1. 一般的事項
(1) 報告企業
楽天グループ株式会社(以下「当社」)は、日本に所在する企業です。当社及び連結子会社(以下「当社グループ」)は、インターネットサービス、フィンテック及びモバイルという3つの事業を基軸としたグローバル イノベーション カンパニーであることから、「インターネットサービス」、「フィンテック」及び「モバイル」の3つを報告セグメントとしています。
これらのセグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっています。
「インターネットサービス」セグメントは、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』をはじめとする各種ECサイト、オンライン・キャッシュバック・サイト、旅行予約サイト、ポータルサイト、デジタルコンテンツサイト等の運営、メッセージングサービスの提供や、これらのサイトにおける広告等の販売、プロスポーツの運営等を行う事業により構成されています。
「フィンテック」セグメントは、クレジットカード関連サービス、インターネットを介した銀行及び証券サービス、暗号資産(仮想通貨)の媒介、生命保険サービス、損害保険サービス、電子マネーサービスの提供等を行う事業により構成されています。
「モバイル」セグメントは、通信サービス及び通信技術の提供並びに電力供給サービスの運営等を行う事業により構成されています。
(2) 作成の基礎
当社グループの連結財務諸表は、国際会計基準審議会によって公表されたIFRSに準拠して作成しています。当社は、連結財務諸表規則第1条の2に掲げる「指定国際会計基準特定会社」の要件を全て満たしているため、同第93条の規定を適用しています。
本連結財務諸表は、2024年3月28日に取締役会において承認されています。
(3) 連結範囲及び持分法適用範囲の重要な変更
第2四半期連結会計期間において、株式会社西友ホールディングスの全株式を譲渡したことに伴い、持分法適用の範囲から除外しています。
(4) 機能通貨及び表示通貨
当社グループ各社の財務諸表に含まれる項目は、当社グループ各社がそれぞれ営業活動を行う主たる経済環境の通貨(以下「機能通貨」)を用いて測定しています。連結財務諸表は当社の機能通貨であり、また、当社グループの表示通貨である日本円で表示しており、百万円未満を四捨五入して表示しています。
(5) 測定の基礎
連結財務諸表は、公正価値で測定する金融商品等を除き、取得原価を基礎として作成されています。
(6) 見積り及び判断の利用
IFRSに準拠した連結財務諸表の作成にあたり、一部の重要な事項について会計上の見積りを行う必要があります。また、当社グループの会計方針を適用する過程において、経営者が自ら判断を行うことが求められています。高度の判断を要する項目、非常に複雑な項目、仮定や見積りが連結財務諸表に重要な影響を与える項目並びに翌連結会計年度において重要な修正をもたらすリスクのある仮定及び見積りの不確実性に関する情報は、「注記3. 重要な会計上の見積り及び判断」等において開示しています。
(7) 基準書及び解釈指針の早期適用
該当事項はありません。
(8) 未適用の公表済み基準書及び解釈指針
連結財務諸表の承認日までに公表されている主な基準書及び解釈指針の新設又は改訂は次のとおりであり、2023年12月31日現在において当社グループはこれを適用していません。なお、この適用による重要な影響は検討中です。
2. 重要性がある会計方針
当社グループは会計方針を連結財務諸表に表示されている全ての期間に首尾一貫して適用しています。
子会社とは、当社グループにより支配されている企業(組成された事業体を含む)をいいます。当社グループが企業への関与による変動リターンにさらされている、又は変動リターンに対する権利を有している場合で、その企業に対するパワーを通じてこれらの変動リターンに影響を与えることができる場合には、当社グループはその企業を支配しています。当社グループがパワーを有しているか否かは、現時点で行使可能な潜在的議決権を考慮して決定しています。
当社グループの子会社に対する所有持分が変動した場合で、かつ、当社グループの当該子会社に対する支配が継続する場合は、資本取引として非支配持分の修正額と支払対価又は受取対価の公正価値との差額を資本に直接認識し、親会社の所有者に帰属させています。
当社グループ企業間の取引並びにこれに関連する資産及び負債は、連結手続において相殺消去しています。未実現損益は全額、これを消去しています。
関連会社とは、当社グループがその経営及び財務の方針に関する経営管理上の意思決定に対して、重要な影響力を有するが、支配的持分は有しない企業をいいます。一般的に、当社グループが議決権の20%から50%を保有する場合には、重要な影響力があると推定されています。当社グループが重要な影響力を有しているか否かの評価にあたり考慮されるその他の要因には、取締役会への役員の派遣等があります。これらの要因が存在する場合には、当該企業に対する当社グループの投資が議決権株式の20%未満であったとしても、当社グループが重要な影響力を有することがあります。
関連会社に対する持分の投資は、持分法により会計処理しています。関連会社の経営成績に対する当社グループの持分は、当社グループの会計方針と整合するように修正され、連結損益計算書において持分法による投資損益として認識しています。取引に係る未実現損益は、投資先に対する当社グループの持分の範囲で消去されています。持分法による会計処理では、関連会社に対する当社グループの投資は、当初、取得原価で計上された後、取得後の純利益(又は損失)に対する当社グループの持分及び当該関連会社の資本(又は純資産)に直接反映されたその他の変動に対する当社グループの持分を反映して、増額(又は減額)されます。
関連会社の持分取得に伴い生じたのれんは、当該投資の帳簿価額に含められており、持分法で会計処理されている投資全体に関して減損テストを行っています。当社グループは、各期末日現在において、関連会社企業に対する投資が減損しているということを示す客観的な証拠があるか否かを評価しています。投資が減損していることを示す客観的証拠がある場合、投資の回収可能価額(使用価値と処分費用控除後の公正価値のいずれか高い方)と帳簿価額を比較することにより、減損テストを行っています。過去の期間に認識された減損損失は、過去の減損損失計上後、投資の回収可能価額の決定に使用された見積りの変更があった場合にのみ、戻入れています。その場合、投資の帳簿価額は、減損損失の戻入れにより、回収可能価額まで増額しています。
当社グループは、企業結合に対して取得法を適用しています。企業結合において移転した対価には、当社グループから被取得企業の従前の所有者に対して移転した資産、発生した負債及び当社グループが発行した持分の公正価値が含まれています。また、移転した対価には、条件付対価の公正価値が含まれています。仲介手数料、弁護士費用、デューデリジェンス費用及びその他の専門家報酬、コンサルティング料等の、企業結合に関連して当社グループに発生する取引費用は、発生時に費用処理しています。
また、当社グループは、被取得企業に対する非支配持分のうち、現在の所有持分であり、清算時に企業の純資産に対する比例的な取り分を保有者に与えているものについて、企業結合取引ごとに、公正価値もしくは識別可能な被取得企業の純資産に対する非支配持分の持分割合相当額のいずれかで測定しています。
移転した対価、被取得企業の非支配持分の金額及び以前に保有していた被取得企業の持分の取得日における公正価値の合計が、取得した識別可能な純資産の公正価値を超過する場合、その超過額をのれんとして計上しています。一方、移転した対価、被取得企業の非支配持分の金額及び以前に保有していた被取得企業の持分の取得日における公正価値の合計が、取得した識別可能な純資産の公正価値を下回る場合、割安購入として差額を純損益に直接認識しています。
企業結合の当初の会計処理が、企業結合が発生した連結会計年度末までに完了していない場合には、完了していない項目を暫定的な金額で報告しています。取得日時点に存在していた事実と状況を取得日当初に把握していたとしたら、認識される金額の測定に影響を与えていたと判断される期間(以下「測定期間」)に入手した場合、その情報を反映して、取得日に認識した暫定的な金額を遡及的に修正しています。この新たに得た情報が、資産と負債の新たな認識をもたらす場合には、追加の資産と負債を認識しています。測定期間は、最長で1年間です。
IFRS移行日より前の取得に係るのれんは、従前の会計基準に基づき認識した金額を基礎として報告しています。
外貨建取引は、取引日における直物為替レートを適用することにより、機能通貨に換算しています。期末日における外貨建貨幣性資産及び負債は、期末日の為替レートで機能通貨に再換算しています。公正価値で測定される外貨建非貨幣性資産及び負債は、当該公正価値の算定日における為替レートで機能通貨に再換算しています。
これら取引の決済から生じる外国為替差額並びに外貨建貨幣性資産及び負債を期末日の為替レートで換算することによって生じる為替差額は、純損益で認識しています。ただし、非貨幣性項目に係る利益又は損失がその他の包括利益に計上される場合は、為替差額もその他の包括利益に計上しています。
在外営業活動体の資産及び負債(取得により発生したのれん及び公正価値の調整を含む)については期末日の為替レート、収益及び費用については期中の平均為替レートを用いて日本円に換算しています。
当該差額は「在外営業活動体の換算差額」として、その他の資本の構成要素に含めています。なお、在外営業活動体の持分全体の処分及び支配、重要な影響力の喪失を伴う持分の一部処分といった事実が発生した場合、当該換算差額を、処分損益の一部として純損益に振替えています。
現金及び現金同等物は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資です。短期投資については、銀行事業に関するものを含みません。
当社グループは、売上債権を、これらの発生日に当初認識しています。売上債権以外の金融資産は全て、当社グループが当該金融商品の契約の当事者になる取引日に当初認識しています。
金融資産の分類及び測定モデルの概要は、以下のとおりです。
償却原価で測定する金融資産
金融資産は、以下の要件を満たす場合に償却原価で事後測定する金融資産に分類しています。
・当社グループの事業モデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有している場合
・契約条件により、特定の日に元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローを生じさせる場合
償却原価で測定する金融資産は、公正価値に、取得に直接起因する取引費用を加算した金額で当初認識しています。当初認識後、償却原価で測定する金融資産の帳簿価額については、実効金利法に基づき事後測定しています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品
金融資産は、以下の要件をともに満たす場合にその他の包括利益を通じて公正価値で事後測定する負債性金融商品に分類しています。
・当社グループの事業モデルにおいて、当該金融資産の契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方を目的として保有している場合
・契約条件により、特定の日に元本及び元本残高に対する利息の支払のみであるキャッシュ・フローを生じさせる場合
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品は、公正価値に、取得に直接起因する取引費用を加算した金額で当初認識しています。また、当初認識後は公正価値で測定し、その事後的な変動をその他の包括利益として認識しています。その他の包括利益として認識した金額は、認識を中止した場合、その累計額を損益に振替えています。
純損益を通じて公正価値で測定する金融商品
資本性金融商品に対する投資を除く金融資産で上記の償却原価で測定する区分及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する区分の要件を満たさないものは、公正価値で測定し、その変動を純損益で認識しています。当該資産には、売買目的で保有する金融資産が含まれています。
資本性金融商品に対する投資は公正価値で測定し、その変動を純損益で認識しています。ただし、当社グループが当初認識時に公正価値の変動をその他の包括利益に計上するという選択(取消不能)を行う場合は、この限りではありません。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産は、当初認識時に公正価値で認識し、取引費用は発生時に純損益で認識しています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
当社グループは当初認識時に、資本性金融商品に対する投資における公正価値の変動をその他の包括利益で認識するという選択(取消不能)を行う場合があります。当該選択は、売買目的以外で保有する資本性金融商品に対する投資に対してのみ認められています。
その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品は、公正価値に、取得に直接起因する取引費用を加算した金額で当初認識しています。当初認識後は公正価値で測定し、公正価値の変動は「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の変動」として、その他の資本の構成要素に含めています。
なお、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品からの配当金については、「売上収益」又は「金融収益」として純損益で認識しています。
償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の減損
当社グループは、償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品については、期末日時点で金融商品にかかる信用リスクが当初認識以降に著しく増大していない場合には、期末日後12ヶ月以内の生じうる債務不履行から生じる予想信用損失(12ヶ月の予想信用損失)により貸倒引当金の額を算定しています。この場合、過去の貸倒実績率、その他合理的に利用可能な将来予測情報等をもとに将来12ヶ月の予想信用損失を集合的に見積って当該金融商品にかかる貸倒引当金の額を算定しています。一方で、期末日時点で金融商品にかかる信用リスクが当初認識以降に著しく増大している場合には、当該金融商品の予想存続期間にわたる全ての生じうる債務不履行から生じる予想信用損失(全期間の予想信用損失)により貸倒引当金を算定しています。この場合、過去の貸倒実績率、将来の回収可能価額、その他合理的に利用可能な将来予測情報等をもとに当該金融商品の回収にかかる全期間の予想信用損失を個別に見積って当該金融商品にかかる貸倒引当金の額を算定しています。
ただし、重大な金融要素を含んでいない売上債権等の営業債権及び契約資産(以下「営業債権等」)については、上記に関わらず、常に全期間の予想信用損失により貸倒引当金の額を算定しています。原則として、取引先の属性に応じて営業債権等をグルーピングした上で、過去の貸倒実績率、その他合理的に利用可能な将来予測情報等を考慮して集合的に予想信用損失を測定しています。一定の日数が経過した延滞した金融資産のうち債務者の重大な財政的困難等により金融資産の回収可能性が特に懸念されるものであると判断された場合には、信用減損が発生しているものと判定しています。
当社グループは、信用減損した金融資産について、将来の回収が見込めない場合は直接償却を行っています。
直接償却を行った場合でも履行に向けて回収活動を継続し、回収が行われた場合は純損益に回収額を計上します。
金融資産の認識の中止
当社グループは、金融資産から生じるキャッシュ・フローに対する契約上の権利が失効した場合、又は、当該金融資産の所有にかかるリスク及び便益を実質的に全て移転する取引において、金融資産から生じるキャッシュ・フローを受け取る契約上の権利を移転する場合に、当該金融資産の認識を中止しています。移転した金融資産に関して当社グループが創出した、又は当社グループが引き続き保有する権利については、別個の資産・負債として認識しています。
当社グループは、当社グループが発行した負債証券を、その発行日に当初認識しています。負債証券以外の金融負債は全て、当社グループが当該金融商品の契約の当事者になる取引日に当初認識しています。
当社グループは、金融負債が消滅した場合、つまり、契約上の義務が免責、取消又は失効となった場合に、金融負債の認識を中止しています。
当社グループは、非デリバティブ金融負債として、仕入債務、銀行事業の預金、証券事業の金融負債、社債及び借入金、証券事業の借入金、カード事業の社債及び借入金、銀行事業の借入金並びにその他の金融負債を有しており、公正価値で当初認識し、実効金利法に基づき償却原価で事後測定しています。
ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブ
当社グループは、公正価値変動リスク、金利変動リスク及び為替変動リスクをヘッジするため、デリバティブを利用しています。これらに用いられるデリバティブは、主に金利スワップ、先渡、オプション、為替予約及び通貨スワップです。
当初のヘッジ指定時点において、当社グループは、ヘッジ手段とヘッジ対象及びその関係、リスク管理目的、ヘッジ取引を実行する際の戦略、ヘッジされるリスクの性質、ヘッジ関係の有効性の評価方法、並びにヘッジ非有効部分の測定方法を文書化しています。
当社グループは、ヘッジ手段がヘッジ対象期間において関連するヘッジ対象の公正価値又はキャッシュ・フローの変動に対して高度に相殺効果を有すると予想することが可能であるか否かについて、ヘッジ指定時点で評価するとともに、その後も毎期継続的に評価しています。
ヘッジ手段であるデリバティブは公正価値で当初認識し、関連する取引費用は発生時に純損益として認識しています。当初認識後は、デリバティブは公正価値で測定し、その変動は以下のように会計処理しています。
・公正価値ヘッジ
ヘッジ手段であるデリバティブを公正価値で事後測定することによる利得又は損失は、純損益で認識しています。ヘッジされたリスクに起因するヘッジ対象に係る利得又は損失は、純損益で認識するとともにヘッジ対象の帳簿価額を修正しています。ただし、ヘッジ対象が、公正価値の変動をその他の包括利益で測定する資本性金融商品である場合は、ヘッジ手段であるデリバティブを公正価値で事後測定することによる利得又は損失は、その他の包括利益で認識しています。公正価値ヘッジがヘッジ会計の要件を満たさない場合、又はヘッジ手段が失効、売却、終了若しくは行使された場合はヘッジ会計の適用を将来に向けて中止しています。
・キャッシュ・フロー・ヘッジ
デリバティブを、認識済み資産・負債に関連する特定のリスクに起因し、かつ、純損益に影響する可能性があるキャッシュ・フローの変動をヘッジするためのヘッジ手段として指定した場合、デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ有効部分は、「キャッシュ・フロー・ヘッジ」として、その他の資本の構成要素に含めています。キャッシュ・フロー・ヘッジの残高は、ヘッジ対象のキャッシュ・フローが純損益に影響を及ぼす期間と同一期間に、連結包括利益計算書においてその他の包括利益から控除し、ヘッジ対象と同一の項目で純損益に振替えています。デリバティブの公正価値の変動のうちヘッジ非有効部分は、即時に純損益で認識しています。しかしながら、ヘッジ対象が非金融資産又は非金融負債の認識を生じさせるものである場合には、その他の包括利益として認識されている金額は、非金融資産又は非金融負債の当初の帳簿価額の修正として処理しています。
なお、キャッシュ・フロー・ヘッジがヘッジ会計の要件を満たさない場合、又はヘッジ手段が失効、売却、終了若しくは行使された場合はヘッジ会計の適用を将来に向けて中止し、その他の包括利益として認識した金額をその他の資本の構成要素から純損益に振替えています。
ヘッジ会計の要件を満たさないデリバティブ
当社グループには、ヘッジ目的で保有しているデリバティブのうちヘッジ会計の要件を満たしていないものがあります。また当社グループは、デリバティブをヘッジ目的以外のトレーディング目的でも保有しています。これらのデリバティブの公正価値の変動は全て即時に純損益で認識しています。
組込デリバティブ
金融商品及びその他の契約の中に、デリバティブ及び非デリバティブ金融商品の双方が結合されていることがあります。そのような契約に含まれるデリバティブの部分は、組込デリバティブと呼ばれ、非デリバティブの部分が主契約となります。主契約が金融負債である場合、組込デリバティブの経済的特徴とリスクが主契約と密接に関連せず、組込デリバティブと同一条件の独立の金融商品がデリバティブの定義に該当し、複合契約自体が純損益を通じて公正価値で測定する金融負債として分類されない場合には、組込デリバティブは主契約から分離され、デリバティブとして会計処理しています。主契約の金融負債は、非デリバティブ金融負債に適用される会計方針により会計処理しています。
金融資産及び金融負債は、当社グループがそれらの残高を相殺する法的権利を有し、純額で決済するか、又は資産の実現と負債の決済を同時に行う意図を有する場合にのみ、連結財政状態計算書上で相殺し、純額で表示しています。
金融保証契約とは、負債性金融商品の当初又は変更後の条件に従った期日が到来しても、特定の債務者が支払を行わないために保証契約保有者に発生する損失を契約発行者がその保有者に対し補填することを要求する契約です。
これら金融保証契約は当初契約時点において、公正価値により測定しています。当初認識後は、公正価値で測定されるものを除き、貸倒引当金の額と当初認識額から認識した収益の累計額を控除した額のうち、いずれか高い方で測定しています。
有形固定資産は、当初認識後の測定モデルとして原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した価額で計上しています。
取得原価には資産の取得に直接関連する費用、資産の解体及び除去費用、並びに原状回復費用の当初見積額が含まれています。また、意図した使用又は販売が可能となるまでに相当の期間を必要とするような資産に関して、その資産の取得、建設又は製造に直接起因する借入コストは、当該資産取得の一部として資産化しています。なお、その他の借入コストは全て、発生した期に費用として認識しています。
土地及び建設仮勘定以外の減価償却費は、有形固定資産の各構成要素の見積耐用年数にわたり、主に定額法に基づいています。
主要な有形固定資産の前連結会計年度及び当連結会計年度における見積耐用年数は、以下のとおりです。
・建物及び建物附属設備 2-50年
・工具、器具及び備品 2-20年
・機械設備 2-50年
減価償却方法、耐用年数及び残存価額は、期末日に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
当初認識
子会社の取得により生じたのれんは、無形資産に計上しています。当初認識時におけるのれんの測定については、(2) 企業結合をご参照ください。
当初認識後の測定
のれんは、取得原価から減損損失累計額を控除して測定しています。
当社グループは、主として内部利用目的のソフトウエアを購入又は開発するための特定のコストを支出しています。
新しい科学的又は技術的知識の獲得のために行われる研究活動に対する支出は、発生時に費用計上しています。開発活動による支出については、信頼性をもって測定可能であり、技術的に実現可能であり、将来の経済的便益を得られる可能性が高く、当社グループが開発を完成させ、当該資産を使用又は販売する意図及びそのための十分な資源を有している場合にのみ、ソフトウエアとして資産計上しています。
資産計上したソフトウエアは、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しています。
企業結合により取得し、のれんとは区分して認識した商標権等の無形資産は取得日の公正価値で計上しています。
その後は、取得原価から償却累計額及び減損損失累計額を控除して測定しています。
償却費は、資産の取得原価から残存価額を差し引いた額に基づいています。耐用年数が確定できる無形資産は、定額法により償却しています。
主要な耐用年数が確定できる無形資産の前連結会計年度及び当連結会計年度における見積耐用年数は、以下のとおりです。
・ソフトウエア 主として5年
償却方法、耐用年数及び残存価額は、期末日に見直しを行い、変更があった場合は、会計上の見積りの変更として将来に向かって適用しています。
リース負債は、リース開始日におけるリース料総額の未決済分の割引現在価値として測定を行っています。使用権資産については、リース負債の当初測定額に当初直接コスト、前払リース料等を調整した金額で当初測定を行っています。当初認識後は、リース契約の終了までに当社グループが所有権を獲得することが合理的に確実な場合を除き、リース期間又は経済的耐用年数のいずれか短い期間にわたって、主に定額法によって減価償却しています。なお、リース料は、リース負債残高に対して一定の利子率となるように、金利費用とリース負債残高の返済部分とに配分しています。
その他の資産に含まれる投資不動産の測定においては、原価モデルを採用し、取得原価から減価償却累計額及び減損損失累計額を控除した後の金額で表示しています。投資不動産は、主に3~60年の範囲で見積耐用年数に基づき、定額法にて償却を行っています。
