文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループのパーパスは、「お客様企業のパーパスすべてが、私たちのパーパスです。」
全社員の大事な価値観である「つながり」と「成長」をコア・バリューとして中心に置き、中堅・中小企業の情報システム部門に最も影響力のある会社となるビジョンを実現するために、当社の経営資源を集中しております。成長企業のコーポレートIT部門が抱える内部的な問題や課題の解消を通じて、顧客の事業変革「デジタルトランスフォーメーション」を支援いたします。同時に、顧客への支援業務を通じて当社グループの社員が成長し続けることを牽引し、自律的・主体的に仕事を推進できる人材の育成に努めます。
当社グループの経営方針を実現していくために、中堅・中小の成長企業に特化して顧客開拓を行います。従業員数50名~1,000名の事業会社を中心に、大企業の特定事業内におけるコーポレートIT部門及び関連する子会社などの顧客獲得を行います。これまで、中堅・中小企業への情報システムサポートビジネスは、取引が小口でありながらも業務範囲は広く、かつ、スピードや柔軟さが要求されるため、事業化が困難とされてきた領域であります。当社グループは、独自に積上げた経験とノウハウ「シェアード・エンジニアリング」によって事業化を実現し、中堅・中小企業の顧客ニーズにマッチするサービスを継続的に開発してまいりました。
今後も、このシェアード・エンジニアリングを基盤技術として、主力事業であるコーポレートIT部門の業務支援事業の拡大を中心に、特化型サービスや新規事業を立ち上げ、企業グループとしての価値の向上を図ってまいります。継続して中堅・中小の成長企業支援を通じて社会に必要とされる事業を創出し、「中堅・中小・成長企業のコーポレートIT領域で日本一の企業グループ」となることを目指してまいります。一つの指標としては、2033年社員1,000名を当社グループビジョンとしております。
当社グループでは、いかに人材を採用し育成するかということが常に最も重要な課題の一つです。事業を拡大させていくためには、社員の育成・定着に加えて、人材の確保が必要となるため、コーポレートIT部門の業務支援事業におけるシェアード社員の人員数を重要な指標であると認識しております。また、人員数の他、会員数及びシェアード社員の稼働1時間あたりの売上高を指標としております。
また、高品質なサービスを安定的に提供していくためには、健全な財務基盤の維持が重要であると考えており、営業利益を収益性の指標としております。
当社グループのコーポレートIT部門の業務支援事業が位置するIT人材市場は、経済産業省「平成30年度我が国におけるデータ駆動型社会に係る基盤整備(IT人材等育成支援のための調査分析事業)」によると、IT需要の伸び率を中位(2~5%)とした場合、2030年度には約45万人が不足すると推測されております。
オープンデータによると、国内の事業会社を対象としたIT人材の過不足感については7割超が不足と捉えており、中でも大幅な不足と捉える企業の割合が増加するなどIT人材不足が大きな課題となっております(IPA「DX白書2023」:独立行政法人情報処理推進機構)。
現在、企業のIT活用は、業務の効率化・迅速な情報集約や業績把握・人材不足の解消等のプロセス効率化から、AI(人口知能)等の新技術を活用したビジネスモデル創出等の価値創造へ広がっており、また、サイバーテロ・情報セキュリティへの対応、情報リテラシーの教育など、IT部門に要求される内容はより複雑で高度なものとなっております。
コーポレートIT部門に関するサービス需要は継続して高い状態にあり、成長企業におけるIT活用への投資や組織拡大に対する意欲は今後も継続するものと見込まれるため、経営方針に注力することで堅実な成長戦略を達成できる環境であると考えております。
以下に挙げる課題は、本書提出日現在において当社グループが今後対応すべきであると考えている事項を記載しております。
当社グループの事業は、人によって売上をつくり、組織とサービスによって付加価値を生み社会の役に立つというものであり、人材の採用が常に最重要課題であります。
当社グループの事業内容、働き方、組織としての様々な取り組みなどが、求職者にとって決定的な魅力として伝わるよう、WEBサイト、採用メディア、SNS、個別の面談を通じた情報発信に力を入れております。また、選考の過程においては、求職者と当社のお互いが十分に納得できるまで丁寧に面談を繰り返すなど、採用ミスマッチの低減に努め、この過程において多くの既存社員が関与することで、組織としてのノウハウを積み重ねております。
IT人材の獲得競争がますます激化する中、優秀な人材を通年で安定的に採用するために、社内採用体制やプロセスを充実させ、広報活動にも力を入れるなど、採用市場におけるブランドの確立を図ってまいります。また、社内外の信頼できる人脈からの推薦によって採用を実現するリファーラル採用も積極的に推進し、人材の確保に努めてまいります。
