文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、自分の想いをどんな形であれ表現し、自分らしく生き、人々と交流することが人生をより豊かにすると考えます。このような人々を表現者(クリエイター)と位置づけたうえで、当社は「世界中の人々を表現者にする」企業となることを目指します。
そのために、「クリエイターに品格を伴った価値を提供するという、利他的な動機を基にした行動」という規範のもと、創作活動を加速させる魅力的なクリエイティブオーディオ機器の開発を推し進めるとともに、より多くの人々に当社を認知してもらい、かつ既存顧客の満足度を高めるべく、ブランド価値の向上に努めます。
また、適正で安定した利益還元によって株主の期待に応えるとともに、技術革新に対する投資を積極的に行います。更に、コンプライアンス、透明性、環境への配慮を重視することで企業の社会的責任を果たしてまいります。
当社グループでは、持続的な成長と適正な利益の確保のための指標として売上高及び営業利益を、また、資金の効率的な運用を実現するための指標として株主資本利益率(ROE)及び投下資本利益率(ROIC)を、重要な指標と考えております。
当社グループが属する楽器関連機器業界においては、コロナ禍におけるリモートワークやステイホームの浸透によるライフスタイルの変化による堅調な需要は一巡し、ロシアのウクライナ侵攻による原材料価格の高騰及びインフレの加速、半導体の供給不足や物流網の混乱により、先行き不透明な状況が続いておりました。しかしながら、現在は半導体の供給遅延は大幅に改善、スポット購入によるコスト増も大幅に削減され生産納期への影響もほぼ皆無となっており、ポストコロナと言われる中、クリエイターエコノミーの発展や生成AIの台頭などを新たなビジネスチャンスと捉えると同時に、事業における生産性の改善を図る絶好の機会と捉えております。
当社グループは、中長期的な経営ビジョンとして、「“進化”と“挑戦”によりより多くの自己表現を支える」を掲げ、当社製品のターゲットユーザーを楽器の演奏をするミュージシャンに限定せず、広く創造活動をするクリエイターと位置づけることにより、製品カテゴリーを拡げることで成長シナリオを描いております。一方で、ハンディオーディオレコーダー、マルチエフェクターやデジタルミキサーといった既存の製品カテゴリーにつきましても、引き続き新製品を投入し、持続的な成長を目指してまいります。すなわち、製品カテゴリーを入れ替えていくのではなく、実績ある従来製品で安定した事業基盤を確保しつつ、新たな製品カテゴリーを加えていく、という経営戦略を掲げております。
加えて、開発標準化・最適化や効率的なプロモーション活動による利益率向上、部品納期短縮と販売子会社との連携強化による在庫最適化がもたらす回転率向上、AIやDXを活用した生産性向上という3つの効率化により、収益率を強化します。
また、2021年1月に株式会社フックアップ(以下、フックアップ社)を子会社化したことにより、音楽用電子機器のディストリビューション・ビジネスを営む基盤が、日米欧に揃いました。ズームブランドの成長に加えて、第二の収益の柱として育成してまいります。M&Aを含めた成長のために必要な投資については、継続的に実施していく予定であります。
当社は、上記方針を踏まえ、2024年度から2026年度までの中期経営計画「第4次中期経営計画2024-2026」を策定しております。当該中期経営計画において、2026年度の数値目標を、売上高220億円、営業利益22億円と定めました。また、資本効率性の指標としてROE10%以上、ROIC10%以上、PBR1倍以上を目標として設定いたしました。
当面は不透明な外的要因が続くことを前提に、安定的、持続的に事業を拡大するため、下記のような課題に優先的に取り組んでまいります。
① 不透明な景況感
世界的なインフレ傾向は沈静化の傾向がみられるものの、中東紛争の激化、金融不安、貿易の分断化など、景気の下振れリスクが残っており、不透明な景況感が続いています。当社においては原材料価格高騰によるコスト上昇圧力はそれほど高くなく、在庫も適正レベルを維持できておりますが、2023年下半期では北米の販売が伸び悩むなど、景況感の影響を受けております。
この不透明な景況感にあっても新製品は確実に売上に貢献するため、開発の効率化とマーケティング効果の最大化を図り、更に納得感のある価格と利益率の高さを両立させるために、クリエイターが期待する機能の本質を見極め、そこにフォーカスしたイノベーティブかつシンプルな商品の開発に取り組んでまいります。
② 人材の確保と育成
有効求人倍率は1.3倍とバブル景気時並みの高さが続いており、超少子高齢化により生産年齢人口は減少の一途を辿っております。理系学部を主体としていた新卒採用の間口を芸術学部にも広げ、インターンシップや座談会の開催など、学生との接点を増やす事で優秀な人材確保に努めてまいります。
同時に、海外子会社への出向も視野に入れたジョブローテーション、次世代リーダー育成プログラム、フィロソフィー浸透活動といった社内育成プログラムや、大学院派遣といった外部プログラムを実施し、人材の育成と経営理念の浸透に取り組んでまいります。
③ 地政学的リスク
台湾有事のリスクや、中国原産品の米国輸入に対して課せられる追加関税(トランプ関税)の継続など、生産の大部分を中国で行う当社にとって、中国や米中関係に纏わる地政学的リスクは重要な課題です。2021年から2023年に開発した商品の約半分は東南アジアにおいて生産されているものの、東南アジア生産が全体に占める割合は一割強(価格ベース)にとどまります。
トランプ関税がかかる製品群を優先とし、東南アジアにおける生産の割合を引き続き増やしてまいります。
また、ソフトウェアによるサービスなど、地政学的リスクの影響を受けやすいハードウェア販売以外のビジネスモデルの構築を検討してまいります。
④ 競合企業
特に中国の新興企業が成長してきており、当社の事業ドメインへも参入しております。新規企業の参入は市場を活性化する側面があるものの、シェアを奪われるリスクもあります。
