当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものです。
(1)経営方針
当社は「幸せを、後世に。」のミッションの下、社会に根付く事業作りを通じ、時代を超えて人々の幸せに貢献します。また、豊かで幸せな未来を次の世代に紡いでいくため、ビジョンを「日本を変革する矢」とし、絶え間なき自己変革を繰り返しながら、日本を良くするための事業に挑戦し、日本のDX課題を解決する「産業DXカンパニー」として、各種事業を展開しております。
(2)経営環境及び経営戦略
創業以来、当社はDX及びマーケティングを中心にインターネットを活用した各種技術、ノウハウを蓄積し、その強みを活用して、「ホリゾンタルDX事業」及び「自動車産業DX事業」を運営しており、創業より増収を達成しております。
自動車産業においては、EVシフトをはじめとする巨大な構造変化の波が押し寄せており、また、個人による自動車保有の手段も多様化しており、オンラインでの車購入は相対的に市場全体に対する比率を高めていくことが予想されます。なお、国内の自動車販売市場においては年間の販売台数約625万台(注1)、市場規模は約17兆円(注2、3)が見込まれるなど大きな市場となっております。
また、国内DX市場においては、社会構造の変化やインターネットの普及に根ざした消費活動の多様化に伴い、市場規模は約2.7兆円(注4)まで成長しており、あらゆる企業においてDX推進をはじめとしたインターネットを活用した事業成長への投資活動は重要な経営課題となっています。
こうした環境下において、当社の自動車産業DX事業及びホリゾンタルDX事業は、全体観として巨大かつ長期的な事業的追い風の中で事業を運営しております。2020年12月期から2023年12月期における売上高のCAGR(注5)は45%(ホリゾンタルDX事業は23%、自動車産業DX事業は111%)となっており、今後も事業規模の成長が見込まれるものと思料いたします。
引き続き、当社はホリゾンタルDX事業を通じて様々な産業や事業者の課題を探索・発見し、解決を支援していくと共に、自動車産業DX事業を始めとした特定産業を深掘りするバーティカルなDX事業を開発していくことで、日本のDX前進に貢献してまいります。
こうした前提に立脚した上で、各事業について当社の経営戦略は以下となります。
①ホリゾンタルDX事業
当事業は、創業初期からこれまで取り組んできている事業です。「ホリゾンタルDX事業」は、創業以来培ってきたDXやデジタルマーケティングに関する技術・ノウハウを強みにして、顧客企業に対するコンサルティングサービスを主軸にしつつ、生成AIによる業務自動化支援、メディア開発・運営及びデジタル広告に関するソリューション提供を通じた事業支援を行っております。
当事業においては、デジタル戦略コンサルティングによる課題把握や解決策の特定能力を磨きつつ、自社メディアの強化として取り扱うテーマの拡大やコンテンツの拡充によるアクセス数の増加を行うとともに、DX・マーケティングコンサルティングを中心に、提供する支援メニューの増強を図ることで事業の模倣困難性を高め顧客企業との強い取引関係を築いていくことを戦略に据えております。
②自動車産業DX事業
当事業は、「おトクにマイカー 定額カルモくん」の事業運営を主軸として、個人向けに幅広い車種の新車及び中古車を対象としたマイカーのサブスクリプションサービスを提供しています。
当事業においては、マイカーの新しい利用手段や購買プロセスへの需要に応えるべく、個人の車購入のプロセスをDX化しマイカー購買の手間暇を省力化しております。なお、自動車金融商品の年間利用件数が約275万台(注6)、約7.5兆円(注7)の市場規模において、与信の弱い個人に対する自動車金融商品の提供可能性を模索することで、自動車領域における金融包摂サービスの提供を進めており、新車・中古車の販売市場における新たな市場創出に取り組んでおります。
引き続き契約件数を伸ばしていくとともに、顧客のニーズに応える商品ラインナップの拡充を進めてまいります。また、相対的に与信の弱い個人に向けたサービス開発に引き続き取り組み、当事業に申込みをしたものの審査に通過しない潜在的顧客層へのサービス提供を可能とすることで、事業規模を継続的に拡大させることを戦略に据えております。これまで蓄積してきた自動車購入プロセスのDX化ノウハウは、自動車販売事業者をはじめとした自動車産業関連事業者の生産性向上にも貢献可能であるため、こうした事業者に向けたDX支援の取り組みも模索してまいります。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、より高い成長性及び収益性を確保する観点から、主な経営指標として各セグメントにおける売上高成長率、営業利益を重視しております。また、売上高の継続的かつ累積的な増加を実現するため、ホリゾンタルDX事業は、顧客継続率、契約社数(注8)、自動車産業DX事業は、カスタマーチャーンレート、契約残高、延べ申込件数(注9)をKPIとしております。
KPIの推移
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2022年12月期 |
2023年12月期 |
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ホリゾンタルDX事業 |
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顧客継続率 |
92.41% |
92.74% |
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契約社数 |
169件 |
182件 |
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自動車産業DX事業 |
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カスタマーチャーンレート |
0.21% |
0.21% |
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契約残高 |
4,784百万円 |
5,822百万円 |
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延べ申込件数 |
15.6万件 |
22.5万件 |
(注)1.出所:一般社団法人日本自動車販売協会連合会「新車・年別販売台数(2020年)」、株式会社矢野経済研究所「2021年版 自動車アフターマーケット総覧」