② 人材の育成と定着
当社グループにおいて、人材を育成し定着率を高めることは、人材採用と同様に長期安定的な事業成長のための重要な課題であると考えております。
当社グループでは、ビジネスモデルや組織の在り方自体が社員にとって最大の魅力、最大の学習環境となるよう、事業づくりや組織づくりを推進してまいりました。一方で、IT人材の市場価値も高まっており、長期定着へ取り組み、離職率を一定の範囲内にとどめることが必須の命題でもあります。
当社グループでは、社員にとってより働きやすい環境の整備や、各種制度の充実、処遇の向上、特化型事業の複数立ち上げによるキャリアパスの多様化、経営陣との対話や専門スキルを深掘りする機会等を増やすなど、組織としての魅力をより高めるために、新たな取り組みを含め、今後も積極的に定着率の維持向上に注力してまいります。
当社の基幹技術となる「シェアード・エンジニアリング」のノウハウをさらに蓄積し、充実させていくことは当社事業の競争優位性を高めるうえでも必要不可欠です。当社サービスにおける事例をはじめ、事業スキームや社内制度・人事制度の改定、社内ITシステムへの投資等を通じて、ITや人材に関するノウハウを蓄積し、活用していくことで、更なるサービス品質の向上と競争優位性を高めてまいります。
「シェアード・エンジニアリング」を基盤とした新しいサービスの開発及び提供を行うことが課題であると考えています。新たに事業化したコーポレートIT内製開発支援をさらに拡大させるための体制強化に努めてまいります。また、当社の人材とWebサイトによる連携サービスの提供、当社が蓄積するIT及び中堅・中小企業のビジネスに関するノウハウを活用した新サービス等の開発に取り組んでまいります。
当社の「シェアード社員」サービスは、当社の人的・知的資源を時間単位で顧客に提供していることから、管理する基幹システムの稼働の安定性を確保することが重要な課題であると認識しております。リニューアルした基幹システムの安定稼働と、システム基盤及び機能の継続的な強化を図ってまいります。
当社グループは、各事業で提供するサービスの特性上、顧客の機密情報及び個人情報を多く取り扱っております。そのため、個人情報の取り扱い及び情報管理体制をさらに強化することが課題であると考えております。これら情報等の取り扱いについては、情報セキュリティマネジメントシステム国際規格(ISO/IEC27001)の認証を取得し、個人情報や機密情報に関する取り扱いを社内規程に定め、社内研修の実施等によりセキュリティ意識の喚起や情報リテラシーの向上に努めてまいります。
当社の「シェアード社員」サービスは、準委任契約により事業を行っております。「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」(昭和61年4月17日 労働省告示第37号)に従い、労働者派遣事業との違いを厳正に適用し、法令に則った事業運営が不可欠であります。そのため、法令遵守の体制をよりいっそう強化することが課題であると考えております。
社内においては、入社時研修や定期的な講習及び顧客ごとの定期的なアンケートによる全件調査など、継続的な周知徹底に努めてまいります。
当社グループが今後の事業環境の変化に対応し、また新たに事業拡大を進めるためには、内部管理体制を強化していくことが重要であると認識しております。内部統制の実効性を高め、コーポレート・ガバナンスを充実していくことで、リスク管理の徹底や業務の効率化を図ってまいります。
当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
当社グループは、経営の効率化、健全性、透明性を高め、長期的、安定的かつ継続的に株主価値を向上させる企業経営の推進がコーポレート・ガバナンスの基本であると考え、経営上の重要課題であると認識しております。
当社グループでは、現状、サステナビリティに関する基本方針等は定めておらず、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と区別せず一体的に監視及び管理しております。詳細は、
当社グループでは、人材を確保・育成し定着率を高めることが長期安定的な事業成長のための重要な課題であると考えております。ビジネスモデルや組織の在り方自体が、社員にとって最大の魅力であり最大の学習環境となるよう、事業づくりや組織づくりを推進しております。
学習環境を充実させる具体的な取り組みとしては、案件を自律的に決める組織風土の醸成、UGアカデミー(社内大学)のカリキュラムの充実や外部研修の活用、社員主催の勉強会や交流会、経験のシェアから学びを得る小グループ活動等を、継続して実施してまいります。
社内環境整備においては、社員同士の交流スペースやリモートワーク設備を有するオフサイトセンターの設置、育児・介護休業制度や短時間勤務制度の拡充等により、社員にとってより働きやすい環境の整備に取り組んでおります。また、株式報酬制度を含む処遇の向上、特化型事業の複数立ち上げによるキャリアパスの多様化、経営陣との対話や専門スキルを深掘りする機会等を増やすなど、組織としての魅力をより高めるために、新たな取り組みを含め、今後も積極的に定着率の維持向上に注力してまいります。