当社が長年培ってきたコストパフォーマンスの高い商品を実現する技術に磨きをかけるとともに、全ての商品に継続して世界初の要素を取り入れることで、他社との圧倒的な差別化を図ってまいります。
また、クリエイターに選ばれる企業になるために、世界的な認知度の向上と顧客ロイヤルティの向上に努め、ブランド価値を高めてまいります。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社は、サステナビリティ関連のリスク及び機会を監視し、及び管理するためのガバナンスの過程、統制及び手続きについて、事業と密接に結びつくことからコーポレート・ガバナンスの体制と区別しておりません。サステナビリティ全般における課題については、当社取締役会においても協議し、今後のサステナビリティ活動に取り組んでまいります。詳細は、「第4 提出会社の状況 4.コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。
当社の経営方針・経営戦略などに影響を与える可能性のあるサステナビリティ関連のリスク及び機会に対処するための取組として、開発される商品にアクセシビリティ(誰にでも使用可能なユーザーインターフェース)を確保し持続可能な社会の実現に努めております。また、地球環境に関する課題として、商品輸送時のCO2排出量削減、ペーパーレスなどを意識し、取扱説明書、乾電池、ビニール袋などの同梱物を極力排除し、リサイクル可能な環境配慮型の個装箱設計を推進しております。「第4次中期経営計画2024-2026」においては、使用済み製品の回収や認定B級品のダイレクト販売といった製品自体の再利用を視野に、検討を進めてまいります。
人材の育成及び社内環境整備に関する方針、戦略
① 人材育成方針
当社における、人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境の整備に関する方針は、従業員の最大限の能力を発揮できるよう、CEOによる全社員への個人面談を実施し、各従業員から意見のくみ上げを行い、活力ある職場環境や企業風土の醸成に努め、適性のある人材を管理職として登用していくことを基本方針としております。
具体的には、持続的な成長のためには優秀なエンジニアの確保と継続的な人材の育成が必要という認識の下、プロジェクト型/マトリクス型ハイブリッドの開発体制を確立し、柔軟な開発体制を敷き、社員自らクリエイティブな現場に積極的に参加することで社員もクリエイターである点を更に強化し、また社内育成プログラム、大学院派遣などの外部プログラムによる継続的な育成により新世代リーダーを育成してまいります。
② 社内環境整備方針
誰もが働きやすい環境づくりのための、フレックスタイム制に加えテレワークを可能とする体制の整備や、ITツールを活用した業務の効率化、ハラスメント研修の開催、年次有給休暇や産休・育児休業の取得奨励などに取組み、職場環境の整備・改善を図ることにより離職率の低下を目指しております。
なお 、2023年12月期は男性2名、女性1名が育児休業等・育児目的休暇を取得しており、取得した社員の職場復帰率は男女とも100%であります。また、有給休暇の取得率は99.45%、離職率は9.28%となりました。
当社では、サステナビリティ経営の推進及び経営に係る各種リスクが、各部門で行われる定期ミーティングなどで認識された場合には、毎週1回開催される経営会議において、短期、中期及び長期的な問題点、更には潜在的リスク等について確認し、議論が行われ、対応が必要とされた事項については、適宜取締役会に諮り議論されながら、事業活動を行っております。また、ファブレス製造業者として事業を継続していく上で、BCP策定が重要な事項の一つと考えており、BCPコミッティーを設置し、策定に取り組んでおります。具体的なリスクの評価と選定につきましては「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照下さい。
当社は、「(2) 戦略 ①人材育成方針 ②社内環境整備方針」に記載の各取組みを推進することにより職場環境を改善し、離職率の低下を目指してまいります。具体的な指標としましては、2026年度までに年次有給休暇取得率を90%、育児休暇からの職場復帰率を100%とし、離職率5%以下を達成することを目標としております。
有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。これらのリスクのうち、既に顕在化しているあるいは顕在化の可能性が高いものについては、リスク項目の右側に「※」を付しております。
文中の記載のうち将来に関する事項は、有価証券報告書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当事業年度における当社(提出会社)の売上高8,405,966千円のうち、7,494,110千円と約90%を占める海外への売上高は主に米国ドル建であり、加えて、生産委託先からの仕入高についても米国ドル建であるため、為替相場の変動は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。具体的には、売上高及び仕入高については、それぞれ販売及び仕入れをした日のレートで円換算されるため、同レートに応じて円換算後の売上高と売上総利益が増減いたします。すなわち、円高となった場合は売上高と売上総利益が減少いたします(円安の場合は増加)。
なお、イタリアに本社を置く販売代理店、Mogar Music S.r.l.に加え、2023年1月よりドイツに本社を置くSound- Service Musikanlagen-Vertriebsgesellschaft mbHが連結子会社となったことから、ユーロの変動についても当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、棚卸資産の評価基準として総平均法を採用しているため、円高傾向が継続した場合、売上原価は過去の円安時に円換算された仕入価格の影響を受けることから、売上原価率が上昇する傾向にあります(円安傾向が継続した場合は下落)。
