第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社グループの経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

(1)経営の基本方針

当社グループは顧客第一主義、共存共栄主義、人材育成主義、創造的開拓主義を経営理念としております。当社グループのビジネスモデルを一言で表現すると「不動産・債権に関するワンストップサービスの提供」であります。これは不動産・債権(債務)に関する多様なニーズに応えることを意味しており、当社グループではサービサー事業、派遣事業、不動産ソリューション事業等を通じて実践しております。

また当社はサービサー法に基づき法務大臣により営業を許可された会社であり、経営の健全性、コンプライアンス体制の充実は経営の原点であります。

 

(2)目標とする経営指標

当社グループは、株主利益の増大を重視し、収益性と資本効率を高めることにより総合的に企業価値の最大化を図るという観点から、売上高営業利益率及び連結ROE(株主資本当期純利益率)を重要な経営指標と定め、その向上に努めることを中長期的な目標としております。

 

(3)経営戦略の現状と見通し

当社グループは「不動産・債権に関するワンストップサービスの提供」をビジネスモデルとしてサービサー事業、派遣事業、不動産ソリューション事業等を行っております。

 

サービサー事業

サービサー制度は1990年代の金融システムの不安を背景とし、金融機関の不良債権処理の方策の一つとしてスタートいたしました。(サービサー法は1998年10月制定、1999年2月施行。)現在では、サービサーは、不良債権処理のみならず、事業再生等の担い手として、社会的にもその機能・役割が期待されております。国が注力するポストコロナ対策等においても「サービサーの活用」が注目されております。

金融機関のバルクセール等による債権売却市場は、債権のDD能力、回収能力、サービサーとしての実績・信用力等、サービサー本来の能力が問われる分野であり、当社は能力向上に努めながらメガバンク、地域金融機関を中心に債権買取機会の確保に努め実績を積み上げております。債権買取においては、対象債権について回収が見込める将来キャッシュ・フローの現在価値に基づく価格提示力が重要になります。債務者の経済状況の把握、担保の評価、回収手法、個別債権の回収実績に基づく経験等を踏まえて価格提示力の向上を図っております。

一方、金融機関が引き続き有しているリスケ債権、個別性の強い問題債権等の処理ニーズも存在しております。こうした債権の中には事業再生等の観点からサービサーが有するノウハウを活用できる債権が多く含まれております。サービサーが関与する方法としては、債権を買取ったうえで債権者として対処する方法、ファンド等が買取った債権についてノウハウを提供する方法、債権譲渡は行わず債権者である金融機関と協働してノウハウを提供する方法等があります。この分野は、当社が有するノウハウ、専門家とのネットワーク等を活用して取組む分野であり、注力している分野であります。

また金融機関を取巻く環境は変化しております。担保、保証に依拠した融資から事業性を評価した融資への移行、地域金融機関を中心とした再編の動き、新型コロナ対策関連融資の問題等々、こうした変化によって不良債権処理、事業再生等へのニーズが今後高まるものと期待されます。

これに対応するため債権者である金融機関の動向、債務者の動向等の把握に努めるとともに、金融機関との関係強化、事業再生等のノウハウの蓄積、専門家とのネットワークの強化等を進めております。

 

派遣事業

当事業の対象は、主に山田グループ各社であります。山田グループ各社は、登記関連業務、相続関連業務等において相応の営業基盤を有しており、派遣事業は比較的安定した事業となっております。派遣先の専門性の高い業務に対応可能な人材供給力が当社の強みであり、派遣先の経営環境の変化に対応するなど、派遣先との関係の強化に努めております。

また山田グループ以外の派遣先の開拓も進めております。

 

不動産ソリューション事業

借地権負担付土地に関する買取業務、コンサルティング業務に注力しております。この分野はニッチな分野でありますが、山田グループ各社と連携、専門家とのネットワークを活用して取組んでおります。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

<サービサー事業>

買取債権の確保

当事業の収益の大半は買取債権からの回収によるものであり、買取債権の確保は重要な課題であります。金融機関による債権の売却市場は需給関係を反映して取引価格は高止まりしております。買取価格は収益に直接影響するため、価格提示力を強化するとともに、回収手法、担保評価、回収実績等を検証して買取価格を適正な水準に保つよう努めております。