当社グループは、リスク回避及びリスク顕在化時の損害の最小化を目的に、リスク管理規程を定め、各部門長が潜在リスクの想定並びに顕在リスクの把握及び管理を行い、コンプライアンス・リスク委員会にてグループ全体のリスクを網羅的・統括的に管理しております。
当社グループでは、サステナビリティ関連のリスク及び機会を、その他の経営上のリスク及び機会と一体的に監視及び管理しております。詳細は、
当社グループの人材の育成及び社内環境整備に関する方針に係る指標について、具体的な取り組みを行っているものの、本報告書提出日現在においては当該指標についての具体的な目標を設定しておりません。今後、関連する指標のデータの収集と分析を進め、目標を設定し、その進捗に合わせて開示を検討してまいります。
本書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、投資者の判断に重要な影響を及ぼす可能性のある事項には、以下のようなものがあります。また、必ずしもそのようなリスク要因には該当しない事項につきましても、投資者の投資判断上、重要であると考えられる事項につきましては、投資者に対する積極的な情報開示の観点から以下に記載しております。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであり、将来において発生する可能性のあるすべてのリスクを網羅するものではありません。
当社は、中堅・中小企業を主要な顧客としております。中堅・中小企業向けの事業においては、国内外の経済情勢や景気動向等の影響を受けやすい傾向にあります。顧客において景気悪化に伴う、IT投資の縮小、内製化等により、当社の提供するサービス領域が減少する場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社のコーポレートIT部門の業務支援事業においては、IT人材不足を背景に、成長企業におけるIT投資や組織拡大に対する意欲が今後も継続すると見込んでおりますが、高品質なサービスを安定的に提供し、社会に必要とされる事業を推進することで、本リスクの低減に努めてまいります。
当社グループでは、コーポレートIT部門の業務支援事業のサービス提供において、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」(労働者派遣法)等の関係法規に照らし合わせ、労働者派遣事業とは区分される準委任契約での事業形態の遵守に努めております。しかしながら、予期しない当該法令の改正や新たな法令等の制定により当社の事業に何らかの制約を受ける場合、あるいは、コーポレートIT部門の業務支援事業において法規上の適格要件を欠く等の問題が生じる場合には、当社グループの事業及び業績に大きな影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、法令改正や新設等について事前の情報収集に努めており、法的規制に関する対応が必要となる場合には、速やかに経営判断を行うことで、事業活動へ及ぼすリスクを抑制するよう努めてまいります。
③ 自然災害、不測の事故等について
当社グループは、主に東京都内を中心にサービスを展開しております。この地域での大規模な地震、台風、津波等の自然災害、感染症の流行、テロや広域火災等不測の事故が発生した場合、正常な事業活動が困難となる恐れがあるため、当社の業績及び財政状態に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、このようなリスクの発生に対し、緊急時対策本部を設置し、速やかにその対応にあたる体制としております。また、大規模な自然災害においては、安否確認の実施手順や社内備蓄品等の整備、テレワーク環境の充実等、予防措置及び緊急対応ができる体制構築に努めております。
コーポレートIT部門の業務支援事業は、中堅・中小企業の領域において、一つ一つの取引規模が小さく、そのハンドリングや収益化が困難なビジネスモデルであります。将来にわたり成長が見込まれる市場であるため、国内外の事業者がこの分野に参入してくる可能性がありますが、先行して事業を推進していくことで、人や知識の共有など独自のノウハウを蓄積してきたことが優位性につながっており、実際に競合する状況も限定的であると考えております。
しかしながら、今後において十分な差別化や機能向上等が図られなかった場合や、新規参入により競争が激化した場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループのITや人材に関するノウハウを蓄積し、活用していくことで、さらなるサービス品質の向上と競争優位性を高めてまいります。
