文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものです。
〔経営方針〕
当社グループは、「世界をフィールドに先進のICTをもって新しい価値を創造する」を企業理念として掲げています。グローバリゼーションや多様化する価値観から生まれる市場のニーズを汲み取り、先進のICTで新しい価値を創造し続けることで、社会に貢献することを目指します。
〔目標とする経営指標〕
当社グループは、事業収益の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させていくことを経営の目標としております。現在進行中の中期経営計画においては、売上高、調整後EBITDA(営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用)、ROE、エクイティスプレッド、DOEを重要な経営指標としております。
〔中長期的な経営戦略〕
変化が激しい昨今の状況を鑑み、短期的な変動に左右されず持続的な成長を目指すため、当社グループは10年後のありたい姿としてCAC Vision 2030「テクノロジーとアイデアで、社会にポジティブなインパクトを与え続ける企業グループへ」を2022年に策定し、取り組んでいます。CAC Vision 2030では、CACグループにおけるAIやIoT等のデジタル技術やデータを活用したソリューションにより人ならではの多様な想像力や創造力を発揮させ、社会課題の解決につなげていくことを想定しています。そしてこのようなポジティブインパクトを与えるデジタルソリューションを定常的に生み出し成長させることで、高収益・高成長の企業グループとなることを目指していくものです。
CAC Vision 2030の実現に向けた期間を、2022年度~2025年度までの前半(以降、「フェーズ1」)と、2026年度~2030年度までの後半(以降、「フェーズ2」)とに分割し、フェーズ1は国内外における既存受託事業での安定した収益の確保とフェーズ2に向けて継続的にデジタルプロダクト&サービスを生み出す仕組みの構築を行う期間とし、フェーズ2ではフェーズ1での仕込みや努力の結果を得る期間と設定した上で、各フェーズにおいて中期経営計画を策定し、遂行しています。
現在の中期経営計画(2022年度~2025年度、フェーズ1)では、国内外における既存受託事業での安定した収益の確保と、2026年度以降のフェーズ2に向けたデジタルプロダクト&サービス創造のための準備として、「成長基盤の醸成」「高収益化」「コーポレート機能の見直し、発展」の3つの戦略を中心に取り組んでいます。また、重要な経営指標としては、売上高、営業利益、営業利益率、ROE、エクイティスプレッド、DOEを採択し、それぞれに最終年度である2025年度の目標値を設定しました。
2026年度からのフェーズ2では、プロダクト&サービス事業をCACグループの柱の一つにまで成長させることで、グループ全体が高成長を遂げることを目指していますが、フェーズ2で断続的かつ大胆な投資を行えるよう、2024年度からはキャッシュ創出力の強化に注力します。これに伴い、当社グループの重要な経営指標として事業から創出するキャッシュの実力を示す「調整後EBITDA」を採択することとし、これまで指標の一つであった「営業利益」と置き換えることとしました。なお、調整後EBITDAは、営業利益+減価償却費+のれん償却費+株式報酬費用として算出いたします。
上記に基づき、中期経営計画の最終年度となる2025年度の数値目標としては、売上高580億円、調整後EBITDA 55億円、ROE10%以上、エクイティスプレッド2.5%以上、DOE5%水準を設定いたしました。
CAC Vision 2030では、経営層がCAC Vision 2030の実現にコミットし、サステナビリティを意識した経営に取り組み続けることが求められます。また、社員の自ら考え自ら生み出す工夫や、仕事の成果を社員自身の成長につなげる意志、顧客と自社グループ双方の成長につなげる行動等が積み重なって達成するものだと認識しています。CACグループ一丸となって取り組み、2030年度には売上高800億円、営業利益120億円、営業利益率15%以上の企業グループとなっていることを目標としております。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において当社グループが判断したものであります。
(1)サステナビリティ共通
当社グループは、顧客や社会が抱える課題を先導解決するデジタルプロダクトとサービスを生み出すデジタルソリューション提供企業として持続的な社会づくりへ貢献するため、「サステナビリティ基本方針」を策定しています。この方針には、経営理念が反映されており、さまざまな顧客や社会の課題に焦点を当てた取り組みが含まれています。具体的には、「地球環境へ配慮した企業活動」「社員にとって働き甲斐のある『選ばれる』職場環境」「豊かな社会づくりへの貢献・価値提供」「社会からの信頼を得るためのコンプライアンス・リスクマネジメント・ ガバナンス」の4つが挙げられます。