2.年間販売台数約625万台(注1)に普通乗用車、小型乗用車、軽乗用車及び中古車の平均購入価格(注3)約181万円(出所:総務省統計局「政府統計の総合窓口(2020年)」)を乗じ、自動車整備市場規模約5.6兆円(出所:株式会社矢野経済研究所「2021年版 自動車アフターマーケット総覧」)を加えて当社が推計。
3.平均購入価格は、普通乗用車、小型乗用車、軽乗用車及び中古車それぞれの平均購入価格を年間販売台数に応じて加重平均にて推計。
普通乗用車、小型乗用車、軽乗用車の平均購入価格及び年間販売台数(出所:総務省統計局「政府統計の総合窓口(2020年)」)
中古車の平均購入価格及び年間販売台数(出所:株式会社矢野経済研究所「2021年版 自動車アフターマーケット総覧」)
4.出所:株式会社富士キメラ総研『2023 デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望市場編/ベンダー戦略編』まとまる(2023/3/17発表 第23032号)
5.CAGRは、年平均成長率を示す指標であり、2020年12月期において「収益認識に関する会計基準」を適用した場合の売上高より計算を行っております。
6.年間販売台数約625万台(注1)と現保有車購入方法の金融商品利用率約44%(出所:一般社団法人日本自動車工業会「2021年度乗用車市場動向調査」)を乗じて当社が推計。
7.販売市場規模約17兆円(注2、3)と現保有車購入方法の金融商品利用率約44%(出所:一般社団法人日本自動車工業会「2021年度乗用車市場動向調査」)を乗じて当社が推計。
8.契約社数とは、ホリゾンタルDX事業コンサルティング関連サービスについて、各期間に取引実績のあった社数です。
9.延べ申込件数とは、過去累計で獲得した申込件数です。
10.自動車販売市場における市場規模については、当社が外部の統計資料を基に推計したものであり、実際の市場規模と異なる可能性があります。
(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
①人材の採用と育成
当社の継続的な事業成長の実現に向けて、DXに造詣の深い多様な人材を採用し、強い組織体制を整備することが重要であると認識しております。積極的な採用活動を推進していく一方で、従業員が中長期にわたって活躍しやすい環境の整備、人事制度の構築やカルチャーの推進等を継続して進めてまいります。
②情報管理体制の強化
当社は、提供するサービスに関連して多数のユーザー企業の機密情報や個人情報を取り扱っております。これらの情報資産を保護するため、情報セキュリティ規程を定め、本規程に基づき情報資産を適切に管理、保護しております。今後も社内教育・研修の実施のほか、システムの強化・整備を実施してまいります。
③規律的な投資による利益及びキャッシュ・フローの創出
当社は事業拡大を目指し、広告宣伝費をはじめとした顧客獲得活動等に積極的に投資を行った結果、過年度より継続して営業損失を計上しております。
自動車産業DX事業におけるサブスクリプションサービスは、そのチャーンレートの低さから累計契約件数が増加すれば収益が積みあがるストック型の事業モデルである一方で、顧客獲得費用が先行して計上される特徴があり、契約獲得にあたり赤字が先行することが想定されています。
先行投資に関しては、今後の資金繰りに支障が無いように資金調達を実施しており、当該先行投資の結果として売上も伸長しております。
サブスクリプションサービスの拡大に向けては、投資効率を測る指標として契約価値粗利(CV)と顧客獲得コストのバランスが重要な指標となるため、当社ではこれを重要指標としてモニタリングを行っています。ホリゾンタルDX事業との収支バランスにも配慮しつつ、一定の投資採算を満たした場合に規律的に投資していくことが、中長期的に利益及びキャッシュ・フローの最大化に寄与するものと考えております。
当社のサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
(1)ガバナンス
当社は、持続的な企業価値の最大化を図るため、サステナビリティ推進体制を強化しており、人事本部管掌のプロジェクトチームによりサステナビリティに関する議論を行っております。特に重要な課題については取締役会へ報告され、取締役(監査等委員を含む)による協議を行っております。
(2)戦略
当社は「幸せを、後世に。」のミッションの下、社会に根付く事業作りを通じ、時代を超えて人々の幸せに貢献します。また、豊かで幸せな未来を次の世代に紡いでいくため、ビジョンを「日本を変革する矢」とし、絶え間なき自己変革を繰り返しながら、日本を良くするための事業に挑戦し、日本のDX課題を解決する「産業DXカンパニー」として、各種事業を展開しております。
今後に関しては、引き続き社員に向けてミッション・ビジョン・バリューの浸透を進めつつ、以下4点について重点的に取り組みます。
挑戦のサイクルを仕組み化し数と質を高める
社員一人ひとりの成長が事業成長に大きく影響する企業規模であるため、各自がより高みを目指して挑戦し、大きな壁に挑むことが当たり前になる風土づくりを推進します。
マネジメント層の育成を強化し再現性ある強い組織へ
組織内からマネジメント人材を育成し、個の可能性を最大化させるマネジメント教育やフィードバック研修などを実行します。
多様な人材の活躍で非連続の事業成長を描く
前例のない事業・組織課題に対し、多様な価値観による集合知で課題解決を行っていくため、どんなバックボーンの人でも思い切り活躍できるオープンな組織を作ります。
生成AI活用を推進し全社生産性を向上
当社は、生成AIの登場を好機と捉え、社員全員が生成AIを活用できるスキルを習得し、さらに働き方をアップデートしていくことを中長期のテーマにします。
(3)リスク管理
当社において、全社的なリスク管理は代表取締役を中心としたリスク・コンプライアンス委員会にてモニタリングを行っており、特に重要なリスク項目については管理状況が取締役会へと報告され、取締役(監査等委員を含む)による協議を行っております。また、サステナビリティに係るリスクの識別、優先的に対応すべきタスクの絞り込みについては、当社に与える財務的影響、当社が環境・社会に与える影響などの発生可能性を踏まえ行われ、重要なリスク項目については取締役の協議を経て、戦略・計画に反映され、取締役会に報告・監督されます。
(4)指標及び目標