 

事業再生等への注力

事業再生等の案件は比較的高い収益率が期待されるものの、個別性が強く提案型のものが多いという特徴があり、継続的な案件獲得が課題であります。当社が単独で債権を買取る以外にも、第三者と協働で取組む、投資スキームを活用する等、多様な選択肢があります。当社は債権買取機能、各種コンサルティング機能、出資機能等を活用して案件に取組むことになります。こうした機能の強化とともに、関係者との調整をはかりながら案件を処理する能力を磨いております。

 

関係者との協働

当事業を進めるうえで金融機関、投資家、専門家等と協働することが多くなっております。そのため金融機関との業務提携、専門家とのネットワークの拡充等に努めております。

 

サービサー法等の動向

当事業はサービサー法により法務大臣から営業を許可された事業であり、同法に関連する法令等の動向には特段の注意を払っております。

 

<派遣事業>

当事業は派遣先の経営環境に大きく影響を受けます。当社は山田グループ各社を主な派遣先としており、派遣先の経営環境を把握しやすい関係にあります。今後ともこの利点を活かした運営に努めます。

また派遣先の専門性の高い業務に対応可能な人材を継続的に確保することが重要な課題であります。人事・教育・研修制度の整備等を進めるとともに、派遣先の協力も得ながら良好な労働環境を整え、人材確保に努めてまいります。

あわせて山田グループ以外の派遣先の確保に努めてまいります。

 

<不動産ソリューション事業>

当事業が注力している借地権負担付土地に関するビジネスにおいては、所有者、借地権者へいかにアクセスできるかが最大の課題であります。そのため山田グループ各社との連携、金融機関、不動産業者、弁護士、税理士等へのアプローチ等を継続的に実施しております。

 

<山田グループ各社との連携強化>

山田グループは司法書士法人を中核としたグループで、登記関連業務、相続関連業務等において相応の営業基盤を有しております。当社グループの「不動産・債権に関するワンストップサービスの提供」というビジネスモデルを実践していくうえで、山田グループ各社との連携は有用と考えております。山田グループ各社との適切な関係を維持したうえで、今後とも連携を強化してまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

 当社グループのサステナビリティに関する考え方及び取組は、次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

 当社グループはサービサー事業、派遣事業、不動産ソリューション事業等において、社会的課題に有用なサービスを提供することを通じて、持続可能な社会の実現に寄与していくこと、併せて企業活動にあたっては、環境問題を含む企業の社会的責任を常に意識して取組むことを、社会、環境をはじめとするサステナビリティを巡る取組に関する方針としております。

 

(1)ガバナンス

 当社は、監査役会設置会社を採用し、透明性の高いガバナンス体制を維持、向上するため、複数の社外取締役を含む取締役会が、複数の社外監査役を含む監査役会と緊密に連携し、監査役の機能を有効に活用しながら重要案件の意思決定を行うとともに、経営に対する監督機能の強化を図っております。 当社グループのコーポレート・ガバナンス体制は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。

 

(2)戦略

 人的資本に関する戦略

  当社グループの人材の多様性の確保を含む人材の育成に関する方針及び社内環境整備に関する方針は、次の通りであります。

当社グループは、国籍や人種、性別等に加え、価値観、考え方、能力等の多様性が企業の成長力を増加させることを認識し、いかなる差別や人権侵害にあたる行為も禁止し、役職員等一人ひとりが個性と意欲と能力を最大限に発揮できるよう、常に健全かつ安全で衛生的な職場環境を整備することに積極的に取組むことで、多様性の確保を図ってまいります。また、当社の規程等に則り、公正に従業員の職責に応じた業績及び行動の評価を行い、これに基づいた従業員の能力開発、モラル・アップを図り組織力の強化を実現することを方針としております。併せて、従業員の働き易い就業環境を提供するため、「育児休業制度」、「介護休業制度」等を整備し、社内への周知に努めております。

 

(3)リスク管理

 当社は、上場企業としての責務を常に認識し、自然災害を含む事業を取り巻く様々なリスクに対して、リスク管理意識の浸透、リスク顕在化の防止及びリスクの早期発見に努め、事業の継続を主眼にリスク管理体制を整備・強化し、着実な運用を図ってまいります。

