増加により、原材料の仕入れコストを削減することができると予測されています。

 また、両シナリオにおいても、異常気象の激甚化による当社店舗の被災が大きなリスクであると想定されましたため、被害を低減するための早期対応や事前整備に努めることが不可欠となります。

 

特定したリスク・機会への対応

 上記リスク・機会への対応方針を5つのカテゴリーに区分し、現時点で考えられる取り組みの方向性を検討しました。

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 具体的な取り組み例として、当社は2022年より、一部の店舗において実質再生可能エネルギー100%電力(CO2排出量ゼロ)の導入など、脱炭素に向けた取り組みを開始しています。

 また、当社の業績に巨大な影響がある「サステナブルな調達」課題については、単一食材や特定仕入れ先からの調達を改めて見直し、サプライチェーン全体と連携しながら、安定的な分散調達を構築しています。

 さらに、当社の物理的なレジリエンス性を保つため、業務継続計画(BCP)の策定と強化や、デリバリーのエリア拡大などを予定しています。

 

④ 人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針

 当社では、お客様に安心して召し上がっていただく料理を提供することを最優先に考えており、その実現に向けた個々の特性を生かした人材採用・育成と社内環境整備を重視しております。

 

(a)採用方針

・顧客サービスに熱心で、食に対して情熱を持ち、チームワークを重視する人材の採用。

・配属先の所属長との面接により、会社のビジョンや価値観を直接伝え、企業風土や会社文化、配属先の印象を深く理解する機会を提供。

・国籍、性別、業界経験を問わず、多様なバックグラウンドを持つ候補者を積極的に採用し、多様性と包摂性を促進。

 

(b)育成方針

・従業員がキャリア目標を達成できるよう、定期的なワンオンワンでの面談と継続的なスキルアップトレーニングを提供。

・店長試験制度などの各種試験を通じて、キャリアアップへの目標及び基準を明確にし、次世代の管理職候補を育成。

・キャスト・キッチンコンテストの開催及び入賞者へのインセンティブにより、従業員のスキル・モチベーションアップを促進。

 

(c)社内環境

・確定拠出年金、従業員持株制度といった社員の資産形成をサポートする福利厚生の充実。

・従業員の意見を反映するための定期的なフィードバックループとオープンドアポリシーの実施。

・ワークライフバランスの改善を目指し、柔軟な勤務スケジュールや育児休業・育児短時間勤務の推進、定期的なメンタルヘルスチェックを提供。

 

(3)リスク管理

 当社では、事業などに関するリスクについて、「サステナビリティ委員会」と「リスク管理委員会」が連携し、リスクの識別・評価・管理を行っています。

 その中で、サステナビリティ委員会及びその事務局である総務部では、シナリオ分析を通じて、潜在的もしくは顕在化しているサステナビリティ関連リスクを特定するとともに、定性と定量の両面からインパクトを評価しています。

 また、サステナビリティ委員会にて識別・評価されたサステナビリティ関連リスクは、全社的なリスク管理を統括するリスク管理委員会に共有されます。リスク管理委員会にて、当社の他のあらゆるリスクと相対的に評価を行い、対応策を検討して、適宜取締役会にも報告しています。また、総務部を通じて、各事業部門へ連携し、対応の進捗をモニタリングしています。

 ※リスク管理体制図は当該有価証券報告書内の「(1)ガバナンス」をご参照ください。

 

(4)指標及び目標

 当社では、自社事業活動による環境負荷を把握するため、本社及び日本国内の事務所、直営店舗を対象とし、温室効果ガス排出量(Scope1,2)の算定に取り組みました。また、新型コロナウイルスによる当社営業への影響を鑑み、2019年を排出量算定と目標の基準年としました。

 算定結果を踏まえ、日本国のカーボンニュートラル宣言に合わせて、2050年カーボンニュートラル及び2030年35.5%削減(2019年度比)の排出量削減目標を設定しました。再エネ電力メニューの活用や省エネ設備の導入などにより、目標達成を目指しています。

 

