第2【事業の状況】

1【経営方針、経営環境及び対処すべき課題等】

当社の経営方針、経営環境及び対処すべき課題等は、以下のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

(1)経営の基本方針

当社は「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」という経営理念のもと、地域のあらゆる情報を可視化し、地元で個人・企業・行政が必要なものを融通しあえる仕組み作りを目指して、クラシファイドサイト「ジモティー」を運営しております。

 

(2)経営環境及び経営戦略等

当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されています。一方で、世界的な金融引締めが続く中、海外景気の下振れが国内の景気を下押しするリスクとなっており、注視すべき状況が続いております。

このような環境のなかで、当社はクラシファイドサイト「ジモティー」を通して、地域の情報が幅広く集まるプラットフォームを提供することで、地域の情報を可視化し、地域の人とのマッチングを推進してまいりました。

当社では、持続的なプラットフォームの成長のために、地域内で互いに必要なモノや情報を融通しあえる場所へと進化するべくサービスの改善に努めてまいりました。

 

(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等

当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等として、売上高及び営業利益の前年比増による成長性を重視しております。また、売上高を構成する指標として、PV数及び投稿数を重視しております。

 

(4)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題

① サービスの継続的な成長

当社はクラシファイドサイト「ジモティー」の運営を主たる事業としており、テレビCMやWebアプリにおけるプロモーション施策や、ユーザビリティ改善のためのプロダクト開発など、「ジモティー」のさらなる充実化と収益基盤の強化に取り組んでまいりました。

今後においても、プラットフォームの持続的な成長のため、地域内で必要なモノや情報を融通しあい、生活の中で生まれる課題を解決できる場所になるべくサービスの改善に努めてまいります。具体的には、モノや情報の量を増やし可視化させるための取組みとして、SEO(検索エンジンの最適化)やサービス機能の拡充によるプラットフォームの利便性向上に加え、行政と提携しリアルなリユース拠点を共同運営することでリユース数の最大化を図ってまいります。

 

② 収益基盤の強化

当社は、2023年11月より、運用型広告配信プラットフォーム「ジモティーAds」の提供を開始致しました。「ジモティーAds」はジモティーの媒体に直接出稿できる運用型の広告配信プラットフォームです。ジモティー内でのユーザーの行動履歴や登録情報を活用することで、ユーザーがいま「どこで・何を」必要としているかを把握し、活用することで高いパフォーマンスが期待できる点を特徴としております。当社はこれまで、主に第三者の広告配信事業者様と連携し、広告配信を行ってまいりましたが、ユーザー・広告主双方にとってより最適な広告配信を実現するべく「ジモティーAds」の提供を開始し、2023年12月末時点で利用企業数が100社を突破致しました。

 

③ サービスの健全性の維持及び向上

当社が運営する「ジモティー」は、インターネットを通じて提供されているものであり、システムを安定的に稼働させることが重要な課題であると認識しております。今後においても、PV数及び投稿数の増加、サービスの機能拡充、セキュリティの向上等に適時に対応し、技術革新等の事業環境の変化にも柔軟に対応できるシステム開発体制を構築することで、システムの安定稼働や高度なセキュリティが担保されたサービス運営に努めてまいります。

 

また、投稿内容の健全性の維持及び向上を図るため、カスタマーサポート体制の一層の強化が課題であると認識しております。当社では、投稿された内容を監視するための体制の構築や適切なサポート人員の配置をはじめ、ユーザーの本人確認の強化、違反ユーザーに対する注意喚起や利用停止措置等を実施しております。今後においても、サービスの成長に合わせて必要な投資を行い、体制の強化に努めてまいります。

 

④ 組織力、内部管理体制の強化

a.優秀な人材の確保及び育成

当社では、専門的知識を有した優秀な人材の確保及び育成が企業成長に向けた重要な課題であると認識しております。事業環境や内容に応じて求められるスキルや知見を把握し、適材適所な人材の確保に積極的に取り組んでまいります。また、人材育成のための教育・研修制度も充実させてまいります。

b.内部管理体制の強化

当社が継続的な成長を続けるためには、内部管理体制の強化が必要不可欠であると認識しております。そのため、今後においても、内部統制システムの評価と運用を徹底し、事業運営上のリスクの把握と管理を適切に行える体制構築に努めてまいります。

c.情報管理体制の強化

当社では、個人情報等の機密情報につきまして、ネットワークの管理、社内規程の制定及び遵守、全従業員を対象とした社内研修の徹底、内部監査によるチェック等により、適正な情報管理体制を構築しております。今後においても、コンプライアンスを重視し、在宅勤務等が増えた昨今の状況下でも情報管理体制の維持及び強化に努めてまいります。