 その体制は「第4 提出会社の状況 4 コーポレート・ガバナンスの状況等」に記載のとおりであります。それらの検討を行った結果は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」、「第2 事業状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。

 

(4)指標及び目標

人的資本に関する戦略に関する指標の内容並びに当該指標を用いた目標及び実績

・女性の管理職登用については、当社グループの企業価値向上に資する適切な人材を性別に限定せず登用するという方針から、測定可能な目標は設定しておりませんが、性別にとらわれずに活躍できる環境づくりにより一層取組み、その結果として、管理職候補層に占める女性の割合を20%以上にすることを目標としており、その実績につきましては次のとおりであります。

 

実績(2023年12月期)

目標

管理職候補層に占める女性の割合

18.8%

20%

・外国人の管理職登用については、当社グループの事業が日本国内中心であるという特性に鑑みて、測定可能な目標は設定しておりません。

・中途採用者の管理職登用については、当社の管理職の大半を中途採用者が占めるという特性に鑑みて、測定可能な目標は設定しておりません。

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が連結会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクについて、経営者がその重要性が高いと考える順に記載しております。また、必ずしもそのようなリスク要因に該当しない事項についても、投資家の投資判断上重要であると考えられる事項については、投資家に対する積極的な情報開示の観点から、以下に開示しております。

なお、当社グループでは、環境変化等により新たに現れてくる、グループを取り巻くあらゆるリスクについて、網羅的に把握・分析のうえ経営者に報告し、当社グループの経営方針・経営戦略等を念頭に、随時経営レベルで検討する体制を構築しております。

 

本項においては、将来に関する事項が含まれておりますが、当該事項は、別段の記載の無い限り、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。

 

1.個人情報の取扱いについて

当社グループでは事業の特性上、大量の個人情報を取り扱っております。

内部者又は外部者による不正なアクセス・過誤等の不適切な取扱いにより、顧客情報・当社機密情報が漏洩したり、漏洩した情報が悪用されたりした場合、顧客の経済的・精神的損害に対する損害賠償等、直接的な損害が発生する可能性があり、加えて、かかる事件が報道され、当社のレピュテーション・リスクが顕在化し、顧客・マーケット等の信頼を失うなど事業環境が悪化することにより、当社の事業、業績及び財政状態に悪影響を与えるおそれがありますが、当社グループでは以下の体制整備及び取組みを実施しており、かかるリスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。

個人情報の保護については、「個人情報の保護に関する法律」の他に、サービサー業務において法務省は「債権管理回収業分野における個人情報保護に関するガイドライン」を策定しており、また、これを受けて全国サービサー協会は「債権管理回収業における個人情報保護に関する自主規制規則」を策定しております。当社グループは、これらの法令・諸規則を遵守し、個人情報の保護について全社員に誓約書の提出を義務付け、JISQ15001:2017の規格に則り「個人情報保護コンプライアンス・プログラム」を策定するなど管理体制の整備・強化を図っております。また、「プライバシーマーク」の認証取得企業として、全役員、全従業員への教育を徹底するとともに、定期的な内部監査を実施しております。

 

2.法的規制について

当社グループでは、事業において以下の法的規制を受けております。法改正や関連する新たな法律の制定などは常に実施される可能性があり、これら法改正等が当社グループの業績及び業務推進に影響を及ぼす可能性がありますが、当社グループでは、これら法改正等への適時適切な対応に加えて、事業領域の適切な拡大や、事業ポートフォリオの最適化によるリスクの分散化に努めており、当該リスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。

(1)債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)

当社では、不良債権処理に関連する債権買取・債権管理回収業務等を行うため、「債権管理回収業に関する特別措置法」に基づく許可(許可番号:第20号)を1999年9月3日に法務大臣から取得しております。同法により、弁護士の取締役への登用、5億円以上の資本金、債権管理回収会社に係る許可、取り扱い業務の範囲、行為規制、行政当局による監督・立入検査等の規制を受けております。