①ガバナンス
当社グループでは、サステナビリティに関する活動を経営上の重要事項と認識し、その活動内容を取締役会で報告し、承認を得る方針です。具体的には、当社グループの社長を委員長とするサステナビリティ経営委員会が設けられ、四半期ごとにグループ全体のサステナビリティに関する事項を協議し、その内容を取締役会に報告するとともに、グループ内の事業会社に対して指示・監督を行っています。

②リスク管理
当社グループは、リスクを包括的に評価し、組織全体の視点から取り組むことで、企業の持続可能性を高めています。具体的には、定期的なリスクアセスメントを通じて、事業環境の変化によるリスクを把握・評価し、適切な時期に対処します。リスクに適切に対処することで、重大なリスクの発生を予防し、もしリスクが顕在化した場合でも影響を最小限に抑え、再発防止に努めます。
当社グループでは、リスク管理の基本方針としてリスクマネジメント方針を定め、リスク管理における行動指針を明確にしています。また、リスク管理を推進するために、リスク管理統括責任者(CRO)がグループ全体のリスク管理を統括し、各事業会社において関連部門がリスクを管理しています。
③戦略
当社グループは、顧客や社会が抱える課題を先導解決するデジタルプロダクトとサービスを生み出すデジタルソリューション提供企業として持続的な社会づくりへ貢献するため、「サステナビリティ基本方針」に基づいて活動しています。
<サステナビリティ基本方針>
1. 従業員にとって働きやすい、やりがいのある会社を目指します
・従業員に健康的な職場を提供し、働き方改革を進めます
・人材育成投資を拡大し、 誰もが最大限の能力を発揮できる企業を目指します
・多様な人材採用・登用により、個々の価値観が尊重されるダイバーシティを実現します
2. ステークホルダーとの共創により豊かな社会創りへ貢献します
・顧客の持続的な成長に資するサービスを提供し、企業および社会の持続的成長に貢献します
・パートナー・取引先と共に、社会に新たな価値をもたらすICTサービスを提供します
・地域社会・コミュニティーとの共創による事業創出に努め、地方での雇用促進と地域社会の活性化に取り
組みます
3. 環境にポジティブなインパクトを与える、企業活動を行います
・顧客に提供するサービスや業務を通じて、環境問題に貢献することに努めます
・環境に配慮した投資先へ積極的な投資を行います
・当社グループの事業活動において、省資源、省エネルギー等の環境問題に取り組みます
(2)人的資本、多様性
①人材戦略
CAC Vision 2030達成には、Five Values(Creativity、Humanity、Challenge、Respect、Pride)を体現する社員とマネジメント層の拡充が持続的な成長に不可欠な要素の一つとして捉え、以下の基本方針を定めています。
<基本方針>
当社グループでは、価値を生み出す源泉は「人」であり、グループの持続的な成長と発展には、「人」の成長が最も重要と考えています。
私たちは「様々な機会を通じて多様な経験を積む」ことこそが従業員の成長に重要であると捉え、事業活動に必要なスキルと人材像を明確にし、成長をサポートする仕組みを提供しています。同時に従業員の成長意欲を高めるために、新たな挑戦の機会を継続的に提供しています。
当社グループの挑戦とは、現状にとどまらず常に新たな目標に向かって行動することです。
会社は各従業員に合わせた成長の機会を提供し、従業員はこれらの機会を活用して目標達成に向けて積極的に行動し、これを通じて個人の成長と事業の発展を促進してまいります。
<当社グループの人的資本施策>

a.選ばれる職場環境
当社グループでは、「社員にとって働き甲斐のある『選ばれる』職場環境」を作り出すために、健康経営・D&I・人材育成に関する項目をサステナビリティの重要業績評価指標(KPI)として設定し、その進捗を管理しています。
特にD&Iに関しては、経営のコミットメントとして2030年における女性役員比率および女性役職者比率30%達成の目標を掲げていることから、女性活躍を促進する取り組みとして2023年には女性役職者コミュニティ(勉強会)を発足しました。この勉強会では、アンコンシャスバイアスやガラスの天井など女性の活躍を妨げる一般的な要素を分析し、解決策を探求しました。明らかとなった課題は全社共通の課題であり、その成果は経営層に提案するとともに、組織課題の改善として全社で取り組んでいます。
b.エンゲージメント