当社グループが、さらなる事業の拡大を図るためには、優秀な人材の確保及び育成が必須となります。当社は、積極的に人材の採用及び育成を進めておりますが、人材採用等が計画どおりに進まず、必要な人材を確保することができない場合、予測の範囲を超える多数の退職者が同時期に発生した場合には、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、Webを活用したダイレクトリクルーティング、社内外の信頼できる人脈からの紹介や推薦により採用活動を行うリファーラル採用等の積極的な採用活動と、それらをより円滑に推進するための採用広報に注力することで本リスクの低減に努めてまいります。
当社グループは、サービスの特性上、顧客側で保有している個人情報を含む機密情報を取り扱う機会が多くあります。顧客情報等の流出が発生する可能性を完全に消滅させることは困難なため、万が一、情報漏えい事故が発生した場合には、損害賠償請求訴訟等によって、当社グループの業績及び財政状態に大きな影響を及ぼす可能性があります。
これら情報等の取扱いについては、情報セキュリティマネジメントシステム国際規格(ISO/IEC27001)の認証を取得し、社内規程に定めるとともに、社内研修の実施等により、セキュリティ意識の喚起や情報リテラシーの向上に努めております。
当社グループは、現在の規模では適正な内部管理体制を構築していると考えておりますが、今後の事業拡大に合わせて、内部管理体制の一層の充実・強化を図る必要があります。しかしながら、事業規模に適した体制構築に遅れが生じた場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
このようなリスクに対し、当社グループの成長に応じた機関設計や諸規程の整備等、内部管理体制の維持に必要な人員の確保を行ってまいります。
当社グループの主な収益は、コーポレートIT部門の業務支援事業における会員制サービスによる収入であり、依存度が高い状況にあります。従いまして、取引の拡大に努めるとともに、当サービスへの依存度を低くするため、特化型サービスやその他新規サービスの拡充を図っております。しかしながら、業界及び顧客の動向等何らかの要因により当サービスの計画が予定どおり進まなかった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、コーポレートIT部門の業務支援事業の人材確保を積極的に行うとともに、「シェアード・エンジニアリング」を基盤とした特化型サービスや新規事業によりサービスの拡大を進めることで、本リスクの低減に努めてまいります。
当社のコーポレートIT部門の業務支援事業においては、正社員によるサービス提供を基本としておりますが、専門的な分野や経験を有する個人または法人との業務委託契約により一部を委託しております。これらの業務委託先と当社の関係は良好でありますが、今後取引の継続が困難になった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社は、委託業務の内容や今後の活動計画等について、業務委託先との定期的な対話を通じ、円滑なコミュニケーションを図ることで、本リスクの低減に努めてまいります。なお、業務委託内容の定期的な見直し等により、本リスクによる影響の度合いは過年度と比較して低減しております。
当社グループでは、本書提出日現在において業績に影響を及ぼす訴訟、紛争は生じておりません。
しかしながら、今後何らかの事情によって当社グループに関連する訴訟、紛争が行われる可能性は否定できず、かかる事態となった場合、その経過または結果によっては当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループにおいては、このようなリスクに対し、法令遵守による事業活動を基本方針としたコンプライアンス規程を定め、コンプライアンス・リスク委員会の運営や発生時の体制等を整備し、速やかに対応してまいります。
当社グループは、業績向上に対する意欲向上を目的として、ストック・オプション制度を導入しており、会社法の規定に基づく新株予約権を当社グループの役員及び従業員に付与しております。本書提出日現在、新株予約権の株数は58,600株であり、当社発行済株式総数の3,951,000株に対する潜在株式比率は約1.5%に相当しております。これらの新株予約権の行使が行われた場合には、当社の株式価値が希薄化する可能性があります。
なお、新株予約権の内容は、「第一部 企業情報 第4 提出会社の状況 1 株式等の状況 (2)新株予約権等の状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおいては、将来のストック・オプション制度の活用に関し、外部専門家の意見も踏まえて制度設計を計画・実行することで本リスクの低減に努めてまいります。
当社が2019年12月に実施した公募増資による調達資金の使途につきましては、主に「シェアード・エンジニアリング」を基盤とした新規事業やサービス拡大に備えたシステム増強・開発への投資、業容拡大のための人材採用費、当社認知度の向上及び顧客基盤拡大のために要する広告宣伝費等に充当しており、今後も新サービス開発等に伴うシステム開発等に充当する予定です。