 

2【サステナビリティに関する考え方及び取組】

当社のサステナビリティに関する考え方及び取組みは、次の通りであります。

なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。

 

(1)サステナビリティ基本方針

 当社では、「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」という経営理念のもと、あらゆるヒトやモノが共有される地域社会の実現に貢献するとともに、持続的な企業価値の持続的成長を目指し、以下の基本方針を掲げて企業活動を行っております。

・事業活動を通じた持続可能な社会の実現

より良いサービスの提供・創造により、事業を通じて持続的社会の構築に取り組みます。

・多様な価値観の尊重

一人ひとりがもつ多様な価値観を尊重した社会環境の醸成に貢献します。

・公正かつ透明性の高い経営の実現

社会課題の解決と企業価値向上に向けて、公正かつ透明性の高い経営を目指します。

 

(2)ガバナンス体制及びリスク管理

 当社では、サステナビリティに関するリスクへの対応は、持続的な成長及び長期的な企業価値の向上をさせるためにも重要な経営課題の一部であると認識し、取締役会にてサステナビリティ推進活動の適切な実施の判断・審議を行い、その充実に取り組んでおります。

 

(3)戦略

 1 気候変動

気候変動は、持続可能な社会の実現する上で最も差し迫った課題の1つであり、気候パターンの変化や異常気象により我々の社会に大きな影響を及ぼすリスクがあります。当社は気候変動対策として、エネルギー使用量と温室効果ガス排出量の削減に取り組むとともに、「地域の今を可視化して、人と人の未来をつなぐ」という経営理念のもと、クラシファイドサイト「ジモティー」の運営や行政と提携したリアルなリユース拠点「ジモティースポット」をはじめとする各種サービスの提供により、不用品等のリユース数の最大化を図り廃棄物の削減を推進しております。これにより、社会全体への環境負担軽減の一翼を担うことで持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

 

 2 人的資本

当社の持続的成長及び企業価値の向上を目指すにあたり、専門的知識を有した優秀な人材の確保及び育成、人材の流出防止が重要な課題であると認識しております。事業環境や内容に応じて求められるスキルや知見を把握し、適材適所な人材の確保や育成、働き方の多様性を尊重した労働環境の改善等に取り組んでおります。その他、社員のワークライフバランス実現のための育児休業が取得しやすい環境づくり、リモートワーク体制の構築、時差出勤の導入、表彰制度の整備等を推進していく事で、多様な人材が継続して活躍できるような環境を整備しております。

 

(4)指標及び目標

 当社は現在、サステナビリティに関するリスク・機会を管理するための指標について、下記の人材の確保及び育成に関する指標を用いております。今後、当社において指標を定める目的や必要性を協議し、必要な場合は指標の策定を検討してまいります。

 当該指標に関する2023年12月末時点での実績は、次のとおりであります。

指標

実績(%)

女性管理職比率

14.3

男性の育児休業取得率

100

男女の賃金差異

(雇用区分ごと)

正社員

75.7

アルバイト社員

97.0

 

 

3【事業等のリスク】

有価証券報告書に記載した事業の状況、経理の状況等に関する事項のうち、経営者が提出会社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を与える可能性があると認識している主要なリスクは、以下のとおりであります。

なお、当社は、これらのリスクの発生可能性を認識した上で、発生の回避及びリスクの軽減に努める所存でありますが、当社株式に関する投資判断は、以下の記載事項及び本項以外の記載事項を、慎重に検討したうえで行われる必要があると考えております。

また、本項の記載における将来に関する事項は、本書提出日現在において当社が判断したものであり、全てのリスク要因が網羅されているわけではありません。

 