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 また、人材育成及び社内環境整備に関する方針や目標について定めておりませんが、会社の企業価値向上及び持続的な成長において、人材育成及び働きやすい環境づくりは急務であると考えております。そのため、時代の流れを着実に捉えながら、多角的な見識を持てる人材育成に専心し、従業員が安心して働ける職場作りにより、従業員のエンゲージメントを向上させることで、会社のさらなる発展及び持続的成長を目指してまいります。

 

3【事業等のリスク】

 当社の事業等に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項を記載しております。

 有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社が判断したものであり、当社はこれらリスク発生の可能性を認識した上で、その発生の防止、回避及び発生した場合の早期対応に最大限努める方針でありますが、以下の記載は当社の事業に関し全て網羅するものではありませんので、ご留意下さい。

 

(1)事業展開について

① 外食業界の動向について

 当社の所属している外食業界は、新型コロナウイルス感染症が5類に引き下げられたことで、需要の回復が顕著にあらわれたものの、選択的消費行動の広まりなどにより外食業界を取り巻く環境は大きく変化してきております。

 当社といたしましては、これからの新たな生活様式に求められる、お客様がご安心してお食事を楽しめる飲食店を目指してまいります。当面におきましては、徹底した衛生管理を優先するとともに、システム導入等のDX化を行うことで作業負担の軽減を図り、さらに財政基盤の維持を目的に更なるコスト管理に取り組んでまいります。また、各種メディア等による積極的な情報発信、計画的なキャンペーンの実施により、ブランドイメージや認知度の向上に努めるとともに、アフターコロナにおける経営環境の変化に対応できる新業態開発の研究についても積極的に取り組んでまいります。

 しかしながら、天災等の自然災害、感染症やBSEなどの社会問題、お客様の味覚及び嗜好の変化、テイクアウトやデリバリー需要増から高まる食中毒などの衛生管理リスク、時短や休業による従業員の解雇、雇い止め等によるスタッフのモチベーションの低下、円安による原材料費の高騰などが進む場合には当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

② 店舗出店について

 当社の出店におきましては、集客力が見込める商業施設、交通量の多いロードサイドと主要駅周辺に出店しております。新規出店にあたっては、立地条件、賃貸借条件、店舗の採算性、投資回収期間等を総合的に検討し決定しております。しかしながら、出店後に交通アクセスの変化や商業施設との競合、または同業他社等が新規参入した場合には当社の業績に影響を与える可能性があります。

③ 競合の参入について

 当社のサービスの特徴は、当社オリジナルの特殊鉄皿を感熱センサー付電磁調理器で急速加熱し、食材を盛り付けてお客様に提供する調理システムであり、当社は感熱センサー付電磁調理器及び鉄皿について特許を取得して参入障壁を高くしておりましたが、2020年にペッパーランチ事業を譲渡した事で、そのオリジナル性が薄まりました。また主力事業である、いきなり!ステーキは単一業態を広域に多店舗展開することにより、お客様への認知度を高め、ブランド価値の向上に努めてまいりましたが、類似した事業を展開する企業との競合が本格化した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

④ 単一食材(牛肉)への依存について

 当社は特定産地の単一食材(牛肉)に依存しております。今後も現状以上に新たな産地の開拓や分散調達等のリスクヘッジに努めてまいります。しかしながら、新たな疫病の発生、天候不順・天災等の発生により、必要量の原材料確保が困難な状況になること、または、市場価格や為替相場の変動により、仕入れ価格が高騰し、売上原価が上昇することにより、当社の業績へ影響を及ぼす可能性があります。

⑤ 特定仕入先への依存について

 当社は、当社の直営店舗及びFC店舗の食品供給の大半(約8割)を1社の食品供給業者に依存しており、供給が滞った場合には当社の事業に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑥ 自然災害リスクについて

 当社の営業店舗、物流センター等を含む地域で大規模な地震や洪水、台風等の自然災害が発生した場合、店舗の営業不能による売上低下、お客様及び従業員の人的被害、物流センターや受発注システムに損害が生じることにより仕入が困難になる等、正常な事業活動が困難となり、当社の業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