しかしながら、急速に変化する経営環境へ柔軟に対応していくため、現時点での資金使途計画以外の使途へ充当する可能性があります。資金使途計画が変更となる場合には、速やかに開示いたします。また、当初の計画に沿って資金を使用したとしても、想定どおりの投資効果を上げられない可能性もあります。
当社グループにおいては、各投資の内容及び回収可能性等を慎重に検討、確認したうえで判断することで本リスクの低減に努めてまいります。
当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響が軽減され社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかな回復傾向となりました。一方で、世界的なインフレ圧力や金融引き締め、地政学的リスクの拡大等を背景とした景気後退懸念などにより、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような状況の中、国内企業においては慢性的なIT人材不足が続いており、特に企業内でのIT活用を切り口に経営課題の解決に取り組むコーポレートエンジニアは、企業にとって重要な職種であるにもかかわらず人材獲得が困難な状況となっております。
当社グループでは、こうしたコーポレートIT部門やコーポレートIT人材への高いサービス需要に応えるべく、人材採用及び人材育成の強化や特化型サービスの開発に力を入れております。採用広報では、動画の活用やマンガ制作により企業認知度の向上を図り、コーポレートロゴ及びサイトのリニューアルによるブランディング強化、採用競争力の強化に取り組んでまいりました。また、シェアード社員サービスを基盤とした特化型サービスとして、当期よりコーポレートIT内製開発支援を開始しており、続く新たな特化型サービスの開発にも継続して取り組んでまいります。
なお、当社グループは、「中堅・中小の成長企業におけるコーポレートIT部門の業務支援事業」へ経営資源を集中させ、中長期的な企業価値の向上に資するため、キャッシュレスセキュリティ・コンサルティングセグメントにおいて連結子会社であるfjコンサルティング株式会社が行うPCI DSS準拠支援事業を、2023年11月1日付で株式会社GRCSへ譲渡いたしました。
この結果、当連結会計年度の経営成績は、売上高2,667,897千円(前連結会計年度比14.2%増)、営業利益392,016千円(同20.9%増)、経常利益392,129千円(同21.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益305,711千円(同28.2%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、前連結会計年度までは報告セグメントを「インソーシング事業」「セキュリティ事業」に区分しておりましたが、当連結会計年度から「コーポレートIT総合支援」「コーポレートIT内製開発支援」「キャッシュレスセキュリティ・コンサルティング」に区分しております。また、各セグメントをより実態に即した費用負担で管理するために、前連結会計年度まで全社費用に含まれていた費用の一部を「コーポレートIT総合支援」に含めて記載しており、前連結会計年度との比較についてはセグメント変更後の区分に基づいております。
中堅・中小企業のコーポレートIT部門に対して、人と知識をシェアする会員制の「シェアード社員サービス」を提供しております。従来の「インソーシング事業」から名称を変更しております。
当連結会計年度においては、サービス利用規程のバージョンアップにより価格改定を実施いたしました。また、基幹システムのリプレースにより、自社及び会員の業務工数の削減、業務効率化を実現いたしました。
過去最多となった新卒社員25人の入社による影響等で一時的に稼働率の低下がありましたが、実働会員及びその関係会社への支援が拡大するにつれて稼働が安定し回復しております。また、社内研修の充実や外部研修の活用を継続的に実施し、シェアード社員のスキルレベル向上やマネジメント力の強化を図ってまいりました。
会員数は701社(前連結会計年度比46社増)、そのうち実働会員は222社(同5社増)、実働会員の関連会社支援社数は107社へ増加し、実質支援社数は329社となっております。また、シェアード社員数は209人(同31人増)となり、シェアード社員の稼働1時間あたりの売上高は8,574円(同7.1%増)となりました。
この結果、売上高2,407,375千円(前連結会計年度比15.0%増)、セグメント利益911,280千円(同15.3%増)となりました。
シェアード社員サービスを基盤として、ローコード開発ツールを活用した各種社内システムの内製開発を支援しております。当連結会計年度より特化型事業として従来のインソーシング事業セグメントより独立区分いたしました。保守メンテナンスを充実させ、内製開発に特化することによりノウハウを蓄積し、顧客側にもノウハウを残すことを目的としております。