当社は、人材の多様性の確保が重要と考えており、次の指標を用いております。当該指標に関する実績は以下のとおりであります。なお、今後、プロジェクトチームにおける議論を経て、必要に応じて各指標の目標設定を行います。
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指標 |
実績(2023年12月期) |
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eNPS |
-14.35(上図参照) |
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正社員(男性)の平均勤続年数 |
3.0年 |
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正社員(女性)の平均勤続年数 |
2.7年 |
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正社員における女性比率 |
43.5% |
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管理職に占める女性労働者の割合 |
15.8% |
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女性労働者の育児休業取得率 |
100% |
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男性労働者の育児休業取得率 |
100% |
当社の事業展開上のリスク要因となる可能性があると考えられる主な事項を以下に記載しております。また、必ずしも事業展開上のリスクに該当しない事項についても、投資者の投資判断上、有用であると考えられる事項については、投資者に対する積極的な情報開示の観点から記載しております。
なお、当社はこれらのリスク発生の可能性を認識したうえで、発生の回避及び発生した場合の対応に努める方針ですが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載内容を慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。
また、以下の記載は当社株式への投資に関するリスクをすべて網羅するものではありません。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、不確実性を内包しているため、実際の結果とは異なる可能性があります。
(1)事業運営上のリスク
①マーケティング及び自動車関連の市場について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社が事業展開するインターネット広告・アプリ広告・メディア領域等を中心とするマーケティング関連市場は拡大を続けておりますが、当社の事業の更なる発展のためには市場の更なる拡大が必要であると考えております。また、当社の自動車産業DX事業の属する自動車市場においては、消費者ニーズの多様化が加速するだけでなく、自動車販売事業者のDXによる業務プロセスの効率化、非対面販売における顧客の利便性向上の需要の高まりにより、当社の提供するサブスクリプションサービスの事業展開においても関連する市場が変化していくものと考えており、当社は自動車販売プロセスのDX化ノウハウの活用に努めてまいります。しかしながら、当社が環境変化に適切に対応できなかった場合、又は、予期せぬ原因により関連市場の成長が鈍化した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②他社との競合や技術革新等について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社が事業展開するマーケティング関連市場では、生成AIの急速な普及スピードを鑑みても技術革新や顧客ニーズの変化のスピードが非常に速く、当社においては、関連事業の運営者がその変化に柔軟に対応するだけでなく、最新の技術動向や環境変化を常に把握できる体制の構築、優秀な人材の確保及び教育等により技術革新や顧客ニーズの変化に迅速に対応し、既に有する様々なノウハウや技術とともに提供可能なソリューションを増加できるよう努めております。また、当社が事業展開する自動車関連市場では、既存の事業者に加えて新興事業者や異業種からの参入も多く、当社においても競合他社との差別化や消費者動向の変化へ迅速に対応しております。しかしながら、競合参入による競争の激化や、技術革新や顧客ニーズの変化に当社が対応できない場合、又は、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多額の費用を要する場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
③先行投資に係るリスク
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の自動車産業DX事業は、開発人材及び営業人材の採用、広告宣伝活動等の先行投資を必要とする事業であり、2023年度における自動車産業DX事業の広告宣伝費は1,026,690千円となり、結果として当事業は営業損失を事業開始以降継続して計上しております。今後もより多くの顧客の獲得を目指し、営業や開発等における優秀な人材の採用・育成を計画的に行うとともに、知名度と信頼度の向上のための広報・PR活動、顧客獲得のためのマーケティングコスト投下等を効果的に進め、中長期的な売上高拡大及び収益性の向上に向けた取り組みを行っていく方針です。しかしながら、想定どおりの採用・育成が進まない場合、マーケティングPR等活動の効果が得られない場合等には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また資金面においては、2023年度に新規上場等による資金調達を完了しており、2023年度末の現金及び預金は2,138,322千円になります。そのため、キャッシュ・フローを十分に確保できていると考えており、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないと判断しております。
④外部事業者への依存に関するリスク