⑦ ITシステムトラブルについて

 当社は、コンピューターウイルスによる感染等により、ITシステムに不具合が生じた場合、情報ネットワークシステムに支障が生じ、商品配送の混乱、店舗サービス業務停止が予測され、それらの復旧に多額の費用を要し、業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑧ 特許権について

 当社は、エイシン電機株式会社と共同で、店舗にて使用している感熱センサー付電磁調理器(発明の名称:電磁誘導加熱を利用した加熱装置)に関する特許を取得しております。同様の機器を使用した他社との競合が本格化した場合には、当社独自の店舗システムの優位性が薄れ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 当社の特許は法的に保護される反面、特許情報の公開によって特許の模倣が発生する可能性があります。また、他社による研究開発により同様の機器が開発される可能性があります。

 同様の機器を使用した他社との競合が本格化した場合には、当社独自の店舗システムの優位性が薄れ、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑨ 商標権について

 当社は、店舗名や商品名等は事業展開上の重要な要素として位置づけており、一般的な名称等の理由により登録が困難な場合を除き、商標の登録を行う方針としております。また、新たな商標を使用する場合には、第三者の商標権を侵害しないように常に注意しております。

 しかしながら、商標使用時における当社の調査が十分でなく、当社の使用した商標が第三者の登録済みの商標権を侵害していると認定され、商標の使用差止や損害賠償請求が発生した場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

⑩ マーケティング活動について

 当社は、ソーシャルメディアを含む多種多様の媒体を利用したマーケティング活動に財源を投じています。競合他社がマーケティング及び広告に多額の費用を投じ、当社のマーケティング活動に支障が生じて販促効果が得られなかった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)FC展開について

① FC加盟店の展開について

 当社はFC加盟契約者を募っておりますが、当社の計画通りに新規FC加盟店が増加しない場合や、FC加盟店側の諸事情により加盟契約が解消された場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② FC加盟者との関係について

 当社は、運営マニュアルに基づく開店前の研修やスーパーバイザーを通じた店舗運営指導により、FC加盟契約者への教育を行い、店舗運営レベルの維持、向上に努めております。しかしながら、急速な展開により、当社によるFC加盟契約者への教育及び運営指導が十分に行き届かない場合には、安全衛生、品質及びサービスの低下によるお客様からFC加盟店に対する苦情等の発生によるブランド価値の毀損により当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

③ FC加盟者に対する債権管理について

 当社は、FC加盟契約者に対して食材等の売掛金やロイヤリティ及び貸付金などの債権を有しております。

 債権の回収管理を徹底しておりますが、これらのFC加盟者がデフォルト(債務不履行)になった場合には、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)人材の確保・育成について

 当社は引き続き、FC事業の拡大を事業の柱としているため、特にFC店に対して店舗運営指導を行うスーパーバイザーを中心とした、各部門の人材の確保及び育成が重要と考えております。現在、当社は求人広告や人材紹介会社からの紹介等を通じて、新卒並びに中途の求人・採用活動を行う一方、当社固有の人材育成システムなどを活用して積極的な人材育成を行っております。しかしながら、当社の求める人材が十分に確保出来ない場合や、人材の育成が計画通りに進捗しない場合には、FC加盟店の管理が十分に行われないおそれがあり、当社の事業に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)法的規制について

① 食品衛生法

 当社は、外食事業者として「食品衛生法」の規制を受けております。食品衛生法は飲食に起因する衛生上の危害の発生防止及び公衆衛生の向上・増進に寄与することを目的としており、飲食店を営むに際して、食品衛生責任者を置き、厚生労働省の定めるところにより、都道府県知事の許可を得なければなりません。

 営業店舗において食中毒の発生や、腐敗物の提供、未認証の添加物の使用など、食品衛生法の違反行為を行った場合、所轄の保健所は、違反を行った店舗に対して営業許可の取り消し、または営業の全部もしくは一部について期間を定めて営業停止を命じることがあります。

 当社では、お客様に安心してお召し上がり頂くために、食材供給工場に対してISO9001及びHACCPに準拠した定期検査を実施し、その上で一定以上の衛生水準に達したと認定した場合に、商品の製造を依頼しております。食中毒発生の危害度が高いと判断した仕入食材については、定期的な微生物検査を実施し、当社の基準に合致した商品を購入しております。