(1)事業環境に関わるリスク

① インターネット関連市場の動向について

当社は、クラシファイドサイト「ジモティー」の運営を主たる事業としており、当社事業の継続的な発展のためには、さらなるインターネット環境の整備、インターネットの利用拡大が不可欠と考えております。総務省発表の「令和4年通信利用動向調査」によると、インターネット利用状況は84.9%に達し、引き続きインターネットの利用シーンは拡大しております。

しかしながら、インターネットの利用等に関する新たな法的規制の導入やその他予期せぬ要因等により、今後のサービス運営が困難になった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② インターネット広告市場について

広告市場は、市場変化や景気動向の変動による影響を受けやすく、今後、急激な景気の変化等が生じた場合、広告及びインターネット広告の需要に影響する可能性があります。

当社は、広告市場の影響を最小限に抑えるよう、広告市場への販売だけでなく自社による広告枠販売や新機能の拡充等により収益性の向上に取り組んでおりますが、急激な景気の変化等が生じた場合、広告掲載案件や広告単価の減少等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 検索エンジンへの対応について

当社が運営する「ジモティー」では、特定の検索エンジン(「Google」、「Yahoo! JAPAN」等)から多くのユーザーを集客しております。そのため、当社では、SEO等の必要な施策を講じて集客力を強化しております。

しかしながら、検索エンジンにおける表示結果(順位)は、その運営者のロジックや判断によるものであり、当社が関与する余地はありません。そのため、検索エンジン運営者の方針やロジック変更等により、これまでのSEOが有効に機能しなくなった場合、集客効果が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ プラットフォーム提供会社の動向について

当社は、「App Store」、「Google Play」のプラットフォームを通じて、スマートフォン向けのアプリ配信を行っております。また、Apple Inc.並びにGoogle Inc.のプラットフォーム提供会社に対し、アプリ内の売上の一部を決済代行手数料として支払っております。

これらプラットフォーム事業者の事業戦略の転換並びに動向によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(2)事業内容に関するリスク

① 競合について

本書提出日現在において、当社が運営する「ジモティー」と明確に競合するクラシファイドサイトはないものと認識しております。

しかしながら、今後、高い資本力や知名度を有する企業等が類似サービスに参入することにより競争が激化した場合、ユーザーの流出や集客コストの増加等が想定されます。そのような場合には、当社が優位性を確保し、企業価値の維持向上が図れるか否かは不確実であるため、競合サービスの状況により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 特定事業への依存について

当社は、クラシファイドサイト運営事業の単一セグメントであり、当該事業の拡大に経営資源を集中させております。そのため、事業環境の変化等により、当該事業が縮小し、その変化への対応が適切でない場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 特定取引先への集中について

「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ④生産、受注及び販売の実績」に記載のとおり、2023年12月期の売上高の39.3%がGoogle Asia Pacific Pte.Ltd.となっており、本書提出日現在、同社とは良好な取引関係を構築しております。

しかしながら、同社との契約条件の変更等があった場合、当社の今後の事業展開に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ サイトのPV数及び投稿数について

当社では、ユーザーの気持ちを第一に考え、さらなるサービスの充実や利便性の向上、ユーザーの嗜好に深く根ざした飽きの来ないコンテンツを提供すること等によって、サイトのPV数及び投稿数の増加に努めております。

しかしながら、ユーザーの嗜好は移り変わりが激しく、ニーズに対応するコンテンツを提供できなかった場合には、PV数又は投稿数の減少が生じ、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑤ 投稿内容の健全性の維持について

当社が運営する「ジモティー」では、利用規約やガイドライン等を整備し、投稿された内容を監視するための体制の構築や適切なサポート人員の配置をはじめとした施策により、投稿内容の健全性の維持に努めております。その中で誹謗中傷や嫌がらせ、知的財産権の侵害等、明らかに不適切な投稿を発見した場合には、一定の基準に基づいて当該投稿を削除する等により、規制しております。

しかしながら、ビジネスの特性上悪意をもって行われた取引を全て排除することは難しく、健全性の維持は可能な範囲で行われているため、一定のユーザー間でトラブルが発生する可能性があります。さらに、それらのトラブルが適切に解決されない場合は当社のブランドイメージ及び社会的信用の低下等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑥ 訴訟に関するリスクについて