棚卸資産及び繰延税金資産を除く当社グループの非金融資産の帳簿価額は、四半期ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合は、当該資産の回収可能価額を見積っています。のれん及び耐用年数を確定できない、又はまだ使用可能ではない無形資産については、回収可能価額を各連結会計年度における一定時期に見積っています。
資産、資金生成単位又は資金生成単位グループの回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としています。使用価値の算定において、見積将来キャッシュ・フローは、貨幣の時間的価値及び当該資産の固有のリスクを反映した税引前の割引率を用いて、現在価値に割り引いています。資金生成単位については、継続的に使用することにより他の資産又は資産グループのキャッシュ・イン・フローから、概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生み出す最小単位の資産グループとしています。
資金生成単位については、原則として各社を資金生成単位としています。のれんは、内部報告目的で管理される単位に基づき、資金生成単位又は資金生成単位グループに配分しています。
全社資産は独立したキャッシュ・イン・フローを生み出していないため、全社資産に減損の兆候がある場合、全社資産が帰属する資金生成単位の回収可能価額を算定して判断しています。
減損損失は、資産、資金生成単位又は資金生成単位グループの帳簿価額が回収可能価額を超過する場合に、純損益で認識しています。資金生成単位に関連して認識した減損損失は、まずその単位に配分されたのれんの帳簿価額を減額するように配分し、次に資金生成単位内のその他の資産の帳簿価額を比例的に減額するように配分しています。
のれんに関連する減損損失については、戻入れていません。過去に認識したその他の資産の減損損失については、四半期ごとに、損失の減少又は消滅を示す兆候の有無を判断しています。減損の戻入れの兆候があり、回収可能価額の決定に使用した見積りが変化した場合は、減損損失を戻入れています。減損損失については、減損損失を認識しなかった場合の帳簿価額から必要な減価償却費又は償却費を控除した後の帳簿価額を超えない金額を上限として、戻入れています。
当社グループが、過去の事象の結果として現在の法的又は推定的債務を有しており、当該義務を決済するために経済的便益を有する資源の流出が必要となる可能性が高く、当該義務の金額について信頼性のある見積りができる場合に、引当金を認識しています。
引当金は、現時点の貨幣の時間的価値の市場評価と当該義務に特有なリスクを反映した税引前の割引率を用いて、義務の決済に必要とされると見込まれる支出の現在価値として測定しています。
当社グループは、当連結会計年度よりIFRS第17号「保険契約」(以下「IFRS第17号」)を適用しています。
基準移行日である前連結会計年度期首時点にてIFRS第17号を適用し、前連結会計年度の期首時点で修正再表示しています。そのため、比較情報はIFRS第17号に準拠しています。詳細は[会計方針の変更]をご参照ください。
当社が発行した資本性金融商品は、発行価額を資本金及び資本剰余金に計上し、直接発行費用(税効果考慮後)は資本剰余金から控除しています。
当社グループは、取締役及び従業員に対するインセンティブ制度としてストック・オプション制度を導入しています。株式報酬の付与日における公正価値は、付与日から権利が確定するまでの期間にわたり、人件費として認識し、同額を資本剰余金の増加として認識しています。付与されたオプションの公正価値は、オプションの諸条件を考慮し、ブラック・ショールズ・モデル等を用いて算定しています。また、条件については定期的に見直し、必要に応じて権利確定数の見積りを修正しています。
当社グループでは、IFRS第9号「金融商品」(以下「IFRS第9号」)に基づく利息や配当収益等、IFRS第16号「リース」に基づくリース収益及びIFRS第17号に基づく保険料収入を除き、以下の5ステップアプローチに基づき、顧客への財やサービスの移転との交換により、その権利を得ると見込む対価を反映した金額で収益を認識しています。
ステップ1:顧客との契約を識別する。
ステップ2:契約における履行義務を識別する。
ステップ3:取引価格を算定する。
ステップ4:取引価格を契約における別個の履行義務へ配分する。
ステップ5:履行義務を充足した時点で(又は充足するにつれて)収益を認識する。
また、顧客との契約獲得のための増分コスト及び契約に直接関連する履行コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産(以下「契約コストから認識した資産」)として認識しています。契約獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったであろうものです。契約コストから認識した資産については、顧客の見積契約期間に応じて4年間から10年間の均等償却を行っています。
金融収益は、主として受取利息、受取配当金及び純損益を通じて公正価値で測定する金融商品の公正価値の変動等から構成されています。受取利息は、実効金利法により発生時に認識しています。受取配当金は、当社グループの受領権が確定した日に認識しています。
一方、金融費用は、主として支払利息等から構成されています。支払利息は、実効金利法により発生時に認識しています。
なお、当社グループにおける金融事業を営む子会社から生じた金融収益及び金融費用は、「売上収益」及び「営業費用」に含められています。
政府補助金は、補助交付のための付帯条件を満たし、補助金が受領されることについて合理的な保証が得られた時に認識しています。収益に関する政府補助金は、補助金により補償される費用が認識される期間にわたって、純損益として認識しています。資産に関する政府補助金は、繰延収益として認識し、関連する資産の耐用年数にわたって規則的に純損益に認識しています。純損益として認識された補助金については、関連する費用から控除する方法を採用しています。
① 短期従業員給付
短期従業員給付については、割引計算は行わず、関連するサービスが提供された時点で費用として計上しています。賞与については、それらを支払うべき現在の法的又は推定的債務を負っており、かつ、その金額を信頼性をもって見積ることができる場合に、それらの制度に基づいて支払われると見積られる額を負債として認識しています。
② 退職給付
当社グループは、退職給付制度として、主に確定給付制度を採用しています。
確定給付制度
確定給付負債(資産)の純額は、確定給付制度債務の現在価値から、制度資産の公正価値(必要な場合には、確定給付資産の上限、最低積立要件への調整を含む)を控除したものであり、退職給付に係る資産又は負債として連結財政状態計算書で認識しています。確定給付制度債務は、予測単位積増方式に基づいて算定され、その現在価値は、将来の予想支払額に割引率を適用して算定しています。割引率は、給付が見込まれる期間に近似した満期を有する優良社債の利回りを参照して決定しています。
勤務費用及び確定給付負債(資産)の純額に係る利息純額は純損益として認識しています。数理計算上の差異、純利息費用に含まれる部分を除く制度資産に係る収益の変動については、それらが生じた期間において確定給付制度に係る再測定としてその他の包括利益に認識しています。また、過去勤務費用は、制度改訂又は縮小が発生した時、あるいは関連するリストラクチャリング費用又は解雇給付を認識した時の、いずれか早い方の期において純損益として認識しています。
(19) 法人所得税
法人所得税費用は、当期税金及び繰延税金から構成されています。これらは、企業結合から生じた項目、その他の包括利益で認識される項目及び資本に直接認識される項目に関連する税金を除き、純損益で認識しています。
当期税金は、期末日において施行され、又は実質的に施行されている法定税率(及び税法)を使用して、税務当局に納付(又は税務当局から還付)される予想額で算定しています。
当社グループは、資産及び負債の連結財政状態計算書上の帳簿価額と税務上の基準額との間に生じる一時差異、将来の課税所得と相殺可能な繰越欠損金及び将来の税額から控除可能な税額控除に対して、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しています。当該繰延税金資産及び繰延税金負債の算定には、期末日において施行され、又は実質的に施行されている法令に基づき、関連する繰延税金資産が実現する時、又は繰延税金負債が決済される時において適用されると予想される税率を使用しています。繰延税金資産は、将来の課税所得を稼得する可能性が高い範囲内で、全ての将来減算一時差異及び全ての未使用の繰越欠損金並びに税額控除について認識しています。
子会社、関連会社及び共同支配企業に対する投資に係る一時差異について、繰延税金資産又は繰延税金負債を認識しています。ただし、繰延税金負債については、一時差異の解消時期をコントロールでき、かつ、予測可能な期間内での一時差異の解消が期待できない可能性が高い場合には認識していません。また、繰延税金資産については、一時差異からの便益を利用するのに十分な課税所得があり、予測可能な期間内で一時差異の解消される可能性が高いと認められる範囲内で認識しています。
繰延税金資産及び繰延税金負債の相殺が行われるのは、当期税金資産と当期税金負債を相殺する法的に強制力のある権利を有しており、かつ、繰延税金資産及び繰延税金負債が単一の納税事業体又は純額ベースでの決済を行うことを意図している異なる納税事業体に対して、同一の税務当局によって課されている法人所得税に関連するものに対してです。
当社及び一部子会社は、グループ通算制度及び連結納税制度を適用しています。
基本的1株当たり利益又は損失は、親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失を、その期間の自己株式を調整した発行済普通株式の加重平均株式数で除して算定しています。希薄化後1株当たり利益又は損失は、全ての希薄化効果のある潜在的普通株式による影響について、親会社の所有者に帰属する当期利益又は損失及び自己株式を調整した発行済株式の加重平均株式数を調整することにより算定しています。当社グループの潜在的普通株式は、ストック・オプション制度に係るものです。
事業セグメントとは、他の事業セグメントとの取引を含む、収益を稼得し費用を発生させる事業活動の構成単位です。全ての事業セグメントの事業の成果は、個別にその財務情報が入手可能なものであり、かつ、各セグメントへの経営資源の配分及び業績の評価を行うために、当社グループの最高経営意思決定者である取締役会において定期的にレビューしています。
当社グループは、当連結会計年度より以下の基準を適用しています。
保険契約に係る会計方針は、以下のとおりです。なお、基準移行日である前連結会計年度期首時点にてIFRS第17号を適用し、前連結会計年度の期首時点で修正再表示しています。
1) 保険契約の分類及び集約
当社グループにおいて、重要な保険リスクを引き受ける契約を保険契約として分類しています。保険契約は測定の目的上、保険契約グループとして集計し、保険契約グループは保険契約のポートフォリオを識別することによって決定しています。各ポートフォリオは、類似したリスクに晒されており一括して管理されている複数の契約で構成され、契約の収益性に基づき3つのグループに分割しています。
– 当初認識時に不利である契約のグループ
– 当初認識時において、その後に不利となる可能性が大きくない契約のグループ
– ポートフォリオの中の残りの契約
2) 保険契約の認識及び測定
当社グループが発行した保険契約は、次のうち最も早い時点から認識しています。
– カバー期間(保険契約の境界線内の保険料に関して、当社グループがサービスを提供する期間)の開始時
– 保険契約者からの初回支払期限が到来した時、又は契約上の支払期限がない場合は、保険契約者から初回支払を受領した時
– 事実及び状況が、契約が不利であることを示唆している時
i) 保険料配分アプローチ(Premium Allocation Approach、以下「PAA」)を適用せずに測定している保険契約の当初測定
PAAを適用せずに測定している保険契約は、一般測定モデルを適用しており、以下の項目から構成されています。
(a) 履行キャッシュ・フロー
保険契約グループの履行キャッシュ・フローは、見積将来キャッシュ・フロー(貨幣の時間価値及び関連する金融リスクを反映するように調整)及び非金融リスクに係るリスク調整で構成されます。保険契約グループの履行キャッシュ・フローは、当社グループの不履行リスクを反映していません。保険契約グループの非金融リスクに係るリスク調整は、他の見積りとは別に決定されるものであり、キャッシュ・フローの金額及び時期に関する非金融リスクから生じる不確実性の負担に対して要求する対価です。
(b) 契約上のサービス・マージン(以下「CSM」)
保険契約グループのCSMは、当社グループがその契約に基づきサービスを提供するにつれて認識することとなる未稼得利益を表しています。
保険契約グループの当初認識時に、(a)履行キャッシュ・フロー、(b)その日に生じたキャッシュ・フロー及び当該グループに係るキャッシュ・フローに対して以前認識した資産又は負債の認識の中止から生じた金額(保険獲得キャッシュ・フローに対する資産を含む)の合計が、正味のインフローである場合、当該グループは不利な契約ではありません。この場合、CSMはその正味のインフローと同額で正負が逆の金額として測定します。その結果、当初認識時に発生する損益はありません。
ⅱ) PAAを適用せずに測定している保険契約の事後測定
各報告日現在の保険契約グループの帳簿価額は、残存カバーに係る負債と発生保険金に係る負債の合計です。
発生保険金に係る負債は既発生未報告の保険金を含む、未払の発生保険金及び費用に係る履行キャッシュ・フローで構成されています。
残存カバーに係る負債は、以下の項目から構成されています。
(a) 履行キャッシュ・フロー
保険契約グループの履行キャッシュ・フローは、報告日時点で、将来キャッシュ・フローに関する現在の見積り、現在の割引率及び非金融リスクに係るリスク調整に関する現在の見積りを用いて測定されます。
(b) CSM
CSMは、報告日時点で、報告期間の期首残高に以下の項目を加減して算定されます。
a) 当連結会計年度に保険グループに加えられた新契約のCSM
b) 当連結会計年度にCSMの帳簿価額に対し発生した利息(基礎となる項目に対するリターンに基づいて変動しない名目キャッシュ・フローに対して、当初認識時に決定した割引率を適用して測定)
c) 将来のサービスに係る履行キャッシュ・フローの変動
1. 将来のサービスに関して当連結会計年度に受け取った保険料及び関連するキャッシュ・フローから生じた実績調整(当初認識時に決定した割引率を適用して測定)
2. 残存カバーに係る負債の将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りの変更(当初認識時に決定した割引率を適用して測定。ただし、貨幣の時間価値、金融リスク及びそれらの変動に伴う影響を除く)
3. 当連結会計年度に支払が見込まれる投資要素と当期に支払が確定した実際の投資要素との差異
4. 将来のサービスに関連する、非金融リスクに係るリスク調整の変動
なお、履行キャッシュ・フローの変動のうち、以下の場合を除きます。
・履行キャッシュ・フローの増加がCSMの帳簿価額を上回る場合。この場合、超過額は損失として純損益で認識し、損失要素が発生します。
・履行キャッシュ・フローの減少が損失要素に配分される場合。これにより、過去に純損益で認識した損失の戻入れが発生します。
d) 当連結会計年度にサービスを提供したことにより、保険収益として認識した金額
当社グループは、その後の期中財務諸表及び年度財務諸表を作成する際、それまでの期中財務諸表作成時のIFRS第17号に関する会計上の見積りはなかったものとして、改めて実績調整若しくは将来のサービスに関する履行キャッシュ・フローの変動なのかを判断しています。
3) 契約の境界線
保険契約者が保険料の支払義務を負う報告期間中、又は当社グループがサービス(保険カバー及び投資サービスを含む)を提供する実質的な義務を有している報告期間中に存在する実質的な権利及び義務から生じるキャッシュ・フローは、契約の境界線内にあります。
保険契約の境界線内のキャッシュ・フローは、契約の履行に直接関連するキャッシュ・フロー(当社グループが金額又は時期に対する裁量を有しているキャッシュ・フローを含む)です。これには、保険契約者に対する(又は保険契約者のための)支払、保険獲得キャッシュ・フロー、保険契約を履行する際に発生するその他のコストが含まれます。
保険獲得キャッシュ・フローは、保険契約グループの販売、引受け及び開始の活動により生じるキャッシュ・フローのうち、当該グループが属する保険契約ポートフォリオに直接起因するものです。保険契約を履行する際に発生するその他のコストには保険金請求処理、維持及び管理のコストが含まれます。
保険獲得キャッシュ・フロー及び保険契約を履行する際に発生するその他のコストは、直接費と固定間接費及び変動間接費の配分額で構成されています。キャッシュ・フローは、保険獲得活動、他の履行活動及びその他の活動に起因するものに分類しています。保険獲得活動及び他の履行活動に起因するキャッシュ・フローは、規則的かつ合理的で、類似の特徴を有する全てのコストに首尾一貫して適用される方法を用いて保険契約グループに配分しています。その他のコストは発生時に純損益に認識しています。
4) PAAの適用
当初認識時に保険契約グループ内の各契約のカバー期間が1年以内である場合、又はPAAを適用して単純化された残存カバーに係る負債の測定が、一般測定モデルを適用した場合の測定と重要性がある差異がないと合理的に予想している場合、PAAを適用して測定しています。
当初認識時の残存カバーに係る負債の帳簿価額は、受取保険料からその他の関連する金額を控除して測定しており、貨幣の時間価値及び金融リスクの影響を反映するような調整はしていません。
当社グループは、保険契約グループ内の各契約のカバー期間が1年以内である場合、保険獲得キャッシュ・フローを発生時に費用処理しています。
カバー期間中のいずれかの時点で、保険契約グループが不利であることを示唆する事実及び状況が生じた場合、残存カバーに係る履行キャッシュ・フローの現在の見積りが残存カバーに係る負債の帳簿価額を上回る範囲で損失を純損益で認識し、残存カバーに係る負債を増額しています。
当社グループは、保険契約グループの発生保険金に係る負債について、発生保険金に関連する履行キャッシュ・フローの金額で認識しています。当該将来キャッシュ・フローは、保険金請求の発生日から1年以内に支払われる見込みがない場合、(現在の割引率で)割引計算をしています。
5) 表示
i) 保険収益
(a) PAAを適用せずに測定している契約
当社グループは、投資要素を除く保険収益を、履行義務が充足するにつれて(すなわち、保険契約に基づいてサービスを提供するにつれて)、認識しています。
各期間において提供したサービスに係る保険収益は、当社グループが対価を受け取ることを見込むサービスに関連する残存カバーに係る負債の変動の合計を表し、以下の項目で構成されています。なお、保険料のうち保険獲得キャッシュ・フローの回収に関連する部分を、時の経過に基づいて規則的な方法で各期間に配分しています。
– 提供したカバー単位を基に測定したCSMの解放
– 現在のサービスに関連する、非金融リスクに係るリスク調整の変動
– 当連結会計年度に生じた保険金請求及びその他の保険サービス費用(当期首に見込んでいた金額で測定)
– 保険グループに対する現在又は過去のサービスについて受け取った保険料の実績調整
(b) PAAを適用して測定する契約
PAAを適用して測定する契約の場合、各期間の保険収益は、当該期間におけるサービス提供の対価として受領することが見込まれる保険料の金額です。当社グループは、主に時間の経過に基づき、予想保険料受取額を各期間に配分しています。
ⅱ) 保険サービス費用
保険契約から生じる保険サービス費用は、通常、発生時に純損益に認識しています。これらの費用は投資要素の返済を除外し、以下の項目から構成されています。
・発生保険金及びその他の保険サービス費用
・保険獲得キャッシュ・フローの償却(上記の保険収益の中で反映された保険獲得キャッシュ・フローの回収と同等の金額が保険サービス費用にも反映されます。)
・発生保険金に係る調整
・不利な契約に係る損失及び損失の戻入れ
ⅲ) 損失要素
当社グループは、不利な保険契約グループの残存カバーに係る負債の損失要素を設定しています。履行キャッシュ・フローの事後的な変動は、この損失要素と、損失要素を除く残存カバーに係る負債とに規則的な方法で配分され、損失要素に配分された変動は、保険サービス費用のマイナスとして純損益に表示され、保険収益から除外されます。
ⅳ) 保険金融収益又は費用
保険金融収益又は費用は、貨幣の時間価値及び金融リスク並びにこれらの変動の影響から生じた、保険契約グループの帳簿価額の変動で構成されています。当社グループは保険金融収益及び費用を純損益とその他の包括利益とに分解することを選択しています。純損益に含める金額は、見込まれる保険金融収益又は費用の合計額を保険契約グループの存続期間にわたり規則的に配分することによって算定しています。この規則的な配分により、保険契約グループの存続期間にわたりその他の包括利益に認識される合計金額はゼロとなります。なお、いずれの時点においてもその他の包括利益に認識される累計金額は、保険契約グループの帳簿価額と規則的配分により測定された当該グループの金額との差額です。
6) 経過措置
当社グループは、損害保険事業にて発行した保険契約グループについては完全遡及アプローチを適用し、IFRS第17号が過去から適用されていたかのように識別し、認識し測定しています。
生命保険事業にて発行した保険契約グループについては完全遡及アプローチを2021年1月1日から2021年12月31日の新規契約分に適用し、2020年12月31日までの期間においては、修正遡及アプローチを適用し移行日(2022年1月1日)現在の契約グループの識別、認識及び測定しています。2020年12月31日までに発生した新規契約分については、必要な情報が収集されず(又は十分な粒度で収集されず)、システム移行、データ保持要件又はその他の理由で入手できなかったこと及び過年度における当社グループの経営者の意図についての仮定又は事後的判断を用いずに重要な会計上の見積りを行う事が不可能であるため、保険契約への完全遡及アプローチの適用は実務上不可能とみなしました。
修正遡及アプローチの目的は、過大なコストや労力を掛けずに利用可能な合理的で裏付け可能な情報を用いて、可能な限り遡及適用に最も近い結果を得ることにあります。当社グループは、IFRS第17号を遡及適用するための合理的かつ裏付けのある情報を有していない範囲でのみ、修正を行っています。
当社グループは、一部の契約グループに対して以下の修正を行っています。
– 2020年12月31日までの間に発行、開始又は取得した契約グループの場合、当初認識時の将来キャッシュ・フローは、移行日以前に発生したことが判明しているキャッシュ・フローを修正することによって見積っています。
– 一部の契約グループの当初認識時の非金融リスクに係るリスク調整は、移行日現在の金額を移行日以前の予想されるリスクの解放額で修正することによって算定しています。予想されるリスクの解放額は、当社グループが移行日に発行した類似の契約についてのリスクの解放を参照することによって算定しています。
– 移行日以前に純損益で認識したCSMの金額は、当初認識時のカバー単位と移行日現在の残存カバー単位とを比較することによって算定しています。
当社グループは、IFRS第17号の経過措置を適用しており、IFRS第17号の適用による各財務諸表項目及び1株当たり利益への影響を開示していません。IFRS第17号の適用による2022年1月1日現在の連結財務諸表への影響は、連結持分変動計算書に表示しています。
当社グループは、当連結会計年度より「国際的な税制改革-第2の柱モデルルール」(IAS第12号「法人所得税」の改訂)を適用しています。本改訂は、OECDによるBEPSの第2の柱GloBE(グローバル・ミニマム課税)ルールを導入するために制定された又は実質的に制定された税法から生じる法人所得税にIAS第12号が適用されることを明確化しました。しかし、企業に対し、グローバル・ミニマム課税ルールから生じる法人所得税に関する繰延税金資産及び負債を認識及び開示しないことを要求する一時的な例外措置を定めています。当社グループは、IAS第12号で定められる例外措置を適用し、グローバル・ミニマム課税ルールから生じる法人所得税に関する繰延税金資産及び負債について認識及び開示を行っていません。
第2の柱モデルルールは、当社グループが営業活動を行っている一定の法域にて制定されています。本法律は、2024年1月1日以降に開始する当社グループの会計年度に適用されます。当社グループは、第2の柱モデルルールが制定された又実質的に制定されている法律の範囲内にあるため、第2の柱の法人所得税に対する潜在的影響を評価しました。
当該評価は、当社グループの構成企業の直近の税務申告や国別報告に基づいています。当該評価では、当社グループが営業活動を行っている法域のほとんどで第2の柱の実効税率は15%を上回っており、15%を下回っている法域についても税率及び所得見込額に基づいて判断した結果、法人所得税への重要性のある影響は想定していません。