 委託先の物流センターでの在庫時及び店舗への配送時における温度管理は、最大限の注意を払っており、また各店舗におきましても、衛生管理マニュアルに沿った手順の遵守を指導しております。しかしながら、万が一何らかの要因で当社直営店舗、委託店舗及びFC店舗において食中毒等が発生した場合には、当社の業績に重大な影響を及ぼす可能性があります。

② 食品リサイクル法

 当社では、食材の調理時に食品廃棄物が発生しないよう事前に加工を行うことや、商品注文時にお客様の要望を聞き提供する量を調整することにより、廃棄物発生量の抑制及び減量に努めております。

 しかしながら、今後の出店増加等により食品廃棄物の排出量が増加し、生ゴミ処理機の設置や委託処理業者との新たな取引が発生する場合には、追加的な費用が発生し当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(5)個人情報の保護について

 当社は、「個人情報保護方針」や「個人情報管理規程」を制定し、個人情報を取り扱う関係者に対して情報漏洩防止の徹底を啓蒙しております。

 しかしながら、内部管理体制の問題や外部からの侵入により、これらの情報が漏洩した場合には、信用低下や損害賠償等によって当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(6)特定の人物への依存について

 当社の主要な経営幹部は、経営方針及び経営戦略の策定等、事業運営の中心的役割を果たしております。

 当社は、事業運営の中長期的な発展のために幹部社員の育成等による組織力の向上に努めておりますが、現時点において何らかの理由により経営から離れるような場合、当社の業績及び今後の事業の推進に影響を及ぼす可能性があります。

 

 

(7)海外展開におけるカントリーリスクについて

 当社は、2023年12月31日現在、4店舗のいきなり!ステーキの海外FC出店を果たしております。今後につきましては、新たな加盟社も含め更なる海外展開の拡大を図っています。今後、フィリピンなど東南アジア、中国、今後他の地域も含め、海外事業を推進する方針でありますが、各国特有のカントリーリスク(疫病、伝染病、政情、経済、法規制、ビジネス慣習、為替等)により、当社の業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(8)減損会計について

 当社は、減損会計を適用しておりますので、当社保有の資産が当初期待した事業の収益性を下回るなどした場合、当該固定資産に対する減損処理が必要となり、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(9)訴訟等について

 当社は、お客様、FC加盟者、雇用関係、不動産関係、不法行為、知的財産、契約違反、証券、デリバティブ及びその他の訴訟が関与する訴訟手続きにより、当社の評判を害し、業績に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

(10)新株予約権(行使価額修正条項付)について

 2022年12月8日開催の取締役会にて、当社は、投資事業有限責任組合インフレクションⅡ号、InfleXion II Cayman, L.P.及びフラッグシップアセットマネジメント投資組合88号を割当先とした第三者割当による新株予約権(行使価額修正条項付)を行うことを決議いたしました。そのため、新株予約権(行使価額修正条項付)が権利行使された場合、当社株式が新たに発行され、既存の株主が有する株式の価値及び議決権割合が希薄化する可能性があります。

 

(11)継続企業の前提に関する重要事象等について

 日本国政府は2020年2月以降、新型コロナウイルス(COVID-19)感染症に関連した感染症対策の基本方針等を公表しましたが、それ以降消費者は外出等を控え外食需要に重要な影響が生じております。当社においては、政府及び自治体からの各種要請等を受けて一部店舗の臨時休業や営業時間短縮を実施したことなどから、2020年3月以降、当社の来店客数は顕著に減少して売上高も著しく減少しております。2022年3月21日には、店舗の営業に対する制限が概ね解除され、来店客数等は次第に回復しておりますが、いまだ回復の途上にあり、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前の水準を下回る状況が続いております。これらの結果、当事業年度においては、継続した営業損失を計上するとともに、重要な当期純損失を計上しております。

 この結果、借入金の返済等の資金繰りに懸念が生じており、継続企業の前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況が存在しております。