本書提出日現在において、当社が当事者として関与している訴訟手続きはありません。

当社は、法令違反となるような行為を防止するための内部管理体制を構築するとともに、取引先、従業員及びその他第三者との関係において、訴訟リスクを低減するよう努めております。

しかしながら、当社の今後の事業展開において、第三者への権利侵害があった場合等には、当社に対して、損害賠償請求等の訴訟その他の法的手続きが行われる可能性があります。その訴訟等の内容や、損害賠償の金額によっては、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

⑦ サイト内広告について

当社は、当社が運営する「ジモティー」に掲載される広告について、当社が作成した広告掲載ガイドラインに沿う内容の広告を掲載し、法令違反や公序良俗に反する広告の排除に努めております。

しかしながら、当社が掲載した広告に瑕疵があった場合には、当社のブランドイメージ及び社会的信用が低下し、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(3)システム等に関するリスク

① システムの安全性について

当社が運営する「ジモティー」は、インターネットを通じて提供されているものであり、システムの安定稼働が、業務の遂行上、必要不可欠であります。そのため、ネットワークの常時監視、日常的な保守管理、継続的なシステム開発等により、システム障害を未然に防ぎ、万一発生してしまった場合でも迅速に適切な対応を行える体制を構築しております。

しかしながら、巧妙化・複雑化したサイバー攻撃、不正アクセス、コンピュータウイルスの侵入、自然災害や大規模な事故、その他予期せぬ要因等により、当社のシステム障害や情報漏洩が発生した場合、相当な費用負担や当社の社会的信用の低下により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 技術革新について

インターネット関連市場では、技術革新が活発に行われており、新しいサービスが次々と生まれております。そのため、当社では、常に業界の動向を注視し、適時に事業戦略を見直し、必要に応じて迅速に技術革新に対応するため、既存サービスに新たな技術を展開できる開発体制を構築しております。

しかしながら、技術革新の内容によっては、対応するための相当な開発費用が発生する可能性があり、また、適切な対応ができない場合は当社サービスの競争力が相対的に低下する可能性があります。そのような場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 事業拡大に伴うシステム開発について

当社はサービスの安定稼働やユーザー満足度向上を図るため、サービスの成長に合わせてシステムやインフラの開発を継続的に行っていくことが必要であると認識しており、今後予測されるユーザー数、PV数及び投稿数の伸長、新サービスの導入、セキュリティ向上に備えて継続的なシステム開発を計画しております。

しかしながら、ユーザー数、PV数及び投稿数が想定よりも急速に増加した場合には、システム開発計画の前倒し等により想定外の開発費用が生じる可能性、また、適切な対応ができない場合はサービスの稼働やユーザー満足度が低下する可能性があります。そのような場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

(4)事業運営体制に関するリスク

① 内部管理体制の強化について

当社は、今後の事業運営及び事業拡大に対応するため、内部管理体制の一層の充実を図ることが必要であると認識しております。また、業務の適正及び財務報告の信頼性を確保するための内部統制システムを構築、整備、運用しております。

しかしながら、事業の急速な拡大等により、それに応じた内部管理体制の構築に遅れが生じる場合には、適切な事業運営が困難となり、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 小規模組織であることについて

当社は組織規模が小さく、規模に応じた業務執行体制となっております。また、今後の堅調な事業成長のためには、有能な人材の確保と育成が必要であると認識しており、適宜、採用を行い、社内研修制度の充実を図り、組織力の強化に注力してまいります。

しかしながら、適切なタイミングで当社の求める人材の確保が十分になされない場合や、当社の役員や重要な業務を担当する従業員の流出等により、必要な人材を確保できなくなった場合には、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 社歴が浅いことについて

当社は、2011年2月に設立され、未だ社歴が浅く成長途上であるため、期間業績比較を行うための十分な財務情報等が得られておらず、過年度の業績のみでは、今後の業績を判断する情報として不十分な可能性があります。

 

(5)法的規制に関するリスク

① 一般的なインターネットにおける法的規制について

当社の事業は主に、「電気通信事業法」「特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律」「不正アクセス行為の禁止等に関する法律」「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」等による法的規制を受けております。