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の展開する事業全般にわたって、インターネット上におけるマーケティングのソリューション提供やユーザー獲得等において、グローバルに事業展開する巨大企業が提供する検索エンジンサービスを活用しており、当該検索エンジン事業者による検索に関するアルゴリズム変更等へ対応が求められます。また、主にアプリケーションに関連したソリューション提供やメディアの運営等において、グローバルに事業展開する大手テクノロジー企業やプラットフォーム運営事業者による運営方針の変更が生じた場合に対応が求められる場合があります。これらの外部事業者の動向に対しては常に注意を払い、適切な対応を講じてまいりますが、当社の環境変化への対応が遅れた場合、又は、変化への対応のためにシステム投資や人件費等多額の費用を要する場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤当社の事業提携先との関係について
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社の自動車産業DX事業は、「おトクにマイカー 定額カルモくん」を提供するために、オリックス自動車株式会社を中心とした金融事業者との事業連携等の戦略的な提携先との密な関係性を構築することにより、申込から納車にいたるまでの手続をオンライン主体で行うとともに、顧客の自宅に納車するオペレーションを構築しております。かかる提携先との良好な関係の維持に努めますが、関係性が、当社の想定どおりに顧客基盤の拡大に寄与しない場合や提携先との関係が悪化した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥車両の確保に関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の自動車産業DX事業は、新車・中古車両をサブスクリプションサービスの対象として取り扱っております。当社では取引先との関係を密接に保つとともに効率的なオペレーションの構築を行うことによりサービスの安定的な提供に努めてまいりますが、需要の急増や自動車メーカーの出荷停止による車両の不足や天災地変、その他の要因によりサブスクリプションサービスの対象となる車両の確保に重大な支障をきたした場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、当社は中古車売買のための古物商許可(古物営業法、東京都公安委員会所管)を取得しており、これまで許可の取り消しを受けたことはありませんが、今後、欠格事由又は取消事由に該当する事実が発生し、許可取消等の事態が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑦取引先の選定、与信のリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、取引先の選定にあたって事前の与信調査を可能な範囲で行っておりますが、通常予測し得ない何らかの事情により取引先の与信が低下し、債権回収不能等による経済的損失が発生した場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社の自動車産業DX事業の顧客に対する与信判断は、提携金融事業者にて行われているため、提携金融事業者の与信判断基準が何らかの事情により変更された場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑧メンテナンスサービスに関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の自動車産業DX事業は、顧客に対して、整備費用等のメンテナンスサービスを中心としたオプションをリース期間にわたり提供し、顧客からその対価として定額の月額料金を受領しております。メンテナンスサービスについて整備費用の単価及び利用回数に制限を設けておりますが、整備件数の増加や整備費用の単価上昇等を原因として、整備費用等の原価が想定より著しく増加した場合には、メンテナンスサービスに関して想定していた収益性を確保することができず、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑨記事作成などの品質管理リスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:低
記事等のコンテンツ制作を行う場合は、法令遵守及び高い品質を保つため、社内マニュアルに沿った運用を通して検査を行っております。コンテンツに携わる外部委託が発生する場合も同様です。しかしながら、掲載したコンテンツに誤りや著作権法違反等が発生した場合、損害賠償請求を受けることも考えられ、その場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑩インターネット接続・利用やシステムに関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社が提供するサービスは、インフラとしてのインターネットの通信環境に影響を受けており、インターネットに障害等が発生した場合や、ネットワーク事業者によるインターネット接続サービスの内容や価格の変更、法規制等の動向によって、当社が提供するサービスの質が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。また、当社はシステムトラブルの発生可能性を低減するために、安定的運用のためのシステム強化、セキュリティ強化を行っており、トラブルが発生した場合においても短時間で復旧できるような体制を整えております。しかしながら、システムへの一時的な過負荷や電力供給の停止、ソフトウェアの不具合、コンピュータウイルスや外部からの不正な手段によるコンピュータへの侵入、天災地変その他の要因によりシステムがダウンした場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑪法的規制等に関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