当連結会計年度において、表示の明瞭性を高める観点から、連結包括利益計算書において表示方法の変更を行っています。
表示方法の変更内容及び当該変更を反映させるため連結財務諸表の組替を行った結果による連結包括利益計算書における影響は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当連結会計年度において、表示の明瞭性を高める観点から、連結持分変動計算書において、以下の表示方法の変更を行っています。
「その他の資本の構成要素」の内訳項目の表示を省略し、「その他の資本の構成要素」として総額で表示しています。「所有者との取引額等合計」の内訳として記載していた、「所有者による拠出及び所有者への分配合計」及び「子会社に対する所有持分の変動額合計」の記載は省略しています。
「ストック・オプション行使に伴う新株の発行」及び「ストック・オプション行使に伴う自己株式の処分」を集約して、「新株予約権の行使」として表示しています。
「新株予約権の発行」及び「新株予約権の失効」を集約して、「株式報酬費用」として表示しています。
「子会社に対する所有持分の変動額」の内訳項目として表示していた「新株の発行」、「支配継続子会社に対する持分変動」及び「非支配持分の取得及び処分」を集約して、「非支配株主との資本取引」として表示しています。
「所有者による拠出及び所有者への分配」及び「子会社に対する所有持分の変動額」の内訳項目として各々表示していた「その他」を集約して、「所有者との取引額等」の内訳項目の「その他」として表示しています。
この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結財務諸表の組替を行っています。この結果による、前連結会計年度の連結持分変動計算書の影響は以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
前連結会計年度において、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に含めていた「非支配持分からの払込による収入」及び「利息の支払額」は、金額的重要性が増したため、当連結会計年度より独立掲記しています。この表示方法の変更を反映させるため、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書の組替を行っています。この結果、前連結会計年度の連結キャッシュ・フロー計算書において、「財務活動によるキャッシュ・フロー」の「その他」に表示していた△12,457百万円は、「非支配持分からの払込による収入」3,361百万円、「利息の支払額」△23,334百万円、「その他」7,518百万円として組み替えています。なお、IFRS第17号の適用により、「利息の支払額」が2百万円減少しています。
3. 重要な会計上の見積り及び判断
(1) 重要な会計上の見積り及び仮定
当社グループは、IFRSに準拠した連結財務諸表の作成において、会計方針の適用並びに資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす判断、会計上の見積り及び仮定を用いています。これらの見積り及び仮定は、過去の経験及び利用可能な情報を収集し、決算日において合理的であると考えられる様々な要因等を勘案した経営者の最善の判断に基づいています。しかしながら、その性質上、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
見積り及びその基礎となる仮定は継続して見直しています。これらの見積りの見直しによる影響は、当該見積りを見直した期間及び将来の期間において認識しています。
1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
注記17. 有形固定資産及び注記18. 無形資産をご参照ください。
2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
a) 見積りの算出方法
注記2. 重要性がある会計方針 (10) 非金融資産の減損をご参照ください。
b) 金額の算出に用いた主要な仮定
注記17. 有形固定資産及び注記18. 無形資産をご参照ください。
c) 翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
当該判断及び仮定の前提とした状況が変化すれば、回収可能価額の算定結果が著しく異なる結果となる可能性があります。
1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
注記32. 繰延税金及び法人所得税費用をご参照ください。
2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
a) 見積りの算出方法
注記2. 重要性がある会計方針 (19) 法人所得税をご参照ください。
b) 金額の算出に用いた主要な仮定
注記32. 繰延税金及び法人所得税費用をご参照ください。
c) 翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
当該判断及び仮定の前提とした状況の変化や将来の税法の改正等により、繰延税金資産や繰延税金負債の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。
1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
注記48. 金融商品の公正価値をご参照ください。
2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
a) 見積りの算出方法
当社グループが保有するデリバティブを含む公正価値で測定する金融資産及び金融負債は、同一の資産又は負債について、活発な市場における公表価格、当該資産又は負債について直接に又は間接に観察可能な前述の公表価格以外のインプットを使用して算定された公正価値、もしくは観察不能なインプットを含む評価技法によって算定された公正価値を用いて評価しています。
b) 金額の算出に用いた主要な仮定
観察不能なインプットを含む評価技法によって算定される公正価値は、適切な基礎率、仮定及び採用する計算モデルの選択等、当社グループの経営者による判断及び仮定を前提としています。
c) 翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
当該判断及び仮定の前提とした状況の変化等により、金融商品の公正価値の算定に重要な影響を及ぼす可能性があります。
1) 当連結会計年度の連結財務諸表に計上した金額
注記15. 貸倒引当金及び注記50. 財務リスク管理をご参照ください。
2) 識別した項目に係る重要な会計上の見積りの内容に関する情報
a) 見積りの算出方法
当社グループは、償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品にかかる予想信用損失は、契約に従って受け取る契約上の将来キャッシュ・フローと、受け取ると見込んでいる将来キャッシュ・フローとの差額の現在価値について認識しています。
b) 金額の算出に用いた主要な仮定
将来キャッシュ・フローの見積りに際しては、債務不履行の可能性、発生損失額に関する過去の傾向、合理的に予想される将来の事象等を考慮しています。
c) 翌連結会計年度の連結財務諸表に与える影響
当該判断及び仮定の前提とした状況が変化すれば、償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の減損損失の金額が著しく異なる可能性があります。
(2) 会社の会計方針を適用する際の重要な判断
当社グループの会計方針を適用する過程において、当社グループの経営者は、連結財務諸表で認識される金額に重要な影響を与えるような判断を行っています。
当社グループは、主として銀行事業やカード事業において支配の決定に際して、議決権又は類似の権利が支配の決定的な要因とならないように設計された事業体(以下「組成された事業体」)への関与を有しており、当社グループの経営者は、当該事業体を支配しているかどうかの判断を行っています。判断においては、組成された事業体への関与に関する全ての関連性のある事実と状況を考慮し、決定を行っています。
4. セグメント情報
(1) 一般情報
当社グループは、インターネットサービス、フィンテック及びモバイルという3つの事業を基軸としたグローバル イノベーション カンパニーであることから、「インターネットサービス」、「フィンテック」及び「モバイル」の3つを報告セグメントとしています。
これらのセグメントは、当社グループの構成単位のうち分離された財務情報が入手可能であり、取締役会が経営資源の配分の決定及び業績を評価するために、定期的に検討を行う対象となっています。
「インターネットサービス」セグメントは、インターネット・ショッピングモール『楽天市場』をはじめとする各種ECサイト、オンライン・キャッシュバック・サイト、旅行予約サイト、ポータルサイト、デジタルコンテンツサイト等の運営、メッセージングサービスの提供や、これらのサイトにおける広告等の販売、プロスポーツの運営等を行う事業により構成されています。
「フィンテック」セグメントは、クレジットカード関連サービス、インターネットを介した銀行及び証券サービス、暗号資産(仮想通貨)の媒介、生命保険サービス、損害保険サービス、電子マネーサービスの提供等を行う事業により構成されています。
「モバイル」セグメントは、通信サービス及び通信技術の提供並びに電力供給サービスの運営等を行う事業により構成されています。
なお、第1四半期連結会計期間より、従前モバイルセグメントに含まれていたメディア&エンターテインメント部門に属する子会社及び事業について、楽天エコシステムの拡大、シナジー効果を高めること等を目的に、インターネットサービスセグメントに移管しています。この変更により、前連結会計年度のインターネットサービスセグメント及びモバイルセグメントに係る売上収益及びセグメント損益を修正再表示しています。
また、注記2.重要性がある会計方針に記載のとおり、第1四半期連結会計期間の期首よりIFRS第17号を適用し、基準移行日である前連結会計年度期首時点に基準変更による累積的影響額を反映しています。これにより、前連結会計年度のフィンテックセグメントに係る数値を修正再表示しています。
(2) 事業セグメントの売上収益と損益の測定に関する事項
報告されている事業セグメントの会計処理の方法はIFRSに基づいており、事業セグメントの売上収益及び損益は一部の連結子会社を除き連結修正を考慮していない内部取引消去前の金額です。経営者が意思決定する際に使用する社内指標は、IFRSに基づく営業利益に当社グループが定める非経常的な項目やその他の調整項目を調整したNon-GAAP営業利益ベースです。
経営者は、Non-GAAP指標を開示することで、ステークホルダーにとって同業他社比較や過年度比較が容易になり、当社グループの恒常的な経営成績や将来見通しを理解する上で有益な情報を提供できると判断しています。なお、非経常的な項目とは、一定のルールに基づき将来見通し作成の観点から除外すべきと当社グループが判断する一過性の利益や損失のことです。その他の調整項目とは、適用する基準等により差異が生じ易く企業間の比較可能性が低い、株式報酬費用や子会社取得時に認識した無形資産償却費等のことです。
また、当社グループは、最高経営意思決定者が使用する事業セグメントへ、資産及び負債を配分していません。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 第1四半期連結会計期間より、従前モバイルセグメントに含まれていたメディア&エンターテインメント部門に属する子会社及び事業をインターネットサービスセグメントに移管しています。この変更により、前連結会計年度のインターネットサービスセグメントに係る売上収益は17,935百万円増加、セグメント利益は13,573百万円減少し、モバイルセグメントに係る売上収益及びセグメント損失は同額減少しています。
セグメントに係る売上収益から連結上の売上収益への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
セグメント損益から税引前当期損失(△)への調整は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 前連結会計年度に計上された非経常的な項目には、楽天ポイントの規約等の変更によるポイント引当金の増加に伴う費用、子会社の元従業員及び取引先の共謀による不正行為に関連する費用の見積額が含まれています(なお、後者は連結損益計算書においてその他の費用に含まれています)。また、当連結会計年度に計上された非経常的な項目には、ネットスーパー事業の運営方法の変更に伴う固定資産の減損損失15,922百万円、モバイル事業におけるローミング契約の見直しに基づき設備投資計画を変更したことに伴い一時的に発生した基地局工事等のキャンセルに係る費用等13,598百万円、株式会社西友ホールディングスの全株式を譲渡したことに伴い発生した売却損益、前連結会計年度に発覚した子会社の元従業員及び取引先の共謀による不正行為に係る弁護士費用等、外部の専門家に対する報酬等が含まれています。
(3) 製品及びサービスに関する情報
当社グループの主要な製品及びサービスから生じる外部顧客に対する売上収益は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
(5) 主要な顧客に関する情報
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
特定の外部顧客に対する売上収益が、連結損益計算書の売上収益の10%に満たないため、記載を省略しています。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
特定の外部顧客に対する売上収益が、連結損益計算書の売上収益の10%に満たないため、記載を省略しています。
5. 現金及び現金同等物
現金及び現金同等物の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 当社グループの連結キャッシュ・フロー計算書における資金(現金及び現金同等物)は、手許現金、随時引き出し可能な預金及び容易に換金可能であり、かつ、価値の変動について僅少なリスクしか負わない、取得日から3ヶ月以内に償還期限の到来する短期投資からなっています。なお、短期投資については、銀行事業に関するものを含みません。
6. 売上債権
売上債権の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 売上債権は、主にインターネットサービス事業に関する売上から生じています。売上債権のうち、当社グループの事業モデルにおいて、契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有し、かつ、当該キャッシュ・フローが契約条件による特定の日の元本等の受取に限られる売上債権を、償却原価で測定する売上債権として分類しています。
7. 証券事業の金融資産
証券事業の金融資産の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) トレーディング目的で保有する有価証券は、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産に含めています。
なお、トレーディング目的で保有するデリバティブ資産は「デリバティブ資産」に含めており、営業投資有価証券は「有価証券」に含めています。
8. カード事業の貸付金
カード事業の貸付金の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) カード事業の貸付金は、主に顧客のクレジットカード利用による割賦契約等に基づく売掛債権で構成されています。
カード事業の貸付金は、当社グループの事業モデルにおいて、契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有する金融資産であり、当該キャッシュ・フローは、契約条件による特定の日の元本及び元本残高に係る利息の受取に限られることから、償却原価で測定しています。
9. 銀行事業の有価証券
銀行事業の有価証券の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金は、前連結会計年度42百万円、当連結会計年度54百万円であり、その他の包括利益に含まれています。
銀行事業の有価証券のうち、契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有し、かつ、当該キャッシュ・フローが契約条件による特定の日の元本及び元本残高に係る利息の受取に限られる有価証券を、償却原価で測定する金融資産として分類しています。また、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方を目的として保有し、かつ、当該キャッシュ・フローが契約条件による特定の日の元本及び元本残高に係る利息の受取に限られる有価証券を、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品として分類しています。上記以外の有価証券を、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産として分類しています。ただし、資本性金融商品に対する投資について、公正価値の変動をその他の包括利益で認識するという選択(取消不能)を行ったものについては、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品として分類しています。
10. 銀行事業の貸付金
銀行事業の貸付金の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 銀行事業の貸付金は、主に個人向けのローン債権で構成されています。
銀行事業の貸付金は、当社グループの事業モデルにおいて、契約上のキャッシュ・フローを回収することを目的として保有する金融資産であり、当該キャッシュ・フローは、元本及び元本残高に係る利息の受取に限られることから、償却原価で測定しています。
11. 保険事業の有価証券
保険事業の有価証券の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金は、前連結会計年度44百万円、当連結会計年度99百万円であり、その他の包括利益に含まれています。
保険事業の有価証券のうち、契約上のキャッシュ・フローの回収と売却の両方を目的として保有し、かつ、当該キャッシュ・フローが契約条件による特定の日の元本及び元本残高に係る利息の受取に限られる有価証券を、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品として分類しています。上記以外の有価証券を、純損益を通じて公正価値で測定する金融資産として分類しています。ただし、資本性金融商品に対する投資について、公正価値の変動をその他の包括利益で認識するという選択(取消不能)を行ったものについては、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品として分類しています。
12. デリバティブ資産及びデリバティブ負債、ヘッジ会計
ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブ及びヘッジ会計の要件を満たさないデリバティブの公正価値並びに想定元本は、以下のとおりです。
ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブ
(単位:百万円)
(単位:百万円)
ヘッジ会計の要件を満たさないデリバティブ
(単位:百万円)
(注) 過年度において、Lyft, Inc.の株式を使用したLyft, Inc.株式先渡契約に関連しキャップとフロアーの設定さているカラー取引を締結し、株価関連のオプション取引に想定元本196,229百万円(前連結会計年度は182,427百万円)、公正価値84,552百万円をデリバティブ資産(前連結会計年度は88,189百万円をデリバティブ資産)に計上しています。なお、Lyft, Inc.株式先渡売買契約によるデリバティブについては組込デリバティブとして分離して会計処理しています。本件取引の詳細は、注記28. その他の金融負債をご参照ください。
ヘッジ会計の適用状況については、以下のとおりです。
上場有価証券の公正価値変動リスク
当社グループは、当初認識時に公正価値の変動をその他の包括利益で認識することを選択した一部の上場有価証券の公正価値変動リスクを回避するために、先渡取引を締結して、公正価値ヘッジを適用しています。先渡取引に係る公正価値の変動についてもその他の包括利益で認識しています。これにより、ヘッジ対象の上場有価証券に係る公正価値の変動と、ヘッジ手段である先渡取引に係る公正価値の変動を相殺することが可能です。ヘッジ手段である先渡取引の公正価値については、ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブをご参照ください。
ヘッジ対象の上場有価証券とヘッジ手段である先渡取引については、銘柄ごとに同額で実施しているため、ヘッジ比率は1:1になります。当該ヘッジ関係は、2024年までに終了する見込みです。
ヘッジ対象については、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
為替変動リスク
当社グループは、為替の変動によるリスクを回避するために、金融機関との間で為替予約取引契約を締結して、公正価値ヘッジを適用しています。これにより、ヘッジ対象の為替に係る公正価値の変動と、ヘッジ手段である為替予約に係る公正価値の変動を相殺することが可能です。ヘッジ手段である為替予約の公正価値は、ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブをご参照ください。
ヘッジ対象の外貨建有価証券と、ヘッジ手段である為替予約については、同額で実施しているため、ヘッジ比率は1:1になります。当該ヘッジ関係は、2024年までに終了する見込みです。
ヘッジ対象については、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
(2) キャッシュ・フロー・ヘッジ
金利変動リスク
当社グループは、変動金利借入金の利払いに係るキャッシュ・フローの変動によるリスクを回避するために、金融機関との間で固定金利支払・変動金利受取の金利スワップ契約を締結して、キャッシュ・フロー・ヘッジを適用しています。これにより、借入金の変動金利による利払いのキャッシュ・フローの変動を固定することが可能です。ヘッジ手段である金利スワップの公正価値は、ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブをご参照ください。
ヘッジ対象の変動金利借入金とヘッジ手段である金利スワップについては、同額で実施しているため、ヘッジ比率は1:1になります。当該ヘッジ関係は、2028年までに終了する見込みです。
その他の包括利益で認識される金額の増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 純損益に振替えられた金額は、連結損益計算書上「営業費用」に含まれています。
為替変動リスク
当社グループは、為替の変動によるキャッシュ・フロー変動リスクを回避するために、金融機関との間で為替予約取引契約及び通貨スワップ契約を締結して、キャッシュ・フロー・ヘッジを適用しています。これにより、為替の変動によるキャッシュ・フローの変動を固定することが可能です。ヘッジ手段を指定する際は、通貨スワップの通貨ベーシス・スプレッドをヘッジコストとして除外しています。ヘッジ手段である為替予約及び通貨スワップの公正価値は、ヘッジ会計の要件を満たすデリバティブをご参照ください。
ヘッジ対象の外貨建金銭債権又は外貨建金銭債務と、ヘッジ手段である為替予約及び通貨スワップについては、同額で実施しているため、ヘッジ比率は1:1になります。当該ヘッジ関係は、2026年までに終了する見込みです。
その他の包括利益に認識される金額の増減は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 純損益に振替えられた金額は、連結損益計算書上「売上収益」、「営業費用」、「その他の費用」及び「金融費用」に含まれています。
13. 有価証券
有価証券の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
14. その他の金融資産
その他の金融資産の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
15. 貸倒引当金