シェアード社員サービスの既存会員を中心に、社内システムの企画推進や既存システムの改修、ローコードツールベースのシステム構築等、案件の拡大に注力してまいりました。コーポレートIT総合支援とのシナジーが高く、顧客紹介数の増加が売上高の増加に寄与しました。シェアード社員数は6人(前連結会計年度比5人増)であり、コアメンバー以外にコーポレートIT総合支援のシェアード社員13人が案件に関与しております。
この結果、売上高123,019千円(前連結会計年度比61.3%増)、セグメント利益60,353千円(同45.7%増)となりました。
キャッシュレスサービスを提供する又は利用する事業者を対象に、クレジットカードなど支払関連データの保護対策のコンサルティングサービス及び教育・研修サービスを提供しております。従来の「セキュリティ事業」から名称を変更しております。
コンサルティングサービスにおいては、クレジットデータセキュリティの国際基準であるPCIデータセキュリティ基準(PCI DSS)の新バージョンへの移行支援コンサルティングを提供してまいりました。一方で、2023年11月1日付で、主力サービスであるPCI DSS準拠コンサルティング及び関連する教育研修サービスを株式会社GRCSに事業譲渡したことにより、事業譲渡日以降の売上高は大幅に減少いたしました。
この結果、売上高137,501千円(前連結会計年度比17.5%減)、セグメント利益21,964千円(同17.8%増)となりました。
当連結会計年度末における資産合計は2,612,180千円となり、前連結会計年度末に比べ245,450千円増加いたしました。
流動資産については、前連結会計年度末に比べ116,427千円増加し、2,293,126千円となりました。これは主に、現金及び預金130,573千円の増加によるものであります。
固定資産については、有形固定資産が74,717千円、無形固定資産が177,334千円、投資その他の資産が67,001千円となり、前連結会計年度末に比べ129,022千円増加し、319,053千円となりました。これは主に、ソフトウエア168,394千円の増加、ソフトウエア仮勘定37,840千円の減少によるものであります。
当連結会計年度末における負債合計は765,753千円となり、前連結会計年度末に比べ1,302千円減少いたしました。
流動負債については、前連結会計年度末に比べ5,698千円減少し、735,575千円となりました。これは主に、契約負債26,255千円及び未払法人税等37,175千円の増加、短期借入金50,000千円及び未払金17,038千円の減少によるものであります。
固定負債については、前連結会計年度末に比べ4,395千円増加し、30,177千円となりました。これは主に、株式給付引当金6,662千円の増加、その他固定負債2,298千円の減少によるものであります。
当連結会計年度末における純資産合計は1,846,426千円となり、前連結会計年度末に比べ246,753千円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益305,711千円の計上及び利益剰余金62,987千円の配当、資本金2,035千円及び資本剰余金2,035千円の増加によるものであります。
この結果、自己資本比率は70.7%(前連結会計年度末は67.6%)となりました。
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ144,139千円増加し、1,631,857千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
営業活動の結果得られた資金は374,316千円(前連結会計年度は得られた資金213,252千円)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益の計上421,129千円、減価償却費18,541千円、契約負債の増加26,255千円であり、主な減少要因は、法人税等の支払額82,322千円、事業譲渡益29,000千円によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は118,921千円(前連結会計年度は使用した資金489,953千円)となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻1,095,065千円の収入であり、主な減少要因は、定期預金の預入1,095,076千円及び無形固定資産の取得141,507千円の支出によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は111,256千円(前連結会計年度は得られた資金29,522千円)となりました。主な増加要因は、新株予約権の行使による株式の発行4,070千円の収入であり、主な減少要因は、配当金の支払額62,987千円及び短期借入金の返済50,000千円の支出によるものであります。