現時点では、当社の事業継続に著しく重要な影響を及ぼす法的規制はありませんが、当社が提供するサービスは、「個人情報の保護に関する法律」、「著作権法」、「不当景品類及び不当表示防止法」等の規制を受けております。今後法的規制等の改正や業界の自主ルールが整備されることなどにより、当社の事業が何らかの制約を受けることとなった場合や規制強化等の対応が求められることとなった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑫訴訟に関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、リスク・コンプライアンス委員会で訴訟リスクを含むリスク管理の全社的推進を行う他、契約等を進めるには法務確認が入るフローが確立されており、訴訟リスクの低減が図られております。しかしながら、後述する個人情報の不正アクセスによる情報流出、知的財産権の侵害や当初予想し得ないトラブルの発生等による訴訟リスクが考えられ、その場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑬税務上の繰越欠損金
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、税務上の繰越欠損金を有しております。当社の業績が順調に推移することで繰越欠損金を上回る課税所得が発生した場合には、所定の税率に基づく法人税等の納税負担が発生するため、当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
⑭金利変動に関するリスク
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社では、資金調達を主に銀行借入により行っており、借入金残高は減少しておりますが、金利変動リスクがあります。金利上昇によるコストの増加を事業活動において吸収できない場合は、財政状態及び経営成績に影響を与える場合があります。
⑮風評被害に関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
法令遵守違反などの不適切な行為が発覚した場合は、速やかに適切な対応を図ってまいりますが、当社に対する悪質な風評が、マスコミ報道やインターネット上の書き込み等により発生・流布し、また商号等を騙った詐欺又は詐欺的行為が発生した場合は、それが正確な事実に基づくものであるか否かにかかわらず、当社の社会的信用が毀損し、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。当社では、サービスの質の向上に努めるとともに定期的にインターネット上の風評を調査し、これらの風評の早期発見及び影響の極小化に努めております。
(2)会社組織に関するリスク
①内部管理体制に関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、コーポレート・ガバナンス体制の充実を重要な経営課題と認識しており、今後の事業拡大に対応するため、内部管理体制の充実を図っていく方針です。しかしながら、当社の急速な事業展開及び会社規模の拡大に内部管理体制の整備が追いつかなかった場合には、業務運営に支障をきたし、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②人材の採用・育成に関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社が、今後とも企業規模を拡大していくためには、当社のミッション、ビジョン、バリューに共感し、当社のカルチャーに適合する高い意欲を持った優秀な人材を確保することが必要不可欠です。当社は、会社規模拡大やサービス向上に必要な優秀な人材の確保のため、今後も必要に応じて採用活動を行っていく予定ではありますが、人材獲得競争の激化や市場ニーズの変化等により、優秀な人材が十分に獲得できなかった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
入社後には入社時研修や人事によるオンボーディングプロセスのサポート、現場OJTを通して、早期に本人のパフォーマンスを最大限に活かして活躍できるよう対応しておりますが、採用時にミスマッチが発生し、育成スピードが期待に満たない場合には、活躍できるまでに時間を要したり、場合によっては本人判断で離職してしまうことがあります。その場合、増員によって期待された事業成長が一時的に減速し、生産性が低下する可能性があります。
また、社内での継続的な成長支援や将来に向けてのキャリア開発支援についてもさまざまな施策を行い注力しておりますが、市場トレンドの変化が早く、人材の流動性も非常に高い業界でもあることから、長く在籍し活躍している社員が、新たな環境・新たなチャレンジの機会を求めて離職してしまうことで一時的に業績や生産性に悪影響が出る可能性があります。
③特定人物への依存に関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の代表取締役社長である高橋飛翔は、当社設立以来当社の事業に深く関与し、マーケティング全般に関する豊富な知識と経験を有しており、経営戦略の構築やその実行に際して重要な役割を担っております。当社は、特定の人物に依存しない体制を構築すべく組織体制の強化を図り、高橋飛翔に過度に依存しない経営体制の整備を進めておりますが、何らかの理由により高橋飛翔の当社における業務執行が困難になった場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
④個人情報を含む顧客情報等の管理体制に関するリスク
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:大
当社は、自社事業において会員等の個人情報(氏名、メールアドレス、住所等)を取得しているため、「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課されております。当社では、個人情報及び顧客の企業情報等の管理について、法令を遵守し、アクセス権限設定、従業員の行動管理等、情報の取扱いには細心の注意を払い、最大限の取組みを行っております。しかし、万一、外部からの不正アクセスやオペレーションミスなどにより情報の外部流出が発生した場合には、当社に対して損害賠償請求がなされ、また訴訟等により、社会的信用を失う可能性があり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑤知的財産権の管理に関するリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は、第三者に対する知的財産権を侵害することがないように常に細心の注意を払って事業活動を行っております。現在までのところ、当社の認識する限り、第三者の知的財産権を侵害したこと及び侵害を理由とした損害賠償等の訴訟が発生している事実はありませんが、今後当社の調査・確認漏れ、不測の事態の発生等により、第三者の知的財産権に抵触する等の理由から、損害賠償請求や使用差止請求等を受けるような事態が発生した場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(3)その他のリスク