償却原価で測定する金融資産及びその他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の種類ごとの貸倒引当金の増減は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 上表には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金が含まれています。当該貸倒引当金については、純損益で認識しその他の包括利益の損失額を減額しています。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 上表には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金が含まれています。当該貸倒引当金については、純損益で認識しその他の包括利益の損失額を減額しています。
16. 持分法で会計処理されている投資
当社グループは、関連会社に対する投資を、一部を除き持分法によって会計処理しています。
また、持分法を適用しているRakuten Medical, Inc.に対する投資について、第2四半期連結会計期間において6,498百万円の減損損失を計上しています。当該減損損失は、連結損益計算書の「持分法による投資損失(△)」に計上しています。
①重要性のある関連会社の要約連結財務情報
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
株式会社西友ホールディングス
1) 一般的情報
株式会社西友ホールディングス(所在地:東京都北区(当時))は、株式会社西友等の持株会社です。
2) 要約連結財務情報
2021年3月1日より持分法で会計処理されていた、株式会社西友ホールディングスの要約連結財務情報は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(注) 前連結会計年度において、株式会社西友ホールディングスから受け取った配当金はありません。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
第2四半期連結会計期間において、株式会社西友ホールディングスの全株式を譲渡したことに伴い、持分法適用の範囲から除外しています。そのため、個々に重要性のある関連会社に対する投資はありません。
②重要性のない関連会社に対する投資
持分法で会計処理されている、個々に重要性のない関連会社に対する投資の帳簿価額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
持分法で会計処理されている、個々に重要性のない関連会社に関する財務情報は、以下のとおりです。なお、これらの金額は、当社グループの持分比率勘案後のものです。
(単位:百万円)
(2) 共同支配企業に対する投資
当社グループは、一部の会社に対する投資において、他の契約当事者との間で、そのリターンに重要な影響を及ぼす活動に係る意思決定について、契約当事者の一致した合意を必要とする契約上の取り決めを行っています。また、当社グループは、他の契約当事者と共同で支配しており純資産に対する権利を有していることから、共同支配企業とし、当該投資を持分法によって会計処理しています。
個々に重要性のない共同支配企業に対する投資の帳簿価額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
個々に重要性のない共同支配企業に関する財務情報は、以下のとおりです。なお、これらの金額は、当社グループの持分比率勘案後のものです。
(単位:百万円)
17. 有形固定資産
(1) 有形固定資産の増減明細
(単位:百万円)
(注) 建設仮勘定の増加には、新規取得による増加額のほか、各固定資産科目への振替額(△)が含まれています。
連結損益計算書上、減価償却費は「営業費用」、減損損失は「その他の費用」に計上しています。
(2) 有形固定資産の減損
当社グループは、有形固定資産について、四半期ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額を見積っています。
当社グループは原則として、個別の資産について回収可能価額を見積っていますが、個別の資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額の見積りを行っています。なお、資金生成単位とは、他の資産又は資産グループからのキャッシュ・イン・フローとは概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成させるものとして識別される、資産グループの最小単位となっており、当社グループは原則として各社を資金生成単位としています。将来の活用が見込まれていない遊休資産は、個別の資産を資金生成単位としています。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
インターネットサービスセグメントにおいて538百万円、フィンテックセグメントにおいて4百万円、モバイルセグメントにおいて3,473百万円、有形固定資産の減損損失を計上しています。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
インターネットサービスセグメントにおいて15,579百万円、モバイルセグメントにおいて6,568百万円、有形固定資産の減損損失を計上しています。
インターネットサービスセグメントにおける減損損失のうち15,542百万円は、ネットスーパー事業の運営方法の変更により減損の兆候が認識され、減損テストを実施した結果、回収可能価額が帳簿価額を下回る見込みとなったため認識されたものです。回収可能価額は関連する資金生成単位の使用価値に基づき、無形資産を含めて75,924百万円と評価しています。当該資金生成単位は、ネットスーパー事業の保有する資産を主として構成されています。当該資金生成単位の使用価値の算定に当たり、キャッシュ・イン・フローを割引率1.92%~8.21%(税引前)で割り引いています。
18. 無形資産
(1) 無形資産の増減明細
(単位:百万円)
(注) ソフトウエアは、主に自己創設ソフトウエアです。
連結損益計算書上、償却費は「営業費用」、減損損失は「その他の費用」に計上しています。
費用として認識した研究開発費は、前連結会計年度は14,156百万円、当連結会計年度は14,312百万円です。
(2) のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損
各資金生成単位あるいは資金生成単位グループののれん及び耐用年数を確定できない無形資産の残高は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 耐用年数を確定できない無形資産は、主に特定基地局開設料です。
特定基地局開設料は、周波数の割当てを受けるために当社グループが負担した金額であり、その効果は基地局を維持・運営する限り継続するため、耐用年数を確定できない無形資産と判断しています。
のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損損失は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
当社グループでは、のれんは、減損の兆候の有無に関わらず、年に1度減損テストを実施しています。耐用年数を確定できない無形資産においても償却せず、年に1度減損テストを実施しています。のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テスト実施時期は、関連する事業計画の策定時期を勘案して個別に決定しています。また、四半期ごとに減損の兆候の有無を確認し、減損の兆候がある場合は減損テストを実施しています。
減損テストにおいて、原則として各社を資金生成単位としています。なお、資金生成単位とは、他の資産又は資産グループからのキャッシュ・イン・フローとは概ね独立したキャッシュ・イン・フローを生成させるものとして識別される、資産グループの最小単位となっています。企業結合のシナジーから便益を得ることが見込まれる資金生成単位あるいは資金生成単位グループに対して、のれんを配分しています。
その結果、インターネットサービスセグメント及びモバイルセグメントでは、各社間におけるシナジーから便益を得ることが見込まれており、それを考慮してのれんを内部管理目的でモニタリングしていることから、資金生成単位グループで減損テストを実施しています。一方、フィンテックセグメントでは、各社特有の事業環境があること等を考慮して、原則として各社を資金生成単位として減損テストを実施しています。
のれんを配分した資金生成単位あるいは資金生成単位グループの回収可能価額は、使用価値と処分費用控除後の公正価値のうち、いずれか高い金額としています。当連結会計年度において、のれんを配分した資金生成単位あるいは資金生成単位グループの回収可能価額は、使用価値の算定に基づいて決定しています。
使用価値の算定に当たっては、各資金生成単位あるいは資金生成単位グループにおいて経営者によって承認された事業計画に基づき、主に3~5年間の税引前キャッシュ・フロー予測等を使用しています。この事業計画は、インターネットサービスセグメントでは主に流通総額等、フィンテックセグメントでは、口座数・会員数等、モバイルセグメントでは、ARPU(Average Revenue Per User:顧客一人当たりの平均売上高)・新規契約者数・解約率等を用いて策定しています。事業計画が対象としている期間を超える期間については、継続価値を算定しています。
継続価値の算定には、各資金生成単位あるいは資金生成単位グループの予測成長率を使用しています。また、使用価値の算出に用いた税引前の割引率は、資金生成単位ごとあるいは資金生成単位グループごとに算定しています。
各資金生成単位における事業計画が対象としている期間を超える期間のキャッシュ・フローを予測するために用いられた成長率は、資金生成単位の属する国、産業の状況を勘案して決定した成長率を用いており、資金生成単位が活動する産業の長期平均成長率を超えていません。継続価値の算定に使用した割引率は税引前の数値であり、関連する各資金生成単位事業あるいは資金生成単位グループ特有のリスクを反映しています。割引率は各資金生成単位あるいは資金生成単位グループの類似企業を基に、市場利子率、資金生成単位となる子会社の規模等を勘案して決定しています。
また、当社グループは、のれん及び耐用年数を確定できない無形資産の減損テストにおける、回収可能価額の測定の基礎となる事業計画について、各資金生成単位において過去の実績と比較し、当該事業計画が将来のキャッシュ・フロー予測の基礎的な仮定として合理的かどうかを検討しています。
前連結会計年度末日及び当連結会計年度末日において、回収可能価額の算定に利用している重要な仮定は、以下のとおりです。以下の予測値は、各資金生成単位あるいは資金生成単位グループを分析する際に使用しているものです。
(注) モバイルセグメントの割引率には、立ち上げ間もない「楽天シンフォニー」事業の業容拡大を計画していることを織り込んでいます。
感応度分析
当社グループがのれん及び耐用年数を確定できない無形資産を配分した各資金生成単位及び資金生成単位グループにおいては、回収可能価額が帳簿価額を大幅に上回っており、減損テストに用いた主要な仮定が合理的に予測可能な範囲で変化したとしても、当該資金生成単位及び資金生成単位グループにおいて、重要な減損が発生する可能性は低いと判断しています。
(3) 無形資産(のれん及び耐用年数を確定できない無形資産除く)の減損
当社グループは、無形資産(のれん及び耐用年数を確定できない無形資産除く)について、四半期ごとに減損の兆候の有無を判断しています。減損の兆候が存在する場合には、当該資産の回収可能価額を見積っています。
当社グループは原則として、個別の資産について回収可能価額を見積っていますが、個別の資産についての回収可能価額の見積りが不可能な場合には、当該資産が属する資金生成単位の回収可能価額の見積りを行っています。将来の活用が見込まれていない遊休資産は、個別の資産を資金生成単位としています。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
インターネットサービスセグメントにおいて1,256百万円、フィンテックセグメントにおいて792百万円、モバイルセグメントにおいて4,826百万円、無形資産(のれん及び耐用年数を確定できない無形資産除く)の減損損失を計上しています。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
インターネットサービスセグメントにおいて2,611百万円、フィンテックセグメントにおいて394百万円、モバイルセグメントにおいて5,487百万円、無形資産(のれん及び耐用年数を確定できない無形資産除く)の減損損失を計上しています。
19. リース会計
当社グループは、借手として主にオフィス、倉庫、データセンター及び通信設備をリースしています。
当社グループにおける借手としてのリースに関する情報は、以下のとおりです。
(1) 連結財政状態計算書で認識された金額
(単位:百万円)
(注) 1 オフィス、倉庫、データセンター及び通信設備は、主に建物及び建物附属設備です。
2 リース負債は、連結財政状態計算書上「その他の金融負債」に含まれています。
(2) 連結損益計算書で認識された金額
(単位:百万円)
(注) 1 使用権資産に係る減価償却費は、連結損益計算書上「営業費用」に含まれています。
2 リース負債に係る金利費用は、連結損益計算書上「金融費用」に含まれています。
(3) リースに係るキャッシュ・フロー
(単位:百万円)
(4) 延長オプション及び解約オプション
一部のリース契約には、当社グループが行使可能な延長オプション及び解約オプションが付されているものがあり、事業の必要性に応じてそれらを行使する可能性があります。当社グループは、延長オプションを行使すること、又は解約オプションを行使しないことが合理的に確実かどうかをリース開始日に評価します。リース期間はリースの取引内容ごとに合理的に確実な契約期間を前提に決定されているため、その中には延長オプションを行使すること、又は解約オプションを行使しないことを見越しているものが含まれます。
主な延長オプション、解約オプションは、以下のとおりです。
・オフィス契約:自動延長オプション(定期賃貸借契約を除く)
・一部の倉庫契約:賃貸借開始日から9年経過時点までの申し入れにより、10年経過時点をもって解約可能
(5) 契約しているがまだ開始していないリース
前連結会計年度末において、該当事項はありません。
当連結会計年度末において契約を締結しているものの、まだ開始していないリースにより潜在的に晒されている将来キャッシュ・アウト・フローの金額は、682百万円です。
20. 仕入債務
仕入債務の内訳は、以下のとおりです。
(注) 仕入債務は、償却原価で測定する金融負債に分類しています。
21. 銀行事業の預金
銀行事業の預金の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
22. 証券事業の金融負債
証券事業の金融負債の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 証券事業の金融負債は、償却原価で測定しています。
トレーディング目的で保有するデリバティブ負債は、「デリバティブ負債」に含めています。
23. 社債及び借入金
社債の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 社債は、全て償却原価で測定しています。
「利率」欄には、それぞれの社債において前連結会計年度又は当連結会計年度で適用されている表面利率を記載しており、実効金利とは異なります。
当連結会計年度において、当社のドル建無担保社債450百万米ドル(利率10.25%、償還期限2024年11月30日)及び第22回無担保社債250,000百万円(利率3.30%、償還期限2025年2月10日)を発行しています。また、当社の第5回無担保社債10,000百万円(利率0.25%、償還期限2023年6月23日)及び第1回公募劣後特約付社債68,000百万円(利率2.35%、期限前償還日2023年12月13日)を償還しています。
借入金の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 借入金は、全て償却原価で測定しています。
借入金の満期及び利率の内訳は、以下のとおりです。
(注) 短期借入金及びコマーシャル・ペーパーについては、満期が1年以内であるため満期の記載を省略しています。
「利率」欄には、それぞれの借入金において適用されている表面利率を記載しており、実効金利とは異なります。
24. 証券事業の借入金
証券事業の借入金の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 借入金は、全て償却原価で測定しています。
借入金の満期及び利率の内訳は、以下のとおりです。
(注) 短期借入金については、満期が1年以内であるため満期の記載を省略しています。
「利率」欄には、それぞれの借入金において適用されている表面利率を記載しており、実効金利とは異なります。
25. カード事業の社債及び借入金
カード事業の社債の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 社債は、全て償却原価で測定しています。
「利率」欄には、それぞれの社債において前連結会計年度又は当連結会計年度で適用されている表面利率を記載しており、実効金利とは異なります。
カード事業の借入金の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 借入金は、全て償却原価で測定しています。
借入金の満期及び利率の内訳は、以下のとおりです。
(注) 短期借入金及びコマーシャル・ペーパーについては、満期が1年以内であるため満期の記載を省略しています。「利率」欄には、それぞれの借入金において適用されている表面利率を記載しており、実効金利とは異なります。
なお、固定金利借入金には、金利スワップ取引により変動金利を固定金利に交換するキャッシュ・フロー・ヘッジのヘッジ対象が含まれており、「利率」欄にはキャッシュ・フロー・ヘッジの影響を考慮した後の利率を開示しています。
26. 銀行事業の借入金
銀行事業の借入金の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 借入金は、全て償却原価で測定しています。
借入金の満期及び利率の内訳は、以下のとおりです。
(注) 短期借入金については、満期が1年以内であるため満期の記載を省略しています。
「利率」欄には、それぞれの借入金において適用されている表面利率を記載しており、実効金利とは異なります。
27. 財務活動から生じるキャッシュ・フローに係る負債の変動の調整表
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
28. その他の金融負債
その他の金融負債の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) Lyft, Inc.株式先渡売買契約
当社は2020年第3四半期連結会計期間において連結子会社であるLiberty Holdco Ltd.を通じて、当社が保有するLyft, Inc.の株式31,395,679株全てを活用した先渡売買契約につき、金融機関との間で基礎となる契約を締結しました。2020年第4四半期連結会計期間において当該取引を実行した結果、714百万米ドルの資金を調達しました。5年の契約期間満了時には、現金又はLyft, Inc.の株式で決済することをLiberty Holdco Ltd.が選択できます。当社はLyft, Inc.の株式をLiberty Holdco Ltd.に貸与し、これに関する預り金としてLiberty Holdco Ltd.から当該資金の差入れを受けています。なお、上記資金調達に加え、キャップとフロアーの設定されているカラー取引を締結し、Lyft, Inc.に対する株式投資の株価変動によるリスクの低減を行っています。
また、2021年第2四半期連結会計期間において、当初契約時からLyft, Inc.の株価が上昇したため、カラー契約より生じるデリバティブの公正価値変動リスクに備えるために、カラー契約の一部の想定元本に係るキャップとフロアーの上限及び下限の見直しを行い、契約上の条件変更を行っています。

上記一連の取引の結果、当連結会計年度において、Lyft, Inc.の株式を使用した資金調達に係る負債を償却原価で測定する負債として、その他の金融負債に155,069百万円(前連結会計年度は143,210百万円)、Lyft, Inc.の株式のカラー契約に係るデリバティブをデリバティブ資産に84,552百万円(前連結会計年度は88,189百万円)計上しています。
また、当連結会計年度において、金融収益にLyft, Inc.の株式の公正価値測定により生じた公正価値評価差額を21,011百万円(前連結会計年度は金融費用に109,341百万円)計上しています。金融費用には、Lyft, Inc.の株式のカラー契約に係るデリバティブの公正価値評価差額を3,636百万円(前連結会計年度は金融収益に99,949百万円)、Lyft, Inc.の株式を使用した資金調達に係る負債より生じた償却原価費用を1,024百万円(前連結会計年度は953百万円)及び為替による換算差額を10,835百万円(前連結会計年度は17,141百万円)計上しています。
29. 引当金
(1) 引当金増減明細
(単位:百万円)
(2) ポイント引当金
当社グループは、会員による当社グループ内での取引の促進を目的として楽天ポイント等のポイントプログラムを運営しており、楽天市場店舗での商品の購入、楽天トラベル等でのサービスの利用、楽天カードの利用、当社グループでの各種会員への登録、会員の紹介等に応じて会員へポイントを付与しています。会員は、当該ポイントを使って、無償もしくは割引価格により商品・サービスの提供を受けたり、他社ポイントプログラムへ移行することが可能です。会員へ付与されたポイントには有効期限があり、当該有効期限が到来すると、会員は当該ポイントを使用する権利を失うことになります。当社グループでは、会員による将来のポイントの使用に備え、過年度の使用実績等を考慮して、将来使用されると見込まれる金額をポイント引当金として負債計上しています。なお、当該ポイントの会員による使用には不確実性があります。
(3) その他の引当金
その他の引当金には、資産除去債務及び利息返還損失引当金等が含まれています。これらは通常の取引を起因とするものであり、個別にみて重要なものはありません。
30. 保険契約
(注) 保険契約資産は連結財政状態計算書における「その他の金融資産」に計上しています。
再保険契約資産及び再保険契約負債は金額的重要性が低いため記載していません。
残存カバー及び発生保険金別の分析は、連結損益計算書、連結包括利益計算書に認識した金額及びキャッシュ・フローにより、当期にフィンテックセグメントに含まれる『楽天損保』と『楽天生命』の保険契約の帳簿価額の純額の変動を示すものです。当社グループは残存カバーに係る負債の変動及び発生保険金に係る負債の変動を別個に分析し、これらの変動を連結損益計算書及び連結包括利益計算書に調整する表を表示しています。測定要素別の分析は、PAAを適用して測定しない契約に関する調整表を表し、将来キャッシュ・フローの現在価値の見積り、非金融リスクに係るリスク調整及びCSMの変動を別個に分析しています。
残存カバー及び発生保険金別の分析
(注) PAAを適用して測定される保険契約の非金融リスクに係るリスク調整及び将来キャッシュ・フローの現在価値の見積りは、金額的重要性が低いため発生保険金に係る負債に含めて表示しています。
測定要素別の分析 – PAAを適用して測定しない契約
(単位:百万円)
以下の表は、当期にPAAを適用して測定していない保険契約の当初認識から生じる測定要素に対する影響を要約したものです。
以下の表は、PAAを適用して測定しない保険契約について、当社グループが報告日以降に残存CSMを純損益に認識することを見込む時期を示したものです。
以下の表は、当社グループの損害保険サービスの保険金累計額の見積りが期間の経過とともにどのように推移したかを再保険控除前の金額で示したものです。各事故発生年度における当社グループの保険金合計の見積りが期間の経過とともにどのように推移したかを示し、その保険金累計額と連結財政状態計算書に含まれる金額との間の調整を行っています。なお、IFRS第17号適用開始年度の末日よりも5年以上前に発生したクレーム・ディベロップメントについては開示していません。
履行キャッシュ・フローは、以下で構成されています。
– 将来キャッシュ・フローの見積り
– 貨幣の時間価値及び将来キャッシュ・フローに係る金融リスク(当該金融リスクが将来キャッシュ・フローの見積りに反映されていない範囲で)を反映するための調整
– 非金融リスクに係るリスク調整
当社グループの将来キャッシュ・フローの見積りの目的は、生じうる全ての範囲の結果を反映する一定範囲のシナリオの期待値を算定することです。各シナリオから生じるキャッシュ・フローは、期待現在価値を算出するために、割り引いて当該結果の見積り確率で加重平均しています。
将来キャッシュ・フローの見積り
将来キャッシュ・フローを見積る際に、当社グループは報告日現在で過大なコストや労力を掛けずに利用可能な全ての合理的で裏付け可能な情報を偏りのない方法で織り込んでいます。この情報は保険金及びその他の実績に関する内部及び外部の過去データを含み、将来の事象についての現在の予想を反映するように更新されます。将来キャッシュ・フローの見積りは、関連する市場変数の見積りが観察可能な市場価格と整合的であることを条件として、報告日現在の状況に関する当社グループの見解を反映しています。