 当社は、当該状況の解消または改善のために、下記のような対応策を講じております。

① 当社は、収益改善及び本社費用の削減等の施策を行っております。具体的には、既存店の売上対策を強化し、店舗の事情に応じたメニューの変更等を推進しております。また、従業員の適正配置などのコスト削減施策も推進し、事業の収益性を改善しております。

② 当社事業の各種ステークホルダー(金融機関等)との緊密な連携関係を高め、必要に応じた支払条件の柔軟化等を含めた協力体制の強化を行っております。

③ 当社は適切な店舗体制を構築するために、2020年度以降、当事業年度末までに151店舗の閉店を決定し必要な会計処理をしております。今後も店舗の収益性を見極めて不採算店の整理を進めております。

④ 当社は、2022年12月8日の取締役会にて、第三者を割当先とした第13回新株予約権及び第14回新株予約権の発行に係る決議を行いました。なお、2024年3月28日現在、これらのうち第13回新株予約権が行使され2,340百万円の調達を完了しております。

 

 しかしながら、収益改善及び本社費用の削減等の施策の成果が、売上高及び業績に及ぼす影響について見通すことが容易ではないこと、また金融機関等との間で支払条件等の協力体制を築くために一定の期間を要することも想定されること及び、新株予約権の行使について株価下落等により予定通り資金調達ができない場合があることから、現時点においては継続企業の前提に関する重要な不確実性が存在するものと認識しております。

 なお、財務諸表は継続企業を前提としており、継続企業の前提に関する重要な不確実性の影響を財務諸表に反映しておりません。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

 当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

 

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態及び経営成績の状況

(a)財政状態

(資産)

 当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて580百万円減少し5,641百万円になりました。これは主に、現金及び預金が233百万円増加したこと、売掛金が98百万円減少したこと、有形固定資産が343百万円減少したこと、敷金及び保証金が214百万円減少したこと並びに建設協力金が66百万円減少したことによるものです。

 

(負債)

 負債合計は、前事業年度末に比べて1,824百万円減少し3,100百万円となりました。これは主に、買掛金が84百万円減少したこと、資産除去債務が280百万円減少したこと、借入金が1,210百万円減少したこと及び事業構造改善引当金が129百万円減少したことによるものです。

 

(純資産)

 純資産は、前事業年度末に比べて1,244百万円増加し,2,540百万円となりました。これは主に、当期純損失710百万円を計上したこと及び第13回新株予約権の行使に伴い、資本金と資本準備金がそれぞれ990百万円増加しましたが、減資により、資本金と資本準備金がそれぞれ1,004百万円減少、その他資本剰余金が67百万円増加、繰越利益剰余金が1,940百万円増加したことによるものです。また、自己資本比率は前事業年度末から24.6ポイント増加し44.8%となりました。

 

(b)経営成績

 当事業年度におけるわが国経済は、インバウンド消費の復調を背景に、脱コロナに向けた持ち直しが続く一方、国際情勢は一段と混迷を深めており、地政学的リスクの高まりによるインフレの顕在化など、先行きの不透明な状況が続いております。外食産業におきましては、円安進行によるコスト増や業界全体の人手不足、選択的消費行動の広まりなどを背景に引き続き厳しい状況が続いております。

 こうした状況のもと、当社は、年初より「新生」をテーマとして、お客様へ安心安全な商品をお届けすることを最優先としながら、既存店の収益性向上への取り組みやプロモーション投資の推進、また、アジアを中心とした海外への展開に向け注力いたしました。

 特別損益項目では、建物賃貸借契約を締結している家主等との交渉が進展したことに伴い、見積額と確定額の差額等を事業構造改善引当金戻入額として57百万円特別利益に計上し、収益性の低下した店舗資産等に対して減損損失として190百万円特別損失に計上いたしました。

 これらの結果、当事業年度における売上高は14,587百万円(前期比1.3%減)、営業損失は490百万円(前期は1,555百万円の営業損失)、経常損失は556百万円(前期は503百万円の経常損失)、当期純損失は710百万円(前期は1,925百万円の当期純損失)となりました。

 