更に、当社の外貨建資産と外貨建負債のほとんどが米国ドル建であるため、為替相場の変動に応じて為替差損益を計上する可能性があります。
当社では、円高のリスクを取込んだうえで予算を作成すること、米国ドル建資産と米国ドル建負債のバランスを保つこと、及び一部米国ドル建て売掛金に対して為替予約を行うことにより、当社グループとして上記リスクに対応しております。
当社グループの製品は世界各国で販売されているため、各国の経済状況や競合他社との価格競争を含む市場の動向に大きな変化がみられた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
特に、当社グループの顧客には比較的若いユーザーが多いため、主に先進国で見られる少子化は将来の顧客数に影響を与える可能性があります。
また、趣味の多様化により当社グループの製品カテゴリーの対象顧客が減少する可能性があります。
更には、ミュージシャンやクリエイター等がターゲットユーザーである製品が多いため、限られたユーザーの動向が当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、新しい製品カテゴリーを継続して開拓していくことを戦略目標の一つとすることにより、上記リスクに対応しております。
スマートフォンが携帯音楽プレーヤー、カメラや携帯電話の市場を取込んだように、技術革新や新しいコンセプトの製品の誕生により、思いもよらない製品が将来当社製品の競合となる可能性があります。
また、資金力や技術力がある企業が、新たに当社グループの製品が属するカテゴリーに参入することにより、競争が激化する可能性があります。
当社グループでは、商品開発5か条に基づき他社製品にはないユニークでオリジナリティのある製品を継続して開発することにより、上記リスクに対応しております。
当社グループは日本国内において電波法、会社法、法人税法、独占禁止法、個人情報保護法、製造物責任法、景品表示法など様々な法的規制を受けております。これらの法改正や新たな法的規制が設けられる可能性があり、その場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、当社グループでは製品を世界各国の販売代理店を通じて販売しているため、各国の現地の法的規制を遵守するよう努めております。しかしながら、現地の法的規制が改正又は新たに設定された場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
なお、関税について、米国政府は中国からの輸入品の一部に対して追加の関税を賦課する政策をとっております。現在、当社が中国の生産委託先で製造する製品のうち、賦課対象となっているのはマルチエフェクター等の一部の製品カテゴリーに留まっておりますが、ハンディオーディオレコーダー等の他の製品カテゴリーへ賦課対象が拡大した場合には、米国市場においてコスト競争力が低下し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、現地販売代理店又は会計・法律事務所から、法改正や新たなる規制の導入についての最新の情報を継続的に入手し、リスクの高い項目については事前に対応策を検討すること等により、上記リスクに対応しております。
特に税務については、海外の税法に関する知識不足や見解の相違が原因で、当社又は子会社の税務申告が否認され追徴課税されること等により巨額の損失が発生する可能性があるため、移転価格税制やタックスヘイブン税制等税務リスクが高い分野について専門のコンサルタントから助言を受け、事前にリスクを低減するよう努めております。
当社の製品は、機種により数十から数千個から成る部材で構成されております。ある機種の部材が一つでも調達ができなくなった場合には、当該機種の製品が生産できなくなることから、全ての部材について十分な在庫の確保に努めております。何らかの理由により特定の部材の購入が困難となった場合、必要な数の製品が生産できず販売機会損失が発生することから、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、重要な部材については十分な量の在庫を保有することに加え、複数の調達ルートや代替となる部材を確保すること等により、上記リスクに対応しております。
当社グループは、開発拠点を日本に、生産拠点を中国及び東南アジアに、販売拠点を日本及び海外に置いております。これらの拠点において、地震、水害等の自然災害、新型コロナウイルス・新型インフルエンザ等の感染症や疫病の発生、戦争・テロ又は第三者による当社グループに対する非難・妨害などが発生するリスクがあります。
当社グループでは、一定規模の災害等を想定したリスク対応策を講じておりますが、こうしたリスク等により、短期間で復旧不可能な莫大な損害を被り、部品・資材の調達、生産活動、製品の販売及びサービス活動に遅延や中断が発生した場合、当社グループの業績及び財務状況に影響を及ぼす可能性があります。
また、ロシア軍によるウクライナへの軍事侵攻については、引き続き状況を注視しております。なお、2023年12月期の連結売上高に占める両地域への売上高の割合は、合計で1.1%となっております。
当社グループは製品の開発、製造及び販売に当たり、適切な品質管理の実施に努めておりますが、予期せぬ欠陥が生じることによりリコールや訴訟が発生する可能性、また、その後のレピュテーションリスクやブランド力の毀損のリスクが考えられます。
更に、製造物責任賠償保険に加入しているものの、保険で賠償額が十分にカバーされなかった場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、品質管理部門において品質管理を一元化するとともに、週次で品質管理ミーティングを開催し問題が深刻化することを未然に防止することにより、上記リスクに対応しております。