既経過期間は、報告日現在において既発生未払となっている保険金請求の最終損害額、残存物の価値及びその他予想される回収額について、既報告の個々の保険金請求を調査すること並びに既発生未報告の保険金請求に関する引当をすることにより見積っています。保険金請求の最終損害額は、チェインラダー法、ボーンヒュッター・ファーガソン法を用いることにより見積られています。これらの技法は、当社グループ自身の保険金支払実績が将来の保険金のディベロップメント・パターン、ひいては最終損害額を示すものと仮定しています。保険金請求の最終損害額は各保険種目別等で見積っています。使用している仮定(事故頻度等)は、その予測の基礎としている過去のクレーム・ディベロップメントのデータから推計していますが、将来において過去の傾向が適用できない程度及び新たな将来の傾向が出現する程度について判断を適用しています。未経過期間は、報告日現在において未発生未払となっている将来キャッシュ・フローを見積る際に用いる損害率等の仮定について、契約内容、将来キャッシュ・フローの特性等を考慮し、最近の実績値を含む過年度実績の情報を反映しています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において将来キャッシュ・フローの見積りに使用している損害率は、以下のとおりです。なお、各連結会計年度の重要性が高い保険契約グループに対する損害率の最大値及び最小値を記載しています。
将来キャッシュ・フローを見積る際に用いる保険事故発生率等及び保険契約者の行動に関する仮定は、商品の種類別に策定し、最近の実績及び保険契約グループ内の保険契約者の特性を反映しています。死亡率等の仮定は社内外の実績を定期的な調査を通じて観測しており、その調査の結果は新商品の料率設定と既存の保険契約の測定の両方に反映しています。
保険契約の裁量的なキャッシュ・フローの変動を識別する方法を決定するために、当社グループは原則として、契約に基づくコミットメントを当初認識時の履行キャッシュ・フローの見積りに内在するリターン(現在の金融リスクの仮定を反映するように更新)とみなしています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において将来キャッシュ・フローの見積りに使用している保険事故発生率の内、各連結会計年度における重要性が高いアサンプションは以下のとおりです。
将来キャッシュ・フローを見積る際に、当社グループは将来キャッシュ・フローに影響を与える可能性のある将来の事象についての現在の予想を考慮に入れています。ただし、既存の契約における現在の義務を変更又は免除するか、若しくは新たな義務を創出することとなる将来の法制の変更についての予想は、その法制の変更が実質的に制定されるまでは考慮に入れていません。
契約の境界線
契約の測定に含まれる将来のキャッシュ・フローを定義する契約の境界線の評価には、当社グループの契約上の実質的な権利及び義務に関する判断をしています。
楽天損保が発行する保険契約は、主に毎年更新型の1年契約であり、楽天生命が発行する保険契約の一部は、更新型の団体信用生命保険です。これらの契約の将来の更新に係るキャッシュ・フローは、契約の境界線外であると判断しています。これは、毎年請求される保険料が、予想するその年のリスクに対するエクスポージャーを反映しており、更新に伴って保険金請求実績及び各ポートフォリオの予想や前年度の保険収支等に基づき翌年度について再評価したリスクを反映するために、保険料の価格を改定できるためです。契約の更新は、新契約として処理され、認識の要件を満たす場合には、当初の契約とは別に認識されます。
割引率
楽天損保は、流動性のある無リスクのイールド・カーブを、市場で観察される率の基礎となる金融商品の流動性特性と保険契約の流動性特性との相違を反映するように調整することによって、割引率を決定しています。無リスクのイールド・カーブは、国債利回りを用いて算定しています。当該イールド・カーブは、長期の実質金利とインフレ予想を反映して算定していますが、市場データのない期間の補外については、UFR(終局フォワードレート)を用いて算定し、補間についてはスミス・ウィルソン法を用いて算定しています。保険契約の流動性特性を反映するために、European Insurance and Occupational Pensions Authority(以下「EIOPA」)が公表しているVolatility Adjustment(以下「VA」)を非流動性プレミアムとして調整しています。非流動性プレミアムは、資産から参照ポートフォリオを設定して算定しています。
楽天生命は、EIOPAが公表しているスワップレートを割引率として決定しています。また、EIOPAが公表しているVAを非流動性プレミアムとして調整しています。
以下の表は、保険契約のキャッシュ・フローを割り引く際に用いたイールド・カーブを示したものです。
非金融リスクに係るリスク調整
非金融リスクに係るリスク調整は、保険契約から生じる金融リスク以外のリスクに関するものです。金融リスクは、将来キャッシュ・フローの見積り又はキャッシュ・フローを調整するために使用する割引率に含められ、非金融リスクに係るリスク調整の対象となるリスクは、保険リスク及び他の非金融リスクです。
当社グループは、非金融リスクに係るリスク調整の変動を、保険サービス損益と保険金融収益又は費用とに分解していません。非金融リスクに係るリスク調整の変動全体は、保険サービス損益に含めています。
非金融リスクに係るリスク調整は、以下の手法により決定しています。
– 損害保険契約:信頼水準法
– 生命保険契約:信頼水準法
楽天損保、楽天生命は信頼水準法を適用する場合、目標信頼水準に基づいて非金融リスクに係るリスク調整を計算しています。楽天損保、楽天生命のそれぞれの目標信頼水準は65%、85%です。
カバー単位の決定
保険契約グループについての契約上のサービス・マージンの金額は、各期間に提供されたサービスを反映するために、個々の契約における給付の量とカバーの予想存続期間を考慮して決定したカバー単位の数に基づいて、各期間の純損益に認識しています。給付の量としては既経過保険料等や保険金額等を用いています。カバー単位は、各報告日に見直し、更新しています。
当社グループは、経済実態を伴う全てのシナリオにおいて、保険契約者に返済することが要求される金額と定義することにより、契約の投資要素を識別しています。これらには、保険事故が発生したり、契約が満期を迎えたり、保険事故が発生せずに終了したりする状況も含まれます。投資要素は、保険収益及び保険サービス費用から除外しています。
楽天損保及び楽天生命の保有する一部の保険契約には明示的な解約返戻金等が存在します。保険収益及び保険サービス費用から除外される投資要素は、原則として契約条件で定める解約返戻金等です。
その他の契約における解約返戻金等は、未経過保険料の返戻としての性格を有し、満期により保険会社は支払を免れることができるため、投資要素ではなく保険料の返戻としています。
健全かつ適切な保険事業を運営するためには、多様化・複雑化するリスクを的確に把握した上で、適切に管理することが重要です。そのため、組織横断的なリスク管理の仕組みを構築して、リスク所管部門の設定、リスク管理体制の整備、リスク状況の把握・分析・評価、業務執行部門への指導等、リスクの統括管理を行っています。
発行した保険契約から生じる信用リスクは、保険契約者が保険料支払義務を履行できなくなった場合に当社グループが保険契約を終了できる能力により軽減されているため、当社グループに重要な信用リスクのエクスポージャーはありません。
流動性リスク管理のために、新契約、解約、満期等の資金移動に関する情報収集・分析に努め、適切な資金繰り管理に努めるとともに、大規模災害発生時の資金確保体制に留意し、資金調達のための資産の流動化が円滑に行えるよう、常時、取引環境等を注視しています。また、日々の資金の出入状況を把握するとともに、流動性の高い資産を一定金額以上確保しています。
満期分析
前連結会計年度(2022年12月31日)
(注) 保険契約について、要求払金額は147,693百万円であり、対応する帳簿価額は156,312百万円です。
当連結会計年度(2023年12月31日)
(注) 保険契約について、要求払金額は130,219百万円であり、対応する帳簿価額は134,307百万円です。
当社グループの保険事業を営む一部の子会社において、為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクの影響を受ける金融資産及び金融負債は、主として保険事業の有価証券及び保険契約です。保険事業の有価証券については、市場リスク管理のために運用資産の残高・含み損益状況の把握に努めるとともに、ストレステストを実施し、リスク量を計測・管理しています。ストレステストの実施にあたっては、通常の市場変化を超える動きが発生した場合を想定したリスク量を推計しています。保険契約の市場リスク管理は、経済価値ベースのソルベンシー・マージン比率にリスク許容度を設けて管理し、定期的に測定しています。
市場リスクのうち、保険契約に与える影響が大きいのは金利変動リスクであり、金利の上昇が予想される場合には、将来の純損益及び資本が増加することが想定されます。以下の表は、合理的に生じうる金利の変動が報告日に生じた場合に純損益及び資本の増加(減少)を分析したものです。また、当社グループが保有している保険事業の有価証券から生じる純損益及び資本の増加(減少)を記載しています。
なお、割引率以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる割引率が全て50ベーシス・ポイント(0.5%)上昇又は下落した場合の、現在価値の影響額です。
(単位:百万円)
当社グループは、保険契約によって、保険リスク、契約者行動リスク及び費用リスクから成る引受リスクに晒されています。当社グループのリスク・エクスポージャーに関する情報、リスクの測定及び管理、並びに資本管理の目的、方針及びプロセスについては下記のとおりです。
損害保険事業においては、保険事故の発生状況、金利動向、経済情勢等を踏まえつつ、保険商品の収支状況の分析、将来収支予測等を実施してリスクの把握に努めています。また、保険引受にあたっては、リスクの特性に応じ設定された引受基準を厳正に運用しています。
生命保険事業においては、定期的に保険事故発生率や解約率等の状況をモニタリングする等、リスクの把握・分析を行い、新商品開発にあたっては、収益性とのバランスに配慮してリスク分析を実施しています。
当社グループは、引受リスクについて、種類及び量の観点から十分な分散の確保及び再保険の手配を通じて引受リスクを管理しています。当社グループの保険契約ポートフォリオは地理的に分散しており、過度に集中した保険リスクを有していません。
損害保険事業においては、主に損害率が重要な前提条件であり、これらの増加が予想される場合には、将来キャッシュ・アウトフローの増加を通じて、将来の純損益及び資本が減少することが想定されます。
生命保険事業においては、主に保険事故発生率が重要な前提条件であり、これらの増加が予想される場合には、将来キャッシュ・アウトフローの増加を通じて、将来の純損益及び資本が減少することが想定されます。
以下の表は、合理的に生じうる引受リスクの変動が報告日に生じた場合に純損益及び資本の増加(減少)を分析したものであり、他の全ての変数が一定であると仮定した場合の感応度分析です。この分析は、再保険によるリスク控除前の感応度を示しています。
31. 従業員給付
当社グループは、退職給付制度として、主に確定給付制度を採用しています。当社グループの確定給付制度は、主に退職一時金制度です。退職一時金制度は、退職給付制度債務に対して外部積立を行わず、当社グループが直接受給者への支給義務を負っています。積立に関する法的要請はありません。退職一時金は各社の就業規則等の退職金規程に基づき給与や勤務期間等に基づいた金額が支払われます。
(1) 連結財政状態計算書において認識した金額
連結財政状態計算書で認識した金額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(2) 確定給付制度債務の現在価値の増減
確定給付制度債務の現在価値の増減内容は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 前連結会計年度の確定給付制度債務の加重平均デュレーションは9.5年、当連結会計年度の確定給付制度債務の加重平均デュレーションは8.7年です。
(3) 数理計算上の仮定
重要な数理計算上の仮定(加重平均)は、以下のとおりです。
(4) 感応度分析
重要な数理計算上の仮定についての感応度分析は、以下のとおりです。
感応度分析における確定給付制度債務の算定にあたっては、連結財政状態計算書で認識されている確定給付制度債務の算定方法と同一の方法を適用しています。感応度分析は期末日において合理的に推測しうる仮定の変動に基づき行っています。また、感応度分析は分析の対象となる数理計算上の仮定以外の全ての数理計算上の仮定が一定であることを前提としていますが、実際には他の数理計算上の仮定の変化が影響する可能性があります。
(単位:百万円)
32. 繰延税金及び法人所得税費用
繰延税金資産及び負債の主な発生原因別内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
前連結会計年度及び当連結会計年度における繰越欠損金に係る繰延税金資産は、主として当社の子会社である楽天モバイル株式会社により認識されたものです。同社は、自社ネットワークの拡大を前倒しで行ったため、減価償却費等の営業費用の増加により繰越欠損金が生じています。
当社グループは日本国内でグループ通算制度を採用しているため、通算グループ内の各法人の所得が当該繰越欠損金の一部の回収に使用可能であるほか、音声通話・通信サービスから生じる将来における課税所得の獲得が見込まれます。このような前提のもとで、経営者によって承認された事業計画に基づき、将来の課税所得の範囲内で繰延税金資産を計上しています。
通算グループ外の会社における繰越欠損金にかかる繰延税金資産についても、経営者によって承認された事業計画に基づき、将来の課税所得の範囲内で繰延税金資産を計上しています。
なお、繰延税金資産及び負債の増減の内訳は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
連結財政状態計算書上で繰延税金資産が認識されていない、将来減算一時差異及び税務上の繰越欠損金の内訳(税額ベース)は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 上表に係る繰延税金資産に関しては、当社グループがその便益を利用するために必要となる将来の課税所得が発生する可能性が高くないため、繰延税金資産を認識していません。
連結財政状態計算書上で繰延税金資産が認識されていない、税務上の繰越欠損金の失効期限別内訳は、以下のとおりです。なお、失効期限のある将来減算一時差異はありません。
(単位:百万円)
上記に加えて、繰延税金資産又は繰延税金負債を認識していない子会社、関連会社及び共同支配企業に対する投資に関する一時差異の総額(所得ベース)は、以下のとおりです。なお、子会社及び関連会社の留保利益が将来送金された場合に、当社グループの納税額に与える重要な影響はありません。
(単位:百万円)
純損益を通じて認識された法人所得税費用の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1 当社は主に、法人税、住民税及び損金算入される事業税を課されており、これらを基礎として計算した前連結会計年度及び当連結会計年度における法定実効税率は30.6%です。
2 繰延税金費用には、繰延税金資産の評価減又は過去に計上した評価減の戻入れにより生じた繰延税金費用が含まれています。これに伴う繰延税金費用は、前連結会計年度及び当連結会計年度において、それぞれ4,005百万円、75,788百万円です。
我が国の法定実効税率と連結損益計算書上の法人所得税費用の実効税率との関係は、以下のとおりです。
(単位:%)
(注) 当社が所在する日本国内の実効税率と、子会社が所在する地域の実効税率の差から生じる差異です。
33. 流動・非流動の区分
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
34. 資本金及びその他の資本項目
(1) 資本金
当社の授権株式数及び発行済株式総数は、以下のとおりです。
(単位:千株)
(注) 発行済株式は、全額払込済みとなっています。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
該当事項はありません。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
公募及び第三者割当による新株の発行
当社は、当社の連結子会社である楽天モバイル株式会社への投融資資金及び社債・コマーシャルペーパーの償還資金に充当するため、2023年5月16日に開催の取締役会において、公募(国内における一般募集及び海外市場における募集)及び有限会社三木谷興産、有限会社スピリット、株式会社サイバーエージェント及び東急株式会社への第三者割当による新株発行を決議し、2023年5月31日に542,306,800株の払込みを受けました。
この結果、当連結会計年度において、資本金が148,005百万円増加、資本剰余金が146,780百万円増加し、合計で資本が294,785百万円増加しています。なお、新株の発行に係る直接発行費用1,225百万円(税効果考慮後)を資本剰余金から控除しています。また、有限会社三木谷興産及び有限会社スピリットは、経営幹部・主要株主(個人)及びその近親者が支配していることから、関連当事者に該当します。詳細は、注記54. 関連当事者をご参照ください。
(2) 資本剰余金
日本における会社法(以下「会社法」)では、株式の発行に対しての払込み又は給付の2分の1以上を資本金に組み入れ、残りは資本剰余金に含まれている資本準備金に組み入れることとされています。また会社法では、資本準備金は株主総会の決議により、資本金に組み入れることができます。
(3) その他の資本性金融商品
当社は、資金調達手段の多様化、投資家層の拡大、財務基盤の一層の充実化等を目的として、2021年第2四半期連結会計期間において、米ドル建ノンコール5年永久劣後特約付社債(利払繰延条項付)、ユーロ建ノンコール6年永久劣後特約付社債(利払繰延条項付)及び米ドル建ノンコール10年永久劣後特約付社債(利払繰延条項付)(以下あわせて「本社債」)を発行しました。
本社債は、償還期限の定めがなく当社の裁量のみで償還が可能であること、また、利息支払の任意繰延が可能であり、支払義務がないこと等により、IFRSにおいて、資本性金融商品に分類されます。
本社債の利払日である2022年4月22日と2022年10月22日及び2023年4月22日と2023年10月22日において利息の支払が完了しており、前連結会計年度及び当連結会計年度において、「その他の資本性金融商品の所有者に対する分配」として、「利益剰余金」がそれぞれ15,127百万円及び16,058百万円減少しています。
なお、前連結会計年度末日(2022年12月31日)及び当連結会計年度末日(2023年12月31日)において、支払が確定していないため「その他の資本性金融商品の所有者に対する分配」として認識していない経過利息の金額は、6,652百万円及び7,295百万円です。
また、外貨建永久劣後特約付社債の元本及び利息について、米ドル、ユーロと日本円の通貨スワップ契約を締結しています。当該通貨スワップに係るデリバティブ損益は、対象のリスク変数以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、前連結会計年度末日及び当連結会計年度末日において指標とする通貨に対し為替レートが1%円安となった場合、2,019百万円及び2,190百万円増加し、逆に1%円高となった場合、2,019百万円及び2,190百万円減少すると認識しています。一方、指標となる日本円金利が10ベーシスポイント(0.1%)上昇した場合961百万円及び864百万円増加し、逆に0.1%下落した場合は967百万円及び860百万円減少し、外貨金利が0.1%上昇した場合、929百万円及び840百万円減少し、逆に0.1%下落した場合、934百万円及び845百万円増加すると認識しています。当該通貨スワップは、その他の資本性金融商品の所有者に対する分配額及び当社の裁量により将来償還される場合の現金支出額を固定する効果を有しています。
(4) 利益剰余金
会社法では、剰余金の配当として支出する金額の10分の1を、資本準備金(資本剰余金の一項目)及び利益準備金(利益剰余金の一項目)の合計額が資本金の4分の1に達するまで、資本準備金又は利益準備金として積み立てることとされています。積み立てられた利益準備金は、欠損填補に充当できます。また、株主総会の決議をもって、利益準備金を取り崩すことができることとされています。
当社における会社法上の分配可能額は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成された、当社の会計帳簿上の利益剰余金の金額に基づいて算定されています。
(5) 自己株式
自己株式の変動
(単位:千株)
(6) その他の資本の構成要素
その他の資本の構成要素の増減は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
35. 配当金
現下の当社における財務状況等を踏まえ、その財務健全性の確保を目的とし、総有利子負債額を増やさないという方針の下、足もとにおいては、各種の資本性調達を積極的に進め、有利子負債のみに頼ることなく成長事業への投資原資を確保し、また、有利子負債残高の削減にも取組んでまいりました。このため、当期につきましては、配当による資金流出を抑制することが、当社の財務基盤の安定、ひいては株主価値の向上に繋がると考え、2024年2月14日開催の取締役会において、当期の配当を行わないことを決定しました。
配当方針につきましては、中長期的な成長に向けた投資や、財務基盤の安定化のための内部留保の充実を勘案しつつ、安定的・継続的に配当を行うことを基本としており、今後もこの方針に変更はありません。2024年12月期以降の配当再開時期は、現時点では未定ですが、早期の連結業績黒字化及び有利子負債の削減を進めていく中で、適時適切に復配を行えるように努めてまいります。
(注) 基準日が当連結会計年度に属する剰余金の配当金は、以下のとおりです。
36. 売上収益
(1) 収益の分解
(単位:百万円)
(注) その他の源泉から認識した収益には、IFRS第9号に基づく利息及び配当収益等やIFRS第17号に基づく保険料等収入が含まれています。IFRS第17号に基づく保険収益は、注記37. 保険収益をご参照ください。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
注記2. 重要性がある会計方針に記載のとおり、第1四半期連結会計期間の期首よりIFRS第17号を適用し、基準移行日である前連結会計年度期首時点に基準変更による累積的影響額を反映しています。
2 第1四半期連結会計期間より、従前モバイルセグメントに含まれていたメディア&エンターテインメント部門に属する子会社及び事業をインターネットサービスセグメントに移管しています。この変更により、前連結会計年度のインターネットサービスセグメントの「その他」及び「合計」の金額はそれぞれ12,150百万円増加し、モバイルセグメントの「その他」及び「合計」の金額は同額減少しています。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 グループ会社間の内部取引控除後の金額を表示しています。
2 IAS第20号「政府補助金の会計処理及び政府援助の開示」(以下「IAS第20号」)に基づく政府補助金を、売上収益に含めて表示しています。
なお、利息及び配当収益等はIFRS第9号に基づき売上収益として計上しています。
前連結会計年度において、IFRS第9号に基づく楽天カード、楽天証券及び楽天銀行の売上収益はそれぞれ143,560百万円、30,682百万円及び63,798百万円です。当連結会計年度において、IFRS第9号に基づく楽天カード、楽天証券及び楽天銀行の売上収益はそれぞれ155,565百万円、59,138百万円及び68,612百万円です。
当社グループは、インターネットサービス、フィンテック及びモバイルを有するグローバル イノベーションカンパニーであり、EC事業を中心に複数のビジネスを行っています。これらのビジネスから生じる収益は顧客との契約に従い計上しており、変動対価等を含む売上収益の額に重要性はありません。また、約束した対価の金額に重要な金融要素は含まれていません。
(インターネットサービス)
インターネットサービスセグメントにおいては、『楽天市場』、『楽天トラベル』、『Rakuten Rewards』、『Rakuten 24』、『楽天ブックス』等のサービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識しています。
楽天市場及び楽天トラベル