本書提出日現在において、当社の事業継続に重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しておりますが、近年、インターネットの普及拡大に伴い、インターネット上のトラブルへの対応として、インターネット関連事業を規制する法令が徐々に整備されてきている状況です。今後、インターネット関連事業を営む事業者を規制対象とする新たな法令等の制定や、既存法令等の改正及び解釈変更がなされた場合には、当社の事業が制約を受ける可能性があります。その場合、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

② 法令の改正等における法的規制に伴う投稿数の変動について

当社が運営する「ジモティー」では、「売ります・あげます」「不動産」「地元のお店」「イベント」「アルバイト」等の幅広いカテゴリを取り扱っており、それぞれ関連する法的規制のもと、ユーザーより各カテゴリに応じた投稿を受け付けております。本書提出日現在において、各カテゴリの投稿に重要な影響を及ぼす法的規制はないものと認識しておりますが、今後、関連事業を規制する新たな法令等の制定や、既存法令等の改正及び解釈変更がなされた場合には、当社の事業が制約を受ける可能性があります。その場合ユーザーからの投稿が制限され、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

③ 個人情報の管理について

当社が運営する「ジモティー」では、ユーザーの住所、氏名、電話番号等の個人を特定できる情報を取得しており、当社には「個人情報の保護に関する法律」が定める個人情報取扱事業者としての義務が課せられております。

当社では、同法及び関連法令等を遵守し、それらの個人情報や取引データの取り扱いに細心の注意を払い、流出防止の体制を維持することを事業運営上の重要事項と認識しております。そのため、当社では、ネットワークの管理、独自のプライバシーポリシーの制定及び遵守、全従業員を対象とした社内研修の徹底、内部監査によるチェック等により、個人情報保護に積極的に取り組んでおります。

しかしながら、外部からの不正アクセスや、当社の関係者や業務提携先等の故意又は過失による漏洩、改ざん、不正使用等の不測の事態により、個人情報が外部に流出した場合には、適切な対応を行うための費用の発生や、当社に対する損害賠償の請求、当社の社会的信用の低下等により、当社の事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。

 

④ 知的財産権について

当社は、当社が運営する事業に関する知的財産権の獲得に努めることに加え、第三者の知的財産権を侵害しないよう、十分な注意を払い対応を行っておりますが、当社の事業分野において、既に当社の認識していない知的財産権が成立している可能性、又は今後新たに第三者により著作権等が成立する可能性があります。このような場合においては、当社が第三者の知的財産権を侵害したことによる損害賠償や差止の請求、又は当社に対するロイヤリティの支払い要求等を受けることにより、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

(6)その他のリスク

① 風評被害について

ソーシャルメディアの普及に伴い、インターネット上の書き込みや、悪意のある口コミ投稿、並びにそれらを起因とするマスコミ報道等による風評被害が発生・拡散した場合、その内容の正確性にかかわらず、当社のブランドイメージ及び社会的信用に影響が生じ、当社の事業及び業績に影響を与える可能性があります。

 

② 配当政策について

当社は、成長途上であるため、株主に対する利益還元と同時に、財務体質の強化、当社の事業分野における競争力の確保及び向上を経営上の重要課題と認識しております。そのため、当社は創業以来配当は実施しておらず、事業の効率化や拡大を目的とした投資を通じて事業成長を実現することが株主に対する利益還元に繋がると考えております。

今後も、各事業年度の経営成績を勘案しながら株主に対する利益還元を検討していく方針ですが、配当実施の可能性、その実施時期等については、現時点においては未定であります。

 

③ 新株予約権行使による株式価値の希薄化について

当社は、取締役、従業員に対し、インセンティブを目的とした新株予約権(以下「ストック・オプション」)を付与しております。これらのストック・オプションに加え、今後付与されるストック・オプションの行使が行われた場合には、当社の1株当たりの株式価値が希薄化し、株価形成に影響を与える可能性があります。

なお、2023年12月期末時点において、これらのストック・オプションによる潜在株式数は575,200株であり、発行済株式総数4,985,413株の11.54%に相当しております