①調達資金の使途について
発生可能性:中、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
上場時の公募増資等により調達した資金の使途については、充分な検討を重ねた上で主に専門性の高い優秀な人材の確保に係る採用費及び人件費、主に自動車産業DX事業における新規顧客獲得のための広告宣伝費に充当する予定です。
しかしながら、急激な経営環境に柔軟に対応するため、計画以外の目的で使用する可能性もあります。その場合は速やかに資金使途の変更について開示を行う予定であります。また、当初の計画に沿って資金を使用した場合においても想定した投資効果が得られない可能性があります。
②配当政策
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社は創業以来配当を実施しておらず、当面は内部留保による財務体質の強化及び将来の事業展開のための投資に充当することにより、更なる事業拡大を目指すことが、株主に対する利益還元につながると考えております。中長期的には株主への利益還元については、重要な経営課題として捉え、財政状態及び経営成績を勘案しつつ配当の実施を検討してまいりますが、利益計画が当社の想定どおりに進捗せず、今後安定的に利益を計上できない状態が続いた場合には、配当による株主還元が困難となる可能性があります。
③新株予約権の行使による株式価値の希薄化について
発生可能性:高、発生可能性のある時期:1年以内、影響度:小
当社は、当社の役員、従業員、外部協力者に対して新株予約権を付与しており、本書提出日現在における新株予約権による潜在株式数は815,200株であり、発行済株式総数8,536,800株の9.5%に相当しております。
今後もストック・オプションとしての新株予約権を付与する可能性があります。これら既存の新株予約権や将来付与する新株予約権が行使された場合には、当社株式の1株当たりの株式価値が希薄化し、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
④ベンチャーキャピタル等の株式所有割合
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:小
当社の発行済株式総数に対するベンチャーキャピタル及びベンチャーキャピタルが組成した投資事業組合(以下「ベンチャーキャピタル等」という。)の2023年12月31日現在における当社株式の所有割合は24.2%であります。当社株式の株価推移によっては、ベンチャーキャピタル等が所有する株式の全部又は一部を売却する可能性が考えられ、その場合、株式市場における当社株式の需給バランスが一時的に損なわれ、当社の株価に影響を及ぼす可能性があります。
⑤M&A及び資本業務提携
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社は、成長戦略の一つとして、既存事業の関連分野におけるM&Aや資本業務提携について検討しております。現時点で、業績に影響を及ぼすM&A等の計画がないことからリスクが顕在化する可能性は低いと考えておりますが、今後M&A等が実施され、その後における事業環境の急速な悪化や想定外の事態の発生等により、取得した事業の損益が当初の目標どおりに推移しない可能性、のれんの減損が必要になる等、特別損失の計上により当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
⑥自然災害等のリスク
発生可能性:低、発生可能性のある時期:特定時期なし、影響度:中
当社の事業の遂行は、インターネットや第三者が提供するクラウドサーバー等に依存しています。当社では、定期的なデータのバックアップ、システムの稼働状況の常時監視等により、自然災害等による事業への障害発生を事前に防止し又は回避するよう努めておりますが、地震、火山、台風、大雨、大雪、火災、洪水等の自然災害、事故、人為的なミス等が発生した場合には、インフラの使用不能又はソリューションの開発及び改良の遅延や中断が生じること等により、事業を継続することができない等の支障が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①経営成績の状況
当社は「幸せを、後世に。」のミッションの下、社会に根付く事業作りを通じ、時代を超えて人々の幸せに貢献します。また、豊かで幸せな未来を次の世代に紡いでいくため、ビジョンを「日本を変革する矢」とし、絶え間なき自己変革を繰り返しながら、日本を良くするための事業に挑戦し、日本のDX課題を解決する「産業DXカンパニー」として、各種事業を展開しております。
創業以来、当社はDX及びマーケティングを中心にインターネットを活用した各種技術、ノウハウを蓄積し、その強みを活用して、「ホリゾンタルDX事業」及び「自動車産業DX事業」を運営しております。今後も様々な領域で画期的な事業を生み出し続ける「事業家集団」として、デジタルマーケティングの知見を駆使した事業作りを続け、社会をより良く変えていくべく、取り組んでまいります。
当事業年度における日本経済におきましては、新型コロナウイルス感染症の第5類移行に伴い、対面イベントの増加、またインバウンド需要の回復などにより経済活動の正常化が進み、景気に緩やかな持ち直しの動きが見られました。一方で世界情勢におきましてはロシアによるウクライナ侵攻は収束の兆しが見えず、また中東ガザ地区においても紛争が勃発しております。これら情勢の影響による食料・エネルギー価格の高騰を原因とした物価上昇は消費動向にも一定の影響を与えており、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。