(いきなり!ステーキ事業)

 いきなり!ステーキ事業につきましては、肉マイレージアプリの大幅な改定やいきなり!ステーキ誕生から10周年を記念して、「創業祭」フェア(6月、11月の2回)を開催するなど、新規会員様の獲得と来店促進に繋げました。また、7月に人気お笑いコンビ「マヂカルラブリー」の野田クリスタル氏に「いきなりアンバサダー」として就任していただき、就任記念クーポンの発行やSNS広告を活用した様々な販促活動を行いました。その一方で、輸入牛肉の原材料価格の上昇が続いている状況を背景に、2023年10月6日よりグランドメニューの改定を行いました。改定に伴い、期間限定で販売していた「赤身!肩ロースステーキ」を新メニューとして導入しました。 

 海外におけるいきなり!ステーキ事業では、8月19日にフィリピン2号店目となる「IKINARI STEAK Robinsons Magnolia店」を開店、12月5日に3号店目となる「IKINARI STEAK One Ayala Mall店」を開店し、2か国、4店舗となりました。

 なお、不採算店舗の閉店効果や様々な施策により収益性が向上しており、セグメント利益は前期を大幅に上回りました。

 この結果、当事業年度における売上高は13,847百万円(前期比2.0%増)、セグメント利益は874百万円(前期比263.6%増)となりました。

 

(レストラン事業)

 レストラン事業につきましては、季節メニューの販売や周年祭の開催などを個店販促にて実施いたしました。また、全店キャンペーンとして、「アメリカンフランクステーキ」、「イチボステーキ」、「あかうし」など、期間限定での販売を行い、売上及び利益向上に努めて参りました。その一方で、事業の集中や収益性向上の観点から、牛たん業態の撤退、「Prime42 BY NEBRASKA FARMS」の事業譲渡、「ステーキくに両国店」の閉店をいたしました。

 この結果、当事業年度における売上高は672百万円(前期比29.7%減)、セグメント損失は32百万円(前期は151百万円のセグメント損失)となりました。

 

(商品販売事業)

 商品販売事業につきましては、「冷凍ワイルドステーキ」、「冷凍ガーリックライス」、「冷凍ハンバーグ」の他、家庭でもお店の味が楽しめるよう、オリジナルスパイスやソースを各大手モールにて出店販売いたしました。また、年初より販売価格の見直しを行い、収益性改善に努めております。

 この結果、当事業年度における売上高は66百万円(前期比57.6%減)、セグメント損失は12百万円(前期は22百万円のセグメント損失)となりました。

 

(その他事業)

 その他事業につきましては、店舗FC開発や店舗サポート及び購買に関する間接収益部門の事業となっております。新規加盟店の出店が発生していないため、売上高が減少している状況が続いております。

 この結果、当事業年度における売上高は1百万円(前期比98.6%減)、セグメント損失は104百万円(前期は104百万円のセグメント損失)となりました。

 

② キャッシュ・フロー

 当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前事業年度末に比べて233百万円増加し2,121百万円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

 営業活動の結果支出した資金は、445百万円(前期は44百万円の支出)となりました。これは主に、税引前当期純損失を636百万円計上したこと、減価償却費を225百万円計上したこと、減損損失を190百万円計上したこと、貸倒引当金が222百万円増加したこと、事業構造改善引当金が110百万円減少したこと、敷金、保証金及び建設協力金と相殺した解約違約金が42百万円増加したこと、売上債権が98百万円減少したこと、仕入債務が84百万円減少したこと、未払金が26百万円減少したこと及び未払消費税等が35百万円増加したことによるものです。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

 投資活動の結果支出した資金は、62百万円(前期は146百万円の支出)となりました。これは主に、資産除去債務の履行により157百万円の支出があったこと、敷金及び保証金の回収により173百万円の収入があったこと並びに預り保証金の返還により36百万円の支出があったことによるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

 財務活動の結果獲得した資金は、740百万円(前期は2,275百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金が512百万円減少したこと、長期借入金の返済により698百万円の支出があったこと及び株式の発行により1,954百万円の収入があったことによるものです。

 