マーケットプレイス型ECサービスである『楽天市場』や、旅行予約サービスである『楽天トラベル』等においては、取引の場を顧客に提供することをその基本的な性格としています。当社グループは、これらのサービスの運営にあたり、出店者・旅行関連事業者への出店サービス及びシステム利用に関するサービス、当社グループを通じた販売拡大のための広告関連サービス、出店者・旅行関連事業者と消費者の決済に関する決済代行サービス等を提供しています。また、これらのサービスは諸規約に基づき、サービス内容や当事者間の権利と義務が定められており、サービスの内容の区分可能性や顧客への移転パターンに基づき、主な履行義務を下記のとおりに識別して、収益を認識しています。
『楽天市場』への出店サービスについて、当社グループは規約に基づき出店者に対し契約期間に渡り、当社グループのマーケットプレイス型ECウェブサイトへの出店サービス及び出店コンサルティングサービス等を提供する義務を負っています。当該履行義務は、契約期間に渡り時の経過につれて充足されるものであり、収益は当該履行義務が充足される契約期間において、出店形態別に定められた金額に基づき、各月の収益として計上しています。なお、取引の対価は3ヶ月、半年又は1年分を履行義務の充足前である契約時に前受けする形で受領しています。
システム利用に関するサービスについて、当社グループは規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対して出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との間での個々の取引の成立に関するサービスの提供を行う義務を負っています。当該履行義務は、出店者・旅行関連事業者と主として楽天会員との個々の取引の成立時点で充足されるものであり、当該履行義務の充足時点で、流通総額(出店者・旅行関連事業者の月間売上高)にサービス別・プラン別・流通総額の規模別に定められている料率を乗じた金額にて収益を計上しています。当該金額は、履行義務の充足時点である取引成立時点から概ね3ヶ月以内に支払を受けています。
広告関連サービスについて、当社グループは広告規約に基づき、出店者・旅行関連事業者に対し期間保証型等の広告関連サービスを提供しており、契約で定められた期間に渡り、広告を掲示する義務を負っています。当該履行義務は時の経過につれて充足されるため、当該契約期間に応じて期間均等額で収益を計上しています。広告料金の支払は、原則として広告掲載開始日が属する月の翌々月末までに受領しています。
決済代行サービスについて、当社グループと出店者・旅行関連事業者間における、決済代行規約に基づき、決済代行サービスを提供しています。当該サービスは、当社グループが、クレジットカード等による取引代金をカード会社等から受領し、出店者・旅行関連事業者への支払義務を負っています。当該サービスについては、主に消費者のクレジットカード等の利用取引が生じた時点が履行義務の充足時点となると判断しており、同時点で手数料収益を計上しています。当該手数料の支払は、履行義務の充足後、支払区分に基づいた請求締切日から1ヶ月半以内に受領しています。
Rakuten Rewards
『Rakuten Rewards』においては、Rakuten Rewards会員に対するキャッシュバックを通じ、Rakuten Rewards会員による小売業者(顧客)のウェブサイトでの購入を促進するサービス(以下「キャッシュバック・サービス」)、ウェブサイトにおける広告掲示、個人向けターゲティングメールサービス等を提供しています。主なサービスであるキャッシュバック・サービスに関しては、契約に基づきRakuten Rewards会員による小売業者のウェブサイトでの購入を促進するために、Rakuten Rewards会員へキャッシュバックを行う義務を負っており、当該履行義務はRakuten Rewards会員による購入時点が履行義務の充足時点となると判断しています。Rakuten Rewards会員の購入を確認した時点で購入金額に一定の料率を乗じた金額を手数料として収益計上しており、同時にRakuten Rewards会員に対するキャッシュバック費用を原価として計上しています。当該サービスの提供により生じる収益及び費用は、『Rakuten Rewards』が顧客及びRakuten Rewards会員とのそれぞれに対して価格設定を含む取引の裁量権を有していることから総額にて計上しており、手数料は履行義務の充足時点である注文確定月の月末から概ね3ヶ月以内に支払を受けています。
Rakuten 24、楽天ブックス
インターネットサービスのうち、当社グループが主に楽天会員に対して商品を提供するインターネット通販サイト『Rakuten 24』、『楽天ブックス』等のサービスにおいては、当社グループが売買契約の当事者となります。これらの直販型の取引においては顧客に商品が到着した時点で収益を計上しています。また、履行義務の充足時期である商品到着後、概ね2ヶ月以内に支払を受けています。なお、楽天ブックスのうち、国内における書籍(和書)販売については、再販売価格維持制度を考慮すると代理人取引としての性質が強いと判断されるため、収益を関連する原価と相殺の上、純額にて計上しています。
(フィンテック)
フィンテックセグメントにおいては、『楽天カード』、『楽天証券』、『楽天銀行』等の金融サービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識しています。
楽天カード
『楽天カード』においては、主としてクレジットカード関連サービスを提供しています。主にクレジットカード利用者と加盟店間の資金決済を通じて得られる加盟店手数料、クレジットカード利用者から得られるリボルビング払い手数料、分割払い手数料及びキャッシング手数料を得ています。加盟店手数料に関しては、カード会員のショッピング取引後、加盟店から楽天カード株式会社へ売上データが送信されたタイミングにおいて、決済サービスの提供という履行義務が充足されるため、同時点でクレジットカードの決済金額に一定の料率を乗じた手数料収益を計上しています。また、カード決済金額の1%分の通常ポイントをカード会員に付与しており、これらのポイント費用は加盟店手数料から控除しています。楽天カード株式会社はカード会員から基本的に1ヶ月に1回所定の日にカード利用代金の回収を行うため、履行義務充足後、概ね2ヶ月以内に実質的に支払を受けることとなります。リボルビング払い手数料、分割払い手数料及びキャッシング手数料に関しては、各残高に対してそれぞれ分割支払回数等に応じた一定の料率を乗じた利息収益を、IFRS第9号に従いその利息の属する期間に認識しています。
楽天証券
『楽天証券』においては、金融商品取引業務とその他の付随業務を提供し、これら取引に付随して発生する手数料やトレーディング損益、利息等を収益の源泉としています。金融商品取引業務には、国内株式取引に加え、外国株式取引、投資信託の販売等、様々な取引が存在し、それぞれの手数料体系は異なっています。現物株式に関する委託取引、信用取引及び投資信託の販売取引等に関連して発生する手数料に関しては、約定日等の取引成立時において履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を計上しています。現物株式取引から生じる手数料については、原則として履行義務の充足後2営業日以内に、信用取引及び先物取引から生じる手数料は建玉の決済が行われる半年から概ね1年以内に受領しています。また、IFRS第9号に従い、外国為替証拠金取引については、公正価値で測定された利得及び損失が純額で売上収益に計上され、国内株式信用取引の建玉に対する金利収益については、その利息の属する期間に収益を認識しています。
楽天銀行
『楽天銀行』においては、インターネットを通じた銀行業務(預金、貸出、為替)及びその他様々なサービスを提供しています。貸出については、個人向けローンである「楽天銀行スーパーローン」及び住宅ローンである「楽天銀行住宅ローン(金利選択型)」等を取り扱っており、貸出金利息収入を得ています。また、資金運用から生じる有価証券利息等の利息収入も得ています。貸出金利息や有価証券利息等の資金運用収益は、IFRS第9号に従い、その利息の属する期間に収益を認識しています。為替手数料等については、取引が行われた時点で履行義務が充足されるため、同時点において手数料収益を認識しています。なお、為替手数料等に関する支払は同日に受領しています。
(モバイル)
モバイルセグメントにおいては、『楽天モバイル』、『楽天エナジー』等のサービスを提供し、主な収益を下記のとおり認識しています。
楽天モバイル
『楽天モバイル』は、移動体通信事業者(MNO)及び仮想移動体通信事業者(MVNO)として、主に音声通話・データ通信サービス(以下「通話・通信サービス」)の提供と、携帯端末の販売を行っています。通話・通信サービスについては、契約に基づき、契約者に常時利用可能な通話・通信サービス回線を提供し、当該回線を利用した通話・通信サービスを提供することを履行義務として識別しています。また、携帯端末の販売については、携帯端末を引き渡すことを履行義務として識別しています。なお、複数のサービスをセットで提供する場合には、契約者から受領する対価をそれぞれの履行義務に対して独立販売価格で案分しています。常時利用可能な回線を維持する履行義務については時の経過に基づき、通話・通信サービスの提供の履行義務については回線の利用に応じて充足されると判断しており、したがって、回線の提供については契約期間に渡って収益を計上し、通話・通信サービスの提供については回線の利用状況に応じた回線使用料を各月の収益として計上しています。携帯端末の販売については契約者に端末を引き渡し、回線が開通した時点で履行義務が充足されると判断しており、当該時点にて関連する収益を計上しています。いずれの履行義務に対する支払も、請求日から概ね2ヶ月以内に受領しています。
楽天エナジー
『楽天エナジー』においては、電気事業法に基づく小売電気事業者として、「楽天でんき」の運営を行っており、契約に基づき、顧客である契約者に電気を販売する履行義務を負っています。当該履行義務は調達した電気を一般送配電事業者等を介し顧客へ供給した時点で充足されると判断しており、したがって、顧客の電力の利用状況に応じた電力使用料を各月の収益として計上しています。主に使用電力量にプランごとに設定されている地域別の単価を乗じた金額を、月ごとに契約者に請求しており、当該支払は請求日から概ね2ヶ月以内に受領しています。なお、再生可能エネルギーの固定価格買取制度に基づき顧客から徴収し費用負担調整機関へ納付する再生可能エネルギー発電促進賦課金については、売上、売上原価の双方から除外しています。
なお、日本政府によるコロナ禍における「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」に基づく施策である「電気・ガス価格激変緩和対策事業」(2023年1月より発動)により受領する補助金について、IAS第20号に基づき会計処理を行い、売上収益に含めて表示しています。また、受領する当該補助金は、事業の趣旨に従い、適切に全額小売価格に反映させています。
(2) 契約残高
以下は、当社グループの契約残高の内訳です。
(注) 1 顧客との契約から生じた債権について認識した減損損失の額は、前連結会計年度において売上債権2,027百万円及びカード事業の貸付金10,067百万円、当連結会計年度において売上債権2,175百万円及びカード事業の貸付金8,316百万円です。
2 顧客のクレジットカード利用による割賦契約等に基づく売掛債権であり、連結財政状態計算書上は「カード事業の貸付金」に計上しています。当該債権には、当社グループが収受する手数料が含まれています。
3 契約負債については、連結財政状態計算書上は「その他の負債」に計上しています。
契約負債は、当社グループが履行義務の充足前に対価を受領しているものであり、履行義務は契約期間にわたり時の経過につれて、もしくは契約の進捗に応じて充足され、収益として認識されることで減少します。
当社グループにおいて契約負債として計上されているものは、主としてRakuten Symphony Singapore Pte. Ltd.におけるOpen RANベースの通信インフラプラットフォーム、サービス等の開発・提供に関する収入の繰延、『楽天市場』における出店サービスに関する収入の繰延及び楽天カードにおけるカード会員からの年会費収入の繰延です。
当連結会計年度に認識した収益のうち、期首現在の契約負債残高に含まれていたものは15,666百万円(前連結会計年度は16,146百万円)です。また、前連結会計年度及び当連結会計年度において、過去の期間に充足(又は部分的に充足)した履行義務から認識した収益の額に重要性はありません。
(3) 残存履行義務に配分した取引価格
(4) 顧客との契約の獲得又は履行のためのコストから認識した資産
(単位:百万円)
当社グループは、顧客との契約獲得のための増分コスト及び契約に直接関連する履行コストのうち、回収可能であると見込まれる部分について資産(以下「契約コストから認識した資産」)として認識しており、連結財政状態計算書上は「その他の資産」に計上しています。契約獲得のための増分コストとは、顧客との契約を獲得するために発生したコストで、当該契約を獲得しなければ発生しなかったであろうものです。
当社グループにおける契約コストから認識した資産は、主に『楽天カード』と『楽天モバイル』において計上されており、計上時及び四半期ごとに回収可能性の検討を行っています。
回収可能性の検討に用いる見積り及び仮定は、前提とした状況が変化すれば、契約コストから認識した資産に関する減損損失を損益に認識することにより、契約コストから認識した資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があるため、当社グループでは、当該見積りは重要なものであると判断しています。
楽天カード
資産計上されている契約獲得のための増分コストは、主に顧客を獲得するために発生した入会関連費用です。また、契約に直接関連する履行コストは、主にカードの作成に関する費用です。資産計上された当該入会関連費用は新規入会者に付与した楽天ポイントに関するコストであり、契約を獲得しなければ発生しなかった増分コストです。なお、当該費用を資産計上する際には、カードの有効稼働会員割合等を加味した上で、回収が見込まれる金額のみを資産として認識しています。
当該資産については、会員のカード利用による決済サービスの提供という履行義務が充足されるカード会員の見積契約期間に応じた5年間から10年間の均等償却を行っています。
回収可能性の検討に当たっては、当該資産の帳簿価額が、カード会員との契約が継続すると見込まれる期間に渡り関連するクレジットカード関連サービスと交換に当社グループが受け取ると見込んでいる対価の残りの金額から、当該サービスの提供に直接関連し、まだ費用として認識されていないコストを差し引いた金額を超過しているかどうかの判断を行っています。
楽天モバイル
資産計上されている契約獲得のための増分コストは、主に代理店手数料及びアフィリエイトプログラムに関する費用です。また、契約に直接関連する履行コストは端末・SIMの発送に関する費用及びインターネット回線のセットアップ費用です。資産計上された代理店手数料及びアフィリエイトプログラムに関する費用は、顧客の獲得に応じて支払う手数料であり、契約を獲得しなければ発生しなかった増分コストです。
通話・通信サービスに係る当該資産においては、通信サービスの提供という履行義務が充足されるユーザーの継続利用期間を見積って4年間から8年間で均等償却を行っています。通話・通信サービス及び携帯端末の販売をセットで提供する場合には、契約獲得のための増分コストは、それぞれの履行義務の独立販売価格の比率に基づき配分した上で、携帯端末の販売に係る当該資産については、契約者に端末を引き渡し、回線が開通した時点で一時に償却しています。
回収可能性の検討に当たっては、当該資産の帳簿価額が、ユーザーとの契約が継続すると見込まれる期間に渡り関連する通話・通信と交換に当社グループが受け取ると見込んでいる対価の残りの金額から、当該サービスの提供に直接関連し、まだ費用として認識されていないコストを差し引いた金額を超過しているかどうかの判断を行っています。
前連結会計年度及び当連結会計年度において、当社グループが契約コストから認識した資産から生じた償却費は、それぞれ20,011百万円及び23,300百万円です。
37. 保険収益
『楽天損保』は損害保険業務を行っており、主たる商品は「自動車保険契約」です。損害保険の保険契約グループには原則として一般測定モデルを適用して保険収益を認識しています。
『楽天生命』は生命保険業務を行っており、主たる商品は「医療保険契約」です。生命保険の保険契約グループには原則として一般測定モデルを適用して保険収益を認識しています。
38. 営業費用の性質別内訳
営業費用の性質別内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
人件費(従業員給付費用)の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 注記45. 株式報酬をご参照ください。
39. その他の収益及びその他の費用
その他の収益及びその他の費用の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1 当連結会計年度において、ネットスーパー事業における減損損失を15,922百万円計上しています。
2 前連結会計年度において、子会社の元従業員及び取引先の共謀による不正行為に関連する費用について見積りを行い、11,996百万円計上しています。
40. 金融収益及び金融費用
金融収益及び金融費用の内訳は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1 Lyft, Inc.への株式投資の評価益を当連結会計年度において21,011百万円計上しています。
2 前連結会計年度において、Lyft, Inc.株式の先渡売買契約のカラー契約より生じるデリバティブ評価益を99,949百万円、外貨建永久劣後特約付社債に係る通貨スワップから生じるデリバティブ評価益を14,940百万円計上しています。当連結会計年度において、外貨建永久劣後特約付社債に係る通貨スワップから生じるデリバティブ評価益を49,615百万円計上しています。なお、外貨建永久劣後特約付社債については、注記34. 資本金及びその他の資本項目をご参照ください。
3 Lyft, Inc.株式の先渡売買契約に係る金融負債を償却原価で測定したことによる金利費用を前連結会計年度において953百万円、当連結会計年度において1,024百万円計上しています。詳細は、注記28. その他の金融負債をご参照ください。
4 Lyft, Inc.への株式投資の評価損を前連結会計年度において109,341百万円計上しています。
5 Lyft, Inc.株式の先渡売買契約のカラー契約より生じるデリバティブ評価損を当連結会計年度において3,636百万円計上しています。
6 Lyft, Inc.株式の先渡売買契約による資金調達に係る負債より生じた為替換算差額を前連結会計年度において17,141百万円、当連結会計年度において10,835百万円計上しています。
41. その他の包括利益
その他の包括利益に含まれている、各項目別の当期発生額及び損益の組替調整額並びに税効果の影響は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
42. 1株当たり利益
親会社の所有者に帰属する基本的1株当たり当期損失(△)及び希薄化後1株当たり当期損失(△)の算定上の基礎は、以下のとおりです。
(注) 1 前連結会計年度において、29,734千株相当の新株予約権は、逆希薄化効果を有するため希薄化後1株当たり損失(△)の計算から除外しています。
当連結会計年度において、38,524千株相当の新株予約権は、逆希薄化効果を有するため希薄化後1株当たり損失(△)の計算から除外しています。
2 注記2. 重要性がある会計方針に記載のとおり、第1四半期連結会計期間の期首よりIFRS第17号を適用し、基準移行日である前連結会計年度期首時点に基準変更による累積的影響額を反映しています。これにより、前連結会計年度の数値を修正再表示しています。
43. 担保に差し入れた資産及び担保として受け取った資産
(1) 担保に差し入れた資産
当社グループは、主に借入契約、電子マネーの預り金、通常の慣習的な条件に基づいて行われる信用取引及び貸株取引に基づく債務の担保として又はデリバティブに関連する保証金として資産を差し入れています。
当社グループが、負債又は偶発債務の担保として差し入れた資産の帳簿価額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1 カード事業の貸付金には、流動化された債権が含まれています。
2 連結子会社であるLiberty Holdco Ltd.がLyft, Inc.株式先渡売買契約によるその他の金融負債155,069百万円(前連結会計年度143,210百万円)に対しLyft, Inc.株式66,376百万円(前連結会計年度45,365百万円)を差し入れています。なお、本件取引の詳細は、注記28. その他の金融負債をご参照ください。
当社グループが、負債又は偶発債務の担保以外で差し入れた資産の帳簿価額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 1 信用取引及び先物取引等に係る保証金、制度信用取引の株券借入に係る担保金として差し入れています。
2 為替決済、デリバティブ取引及びコミットメントライン等の担保として差し入れています。
(2) 担保として受け取った資産
当社グループは、受入保証金代用有価証券及びその他の取引による担保の受け入れを行っています。これらの取引は、通常の慣習的な条件に基づいて行われています。当社グループは、取引完了時に同等の有価証券を返還することを条件に、当該受け入れた担保を売却又は再担保差入する権利を有しています。前連結会計年度末日及び当連結会計年度末日現在、当社グループが担保として受け入れた有価証券で売却又は再担保の権利を有しているものの公正価値は、それぞれ1,675,558百万円及び2,046,344百万円です。そのうち、売却又は再担保差入したものの公正価値は、それぞれ1,078,533百万円及び1,346,615百万円です。
44. 偶発事象及び契約
(1) 貸出コミットメントライン契約及び保証債務
一部の連結子会社は、クレジットカードに附帯するキャッシング及びカードローンによる融資業務を行っています。当該貸付金については、貸出契約の際に設定した額(契約限度額)のうち、当該連結子会社が与信した額(利用限度額)の範囲内で顧客が随時借入を行うことができる契約となっています。
なお、同契約は融資実行されずに終了するものもあり、かつ、利用限度額についても当社グループが任意に増減させることができるものであるため、融資未実行残高は必ずしも全額が貸出実行されるものではありません。
また、一部の連結子会社において、連結子会社の業務提携先から融資を受けた一般顧客に対して債務保証を行っています。
更に、当社は、一部の持分法適用関連会社のリース負債に対して債務保証を行っています。
上記の貸出コミットメントラインに係る未実行残高及び営業保証業務等における保証債務残高の状況は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(2) 借入コミットメントライン契約
当社及び一部の連結子会社では、複数の金融機関と借入コミットメントライン契約を締結しており、未実行残高は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(3) コミットメント(契約)
有形固定資産及び無形資産の取得に係るコミットメントの状況は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
45. 株式報酬
当社グループが認識したストック・オプションに関連する人件費は、前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)は13,057百万円、当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)は14,024百万円です。
当社は、当社グループ及び関連会社の役員及び従業員に対して持分決済型のストック・オプションを付与しています。なお、当社は、2012年7月1日付で株式1株につき100株の割合で株式分割を実施しており、各連結会計年度のストック・オプションについては、当該株式分割調整後の数値を記載しています。
当社が発行しているストック・オプションの内容は、以下のとおりです。
(注) 株式数に換算して記載しています。
当社が発行したストック・オプションに関するオプション数及び加重平均行使価格は、以下のとおりです。
(注) 株式数に換算して記載しています。
当社のストック・オプションの権利行使日時点の加重平均株価は、前連結会計年度は825円、当連結会計年度は612円です。
当社が発行したストック・オプションに関する未行使オプションの満期消滅日と行使価格は、以下のとおりです。
(注) 株式数に換算して記載しています。
当社は、当連結会計年度において、当社及びその子会社、関連会社の役員、従業員に対して持分決済型のストック・オプションを付与しています。付与したオプションの公正価値は、配当修正型ブラック=ショールズ式を用いて算定しています。公正価値及び公正価値算定に用いた仮定は以下のとおりです。
当社の予想ボラティリティは、予想残存期間に対応する株価の過去期間、週次データ(週次終値対前週変動率)をもとに、1年を52週として年率換算しています。
46. 金融商品の分類