社員一人ひとりの働く意欲や働きがいを向上させるため、毎年、納涼祭に社員とその家族を招待したり、ボッチャ応援ツアーに参加したりする機会を提供しています。また、組織と個人が一体となり、企業の持続可能な成長と価値向上に関心を持つことを目指し、株式給付信託制度を導入しています。
c.パフォーマンス管理
社員のパフォーマンス向上や組織の目標達成にMBO(Management by Objectives)を用いた評価制度を導入しています。具体的には、目標設定、進捗モニタリング、評価フィードバックをサイクルとして繰り返し行います。これらの目標は、定量的かつ測定可能なものであり、目標達成度がパフォーマンスの評価基準となります。MBOによる評価結果は、報酬や昇進の決定にも影響を与えます。目標達成度や業績の評価が高い社員は、それに見合った報酬や昇進の機会を得ることが期待されます。
d.能力開発
当社グループでは、プロフェッショナルな人材を育成するために、人材育成フレームワークを活用しています。このフレームワークは、育成すべき人材の特性を明確にし、成長のための道筋を示したマップです。これを参照することで、成長につながる経験の機会を把握し、自身の成長状況を確認することができます。能力開発のために、研修の機会だけでなく、中堅層以降の社員にはタフアサインメントやマルチアサインメントといった、仕事を通じた挑戦の機会も提供しています。また、新たな目的に向かって事業を牽引する『トランスフォーム人材』や変革に対応するための『提案型人材』の育成を促進するために、外部団体が主催するイノベーションチャレンジというビジネスコンテストへの参加を推奨しています。
e.タレントマネジメント
若手から役員までの各階層において、職位に挑戦できる候補者グループを構築し、それを維持・管理するための仕組みを導入しています。そのために各職位の登用基準や、役員および役職者に登用する際の重点項目を制定しています。
f.サクセッションプラン
当社グループでは、持続的な成長を確保するために、将来のリーダーシップ層を育成するための経営幹部候補パイプラインを構築しています。このパイプラインには、次世代のトップ候補者(プール1)、次世代の役員候補者(プール2)、そして将来の経営層を担うハイポテンシャルな人材が含まれます。定期的に経営幹部を輩出するために、プール2では女性役職者を対象としたコミュニティ(勉強会)を開催し、ハイポテンシャルな人材にはCAC NEXTアカデミーを提供しています。それぞれの階層に適した育成プログラムに焦点を当てて取り組んでいます。
②指標及び目標
人的資本に関する2030年目標値と実績(対象:CAC Holdings、CAC、アークシステム)
当社グループの事業活動その他に関するリスクについて、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性があると考えられる主な事項は以下のとおりです。当社グループは、これらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生防止及び発生した場合の適切な対処に努めてまいります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 競争環境について
当社グループが属する情報サービス産業においては、投資対効果に対する顧客の厳しい要請、内外の新規参入企業の増加等によって事業環境が大きく変化してきています。それに伴って、当社グループは日々熾烈な受注獲得競争を展開しています。
このような厳しい受注競争が継続する状況においては、人員の不稼働による損失やプロジェクト採算悪化を招く場合があり、当社グループの経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
② 特定顧客及び特定業種への依存度について
当社グループの売上高は、特定顧客、特定業種への依存度が高くなっています。
特定顧客及び特定業種向け売上高比率が高いことは、当社グループの強みであり、特徴でもありますが、特定顧客におけるIT投資行動の変化や経営変動、特定業種における事業環境の急変、制度変更等によって当社グループの経営成績や営業活動に影響を与える可能性があります。
③ 海外での事業活動について
当社グループは経営戦略の一環として海外での事業拡大に取り組んでおり、当社グループの業績に占めるその割合も拡大しています。海外での事業活動は、各地域における政治や経済、為替等の動向、様々な法的規制、商習慣、社会的混乱等、様々な影響下にあり、これらにより海外での事業活動が悪影響を被った場合は、当社グループの経営成績及び財務状況等に影響を及ぼす可能性があります。
④ 投資有価証券の投資先の経営成績や財政状態の悪化等に伴う影響について
当社グループが保有している投資有価証券は、特定の取引先及び資本・業務提携先の株式が過半を占めており、投資先企業の業績や財政状態の急激な悪化等による実質価額の下落リスクが内在しています。