③ 仕入及び販売の実績

(a)仕入実績

 当社の事業は提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、「生産実績」に代えて、「仕入実績」を記載いたします。

 当事業年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

前期比

(%)

いきなり!ステーキ事業(百万円)

5,953

97.4

レストラン事業(百万円)

234

61.4

商品販売事業(百万円)

42

32.3

その他(百万円)

1

2.5

合計(百万円)

6,232

93.0

(b)受注実績

 当社で行う飲食事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。

 

(c)販売実績

 当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年1月1日

  至 2023年12月31日)

前期比

(%)

いきなり!ステーキ事業(百万円)

13,847

102.0

レストラン事業(百万円)

672

70.3

商品販売事業(百万円)

66

42.4

その他(百万円)

1

1.4

合計(百万円)

14,587

98.7

(注)商品販売事業の販売実績は、冷凍いきなり!ガーリックライス、とんかつソース等の販売高であります。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。

 

① 財政状態の状況に関する認識及び分析・検討内容

「(1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況 (a)財政状態」を参照願います。

 

② 経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

(1)売上高

 当事業年度の売上高は14,587百万円(前期は14,775百万円)となり、前期に比べ187百万円の減少となりました。減少の主な要因は、レストラン事業及びいきなりステーキ事業の店舗数が前期末に比べ閉店等により26店舗減少したことによるものです。

 

(2)売上原価、販売費及び一般管理費

 当事業年度における売上原価は6,263百万円(前期は6,702百万円)となり、前期に比べ439百万円の減少となりました。売上高に対する売上原価率は42.9%となり、前期に比べ2.5ポイント減少となりました。減少の主な要因は、フランチャイズ、直営、委託の売上高構成比の変化によるものです。

 販売費及び一般管理費は8,815百万円(前期は9,628百万円)となり、前期に比べ813百万円の減少となりました。減少の主な要因は、給与手当及び賞与が156百万円減少したこと、地代家賃が216百万円減少したこと及び減価償却費が391百万円減少したことによるものです。

 

(3)営業外損益

 当事業年度における営業外収益は34百万円(前期は1,258百万円)となり、前期に比べ1,223百万円の減少となりました。減少の主な要因は、新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金が1,186百万円減少したことによるものです。また、営業外費用は100百万円(前期は205百万円)となり、前期と比べ105百万円の減少となりました。減少の主な要因は、株式交付費が16百万円減少したこと及び賃貸借契約解約損が81百万円減少したことによるものです。

 この結果、当事業年度における経常損失556百万円(前期は503百万円の損失)となり、前期と比べ53百万円増加となりました。

 

(4)特別損益

 当事業年度における特別利益は121百万円(前期は170百万円)となり、前期と比べ49百万円の減少となりました。減少の主な要因は、新株予約権戻入益が106百万円減少したことによるものです。また、特別損失は201百万円(前期は1,535百万円)となり、前期と比べ1,334百万円の減少となりました。減少の主な要因は、減損損失が1,339百万円減少したことによるものです。

 以上の結果、税引前当期純損失は636百万円(前期は1,868百万円の損失)となり、前期と比べ1,231百万円の減少となりました。また、当期純損失は710百万円(前期は1,925百万円の損失)となり、前期と比べ1,214百万円の減少となりました。

 

③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

 「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」を参照願います。

④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

 財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。

⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

 当社は、目標の達成状況を判断するための客観的な目標等として、売上高経常利益率を重視しております。

売上高経常利益率の推移

指標

第38期

2022年12月期

第39期

2023年12月期

前期比

 売上高

14,775百万円

14,587百万円

98.7%

 経常損失(△)

△503百万円

△556百万円

-%

 売上高経常利益率

-%

-%

-ポイント

 当事業年度の経常損益につきましては、前事業年度に比べ53百万円減少しております。

 当社といたしましては、インフレの顕在化など先行きの不透明な状態が続いてはおりますが、既存店の業績改善を行い安定した収益確保を目指すとともに、全体的なコスト削減に努め、企業価値の継続的な向上に努めてまいります。

 