当社グループは世界初のユニークな製品を開発することを目指しておりますが、期待どおりの成果が得られず製品化を断念した場合、あるいは開発の遅延により予想外の追加コストが発生した場合や販売開始が遅れた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、週次で開発会議を開催し進捗をコントロールするとともに、複数の新製品開発を同時並行で行うことでリスクを分散することにより、上記リスクに対応しております。
当社グループの生産は、中国及び東南アジアにあるEMS企業へ委託しているため、今後EMS企業の所在地の人件費や物流費用の上昇等の理由により生産コストが上昇する可能性があります。
当社グループでは、必要に応じて製品出荷価格の値上げを行うほか、特定の国に偏重しないようEMS企業を選定することにより、上記リスクに対応してまいります。
当社グループの生産は外部に委託しており、特にHong Kong Tohei E.M.C. Co., Ltd.へは、主力製品のハンディオーディオレコーダーの大部分を生産委託しており、当社の生産委託全体の64.6%(2023年12月期)を同社が占めております。また、原材料についても高い品質や技術が必要な部品を低価格で調達しようとすると、特定の購入先に依存せざるをえない場合があります。何らかの理由により特定の生産委託先又は原材料購入先からの購入ができなくなった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、生産及び基幹部品の購入について、特定の取引先への依存度を下げることにより、上記リスクに対応してまいります。
当社グループでは、製品の開発にあたり知的財産権を使用することから、知的財産侵害の指摘を受け他社との間で紛争や訴訟が生じた場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、新製品開発に当たり他社の知的財産権の調査を行い、特に新製品で使用する技術が他社の特許権を侵害しないか、新製品の名称が他社の商標権を侵害していないか、に留意して調査することにより、問題の発生の防止に努めております。
また、当社グループが保有する商標権や特許権等の知的財産が侵害されることにより市場において当社ブランドとの混同や模倣製品が流通すること等によって、当社のブランド価値に毀損が生じることにより、中長期的に当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、知的財産の侵害を発見した場合には決して容認せず、毅然とした態度で法的措置等を含めた対応をとることにより、上記リスクに対応してまいります。
当社グループは多種多様な製品を販売しておりますが、ハンディオーディオレコーダーの売上割合が22.9%(2023年12月期)を占めております。ハンディオーディオレコーダー以外の他の製品カテゴリーの製品開発や販促に取り組むことにより売上割合は減少しつつあるものの、なんらかの理由によりハンディオーディオレコーダーの製品の出荷数が落ち込んだ場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、新しい製品カテゴリーの開拓を継続していくことを戦略目標の一つとすることにより、上記リスクに対応しております。
当社グループの海外売上高比率は85.7%(2023年12月期)と非常に高く、その全ては海外の販売代理店経由の売上となっております。販売代理店が子会社である北米、南欧及び中欧(2023年1月より)を除き、各国での当社製品のプロモーションや営業活動は、原則として当該国担当の販売代理店が独自で行うため、各販売代理店の販売戦略等は、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、主要な販売代理店との契約終了や関係の悪化が、小売業者や顧客の喪失、競合他社へのノウハウの流出、当社グループの営業力の減退をもたらし、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
更に、販売代理店に対するモニタリングが不十分であった場合、当社グループの評判又は信用が毀損し、又は小売業者や顧客との関係を悪化させ、その結果、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、主要な代理店については定期的にミーティングを行うとともに、新製品について各主要代理店の営業担当に対しトレーニングを行うことでコミュニケーションの円滑化を図ることにより、上記リスクに対応しております。
当社グループの製品は、競合商品の出現や技術革新により販売台数が減少する傾向にあることから、持続的な成長のためには継続的に新製品を開発し、発売していくことが不可欠となります。製品開発に当たってはエンジニアの数と質が制約条件となるため、優秀なエンジニアの確保と継続的な人材の育成に努めてまいります。
しかしながら、我が国では若年層及び生産年齢人口が減少の一途を辿っていることもあり、優秀な人材の確保や育成が予定どおり進捗しない場合や優秀な人材の流出が続いた場合、競争力の低下や事業計画の予定どおりの遂行ができなくなり、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、エンジニアについては新卒採用の間口を広げるとともに、学生との接点を増やすことにより毎年必要な新卒を継続的に採用し、大学院派遣やジョブローテンションを実施し、スキルアップを図ることにより人材を育成するとともに、必要に応じて中途採用を行うことにより、優秀な人材の確保に努めております。
当社グループは、生産管理、部品や製品の発注、在庫管理、販売管理に基幹システム及び情報システムを利用しております。これらのシステムが、不正アクセスやシステムの不具合、自然災害等により、アクセスできなくなる等の障害が発生した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