当社グループにおける金融商品の分類は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年12月31日)
(金融資産)
(単位:百万円)
(注) 1 デリバティブ資産のうち、17,352百万円については、ヘッジ手段であるデリバティブであり、公正価値の変動はその他の包括利益に計上されます。詳細は、注記12. デリバティブ資産及びデリバティブ負債、ヘッジ会計をご参照ください。
2 保険契約資産19,860百万円及び再保険契約資産26,465百万円を除いています。
(金融負債)
(単位:百万円)
(注) 1 デリバティブ負債のうち、4,049百万円については、ヘッジ手段であるデリバティブであり、公正価値の変動はその他の包括利益に計上されます。詳細は、注記12. デリバティブ資産及びデリバティブ負債、ヘッジ会計をご参照ください。
2 再保険契約負債8,518百万円を除いています。
当連結会計年度(2023年12月31日)
(金融資産)
(単位:百万円)
(注) 1 デリバティブ資産のうち、30,466百万円については、ヘッジ手段であるデリバティブであり、公正価値の変動はその他の包括利益に計上されます。詳細は、注記12. デリバティブ資産及びデリバティブ負債、ヘッジ会計をご参照ください。
2 保険契約資産18,018百万円及び再保険契約資産24,195百万円を除いています。
(金融負債)
(単位:百万円)
(注) 1 デリバティブ負債のうち、2,401百万円については、ヘッジ手段であるデリバティブであり、公正価値の変動はその他の包括利益に計上されます。詳細は、注記12. デリバティブ資産及びデリバティブ負債、ヘッジ会計をご参照ください。
2 再保険契約負債6,992百万円を除いています。
(1) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品
当社グループの保有する株式等のうち、政策投資目的又は事業上のシナジー効果等を期待して長期間にわたり保有することを目的としている株式等については、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品として指定しています。
前連結会計年度における主なその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品は、上場不動産投資信託で、公正価値は106,445百万円です。当連結会計年度における主なその他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品は、上場不動産投資信託で、公正価値は100,102百万円です。
また、前連結会計年度において、事業上のシナジー効果等を期待できないと判断した投資先に対する株式の売却をしました。また、全社的な財務戦略の見直しの一環として一部の銘柄を売却しました。当該株式の売却時の公正価値は29,994百万円であり、売却時の累積利得は698百万円です。当連結会計年度においても、事業上のシナジー効果等を期待できないと判断した投資先に対する株式の売却をしました。また、全社的な財務戦略の見直しの一環として一部の銘柄を売却しました。当該株式の売却時の公正価値は53,107百万円であり、売却時の累積損失は1,317百万円です。
前連結会計年度において、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品として指定した株式等に関して認識した受取配当金の金額は6,110百万円です。このうち、前連結会計年度末において保有する株式等に関して認識した金額は5,563百万円です。また、当連結会計年度において、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品として指定した株式等に関して認識した受取配当金の金額は5,637百万円です。このうち、当連結会計年度末において保有する株式等に関して認識した金額は4,572百万円です。
前連結会計年度において、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品として指定した株式等に関する資本内の累積損失1,148百万円を、株式等の売却に伴い利益剰余金に振替えています。また、当連結会計年度において、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品として指定した株式等に関する資本内の累積損失1,488百万円を、株式等の売却に伴い利益剰余金に振替えています。
47. 金融商品から生じた損益
当社グループが保有する金融商品から生じた損益の分析は、以下のとおりです。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(単位:百万円)
公正価値で測定するものとして指定された金融資産から生じた正味利得又は損失はありません。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産から生じる正味利得には、当該資産に係る受取利息、受取配当金、受取手数料及び有価証券評価益が含まれています。また、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び償却原価で測定する金融資産から生じる金利収益については(3)、手数料収益については(4)をご参照ください。
(単位:百万円)
強制的に公正価値で測定される金融負債から生じる正味利得には、デリバティブ評価益が含まれています。また、償却原価で測定する金融負債から生じる金利費用については(3)、手数料費用については(4)をご参照ください。
(3) 金融商品から生じた(実効金利法により算定される)金利収益総額及び金利費用総額の金融商品の分類別の内訳
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(単位:百万円)
公正価値で測定するものとして指定された金融資産から生じた正味利得又は損失はありません。
純損益を通じて公正価値で測定する金融資産から生じる正味利得には、当該資産に係る受取利息、受取配当金、受取手数料及び有価証券評価益が含まれています。また、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する金融資産及び償却原価で測定する金融資産から生じる金利収益については(3)、手数料収益については(4)をご参照ください。
(単位:百万円)
強制的に公正価値で測定される金融負債から生じる正味利得には、デリバティブ評価益が含まれています。また、償却原価で測定する金融負債から生じる金利費用については(3)、手数料費用については(4)をご参照ください。
(3) 金融商品から生じた(実効金利法により算定される)金利収益総額及び金利費用総額の金融商品の分類別の内訳
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
48. 金融商品の公正価値
下記は、当社グループの保有する金融商品の帳簿価額と公正価値の比較を示しています。
なお、現金及び現金同等物、売上債権、証券事業の金融資産、その他の金融資産、仕入債務、証券事業の金融負債、証券事業の借入金及び銀行事業の借入金は下表に含めていません。
これらは主に短期間で決済されるものであり、公正価値と帳簿価額が近似する金融資産又は金融負債、もしくは将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した割引率により算定した公正価値と帳簿価額が近似している金融資産又は金融負債で構成されています。
また、デリバティブ資産及びデリバティブ負債、保険事業の有価証券及び有価証券は経常的に公正価値で測定される金融資産又は金融負債で構成されているため下表には含めていません。
(単位:百万円)
(注) リース負債430,823百万円及び再保険契約負債8,518百万円を除いています。また、Lyft, Inc.株式先渡売買契約による預り保証金が帳簿価額に143,210百万円、公正価値に129,169百万円含まれています。Lyft, Inc.株式先渡売買契約については、注記28. その他の金融負債をご参照ください。
(単位:百万円)
(注) リース負債380,367百万円及び再保険契約負債6,992百万円を除いています。また、Lyft, Inc.株式先渡売買契約による預り保証金が帳簿価額に155,069百万円、公正価値に145,637百万円含まれています。
公正価値の算定方法は以下のとおりです。
・カード事業の貸付金、銀行事業の貸付金
カード事業の貸付金及び銀行事業の貸付金の公正価値は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値によって算定しています。
・銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券、有価証券
銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券及び有価証券のうち、上場株式の公正価値については連結会計年度末の市場の終値を用いて算定しています。非上場株式の公正価値については、主に取引事例法等、適切な評価技法を用いて算定しています。また、債券等の公正価値については、売買参考統計値やブローカーによる提示相場等、利用可能な情報に基づく合理的な評価方法により算定しています。
・その他の金融負債
その他の金融負債の公正価値は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値によって算定しています。
・デリバティブ資産、デリバティブ負債
デリバティブ資産及びデリバティブ負債のうち、為替予約の公正価値については、先物為替相場等に基づき算定しています。相対取引のデリバティブについては、ブローカーによる提示相場等に基づき算定しています。また、金利スワップの公正価値については、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び連結会計年度末の金利スワップの利率により割り引いた現在価値により算定しています。
なお、金利スワップ契約の取引相手先は高格付を有する金融機関に限定されており、信用リスクは僅少と判断しているため、公正価値の算定にあたり考慮していません。
・銀行事業の預金
銀行事業の預金のうち、要求払預金の公正価値については、連結会計年度末に要求された場合の支払額(帳簿価額)としています。また、定期預金の公正価値は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値により算定しています。なお、残存期間が短期間(1年以内)のものは、公正価値は帳簿価額に近似していることから、当該帳簿価額を公正価値としています。
・社債及び借入金、カード事業の社債及び借入金
社債及び借入金並びにカード事業の社債及び借入金のうち、満期までの期間が長期のものの公正価値は、一定の期間ごとに区分して、将来のキャッシュ・フローを満期までの期間及び信用リスクを加味した利率により割り引いた現在価値により算定しています。
(2) 公正価値ヒエラルキーのレベル別分類
下記は、公正価値のレベル1からレベル3までの公正価値ヒエラルキーに基づく分類を示しています。
<各ヒエラルキーの定義>
レベル1:同一の資産又は負債について活発な市場における(無調整の)公表価格
レベル2:当該資産又は負債について直接に又は間接に観察可能な、レベル1に含まれる公表価格以外のインプットを使用して算定された公正価値
レベル3:観察不能なインプットを含む評価技法によって算定された公正価値
当社グループは、各ヒエラルキー間の振替を、振替を生じさせた事象が発生した各四半期連結会計期間末において認識しています。
連結財政状態計算書において公正価値で測定される資産及び負債に関するヒエラルキー別分類
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
前連結会計年度においてレベル1とレベル2の間の重要な振替はありません。
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度においてレベル1とレベル2の間の重要な振替はありません。
連結財政状態計算書において公正価値で測定されない資産及び負債に関するヒエラルキー別分類
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
(3) レベル3ヒエラルキーの調整表
下表は、一つ以上の重要なインプットが観察可能な市場データに基づかないレベル3に分類された金融商品の各連結会計年度の期首から期末までの残高の増減を示す調整表です。
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
(注) 1 純損益に認識した利得又は損失は、「売上収益」、「その他の収益」、「その他の費用」、「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
2 その他の包括利益に認識した利得又は損失は、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の変動」及び「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の変動」に含まれています。
3 「有価証券」については、投資先が取引所に上場したことに伴い、活発な市場における無調整の公表価格が利用可能となったことによる振替です。
レベル3に分類された非上場株式の評価技法として、主に取引事例法を採用しています。その他の評価技法及びインプットは以下のとおりです。
観察可能でないインプットの割引率については上昇した場合に株式の公正価値が減少する関係にあります。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
(注) 1 純損益に認識した利得又は損失は、「売上収益」、「その他の収益」、「その他の費用」、「金融収益」及び「金融費用」に含まれています。
2 その他の包括利益に認識した利得又は損失は、「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する資本性金融商品の変動」及び「その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品の変動」に含まれています。
3 「有価証券」については、投資先が取引所に上場したことに伴い、活発な市場における無調整の公表価格が利用可能となったことによる振替です。
レベル3に分類された非上場株式の評価技法として、主に取引事例法を採用しています。その他の評価技法及びインプットは以下のとおりです。
観察可能でないインプットの割引率については上昇した場合に株式の公正価値が減少する関係にあります。
非上場株式等の公正価値の測定は、所定のルールに従って営業部門から独立した管理部門により行われています。公正価値を測定するにあたり、個々の資産の性質、特徴及びリスクを最も適切に反映できる評価モデルを決定しています。評価モデルの採用論拠及び評価過程について、リスク管理部門に報告され、公正価値の評価の方針及び手続に関する適正性が確保されています。
銀行事業の有価証券の公正価値の測定は、時価算定事務基準に従いリスク管理部門により行われています。取引金融機関等から提供される価格については、有価証券種別ごとに分類し、それぞれの分類に応じて時価変動に影響を与えうる重要な指標の推移をモニタリングし、価格変動との整合性の確認を行っています。検証内容については、月次でリスク管理委員会・経営会議・取締役会に報告しています。
保険事業の有価証券の運用・管理については、「職務権限規程」及び「資産運用リスク管理規程」に従っています。株式の多くは、営業と密接な関係のある政策目的で保有しているものであり、取引先の市場環境や財務状況等をモニタリングしており、価格変動との整合性の確認を行っています。
レベル3に分類された銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券、有価証券、デリバティブ資産及びデリバティブ負債について、インプットがそれぞれ合理的に考えうる代替的な仮定に変更した場合の公正価値の増減は重要ではありません。また、レベル3に分類されたその他の金融資産については、インプットがそれぞれ合理的に考えうる代替的な仮定に変更した場合の重要な公正価値の増減は見込まれていません。
49. 金融資産と金融負債の相殺
当社グループにおける連結財政状態計算書上で相殺表示されている認識した金融資産及び金融負債の相殺前の総額、相殺額及び相殺後の純額は、以下のとおりです。また、認識した金融資産又は金融負債に関連する法的強制力があるマスター・ネッティング契約又は類似の契約に関しては、相殺表示されていない金額についても、潜在的影響額を開示しています。
前連結会計年度(2022年12月31日)
(連結財政状態計算書上で相殺表示されている金融資産及び法的強制力があるマスター・ネッティング契約又は類似の契約)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(連結財政状態計算書上で相殺表示されている金融負債及び法的強制力があるマスター・ネッティング契約又は類似の契約)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(連結財政状態計算書上で相殺表示されている金融資産及び法的強制力があるマスター・ネッティング契約又は類似の契約)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
(連結財政状態計算書上で相殺表示されている金融負債及び法的強制力があるマスター・ネッティング契約又は類似の契約)
(単位:百万円)
(単位:百万円)
マスター・ネッティング契約又は類似の契約の対象である金融資産及び金融負債に関する相殺の権利は、通常の事業活動の過程では発生が予想されない債務不履行その他の特定の状況が発生した場合にのみ法的強制力を有し、個々の金融資産と金融負債の実現又は決済に影響を与えるものです。
50. 財務リスク管理
当社グループの資金運用については、信用リスク、市場リスク、流動性リスク等の各種リスクを十分考慮した上で元本の安全性確保及び資金の効率的活用を取組方針としています。また、資金調達については、その時々の経済環境等の要因を勘案し、直接金融や間接金融等の調達手段の中で最適と考えられる調達手段を選択していくことを取組方針としています。
証券事業においては、個人顧客を対象とした株式等金融商品の売買の媒介及び取次業務を主たる事業とし、顧客から受け入れた預り金や受入保証金について、金融商品取引法に基づき顧客分別金信託等で運用しています。また、資金運用については安全性を重視し、銀行預金及び流動性の高い金融資産で運用しています。一方、資金調達については、主に金融機関からの借入で対応しています。
カード事業(包括信用購入あっせん事業、個別信用購入あっせん事業、信用保証事業及び融資事業)においては、資金運用については短期的な預金等に限定しています。一方、資金調達については、銀行等金融機関からの借入のほか、コマーシャル・ペーパーの発行、社債の発行、債権の流動化により対応しています。
銀行事業においては、預金業務、貸出業務及び為替業務を主たる業務としており、普通預金、定期預金、外貨預金等を提供しています。また、当該金融負債を主たる原資として、保証付無担保カードローン、住宅ローン、事業性ローン等を提供しているほか、有価証券、買入金銭債権、金銭の信託、コールローン等により資金を運用しています。そのほかに、顧客への金融商品販売に付随して発生するデリバティブ取引や為替関連取引等を実施しています。資金運用にあたっては、銀行の持つ社会的責任と公共的使命の重みを常に認識し、過度な利益追求等により経営体力を超える運用を行うことを厳に慎み、とりわけ顧客から預かった預金については、十分安全性に配慮しています。また、運用調達業務全般にわたり、資産・負債構成の最適化及び適切な水準の自己資本充実度の確保を目的とし、金利感応度、資金流動性、市場流動性等に留意したALM(資産負債総合管理)運営を行っています。
保険事業においては、資産運用にあたり、保険金・給付金を将来にわたって確実に支払うことができるよう、安全性及び収益性の確保が重要な使命と考えています。安全性を第一義とし、流動性と収益性を重視した健全な運用資産ポートフォリオの構築を図りつつ、中・長期的に安定的な収益の確保を目標として、リスク分散を図りながら公社債中心の運用を行うことを資産運用の基本方針としています。
デリバティブ取引に対しては慎重な態度で臨み、投機的な収益獲得手段として取り扱わない方針としています。
(1) 信用リスク
① 金融商品に係る信用リスクの概要
当社グループが保有する金融資産は、主として売上債権、証券事業の金融資産、カード事業の貸付金、銀行事業の有価証券、銀行事業の貸付金、保険事業の有価証券、有価証券等からなります。
売上債権には、主に、個人顧客、出店者、宿泊施設等の取引先に対して計上する売上収益に係る売掛金が計上され、取引先の信用リスクにさらされています。
証券事業の金融資産には、証券事業の預託金や信用取引資産等が含まれています。証券事業の預託金は、主に顧客分別金信託等であり、銀行預金等により運用されているため、預入先の信用リスクにさらされています。信用取引資産は、顧客等の信用リスクにさらされています。
カード事業の貸付金には、カード事業を営む子会社が保有するカード債権、融資債権、消費者ローン、有担保ローン等が含まれており、与信先の信用リスクにさらされています。
銀行事業の有価証券には、主に内国債や外国債等の有価証券、信託受益権が含まれており、発行体又は原資産の信用リスクにさらされています。
銀行事業の貸付金には、個人顧客向け無担保カードローン、住宅ローン、不動産担保ローン及び事業性ローンが含まれており、顧客の信用リスクにさらされています。
保険事業の有価証券には、国債、地方債及び社債が含まれており、発行体の財政状態による信用リスクにさらされています。
有価証券には、負債性金融商品が含まれており、発行体の信用リスクにさらされています。
これらの金融資産については、相手先の業種や地域が広範囲にわたっており、特段の信用リスクの集中はありません。
② 金融商品に係る信用リスクの管理体制
当社グループでは、各社にて制定したリスク管理に関する規程において、具体的な各種リスクの管理方法や管理体制等を定めています。また、当社グループでは、証券事業の金融資産、銀行事業の貸付金等について担保や債務保証により信用リスクを合理的に低減しています。
信用リスクは、グループ管理規程に基づき、定期的に個別案件ごとの与信限度額の設定、顧客の信用状況の把握、期日管理及び残高管理を行うとともに、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や低減を図っています。これらの信用管理実務から入手される顧客の財務情報のほか、失業率、企業倒産数等のマクロ経済状況の動向も勘案し、予想信用損失の認識及び測定を行っています。
証券事業の金融資産、カード事業の貸付金、銀行事業の貸付金等について、金融資産の返済又は決済が原則として期日以降30日超遅延した場合に、金融商品の信用リスクが当初認識以降に著しく増大したものと判定しています。
銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券及び有価証券のうち負債性金融商品である有価証券については、当初認識時において投資適格であった格付が、投資適格未満に格下げとなった場合に金融商品の信用リスクが著しく増大したものと判定しています。また、外部格付を参照し、報告日現在で信用リスクが低いと判断される場合は、当該金融商品に係る信用リスクが当初認識以降に著しく増大していないものと推定しています。なお、信用リスクの判定には、大手格付機関の格付情報等を利用しています。
これらの金融資産について、原則として、返済若しくは決済が期日以降90日超遅延した場合、条件変更した場合、又は回収が極めて困難であると判断された場合には債務不履行であると判断しています。
デリバティブ取引については、「ヘッジ取引管理細則」に基づき管理しています。取引相手先は主に高格付を有する金融機関としているため、信用リスクは軽微であると認識していますが、取引相手方の契約不履行により経済的損失を被るリスクがあります。
③ 貸倒引当金の増減分析
前連結会計年度(2022年12月31日)
(注) 上表には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金が含まれています。当該貸倒引当金については、純損益で認識しその他の包括利益の損失額を減額しています。
当連結会計年度(2023年12月31日)
(注) 上表には、その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る貸倒引当金が含まれています。当該貸倒引当金については、純損益で認識しその他の包括利益の損失額を減額しています。
当社グループの信用リスクに対する最大エクスポージャーは、以下のとおりです。
最大信用リスク・エクスポージャーは、保有する担保及びその他の信用補完を考慮に入れない信用リスクに対する最大エクスポージャーを表しています。
下記の表中のオンバランス項目に記載されている金融資産に関しては、信用リスクに対する最大エクスポージャーは帳簿価額と同額です。下記の表中のオフバランス項目に記載されている貸出コミットメントラインについては、信用リスクに対する最大エクスポージャーは、コミットメントの未利用分です。また、金融保証契約については、信用リスクに対する最大エクスポージャーは、保証の実行を求められた場合に支払わなければならない最大の金額です。