 

④ 税務上の繰越欠損金について

当社は、当事業年度末時点において、税務上の繰越欠損金を有しており、当事業年度末における将来減算一時差異に対して、将来の税金負担額を軽減できる範囲内で繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性の評価に際して、事業計画を基に、将来の課税所得の発生時期及び金額を見積もっておりますが、実際の課税所得の発生時期及び金額が見積りと異なった場合には、翌事業年度以降の財務諸表において、繰延税金資産の金額に重要な影響を及ぼす可能性があります。

 

 

4【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】

(1)経営成績等の状況の概要

① 財政状態の状況

(資産)

当事業年度末における流動資産は1,351,846千円となり、前事業年度末に比べ38,193千円減少致しました。これは主に、売掛金が46,692千円減少したことによるものであります。固定資産は141,346千円となり、前事業年度末に比べ13,361千円減少致しました。これは主に、有形固定資産が2,896千円減少、投資その他の資産が10,465千円減少したことによるものであります。

この結果、総資産は1,493,192千円となり、前事業年度末に比べ51,555千円減少致しました。

 

(負債)

当事業年度末における流動負債は430,714千円となり、前事業年度末に比べ117,937千円増加致しました。これは主に、未払金が107,792千円増加、契約負債が7,633千円増加したことによるものであります。固定負債は75,000千円となり、前事業年度末に比べ66,220千円減少致しました。これは、長期借入金が60,000千円減少、資産除去債務が6,220千円減少したことによるものであります。

この結果、負債合計は505,714千円となり、前事業年度末に比べ51,717千円増加致しました。

(純資産)

当事業年度末における純資産合計は987,478千円となり、前事業年度末に比べ103,273千円減少致しました。これは主に、自己株式の消却により1,151,852千円増加した一方で、資本剰余金が1,163,158千円減少、利益剰余金が91,899千円減少したことによるものであります。

この結果、自己資本比率は66.1%(前事業年度末は70.6%)となりました。

 

② 経営成績の状況

当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されています。一方で、世界的な金融引締めが続く中、海外景気の下振れが国内の景気を下押しするリスクとなっており、注視すべき状況が続いております。

このような環境のなかで、当社はクラシファイドサイト「ジモティー」を通して、地域の情報が幅広く集まるプラットフォームを提供することで、地域の情報を可視化し、地域の人とのマッチングを推進してまいりました。

当社では、持続的なプラットフォームの成長のために、地域内で互いに必要なモノや情報を融通しあえる場所へと進化するべくサービスの改善に努めてまいりました。具体的には、モノや情報の量を増やし可視化させるための取組みとして、プラットフォームの改良による利便性の向上やサイト投稿を促進させるための施策の実施に注力してまいりました。また、ユーザー数拡大の取組みとして、行政と提携しリアルなリユース拠点を共同運営することで、ごみの減量とリユース数の最大化を図ってまいりました。また、収益モデル拡充の取組みとして、収益基盤の安定化及び向上を目的とした自社広告枠の販売により、当事業年度を通して引き続き改善と検証を重ねてまいりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は1,751,577千円(前事業年度比2.8%減)、営業利益は508,897千円(同10.3%増)、経常利益は519,043千円(同7.9%増)、当期純利益は433,446千円(同6.5%増)となりました。

なお、当社はクラシファイドサイト運営事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載をしておりません。

 

③ キャッシュ・フローの状況

当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ3,641千円減少し、当事業年度末には1,120,162千円となりました。

当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。

 

(営業活動によるキャッシュ・フロー)

営業活動の結果得られた資金は595,427千円(前事業年度は292,870千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益511,301千円の計上、法人税の支払77,199千円、売上債権の減少46,622千円、未払金の増加107,792千円によるものであります。

 

(投資活動によるキャッシュ・フロー)

投資活動の結果使用した資金は175千円(前事業年度は4,881千円の支出)となりました。これは、有形固定資産の取得による支出1,820千円、敷金の返還による収入1,644千円によるものであります。

 

(財務活動によるキャッシュ・フロー)

財務活動の結果使用した資金は598,892千円(前事業年度は347,955千円の支出)となりました。これは、自己株式の処分による収入6,480千円、長期借入金の返済による支出60,000千円、自己株式の取得による支出545,372千円によるものであります。