また、業務を通じて取引先の機密情報やユーザーの個人情報等を保有しており、これらの情報を保護するために個人情報保護等の規程の整備を含めた情報セキュリティ体制を構築、運用しております。
しかしながら、コンピューターウイルスの感染やパソコンの盗難等の不測の事態により機密情報が漏洩した場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、システムのバックアップやファイアウォールの設定等不正アクセスを防止するための措置を講ずるとともに、定期的にセキュリティの見直しを行うこと等により、上記リスクに対応しております。
当社グループの製品は主として個人向けであり、スマートフォン、タブレット及びパーソナルコンピューターとの連携を前提とした製品も多いため、ネットリテラシーの高いユーザーが多く、ユーザーからの感想や要望がソーシャルメディアやブログ等に多くあがっております。事実の有無にかかわらず、インターネット上で当社若しくは当社製品への誹謗・中傷が広がった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、ソーシャルメディア運用管理規程等を定め、いわゆる“炎上”が起こらないように注意することにより、上記リスクに対応しております。
当社グループの主要取引先に対しては、主として売上の1か月から2か月分の与信を設定しております。取引先には、有力な卸、小売店又は販売代理店が多いため売掛金残高も多額となるケースがあり、倒産等により売掛金の回収が不可能となった場合、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、主要取引先に対しては定期的に信用調査を行うなど慎重に与信管理を行うことに加え、一部販売先の売上債権に対して金融機関の保証ファクタリングを利用することにより、上記リスクに対応しております。
当社グループの製品は世界中で利用されているため、様々な理由で訴訟の提起を受ける可能性があり、その場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当社グループでは、コンプライアンス規程及びコンプライアンス・マニュアルを制定し、法令及び契約の遵守に努めることにより、上記リスクに対応しております。
当社グループの主たる市場である欧米においては年末商戦における需要が強いことから、当社グループの売上及び利益は上期に比べて下期に増加する傾向があります。このため、為替の変動や生産コストの上昇等何らかの理由により下期の売上及び利益が予想を下回る場合には、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
当連結会計年度における世界経済は、ウクライナ情勢が長期化する中、米国では、個人消費は底堅いものの、金融引き締めによる景気の減速が見込まれ、欧州では、高インフレ圧力は弱まっており、個人消費が底打ちの見通しがあるものの、回復のペースは緩やかにとどまっています。中国では、ゼロコロナ政策の解除を受けた反発で一時期景気が持ち直しましたが、輸出入ともに低迷が続いており、消費マインドも依然として低迷しています。我が国経済は、新型コロナウイルス感染拡大の影響からの経済活動の正常化や、物価高の下でも景気回復が継続しており、個人消費は回復基調にあります。当社グループが属する楽器関連機器業界においては、新型コロナウイルスの感染拡大による行動制限の解除により屋外やライブハウスで使用する楽器や関連機器の需要の回復や、半導体不足の影響による製品の供給不足から回復したものの、コロナ特需の反動や金利差を背景とする急激な為替レートの変動、世界的なインフレの加速が大きな下振れ要因となっており、依然として、先行き不透明な状況が続いております。
このような状況の中、前連結会計年度に比べ円安に推移したこと、及び当連結会計年度より新たにSound- Service Musikanlagen-Vertriebsgesellschaft mbH(以下、Sound Service社)及びその100%子会社であるSound Service MSL Distribution Ltd(以下、Sound Service MSL社)を連結したことにより、売上高は大きく伸長した一方、北米市場での不振、新規連結における一時費用の発生等により、営業利益以下の各段階利益は減少いたしました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績は、売上高は17,901,459千円(前期比35.3%増)、営業利益は573,610千円(前期比13.6%減)、経常利益は649,485千円(前期比9.8%減)、及び親会社株主に帰属する当期純利益は88,946千円(前期比76.4%減)となりました。
当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。製品カテゴリー別の説明は以下のとおりであります。
(ハンディオーディオレコーダー)
ハンディオーディオレコーダーは、既存モデルの需要が一巡したことにより売上が鈍化したものの、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化及び円安効果があったため、売上高は4,101,214千円(前期比0.2%増)となりました。なお、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化の影響を除いた場合の売上高は3,749,701千円(前期比8.4%減)であります。
(プロフェッショナルフィールドレコーダー)
プロフェッショナルフィールドレコーダーは、Mシリーズの新製品効果に加え、Fシリーズの売れ行きが好調だったことにより、売上高は1,909,459千円(前期比41.5%増)となりました。
(デジタルミキサー/マルチトラックレコーダー)