当社グループは、生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注) 1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績の10%以上の相手先がないため、記載を省略しております。
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
当社グループの当連結会計年度における経営成績は、次のとおりであります。
当連結会計年度における売上高は2,667,897千円(前連結会計年度比14.2%増)となりました。これは、主にコーポレートIT総合支援及びコーポレートIT内製開発支援におけるシェアード社員の増加及び顧客の増加によるものです。
当連結会計年度における売上原価は1,362,323千円(前連結会計年度比12.0%増)となりました。これは、主にコーポレートIT総合支援及びコーポレートIT内製開発支援におけるシェアード社員の増加に伴う人件費の増加によるものです。この結果、当連結会計年度の売上総利益は1,305,574千円(同16.6%増)となりました。
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は913,557千円(前連結会計年度比14.9%増)となりました。これは、主に社員増加及び給与水準の向上施策に伴う人件費の増加及び人材採用費の増加によるものです。この結果、当連結会計年度の営業利益は392,016千円(同20.9%増)となりました。
当連結会計年度において、営業外収益は316千円、営業外費用は203千円の発生となりました。この結果、経常利益は392,129千円(前連結会計年度比21.0%増)となりました。
当連結会計年度において、特別利益は29,000千円の発生となりました。これは、キャッシュレスセキュリティ・コンサルティングにおける事業譲渡益であります。特別損失の発生はありません。この結果、税金等調整前当期純利益は421,129千円(前連結会計年度比29.9%増)となりました。
当連結会計年度において、法人税、住民税及び事業税116,886千円、法人税等調整額△1,468千円を計上した結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は305,711千円(前連結会計年度比28.2%増)となりました。
当社グループは、IT人材市場が今後も成長を続けるものと見込んでおり、今後も優位に進めていくため、安定的な業績拡大の持続に注力してまいります。当社グループが独自に開発した基幹技術「シェアード・エンジニアリング」によって、中堅・中小の成長企業におけるコーポレートIT部門の業務支援事業領域において、人材・知識・人脈・信頼・規模のいずれにおいてもトップ・カンパニーとなるべく、コーポレートIT部門のためのサービスを継続的に提供してまいります。
具体的には、当社グループの柱となるコーポレートIT総合支援及びコーポレートIT内製開発支援の人材採用において、採用メディアの活用により人材採用市場におけるブランド力を高め、優れた人材の獲得をはかってまいります。あわせて教育研修及び処遇の充実を積極的に推進し、人的資本の充実をはかってまいります。新規事業については、コーポレートIT内製開発支援を拡大させるための体制を強化し、オンラインナレッジ事業などの開発を積極的に推進してまいります。
なお、問題意識に対する今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりです。
当社グループは、人件費及び社内システムの開発・維持等に係る通常の運転資金のほか、新たな人材獲得及び人材育成への投資、顧客や求職者へ向けたブランディングへの投資、社内システム強化への投資並びに新規事業ソフトウエア開発等への投資により、事業の拡大を進める方針であります。
通常の運転資金については、自己資金により賄うことを基本とし、新たな投資につきましては、上場時の調達資金を活用する方針であります。
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、不確実性を伴うため、実際の結果はこれらとは異なる場合があります。この見積りにつきましては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っております。なお、この連結財務諸表の作成にあたる重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」に記載しております。
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
該当事項はありません。
該当事項はありません。