このような環境のなか、当社が手掛ける事業は全体として堅調に推移し、全社として大幅な増収と赤字幅の縮小を実現しました。ホリゾンタルDX事業については、DX&マーケティング事業は体制拡充と受注の進捗により売上・利益ともに大幅に伸長するとともに、メディア&ソリューション事業については、運営するメディアのトラフィックも上昇傾向にあり、またデジタル広告ソリューションの売上が大幅に伸長し、事業全体としては着実に成長いたしました。また、自動車産業DX事業については、新車の半導体不足による新車納期の長期化については緩和されつつありますが、納期が明確な中古車ニーズが依然堅調に推移しております。当社では、ユーザー基盤の更なる拡大のため新車・中古車の契約獲得に注力し、サブスクリプション契約締結に伴う初期紹介手数料の向上や、広告宣伝費の抑制的なコントロールを通じた採算性の向上を実現し、結果として売上の大幅な成長と赤字幅の縮小を実現しました。
その結果、当事業年度における売上高は5,244,053千円(前年度比26.7%増)、営業損失は677,163千円(前年度は1,336,839千円の営業損失)、経常損失は738,701千円(前年度は1,354,022千円の経常損失)、当期純損失は743,211千円(前年度は1,355,440千円の当期純損失)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
a.ホリゾンタルDX事業
ホリゾンタルDX事業は、創業以来培ってきたDXやデジタルマーケティングに関する技術・ノウハウを強みにして、顧客企業に対するコンサルティングサービスを主軸にしつつ、生成AIによる業務自動化支援、メディア開発・運営及びデジタル広告に関するソリューション提供を通じた事業支援を行っているDX&マーケティング事業と、アプリレビューサイト「Appliv」やスマートフォンユーザー向けに役立つ情報をお届けする「Appliv TOPICS」などの情報メディア運営や、デジタル広告ソリューション「NYLE TRIDE」の提供を中心としたメディア&ソリューション事業から構成されています。
当事業年度においては、DX&マーケティング事業において、既存顧客に対するアップセルが順調に拡大を続けたことを主な要因として、受注は堅調に拡大しました。また、コンテンツ体制の拡充を中心とした採用計画は予定通りに進捗したことで、当事業としてのサービス提供体制は順調に拡大しました。その結果、受注の増加とサービス提供体制の拡充がバランス良く進捗したことにより、売上・利益ともに大幅に伸長しました。
またメディア&ソリューション事業において、情報メディアでは編集を中心とした組織体制の強化により、記事制作体制を一層強固なものとしてまいりました。主要検索エンジンにおけるアルゴリズムのアップデートの影響を受け「Appliv」にてトラフィックが一時停滞したものの、各種メディアへのコンテンツ投資強化により「Appliv TOPICS」をはじめとした他メディアにおけるトラフィックは上昇傾向にあり、メディア全体としてのトラフィックは上昇トレンドを形成しております。またデジタル広告ソリューション「NYLE TRIDE」では、既存広告主(クライアント)からの広告需要拡大により広告の取扱高は大幅に増加し、かつ当事業年度にて注力してまいりました複数の中規模案件を柱とする売上全体の構成戦略が、顧客基盤の拡大等の結果としても表れております。当事業全体としては売上・利益ともに大幅な成長を実現しました。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高は2,701,043千円(前年度比19.5%増)、セグメント利益は686,360千円(前年度比73.8%増)となりました。
b.自動車産業DX事業
自動車産業DX事業は、DX及びマーケティングの知見を活用して、自動車産業のDX化を推進する事業として、2018年に立ち上げた事業です。当事業では、「おトクにマイカー 定額カルモくん」の事業運営を主軸として、個人向けに幅広い車種の新車及び中古車を対象としたマイカーのサブスクリプションサービスを提供しています。従来、個人が自動車を購入する際には、ディーラーや自動車販売店の店舗を訪問する必要がありました。また、 ディーラーや自動車販売店が取り扱うローンやリースなどの金融商品は、各社の提携ファイナンス会社が提供するケースが多く、与信の弱い個人は自動車金融商品を活用できない場合があります。当事業では、個人の車購入におけるあらゆるプロセスをDX化することで、マイカー購買の手間暇を省力化するとともに、与信の弱い個人に対する自動車金融商品の提供可能性を模索することで、自動車領域における金融包摂サービスの提供を進めており、新車・中古車の販売市場における新たな市場創出に取り組んでおります。
ビジネスモデルとしては、車両本体に加えてマイカーの利用中に発生する維持管理コスト等も含めて月額定額のサブスクリプションとするオプションなども幅広く提供しており、顧客のニーズに沿ったプラン設計を行うことが可能です。当事業では、当社が提携する金融事業者と顧客間におけるリース契約の獲得を仲介することで、提携金融事業者からの初期紹介手数料として納車時にスポット収益を計上いたします。また、顧客が、当社が提携する金融事業者とリース契約を締結したリース車両について、整備費用等のメンテナンスサービスを中心としたオプションをリース期間にわたり提供しており、顧客からその対価として定額の月額収益を受領しております。
当事業においては、顧客獲得活動に係る費用が一時点で発生する一方、獲得された長期契約から生じる収益は契約期間にわたって計上されることから、拡大期においては費用が先行する構造にありますが、長期的な採算性を考慮して安定的な収益基盤構築に取り組んでおります。
当事業年度においては、ユーザー基盤の更なる拡大のため新車・中古車の契約獲得に注力するとともに、初期紹介手数料の向上や、広告宣伝費の抑制的なコントロールを通じた採算性の向上を実現し、結果として売上の大幅な成長と赤字幅の縮小を実現しました。
この結果、当事業年度の経営成績は、売上高は2,543,009千円(前年度比35.3%増)、セグメント損失は977,625千円(前年度は1,358,884千円のセグメント損失)となりました。
②財政状態に関する状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,943,396千円であり、前事業年度末に比べ438,566千円増加いたしました。現金及び預金が311,288千円増加したことが主な要因であります。
当事業年度末における固定資産は214,748千円であり、前事業年度末に比べ24,360千円増加いたしました。投資その他の資産が23,801千円増加したことが主な要因であります。