デジタルミキサー/マルチトラックレコーダーは、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化により、売上高は1,811,685千円(前期比7.6%増)となりました。なお、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化の影響を除いた場合の売上高は1,651,699千円(前期比1.9%減)であります。これは北米地域においてRシリーズの売上が減少したことによるものです。
(マルチエフェクター)
マルチエフェクターは、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化に加え、G2 FOURシリーズの新製品効果やG1 FOURシリーズの売れ行きが好調だったことにより、売上高は1,620,009千円(前期比15.3%増)となりました。
(ハンディビデオレコーダー)
ハンディビデオレコーダーは、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化による売上の増加があったものの、新型コロナウイルス感染拡大に伴うWEBカメラとしての需要の急増があったことによる反動減の影響により、売上高は595,366千円(前期比10.0%減)となりました。
(マイクロフォン)
マイクロフォンは、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化により、売上高は363,993千円(前期比10.3%増)となりました。
(ボーカルプロセッサー)
ボーカルプロセッサーは、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化に加え、北米地域での需要が堅調であったことから、売上高は258,435千円(前期比18.3%増)となりました。
(オーディオインターフェース)
オーディオインターフェースは、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化に加え、UAC-232の新製品効果により、売上高は154,854千円(前期比10.5%増)となりました。
(Mogar取扱いブランド)
Mogar取扱いブランドは、円安及び年末商戦が好調であったことにより売上が増加したため、売上高は1,144,734千円(前期比19.4%増)となりました
(フックアップ取扱いブランド)
前連結会計年度は決算日の変更に伴い、15か月分の損益を取り込んだ一方、当連結会計年度においては12か月分の損益を取り込んでいるため、売上高は1,625,452千円(前期比18.0%減)となりました。
(Sound Service取扱いブランド)
当連結会計年度からSound Service社及びSound Service MSL社を連結したことにより、両社が取扱う当社以外のブランドの製品が売上計上されることとなりました。これにより、売上高は3,859,034千円となりました。
また、財政状態については、当連結会計年度末の資産合計は19,260,271千円となり、前連結会計年度末と比べ5,610,240千円増加しました。これは主に、Sound Service社とその100%子会社であるSound Service MSL社を連結子会社としたことによるものであります。
なお、Sound Service社の株式取得に伴い借入金が増加したことにより、自己資本比率は前連結会計年度47.5%に対し、当連結会計年度は34.6%と12.9ポイント減少しております。
(流動資産)
当連結会計年度末の流動資産は、前連結会計年度末に比べ2,880,040千円増加し、13,721,765千円となりました。これは主に、Sound Service社の連結子会社化等に伴い商品及び製品が2,654,725千円増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末の固定資産は、前連結会計年度末に比べ2,730,199千円増加し、5,538,506千円となりました。これは主に、Sound Service社の連結子会社化等に伴いリース資産が820,302千円、のれんが1,866,326千円増加したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末の流動負債は、前連結会計年度末に比べ1,235,984千円増加し、7,143,729千円となりました。これは主に、Sound Service社の連結子会社化等に伴い買掛金が316,143千円、短期借入金が897,205千円増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末の固定負債は、前連結会計年度末に比べ3,040,750千円増加し、4,193,028千円となりました。これは主に、シンジケートローンによりSound Service社の株式を取得するための資金を調達したことに伴い、長期借入金が2,068,923千円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末に比べて1,333,504千円増加し、7,923,514千円となりました。これは主に、Sound Service社の連結子会社化等に伴い非支配株主持分が1,160,352千円増加したことによるものであります。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ670,132千円増加し、2,826,168千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により増加した資金は817,101千円(前連結会計年度は586,558千円の減少)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益を637,874千円計上したこと及び売上債権の減少額が635,261千円、未収入金の減少額が968,712千円であった一方、棚卸資産の増加額が915,465千円、仕入債務の減少額が798,140千円であったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により減少した資金は2,443,671千円(前連結会計年度は175,708千円の減少)となりました。