(2)宅地建物取引業法

当社グループでは、宅地建物取引業務を行うため宅地建物取引業法に基づく免許を、株式会社山田債権回収管理総合事務所では2003年10月22日に国土交通大臣から、株式会社山田資産コンサルでは2008年6月5日に神奈川県知事から、それぞれ取得しており、同法により宅地建物取引業者としての免許基準、取り扱い業務の業務規制、行政当局による監督・立入検査等の規制を受けております。

(3)労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)

当社では、派遣事業を行うため、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に基づき、2017年9月1日に厚生労働大臣の許可(派14-301534)を取得しております。同法により、取り扱い業務の範囲、行政当局による監督・立入検査等の規制を受けております。

(4)職業安定法

当社では、有料職業紹介事業を行うため、職業安定法に基づき、2019年9月1日に厚生労働大臣の許可(14-ユ-301461)を取得しております。同法により、取り扱い職種の範囲、行政当局による監督・立入検査等の規制を受けております。

 

3.買取債権の回収リスクについて

当社では、金融機関等からの買取債権について、当該債権の回収可能性を個別に検証し、当社が定めた一定の基準に従い貸倒引当金を計上する等、買取債権の貸倒リスクの管理に努めておりますが、債務者の信用不安等により、貸倒引当金を追加で計上する等の場合には、当社グループの業績に影響が及ぶ可能性があります。

当社では、債権買取時において、このようなリスクを念頭に慎重なプライシングを実施することに加え、回収実績からプライシングの適正性を事後的に随時検証することで、プライシングの精度を高めております。また当社が定める一定の金額を超える債権の買取においては、営業部門担当役員、管理部門担当役員等から構成する投資委員会での多角的な審議を経て、取締役会に諮る等、案件の健全性を担保し、投資の適正性、収益性を確保する仕組みを構築しており、かかるリスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。

 

4.不動産価格が下落することのリスクについて

今後の不動産取引市場、経済情勢等の変化等により当社グループが保有する不動産、若しくは債権の担保となっている不動産の価格が著しく下落した場合、当社グループの業績及び財政状態に影響を与える可能性があります。

不動産価格は様々な要因で変動しますが、当社グループでは、不動産価格の動向を常に注視し、これら不動産の適時適切な処理によって影響の最小化に努めており、かかるリスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。

 

5.派遣先の依存度について

当社の派遣従業員のほとんどは、司法書士法人山田合同事務所及び土地家屋調査士法人山田合同事務所並びに株式会社山田エスクロー信託等、山田グループ各社に派遣されており、司法書士法人等が派遣契約を解除した場合には、当社グループの業績及び今後の事業推進に重大な影響を与える可能性があります。

一方で当社グループでは、山田グループ各社との適切な結びつきを最大限に活用して派遣需要の動向を注視するとともに、外部の司法書士事務所、金融機関、一般事業会社といった他の事業所への派遣、事業再生業務に関する派遣等、派遣先の多様化に向けた取組みを強化しており、かかるリスクが顕在化する可能性の程度は相当程度低いものと考えております。

 

6.人材の確保について

当社グループでは「不動産・債権に関するワンストップサービス」を提供するための高い専門性を必要とし、優秀な人材を確保することが求められております。

求人・雇用環境の急激な変化など、何らかの理由により新規雇用が困難になった場合や、離職者が増加した場合、人材が不足し、当社グループの業績及び事業推進に重大な影響を与える可能性がありますが、当社グループでは従業員の定着率向上のための人事・教育・研修制度の充実や、多様な求人媒体の活用等により継続的に優秀な人材を確保する体制の確立に努めており、当該リスクが顕在化する可能性は相当程度低いものと考えております。

 

7.感染症等の拡大について

当該リスクが顕在化する可能性の程度について合理的に予見することは困難でありますが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のように未知の感染症が世界的に流行した場合の当社グループの各事業セグメントへの影響については、以下のとおり分析しております。

(1)サービサー事業

サービサー事業においては、債務者との直接面談が困難になったり、債務者の収入が減少することで返済や再生が計画通りに実行されない場合や、また、担保不動産の処分が停滞する場合などにおいて、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。

(2)派遣事業

派遣事業においては、主要派遣先の業務量減少や、感染拡大防止のための休業、時短勤務の実施などによる派遣時間、派遣人員の減少が、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。