営業債権等の信用リスクに対するエクスポージャー
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 重要な金融要素を含んでいないことから、常に全期間の予想信用損失により貸倒引当金を認識し測定する対象としているため、信用リスクの当初認識以降における著しい増大の有無による区分はありません。
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 重要な金融要素を含んでいないことから、常に全期間の予想信用損失により貸倒引当金を認識し測定する対象としているため、信用リスクの当初認識以降における著しい増大の有無による区分はありません。
営業債権等以外の信用リスクに対するエクスポージャー
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
(注) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る予想信用損失は含まれていません。
※1 信用減損している金融資産について、保有する担保及びその他の信用補完により、前連結会計年度において貸倒引当金の額が3,002百万円低減されています。
※2 条件変更を行った金融資産について
当社グループでは、回収期限のある金融資産について、顧客又は取引先からの申し出があった場合に、回収を円滑に行う目的で契約条件が変更され、当初の契約上のキャッシュ・フローが変更されることがあります。前連結会計年度において、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定していた金融資産について、契約上のキャッシュ・フローの条件変更が行われた金融資産の条件変更前の償却原価及び認識した条件変更による正味損失は、それぞれ31,407百万円及び7,723百万円になります。
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
(注) その他の包括利益を通じて公正価値で測定する負債性金融商品に係る予想信用損失は含まれていません。
※1 信用減損している金融資産について、保有する担保及びその他の信用補完により、当連結会計年度において貸倒引当金の額が3,327百万円低減されています。
※2 条件変更を行った金融資産について
当社グループでは、回収期限のある金融資産について、顧客又は取引先からの申し出があった場合に、回収を円滑に行う目的で契約条件が変更され、当初の契約上のキャッシュ・フローが変更されることがあります。当連結会計年度において、貸倒引当金を全期間の予想信用損失に等しい金額で測定していた金融資産について、契約上のキャッシュ・フローの条件変更が行われた金融資産の条件変更前の償却原価及び認識した条件変更による正味損失は、それぞれ32,567百万円及び8,248百万円になります。
期日が経過した金融資産の年齢分析は以下のとおりです。
当該年齢分析においては、契約条件に基づく支払期日より支払が遅れている、又は支払がなされていない金融資産について、連結会計年度末における支払期日から起算した延滞期間ごとの金額を記載しています。
営業債権等の期日経過情報
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
営業債権等以外の期日経過情報
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
(2) 流動性リスク
① 金融商品に係る流動性リスクの概要
当社グループが保有する金融負債のうち流動性リスクにさらされているのは、主として社債及び借入金、証券事業の借入金、カード事業の社債及び借入金、銀行事業の借入金、銀行事業の預金です。社債及び借入金、証券事業の借入金、カード事業の社債及び借入金、銀行事業の借入金は取引金融機関に対する当社グループの信用力やマーケット環境の変化による資金調達条件悪化等のリスクにさらされています。
また、当社グループの一部の借入金について資本及び利益の維持といった財務制限条項を遵守することが求められています。
② 金融商品に係る流動性リスクの管理
資金調達等に係る流動性リスクは、各社にて制定する諸規程に従い適正な手元流動性を維持するために、資金繰計画の作成等により管理しています。
③ 金融負債の満期分析
金融負債(デリバティブを含む)の期日別残高は、以下のとおりです。
前連結会計年度(2022年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 金融負債のうち、要求払いのものは「1年以内」に含まれています。「銀行事業の預金」には、
7,748,834百万円の要求払預金が含まれています。
2 再保険契約負債8,518百万円を除いています。
当連結会計年度(2023年12月31日)
(単位:百万円)
(注) 1 金融負債のうち、要求払いのものは「1年以内」に含まれています。「銀行事業の預金」には、
8,811,693百万円の要求払預金が含まれています。
2 再保険契約負債6,992百万円を除いています。
(3) 市場リスク
① 金融商品に係る市場リスクの概要
当社グループの活動は、主に経済環境・金融市場環境が変動するリスクにさらされています。金融市場環境が変動するリスクとして、具体的には為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクがあります。
当社グループが保有する金融資産のうち市場リスクにさらされているのは、主として証券事業の金融資産、銀行事業の有価証券、保険事業の有価証券、有価証券です。
証券事業の金融資産には、証券事業における外国為替証拠金取引が含まれています。ただし、顧客との間で生じた外国為替証拠金取引に対し、カウンターパーティーとのカバー取引を行うことにより、顧客との取引により生じる市場リスクを回避しているため、原則として為替変動リスクの影響は軽微です。
銀行事業の有価証券には、主に内国債や外国債等の有価証券、信託受益権が含まれており、金利変動リスク及び為替変動リスクにさらされています。そのうち、外国債については、対応する通貨スワップ取引を行うことにより、為替変動リスクをヘッジしています。なお、上場株式等が含まれていないため、価格変動リスクの影響は軽微です。
保険事業の有価証券には、国債、地方債、社債、株式、投資信託等が含まれており、為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクにさらされています。
有価証券には、株式が含まれており、価格変動リスクにさらされています。
当社グループが保有する金融負債のうち市場リスクにさらされているのは、主として社債及び借入金、銀行事業関連負債であり、主に金利変動リスクや為替変動リスクにさらされています。社債及び借入金については、対応した金利スワップ取引や通貨スワップ取引を行うことにより、当該リスクをヘッジしています。銀行事業関連負債には、個人・法人顧客向けの普通預金、一般定期預金、新型定期預金のほか、外貨普通預金や外貨定期預金が含まれています。新型定期預金については、金利変動リスクにさらされていますが、対応した金利スワップ取引を行うことにより、当該リスクをヘッジしています。外貨普通預金及び外貨定期預金については、為替変動リスクにさらされていますが、対応した為替予約取引を行うことにより、当該リスクをヘッジしています。
② 金融商品に係る市場リスクの管理体制
市場リスクの管理に関して、有価証券等については、取締役会において協議し投資決定を行っており、所定のルールに従って適正に評価されていることを確認しています。外貨建金融商品については、一定額以上の損失を発生させないようにポジション限度額や損失限度額を設定し、為替相場の継続的なモニタリング及び自己ポジションの状況の管理をしています。
銀行事業を営む一部の子会社が保有する金融資産及び金融負債については、一定の金利・為替変動下において、これらの金融資産及び金融負債を時価評価し、その相殺後純額(以下「現在価値」)の影響額を、金利変動リスク及び為替変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しています。
保険事業を営む一部の子会社が保有する金融資産については、ストレステストにより通常の市場変化を超える動きが発生した場合を想定した市場リスク量を計測・管理し、リスク管理委員会を通じて、定期的に取締役会に報告しています。
③ 金利変動リスク(銀行事業を営む子会社を除く)
当社グループにおいて、主要な金融負債は、金融機関からの借入であり、このうち、変動金利による借入は、金利変動リスクにさらされています。
当社グループの金融負債のエクスポージャーは、以下のとおりです。
(単位:百万円)
上記エクスポージャーのうち前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇又は下落した場合の、損益の影響額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) カード事業の変動金利の借入のうち前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、それぞれ139,810百万円及び119,765百万円については、金利変動リスクを低減するために金利スワップ取引を実施して支払利息の固定化を図っています。
④ 価格変動リスク
当社グループの保有する資本性金融商品のうち、市場性のある資本性金融商品は価格変動リスクにさらされています。また、資本性金融商品については、定期的に時価や発行体の財務状況を把握しています。
当社グループは、以下の感応度分析を、期末日の資本性金融商品の価格リスクを基礎として実施しました。
前連結会計年度末及び当連結会計年度末において、株価が5%上昇又は下落した場合の、Lyft, Inc.株式を除いた公正価値の変動による、損益及び資本(税効果考慮前)の影響額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
なお、当社はLyft, Inc.株式先渡売買契約に基づき、Lyft, Inc.株式にかかるデリバティブ契約を締結しています。当該デリバティブ取引の公正価値は、Lyft, Inc.株式の株価に影響を受け、他の全ての変数が一定であると仮定した上でLyft, Inc.株式の株価が10%上昇又は下落した場合の損益の影響額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
また、Lyft, Inc.株式の公正価値について、株価が10%上昇又は下落した場合の損益の影響額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 本件取引の詳細は、注記28. その他の金融負債をご参照ください。
⑤ 銀行事業を営む子会社における市場リスク管理
(金利変動リスク管理)
当社グループの銀行事業を営む一部の子会社において、主要なリスク変数である金利変動リスクの影響を受ける金融資産は、主として銀行事業の有価証券、銀行事業の貸付金です。金利変動リスクの影響を受ける金融負債は、個人・法人顧客向けの普通預金、一般定期預金、新型定期預金のほか、外貨普通預金や外貨定期預金、デリバティブ取引のうち金利スワップです。
同子会社では、一定の金利変動下において、これらの金融資産及び金融負債に係る現在価値の影響額を、金利変動リスクの管理にあたっての定量的分析に利用しています。
現在価値の影響額の算定にあたっては、対象の金融資産及び金融負債を固定金利群と変動金利群に分け、それぞれ金利期日に応じて適切な期間に残高を分解し、期間ごとの金利変動幅を用いています。例えば、前連結会計年度末(2022年12月31日)及び当連結会計年度末(2023年12月31日)において、金利以外の全てのリスク変数が一定であると仮定し、指標となる金利が全て10ベーシス・ポイント(0.1%)上昇又は下落した場合、現在価値の影響額は以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 当該影響額は、金利とその他のリスク変数との相関を考慮しておらず、また外貨建資産・負債については、2022年12月31日及び2023年12月31日の為替レートをもとに日本円に換算して算出しています。加えて、10ベーシス・ポイント下落時に、期間によって金利が負値になる場合については排除していません。
(市場リスク管理)
当社グループの保険事業を営む一部の子会社において、為替変動リスク、金利変動リスク及び価格変動リスクの影響を受ける金融資産は、主として保険事業の有価証券です。同子会社では、これらの市場リスク管理のために運用資産の残高・含み損益状況の把握に努めるとともに、ストレステストを実施し、リスク量を計測・管理しています。
ストレステストの実施にあたっては、通常の市場変化を超える動きが発生した場合を想定したリスク量を推計しています。
51. 自己資本管理
当社グループの資本構造は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
なお、当社グループには金融商品取引法やその他海外の同様な法令に基づき、自己資本規制比率や純資産等の額を一定水準以上に保つことが義務付けられている子会社があります。主要な子会社に適用される各国・地域の主な法令は次の表をご参照ください。
各子会社の資本水準は、各国・地域の法令で要求される水準を充分に満たしています。
52. 主要な子会社
(1) 主要な子会社
当社グループの主要な子会社は、以下のとおりです。
(注) 当社グループは楽天銀行(株)の議決権の過半数を所有していませんが、議決権の49.27%を所有し、議決権の分散状況を勘案した結果、当社グループが同社を実質的に支配していると判断し、連結子会社としています。
(2) 所有持分の変動
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
当社グループは、第4四半期連結会計期間に、当社の連結子会社である楽天証券ホールディングス株式会社が保有する楽天証券株式会社の株式の一部をみずほ証券株式会社へ譲渡しました。この結果、当社グループの同社に対する議決権比率及び持分比率は100%から80.01%となりました。譲渡後も当社グループは楽天証券株式会社を支配しています。
当該非支配持分との取引の概要は以下のとおりです。
(単位:百万円)
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
当社の連結子会社である楽天銀行株式会社は、第2四半期連結会計期間に東京証券取引所プライム市場に新規上場しました。株式上場に際し、楽天銀行株式会社は、公募による新株の発行を、当社は、当社が保有する楽天銀行株式会社の普通株式の一部売出しを行いました。
また、楽天銀行株式会社は、オーバーアロットメントによる売出しに関連して、大和証券株式会社を割当先とする第三者割当増資を行いました。
加えて、当社は第4四半期連結会計期間に、当社が保有する楽天銀行株式会社の普通株式について、海外市場における売出しを行いました。
この結果、第4四半期連結会計期間末における当社グループの楽天銀行株式会社に対する議決権比率及び持分比率は100%から49.27%となりました。なお、当社グループは楽天銀行株式会社の議決権の過半数を所有していませんが、議決権の49.27%を所有し、議決権の分散状況を勘案した結果、当社グループが同社を実質的に支配していると判断し、連結子会社としています。
当該非支配持分との取引の概要は以下のとおりです。
(単位:百万円)
当社グループは、第4四半期連結会計期間に、当社の連結子会社である楽天証券ホールディングス株式会社が保有する楽天証券株式会社の普通株式のうち、発行済株式数の29.01%相当をみずほ証券株式会社に追加譲渡しました。この結果、当社グループの同社に対する議決権比率及び持分比率は80.01%から51.00%となりました。譲渡後も当社グループは楽天証券株式会社を支配しています。
当該非支配持分との取引の概要は以下のとおりです。
(単位:百万円)
53. 組成された事業体
(1) 連結している組成された事業体
当社グループは、信託を用いた債権の流動化や保有する投資ファンドによる投資等を行っており、当該信託や投資ファンド等を連結しています。
これらの流動化にかかる信託や投資ファンド等は、組成された事業体であり、その支配の決定に際して、議決権又は類似の権利が決定的な要因とならないように設計されていますが、当社グループが組成された事業体を支配していると判断しています。
連結しているこれらの組成された事業体の資産及び負債は、組成された事業体との契約に従い、利用がその組成の目的に制限されています。
当社グループが連結している組成された事業体の資産及び負債の帳簿価額は、以下のとおりです。
連結している組成された事業体の資産及び負債の帳簿価額
(単位:百万円)
(注) 前連結会計年度において「その他の金融資産」として計上していた968百万円は、金額的重要性が相対的に低くなったため、当連結会計年度において「その他」に含めて計上しています。
(2) 非連結の組成された事業体
当社グループは、銀行事業及び保険事業において、運用業務の一環として、組成された事業体への投資を行っています。これらの組成された事業体は、他社が組成した、オートローン、消費者ローン及び社債等の金銭債権、各種不動産物件、デリバティブ及びその他の債券等を裏付資産とする流動化商品であり、当社グループはこれらの信託受益権等を保有しています。これらの商品は、銀行事業及び保険事業におけるリスク管理の規定に従い、個別案件ごとに定期的な管理を行うことにより、財務状況の悪化等による回収懸念の早期把握や低減を図っています。
当社グループは、これらの組成された事業体に対して、保証やコミットメントの提供は行っていません。そのため当社グループが、これらの非連結の組成された事業体への関与によりさらされている損失の最大エクスポージャーは、信託受益権等への投資の簿価に限定されています。当該最大エクスポージャーは、生じうる最大の損失額を示すものであり、その発生可能性を反映するものではありません。
以下の表は、これら組成された事業体に対する当社グループの最大エクスポージャーを、組成された事業体が保有する資産別に集計したものです。
非連結の組成された事業体の帳簿価額及び当該関与から生じる損失に対する企業の最大エクスポージャー
(単位:百万円)
54. 関連当事者
当社グループと関連当事者との間の取引及び債権債務の残高等は、以下のとおりです。なお、当社グループの子会社は、当社の関連当事者ですが、子会社との取引は連結財務諸表上消去されているため、開示の対象に含めていません。
(単位:百万円)
(注) 1 前連結会計年度のその他の金融資産について、貸倒引当金を687百万円計上しています。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度の持分法で会計処理されている投資は、主に関連会社が行った増資を引き受けたものです。
3 前連結会計年度及び当連結会計年度の保証債務は、関連会社のリース負債に対する債務保証による保証債務残高です。
4 前連結会計年度及び当連結会計年度のコミットメントは、関連会社に対する貸出コミットメントラインに係る未実行残高です。
(単位:百万円)
(注) 1 前連結会計年度及び当連結会計年度の営業費用は、主に西村あさひ法律事務所・外国法共同事業への弁護士報酬費用等であり、一般的な取引条件と同様に決定しています。
2 前連結会計年度及び当連結会計年度の銀行事業の預金は、主に合同会社クリムゾングループ等からの預金の預かりによるものです。
3 当連結会計年度において、2023年5月16日開催の取締役会の決議に基づき、当社普通株式について第三者割当により1株当たり566円で、有限会社三木谷興産に対し26,501,700株、有限会社スピリットに対し26,501,700株を割り当て、新株を発行しました。なお、1株当たりの発行価格は、2023年5月24日を算定基準日とする価格にディスカウント率を乗じた価格としています。
4 当連結会計年度の資本剰余金は、西村あさひ法律事務所・外国法共同事業への第三者割当による新株の発行に係る弁護士報酬費用であり、一般的な取引条件と同様に決定しています。なお、税効果考慮後の額を資本剰余金から控除しており、税効果考慮前の額は72百万円です。
(3) 経営幹部の報酬
経営幹部に対する報酬は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(注) 経営幹部に対する報酬は、当社の役員及びその他の経営幹部に対する報酬です。短期従業員給付には、使用人兼務取締役の使用人分賞与を含んでいます。
55. 企業結合
前連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
Robin Systems, Inc.との企業結合
① 被取得企業の名称及び事業の内容
被取得企業の名称:Robin Systems, Inc.
事業の内容:「Kubernetes」上におけるエンタープライズ及び5Gアプリケーションの展開、拡張、ライフサイクル管理を自動化するクラウドネイティブ機能の提供
② 企業結合を行った理由
楽天シンフォニーと協業関係を強化し、エンドツーエンドで完全自動化されたクラウドを通信事業者に提供するため完全子会社化しました。
③ 企業結合日 2022年4月1日
④ 企業結合の法的形式 株式の取得
⑤ 取得後の議決権比率 100%
⑥ 取得企業を決定するに至った根拠
当社の完全子会社であるRakuten Mobile USA LLCを通じて、現金を対価として株式を取得したことによります。
(2) 被取得企業の取得対価及びその内訳
(単位:百万円)
上記のほか、リテンションボーナスの支払40百万米ドルを企業結合とは別個に認識し、「営業費用」に4年間にわたり計上します。
(3) 取得関連費用
取得関連費用として7百万米ドルを「営業費用」に計上しています。
(4) 企業結合日に受け入れた資産及び負債の額は、以下のとおりです。
(単位:百万円)
(5) 発生したのれんの金額及び発生要因は、以下のとおりです。
① 発生したのれんの金額 29,082百万円
前連結会計年度において、公正価値評価の完了に伴い取得原価の配分が完了し、のれんの金額が確定しています。
② 発生要因
今後の事業展開によって期待される将来の超過収益力の合理的な見積りにより発生したものです。
(6) 当社グループに与える影響
企業結合が期首に行われたと仮定した場合の当社グループの売上収益及び当期利益に与える影響は軽微なため記載を省略しています。なお、当該企業結合が期首に行われたと仮定した場合の損益情報は、監査法人の監査を受けていません。
当連結会計年度(自 2023年1月1日 至 2023年12月31日)
該当事項はありません。
56. 後発事象
(1) 社債の発行
当社は、2024年2月6日に、以下のとおり米ドル建社債を発行しました。
(注) 当社が締結した複数の通貨スワップによる利率の加重平均
(2) 社債の買付
当社は、以下のとおり2024年満期米ドル建シニア債の現金対価による公開買付け(以下「本買付け」)を実施しました。
① 本買付けの実施理由
本買付けを実施することで、社債償還スケジュールの平準化コントロールを目指します。
② 買付に係る事項の内容
1) 買付対象債券
a) 2024年満期10.250%米ドル建シニア債(Rule 144A 債— CUSIP: 75102W AD0、ISIN:
US75102WAD02、Common Code: 254337714 及びReg. S 債— CUSIP: J64264 AC8、ISIN:
USJ64264AC82、Common Code: 254635782)(以下「10.250%債」)
b) 2024年満期3.546%米ドル建シニア債(Reg. S 債— CUSIP: なし、ISIN: XS2080765154、
Common Code: 208076515)(以下「3.546%債」、10.250%債と併せて以下「本外債」)
2) 残存金額
a) 10.250%債:950百万米ドル
b) 3.546%債:800百万米ドル
3) 買付対価
a) 10.250%債:1,006.76米ドル(注)1,2,3
b) 3.546%債:956.75米ドル(注)1,2,3
(注) 1 元本1,000米ドルに対する金額を記載しています。
2 未払利息を除きます。
3 早期応募プレミアム(本外債の元本1,000米ドル当たり30.00米ドル)を含んでいません。
4) 応募期間
2024年1月25日~2024年2月23日午後5時(アメリカ東部時間)
(注) なお、早期応募は2024年2月7日午後5時に終了しました。
5) 原資
手元資金並びに2027年満期米ドル建シニア債の発行による手取金を原資とします。
③ 応募結果
1) 応募元本金額
a) 10.250%債:600百万米ドル
b) 3.546%債:366百万米ドル
2) 当社グループに与える影響
本外債の購入金額(未払利息を含まない。早期応募プレミアムを含む。)として、合計983.2百万米ドルを支払いました。本買付により生じた社債償還損及びスワップ解約清算金等は合計で約41億円の損失となり、他の関連する損益とともに、2024年第1四半期連結会計期間の要約四半期連結損益計算書の「金融収益」及び「金融費用」に計上する見込みです。