これは主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,207,805千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により増加した資金は2,231,619千円(前連結会計年度は726,054千円の増加)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出929,482千円及び配当金の支払額214,024千円があった一方、短期借入金の純増減額134,750千円及び長期借入れによる収入3,300,000千円があったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループは、外部に製造を委託しており生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当連結会計年度における製品カテゴリー別の仕入実績は次のとおりであります。
(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.当社グループの製品は、当社ブランドの製品については全て生産委託しております。
3.当連結会計年度よりSound Service社及びSound Service MSL社を連結したため、両社が取り扱う当社以外のブランドの製品の仕入実績を、新規カテゴリー「Sound Service取扱いブランド」としております。そのため、該当カテゴリーにつきましては、前年同期比の記載を省略しております。
当社グループは、需要予測による見込みで販売数量を決定しており、受注生産の形態を採っておりません。
当連結会計年度における製品カテゴリー別の販売実績は次のとおりであります。
(注) 1.当連結会計年度よりSound Service社及びSound Service MSL社を連結したため、両社が取り扱う当社以外のブランドの製品の販売実績を、新規カテゴリー「Sound Service取扱いブランド」としております。そのため、該当カテゴリーにつきましては、前年同期比の記載を省略しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合
(注) 1.当該顧客と同一の企業集団に属する顧客への販売実績を集約して記載しております。
2.当連結会計年度よりSound Service社及びSound Service MSL社を連結したため、両社のThomann GmbHに対する販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合を記載しております
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討結果は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすものと考えております。
当社グループは、棚卸資産の保有期間及び将来の需要予測に基づき検討した結果、正味売却価額が帳簿価額を下回るものについては商品評価損を計上しておりますが、想定よりも実際の市況が悪化した場合は追加の評価減が必要となる可能性があります。
当社グループは、債権の貸倒れによる損失に備えるため、回収不能見込額を貸倒引当金として計上しておりますが、取引先の財務状況が悪化しその支払い能力が低下した場合又は債権が回収不能となった場合、追加の引当又は損失の計上が必要となる可能性があります。
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づく課税所得の十分性を慎重に検討し、回収可能性を判断した上で計上しております。繰延税金資産の回収可能性は、将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積り額が減少した場合は、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
ニ.のれん
当社グループは、のれんに関して効果の発現する期間を見積り、その期間で定額法により償却しておりますが、その資産性の評価について検討した結果、当初想定したキャッシュ・フローが見込めなくなった場合に、評価の切り下げを行う可能性があります。
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前期比35.3%増の17,901,459千円となりました。これは主に、北米市場での不振による夏商戦及び年末商戦での売上の伸び悩みがあったものの、円安及びSound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化により、当社グループの売上高は大きく伸張したためであります。
(売上総利益)
売上総利益は、前期比35.4%増の7,069,611千円となり、売上総利益率は前期と同じ39.5%となりました。これは主に、中欧地域における当社製品の販売代理店であるSound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化による売上総利益率の良化があった一方、新規連結における両社の当社製品の在庫に係る未実現利益の控除といった一時費用の発生や、北米市場での売上不振に伴うリベート施策の実施による売上総利益率の悪化があったことによるものであります。
(営業利益)
販売費及び一般管理費は、前期比42.5%増の6,496,001千円となりました。これは主に、Sound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化により両社の販売費及び一般管理費が連結されたこと及びのれん償却費を前期比228,001千円増の437,549千円を計上したことによるものであります。