(3)不動産ソリューション事業

不動産ソリューション事業においては、売主、買主などの関係者との直接面談が困難になることにより不動産取引が停滞し、計画通りに不動産の仕入れや販売活動が出来ず、当社グループの業績に影響が出る可能性があります。

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。

①財政状態及び経営成績の状況

当連結会計年度(2023年1月1日~2023年12月31日)における我が国経済は、5月に新型コロナウイルス感染症が5類感染症へ移行となり「ポストコロナ」時代が本格スタートしましたが、地政学的リスク、環境問題、政治経済情勢等、先行き不透明な環境に置かれており、今後の状況等について引続き注視してまいります。

このような環境下、当社グループは、「顧客第一主義」を経営理念に掲げ、「不動産・債権に関するワンストップサービスの提供」をビジネスモデルとして、サービサー事業、派遣事業、不動産ソリューション事業等を展開してまいりました。

当連結会計年度の経営成績は、売上高が2,483百万円(前年同期比3.9%増)となり、営業利益は82百万円(前年同期比53.6%増)、経常利益は165百万円(前年同期比93.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は120百万円(前年同期比57.2%増)となりました。

セグメントの経営成績は次のとおりであります。

(サービサー事業)

サービサー事業においては、既存の購入済み債権からの回収等が概ね順調に進み、売上高は748百万円(前年同期比3.1%減)、セグメント利益は258百万円(前年同期比23.3%減)となりました。セグメント利益の減少は、債権回収の一手法である担保物件の自己競落に関連する費用が増加したこと等によるものです。また買取債権の期末残高は4,733百万円(前年同期比106.6%増)と順調に積み上がりました。

(派遣事業)

派遣事業においては、概ね計画通りに推移し、売上高は1,366百万円(前年同期比1.3%増)、セグメント利益は190百万円(前年同期比8.0%増)となりました。

(不動産ソリューション事業)

不動産ソリューション事業においては、大口の底地案件が計画よりも遅れたものの、徐々に進んだ結果、売上高は386百万円(前年同期比36.5%増)、セグメント利益は113百万円(前年同期比263.5%増)となりました。

 

また、当連結会計年度の財政状態の状況は以下のとおりであります。

(資産)

当連結会計年度末における資産合計は7,047百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,873百万円増加しました。

流動資産は6,445百万円、前連結会計年度末比1,940百万円の増加となりました。

固定資産は601百万円、前連結会計年度末比67百万円の減少となりました。

(負債)

当連結会計年度末における負債合計は3,779百万円となり、前連結会計年度末に比べて1,788百万円増加しました。

流動負債は2,689百万円、前連結会計年度末比1,711百万円の増加となりました。

固定負債は1,089百万円、前連結会計年度末比76百万円の増加となりました。

(純資産)

当連結会計年度末における純資産合計は3,268百万円となり、前連結会計年度末に比べて84百万円増加しました。

②キャッシュ・フローの状況

当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動により1,797百万円を支出、投資活動により173百万円及び財務活動により1,575百万円を獲得した結果、当連結会計年度末には610百万円(前年同期比7.2%減)となりました。

当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果支出した資金は、1,797百万円(前年同期は394百万円の収入)となりました。これは主に、買取債権の購入による支出3,153百万円、買取債権の回収による収入1,191百万円があったこと等によるものです。

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果獲得した資金は、173百万円(前年同期は69百万円の収入)となりました。これは主に、投資不動産の売却による収入65百万円があったこと等によるものです。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果獲得した資金は、1,575百万円(前年同期は1,067百万円の支出)となりました。これは主に、短期借入金による収入1,750百万円、配当金の支払額42百万円があったこと等によるものです。

 

③生産、受注及び販売の実績

当社グループは、受注生産を行っていないため、生産実績及び受注状況について記載しておりません。

a.販売実績

当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。

セグメントの名称

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

前年同期比(%)

サービサー事業(千円)

748,963

96.9

派遣事業(千円)

1,343,411

101.5

不動産ソリューション事業(千円)

386,187

136.5

報告セグメント計(千円)

2,478,561

104.2

その他の事業(千円)

4,572

45.3

合計(千円)

2,483,133

103.9

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。

2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。

相手先

前連結会計年度

(自 2022年1月1日

至 2022年12月31日)