今後、投資先が属する業界の景気動向や経営環境の変化等によって当該株式の実質価額が著しく下落した場合には、保有株式の減損処理の実施によって、当社グループの経営成績や財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
⑤ 情報セキュリティについて
当社グループは、業務遂行上、顧客が保有する様々な機密情報を取り扱う機会が多く、慎重な対応と、より厳格な情報管理体制の構築、徹底が求められています。
このような機密情報に関し、万一、何らかの理由で紛失、破壊、漏洩等が生じた場合、当社グループの社会的信用の低下あるいは失墜、損害賠償責任の発生等により、当社グループの経営成績や財政状態、事業活動等に影響を及ぼす可能性があります。
⑥ プロジェクト管理について
一括請負契約のシステム開発では、想定以上に開発工数が超過した場合、売上原価率の悪化により当社グループの業績が影響を受ける可能性があります。特に近年は、ビジネスの必要性に即した短納期化、及び技術の複雑化が進み、開発の難易度が増大してリスクが高まる傾向にあります。
当社グループでは、全社レベルのプロジェクト管理組織を設置するなど不採算プロジェクトの発生防止や早期発見のための対策を導入しています。しかし、これらの取組みによっても、不採算プロジェクトの発生を完全には防止できない可能性があります。
⑦ サービス提供中断の可能性について
システム障害や自然災害、パンデミック等により、当社グループが提供している各種ITサービスが中断する可能性があります。
このような事態が起きた際に速やかな復旧が可能となるよう、当社グループでは施策の整備を図っております。しかしながら、想定を超える障害や災害の発生等により当社グループのサービス提供が滞った場合、当社グループの経営成績等に影響が及ぶ可能性があります。
⑧ 人材の確保・育成について
当社グループの事業展開においては、専門的な情報技術や業務知識を有する優秀な人材を確保することが重要です。しかしながら、現在の情報サービス産業では他産業との人材の獲得競争が激しく、人材の確保・育成が計画通りに進まない可能性があります。その場合、事業推進に制約を受け、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当連結会計年度における当社グループの経営成績、財政状態及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 経営成績
当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)の売上高については、国内IT事業における連結除外の影響があったものの、インド子会社の大型案件や為替の影響等により、前年度比5.4%増加の505億39百万円となりました。営業利益については、前年度より開始した中期経営計画に基づく成長基盤醸成のための投資により販売管理費の増加等があったものの、海外IT事業における増益により、同4.4%増加の33億27百万円となりました。経常利益は同1.3%減少の31億18百万円となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益を特別利益に計上したこと等から同18.1%増加の24億73百万円となりました。
セグメントごとの業績は次のとおりです。売上高につきましては、外部顧客への売上高を表示しています。また、第1四半期連結会計期間よりセグメント利益の算出方法を変更しており、各セグメントに配分していない全社費用を調整額として表示しています。なお、前年度の数値についても同様に変更して表示しています。
売上高 (単位:百万円)
セグメント利益 (単位:百万円)
<国内IT>
中核子会社である株式会社シーエーシーを中心に堅調に推移したものの、子会社1社を連結範囲から除外した影響により、売上高は359億5百万円(前年度比1.4%減)となりました。セグメント利益については、成長基盤の醸成に向け、人的資本投資や新規事業開発を推進したこと等による販売管理費の増加や連結除外の影響により34億68百万円(同5.5%減)となりました。
<海外IT>
インド子会社で金融機関向け大型案件が計上されたことや為替の影響等から、売上高は146億33百万円(前年度比26.5%増)となりました。セグメント利益については、増収に加え、インド子会社の構造改革の進捗により利益が改善されたこと等から、14億20百万円(同30.4%増)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりです。
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 金額は売上原価で表示しております。