以上の結果、営業利益は573,610千円(前期比13.6%減)となりました。
(経常利益)
営業外収益は、前期比179.3%増の290,428千円となりました。これは主に、非連結子会社であるZOOM HK LTDからの受取配当金241,978千円を計上したことによるものであります。また、営業外費用は、前期比347.2%増の214,552千円となりました。これは主に、借入金の増加及び金利の上昇により支払利息が前期比57,090千円増の101,804千円を計上したこと、Sound Service社の株式を取得するための資金調達に伴うシンジゲートローン手数料62,500千円を計上したこと及び為替差損48,584千円を計上(前期は21,472千円の為替差益を計上)したことによるものであります。その結果、経常利益は649,485千円(前期比9.8%減)となりました。
(税金等調整前当期純利益)
税金等調整前当期純利益は、経常利益の減少により637,874千円(前期比6.8%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、当社が株式の51%を保有するSound Service社及びその100%子会社であるSound Service MSL社を連結子会社化したことにより非支配株主に帰属する当期純利益を前期比212,451千円増の229,343千円を計上したため、前期の当期純利益318,290千円から大きく減少し88,946千円(前期比76.4%減)となりました。
(経営上の目標達成状況)
中期経営計画「第3次中期経営計画 2021-2023」の最終年度にあたる当連結会計年度は、2023年度の売上高150億円、営業利益12億円を目標としておりました。実績は、円安及びSound Service社及びSound Service MSL社の連結子会社化により売上高は179億円と目標を達成した一方、営業利益は5.7億円にとどまりました。これは、北米市場での売上不振や新規連結における一時費用の発生等があったことによるものです。しかしながら、3年間の累積営業利益は目標の87%に至っております。なお、当社グループは、2024年2月14日に公表した「第4次中期経営計画2024-2026」において、中期経営計画の最終年度の2026年度の連結売上高目標を220億円、連結営業利益目標を22億円(営業利益率10%)と定めております。また、同中期経営計画より資本効率性に係る指標についても目標値を定めており、2026年度ではROE及びROICについてそれぞれ10%以上達成することを目標としております。それぞれの目標の達成に向けて、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載した課題に取り組むことにより、成長の実現を目指してまいります。
当社グループの主な資金需要は、製品の仕入れ、人件費や外注先への支払等の営業費用及び金型等の設備投資であります。これらの資金需要は自己資金を充当し、不足が生じる場合は金融機関からの借入で調達を行っております。なお、取引金融機関との関係は良好であり、当座貸越枠を確保していることから、充分な資金流動性を確保していると考えております。
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスクが当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると考えております。中でも為替の変動リスクについては、当社グループの売上高は米国ドル建て又はユーロ建てが多いことから、当社グループの業績へ与える影響は特に大きいと考えております。
当社グループでは、研究開発活動を当社に集中しており、当連結会計年度末の当社の開発人員は49名となっております。楽器演奏経験の長いエンジニアが、臨場感ある音であるかどうか、心に残る映像であるかどうか、演奏の現場での使い勝手が良いかどうかを、自身の経験と販売代理店やエンドユーザーからのフィードバックを元に開発をすることにより、“ズーム”らしくかつ市場のニーズに合致した製品をいち早く製品化できるよう努めております。そのために、(1)プロには挑戦への、アマチュアには継続へのモチベーションを提供する(2)機能、性能、価格、外観、操作性等に何らかの「世界初」を取り入れる(3)ユーザーの視点に立ち、自分でも使いたいと思える商品にする(4)デザインは機能と結びついていなければならない(5)課題解決型であり、かつ機会提供型でもある商品で新しい市場を創出する、という「商品開発5カ条」を定め、当方針をもとに研究開発活動を行った結果、当連結会計年度においては、32bitフロート録音技術対応の新世代のマルチトラックレコーダーR4を、11年ぶりのMULTI STOMPのモデルチェンジであり定評のあるマルチレイヤ―IR機能を搭載するマルチエフェクターMS-50G+を、当社グループでは単体機として世界初の32bitフロートフォーマットに対応し入力ゲイン調整が不要なUAC-232を、そして新機軸のオーディオインターフェース製品としてパソコン不要で最大6拠点の遠隔地間でバンドの合奏が行える超低遅延のリモートセッション端末S6 SessionTrakを、開発・販売いたしました。
これらの活動の結果、当連結会計年度における研究開発費の総額は
なお、当社グループは音楽用電子機器事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載を省略しております。
「技術とノウハウの転用」
当社グループは、下記の図に示すとおり、過去の技術とノウハウの蓄積を利用して新しい製品カテゴリーに参入してまいりました。今後も蓄積してきた技術とノウハウを用い、新しい製品カテゴリーを開拓していく所存です。
<当社グループの製品における技術の転用(例)>