当連結会計年度

(自 2023年1月1日

至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

司法書士法人山田合同事務所

935,215

39.1

933,910

37.6

土地家屋調査士法人山田合同事務所

147,452

6.2

150,897

6.1

株式会社山田エスクロー信託

240,390

10.1

258,603

10.4

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容

経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。

①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容

当連結会計年度末における財政状態は、総資産7,047百万円(前連結会計年度比36.2%増)、株主資本3,146百万円(前連結会計年度比2.5%増)となりました。

(流動資産)

当連結会計年度末の流動資産の残高は、6,445百万円(前連結会計年度比1,940百万円増)となりました。これは主に、現金及び預金50百万円の減少、販売用不動産335百万円の減少、買取債権2,441百万円の増加によるものであります。

(固定資産)

当連結会計年度末の固定資産の残高は、601百万円(前連結会計年度比67百万円減)となりました。これは主に、投資有価証券77百万円の減少によるものであります。

(流動負債)

当連結会計年度末の流動負債の残高は、2,689百万円(前連結会計年度比1,711百万円増)となりました。これは主に、短期借入金1,450百万円の増加によるものであります。

(固定負債)

当連結会計年度末の固定負債の残高は、1,089百万円(前連結会計年度比76百万円増)となりました。これは主に、役員退職慰労引当金14百万円の減少、退職給付に係る負債13百万円の増加、リース債務53百万の増加によるものであります。

 

(純資産)

当連結会計年度末の純資産の残高は、3,268百万円(前連結会計年度比84百万円増)となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益120百万円の計上、その他有価証券評価差額金7百万円の増加によるものであります。

 

当連結会計年度の経営成績は、売上高が2,483百万円(前年同期比3.9%増)となり、営業利益は82百万円(前年同期比53.6%増)、経常利益は165百万円(前年同期比93.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は120百万円(前年同期比57.2%増)となりました。

セグメントの業績につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。

(営業利益)

売上高が94百万円増加したことから、営業利益は82百万円(前年同期比53.6%増)となりました。

(営業外損益)

販売用不動産の家賃収入が62百万円増加したことから、営業外収益は117百万円(前年同期比109.8%増)となりました。

(目標とする経営指標)

当社グループは、株主利益の増大を重視し、収益性と資本効率を高めることにより総合的に企業価値の最大化を図るという観点から、売上高営業利益率及び連結ROE(株主資本当期純利益率)を重要な経営指標と定め、その向上に努めることを中長期的な目標としております。

当連結会計年度の売上高営業利益率は3.3%(前年売上高営業利益率2.3%)となりました。売上高が前年比で3.9%増加したこと等によるものであります。

また、当連結会計年度の連結ROE(株主資本当期純利益率)は3.7%(前年連結ROE(株主資本当期純利益率)2.4%)となりました。

経営者の問題認識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。

当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。

 

②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報

当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローは、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社グループの資金需要は、主にサービサー事業における債権の買取資金であり、これらの資金需要につきましては、営業活動によるキャッシュ・フロー及び自己資金、必要に応じて取引銀行からの借入等により資金を調達しております。

資金の流動性につきましては、現金及び現金同等物等に加え、主要取引銀行と当座貸越契約を締結しており、主にサービサー事業に関して行う債権の買取資金の効率的な調達と流動性の維持に努めております。

 

③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定

当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。

 

5【経営上の重要な契約等】

相手先

期間

内容

司法書士法人山田合同事務所

2013年8月29日から

2014年8月31日まで

以降1年毎に自動更新

労働者派遣基本契約により、当社が雇用する労働者を司法書士法人山田合同事務所に派遣し、同法人の業務に従事させる。

土地家屋調査士法人山田合同事務所

2013年8月29日から

2014年8月31日まで

以降1年毎に自動更新

労働者派遣基本契約により、当社が雇用する労働者を土地家屋調査士法人山田合同事務所に派遣し、同法人の業務に従事させる。

株式会社山田エスクロー信託

2016年12月28日から

2017年12月31日まで

以降1年毎に自動更新

労働者派遣基本契約により、当社が雇用する労働者を株式会社山田エスクロー信託に派遣し、同社の業務に従事させる。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。