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて43億19百万円増加して、485億32百万円となりました。
流動資産は6億49百万円増加して、254億8百万円となりました。主な変動要因は、受取手形、売掛金及び契約資産が26億46百万円増加、商品が2億6百万円増加した一方、現金及び預金が14億52百万円減少、有価証券が13億円減少したこと等によるものです。
固定資産は36億69百万円増加して、231億24百万円となりました。主な変動要因は、のれんが1億75百万円増加、投資有価証券が29億64百万円増加、差入保証金が4億96百万円増加したこと等によるものです。
セグメント別の資産の状況は次のとおりです。
<国内IT>
セグメント資産は、子会社1社を連結範囲から除外した影響等により、139億52百万円(前年度比19億44百万円減少)となりました。
<海外IT>
セグメント資産は、インド子会社の金融機関向け大型案件による事業収益に伴う現金及び預金の増加や、売掛金の増加の影響等により、131億82百万円(前年度比21億81百万円増加)となりました。
<全社資産>
各報告セグメントに配分していない全社資産は、主に当社が有する資産であります。全社資産は、保有資産の時価の増加に伴う投資有価証券の増加の影響等により、213億97百万円(前年度比40億82百万円増加)となりました。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて12億72百万円増加して、161億85百万円となりました。
流動負債は33億58百万円増加して、125億58百万円となりました。主な変動要因は、支払手形及び買掛金が11億84百万円増加、1年内返済予定の長期借入金が20億円増加、未払費用が2億81百万円増加した一方、資産除去債務が2億97百万円減少したこと等によるものです。
固定負債は20億85百万円減少して、36億27百万円となりました。主な変動要因は、繰延税金負債が6億11百万円増加した一方、長期借入金が20億円減少、退職給付に係る負債が6億17百万円減少したこと等によるものです。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて30億46百万円増加して、323億46百万円となりました。主な変動要因は、利益剰余金が、親会社株主に帰属する当期純利益により24億73百万円増加、剰余金の配当により11億91百万円減少したことにより、12億81百万円増加、その他有価証券評価差額金が10億58百万円増加、為替換算調整勘定が6億26百万円増加したこと等によるものです。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、5億94百万円の収入となりました(前連結会計年度比20億31百万円の収入減)。これは主に、税金等調整前当期純利益が39億81百万円、減価償却費が5億54百万円、仕入債務の増加額が13億3百万円あった一方、投資有価証券売却益が14億49百万円、売上債権の増加額が20億87百万円、法人税等の支払額が18億13百万円あったこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、12億47百万円の収入となりました(前連結会計年度は5億91百万円の支出)。これは主に、定期預金の減少額が16億99百万円、有価証券の減少額が13億円、投資有価証券の売却による収入が17億80百万円あった一方、有形固定資産の取得による支出が4億84百万円、投資有価証券の取得による支出が13億85百万円、差入保証金の増加額が5億48百万円、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による支出が3億94百万円、事業譲受による支出が5億48百万円あったこと等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、20億70百万円の支出となりました(前連結会計年度比3億59百万円の支出増)。これは主に、短期借入金の減少額が1億74百万円、配当金の支払額が11億87百万円、連結の範囲の変更を伴わない子会社株式等の取得による支出が5億94百万円あったこと等によるものです。
以上の結果、当連結会計年度末においては、現金及び現金同等物は前連結会計年度末比1億49百万円増加し、110億29百万円となりました。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。その作成にあたっては、決算日における財政状態及び経営成績に影響を与える見積り、判断が必要になります。当社グループは、過去の実績又は現在の状況下で合理的と考えられる前提等に基づいて一貫した見積り及び判断を行っておりますが、見積り特有の不確実性が含まれるため、実際の結果が異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成において採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