この結果、総資産は3,158,144千円となり、前事業年度末に比べ462,926千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は1,022,625千円であり、前事業年度末に比べ160,034千円増加いたしました。未払費用が62,130千円、未払法人税等が35,396千円増加したことが主な要因であります。
当事業年度末における固定負債は843,445千円であり、前事業年度末に比べ56,484千円増加いたしました。長期借入金が56,484千円増加したことが要因であります。
この結果、負債合計は1,866,070円となり、前事業年度末に比べ216,518千円増加いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は1,292,073千円であり、前事業年度末に比べ246,407千円増加いたしました。公募増資及び新株の発行により資本金及び資本準備金が991,067千円増加し、当期純損失を計上したことにより利益剰余金が743,211千円減少したことが主な要因であります。
この結果、自己資本比率は40.5%(前事業年度末は38.3%)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は2,098,322千円となり、前事業年度末に比べ311,288千円増加いたしました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
税引前当期純損失738,903千円、棚卸資産の増加額69,865千円があった結果、営業活動によって支出した資金は668,231千円(前事業年度は1,472,040千円の支出)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
定期預金の払戻による収入40,000千円、定期預金の預入による支出40,000千円、投資有価証券の取得による支出3,000千円があった結果、投資活動によって支出した資金は841千円(前事業年度は95,053千円の収入)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
新規上場等の新株の発行による収入979,755千円、長期借入れによる収入400,000千円、長期借入金の返済による支出368,168千円があった結果、財務活動によって増加した資金は980,361千円(前事業年度は946,762千円の収入)となりました。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当事業年度の受注実績は、次のとおりであります。なお、「自動車産業DX事業」は当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載を省略しております。
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セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|||
|
受注高 (千円) |
前年同期比(%) |
受注残高 (千円) |
前年同期比(%) |
|
|
ホリゾンタルDX事業 |
1,552,198 |
144.2 |
621,115 |
155.3 |
|
自動車産業DX事業 |
- |
- |
- |
- |
|
合 計 |
1,552,198 |
144.2 |
621,115 |
155.3 |
(注)金額は販売価格によっております。当社はセグメント間の取引についてはありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
|
セグメントの名称 |
当事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
|
|
金額(千円) |
前年同期比(%) |
|
|
ホリゾンタルDX事業 |
2,701,043 |
119.5 |
|
自動車産業DX事業 |
2,543,009 |
135.3 |
|
合計 |
5,244,053 |
126.7 |
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
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相手先 |
前事業年度 (自 2022年1月1日 至 2022年12月31日) |
当事業年度 (自 2023年1月1日 至 2023年12月31日) |
||
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金額(千円) |
割合(%) |
金額(千円) |
割合(%) |
|
|
オリックス自動車株式会社 |
1,103,996 |
26.7 |
1,614,686 |
30.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、重要となる会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積りを行っておりますが、見積りの不確実性により、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
③資本の財源及び資金の流動性
当社は、主に自動車産業DX事業において、認知度の向上及びユーザー数の拡大をすべく、積極的に広告宣伝活動を実施してまいりましたが、今後も広告宣伝投資を継続して実施する方針です。当社の資金需要の一定割合は広告宣伝投資であり、必要な資金は自己資金、金融事業者からの借入及びエクイティファイナンス等で資金調達していくことを基本方針としております。なお、これらの資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定であります。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」をご参照ください。
⑤経営者の問題意識と今後の方針に関して
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
提携契約
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相手先 |
国名 |
契約内容 |
契約期間 |
|
オリックス自動車株式会社 |
日本 |
自動車サブスクリプションサービスにおける業務提携 |
2022年12月12日より2年、ただし毎年自動更新 |
該当事項はありません。