5【経営上の重要な契約等】

(1)当社は、FC加盟者との間で下記の契約を締結しております。

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

・FC店舗経営者

(注)1、2、3、4

日本

フランチャイズ

加盟契約

いきなり!ステーキ及びレストランのノウハウ開示及び商標等の使用許諾等

契約締結日より

3~5年間

(注)1.FC加盟者からロイヤリティとして、売上高の一定率を受取っております。

2.FC加盟者からフランチャイズ加盟金を一定額受領し、食材保証金についても一定額を預かっております。

3.契約終了の意思表示は書面をもって契約期間満了の90~180日前までに行い、契約終了の意思表示をしない場合は自動的に3~5年間の契約更新としております。

4.2023年12月31日現在の加盟者数は24、契約店舗数は48であり、いきなり!ステーキ事業47店舗及びレストラン事業1店舗、計48店舗の営業を開始しております。

 

(2)当社は、業務受託者との間で下記の契約を締結しております。

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

・委託店舗経営者

(注)1、2、3、4

日本

委託業務契約

いきなり!ステーキのノウハウ開示及び商標等の使用許諾、店舗の運営の委託

業務委託日より

1~2年間

(注)1.業務受託者からロイヤリティとして売上高の一定率を受取っております。

2.業務受託者から委託契約金を受領し、保証金を預かっております。

3.契約終了の意思表示は書面をもって契約期間満了の90~180日前までに行い、契約終了の意思表示をしない場合は自動的に1年間の契約更新としております。

4.2023年12月31日現在の委託者数は4であり、いきなり!ステーキ事業5店舗の営業を開始しております。

 

(3)当社は、共同特許権者及びその販売子会社との間で下記の契約を締結しております。

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

・エイシン電機株式会社

・エイシン産業株式会社

日本

電磁調理器製品及び当該製品の部品

共同技術開発した製品を当社が独占的に供給を受ける

2006年2月10日より

10年間

 (注)契約終了の意思表示は書面をもって契約期間満了の90日前までに行い、契約終了の意思表示しない場合は自動的に1年の契約更新としております。

 

(4)当社は、FC加盟者との間で海外における下記の契約を締結しております。

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

・新一餐飲有限公司

(台湾法人)

台湾

フランチャイズ加盟契約

(いきなり!ステーキ)

台湾の店舗におけるフランチャイズ権を付与し、経営指導を行う

2022年2月24日より

5年間

・SIN DE YI DEVELOPMENT

CO.,LTD.

(台湾法人)

台湾

フランチャイズ加盟契約

(いきなり!ステーキ)

台湾の店舗におけるフランチャイズ権を付与し、経営指導を行う

2020年10月8日より

10年間

・DREAMS COME TRUE SERVICE CO.,LTD.

(台湾法人)

台湾

フランチャイズ加盟契約

(いきなり!ステーキ)

台湾の店舗におけるフランチャイズ権を付与し、経営指導を行う

2020年12月10日より

10年間

・Easy Food Restaurants Corp.

(フィリピン法人)

フィリピン

フランチャイズ加盟契約

(いきなり!ステーキ)

フィリピンの店舗におけるフランチャイズ権を付与し、経営指導を行う

2022年6月28日より

5年間

 (注)上記契約の対価として、当社は契約締結時の権利金の他、加盟金、ロイヤリティとして売上高の一定率を受取っております。

 

(5)当社は、事業提携先との間で下記の契約を締結しております。

相手方の名称

国名

契約品目

契約内容

契約期間

・アドバンテッジアドバイザーズ株式会社

日本

事業提携契約

・売上拡大支援

・コスト削減支援

・組織基盤向上支援

2022年12月26日より

4年間(注)2

 (注)1.当社はアドバンテッジアドバイザーズ株式会社がサービスを提供するファンドに対して、第13回新株予約権及び第14回新株予約権を割り当てております。

2.(注)1.に該当する新株予約権若しくはこれを行使して取得する当社株式のいずれも保有しないこととなる日、若しくは契約期間のいずれか早く到来する日までの間実施されるものとしております。

 

6【研究開発活動】

 特に記載すべき事項はありません。