連結財務諸表等の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
経営成績の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ① 経営成績」に記載のとおりであります。
③ 財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態」に記載のとおりであります。
④ キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フロー」に記載のとおりであります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループは「世界をフィールドに先進のICTをもって新しい価値を創造する」ことで、持続的に成長し続ける企業グループとなることを目指しています。CAC Vision 2030の実現に向け、2022年度~2025年度までのフェーズ1においては、国内外における既存受託事業での安定した収益の確保と2026年度~2030年度までのフェーズ2に向けて継続的にデジタルプロダクト&サービスを生み出す仕組みの構築を行います。
これらに必要な資金につきましては、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローを源泉とする自己資金にて対応することを考えていますが、必要に応じ、資金調達(金融機関からの借入や各種社債の発行等)することも含めて対応してまいります。
⑥ 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標
経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、2022年度から開始したフェーズ1での中期経営計画の最終年度となる2025年度の数値目標を、売上高580億円、調整後EBITDA 55億円、ROE10%以上、エクイティスプレッド2.5%以上、DOE5%としております。
当社連結子会社である株式会社CACマルハニチロシステムズ(2023年4月1日付でマルハニチロソリューションズ株式会社へ商号変更)について、その全株式を2023年3月31日付で同社へ譲渡いたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。
当社連結子会社である株式会社シーエーシーは、2023年5月1日付で株式会社Empath(2023年5月1日付で株式会社Poeticsへ商号変更)の事業の一部を譲り受けいたしました。
詳細は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(企業結合等関係)」に記載のとおりです。
当社連結子会社である株式会社シーエーシーは、2023年6月8日付で株式会社エムハートを子会社化しました。
当社グループは、「テクノロジーとアイデアで、社会にポジティブなインパクトを与え続ける企業グループへ」をビジョンに、積極的な研究開発活動を行っております。
研究開発活動は、主に株式会社シーエーシーにおけるR&D本部と新規事業開発本部で実施されております。
当連結会計年度における研究開発費の総額は
(R&D本部)
HCTechの開発・活用において活躍するAIモデル開発を中心とした先進IT技術者の教育・育成・拡大を図るほか、各種事業向けに提供している既存AIモデルの継続強化・最新化とともに、AI提供・運用プラットフォームの機能拡充と展開を進めています。
また、業界の共通課題・機能を抽出し、AI・IoT・AR等の活用、およびドローン・各種センサー・エッジコンピュータなどの活用を組み合わせたソリューション開発による、対象業務の高効率化・自動化を推進しています。
(新規事業開発本部)
素早く市場へ投入できるプロダクト開発・検証を行う方法論およびプロセス体制を確立。市場からのフィードバック重視の事業開発に取り組んでおります。
強みとしては、R&D本部と連携しながらよりスムーズに最新テクノロジーをプロダクト投入するイノベーションリード、長年培ったシステム開発の知見を活かしたプロダクト開発があります。
他にも長崎AiLabを起点とした地方創生、地域・社会課題解決、Society5.0などの活動を通じて地方自治体・地域企業へのアプローチを継続し、先進技術の実利用・効果検証、および、それらを利用した共創・協業を推進しております。