 

④ 生産、受注及び販売の実績

a.生産実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載はしておりません。

 

b.受注実績

当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載はしておりません。

 

c.販売実績

当社の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はクラシファイドサイト運営事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。

セグメントの名称

当事業年度

(自 2023年1月1日

 至 2023年12月31日)

販売高(千円)

前年同期比(%)

クラシファイドサイト運営事業

1,751,577

97.2

合計

1,751,577

97.2

 (注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。

相手先

前事業年度

(自 2022年1月1日

 至 2022年12月31日)

当事業年度

(自 2023年1月1日

 至 2023年12月31日)

金額(千円)

割合(%)

金額(千円)

割合(%)

Google Asia Pacific Pte.Ltd.

645,189

35.8

688,385

39.3

(注)主な相手先別の販売実績のうち、当該販売実績の総販売実績に対する割合が10%未満の相手先については記載を省略しております。

 

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。

なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。

 

① 重要な会計方針及び見積り

当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、当事業年度末における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような見積り、予測を必要とされております。当社は、過去の実績値や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、継続的に見積り、予測を行っております。しかしながら実績の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。

 

② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容

当事業年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続くことが期待されている一方で、世界的な金融引締めが続く中、海外景気の下振れが国内の景気を下押しするリスクとなっており、注視すべき状況が続いております。このような環境下において、当社はプラットフォームの持続的な成長のため、地域内で必要なモノや情報を融通しあい、生活の中で生まれる課題を解決できる場所になるべくサービスの改善に努めてまいりました。また、収益モデル拡充の取組みとして、運用型広告配信プラットフォーム「ジモティーAds」の提供開始等、当事業年度を通して新規事業の開発を推進してまいりました。

以上の結果、当事業年度の売上高は1,751,577千円(前事業年度比2.8%減)、営業利益は508,897千円(同

10.3%増)、経常利益は519,043千円(同7.9%増)、当期純利益は433,446千円(同6.5%増)となりました。当社収益は広告売上では1,263,603千円(前事業年度比4.8%減)、マーケティング支援売上は301,299千円(同11.5%減)となりました。一方、費用面においては、「ジモティー」の更なるブランド認知向上や利用促進のため、広告宣伝費を216,627千円(同40.6%減)投下いたしました。

 

(2022年12月期)

 

 

 

(単位:千円)

 

第1四半期会計期間

(自 2022年1月1日

 至 2022年3月31日)

第2四半期会計期間

(自 2022年4月1日

 至 2022年6月30日)

第3四半期会計期間

(自 2022年7月1日

 至 2022年9月30日)

第4四半期会計期間

(自 2022年10月1日

 至 2022年12月31日)

事業年度

(自 2022年1月1日

 至 2022年12月31日)

売上高

466,090

439,434

440,142

456,359

1,802,027

広告宣伝費

229,081

25,608

46,207

63,837

364,735

営業損益

△2,808

174,427

142,108

147,541

461,269

 

(2023年12月期)

 

 

 

(単位:千円)

 

第1四半期会計期間

(自 2023年1月1日

 至 2023年3月31日)

第2四半期会計期間

(自 2023年4月1日

 至 2023年6月30日)

第3四半期会計期間

(自 2023年7月1日

 至 2023年9月30日)

第4四半期会計期間

(自 2023年10月1日

 至 2023年12月31日)

事業年度

(自 2023年1月1日

 至 2023年12月31日)

売上高

451,205

447,996

413,631

438,743

1,751,577

広告宣伝費

29,254

14,669

20,178

152,524

216,627

営業損益

167,933

180,684

148,316

11,962

508,897

 

 

③ 資本の財源及び資金の流動性

当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。

当社における主な資金需要は、運転資金及び設備投資資金であります。これらの資金需要については、自己資金を基本としつつ、必要に応じて、最適な方法による資金調達にて対応する方針であります。

なお、当事業年度末における借入金残高は135,000千円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,120,162千円となっております。

 

5【経営上の重要な契約等】

該当事項はありません。

 

6【研究開発活動】

該当事項はありません。